来談型面接と訪問型面接における援助者の自己開示に関する研究
人間教育専攻
臨床心理士養成コース 岡 島 隆 之
指 導 教 員 吉 井 健 治
1.目的 討を行うことでそれぞれの面接構造における
臨床心理学の領域における自己開示の研究で 援助者の自己開示の特性を明らかにしていくこ は,特に面接中の援助者の自己開示に焦点が当 とを目的とする。
てられている。以前は,匿名性の原則により援 2.方法
助者の自己開示はタブーとされてきた。しかし, 来談型面接および訪問型面接の面接中におけ 近年では,自己開示の効果に関する研究(岡野, る援助者の自己開示について,選択式と自由記 1991)や面接を進める上での技法の一つ 述式からなる質問紙調査と面接調査を行った。
(Ivey
, A
.E., 1978)として自己開示が使用される 本研究では,面接形態の違いによる援助者の自 など,援助者が行う自己開示の肯定的な側面が 己開示について調査を行うため,年齢が 10~25 注目されつつあるO 歳の範聞にあるクライエントとの面接を経験し援助者の自己開示は,クライエントの来談に より面接を行う「来談型面接j以外にも,援助 者がクライエントの自宅へ訪問し,その場で面 接を行う「訪問型面接」においてもその効果が 期待されている(青木, 2004)。来談型面接と訪 問型面接の大きな違いとして面接構造が挙げら
ている大判完生を対象に実施した。質問紙調査 は 48名を対象に,榎本(1997)の自己開示に関 する尺度を参考に作成した質問項目により自己 開示の内容を謝尺式により回答を求めた。また,
自己開示の意図,効果,西白惹について自由言謎 式により回答を求めた。面接調査は7名を対象 れる。小此木(1991)は,面接構造について時間 に,面接言識をもとに,自己開示の意図やクラ キ場所などの「外的な治療構造」と治療同盟や イエントの反応などについて半構造化面接を実 守税義務としりた「内的な治療構造」の2つの 施した。
要因から定義している。来談型面接と訪問型面
3 .
結果接を面接構造により比較すると,来談型面接で
ω
質問紙調査選択まりの結果 は外自句構造が堅く,内的構造も安定しやすいが,訪問型面接では外自句構造も内的構造も構造を厳 密に設定することが難しし、ため,構造が不安定
になりやすし、
そこで本研究では,このような面接構造の違 いが援助者の自己開示に与える影響について検
来談型面接で平均値の晶、自己開示内容項目 は「逆車蒜多J,
r
趣味jであり,反対に平均値の 低い項目では「実存的自己J,r
私的人間関係(異 性関係)Jで、あった。次に,訪問型面接で平均値 の高い自己開示内容項目は,r
趣味J,r
プロフィ ール」であり,反対に平均値の低し¥項目は,r
私‑93‑
的人間関係(異性関係)J,
r
情手都台側面Jで、あっ た。援助者の自己開示の内容は,表面的な話題 から内面的になるに従って抑制されており,r
逆 車河多」は訪問型面接よりも来談型面接の方がより多く話されていた。また,来談型面接を経験 している群と経験していない群について訪問型 面接の項目得点を比較した結果情手掛句側面」
について,経験していない群がより多く話して し、ることが明らかとなった。
(2)質問紙調査自由言己主長。の結果
自己開示の意図では,
r
緊鼠感の緩和,安心感の提供J
r
関係性作り」などが見られた。次に,自己開示の効果は,肯定的なものでは,
r
会話の 促進,展開Jr
表情キ様子の変化J,反対に否定 的 な も の で は 効 果 な しJr
関係性の悪化jなどが見られた。最後に, 自己開示の商白書、では,
f援助者の自己開示の制限J
r
クライエント中心 への西白意Jなどが見られた。(3)面接調査の結果
面接調査より,訪問型面接での援助者とクラ イエントとの関係性は,チャム的関係性やnew object的であると語られており,訪問型面接は 来談型面接に比べ,緩い関係にあるとしづ傾向 で、あったO そして,来談型面接と訪問型面接と で関係性の違いを感じる理由として,面接構造 の違いが挙げられた。また,面接中の援助者の 自己開示の量については,明確に訪問型が多い としづ回答や,来談型と訪問型で量に違い印惑 じていないが,無意識な自己開示の量が多くな っているかもしれないとし、う回答が得られた。
4 .
考察面接構造が援助者の自己開示に与える影響は,
自己開示全般には大きくないものの,一部の内 容と量についてはその影響を受けていることが わかったO 訪問型面接において自己開示を抑制
させる要因のーっとして,相談室で行う来談型 面接を経験することが挙げられ,相談室での構 造の堅さを飽験しておくことでクライエントの 自宅での構造の緩さに敏感に反応し,訪問型面 接を行う際に,援助者の中での内的な面接構造
をより強固にすることが考えられる。
面接中における援助者の自己開示は,意図や ねらい通りに自己開示が効果的に作用する場合 もあれば,クライエントにとって否定的に働き かけてしまう場合もある。そのため,使用する 際にはより慎重な判断が求められる。また,特 に訪問型面接では,面接構造の緩さから意図や ねらいを含まない無意識的な自己開示を行なっ ている場合もあるということが判明し,新たな 視点が加わったO
5.まとめと今後の課題
本研究では,面樹薄造の中でも特に,
r
面接場所Jと「関係性」に注目した。これらの面接構 造は,援助者の自己開示の内容や量に影響を与 えており,特に訪問型面接ではその影響を受け,
援助者は自己開示をしやすくなることが明らか になったO しかし,それは決して否定的な影響 ではなく,不登校の児童・生徒のクライエント では,援助者の訪問はチャム体験の希薄さを補 い,援助者の率直な自己開示は「妥当性の編忍」
となり,彼・彼女らの心の成長への一助になる と考えられる。
今後の課題として,本研究では,来談型と訪 問型の面接構造と援助者の自己開示の関連性を 調査するため,クライエントの年齢が思右湖や 前青年期のケースを担当している者を調査対象 とした。そこで,その他の時期のクライエント との面接中における援助者の自己開示の研究を 行なうことで,援助者の自己開示の効果や内容
などがより明確になると考えられる。
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