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2008年度常盤井殿町遺跡立会調査報告

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2008年度常盤井殿町遺跡立会調査報告

著者 浜中 邦弘, 永野 智子

雑誌名 同志社大学歴史資料館館報

号 18

ページ 28‑30

発行年 2015‑10‑30

権利 同志社大学歴史資料館

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014526

(2)

2008年度常盤井殿町遺跡立会調査報告

浜中邦弘・永野智子

常盤井殿町遺跡では2008年度に立会調査を2件行った。ここで簡単にその成果を報告する。なお報 告する遺物と層序との詳細な関係までは把握できていない。

1.アーモスト館改修工事に伴う立会調査…2008年12月9日(火)

掘削予定が1.7ⅿのドライエリア拡張部分の立会調査。掘削予定範囲の東側で南北方向の細長いト レンチを設定し行う。調査の結果、建物側の南半部については既に削平を受けており、遺構確認には 至らなかった。北半部は削平を受けておらず、地表面下60㎝強で建物の礎石と思われる花崗岩を1点 検出した。さらにその下約40㎝下で同様に礎石らしきものも確認された。この両者間の層は土器・炭 を含む褐色系の土層である。極めて狭い調査面積のため、遺構と断定するまでには至らなかったが、

現地で協議を行い、遺構が残ると想定できた北半部については60㎝以上の掘削は行わず工事を施行し てもらうこととした。埋管部分についても同様の深さで工事をしてもらうこととした。

出土遺物は図3の1〜7である。1は陶器蓋である。上面には白化粧を施し、銹絵染付で文様を描 く。2は肥前染付小椀である。外面には花文を描く。3は肥前染付椀で、見込は蛇の目釉剥ぎする。

焼成がやや不良のため、呉須の発色が悪い。18世紀の所産である。4は肥前染付端反椀である。外面 には花唐草文を描く。19世紀前半〜中葉。5は京・信楽系陶器椀である。外面には帯状の文様を有す る。6は肥前陶器椀である。17世紀前半の所産である。7は肥前染付袋物である。内面は露胎である。

図 調査地位置図(1:2,500)

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2008年度常盤井殿町遺跡立会調査報告

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2.有終館建築基礎現状調査に伴う立会調査…

2008年12月22日(月)

有終館建築基礎形状等の詳細を把握するための調 査に伴う立会調査。当初の掘削予定地は建物の南西 隅地点であったが、実際に掘削を始めたところ、埋 管が密に存在しており、掘削が困難なことから、掘 削地点を変更し、建物西側の掘削可能な地点で調査 を進めることとなった。土層の状況は図面に示した とおりで、遺構面は浅いレベルから順次みられ、掘 削を行った最下層まで確認できた。有終館基礎の掘 削は1ⅿ程(埋管は50㎝程)と浅く、天明大火(③ 層)より下層については遺構が残っている可能性が 十分考えられる。また建物周辺部においてもごく近 接した1ⅿ程でしか建物基礎掘削が及んでおらず、

周辺部においても遺構面が明瞭に残っていることが 確認できた。地表面下約1.3ⅿで検出した淡灰褐色 土層では中世の羽釜等が出土し、中世の包含層と理 解された。今回掘削範囲は1.5ⅿのため地山層まで 確認には至らなかった。

出土遺物は図3の8〜14である。8は肥前染付椀である。外面には梅竹文を描く。18世紀前半の所 産であろう。9は京・信楽系陶器蓋である。上面には灰釉をかけ、内面は露胎である。10は肥前染付 椀で、内外面とも花文を描く。11は焼塩壺の身である。体部には指頭圧痕が明瞭に認められ、口縁部 にはヨコナデを施す。12は白磁仏飯器。底部は高台を浅く削り出し、露胎である。杯部は浅い。18世 紀の所産であろう。13は肥前染付蓋。見込には竜文、口縁部内面には四方襷文を、外面には波文と龍 宮とみられる文様を有する。14は陶器擂鉢の底部。底部には浅く高台を削り出す。

3.まとめ

各土地利用の在り方を絵図で追ってみる。①「中むかし公家町之絵図」17世紀初頭、②「寛永14年 洛中絵図」(1637年)、③「新改内裏之図 御紋改」(1677)でみていくと、アーモスト館地点では① 大超寺→②御国母様(徳川和子)下屋敷→③禁裏付武家屋敷となり、③が幕末まで続く。この地点で 検出した礎石類についてはこれらの建物に関係する可能性が高いが、遺構と遺物とのクロスチェック ができないため仔細な状況は分からないが、遺構が各層序で非常に良好な状態で存在していることが 明らかになり、小面積の開発ではあってもこの周辺での調査を進める必要性を痛感した。有終館地点 は①町屋→②山科家屋敷で②が幕末までつづく。最下層で中世の層序を確認した。中世以前の状況を 知る具体的な成果ではないが、中世遺跡の存在が確認できたことも重要な成果といえよう。

図 有終館地点北壁土層略測図(S:1/20)

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同志社大学歴史資料館館報第18号

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いずれも小規模な面積であったが、当地の江戸時代を考える貴重な情報が得られた。

編集協力者…藪田みゆき・久保宏資

図 出土遺物(1〜7がアーモスト館地点、8〜14が有終館地点)

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2008年度常盤井殿町遺跡立会調査報告

図 出土遺物 (1〜7がアーモスト館地点、8〜14が有終館地点)

参照

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