テキストマイニングによる 日本語コーパス分析に関する研究
156
0
0
全文
(2) テキストマイニングによる 日本語コーパス分析に関する研究. 清水. 勇吉. 徳島大学大学院総合科学教育部 平成 26 年度. 博士学位請求論文.
(3)
(4) 目 次 初出一覧. ⅵ. ●序論 第1章 1. 1. 本論文の目的・意義. 1. 2. 本論文の対象. 1. 3. 本論文の構成. 第2章. 5. テキストマイニングとは. 2. 1. テキストマイニング. 2. 2. 解析器. 2. 2. 1. 形態素解析器. 2. 2. 2. 構文解析器. 2. 3. 1. 本論文の目的と意義. テキストマイニングソフト. ●本論 第1部 第3章. 19. 国会議事録を分析する. 3. 1. はじめに:コーパスの検索と集計. 3. 2. 国会議事録のテキストデータ. 3. 3. Sudachi KWIC Search (SKWICS) - Diet. 3. 4. 国会にみられる「対話」. 3. 5. おわりに. 第4章. 就任時所信表明演説から社会情勢を知る. 4. 1. はじめに. 4. 2. テキストマイニングを行う. 4. 2. 1. 解析器. 4. 2. 2. テキストマイニングソフト. 4. 3. 分析方法 i. 24.
(5) 4. 3. 1. 使用ソフトウェア. 4. 3. 2. 対応分析. 4. 4. 分析. 4. 4. 1. 分析対象. 4. 4. 2. テキスト(所信表明演説)の加工と図示. 4. 4. 3. 分析. 4. 5. 第5章. おわりに. 人々の口コミから病院に対する意識を探る. 5. 1. はじめに:インターネット上のコメントを分析すること. 5. 2. 分析対象. 5. 2. 1. 病 院 口 コ ミ 検 索 サ イ ト 「 Caloo」. 5. 2. 2. 投稿コメント収集と加工. 5. 3. 結果. 5. 4. 分析. 5. 4. 1. 患者のニーズ. 5. 4. 2. 患者の関心. 5. 5. 第6章. おわりに. 患者の歯科医院に対するフリー・コメントの テキストマイニングによる分析. 6. 1. はじめに. 6. 2. 対象および方法. 6. 2. 1. アンケート調査の概要. 6. 2. 2. 分析の手法. 6. 3. 結果. 6. 3. 1. 回答者の属性. 6. 3. 2. 分析の結果. 6. 4. 考察. 6. 4. 1. 出現頻度. 6. 4. 2. ネットワーク分析. 6. 5. 33. おわりに. ii. 45.
(6) ●本論 第2部 第7章. 『敬語と敬語意識』を分析する. 7. 1. はじめに. 7. 2. 国立国語研究所編『敬語と敬語意識』. 7. 2. 1. 分析項目. 7. 2. 2. 公開データを分析する. 7. 3. 結果. 7. 4. 分析. 7. 4. 1. 依頼のストラテジー. 7. 4. 2. 非難・注意のストラテジー. 7. 5. 56. おわりに. 第8章. 64. 誘いに対する断り表現. 8. 1. はじめに. 8. 2. 調査方法. 8. 2. 1. 調査場面. 8. 2. 2. 調査対象. 8. 3. 分析結果. 8. 3. 1. 自由回答記述. 8. 3. 1. 1. 分析方法. 8. 3. 1. 2. 丁寧表現. 8. 3. 1. 3. 「共感」. 8. 3. 1. 4. 「理由」. 8. 3. 1. 5. 「詫び」. 8. 3. 1. 6. 「結論」. 8. 3. 1. 7. 「関係維持」. 8. 3. 2. 回答者の性、相手の性. 8. 3. 2. 1. 配慮評価. 8. 3. 2. 2. “断らない”. 8. 3. 2. 3. 謝罪表現. 8. 3. 2. 3. 1. 【友人】. 8. 3. 2. 3. 2. 【先輩】. 8. 3. 2. 3. 3. 【後輩】. 8. 4. おわりに iii.
(7) 第9章. 84. 依頼に対する断り表現. 9. 1. はじめに. 9. 2. 調査概要. 9. 3. 意味公式にみられる特徴. 9. 4. 「詫び」にみられる特徴. 9. 5. 「断りの明示」にみられる特徴. 9. 6. 配慮評価. 9. 7. おわりに. 第10章 10. 1. 日本・韓国・中国における依頼に対する断り表現 はじめに. 10. 1. 1. コミュニケーションの中の「断る」ということ. 10. 1. 2. 関連する先行研究. 10. 2. アンケート調査. 10. 2. 1. 調査対象・調査期間. 10. 2. 2. 断り表現の調査項目. 10. 2. 3. 分析に用いる図と方法. 10. 3. 依頼に対する断り方. 10. 3. 1. 本節で取り扱う意味公式. 10. 3. 2. 6つの意味公式とその出現頻度. 10. 3. 3. 呼びかけ. 10. 3. 4. 発話の切り出し. 10. 3. 5. 配慮評価. 10. 4. 98. おわりに. ●結論 第11章. 116. 結論. 11. 1. 言語研究への適用. 11. 2. 今後の展望. 11. 2. 1. 自由回答形式資料の可能性. 11. 2. 2. 方言資料への適用. iv.
(8) 補論. 119. 方言の中の表現法. 12. 1. はじめに. 12. 2. 徳島・香川の待遇表現について. 12. 3. 結果. 12. 4. 分析. 12. 4. 1. 表現形式の変異. 12. 4. 2. 場面によって優先される表現形式. 12. 5. おわりに. 謝辞. 139. 参考文献. 140. v.
(9) 初出一覧 本 論 文 中 の 以 下 に 示 す 各 章 は 、そ れ ぞ れ の 論 文 を 元 に 、加 筆・修 正 を 加 え た ものである。. 第4章. 就任時所信表明演説から社会情勢を知る. 清 水 勇 吉( 2012)「 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に よ る 文 書 分 析 ― 内 閣 総 理 大 臣 の 所 信 表 明 演 説 を 中 心 に ― 」『 徳 島 大 学 国 語 国 文 學 』 25、 pp90-98、 徳 島 大 学. 第6章. 患者の歯科医院に対するフリー・コメントの テキストマイニングによる分析. 清 水 勇 吉 ・ 石 田 和 之 ・ 岡 重 徳 ( 2011)「 患 者 の 歯 科 医 院 に 対 す る フ リ ー ・ コメントのテキストマイニングによる分析」 『 日 本 歯 科 医 療 管 理 学 会 雑 誌 』、 Vol.46 No.3(107)、 pp138-144、 日 本 歯 科 医 療 管 理 学 会. 第8章. 誘いに対する断り表現. 清 水 勇 吉 ・ 趙 塔 娜 ・ ブ ロ イ ヤ ー ビ ク ト リ ア( 2011)「 誘 い に 対 す る 断 り 表 現 に つ い て 」『 徳 島 大 学 国 語 国 文 學 』 24、 pp76-56、 徳 島 大 学. 第9章. 依頼に対する断り表現. 清 水 勇 吉・石 田 基 広・岸 江 信 介( 2011) 「依頼に対する断り表現について」 『 言 語 文 化 研 究 』 19 巻 、 pp147-161、 徳 島 大 学. 第10章. 日本・韓国・中国における依頼に対する断り表現. 瀧 口 惠 子 ・ 米 麗 英 ・ 清 水 勇 吉 ( 2014)「 日 本 ・ 韓 国 ・ 中 国 に お け る 依 頼 に 対 す る 断 り 表 現 」『 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に よ る 言 語 研 究 』、pp79-95、ひ つじ書房. 補論. 方言の中の表現法. 清 水 勇 吉 ( 2009)「 徳 島 県 西 部 ・ 香 川 県 西 部 の 待 遇 表 現 」『 徳 島 ・ 香 川 両 県 西 部 の こ と ば 』、 徳 島 大 学 国 語 学 研 究 室 、 pp72-89. vi.
(10) 第1章 本論文の目的と意義. 1.1 本 論 文の目 的 ・意 義 本 研 究 の 目 的 は 、日 本 語 学 と い う 領 域 に 、分 析 手 法 の 一 つ で あ る テ キ ス ト マ イ ニ ン グ を 取 り 入 れ る こ と で あ る 。テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の 詳 細 に つ い て は 次 章 に譲ることとするが、ここでは端的に「種々のテキストデータを計量的に加 工・分 析 す る た め の 手 法 」と す る 。主 観 的 に な り が ち な テ キ ス ト デ ー タ の 分 析 に対して、計量化による客観的視点の導入することを目的の一つとする。 日 本 語 学 に は 日 本 語 史 、音 声 、文 法 、方 言 な ど 、多 く の 研 究 分 野 が 存 在 す る が 、基 本 的 に は 文 献 調 査 や 面 接 調 査 に 基 づ く 収 集 資 料 の 分 析 が 主 と な る 。そ の 手 段 は 、膨 大 な 資 料 か ら 語 の 新 旧 を 把 握 、特 定 し た り 、音 声 デ ー タ で あ れ ば 波 長 に よ る 音 響 分 析 を 実 施 し た り と い っ た も の が 基 本 的 な も の と な る 。統 計 的 手 法 を 用 い る 機 会 が 比 較 的 多 い と 思 わ れ る 社 会 言 語 学 で も 、用 い る 言 語 形 式 と 属 性 を 対 象 に 統 計 処 理 を お こ な う と い う こ と が 大 半 で あ る 。社 会 言 語 学 の 分 野 に お け る 統 計 的 手 法 の 利 用 に つ い て は 、待 遇 表 現 と い う 表 現 法 に 対 し て 数 量 化 を お こ な っ た 荻 野( 1983)や 、方 言 区 画 の 手 段 に 数 量 化 を は か っ た 井 上( 2001) などに詳しい。他に数理的処理と親和性の高いものにコーパス研究があるが、 これはあくまでも言語形式とその実際の用例に主眼を置いた研究であるため、 テキストマイニングのように自由回答記述データの分析をおこなうものとは 1.
(11) また異なる。 こ の よ う な 現 状 の 中 で も 、一 般 的 な ア ン ケ ー ト 調 査 と 同 じ よ う に「 ● ● につ い て ど う 思 い ま す か 。自 由 に お 答 え く だ さ い 。」と い っ た 意 識 調 査 や 、あ る い は ロ ー ル プ レ イ ン グ と し て「 ■ ■ の 場 面 で は ど の よ う に 言 い ま す か 。自 由 に お 答 え く だ さ い 。」と い う か た ち の 、い わ ゆ る 自 由 回 答 形 式 の 調 査 も 同 時 に お こ な わ れ て い た 。し か し な が ら 調 査 は さ れ る も の の 、敬 語 の 有 無 や 特 定 の 言 語 形 式 の 多 寡 な ど が 採 用 さ れ る ば か り で 、回 答 全 体 の 分 析 は な さ れ ず に い た 。無 論 、 多 変 量 解 析 を ア ン ケ ー ト 調 査 に 用 い る こ と を 示 し た 木 下 ( 2011) や 、 質 問 調 査 全 体 に 対 す る 統 計 的 手 法 の 適 用 に つ い て ま と め た 荻 野 ・ 田 野 村 編 ( 2012) の よ う に 、近 年 で は 分 析 方 法 も 確 立 さ れ つ つ あ る 。こ の 流 れ は 、村 上( 2006) や 、 金 ( 2009) が 統 計 学 の 立 場 か ら 、 日 本 語 の テ キ ス ト デ ー タ を 分 析 す る と いうことをおこなったことから本格的に始動したと言えるだろう。 繰 り 返 し に な る が 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ は「 種 々 の テ キ ス ト デ ー タ を 計 量 的 に 加 工・分 析 す る た め の 手 法 」で あ る 。選 択 式 の ア ン ケ ー ト 項 目 で は 調 査 者 側 が 設 定 し た も の で し か 回 答 者 の 意 識 や 認 識 を と ら え ら れ ず 、ま た 、方 言 調 査 の よ う に「 こ の 物 体 を 何 と 呼 び ま す か 」と い っ た 基 本 的 に 一 対 一 対 応 す る よ う な 呼称・表現法を問うものでは、当該地域で用いられると予想される方言形式、 ま た は 共 通 語 形 式 し か 得 ら れ な い 。テ キ ス ト マ イ ニ ン グ は 、そ う し た 個 々 の 項 目では測ることのできないものを見出そうとするものである。本研究では、 様 々 な 種 類 の テ キ ス ト デ ー タ の 分 析 事 例 を 挙 げ る こ と で 、日 本 語 学 に テ キ ス ト マイニングを適用することの意義を示したい。. 1.2 本 論 文の対 象 本 研 究 で は 、扱 う 対 象 を 前 川( 2013)で 言 う と こ ろ の コ ー パ ス 、つ ま り「 あ る 言 語 の 研 究 の た め に 、そ の 言 語 で 実 際 に 用 い ら れ た 用 例 を 大 量 に 偏 り な く 収 集 し て 電 子 化 し 、検 索 用 情 報 を 付 加 し た も の 」の み な ら ず 、特 定 の 場 面 設 定 に 対 す る ア ン ケ ー ト 結 果 、つ ま り 自 由 回 答 形 式 の 集 合 な ど も 含 め た テ キ ス ト デ ー タの集積を研究対象としたい。 主 に 、日 本 語 学 研 究 に お い て 未 だ 十 分 と は 言 い 難 い 、自 由 回 答 形 式 の テ キ ス ト デ ー タ を 中 心 と す る 。そ れ は 、イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で 、ま た 刊 行 と い う 形 で 公 開 さ れ て い る よ う な 文 章 や 自 由 回 答 形 式 の テ キ ス ト デ ー タ 、そ の 他 日 本 語 研 究 に お い て 未 だ 十 分 と は 言 い 難 い 、実 施 し た ア ン ケ ー ト 調 査 で 得 ら れ た 自 由 回 答 形 式 の テ キ ス ト デ ー タ を 指 す 。各 章 で そ れ ぞ れ 扱 う デ ー タ の 性 格 を 異 に し て お り、バリエーションに富んだものとなっている。 2.
(12) 1.3 本 論 文の構 成 本研究は全12章から成る。 全 体 の 序 論 と し て 、第 1 章「 本 論 文 の 目 的 と 意 義 」に お い て 、日 本 語 学 分 野 で 扱 わ れ る テ キ ス ト デ ー タ に 対 し て 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ を お こ な う 目 的 と 意 義 に つ い て 述 べ 、第 2 章「 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と は 」で は 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グそのものについて、詳述する。 本論の第1部とした第3章~第6章では広く一般的なテキストデータを対 象 と し た 分 析 を 主 に お こ な い 、 本 論 第 2 部 と し た 第 7 章 ~ 第 1 1 章 で は 、「 飲 み 会 に 誘 わ れ ま し た が 、断 ら な け れ ば な り ま せ ん 。ど の よ う に 言 っ て 断 り ま す か 。」と い っ た 、 「 断 り の 場 面 」を 設 定 し 、調 査 側 が 提 示 し た 場 面 に 対 す る 反 応 としての自由回答の分析を中心に進める。 第 3 章 、第 4 章 で は 、討 論 や 演 説 と い う 、公 の 場 で の 談 話 を 対 象 に そ の 傾 向 を 探 る 。第 3 章「 国 会 議 事 録 を 分 析 す る 」で は 国 会 議 事 録 の テ キ ス ト 化 さ れ た も の を 一 つ の コ ー パ ス と 見 做 し 、検 索・分 析 を お こ な う 。第 4 章「 就 任 時 所 信 表 明 演 説 か ら 社 会 情 勢 を 知 る 」で は 複 数 名 の 内 閣 総 理 大 臣 の 就 任 時 所 信 表 明 演 説 の テ キ ス ト デ ー タ を 分 析 す る こ と で 、各 時 期 の 社 会 情 勢 の 特 色 に つ い て ふ れ る 。第 5 章 、第 6 章 で は 、主 に 患 者 の 医 療 機 関 に 対 す る 意 識・関 心 を み る た め に 、患 者 の 自 由 回 答 形 式 の コ メ ン ト の 集 合 を 分 析 す る 。第 5 章「 人 々 の 口 コ ミ か ら 病 院 に 対 す る 意 識 を 探 る 」で は 口 コ ミ サ イ ト に 公 開 さ れ て い る 各 コ メ ン ト か ら 、病 院 に 対 す る ニ ー ズ や 、注 目 さ れ て い る 点 を 明 ら か に す る 。本 論 文 の 主 論 文 で あ る 第 6 章「 患 者 の 歯 科 医 院 に 対 す る フ リ ー・コ メ ン ト の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に よ る 分 析 」で は 、徳 島 県 で 実 施 さ れ た 歯 科 医 院 に 対 す る 意 識 の ア ン ケ ー ト 調 査 の 中 か ら 自 由 回 答 を 集 計 し 、患 者 の 関 心 の 対 象 を 探 る 。ア ン ケ ー ト 調 査 か ら 収 集 し た 大 量 の 自 由 回 答 を 、日 本 語 学 を 基 盤 と し て い か に 分 析 す る か を 示している。 ま た 、 既 に 刊 行 ・ 公 開 さ れ て い る デ ー タ を 扱 う も の と し て 、 第 7 章 「『 敬 語 と 敬 語 意 識 』を 分 析 す る 」で 、過 去 に 愛 知 県 岡 崎 市 に て 調 査 さ れ た 言 語 資 料 を 対 象 に 、各 場 面 に つ い て 回 答 者 の 待 遇 的 ス ト ラ テ ジ ー( 方 略 )の 示 し 方 を み る 。 第 8 章 、第 9 章 で は 、日 本 語 母 語 話 者 を 対 象 に 、断 り 方 に 関 す る 表 現 方 法 な ど を 分 析 す る 。第 8 章「 誘 い に 対 す る 断 り 表 現 」で は 誘 わ れ た 場 面 に お け る 断 り 方、第9章「依頼に対する断り表現」では依頼される場面における断り方を、 そ れ ぞ れ 性 別 の 差 や 相 手 の 立 場 の 上 下 の 観 点 か ら 、回 答 者 の 特 徴 を 見 出 す 。ま た 、そ れ を 発 展 さ せ 、第 1 0 章「 日 本・韓 国・中 国 に お け る 依 頼 に 対 す る 断 り 表 現 」で は 、日 本 以 外 に 韓 国 、中 国 の デ ー タ も 加 え 、三 国 間 の 特 徴 と そ の 差 異 3.
(13) を明らかにする。 第 1 1 章「 結 論 」に て 本 研 究 全 体 の 結 論 を 述 べ る 。自 由 回 答 形 式 の テ キ ス ト デ ー タ や 、方 言 資 料 へ の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と い う 手 法 の 適 用 と そ の 可 能 性 に 関して言及する。 最 後 に 補 論「 方 言 の 中 の 表 現 法 」に て 、実 際 に フ ィ ー ル ド ワ ー ク を お こ な っ て得られた方言資料をもとに、テキストマイニングも利用した分析を試みる。 既 に 報 告 書 と し て 刊 行 さ れ た デ ー タ の 再 考 で あ り 、方 言 形 式 を 含 む 資 料 に 対 す る試験的な分析である。 第1章. 目的と意義. 第2章. テキスト マイニングとは. 本論 第1部. 第3章. コーパス 単語検索. 第4章. テキストマイニング 所信表明演説. 第5章. 本論 第2部. 第7章. インターネット上の 自由記述形式データ. 配慮表現 既刊データの分析. 第6章. 第8章. 配慮表現 誘いに対する断り. 第9章. アンケート調査の 中の自由記述. 配慮表現 依頼に対する断り. 第10章. 依頼に対する断り 日韓中比較. 第11章. 結論. 補論. 方言データ 試験的実践例. 図 1-1. 本論文の構成(フローチャート). 4.
(14) 第2章 テキストマイニングとは. 2.1 テキストマイニング 本 章 で は 、本 研 究 の テ ー マ た る テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と 、本 論 で 用 い る ソ フ ト ウェアについて紹介する。 前 章 で 簡 単 に ふ れ た が 、ま ず テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と は 何 か と い う 点 に つ い て 改 め て 述 べ た い 。テ キ ス ト マ イ ニ ン グ は 、ま ず 対 象 と な る テ キ ス ト を 形 態 素 に 分解し、それを数量化する。その出力されたものに統計処理を加えることで、 テ キ ス ト に 隠 れ た 、テ キ ス ト に は 直 接 あ ら わ れ な い も の を 見 出 そ う と す る こ と が テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の プ ロ セ ス で あ り ま た 目 的 で も あ る 。で は 、こ の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ は 、一 体 ど の よ う な 経 緯 で 世 の 中 に 求 め ら れ る に 至 っ た の か 。続 けて述べていこう。 顧 客 に 対 し て 行 わ れ る 、商 品 や 企 業 そ の も の に 対 す る ア ン ケ ー ト で 得 ら れ た もの、またコールセンターに寄せられる顧客の問い合わせなどを「顧客の声」 と 便 宜 的 に 称 す る が 、そ の 中 に み ら れ る 顧 客 の 要 望 や 不 満 は た い へ ん 貴 重 な 情 報 源 で あ る 。要 望 や 不 満 は 、裏 を 返 せ ば 消 費 者 の 需 要 や 企 業 側 が 改 善 す べ き 問 題 点 と 言 え る か ら で あ る 。そ し て そ れ を 詳 ら か に す る こ と で 、企 業 は 業 績 の 向 上を図ることもできる。ただし、アンケートに対する自由記述形式の回答や、 コ ー ル セ ン タ ー の オ ペ レ ー タ ー と 顧 客 の や り 取 り な ど 、定 型 化 さ れ て い な い も 5.
(15) の の 場 合 、個 々 人 の 意 見 を 商 品 等 に 直 接 反 映 す る の は 難 し い 。そ こ で 、種 々 の デ ー タ か ら 有 益 な 知 見 を 掘 り 出 す ( mining) 技 術 で あ る デ ー タ マ イ ニ ン グ の う ち 、特 に テ キ ス ト を 対 象 と し た テ キ ス ト マ イ ニ ン グ が 求 め ら れ る こ と と な っ た 。「 顧 客 の 声 」 を 分 析 し コ ン サ ル テ ィ ン グ の た め に テ キ ス ト マ イ ニ ン グ は 活 用 さ れ る こ と が 多 く 、 ま た そ れ に 関 す る 著 書 も 少 な く な い ( 石 井 2002、 黒 岩 2005 な ど )。 マ ー ケ テ ィ ン グ 分 野 以 外 に も 、た と え ば 社 会 学 や 医 学 な ど 、研 究 の 分 野 で も 需 要 の 高 ま り が あ っ た 。イ ン タ ビ ュ ー の 談 話 資 料 の 質 的 分 析 や 、新 聞 や 雑 誌 と い っ た 関 連 資 料 の 分 析 か ら 問 題 点 を 見 出 す こ と な ど が 必 要 と さ れ た 。フ ェ ル ド マ ン ・ サ ン ガ ー ( 2010) に よ る と 生 命 医 学 の 分 野 で は テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と い う 術 語 が 定 着 す る 以 前 か ら こ れ に 類 す る 研 究 が な さ れ て い る と し 、「 生 命 医 学 分 野 は そ の 性 質 上 、多 く の 個 別 的 な 知 識 の 集 積 と そ の 体 系 化 が 新 た な 知 見 の 発 見 に は 不 可 欠 で あ り 、文 献 の テ キ ス ト ベ ー ス と そ れ に 対 す る 検 索 シ ス テ ム が 発 展 し て い た 。」 と し て い る 。 こ う い っ た テ キ ス ト デ ー タ の 分 析 に 関 し て は 常 に 、「 自 由 回 答 形 式 の も の は 読 む 手 間 が か か り 、 か つ 解 釈 が 難 解 で あ る 」 と い う 「( デ ー タ の ) 量 と ( 解 釈 ・ 分 析 の ) 質 」 の 問 題 が あ る 。 そ れ を 解 消 す る も の と し て 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と い う 手 法 は 発 展 を 望 ま れ た の で あ る 。こ れ は 、 1990 年 代 後 半 以 降 の パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ ー の 能 力 向 上 ( 一 般 市 民 の マ イ コ ン ピ ュ ー タ ー の 普 及 な ど )も 相 俟 っ て 、研 究 者 グ ル ー プ の み な ら ず 研 究 者 個 人でも膨大なデータを扱えるようになるまでに至る。 さ て 、冒 頭 に て テ キ ス ト マ イ ニ ン グ が 具 体 的 に お こ な う プ ロ セ ス と し て 、 「テ キ ス ト を 形 態 素 に 分 解 、集 計 し 、統 計 処 理 を す る 」と い う 第 一 段 階 と 、そ こ か ら そ の「 テ キ ス ト に 潜 む 傾 向・特 性 を 見 出 す 」と い う 次 の 段 階 を 提 示 し た 。実 際 に お こ な う こ と と し て は 間 違 っ て い な い が 、各 分 野 、ま た 研 究 者 は ど の よ う に定義しているだろうか。先行研究の定義をいくつか挙げてみる。 ・ 石 井 ( 2002): 大 量 の 文 書 情 報 の 中 か ら 、質 問 の 主 旨 に 合 致 す る 文 書 を 素 早 く 発 見 す る と と も に 、文 書 間 の 関 連 性 を 分 析 し て さ ま ざ ま に グ ル ー ピ ン グ し 、そ れ ら の内容と数量およびその推移を把握することで、新たな知見を得るもの ・ 黒 岩 ( 2005): 「 意 味 論 」 や 「 語 用 論 」、 そ し て 「 認 知 言 語 学 」 と い っ た 、 言 葉 に つ い て の 理 論 的 な 仮 説 と 、高 度 な 統 計 解 析 手 法 を 組 み 込 ん だ 、多 様 な 分 析 手 法 の集積 6.
(16) ・ 松 村 ・ 三 浦 ( 2009): テキストデータを計算機で定量的に解析して有用な情報を抽出するた めのさまざまな方法の総称 ・ 内 田 ( 2010): 定 型 化 さ れ て い な い 文 章( テ キ ス ト )か ら 有 益 な 情 報 を 発 掘( マ イ ニ ン グ)するための方法論および分析行為 ・ フ ェ ル ド マ ン ・ サ ン ガ ー ( 2010): ユーザが一連のツールを利用して文書集合を対話的に分析するという 非常に高度な知識を要求する作業 ・ 田 野 村 ( 2011): 大 量 の デ ー タ か ら 解 析 に よ っ て 有 用 な 情 報 を 抽 出 す る“ デ ー タ マ イ ニ ン グ ( data mining)” の 一 種 ・ 石 田 ( 2013): テキストを対象としたデータマイニングの理論や技術の総称 ・ 那 須 川 ( 2014): 検索および分類集計の範囲を超えた知識発見の実現を志向するもので、 個々のテキストを読んだだけでは得られない知見を獲得する技術 こ の よ う に 、定 義 は 利 用 す る 人 物 の 専 門 分 野 や 立 場 に よ っ て 様 々 で あ る 。本 研 究 で は 言 語 研 究 で 利 用 す る 点 か ら 、前 章 で も 述 べ た よ う に「 種 々 の テ キ ス ト デ ー タ を 計 量 的 に 加 工・分 析 す る た め の 手 法 」と す る 。上 に 挙 げ た も の の 中 で は 、 松 村 ・ 三 浦 ( 2009) に 近 い だ ろ う か 。 こ れ は 文 字 化 さ れ た 談 話 資 料 に 限 ら ず 、ア ン ケ ー ト で 得 ら れ た 回 答 や 文 学 作 品 な ど 、テ キ ス ト と し て 文 字 化 さ れ たものを広く加工・分析可能なものととらえた上での定義である。 次 節 で は 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ 、ま た テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト に 欠 か せ な い解析器について述べる。. 2.2 解 析 器 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ に は 解 析 器 が 不 可 欠 と な る 。テ キ ス ト マ イ ニ ン グ を お こ な う 際 、ま ず 形 態 素 に 分 解 す る と い う 手 順 が 存 在 す る が 、そ れ に 用 い る も の が 解 析 器 で あ る 。解 析 器 に は 大 き く 形 態 素 に 分 解 す る 形 態 素 解 析 器 と 文 構 造 を 解 析する構文解析器があり、これらを必要に応じて使い分ける。. 7.
(17) 2.2.1 形 態 素 解析 器 まず形態素とは何か。 『 日 本 語 学 研 究 事 典 』に よ る と 、一 般 的 に「「 意 味 を 有 す る 最 小 の 単 位 」( minimum meaningful unit)と 規 定 さ れ る こ と が 多 い 」も の と さ れ 、こ れ を 形 態 素( Morpheme)と 呼 ぶ と い う 。た と え ば 島( シ マ )や 国( ク ニ )の よ う に 形 態 素 一 つ で 構 成 さ れ る も の と 、島 国( シ マ グ ニ )の よ う に二つ以上の形態素で構成されるものとがある。 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ 自 体 は 多 く の 言 語 に つ い て 行 わ れ て い る が 、日 本 語 を扱 う 場 合 に は ま ず 形 態 素 に 分 解 す る こ と が 必 須 で あ る 。日 本 語 は 英 語 な ど と は 異 な り 、単 語 が 連 続 し た か た ち で 文 や 文 章 に あ ら わ さ れ る た め 、そ の ま ま で は ど こ か ら ど こ ま で が 一 つ の 語 な の か が 判 別 で き な い の で あ る 。そ の た め 分 析 す る 際 に は ツ ー ル を 用 い て“ 分 か ち 書 き ”を す る 必 要 が あ る 。形 態 素 に 分 割 し 、そ れ ぞ れ に 品 詞 情 報 な ど を 与 え て い く 作 業 を 形 態 素 解 析 ( Morphological Analysis)と 言 い 、そ の 役 割 を 担 う の が こ れ か ら 紹 介 す る 形 態 素 解 析 器 な の で あ る 。次 項 の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト の 説 明 の 前 に 、そ の 処 理 に 不 可 欠 な 形 態素解析器について簡単にふれておく。 形 態 素 解 析 器 は 自 然 言 語 の 文 法 知 識 の ほ か 、そ れ ぞ れ の 専 用 辞 書 に よ る ル ー ル に 則 っ て 分 割 お よ び 品 詞 情 報 の 付 与 を 行 う た め 、出 力 結 果 は 異 な る 。以 下 で は「 極 楽 の 蓮 池 の ふ ち を 、独 り で ぶ ら ぶ ら 御 歩 き に な っ て い ら っ し ゃ い ま し た 。」 という例文を解析したものを載せているが、たとえば「蓮池」という単語は ChaSen や MeCab で は 固 有 名 詞 ( 人 名 ‐ 姓 ) と し て 分 割 ・ 品 詞 分 類 さ れ て い る が 、 JUMAN で は 「 蓮 」「 池 」( と も に 普 通 名 詞 ) と し て 分 割 さ れ て い る 。 辞 書 に 関 す る 補 足 と し て 、本 節 に 挙 げ る 解 析 器 は い ず れ も 分 析 者 の 手 に よ っ て 自 由 に 定 義 で き る も の で あ る こ と を 付 記 し て お く 。一 般 に 商 用 の 解 析 器 で は 辞 書 や 他 の 規 則 な ど は 固 定 さ れ て い る 場 合 が 多 く 、そ れ ら と 比 較 す れ ば 使 い 勝 手の良いものと言える。 また各テキストマイニングソフトに実装されている辞書はほとんどが日本 語の共通語をベースとしたものになっているが、方言資料の分析であっても、 方 言 の 言 語 形 式 を そ れ ぞ れ 登 録 す る こ と で 分 析 が 可 能 と な る 。た と え ば 資 料 の 中 に「 な も し 」が 含 ま れ て い る も の を そ の ま ま 分 析 に か け て も 普 通 は 形 態 素 と し て 認 め ら れ る こ と は な い が 、こ れ を 単 独 の 形 態 素 と し て 登 録 す る こ と で「 な もし」が一つの形態素として認識され、分析対象とすることも可能となる。. 8.
(18) 図 2-1. JUMAN の 起 動 ウ ィ ン ド ウ. 図 2-2. ChaSen の 起 動 ウ ィ ン ド ウ. ・JUMAN 1:元 京 都 大 学 総 長 、長 尾 真 氏 の 研 究 室 を 中 心 に 開 発 さ れ た も の で 、 1992 年 に 公 開 さ れ た 。今 も な お バ ー ジ ョ ン ア ッ プ が 行 わ れ て お り 、Ver.7.0 に お い て は Wikipedia か ら 抽 出 し た 辞 書 の 追 加 や 自 動 辞 書 (Web テ キ ス ト か ら 自 動 獲 得 し た 辞 書 )の 改 良 2 な ど 機 能 は 拡 張 さ れ 続 け て い る 。. http://nlp.ist.i.kyoto-u.ac.jp/index.php?JUMAN( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) これらの改良は、インターネットにあらわれるいわゆる普通の単語ではないも のをも解析対象にするということである。ホームページ上で例示しているものの 一 つ に「 あ り が と ー 」が あ る 。現 在 、JUMAN に こ れ を か け る と 、 「ありがとー あ り が と う あ り が と う 感 動 詞 12 * 0 * 0 * 0 "代 表 表 記 :あ り が と う /あ り が と う 非 標 準 表 記 "」 と い う 結 果 を 返 す 。 1 2. 9.
(19) 図 2-3. MeCab の 起 動 ウ ィ ン ド ウ. ・ ChaSen 3 ( 茶 筌 ): 奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 松 本 研 究 室 で 開 発 さ れ た も の で 、JUMAN を も と に つ く ら れ て い る 。利 用 す る 辞 書 は 別 配 布 と な っ て お り 、 こ の ホ ー ム ペ ー ジ で 紹 介 さ れ て い る 日 本 語 の 辞 書 と し て IPAdic legacy 4 や UniDic 5 が あ る 。 詳 細 に つ い て は 、 ChaSen、 ま た は 各 々 の 専 用 ペ ー ジ を 参 考 にされたい。 ・ MeCab 6 ( 和 布 蕪 ): 奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 出 身 の 工 藤 拓 氏 の 開 発 し た 日 本 語 の 形 態 素 解 析 器 で あ り 、 ChaSen の 流 れ を 汲 む 。「 京 都 大 学 情 報 学 研 究 科 −日 本 電 信 電 話 株 式 会 社 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 科 学 基 礎 研 究 所 共 同 研 究 ユ ニットプロジェクトを通じて開発されたオープンソース形態素解析エンジン」 ( ホ ー ム ペ ー ジ よ り 抜 粋 。) で あ り 、 ChaSen に 比 べ 動 作 が 高 速 で あ る 。 上 に 挙 げ た 三 つ は い ず れ も 形 態 素 解 析 器 で あ る こ と は 間 違 い な い が 、形 態素 の 切 り 方 に 差 異 が あ る 。こ れ は 形 態 素 を 切 る 際 に 利 用 し て い る 辞 書 が 異 な る ゆ え で あ る 。辞 書 に 関 し て は 、解 析 器 を ダ ウ ン ロ ー ド す る と 同 時 に 専 用 の も の が 付いてくる。. 2.2.2 構 文 解 析器 形 態 素 に 切 っ た あ と は 、必 要 に 応 じ て 構 文 解 析 も 行 う 必 要 が あ る 。構 文 解析 と は 文 章 の 構 造 を 解 析 す る プ ロ セ ス で 、係 り 受 け( 単 語 間 の 関 係 )を 把 握 す る 。 http://chasen-legacy.sourceforge.jp/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) http://sourceforge.jp/projects/ipadic/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 5 http://sourceforge.jp/projects/unidic/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 6 http://mecab.googlecode.com/svn/trunk/mecab/doc/index.html( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 3 4. 10.
(20) 図 2-4. CaboCha の 起 動 ウ ィ ン ド ウ. た と え ば「 日 本 の 首 都 は 東 京 だ が 、ア メ リ カ の 首 都 は ワ シ ン ト ン D.C.だ 。」と いう文があったとき、 「日本の首都‐東京」 「 ア メ リ カ の 首 都 ‐ ワ シ ン ト ン D.C.」 と い う 関 係 を そ れ ぞ れ 識 別 す る 。 こ れ が 正 し く 行 わ れ な い 場 合 、「 日 本 の 首 都 ‐ ワ シ ン ト ン D.C.」 と い う 不 適 切 な 解 釈 を し て し ま う お そ れ も あ る 。 た だ し 、構 文 解 析 そ の も の は 難 し く 、文 法 以 外 に も 文 脈 な ど に も 大 き く 影 響 さ れ る た め 、現 状 、不 完 全 な 部 分 が 多 い 。た と え ば「 歩 き な が ら も の を 食 べ る 人 を 見 た 」と い う 文 が 単 体 で あ っ た と し て 、歩 い て い る 主 語 は 歩 い て い る 人 な の か 食 べ て い る 人 な の か は 、こ の 一 文 の み で は 判 別 し が た い 。こ れ 以 前 の 文 中 に 自 身 が 散 歩 を し て い る よ う な 描 写 が あ れ ば 前 者 と も 考 え ら れ る し 、ど こ か に 座っている状態で街を眺めている場面であれば後者と考えて間違いないだろ う。そうした意味では、判断材料を要求する一文と言えよう。 こ の よ う に 文 脈 や 背 景 の 存 在 は 各 文 の 下 地 に 影 響 を 与 え る も の で あ る が 、構 文 解 析 に お け る 係 り 受 け 判 別 は 文 単 位 で あ る こ と が ほ と ん ど で あ る 。ま し て や よ り 離 れ た 関 係 性 を 見 出 す と こ ろ ま で は 至 ら な い 。構 文 解 析 は 未 だ 発 展 途 上 の ものである。 ・CaboCha 7:ChaSen や MeCab と 同 様 に 、奈 良 先 端 大 松 本 研 究 室 で 開 発 さ れ た 日 本 語 係 り 受 け 解 析 シ ス テ ム で あ る 。 形 態 素 解 析 に は ChaSen ま た は MeCab を 利 用 し て お り 、 そ の 上 で 係 り 受 け 解 析 を 行 う 。. 2.3 テキストマイニングソフト テキストマイニングを行うためのソフトウェアは決して少なくない。ただ、 前述した通りこの手法は商業の場で用いられているケースが多く、たとえば. 7. https://code.google.com/p/cabocha/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 11.
(21) 「 TRUE TELLER 8 」 ( 野 村 総 合 研 究 所 )や「 TrueText 9 」 ( Jetrun テ ク ノ ロ ジ ) といった企業向けの有料のソフトが一般的である。 こ れ ら を 個 人 で 研 究 に 用 い る に は 個 人 で 有 す る コ ン ピ ュ ー タ の 性 能 、金 銭的 な 面 な ど か ら 少 々 難 が あ る た め 、こ こ で は 主 に 無 料 で 利 用 可 能 な ソ フ ト ウ ェ ア を 中 心 に 紹 介 す る 。各 節 で は そ れ ぞ れ の ソ フ ト ウ ェ ア の 特 徴 的 な 機 能 に 主 眼 を 置いている。 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の 前 処 理 に 特 化 し た TTM、 単 独 で ビ ジ ュ ア ル 化 か ら 統 計 処 理 ま で 行 え る 多 機 能 な KHCoder、 高 機 能 な ネ ッ ト ワ ー ク 分 析 を 行 う こ と の 可 能 な ト レ ン ド サ ー チ 2008 10 と 、 そ れ ぞ れ の 特 徴 的 な も の を 挙 げ て い る 。 各 ソ フ ト の 詳 細 な 使 用 方 法 や ダ ウ ン ロ ー ド の 方 法 な ど は 、そ れ ぞ れ の ホ ー ム ペ ー ジ 、関 連 書 籍 等 に 詳 し い た め 、こ こ で は 割 愛 す る こ と と し 、主 に ど の よ う な機能を持つのか、どのようなことができるのかなどを主に述べる。 本 章 で 紹 介 す る テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト は い ず れ も GUI 11 性 の 高 い も の で 、前 節 の 解 析 器 な ど と は 異 な り 、コ マ ン ド プ ロ ン プ ト で 自 ら コ マ ン ド 入 力 し て 操 作 す る な ど と い っ た 煩 雑 さ は な く 、ソ フ ト ウ ェ ア の 操 作 自 体 は 比 較 的 簡 明 で あ る た め 、必 ず し も 自 然 言 語 処 理 な ど の 方 面 に 明 る い 必 要 は な い 。目 的 に 応 じ た ソ フ ト ウ ェ ア の 使 い 分 け こ そ 重 要 で あ る た め 、各 ソ フ ト ウ ェ ア の 性 格 な ど を把握することが必要となる。 ○ TTM 12 ( TinyTextMiner) 大 阪 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 准 教 授 、松 村 真 宏 氏 の 開 発・公 開 し て い る フ リ ー の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ツ ー ル 。 使 用 テ キ ス ト は CSV 形 式 と す る 。 松 村 ・ 三 浦( 2009)に「 TTM は テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の「 前 処 理 」に 特 化 し た ソ フ ト ウ ェ ア で あ る た め 、本 格 的 な テ キ ス ト マ イ ニ ン グ を 行 う た め に は 他 の ソ フ ト ウ ェ ア を 組 み 合 わ せ る 必 要 が あ る 」と あ る よ う に 、基 本 的 に は テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の 前 処 理 を 行 う こ と を 目 的 と し て い る た め 、実 際 に 分 析 を 行 う と い う よ り は TTM で 集 計 し た ク ロ ス 表 を 利 用 し て 分 析 す る も の と し て 考 え た 方 が http://www.trueteller.net/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) http://www.textmining.jp/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 10 有 料 の ソ フ ト ウ ェ ア で あ る が 、 比 較 的 安 価 で 利 用 し や す い も の で あ っ た こ と 、 分析において十分に有用であることなどから、それぞれ本研究でも紹介するもの とする。 11 Graphical User Interface の 略 。 ウ ィ ン ド ウ 上 の ボ タ ン 等 を マ ウ ス で ダ ブ ル ク リックすることで搭載されている機能を使用できるなど、操作性に優れ、直感的 な操作が可能となる。 12 http://mtmr.jp/ttm/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 8 9. 12.
(22) 良 い 。ま た 、TTM を ダ ウ ン ロ ー ド す る 際 に は MeCab や CaboCha と い っ た 解 析器も同時にインストールする必要があるので、注意されたい。 TTM の 特 徴 と し て は 、形 態 素 解 析 に MeCab を 利 用 し 、タ グ 13 で 分 け た セ ク シ ョ ン ご と の 集 計 お よ び ク ロ ス 集 計 を 行 う こ と の で き る 点 や 、専 用 の テ キ ス ト フ ァ イ ル を 作 成 す る こ と で 、詳 細 設 定 時 に 任 意 の キ ー ワ ー ド( 専 門 用 語 や 特 別 な 複 合 語 な ど )を 指 定 し て カ ウ ン ト 、表 記 の 異 な る 同 義 の 語( 面 白 い 、お も し ろ い 、な ど )を 同 義 語 と し て 見 做 す 、不 要 な 語 を カ ウ ン ト し な い こ と の 設 定 が 可 能 な 点 で あ る 。ま た 係 り 受 け 解 析 用 に CaboCha も 搭 載 し て お り 、共 起 性 の 高 い 組 み 合 わ せ も カ ウ ン ト す る こ と が 可 能 で 、さ ら に 出 現 頻 度 / 出 現 件 数 の 下 限 も 設 定 す る こ と が で き る 。非 常 に 多 機 能 で 、比 較 的 汎 用 性 の 高 い ソ フ ト ウ ェ アだと言える。 集 計 を 行 う 機 能 に 特 化 し て い る た め 、入 力 フ ァ イ ル( 使 用 テ キ ス ト )も 出 力 フ ァ イ ル も CSV 形 式 14 の も の で あ る が 、 キ ー ワ ー ド フ ァ イ ル 、 同 義 語 フ ァ イ ル 、 不 要 語 フ ァ イ ル を そ れ ぞ れ 別 個 で 分 析 対 象 フ ァ イ ル 専 用 に TXT 形 式 の フ ァ イ ル で 作 成 し な け れ ば な ら な い た め 、一 つ の テ キ ス ト を 分 析 す る 際 に は 必 要 なファイルが増えがちになるという難点はある。 同 義 語 フ ァ イ ル は デ ー タ 内 の 表 記 の 統 一 の み な ら ず 、応 用 的 な 使 用 方 法 も 可 能 で あ る 。た と え ば 同 一 種 の 語 を 一 つ の カ テ ゴ リ に ま と め て し ま う こ と が で き る 。仮 に 日 本 文 学 の 作 家 五 名 を テ ー マ と し た 談 話 を 分 析 す る と し て 、作 品 名 に か か わ ら ず そ の 作 家 名 の み に 着 目 す る 場 合 、各 作 品 は 作 家 名 に 置 換 し て し ま え ば 良 い 。 テ キ ス ト エ デ ィ タ の TXT 形 式 と し て 、 作 家 名 を 各 行 の は じ め に 、 半 角 ス ペ ー ス を 挟 ん で 作 品 名 を そ れ ぞ れ 並 べ る 。こ う し て TTM に 読 み 込 ま せ て 分 析 す る 際 に 同 義 語 フ ァ イ ル に こ れ を 参 照 す れ ば 、作 品 名 は す べ て 各 々 の 作 家 名 と し て 認 識 さ れ カ ウ ン ト さ れ る 。単 純 に 表 記 を 統 一 す る だ け で な く 、一 度 に 複 数 の 置 換 的 な 動 作 が 可 能 と な る と い う こ と を 意 味 す る 。分 析 対 象 と な る テ キ ス ト 自 体 の 量 が 膨 大 で あ っ た 場 合 、手 間 を 省 く と い う 点 に お い て は 非 常 に 有 用 で あ る と 言 え る 。単 純 な 置 換 の 場 合 、一 つ ひ と つ 置 換 し て い か な け れ ば な ら な い が 、こ れ は 同 義 語 フ ァ イ ル を 一 つ 作 る だ け で あ と は 事 足 り る か ら で あ る 。置 13. テ キ ス ト デ ー タ に 付 与 さ れ る 情 報 。カ テ ゴ リ に 分 け る と き や 、単 に テ キ ス ト デ ータであることを示したいときなど、目的や場合によって分析者が自由に付けて 良い。 14 CSV 形 式 と は 「 カ ン マ 区 切 り ( Comma Separated Values) 」された形式を指 すものである。カンマで区切って作成すればテキストエディタなどのアプリケー シ ョ ン ソ フ ト で 作 成 す る こ と が 可 能 だ が 、 本 論 文 で 用 い る CSV 形 式 の フ ァ イ ル は す べ て Excel( Microsoft Office Excel) で 作 成 し た も の と す る 。 13.
(23) 図 2-5. ttm3:語 ×タ グ の ク ロ ス 集 計 ( 出 現 頻 度 ) の 出 力 結 果 例. 換 対 象 の 数 の 多 寡 に つ い て は 、分 析 対 象 と な る テ キ ス ト の 性 格 に よ る と こ ろ が 大 き い た め 、留 意 さ れ た い 。た と え ば 、イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 書 き 込 み な ど の 集 積 な ど は 、不 特 定 多 数 の 書 き 込 み で あ る 場 合 、表 記 の 統 一 に つ い て は ほ と ん ど 期待できない、といった特徴がある。 上 に 例 と し て 挙 げ て い る ク ロ ス 表 は 、 TTM の サ ン プ ル フ ァ イ ル で あ る 、 夏 目 漱 石 の『 坊 っ ち ゃ ん 』の テ キ ス ト フ ァ イ ル を 使 用 し た も の で あ る( 図 2-5)。 こ れ は 出 現 頻 度 の 高 い 語 と 、タ グ と し て 設 定 さ れ て い る 章 番 号 と を ク ロ ス 集 計 したもので、語別に、品詞、また品詞細分類も同時に行われている。 な お 、 同 氏 は 現 在 「 ExcelTTM 15 」 も 公 開 し て い る 。 こ ち ら は Excel 上 で 動 く TTM で 、出 力 結 果 は 普 通 の TTM を 起 動 さ せ た も の と 変 わ ら な い 。し か し 、 Excel の ワ ー ク シ ー ト に 分 析 用 テ キ ス ト を 置 い て 起 動 す る だ け で 基 本 的 な 処 理 は 完 結 す る た め 、 Excel の 使 用 に 慣 れ て い る 場 合 は 、 TTM よ り も こ ち ら を 利用する方が使い勝手が良いと思われる。 ○ KH Coder 16 樋 口 耕 一 氏( 立 命 館 大 学 産 業 社 会 学 部 現 代 社 会 学 科 )の 開 発 し た テ キ ス ト マ 15 16. http://mtmr.jp/excelttm/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) http://khc.sourceforge.net/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 14.
(24) 図 2-6. 図 2-7. KWIC コ ン コ ー ダ ン ス ( KH Coder). KWIC コ ン コ ー ダ ン ス の 文 書 表 示 ( KH Coder). イ ニ ン グ 用 の フ リ ー ソ フ ト で あ る 。 OS が Microsoft Windows の 場 合 、 Microsoft Office Excel が あ れ ば 他 の ソ フ ト ウ ェ ア は ダ ウ ン ロ ー ド を す る 必 要 は な い 。 使 用 テ キ ス ト は TXT 形 式 と す る 。 KH Coder の 特 徴 と し て は 、 KWIC 17 コ ン コ ー ダ ン ス が 可 能 で あ り 、 特 定 の 語 を 検 索 し 、か つ そ の 語 の 前 後 の 文 も 表 示 す る こ と が で き る 。こ れ を 行 う こ と で 、分 析 者 の 注 目 す る 語 の 前 後 に 現 れ る 別 の 語 や 文 な ど を 知 る こ と が 可 能 と な る。また、検索する語が動詞などのような活用形を有するものであった場合、 す べ て の 活 用 形 を そ の 語 と 認 識 し 、同 様 に 拾 い 上 げ る 。た と え ば 図 2-6 に 示 す ように、抽出語「言う」は、終止形あるいは連体形の「言う」だけではなく、 文 章 デ ー タ の 索 引 を 作 成 す る 方 法 の 一 つ ( keyword in context の 略 )。 検 索 効 率を高めるために、文章中から指定したキーワードに加えその前後の文脈も取り 出して索引を作る。 17. 15.
(25) 図 2-8. KWIC コ ン コ ー ダ ン ス の 文 書 表 示 ( KH Coder). 未 然 形「 言 わ 」や 連 用 形「 言 い 」な ど も 同 時 に 検 出 さ れ 、結 果 と し て 一 覧 表 示 さ れ る 。 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で は 、 KWIC コ ン コ ー ダ ン ス 単 体 の プ ロ グ ラ ム も 見 つ け る こ と が で き る が 、ソ フ ト の 一 機 能 と し て 存 在 す る 方 が よ ほ ど 使 い 勝 手 が良いと思われる。 KWIC コ ン コ ー ダ ン ス か ら だ け で も 多 く の こ と が み え て く る 。 た と え ば 検 索 し た 語 の 含 ま れ る 前 後 の 文 章 を 検 索 す る こ と が で き る( 文 脈 付 き 索 引 と も 呼 ば れ る )。 図 2-7 に 示 す よ う に 段 落 単 位 で 表 示 す る こ と も 、 ま た そ の 直 前 、 直 後 の 文 章 も 検 索 す る こ と が 可 能 と な る 。こ れ を 行 う こ と で 前 後 の 文 脈 を 読 み 取 ることも容易となる。 さ ら に コ ロ ケ ー シ ョ ン 統 計 を 行 う こ と で 、コ ン コ ー ダ ン ス の み で は 煩 雑 で あ っ た 、元 デ ー タ の 一 行 一 行 を 確 認 す る と い う 手 間 を 省 く こ と が で き る 。コ ロ ケ ー シ ョ ン 統 計 と は 、検 索 し た 語 の 前 後 に ど の よ う な 語 が 出 現 し て い た か を 集 計 す る 機 能 で あ り 、ま た そ の 前 後 の 位 置 関 係 も 併 せ て 表 示 さ れ る も の で あ る 。図 2-8 の 右 側 に あ る よ う に 、形 態 素 単 位 で 、対 象 語 の 左 右 1-5 に 別 の 抽 出 語 が 何 件 あ る か を 表 示 す る 。ま た 、そ れ ぞ れ 元 の 文 に あ た る こ と も で き る た め 、よ り 具体的な前後関係の把握も可能となる。. 16.
(26) ○ ト レ ン ド サ ー チ 2008 18 ト レ ン ド サ ー チ は SSRI 19( 株 式 会 社 社 会 情 報 サ ー ビ ス )が 開 発 、販 売 し て い る テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト で あ り 、 主 に FA( Free Answer: 自 由 回 答 ) の 分 析 を 目 的 と し て い る 。先 に 紹 介 し た ソ フ ト は ど ち ら も フ リ ー ソ フ ト で あ る が 、こ れ は 有 料 の ソ フ ト と な る 。ホ ー ム ペ ー ジ の 情 報 に よ れ ば 、一 般 企 業 な ど で は 市 場 調 査 や 医 療 情 報 研 究 、大 学 機 関 で は 医 療 福 祉 や 地 域 環 境 科 学 な ど の 分 野で利用されているとのことである。 基 本 的 に Microsoft Excel に ア ド オ ン し て 動 作 す る も の で あ る が 、関 連 商 品 で も 利 用 す る こ と の 可 能 な ソ フ ト ウ ェ ア で あ る 。 本 研 究 で は Microsoft Excel で 実 行 し た も の の み を 利 用 す る 。 使 用 テ キ ス ト は 特 に CSV 形 式 と す る 必 要 は ない。 ホ ー ム ペ ー ジ に は 主 要 な 機 能 と し て 、① キ ー ワ ー ド 抽 出 、② 解 析 、③ ビ ジ ュ ア ル 化 の 三 つ が 挙 げ ら れ て お り 、① ② に 関 し て は 他 の ソ フ ト と 機 能 的 に 大 き な 相 違 点 は な い 。 TTM は ① に 特 化 し た も の と 言 え る し 、 KH Coder は ② が 得 意 で あ る 。一 番 の 特 徴 と し て 挙 げ る と す れ ば 、や は り ③ の ビ ジ ュ ア ル 化 で あ ろ う 。 トレンドサーチで主に行うビジュアル化は共起ネットワーク図の作成であ る 。共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 図 と は 、語 同 士 を 線 で 結 ん で 形 成 す る 図 で 、選 択 さ れ た 語 同 士 の 共 起 関 係 ( つ な が り ) を 表 す も の で あ る ( 図 2-9)。 こ の ソ フ ト ウ ェ ア で は 、形 態 素 に 切 っ た 語( 複 合 語 な ど を 含 む )の こ と を ノ ー ド 、ノ ー ド を 結 ぶ 線 を エ ッ ジ と 呼 ぶ 。こ の ソ フ ト ウ ェ ア で は 、ノ ー ド 同 士 の 繋 が り や 関 連 度 の 強 さ の み な ら ず 、ノ ー ド 間 の 距 離 ま で 計 算 し 布 置 す る 。た だ し 、正 確 な 距 離 を 図 示 し た 場 合 、ノ ー ド の 多 く は 互 い に 重 な り あ っ て 見 え な く な っ て し ま う た め 便 宜 的 に ず ら す 事 は 多 い 。例 と し て 挙 げ て い る 図 2-8 も 可 視 化 の 都 合 上 、最 初 に布置された位置からはずらしている。 図 2-9 は ト レ ン ド サ ー チ 2008 購 入 時 に 添 付 さ れ て い る サ ン プ ル デ ー タ(「 A 社 」「 B 社 」「 C 社 」「 D 社 」 四 つ の メ ー カ ー の プ リ ン タ ー に 対 す る 意 識 調 査 事 例)を用いた共起ネットワーク図である。 こ こ で は 、「 A 社 」「 B 社 」 「C 社」 「 D 社 」を 四 隅 に 配 置 す る こ と で 、そ れ ぞ れの会社のプリンターに対するイメージ、評価をとらえることが可能となる。 本 節 の 初 め に 述 べ て い る こ と で は あ る が 、こ の 図 は ノ ー ド 間 の 距 離 も 含 め て 布 置 し て い る た め 、た と え ば「 A 社 」と「 コ ス ト パ フ ォ ー マ ン ス 」が 近 い こ と か ら 、「 A 社 の 製 品 は コ ス ト パ フ ォ ー マ ン ス に 関 す る 評 価 を 受 け て い る 」 と い う 18 19. http://software.ssri.co.jp/fuji/index.html( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) http://www.ssri.com/( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 17.
(27) 図 2-9. 共起ネットワーク図の作成(加工後). 解 釈 が 成 り 立 つ 。 ま た 、 線 の 太 さ も 関 連 度 の 強 さ を あ ら わ し て い る の で 、「 A 社 に 関 し て は 、女 性 の 回 答 が 多 く 、ま た プ リ ン タ ー で 印 刷 さ れ る も の は 奇 麗 に 見 え る 」と 解 釈 が で き る 。ち な み に こ の 図 に お け る ノ ー ド の 大 き さ や 形 、位 置 な ど は 分 析 者 自 身 で 変 え る こ と が で き る 。た だ し ノ ー ド 同 士 の 位 置 関 係 を 重 視 す る の で あ れ ば 、こ れ ら の 変 形 は 図 の 見 や す さ を 優 先 さ せ る 程 度 に 留 め て お く ことが重要である。 テ キ ス ト マ イ ニ ン グ は 分 析 元 が テ キ ス ト で あ る 分 、結 果 の 示 し 方 と し て 如 何 に 図 示 す る か と い っ た 点 が 重 要 で あ る 。上 に 挙 げ た よ う な 共 起 ネ ッ ト ワ ー ク 図 に は 一 目 で 複 数 の 情 報 を 得 ら れ る と い う 点 で 、テ キ ス ト の 分 析 に お い て 非 常 に 有 益 な も の と 考 え て 問 題 は な い 。ま た 、こ う い っ た 大 量 の デ ー タ を 一 度 に 図 示 す る こ と は 、棒 グ ラ フ や 円 グ ラ フ に は 不 可 能 で あ る 。一 つ の 図 に 同 時 に 多 く の 情報を有することだけでも、この図の有用性の高さが分かる。. 以 上 、テ キ ス ト マ イ ニ ン グ が ど う い っ た も の か 、ど の よ う な ソ フ ト ウ ェ ア を 使用するか等についてふれた。以降、実践例を示していく。. 18.
(28) 第3章 国会議事録を分析する. 3.1 はじめに:コーパスの検 索 と集 計 本 章 か ら 本 論 第 1 部 に な る 。第 1 部 で は 、人 々 の 自 由 記 述 の テ キ ス ト デ ー タ か ら 何 が 見 出 せ る の か に 主 眼 を 置 き 、実 際 の 発 話 や フ リ ー・コ メ ン ト の 集 積 を 対象として分析を進める。 本 章 、次 章 で は 、討 論 や 演 説 と い う 、公 の 場 で の 談 話 を 対 象 に そ の 傾 向 を 探 る 。こ こ で は 国 会 議 事 録( 本 会 議 )の テ キ ス ト 化 さ れ た も の を 一 つ の コ ー パ ス と 見 做 し 、検 索・分 析 を お こ な う 。本 章 で は テ キ ス ト マ イ ニ ン グ を 用 い な い が 、 題名に「コーパス」を有する本論文の導入的な章となる。 コ ー パ ス と い う 言 語 資 料 の 集 積 を 利 用 す る 場 合 、何 ら か の 目 的 や 意 図 を 持 っ て 、特 定 の 単 語( な い し は 文 字 列 )を 検 索 し 、そ の 用 例 を 収 集 す る 。そ し て そ れ を 集 計 し 、対 象 と な る コ ー パ ス に み ら れ る 傾 向 を 見 出 す 。こ こ で は 、そ れ に 従 い 、先 に 検 索 対 象 と な る 語 を 決 め て か ら 検 索 を お こ な う 。こ れ は 分 析 者 が 検 索 対 象 の 語 の 用 い ら れ 方 を 知 り た い と い う 目 的 が 先 に 立 つ も の で あ る 。順 序 を 逆 に し た 、つ ま り 形 態 素 解 析 を お こ な っ た の ち に 、頻 出 語 ま た は 特 徴 的 な 語 に 注目するといった方法は次章以降に譲ることとする。. 19.
(29) 3.2 国 会 議 事 録 のテキストデータ 前 川( 2013)に よ る と 、「 上 代 日 本 語 の よ う に 資 料 の 量 が 限 ら れ て い て 全 体 を 電 子 化 で き る 」も の を「 全 文 コ ー パ ス 」、 「現代日本語のように膨大な言語資 料 か ら 構 成 さ れ て い る 対 象 の 場 合 は 、全 体 を 有 限 の サ ン プ ル で 代 表 さ せ ざ る を え な い 」も の を「 サ ン プ ル コ ー パ ス 」で あ る と い う 。国 会 議 事 録 を コ ー パ ス と し て 扱 う 場 合 は 、国 会 で 交 わ さ れ る こ と ば を 一 つ の サ ン プ ル と し た サ ン プ ル コ ー パ ス と い う 位 置 づ け に な る だ ろ う 。国 会 会 議 録 を 対 象 と し た 研 究 に は 、総 合 的 な も の と し て 松 田 編 ( 2008) や 、 使 用 さ れ る オ ノ マ ト ペ に 注 目 し た 平 田 ・ 中 村 ・ 小 松 ・ 秋 田 ( 2013)、 ま た 形 容 詞 に 注 目 し た 中 島 ・ 吉 田 ・ 岸 江 ( 2014) な ど が あ る 。な お 、地 方 議 会 の 会 議 録 に 関 す る 研 究 も 進 め ら れ て お り 、木 村 ・ 渋 木・高 丸・乙 武・森( 2012)や 乙 武・渋 木・高 丸・木 村・森( 2013)、高 丸 ・ 乙 武 ・ 渋 木 ・ 木 村 ・ 森 ( 2013) な ど 、 こ の グ ル ー プ を 中 心 に 総 合 的 に 研 究 が おこなわれている。 さ て 、国 会 議 事 録 は 、随 時 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で 公 開 さ れ る テ キ ス ト デ ー タ の 一 つ と い う 側 面 を 持 っ て い る 。「 国 会 会 議 録 検 索 シ ス テ ム 1 」 で 公 開 さ れ 、「 選 択 閲 覧 」 で 実 際 の 文 章 の 形 式 を 閲 覧 で き 、「 簡 単 検 索 」 な い し は 「 詳 細 検 索 」 で 利 用 者 の 必 要 と す る 文 字 列 を 検 索 す る こ と が で き る 。し か し な が ら 、こ れ に は い く つ か の 問 題 点 が あ る 。基 本 的 に は 発 言 の ま ま 電 子 化 さ れ た も の で あ る が 、 記 録 に 残 っ て い る 第 1 回 ( 1947 年 ) よ り 半 世 紀 分 の デ ー タ は OCR( Optical Character Reader、 光 学 式 文 字 読 取 装 置 ) で 読 み 取 っ た も の が 電 子 化 さ れ て い る 。し か し そ の 際 の 文 字 の 認 識 率 は 100%で は な く 、誤 字 や 脱 字 も 少 な く な い。データ上の誤りの多さなどのデータの信頼性に対する疑問は、松田編 ( 2008)や 中 島・吉 田・岸 江( 2014)で 指 摘 さ れ て お り 、 「国会会議録検索シ ステム」を主軸にして、そのまま研究目的に利用するには多少の難点がある。 こ の 問 題 に 対 し て 松 田 編( 2008)で は OCR で 取 り 込 ん だ 画 像 に 立 ち 返 る こ と を推奨している。. 3.3. Sudachi KWIC Search (SKWICS) - Diet. 先 に 述 べ た よ う に「 国 会 会 議 録 検 索 シ ス テ ム 」を そ の ま ま 研 究 利 用 す る に は 多 少 の 難 が あ る と 判 断 し た 。 そ こ で 、 本 章 で は 中 島 ・ 吉 田 ・ 岸 江 ( 2014) で 用 い ら れ た Sudachi KWIC Search (SKWICS) - Diet 2 ( 以 下 、 SKWICS-Diet http://kokkai.ndl.go.jp/KENSAKU/swk_startup.html( 最 終 閲 覧 日:2015.1.15) http://uzu.ias.tokushima-u.ac.jp/staff/nakasima/skwics-diet/index.html( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 1 2. 20.
(30) と す る )を 主 に 利 用 す る 。こ ち ら で は 可 能 な 限 り 国 会 会 議 録 の テ キ ス ト デ ー タ はほぼ修正されているという。 SKWICS-Diet は 、中 島 浩 二 氏 の 作 成 し た 検 索 シ ス テ ム で あ る 。国 会 本 会 議 の テ キ ス ト デ ー タ が 第 1 回 1 号 か ら 第 180 回 16 号 ま で 収 め ら れ て い る 。検 索 効 率 を 高 め る た め に 、文 章 中 か ら 指 定 し た キ ー ワ ー ド に 加 え そ の 前 後 の 文 脈 も 取 り 出 し て 索 引 を 作 る と い う KWIC コ ン コ ー ダ ン ス を 用 い て 、 国 会 議 事 録 中 にみられる用語の意味と用法の傾向を見出す。. 3.4 国 会 にみられる「対 話 」 国 会 議 事 録 に 記 録 さ れ て い る こ と ば の 中 で 、本 章 で 焦 点 を 当 て る の は「 対 話」 と し た 。『 日 本 国 語 大 辞 典. 第二版』には対話の意味に「直接に向かい合って. 互 い に 話 を す る こ と 。 ま た 、 そ の 話 。 多 く は 二 人 の 場 合 に い う 。 対 談 。」 が 挙 げ ら れ て い る 。国 際 社 会 の 中 に あ る 政 治 に お い て は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、つ ま り「 対 話 」が 重 要 視 さ れ て 然 る べ き か と 判 断 し た た め 、本 章 で 焦 点 を 当 て る 語 を「対話」とした。 こ こ で 便 宜 的 に 対 比 さ せ る 語 と し て 、似 通 っ た 意 味 の「 話 し 合 い 」も 同 様 に 検 索 対 象 と し た 3。 ここで検索ボックスに入力したのは、それぞれ 対話:. 対 話 (?!し |す |せ ). 話し合い:. 話 し 合 い (?!、 )|話 合 い (?!、 )|は な し 合 い (?!、 ) |は な し あ い (?!、 ). と し た 。正 規 表 現 で は 、 「 A (?!B )」が「 後 続 す る 文 字 列 が B で は な い 場 合 の A に マ ッ チ 」、「 A |B 」 が「 A ま た は B 」 を あ ら わ す 。「 対 話 」「 話 し 合 い 」 の い ず れ も 名 詞 的 用 法 の み 抽 出 す る こ と を 目 的 と し て い る 。 な お 、「 話 し 合 い 」 に つ い て は 漢 字 仮 名 交 じ り の 表 記 の 多 様 さ が 存 在 す る た め 、複 数 の 表 記 を 検 索 対 象としている。 SKWICS-Diet は 国 会 の 第 1 回 か ら 第 180 回( 1947 年 ~ 2012 年 )の テ キ ス ト デ ー タ を 、衆 参 30 回 ず つ に 分 け て 検 索 で き る よ う に し て い る 4 。こ れ は 検 索 3. 対比させるのであれば類義語である「対談」が適当かと思われるが、ヒット数 が 「 対 話 」 2,960 件 に 対 し 、「 対 談 」 92 件 と 著 し く 差 が み ら れ た た め 、 本 章 で は 「 話 し 合 い 」 を 採 用 す る こ と と し た ( ヒ ッ ト 件 数 : 4,971 件 )。 4 30 回 ご と の 開 始 年( 召 集 年 )を 以 下 に 記 載 す る 。第 1 回:1947 年( 昭 和 22 年 ) 、 第 31 回:1958 年( 昭 和 33 年 )、第 61 回:1968 年( 昭 和 43 年 )、第 91 回:1979 年( 昭 和 54 年 )、第 121 回 : 1991 年( 平 成 3 年 )、第 151 回 : 2001 年( 平 成 13 年) 21.
(31) 1200. 1218. 1181. 945. 1000 1001. 724. 800. 736. 813 527. 600. 508. 400 200. 250. 2. 26. 1-30回. 31-60回. 0. 図 3-1. 61-90回. 91-120回. 対話. 話し合い. 121-150回. 151-180回. 「 対 話 」「 話 し 合 い 」 の 出 現 件 数. に か か る 処 理 時 間 と の 関 係 に よ る も の で あ る た め 、分 析 者 は 検 索 結 果 を 自 身 で 集 計 す る 必 要 が あ る 。 次 に 示 す 図 3-1 に つ い て も 、 た と え ば 「 1-30 回 」 に は 衆 参 そ れ ぞ れ で 検 索 さ れ た も の を 足 し 合 わ せ て い る (「 対 話 」 に つ い て は 衆 議 院 1 件 、 参 議 院 1 件 と な っ て い る )。 以 下 、 す べ て 同 様 の 作 業 を お こ な っ た 。 図 3-1 を 見 る と 、 「 対 話 」は「 1-30 回 」 「 31-60 回 」に は ほ と ん ど み ら れ な か っ た 語 で あ る こ と が 確 認 で き る 。そ れ ま で は「 話 し 合 い 」が よ く 用 い ら れ て い た よ う で あ る 。 少 な く と も 初 期 の 国 会 と い う 場 に お い て は 、「 対 話 」 と い う こ とばはさほど用いられるものではなかったということが分かる。 以 下 に 「 1-30 回 」 の 「 対 話 」 の 含 ま れ る 文 の 2 例 を 挙 げ る 。 ● 衆 議 院 、 第 1 回 ( 1947 年 ) 現 に ゲ ー テ と エ ツ ケ ル マ ン の 対 話 を 訳 し た 、す ぐ れ た ド イ ツ 文 学 者 龜 尾 英 四郎氏も死にました。 ● 参 議 院 、 第 22 回 ( 1955 年 ) 日 程 第 二 十 四 は 、国 鉄 の 駅 の 出 札 口 は 、現 在 各 種 各 様 で 、乗 車 券 購 入 の 際 、 乗 客 と 駅 員 と の 対 話 も 十 分 で き な い よ う な 装 置 が 多 い か ら 、音 声 が よ く 聞 えるような装置に改善してほしいという趣旨であります。 こ こ で 「 61-90 回 」 か ら 急 に 「 対 話 」 の 件 数 が 伸 び 、「 話 し 合 い 」 と の 立 場 22.
(32) を 逆 転 さ せ た よ う な 動 き が み え る が 、こ れ は 如 何 な る 理 由 に よ る も の で あ ろ う か 。 こ こ で 「 対 話 」 と の 共 起 性 の 高 い 語 に 注 目 し た い 。「 61-90 回 」 の 527 件 中 、「 対 話 と 協 調 」 と い う 文 字 列 が 223 件 抽 出 さ れ た ( 約 42.3%)。 こ れ は 、 第 66 代 総 理 大 臣 の 三 木 武 夫 ( 在 任 期 間 : 1974 年 12 月 9 日 - 1976 年 12 月 24 日)の政治方針によるものであろう。三木武夫氏は在任中の 5 回の所信表明 演 説 ・ 施 政 方 針 演 説 の 中 で 、 11 回 「 対 話 と 協 調 」 を 用 い た 。 特 に 1976 年 1 月 23 日 の 施 政 方 針 演 説 で は 、 7 回 用 い て い る 。 総 理 大 臣 の 政 治 方 針 に つ い て は 、本 人 が 述 べ る こ と も さ る こ と な が ら 、質 問 の 中 で 他 の 議 員 か ら 発 せ ら れ る こ と も 多 い 。 先 の 「 国 会 会 議 録 検 索 シ ス テ ム 」 を 援 用 し て 、 第 61 回 ~ 第 90 回 ( 1968 年 12 月 27 日 ~ 1979 年 12 月 11 日 ) の 間 に 三 木 氏 か ら 発 せ ら れ た 「 対 話 と 協 調 」は 42 件 し か 見 ら れ な い( 先 の 所 信 表 明 演 説 ・ 施 政 方 針 演 説 含 む )。 こ の こ と を 鑑 み る に 、 三 木 氏 以 外 の 人 物 が よ く 発 言 し た も の と 判 断 で き る。 以 上 の 事 実 か ら 、 三 木 氏 が 総 理 大 臣 に 就 任 し 、「 対 話 と 協 調 」 と い う 政 治 方 針 を 提 示 し た こ と が 、国 会 内 で「 対 話 」が さ か ん に 用 い ら れ る 契 機 に な っ た も の と 考 え ら れ る 。そ れ ま で よ く お こ な わ れ て い た「 話 し 合 い 」は 、そ の 流 れ に 押されて使用頻度を低くしていったものと思われる。. 3.5 おわりに 本 章 で は「 対 話 」を 対 象 に 、国 会 会 議 録 を サ ン プ ル コ ー パ ス と し て 検 索・集 計 を お こ な っ た 。 三 木 元 総 理 は 、「 対 話 」 と 「 協 調 」 の 二 つ が 特 に 求 め ら れ る 社会背景を背負っていたのではないかと推測される。 単 語 一 つ に 限 っ て も 、国 会 の 中 で の 流 行 、そ し て よ く 用 い ら れ る 語 と い う も の を 追 う こ と が で き る 。ど こ か の 時 点 で 急 激 に 出 現 頻 度 を 変 化 さ せ て い る 語 が あ れ ば 、何 か し ら の 要 因 が あ る 。総 理 大 臣 と い っ た 、注 目 を 浴 び ざ る を 得 な い 人 物 が そ の 要 因 に な る こ と は 少 な く な い 。そ の 人 物 が 有 す る キ ャ ッ チ フ レ ー ズ や よ く 発 す る こ と ば は 、国 会 議 員 も 国 民 も よ く 耳 に す る こ と と な る た め に 流 行 するのである。 次 章 は 、特 定 の 単 語 か ら 当 時 を 窺 う の で は な く 、反 対 に 特 定 の 人 物 の 発 言 か ら、各時代の社会情勢を探ることとしたい。. 23.
(33) 第4章 就任時所信表明演説から社会情勢を知る. 4.1 はじめに 本 章 で は 、典 型 的 な テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の 事 例 の 一 つ と し て 、日 本 の 内 閣 総 理 大 臣 の 就 任 時 所 信 表 明 演 説 の テ キ ス ト デ ー タ を 取 り 上 げ る 。国 会 議 事 録 を 対 象 に 、 総 合 的 に お こ な わ れ た 研 究 と し て は 松 田 編 ( 2008) に 詳 し く 、 前 章 2 節 に 挙 げ た 以 外 に も 、 鈴 木 ( 2012) の よ う に 政 治 テ キ ス ト に 対 す る 計 量 分 析 に つ い て ま と め た 研 究 も み ら れ る な ど 、政 治 に 関 わ る テ キ ス ト デ ー タ は 、分 析 対象として非常に注目されるものである。 こ こ で は 、長 ら く 崩 れ る こ と の な か っ た 自 由 民 主 党 政 権 が 民 主 党 へ と 移 っ た 2009 年 前 後 の 、 四 名 の 総 理 大 臣 の 所 信 表 明 演 説 の テ キ ス ト デ ー タ を 扱 う 。 こ れ ら を テ キ ス ト マ イ ニ ン グ す る こ と で 、政 権 交 代 期 当 時 の 日 本 の 社 会 情 勢 、ま た 世 界 と の 関 連 に つ い て 見 出 そ う と す る 試 み の 一 つ で あ る 。 金 ( 2009) で は 同 様 に 総 理 大 臣 の 所 信 表 明 演 説 を 対 象 と し た 分 析 を お こ な っ て い る が 、本 章 で は 、自 由 民 主 党・民 主 党 の 政 権 交 代 時 期 と い う 点 に 主 眼 を お い て 、こ の 四 名 の テキストを扱っている。 な お 、本 章 で は 最 初 の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ 的 分 析 の 一 例 と し て 、2 節 、3 節 で改めてここで使用するソフトや手法について簡単にまとめている。. 24.
(34) 4.2 テキストマイニングを行 う テ キ ス ト マ イ ニ ン グ を 行 う た め に は 、専 用 の ソ フ ト が 必 要 と な る 。テ キ スト の 「 形 態 素 解 析 」、 そ れ に よ っ て 得 ら れ た 数 量 化 さ れ た デ ー タ に 対 す る 「 統 計 処 理 」、 そ し て そ こ か ら 分 析 や 考 察 を 行 う こ と ま で が テ キ ス ト マ イ ニ ン グ の 一 連の流れであるが、そこに不可欠なソフトを簡単に以下に挙げる。. 4.2.1 解 析 器 英 語 な ど の よ う に 分 か ち 書 き で な い 日 本 語 の テ キ ス ト を 扱 う 場 合 に は 、形態 素 に 分 解 す る こ と が 必 須 で あ り 、そ れ ゆ え に テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト に は ど れも解析器が積まれている。フリーで公開されている形態素解析器には JUMAN、ChaSen( 茶 筌 )、MeCab( 和 布 蕪 )な ど が 、構 文 解 析 器 に は CaboCha や KNP 1 な ど が あ る 。こ れ ら は イ ン タ ー ネ ッ ト で ダ ウ ン ロ ー ド す る な ど し て 利 用 が 可 能 だ が 、有 料 の テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト の 解 析 器 は ど の よ う な も の を 用いているかは公開されていないことが多い。. 4.2.2 テキストマイニングソフト テキストマイニングソフトには上に挙げたような解析器を利用することで 形 態 素 解 析 を 行 う 。し か し 形 態 素 に 分 解 し た だ け で は 不 十 分 で 、そ の ま ま で は 単 な る 自 然 言 語 処 理 に 留 ま る 。そ こ か ら 統 計 処 理 を 行 う こ と で は じ め て テ キ ス ト マ イ ニ ン グ と 言 え る 。統 計 処 理 に 関 し て は ソ フ ト ウ ェ ア 自 身 の 機 能 で 、ま た 他の統計ソフトと連携することで成る。 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で 公 開 さ れ て い る テ キ ス ト マ イ ニ ン グ ソ フ ト に は TTM や KH Coder な ど が あ り 、こ れ ら は MeCab や ChaSen な ど の 形 態 素 解 析 器 、 CaboCha な ど の 構 文 解 析 器 と 連 携 し て 作 動 す る 。 統 計 処 理 と し て TTM は 語 や タ グ 、ま た テ キ ス ト の 各 組 み 合 わ せ で ク ロ ス 表 を 作 成 す る 、KH Coder は 語 の 集 計 か ら 散 布 図 の 作 成 、ま た 対 応 分 析 な ど も 行 う こ と が 、そ れ ぞ れ 可 能 で あ る。必要に応じてそれぞれのソフトを使い分けることが望ましい。. 4.3 分 析 方 法 4.3.1 使 用 ソフトウェア 分析に使用するフリーのテキストマイニングソフトは語の集計を主眼に置 き TTM を 、 統 計 処 理 に 関 し て は エ ク セ ル 統 計 2008( 株 式 会 社. 1. 社会情報サ. http://nlp.ist.i.kyoto-u.ac.jp/index.php?KNP( 最 終 閲 覧 日 : 2015.1.15) 25.
(35) ー ビ ス )を 用 い て 対 応 分 析 を 行 う こ と と す る 。加 え て ネ ッ ト ワ ー ク 図 作 成 の た め に ト レ ン ド サ ー チ 2008 も 利 用 す る 。. 4.3.2 対 応 分 析 1960 年 代 に フ ラ ン ス の ベ ン ゼ ク リ に よ っ て 提 案 さ れ た も の で 、 数 理 的 に は 数 量 化 Ⅲ 類 と 同 様 の 手 法 で 、ま た コ レ ス ポ ン デ ン ス 分 析 と も い う 。名 義 変 数 や 順序変数など質的な変数を集計したクロス集計表をもとにして次元縮約を行 う 手 法 で 、多 変 量 解 析 の 一 つ で あ る 。結 果 と し て 、類 似 し た 項 目( 表 側 )同 士 の距離と、類似した変数(表頭)同士の距離を同時に算出することができる。 これら得られた座標データからマップを作成することで視覚化される。 分 析 に 際 し て 散 布 図 を 作 成 す る が 、軸 そ れ ぞ れ に つ い て 語 同 士 の 相 関 関 係 を 最 大 に す る と い う こ と で 、図 の 見 方 と し て は「 似 た 傾 向 の も の が 近 く に 布 置 さ れ る 」こ と を 念 頭 に 置 い て 見 る こ と が 基 本 と な る 。こ こ で 言 う「 似 る 」と は“ 回 答 の 傾 向 ( パ タ ー ン )” で あ っ て “ 語 の 意 味 の 傾 向 ” で は な い 。 辞 書 的 意 味 が よ く 似 た 二 つ の 語 が あ っ た と し て 、そ れ ら の 意 味 が ど れ だ け 似 て い よ う と も 回 答 の さ れ 方 が ま っ た く 異 な る の で あ れ ば 、離 れ て 布 置 さ れ る 。ま た そ の こ と か ら、 「 特 徴 的 な も の は 他 の 語 か ら 離 れ て 布 置 さ れ る 」こ と 、 「全体的に同じよう な 回 答 傾 向 に あ る も の( 回 答 数 の 多 い も の )は 原 点 付 近 に 布 置 さ れ る 」こ と が 言 え る 。た だ し こ れ ら は あ く ま で も 基 本 的 な 前 提 で あ っ て 、常 に 適 用 さ れ る も のではないことを注意されたい。. 4.4 分 析 4.4.1 分 析 対 象 例として日本の過去四代の内閣総理大臣の就任時の所信演説表明の分析を 行う。対象とするのは、 ・ 第 91 代 内 閣 総 理 大 臣 : 福 田 康 夫 2. (自由民主党総裁). ・ 第 92 代 内 閣 総 理 大 臣 : 麻 生 太 郎 3. (自由民主党総裁). ・ 第 93 代 内 閣 総 理 大 臣 : 鳩 山 由 紀 夫 4. (民主党代表). ・ 第 94 代 内 閣 総 理 大 臣 : 菅 直 人 5. (民主党代表). 以 上 四 名 の 所 信 演 説 表 明 の 原 文 で あ る 。 首 相 官 邸 の ホ ー ム ペ ー ジ 6に 公 開 さ れ. 2 3 4 5. 在 任 期 間 : 2007 在 任 期 間 : 2008 在 任 期 間 : 2009 在 任 期 間 : 2010. 年 年 年 年. 9 9 9 6. 月 月 月 月. 26 日 -2008 年 9 月 24 日 24 日 -2009 年 9 月 16 日 16 日 -2010 年 6 月 8 日 8 日 -2011 年 9 月 2 日 26.
関連したドキュメント
管の穴(bore)として不可欠な部分を形成しないもの(例えば、壁の管を単に固定し又は支持す
7208.37--厚さが 4.75 ミリメートル以上 10 ミリメートル以下のもの 7208.38--厚さが3ミリメートル以上 4.75 ミリメートル未満のもの
9 40.01 項から 40.03 項まで、40.05 項及び 40.08
一次製品に関連する第1節において、39.01 項から 39.11 項までの物品は化学合成によって得 られ、また 39.12 項又は
タンチョウ Grus japonensis (Linnaeus) VU 迷鳥 チシマシギ Calidris ptilocnemis (Coues) DD 迷鳥 アカアシシギ Tringa totanus (Gunnerus) VU 繁殖無
類型Ⅰ 類型Ⅱ 類型Ⅲ 類型Ⅳ 類型Ⅴ. 建物敷地舗装面
2 第 85.01 項から第 85.04 項までには、第 85.11 項、第 85.12 項又は第 85.40 項から第 85.42
部分品の所属に関する一般的規定(16 部の総説参照)によりその所属を決定する場合を除くほ か、この項には、84.07 項又は