1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
図 1.5.1 - 2 年齢別の年間出血回数(血友病A及び血友病B)
出典 「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成 22 年度調査報告書 図 1-6
図 1.5.1 - 3 年齢別の年間関節内出血回数(血友病A及び血友病B)
出典 「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成 22 年度調査報告書 図 1-7
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
図 1.5.1 - 4 年齢別の標的関節の割合(血友病A及び血友病B)
出典 「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成 22 年度調査報告書 図 1-9
同研究において、血友病患者における止血管理についても調査が行われている。小児期におい
て学校で出血した場合、速やかに保健室で自己注射が行われているのはわずか 14.3%であり、保
護者が学校に注射をしに行く(23.0%)、授業の途中で早退あるいは一旦帰宅し自宅で注射
(23.0%)、授業が終わるまで我慢し帰宅後に自己注射(14.3%)、授業の途中でかかりつけ医で
注射(7.5%)、授業が終わるまで我慢し帰宅後にかかりつけ医で注射(2.5%)であることが報告
されている(図 1.5.1 - 5 参照)。また、出血による体調不良や治療のため、学校を休まざるを得
ない場合があることも報告されている。したがって、小児期における出血エピソード及びその治
療にあたっては、速やかに止血が行えない現状があるとともに、速やかに止血するために患者並
びに保護者/介護者の日常生活が大きく制限されている。
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
図 1.5.1 - 5 学校で出血した場合の主な止血処置(血友病A及び血友病B)
出典 「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成 22 年度調査報告書 図 5-5
成人期において就業中に出血した場合、速やかに職場の医務室などで自己注射が行われている
のは 14.0%であり、会社が終わるまで我慢し帰宅後に自己注射(31.7%)、速やかに一時帰宅あ
るいは早退して自己注射(27.2%)、速やかにかかりつけ医に行き注射(6.8%)、会社が終わる
まで我慢し帰宅後にかかりつけ医で注射(3.8%)であることが報告されている(図 1.5.1 - 6 参
照)。また、血友患者では、就職していない割合が極めて高いことが示唆されており(定年退職
及び学生を除いた対象者 480 人のうち、28.0%にあたる 118 人が就職できていない)、その理由
の過半数は「身体障害による行動制約」、「全体に体調が悪い」、「出血傾向が強い」という身
体的理由であった。したがって、成人期における出血エピソード及びその治療についても、速や
かに止血が行えない現状があるとともに、速やかに止血するために患者の就業環境は大きく制限
されている。
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
図 1.5.1 - 6 仕事中に出血した場合の主な止血処置(血友病A及び血友病B)
出典 「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成 22 年度調査報告書 図 6-3
1.3.1.2
血友病A治療の変遷
初めて製剤化されたFVIII濃縮製剤(血漿中濃度の 100 倍以上)であるクリオ製剤の使用は、
1964 年に報告されており、これにより出血発現時の外来治療が可能となり、外科手術時のリス
クが低減した[19、20]。1970 年代初頭までに、血漿由来の市販用凍結乾燥FVIII濃縮製剤の大
規模な製造が開始され、その後 10 年で純度に改良が加えられた。凍結乾燥因子濃縮製剤が入手
可能となることで、血友病患者は自宅での出血エピソードに対する治療や通常の待機的手術の実
施を受けることが可能となった[19]。1970 年代及び 1980 年代に入ると、血漿由来の濃縮製剤
を使用することで、C型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスなど、血液由来のウイルスによる
感染症の発現率が増加したため、熱処理や界面活性剤処理などでこういった感染原を除去する技
術やイムノアフィニティークロマトグラフィー法が開発された[ 21]。遺伝子組換え型FVIII
(以下、rFVIII)が全世界で最初に承認されたのは 1992 年であった。
1969 年の血液凝固因子製剤の市販開始以降、先進国では、血友病患者の平均余命が劇的に延
長した(ただし、エイズの蔓延により平均余命の著しい短縮が見られた 1980 年代から 1990 年代
を除く)[22、23]。近年、血友病患者の平均余命の延長に伴い、癌や心血管系疾患などの加齢
に伴う疾患の併発が顕著になってきている[22、24]。
中等症(FVIII活性が 1%~5%)の血友病患者では、より軽度の臨床的表現型が認められること
及び関節の状態がより良好であることが判明したこと[25]を受け、重症血友病患者での関節血
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
表 1.5.1 - 1 国内で承認されているrFVIII製剤の薬物動態(PK)、有効性及び安全性の概要
第 FVIII 因子製剤 Pharmacokinetics 有効性評価 安全性評価
t1/2 (h) IVR
(IU/dL)/(IU/kg)
1 回の投与で
止血コントロ
ールし得た被
験者の割合
反応評価が
excellent 又
は good の割
合
年間出血エピソード回
数
インヒビタ
ー発生率
臨床試験中に発現した副作用(添
付文書に基づく)
アドベイト®
[
49
、
50
]
国内データ
13.0 2.24 NA 97.1% NA 0/15 3/15 (20.0%):異常感、単球数増
加、頭痛、ほてり
海外データ
12.0 2.57 81% 86% Prophylaxis – original
study:
6.24(平均値)
Prophylaxis – prophylaxis
study:
2 day: 1.0(中央値)
3 day: 1.0(中央値)
Episodic:
44.0 (中央値)
1/198
(0.51%)
発現率 5%以上
発熱、頭痛、咳嗽、鼻咽頭炎、嘔
吐、関節痛、上気道感染、咽喉頭
疼痛、鼻閉、下痢、悪心、疼痛、
発疹、耳感染、処置による疼痛、
鼻漏
コージネイト®
FS
[
51
、
52
]
国内データ
13.96 NA NA 98.0%
(749/764)
NA NA 5.0% (1/20):CD4 リンパ球増加、
CD8 リンパ球減少、CD4/CD8 比増
加
海外データ
13.7 2.20 79.7% NA Prophylaxis: 関節出血回
数
0.63(平均値)
出血エピソード回数
0/73 発現率 4%以上
発疹、そう痒症、注入部位反応
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
表 1.5.1 - 1 国内で承認されているrFVIII製剤の薬物動態(PK)、有効性及び安全性の概要(続き)
第 FVIII 因子製剤 Pharmacokinetics 有効性評価 安全性評価
t1/2 (h) IVR
(IU/dL)/(IU/kg)
1 回の投与で
止血コントロ
ールし得た被
験者の割合
反応評価が
excellent 又
は good の割
合
年間出血エピソード回
数
インヒビタ
ー発生率
臨床試験中に発現した副作用(添
付文書に基づく)
クロスエイト®
MC
[
53
]
国内データ
15.1 NA NA 92.9%
(197/212)
NA NA 0% (0/15)
コンコエイト-HT
[
54
]
国内データ
15.0 NA NA 99.0% (98/99) NA NA NA
コンファクト®
F
[
55
]
国内データ
11.6 NA NA 93.5%
(904/967)
NA NA 4.2% (3/72):発疹(蕁麻疹)、悪
心等
h = hour; IU = international unit; IVR = in vivo recovery; FVIII = factor VIII; NA = not applicable; t1/2 = elimination half life.
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
53]。
図 1.5.1 - 7 年齢別の在宅自己注射施行率(血友病A及び血友病B)
出典 「血液凝固異常症のQOLに関する研究」平成 22 年度調査報告書 図 2-2
図 1.5.1 - 8 定期補充療法の開始時や継続時に困ったこと(血友病A及び血友病B)
定期補充療法のベネフィットは知られているが、現在使用されている濃縮製剤では、消失半減
期が短いことから(約 12 時間)、週に 3~4 回の静脈内投与を要する負担の大きな投与レジメン
となっている。このような負担の大きなレジメンが血友病患者集団のかなり大きな割合の患者に
とって、定期補充療法を受ける際の大きな妨げとなっており、定期補充療法を受けている患者に
とっても投与遵守を困難にさせている[72]。国内における血友病A患者での定期補充療法の実
施率はいまだ 48%であり[4]、厚生労働科学エイズ対策研究事業の一環として実施されている
①:注射の失敗
②:こどもが注射を嫌がった
③:家族の協力が得られなかった
④:病院への通院が大変であった
⑤:注射をする時間帯の朝は多忙
⑥:ついつい忘れること
⑦:早期に始めたかったが担当医
に反対された
⑧:インヒビターが発生した
⑨:留置カテーテルのトラブル
(感染、出血、血栓)
⑩:その他
1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯
イロクテイト
®
静注用
表 1.5.1 - 2 臨床データパッケージ
資料区分 日本人データを含む治験 海外で実施された治験
評価資料 薬物動態 単回投与 多施設共同、漸増投与法による単
回投与、第 1/2a 相、オープン試験
(998HA101 試験)
反復投与 多施設国際共同、3 群、第 3 相、
オープン試験(997HA301 試験)
有効性 多施設国際共同、3 群、第 3 相、
オープン試験(997HA301 試験)
安全性 多施設国際共同、3 群、第 3 相、
オープン試験(997HA301 試験)
多施設共同、漸増投与法による単
回投与、第 1/2a 相、オープン試験
(998HA101 試験)
参考資料 薬物動態 反復投与 12 歳未満の治療歴のある重症血友
病 A 患者を対象とした多施設共
同、オープン試験(8HA02PED 試
験)a
安全性 多施設共同、非盲検、継続投与試
験(8HA01EXT 試験)b
:
120 日安全性報告のみ
12 歳未満の治療歴のある重症血友
病 A 患者を対象とした多施設共
同、オープン試験(8HA02PED 試
験)a
a 8HA02PED 試験(現在進行中)では本剤の安全性及び有効性についても評価する(結果はまだ得られていない)
b 8HA01EXT 試験(現在進行中)では本剤の有効性についても評価する(結果はまだ得られていない)