人に優しくあるための信頼性工学
杉 本 大,宮 本 秀 範
機器が人に優しく,頼りにされる存在になるためには確かな信頼 性と性能を兼ね備えていなければならない.技術開発の進化は加 速度的に多くの新技術を誕生させ社会を豊かにする.一方,それ らは新たな信頼性課題の起源でもあった.これらの課題を克服す るサイクルを繰り返すことで,製品はより高い信頼性を獲得して
きた.無休で安定な動作が必然とされるようになった現代では,
システムがひとたび停止すると,政治経済までを巻き込む問題と なる.機器が重要な役割を担うようになればなるほど重要になる 信頼性を半導体を 1 つの切り口として,信頼性とは何かから,課 題解決までのアプローチをいくつかの具体例とともに解説する.
1. まえがき
近年,システムが社会的に重要な役割を担うことの増加に 伴い信頼性の欠如が社会問題へ直結した報道を目にすること も多いが,諸氏は信頼性という言葉に何を思い浮かべるであ ろうか.無故障,再現性,確実性,安定性などさまざまな意 見が聞こえそうであるが,どれも,人から見た際の “頼りにな る” ではないだろうか.英語の reliability もrely(頼れる)か らきていることを見ても万国共通の概念のようである.この信 頼性を JIS では「アイテムが与えられた条件の下で,与えら れた期間,要求機能を遂行できる能力」と定義している.こ こで注目したいのは与えられた期間という時間概念が含まれる ことである.つまり,与えられた期間が 10 年であるならば 10 年以上頼りになる存在でなければならない.デバイスも時間と ともに特性が変化する,それは劣化とも呼ばれ,多くの技術 によって抑制され,より長い時間の性能維持を実現してきた.
近年,半導体の高機能,高性能化が進み,また車載をは じめとした故障による社会的影響や損害が年々増加する傾向 がある
6)
.このことは,機器,つまり機器を構成する半導体一 つ一つにより高い信頼性が要求されることを意味する.半導 体は 1 つの機器に数多く使用され,機器の主機能を担うこと も多く,半導体の信頼性は機器の信頼性そのものとなる.今 回,私たちが高い信頼性性能に環境性能などの人に優しくあ るための性質を兼ね備えた「テクノロジーの力で人に感動を,社会に豊かさをもたらす」デバイスの実現への取り組みを応 用物理との関わりとともに考えていきたい.
2. 信頼性が社会に与える影響
車載,医療,インフラ機器をはじめとした故障による社会的 影響,損害が大きな分野において,その管理が “人” から
“システム” へ移行している.その重要な機能を担うシステム が社会へ年を追うごとに浸透していることが,信頼性問題を
鮮明にしている.この傾向は今後も継続すると推定され,並 行して信頼性への要求も厳しいものになることは明白である.
現在のシステムの多くはハードウェアとソフトウェアで形成さ れハードウェアの大部分は半導体が機能を担っている.つまり 機器の機能を担う半導体部品一つ一つにも,今後さらに高い 信頼性が要求され続けることを意味している.
これら信頼性が社会に与える影響を考察するために,機器 に課せられる環境や背景の変化を整理したい.前述のとおり,
システムやデバイスは人々の暮らしを支え,社会的に,より重 要な役割を担うようになってきた.社会的に重要なシステムは システムが担う領域の拡大に従いその規模は増大し,グロー バル対応や顧客の多様性を満たす 24 時間連続稼働のシステ ムを一般化した.仮に技術的難易度は不変で信頼性の係数 を同一とするならば,信頼度は稼働時間,規模の大きさと負 相関となる.
3. 故障の性質
信頼性構築では,最初に故障の性質を見極める必要があ る.そこで,最初に故障分布の種類と性質について触れてお きたい.信頼性とは「与えられた期間,要求機能を遂行でき る能力」と定義されていると記したが,この与えられた期間の どの時間的位置で故障が発生するかによって信頼性構築のア プローチが大きく異なる.
一般的に瞬間故障確率と時間の関係を図にすると浴槽の 形に似ていることからバスタブ曲線と呼ばれることもある(図
1).瞬間故障確率が時間とともに減少する初期故障領域,
増加する摩耗故障領域など,故障の発生した時間的位置に 加え,その故障が時間とともに減少,または増加するなどの 時間依存性を加味し初期故障,摩耗故障などの分類を確定 する必要がある.
このような故障分布の検討に適している分布としてワイブル
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 品質・環境部門 〒 243-0014 厚木市旭町 4-14-1. 分類番号 0.5,12.6
e-mail: [email protected]
Reliability technology to be friendly to people. Dai SUGIMOTO and Hidenori MIYAMOTO.
Quality And Environmental Division Sony Semiconductor Solutions Corporation Japan (4-14-1 Asahi-cho, Atsugi 243-0014)
奇
総合報告
分布(Weibull distribution)があり
13,26)
,信頼性構築では頻 繁に利用される.ワイブル分布は連続確率分布の 1 つで半導 体の信頼性検討にも適しており,下式で表される.f ( ) ( )
:形状パラメータ
:尺度パラメータ
ワイブル分布を用いた検討手法はワイブル解析とも呼ばれ,
寿命推定をはじめとした信頼性構築に広く利用されている.
展開過程は省略するが下式は時間 での瞬間故障率 を 求めるものである.形状パラメータ が,その後の故障の発 生傾向を示していることが分かる.
初期故障は が 1 未満の値を取り,逆に摩耗故障は 1 を 超えた値となる.
初期故障モード( 1)の故障は製造時に内在する問題 を原因とする場合が多く,時間とともに瞬間故障確率は減少 傾向を示し,初期故障ではプロセスマージンの拡大や製造管 理(装置,製造環境,材料)が信頼性構築の主な手段とな る.また,この故障モードの時間とともに故障確率が減少する 性質を利用し製造工程内で一定時間稼働させ不良品を取り 除くこと(Screening)で市場故障率を下げた半導体を供給 できる.ただし,顕著な瞬間故障確率の時間的低下を示さな い故障モードでは十分なスクリーニング効果が得られず,市場 寿命を縮めるリスクがあり,慎重な検討が必要である.
一方,与えられた期間よりも短い時間で摩耗故障モード
( 1)の故障が検出された場合は,動作条件の緩和や素 子の根本的な改善を行うことになる.
このように,故障の性質を正しく把握し,適切な施策を講じ ることは,完成度の高い製品開発の実現には欠かせない.
4. 難易度の上がる信頼性構築
前章で述べた稼働時間と半導体規模の負の相関を信頼度 を用いて述べる.私たちは通常,何年で故障した,何年持っ たという会話をすることが多いが,信頼性では総動作時間で 議論される.
信頼度は JIS において「与えられた条件の下で,時間区
間( 1, 2)に対して,要求どおりに機能を遂行できる確率」
と定義されている.
つまり,信頼度とは,ある時間 まで故障なく正常に機能す る確率を示す.
n 個のデバイスを同一条件で稼働させた場合,ある時間 t を経過するまでに発生した故障数が
( )
個であるならば,下 式で表される信頼度( )
は時間とともに低下する.厳密には時間経過により単位時間(区間)当たりの故障発 生確率が変化するため,故障密度関数を加味すべきもので 単純計算では求めることはできない.しかし概念的には稼働 時間 8h/day,15 年の寿命を有した半導体は 24h/day で稼働 させ同等な寿命に設計するならば,約 3 倍の寿命を持つ信頼 性設計が必要になる.これは従来の使用条件(8h/day)換 算で 50 年近い寿命を達成しなければならないと言える.
次に回路規模と信頼性の関係であるが,こちらも動作時間 での説明と同様に総配線長,ゲート面積,絶縁距離,構造,
材料,最小パターン寸法など多くのファクターが複雑に影響す るため,関係式は非常に複雑になる
9)
.これらのファクターは基礎特性と呼ばれ,製造に用いる半 導体プロセス(トランジスタ,配線などの基本ルール)ごとに 異なる特性を持ち,規模の比による単純計算の比較は困難で あるものの概念的理解を目的とするならば,ワイブル分布によ る解析で著名な最弱リンクモデルを用いて説明することができ る.
最弱リンクモデルは鎖モデルとも呼ばれ,システムを形成す る構成要素の中で最も弱い(寿命が短い)環(Link)がシス テム全体の寿命を決定するという考え方である(図
2) 21)
.同 様の性質を持つ半導体においても寿命を効果的に分析できる 寿命検討に欠かすことができない統計的解析の 1 つである.ここで n 個の環(Link: ・・・ )により構成される鎖 の信頼度 は個々の環の信頼度を とすれば次の関係が 成立する.
・・・
鎖の環の数が 1 つの環の n 倍になれば鎖(システム)が 内在する欠陥数もn 倍となり,故障確率は n 倍,寿命は 1/n となる.
ここで,1 つの半導体の素子数を環の数と仮定し考えるな らば,1990 年ごろに数十万個のトランジスタで構成されてい
偶
図
1
バスタブ曲線の概念図.図
2
鎖モデルの概念図.故障確率
故障確率が時間とともに減少 故障確率が時間とともに増加
時間 ( )
初期故障領域 摩耗故障領域
稼働開始 寿命(耐用時間)
F
L
1L
2L
3・・・ L
た IC は 2020 年には数百億個のトランジスタで構成される MPU,GPU となり回路規模は実に 10
6
倍へと肥大化した(図
3).特に部分的交換ができない非修理系に属する半導
体は集積化による信頼性リスクを強く受けるが,規模に従い信 頼性が 1/10
6
に低下していることはなく,どれほど多くの技術 的課題を克服し現在の半導体の信頼性が成り立っているか想 像はたやすい.イメージセンサにおいても1990 年ごろに約 40 万個であった 画素は 2020 年には 3000 万画素を超えている.
さらに光電変換を担う PD(Photodiode)と増幅部,光電 変換された情報を処理するロジック,これらを一時的に蓄える メモリなどを積層した 3D 構造で規模と機能を拡大している.
このように,半導体は動作速度,感度などの性能向上,周辺 デバイスの機能を取り込む機能向上を繰り返し進化してきた が,機能・規模に伴って著しい信頼性の低下が引き起こされ てはおらず,むしろ信頼性は向上している.
この事実は,機能の進化と並行して信頼性構築も革新的進 化を遂げている証とも言える.
本章の最後に半導体の動作速度についても触れておきた い.これまで述べた動作時間,回路規模と狭義では視点が 異なるものの動作速度の向上は過去に許容されていた劣化を 許容しなくなった.これは回路規模や総動作時間に匹敵する 信頼性課題である.このような動作速度や後述する閾しきい値変動 に関する故障は遅延故障と呼ばれ,回路の分断や短絡に類 する縮退故障と大別される.これらの故障については次章で 述べる.
5. 半導体の故障
半導体の長寿命化,高機能化,微細化は信頼性との戦い でもある.
半導体の故障には多くの原因が存在するが,信頼性を考え るうえで,近年の高速,大規模半導体で故障の多くを占める 絶縁膜故障を例に信頼性構築の変遷と併せて説明する
30)
. 高機能化は微細化とトランジスタの性能向上(動作速度の向 上・低消費電力)を要求し,これを満たすための絶縁膜の 薄膜化やトランジスタの微細化(図4)は素子に加わる電界
の大幅な増加へとつながった.この電界の増加が絶縁膜故障 が故障全体の占有率を高める背景にある.
絶縁膜を起因とする摩耗故障は TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown),NBTI(Negative Bias Temperature Instability),HCI(Hot Carrier Injection)が 支 配 的 で あ る
29)
.また,近 年の 最 先 端デ バイスでは PBTI(Positive BTI)も同様に無視できなくなっている.絶縁膜の寿命検討では,絶縁膜破壊時間( )で検討さ れることが多い.旧来,絶縁膜の劣化モデルには絶縁膜に加 わる電界のみに律速し化学反応則に基づく下式の E モデル
・ ・
およびアノードホールインジェクションモデルに代表される絶縁 膜に注入されるキャリヤにより劣化が進行すると考える 1/ モ デル
・ ) がある.
これらのモデルは近年,一部の電力系デバイスで用いら れ,小電力デバイスに類するシステム LSI では使用されなく なっている.しかし,電界の増加が長寿命化の大きな壁にな ることを如実に表現できる.
システム LSI は,これらの電界抑制手段として使用環境,
例えば動作電圧の低減などの施策も行われるようになっていっ た.動作電圧の低減と更なる絶縁膜の薄膜化は絶縁膜劣化 に水素乖かい離りという新たな劣化モデルを必要とするようになった.
これは power-law モデルと呼ばれ下式で表される
28)
.このモデルは電圧加速係数が電圧依存性を示す.言いか えれば加速試験(高い電圧)で求めた加速係数は,実使用 領域である低電圧側では非常に大きな値に変化し,加速試験 の結果を単純に利用することはできない.モデル式から見て 取れるように係数 が正確に取得できなければ加速係数の大 きさに比例し,実使用領域の寿命見積もりを大きく誤るリスク が高くなる.では,正確な係数 を求めればよいと思われる
奇
図
3
集積回路に使用されるトランジスタ数の変遷26). 図4
半導体微細化の変遷27).©2019 TSMC, Ltd
©2019 TSMC, Ltd
©2019 TSMC, Ltd TSMC Property
TSMC Property TSMC Property 4 4
Standard cell inverter Standard cell inverter Standard cell inverter High density SRAM High density SRAM High density SRAM Logic gates Logic gates Logic gates Transistor density (microprocessors) Transistor density (microprocessors) Transistor density (microprocessors) 104
104 104
103 103 103
102 102 102
101 101 101
100 100 100
10−1 10−1 10−1
10−2 10−2 10−2
10−3 10−3 10−3 1970 1970
1970 197519751975 198019801980 198519851985 199019901990 199519951995 200020002000 200520052005 201020102010 201520152015 202020202020
Relative densityRelative densityRelative density
Year Year Year
DENSITY: A NECESSARY ATTRIBUTE DENSITY: A NECESSARY ATTRIBUTE DENSITY: A NECESSARY ATTRIBUTE MOOREʼS LAW IS WELL AND ALIVE MOOREʼS LAW IS WELL AND ALIVE MOOREʼS LAW IS WELL AND ALIVE
PP: poly pitch (nm) MP: dense metal pitch (nm) CFET: Complementary FET Nanosheets
Nanosheets
Nanosheets ForksheetsForksheetsForksheets
CFET CFET CFET
2D Atomic channels 2D Atomic channels 2D Atomic channels Top device
Top device Top device
Bottom device Bottom device Bottom device 2 nm
PP: 42-45, MP: 20-22 2 nm PP: 42-45, MP: 20-22
2 nm PP: 42-45, MP: 20-22
A14 PP: 40-44, MP: 17-19
A14 PP: 40-44, MP: 17-19
A14 PP: 40-44, MP: 17-19
A10 PP: 38-42, MP: 15-17
A10 PP: 38-42, MP: 15-17
A10 PP: 38-42, MP: 15-17
A7 and beyond PP: 36-40, MP: 13-15
A7 and beyond PP: 36-40, MP: 13-15
A7 and beyond PP: 36-40, MP: 13-15 Industry
timeline
EUV 4th Gen EUV 5th Gen
Multi-patterning hNA EUV +
2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032
かもしれないが, を求めるためには常用領域に近い低い電 圧のデータが必要になる.低い電圧領域では十分な加速が行 えず,非常に長い信頼性試験時間を余儀なくされる.
このような状況は TDDB に限ったことではなく,信頼性を高 めれば寿命は延び試験時間は長期化する
7)
.また技術の進化 とともに新たな故障モデルが出現すれば,詳細な試験が必要 になる.しかし,信頼性試験に費やせる時間にもリソースにも限りが ある.労して信頼性向上施策を講じても効果検証を行う加速 試験が不適切であれば正しい結果は得られない,また長時間 の試験時間を要しては,開発は遅れ競争力を失う
2)
.信頼性構築は製品自体の信頼性向上に目が向きがちであ るが,同時に故障を正しく見極め
11)
,劣化メカニズムに従っ た,より精度が高く,より加速性の高い信頼性試験技術の開 発も信頼性工学の役割と言える.これまでもステップストレスや複合ストレスなどをはじめとする 劣化メカニズムに適した高加速試験方法が開発されてきたこと も,ユーザが実感しない信頼性構築の一つである.
次に NBTI であるが,NBTI は負ゲートへの電圧印加と温 度影響により,P-MOSFET の閾値電圧( )が負方向へ変 動する現象である.この現象は,以前から指摘されていた課 題ではあったが従来は劣化を加味した回路設計で寿命を確保 していた.
回路設計で課題の回避と並行して本質的な改善が行われ てきたことは言うまでもないが,素子サイズの縮小,動作電圧 の低減,動作速度の高速化は,僅かな劣化でも回路的に致 命的な影響を与えるようになった.
NBTI については複数の要因が関与し択一的で普遍的な劣 化モデルは提唱されていないものの,ゲート絶縁膜中の水素 密度変化と水素の初期界面トラップ密度の影響を強く受け,ト ランジスタの閾値電圧が変動するという考え方
24)
が一般的で ある.これらの変化は微視的であるが,半導体の動作に対す る影響は大きい.NBTI へ水素が関与するとして提唱されているモデル図を図
5
に示す.このような閾値電圧の変化は,信号の伝達速度を遅延さ せ,正規の速度で機能できないなどの症状を発生させるため 高速動作,アナログ動作の半導体では特に重要な問題であ る.これまで終端の処理など多くの施策が講じられてきている ものの同一の故障と分類される故障でも絶縁材料の変化など により劣化メカニズムは変化し,寿命推定のモデルも同様に変 化する.
6. 信頼性と故障解析
故障解析は電気解析・物理解析のうえに成り立ってきた.
地道ではあるが解析により原因を究明し対策を繰り返すことで 現在の信頼性が築かれており,故障解析は信頼性構築に欠 かすことができない.至極当然のように聞こえるが JIS では故
障解析を「アイテムの潜在的または顕在的な故障のメカニズ ム,発生率および故障の影響を検討し,是正処置を決定する ための系統的な調査研究」と定義している.
故障解析と言えば市場からの故障返品や製造工程内で検 出された故障品,不良品の解析,つまり事後解析を思い浮 かべることが多いと推察する.もちろん事後解析は非常に重 要であるが,ここで特筆すべきは潜在的な故障解析である.
潜在的な故障解析は一見正常に機能しているのであるから,
どの部位の何を解析するのか疑問に思われるかもしれない.
この事前解析には FTA(Fault Tree Analysis)等の過去の資 産を活用するものをはじめ,統計的分析,数量的分析,シ ミュレーション技術などを用い信頼性リスクの高い部位を抽出し
解析し兆候を見極める.
解析により判明したリスクが許容できないと判断されれば対 策を講じ,市場故障を未然に防ぐ.この未然防止に直結する 事前解析は,先手であり攻めの信頼性構築と言え,信頼され る製品開発には事後解析と等しく欠かせない活動である.
半導体の信頼性向上に顕在的,潜在的故障解析が重要と 述べたが,ここでは解析で明らかになる「原因」の言葉の扱 いについて述べる.
故障解析では,故障原因から直接,故障の真因が確定す る場合もあるが,摩耗故障に類する故障の場合は,必ずしも 故障原因 故障の真因と限らない.
ここで,「故障原因」と「故障の真因」の言葉の使い分け を説明したい.故障原因は機能の喪失・欠落している症状を もたらす原因であり,例えば電路を絶たれ出力が得られない 故障の場合,配線の断線が故障原因となる.一方,故障の 真因は「配線の断線はエレクトロマイグレーションにより引き起 こされた,その原因は配線への電流密度過多である」となる.
この根本的原因を真因と記載させていただき,信頼性構築で は故障現象に至る過程を含む「真因」を重視する.
偶
図
5
NBTI の劣化モデル図24).+
+
+
Distributed timeconstants Distributed timeconstants
2ʼ
1ʼ
2 1
Distributed timeconstants
Charge exchange
with substrate
Charge exchange substrate with Structural
relaxation
Structural relaxation
Slow
Fast Fast Slow
Reverse recovery Charge pumping
Slow Fast Defect creation
Charge changes Defect annealing
Positive metastable
Metastable neutral
Positive stable Neutral
stable
前述の例で述べるならば,故障解析から得られる情報は劣 化に至った姿(断線),または劣化進行過程(高抵抗)の姿 である.これらの情報を点とするならば,点から得られた情報 を基に,暴露されていた温度・湿度や電圧などの環境要因を 加味し物理・化学的現象として劣化モデルの推定を行う.
推定された劣化メカニズムの進行を抑制,遅延させる技術 を施し,施策を講じたあとの劣化状況を故障解析により,推 定劣化モデルの確定,対策の効果検証が行われる
10)
.このように劣化メカニズムに対する施策の有効性検証等に おいても故障解析は欠くことができない重要な信頼性構築の プロセスである.
次に電気的解析・物理的解析のそれぞれについて述べる.
電気的解析には目的に従い比較的小規模なアナライザ,大 規模な電気特性測定を可能とする半導体測定装置,電子顕 微鏡,光学顕微鏡,レーザー局所加熱装置などが単独,ま たは複合して用いられる.電気解析に電子顕微鏡や光学顕 微鏡を用いる主な理由は,電子顕微鏡ではマイクロプローブ
(測定端子)を接触させる際の位置調整などに利用することは もちろん,半導体測定装置と組み合わせビームに対する反射 電子量差をコントラストで捉えるなどの,電位測定などにも利 用される.また光学顕微鏡ではキャリヤとホールの結合時に生 じるルミネセンス(可視光外)を観察することでトランジスタの 電気的動作の確認を行う.このように電気的解析,物理的解 析などと呼ばれるものの,その解析技術は電気・電子工学,
物理学などを複合し応用したものであり,学術分野と一致して いるものではなく,得るべき情報の種類で呼び名が異なってい ると言える.
次に非常に小さな単独のトランジスタ,配線などの素子単 位の電気特性測定事例を紹介する.測定器はアナライザを用 いた静特性,動特性の電気的解析になり,測定自体に特異 性はない.
素子単位の解析では,対象が数十 nm 単位であり,表面 が絶縁膜で覆われているため,最初にイオンビームなどを用 いて導通面を露出させる.その後,極めて微細なプローブを 用いてプロービングされるが,このプローブの位置調整も SEM 画像を観察しながら行われる(図
6).
前事例は SEM 画像を基にプロービングを行う手法である が,測 定 箇 所 に 従 い 原 子 間 力 顕 微 鏡(Atomic Force Microscope: AFM)を利用したプロービングも行われる(図
7).AFM はカンチレバーを試料表面に接触させながら走査し
試料表面の変位量から画像を取得する.この情報を基にプ ロービングが行われる.単なるトランジスタの電気測定と思わ れるかもしれないが,集積回路の解析には極めて繊細で緻密 な事前準備が必要である.解析により機能が欠損した(または欠損しうる)事由が判 明したならば,その事象に至る劣化モデルを物理,化学,機 械的見地から検討し原因を特定し効果的な対策を検討する.
対策は劣化要因の排除や劣化進行の抑制などの手法が取ら
れ,移動しやすい金属があれば機能を維持し移動度が低い 金属へ変更する.移動度を変えられなければバリヤにより移 動路を断つなど,また界面準位が変化するのであればボンド 終端を処理し,絶縁耐性が不足すれば物理的距離よりも電気 的距離が得られる材料に変更するなど,材料・構造を含めあ らゆる手段を講じて改善される.
7. 上流での信頼性構築
全ての製品は開発段階で必要な信頼性が作り込まれる.
“信頼性を作り込む” と簡単にひと言で書いたが,新規技術 開発では,ほぼ全てが故障解析で述べた事前解析に該当す る.技術の新規性が高ければ高いほど,未知の故障が内在 している可能性は高く,未知の故障ゆえに加速試験方法も確 立されていないことが多い.
一般的に開発すべき機能・性能が定まると機能・性能に 従った電気特性などの測定方法は比較的初期に決まる.しか し 5 章でも少し触れたが信頼性性能である寿命,故障率など の開発目標が決まったとしても,これらを測定・把握する加 速寿命試験方法と加速モデル式が確立されていなければ開 発完了の見極めはできない.
加速寿命試験の開発および寿命推定の加速モデル式は推 定される弱点の劣化メカニズムの検討から使用される材料,
奇
図
6
SEM 画像を基に行われるプロービングとプロービング測定の模式図.図
7
原子間力顕微鏡プローブと取得イメージ.800μm 800μm 800μm 1.5 kV×30 SE (L)
1.5 kV×30 SE (L) 1.5 kV×30 SE (L)
1.60μm 1.60μm 1.60μm 1.5 kV×15.0 k SE (U)
1.5 kV×15.0 k SE (U) 1.5 kV×15.0 k SE (U)
タングステン製プローブ カンチレバー
先端径100 nm以下
〈カンチレバー&プローブ〉 〈AFM画像〉
1.00μm 1.00μm 1.00μm N-6000 1.0 kV 9.5 mm ×50.0 k SE
N-6000 1.0 kV 9.5 mm ×50.0 k SE N-6000 1.0 kV 9.5 mm ×50.0 k SE
SEM像を実際に見ながら
直接プロービング パラメータアナライザへ
プローブ
Sub source drain
Wプラグ
gate
工法,構造など,ありとあらゆる角度から検討し決定される.
試験方法が決定した後に,可能な限り短時間で効率よく寿命 を把握するための(温度・湿度・電圧・振動など)限界点 の慎重な調査が行われ加速条件が決定する.加速試験には 時間は短縮するが故障モードは変えてはならない大原則があ る.加速性を追うばかりに市場では発生しない故障を発生さ せては信頼性試験とは言えず,故障モードが異なった状態で 導出された寿命は市場寿命を反映せず,場合によっては破壊 試験となり本末転倒と言える.一般的に加速条件の限界点は 市場で発生する故障と同一の故障モードが維持される最大の 温度や電圧となるが,ここで加速条件の決定プロセスについ て述べる.
加速試験により故障モードの変化を容易に察知する場合に もワイブル分析等の統計的手法が手助けとなる.加速試験の 条件設定の際に印加ストレスを増加させ加速率を変化させる が,故障モードが変化した際にワイブルの形状パラメータの変 化も同時に観測されることが多く,時間を要する物理解析を 待たずに加速限界点の推定が可能である.しかし,統計解 析のみで確定させることは無く,最終的に物理解析結果を加 味して確定されるが,開発期間の短縮などに統計解析の利用 価値は高い.
新規技術開発では電気的性能や処理能力などの特性に注 目されることが多いが,実用可能な技術へと昇華させる過程 では信頼性視点でも多くのプロセスが存在している.
これらの信頼性構築プロセスを実際の技術開発を例に説明 する.冒頭に初期故障と摩耗故障では信頼性構築のプロセス が大きく異なると述べた.
次例はその開発過程において,どちらかの信頼性構築のみ を行っているというものではなく,それぞれ特徴的で発展性の 高い技術開発過程における初期故障モード,摩耗故障モード に対する信頼性構築プロセスの概要である.
第 4 章で機能拡大は 3D 構造へと進化したと述べたが,
3D 構造は単なる集積度を 3 次元方向へ拡大したにとどまらな い.3D 構造はこれまで同一ウェーハ上に形成できなかった異 種半導体を接合することも可能で,その機能発展に大きく寄 与している
14)
.3D 構造の実現ではインターポーザー基板を利用する,チッ プ間をワイヤ接続する,TSV(Through-Silicon Via)を作り Sn 系のバンプまたは銅で接続させるなどの工法がある.基板 利用やワイヤ接続は動作周波数などに制約を与え,TSV はシ リコンを貫通させるため素子直下の接続はもちろんできない,
またトランジスタ近傍への配置においても信頼性に影響を与え る場合が多く,チップ周辺の専用領域を必要とし,レイアウト 制約が生じる.
また,サイズの異なるチップの接合では線膨張係数差によっ て生じる応力の影響を強く受けるなど 3D 構造の実現には信頼 性課題も多く簡単なことではない.
こうした中,バンプやワイヤを用いる接合に対し周波数特性
に優れ,配置制約が少なく接合面積も小さいレイアウトの自由 度を格段に向上させた『Cu-Cu 接続』が誕生している
15)
.し かし,これらの接続技術を量産化レベルに引き上げるには,さらに高い技術開発が必要である.
一般的にチップへの影響を考えると接合温度は低くありたい が,接合時間を考えると温度は高い方が短くなる.同様に接 合面積が小さくなるとレイアウトの自由度は増すが,接合時に 高い位置決め精度を必要とするなどトレードオフの課題は数多 くある.
信頼性視点では製造時の外乱影響に強く,製造余裕が大 きいプロセスは高い工程能力指数 を実現し,初期故障を 抑制し歩留まりを向上させる.工程能力指数 は次式で表 される.
:上限規格値 :下限規格値
多くの課題を解決しつつ実現される技術開発であるが,こ れらの技術開発には着目点に注力した単独,または極めて小 さな単位の複合素子の集合体である TEG(Test Element Group chip)と呼ばれるテストチップを用いる.テストチップの 概念図を図
8
に示す.TEG は素子単独の信頼性挙動の把握から素子のチェーン を形成することで数量的分析も可能になる.数量的分析はバ ラツキの性質の把握が可能となり,初期故障の抑制に大きく 貢献する.また,故障解析の容易性も担保されることから素 子(要素)開発には欠かすことができないアイテムである.
TEG を用いて推定リスクの耐性を評価した例を示す.図
9
が示すように信頼性的な懸念点としての EM(Electromigra- tion)に対するロバスト性能の確保などが立証できているが,これらは TEG ならではの検証と言える.
次に長寿命化施策例について STT-MRAM(Spin-Trans- fer Torque-Magnetoresistive Random-Access Memory)の例 を説明する.STT-MRAM はロジックウェーハに混載可能な不 揮発で,かつスタンバイ電力が少ない特性を持つことからモ バイル向けのオンチップメモリとして有望視されている.
偶
図
8
『Cu-Cu 接続』評価 TEG イメージ15).Short measurement Open measurement
Cu-Cu Connection
この記憶素子は理論上,微細化により書き込み電流の低減 が可能な一方,複数の薄膜により形成(図
10)される故の
加工の難しさやバリヤ層の寿命拡大など,実用的な信頼性を 確保するために多くの信頼性課題を克服しなければならな い18)
.信頼性は使いやすさとトレードオフ(本事例ではデータ品質 と寿命)関係になることが多く(図
11),使いやすさの向上を
図ることと信頼性の向上は同意になることも少なくない.使い やすさの向上,つまり製品が人により優しくなるためには,信 頼性も同時に高い次元へ移行しなければならない.このような開発プロセスにおいて膜質の改善や動作点の最 適化により,実用的な寿命(Endurance:書き換え回数,
Retention:情報保持能力)を達成した事例を図
12
に示 す19)
.しかし,これは最終ゴールではなく,中間点にすぎず,より 使いやすく,より信頼できる製品に向け,書き込み電圧低減 によるトンネル破壊電圧のマージンを広げメモリ動作条件自体 を拡大する開発が進められている.
このような寿命に関する信頼性構築は,材料そのものの改 善の他に,ウェーハ製造プロセス,および,デバイス使用環 境,使用条件の最適化で行われることも多く,各要素をうまく 組み合わせて総合的な判断の下に信頼性は成立するものと考 えられる.
8. 信頼性の創造と応用物理
これまで半導体デバイスの信頼性構築について述べてきた がデバイスの開発から製品化まで信頼性の創造には物理・化 学・機械・統計・電気・電子工学が有機的に結ばれ成り 立っている
3)
.正常に機能するデバイスを生けるものとして捉えるならば,
故障や劣化はある意味不可避かもしれない.しかし,要求さ れる期間に対して十分な寿命を有し,今後自己診断機能によ る故障の予兆管理が実現すれば,人や社会へのダメージは 極小化され,より一層人に寄り添う信頼できるデバイスとなりう
るだろう.
現時点でも一部の半導体デバイスには BIST(Built in Self Test)機能が内蔵されているが,現在の主な使途はテストの 容易化であり,一般的な自己診断とは異なる.
今後これらの技術が回路規模やコストを含め拡張可能とな り上位システムと密接に連携できれば,ソフトウェアを含め予
兆管理は身近なものになると言える.
このように信頼性工学は多くの工学分野と密接に関係して いる点が,学際的色彩が強い工学と呼ばれるゆえんとも言え る
22)
.学際的な色彩が強いという点については応用物理学が信頼 性の実現に必要不可欠な学問と言えるのではないだろうか.
9. サステナブルな社会に向けた信頼性技術
半導体では誘電・導電率・エネルギー変換効率をはじめと
奇
図
9
『Cu-Cu 接続』のズレ量に対するロバスト性能例15).図
10
スピンを応用した記憶素子の磁気トンネル接合18).図
11
ユーザビリティと信頼性のトレードオフ関係18).図
12
材料とプロセス最適化による書き換え寿命,データ保持能力の信頼性 構築例19).0.8 1 1.2 1.4 1.6
1.E+04 1.E+06 1.E+08 1.E+10 1.E+12
0 100 200 300
1.E−10 1.E−05 1.E+00 1.E+05
Maximum operation voltage
Voltage (a.u.)
Lifetime (cycles)
Temperature (℃)
Data r etention (sec)
99.99 99.9 99 95 90 70 50 30 10 5 1 0.1
Stress time (a.u.)
Cumulative failure (%)
(a) (b) (c)
3 nm 記憶層
(磁性層)
磁化固定層
(磁性層)
トンネルバリヤ
1.E−12 1.E−11 1.E−10 1.E−09 1.E−08 1.E−07 1.E−06 1.E−05 1.E−04 1.E−03 1.E−02 1.E−01 1.E+00
書き込みエラートンネルバリヤ絶縁破壊
MTJ印加電圧(V)
MTJ(Magnetic Tunnel Junction)に印加する電圧軸で見た各エラーの関係
エラー率
読み出しディスターブ
Read Write
した電気的特性,加工特性などの基本性能の発揮に加え機 械強度・線膨張など信頼性にも優れた性能を発揮する材料 が必要である.しかし,これらの材料が地球環境や人に優し いとは限らない.真の信頼性とは人と社会に貢献し,サステ ナビリティにおいても優れていなければならないものであり,稼 働寿命や故障率にとどめてはならないと考える.
信頼性視点でのサステナビリティとは,まず第一に長寿命 化による廃棄サイクルの延長が想定できるが,これに加え信 頼性を担保しつつ,そのデバイスが出荷されるまでの “製造 工程” では温室効果ガスや環境有害物質の使用を最小限に とどめ,出荷後は “稼働開始から機器寿命を全うするまで”
は高いエネルギー効率を実現する.そして廃棄されたあとも環 境汚染に至らないという「製品の開発・製造・市場・廃棄・
廃棄後」までを視野に入れた “人や環境に優しいライフサイ クルの実現” も信頼性の 1 つとして考えている.
決して寿命や故障率のみに偏るのではなく,人や環境に優 しくあるべき性能のどちらも両立することを常に意識し,より高 い次元の製品開発を継続的に行っていかなければならない.
10. むすび
今回,信頼性と人との関わりを信頼性の定義から社会背景 の変化,故障モード,信頼性検討,故障解析そして対策まで 一連の信頼性構築プロセスを述べた.
信頼性構築は過去の知見を生かしつつ,物理学などの進 歩に付随して生まれる新規技術を駆使し,より信頼できる製品 実現に向けた活動を終わり無く続けていくことである.
機能するデバイスを生きとし生けるものとして捉えるならば,
故障や劣化はある意味不可避かもしれない.しかし,人々の 暮らしを支え,見守るデバイスは要求される期間に対して十分 な寿命を有し,堅けん牢ろうで強きよう靭じんでなければ人を優しく支え,見守 ることはできない.
よりサステナブルな社会を実現するうえで,年齢,身体,
環境など人々を取り巻く制約を技術と信頼性の両立で超えて いく必要がある.全ての人々に,より広い活躍の機会を提供 するアクセシビリティの重要性が提言される昨今,人々の多様 性の尊重にも半導体が果たすべき役割は大きいと考える.
今回は冗長回路による信頼性向上には触れなかったが,よ り重要なシステム(航空機等)では冗長が利用される.ただ し,冗長系の信頼性は第 4 章で説明した鎖モデルではなく網 モデルで考える.
網モデルは冗長により単位時間のシステム故障率の低下が 期待できるが,摩耗故障に対しては効果が少ないと言える.
冗長システムは摩耗故障期を迎える前の信頼性に効果がある ものの,冗長形成のコストなどから用途は限られている.
これまで,さまざまな故障について述べてきたように,故障 原因,真因は無数にあり,故障前に特定の予兆を示す故障 のみではない.しかしながら今後,自己診断機能による故障 の予兆管理が適切なコストで実現可能となり,人や社会への
ダメージを極小化できるならば,人に寄り添う信頼できる,より 人に優しいデバイスとなりうるだろう.
謝 辞
製品や商品の魅力として語られることが多いのが,速い,
美しい,便利などの初期性能かもしれません.
もちろん,これらが非常に重要であり,生活を豊かにする 原動力であることは事実ですが,魅力的であり続けるために は信頼性が重要です.
平易な言葉で恐縮ですが “信頼性は人々を裏切らない力”
であり,人に優しくある,寄り添うための重要な要件の 1 つで はないでしょうか.
信頼性構築は開発行為の 1 つであり,また設計,製造行 為の 1 つでもあります.そして,多くの協業や,多くの学問の 融合により成し遂げられるものです.
今回,私たちにこのような解説の機会を与えて下さった方々 と,高い信頼性の実現に向け日々研究に取り組まれている全 ての方々に心より感謝いたします.
文 献
1)ソニーセミコンダクタソリューションズ: 品質・信頼性ハンドブック第 3 版
(https://www.sony-semicon.co.jp/e/csr/quality/).
2)鈴木和幸: 表面技術
70, 290 (2019).
3)鈴木和幸: OHM
105, 6 (2018).
4)鈴木和幸: 安全工学シンポジウム講演予稿集, p. 120 (2016).
5)鈴木和幸: 信頼性学会誌 信頼性
35, 192 (2013).
6)横川慎二: 品質
47, 129 (2017).
7)横川慎二: 第 64 回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集, 15p-304-5 (2017).
8)横川慎二: 信頼性学会誌
37, 26 (2015).
9)横川慎二: 表面科学
35, 256 (2014).
10)横 川 慎 二: 電 子・情 報・システム部 門 電 子 回 路 研 究 会, ECT13108 (2013).
11)横川慎二: 信頼性学会誌 信頼性
42, 110 (2020).
12)塩見弘: 電気学会誌
90, 1859 (1970).
13)塩見弘: 信頼性工学入門 (丸善出版, 1995).
14)Y. Kagawa, H. Hashiguchi, T. Kamibayashi, M. Haneda, N. Fujii, S.
Furuse, T. Hirano, and H. Iwamoto: 2020 IEEE Int. Interconnect Technology Conf. (IITC) (2020).
15)Y. Kagawa, S. Hida, Y. Kobayashi, K. Takahashi, S. Miyanomae, M.
Kawamura, H. Kawashima, H. Yamagishi, T. Hirano, K. Tatani, H.
Nakayama, K. Ohno, H. Iwamoto, and S. Kadomura: 2019 Electron Devices Technology and Manufacturing Conf. (EDTM) (2019).
16)S. Ma, Y. Liu, F. Zheng, F. Li, D. Yu, A. Xiao, and X. Yang: 2020 IEEE 70th Electronic Components and Technology Conf. (ECTC), p. 461 (2020).
17)Y. Li, Y. Civale, Y. Oba, A. Cockburn, J.H. Park, E. Beyne, I. de Wolf, and K. Croes: 2013 IEEE Int. Reliability Physics Symp. (IRPS), 5C. 5. 1 (2013).
18)細見政功: 第 81 回応用物理学会秋季学術講演会講演予稿集, 9p-Z08-3 (2020).
19)M. Oka, Y. Namba, Y. Sato, H. Uchida, T. Doi, T. Tatsuno, M. Nakazawa, A. Tamura, R. Haga, M. Kuroda, M. Hosomi, K. Suemitsu, E. Kariyada, T.
Suzuki, H. Tanigawa, M. Ueki, M. Moritoki, Y. Takegawa, K. Bessho, and T. Umebayashi: 2021 Symp. VLSI Technology (2021).
20)T. Zhou, S. Ma, D. Yu, M. Li, and T. Hang: Sensors
20, 4077 (2020).
21)塩見弘, 久保陽一, 高橋洽太郎: 故障解析とその応用 (日科技連信頼性工 学シリーズ第 12 巻) (日科技連出版, 1984).
22)真壁肇: 品質保証と信頼性 (日科技連信頼性工学シリーズ第 13 巻) (日科 技連出版, 1991).
23)一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会: 企業 IT 動向調査報告書 (2012).
偶
24)T. Grasser, Th. Aichinger, G. Pobegen, H. Reisinger, P.-J. Wagner, J.
Franco, M. Nelhiebel, and B. Kaczer: 2011 Int. Reliability Physics Symp., 6A.2.1 (2011).
25)W. Weibull: J. Appl. Mech.
18, 293 (1951).
26)H.-S.P. Wong, R. Willard, and I.K. Bell: IEEE Hot Chips 31 Symp. (HCS) (2019).
27)S. Samavedam: ITF Japan, IMEC Technology Forum (2021).
28)J.H. Stathis: 39th Annu. 2001 IEEE Int. Reliability Physics Symp. Proc., p.
132 (2001).
29)日本電子部品信頼性センター: 平成 13 年度故障物理研究委員会研究成果 報告書, R-13-RS-01 (2002).
30)電子情報技術産業協会: JEITA EDR-4707A (2018).
(2022 年 4 月 1 日受付; 2022 年 5 月 30 日受理)
奇
P r o f i l e
杉 本 大(すぎもと だい)
1992 年ソニー株式会社入社.CCD/CMOS イメージセンサの 開発に従事.09 年ソニーセミコンダクタ株式会社 IS デバイス 開発部統括部長を経て,15 年よりソニー株式会社デバイスソ リューション事業本部品質信頼性部門長.現在ソニーセミコンダ クタソリューションズ株式会社品質・環境部門長.
宮 本 秀 範(みやもと ひでのり)
1989 年ソニー株式会社入社.半導体,およびセット製品の信 頼性業務に従事.半導体事業本部信頼性技術部統括部長を経 て現在ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社品質・環 境部門リライアビリティシニアエキスパート.一般社団法人電子 情報技術産業協会(JEITA)半導体信頼性技術委員会委員 長.