国立歴史民俗博物館研究報告 第215集 2019年2月
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宮城県大崎市鬼首地区の開発と 契約講による資源管理の展開
Development of Onikobe Area
and Changes in Resource Management by Keiyakukou
ITO Sachio, SHIBASAKI Shigemitsu, TOYAMA Keisuke, FUJITA Katsuaki and TAKANORyo
伊藤幸男・柴崎茂光・遠山圭佑・
藤田克章・高野 涼
はじめに
❶鬼首地区の山村としての特徴と契約講
❷鬼首地区の地域開発の展開
❸契約講による資源管理の展開 おわりに
[論文要旨]
本稿の課題は,宮城県大崎市鬼首地区を事例に,観光等の地域開発によって慣行的組織である契 約講がどのような影響を受けたのか,またそれによって地域資源管理がいかに展開したのかについて明 らかにすることである。戦前の鬼首地区は農業生産を補う現金収入を目的とした馬産がおこなわれ,広 大な牧野が維持されてきた。この牧野を管理してきたのが,各集落の慣行的組織の「契約講」である。
戦後,次の 2 つの出来事により牧野管理における契約講の役割が大きく変化していく。1 つは 1968 年(昭和 43 年)に開設された町営牧場で,各集落の契約講の牧野における放牧頭数を減少させ,
植林がおこなわれるなど他の利用へと転換するきっかけとなった。2 つめは 1970 年代以降におこ なわれたリゾート開発である。開発対象地域となった契約講のうち,小向地区は牧野のほとんどを 売却し,原地区では賃貸するなど対応が異なった。しかし,いずれも講員が周年的に土地を利用す る機会は減少していった。リゾート開発の影響を受けなかった軍沢契約講では,高原野菜団地を造 成し講員の生計を支えたが,集落住民の減少と高齢化により利用者は減少した。牧野管理の重要な 共同作業である「野火入れ」は,原地区と軍沢地区の 2 カ所のみとなっているが,牧野を維持する 必要性が失われつつあり,地域の存続と関わって地域資源管理をいかに方向付けるのかが問われる 転換期にある。こうした利用の変化から,契約講の役割は土地利用の管理から,土地の権利関係の 保全へと変化した。
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