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2015年度 国際文化情報学会 発表要旨(受賞作品)

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2015年度 国際文化情報学会 発表要旨(受賞作品)

著者 法政大学 国際文化学部

出版者 法政大学国際文化学部

雑誌名 異文化

巻 17

ページ 10‑53

発行年 2016‑04‑01

URL http://hdl.handle.net/10114/12684

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Discover

無所属 松田美里

(法政大学オープンキャンパス国際文化学部スタッフ一同)

 これは、法政大学国際文化学部のオープンキャンパススタッフが制作した学部紹介ビデオ である。最初にオープンキャンパスとは、毎年 8 月にキャンパスを開放し、大学の魅力や特 徴を来場者に知って頂くイベントである。

 法政大学では、学生スタッフが主体となって企画や運営を行っており、来場者にホームペー ジやパンフレットには載っていないリアルな声を伝えること、そして来場者一人ひとりの悩 みや不安を解決することを主な目的とし、熱心に活動している。毎年 3 日間で約 3 万人の来 場者を動員しており、近年の来場者の傾向としては、受験生はもちろん、高校 1・2 年生、浪 人生、保護者などと幅広く、来場者のニーズは更に多様化している。

 国際文化学部では、オープンキャンパスに多数の学生がスタッフとして参加しており、様々 な部署があるなかで、私たちは国際文化学部を PR する国際文化学部企画に所属している。国 際文化学部企画では、教員・職員・学生の共同企画によるガイダンスや、学生による独自の 企画の実施により、国際文化学部に関する情報を来場者に多角的に伝える取り組みを行って いる。

 私たちスタッフは、「文化情報の発信」をコンセプトの一つに掲げている。国際文化学部と いう一つの学部に関する情報を収集・整理し、情報技術やメディアを活用して来場者に発信 することもまた、国際文化学部の目指す情報発信の実践の一つといえると私たちは考え、今 回の学会に本作品を提出する。

≪内容≫

 2015 年 8 月 2 日㈰・23 日㈰・ 24 日㈪、法政大学市ヶ谷キャンパスで開催されたオープ ンキャンパス当日に、来場者に向け上映したビデオである。

 多くの来場者にとって国際文化学部といえば、必修留学制度である “Study Abroad Program

(以下 SA と略す)” のイメージが強いが、オープンキャンパスに足を運び、そこで初めて SA について知る来場者もいる。実際に入学した私たち学生からすると、国際文化学部の魅力は SA だけに留まらず、大学生活 4 年間を通して異文化理解を深め、成長できるということであ る。1・2 年次は留学をひとつの目標に大学生活を過ごし、3・4 年次では留学を通して得た 自分の興味や発見を自ら行動に移して、自分の専門を明確に勉強していく。学生一人ひとりが、

最優秀賞

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自分の関心を出発点に、SA などで得た学内外の人と人との関わり合いを大切にしながら考え を深め、総合的な視野で自分の専門を追究する。このような学部の特色を、国際文化学部でオー プンキャンパススタッフを務めた 1 ~ 4 年生、9 名の学生へのインタビューを通じて紹介す ることが、国際文化学部の魅力や特徴を PR することに適していると、私たちは考えた。

学生への質問事項は以下の通りである。

・国際文化学部はどんな学部か

・国際文化学部に入学を決めた理由

・どんな授業があるか

・SA 先の言語はいつ勉強し始めたか

・SA に不安はあったか

・SA を通して得たものは何か

・来場者へメッセージ

≪工夫点≫

 国際文化学部の歴史・コース制度や SA 先の紹介など、パンフレットを読めば分かるコンテ ンツではなく、来場者の漠然とした大学の印象や憧れでも、更に膨らませられるように、学 生の本音をビデオに収めた。

 “Discover” という検索画面は、一言では表しきれない国際文化学部の引き出しを “ 発見する ” というコンセプトを表現している。また、インタビューに登場する学生の後ろに国旗マーク が映っているが、その学生が行った(1 年生においてはこれから行く)SA 先を示している。

映像

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『知』のコミュニケーションを 生み出す場としての空間デザイン

甲ゼミ

出川瑛美子・佐々木綾・小椋美佳

奨励賞

1.はじめに

 近年、学生の学びのスタイルは多様化している。教師から学生へ、また本やインターネッ トなど学びの媒体から学生へといった単なる知識の一方的な伝達による受動的な学びではな く、知識はそれぞれの立場に関係なく共に構築するものであり、学生は能動的に学び自分の 知識を積極的に構成・発見・生成することが求められている。個人学習よりはむしろ、協同 学習の場が必要とされ、2000 年代に入り、ラーニングコモンズが法政大学をはじめ多くの 大学の図書館に取り入れられるようになった。これは、新しい学習環境づくりの可能性を広 げる存在としての先駆けである。今回私たちが学習空間に求めるものは、『学部、学年、所属、

立場を超えた「知」のコミュニケーションを生み出す場』である。本研究では、以下の目的 をふまえ、多様化した学びに対応する空間及びシステムを提案する。

2.研究目的

  ①学習環境に “ 遊び心 ” をプラスした学びの場としての空間デザイン

  ②学部、学年、所属を超えた「知」のコミュニケーションを活性化させるシステムのデザイン  システム→「知」のコミュニケーション←空間

 学生の学びのスタイルは多様化し、個人学習だけでなく協同学習が必要とされ、最近では アクティブ・ラーニングが注目されている。そのような現状をうけて、我々は学びに対する 学生対象の調査を行い、学びやすい空間デザインを考えていき、遊び心を入れることで新た な学びの場を提案する。 また、「知」のコミュニケーションデザインにおいては、まず初め に私たちが考える「知」について定義づける。ここで扱う「知」とは、講義や本・インター ネットを通して得た知識だけでなく、日常生活における個人の体験や経験、そのノウハウも 含むものと考える。大学という環境は極めて特殊であり、様々な専門的知識を有した人、様々 な経験や考えをもつ人が集まる場である。それにも関わらず、それらの知識や経験、意見な どを個人内やそして、ある狭いコミュニティー内での共有に留めてしまう。人と人とが「「知」

を共有し、「知」を得る」または「互いに「知」を持ち合い、新たな「知」の発見する」ことで、

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ポスター

学年・学部・所属を超えたコミュニケーションが活性化することが我々の理想である。それ を可能にするシステムを提案する。

3.調査及び空間、システムのデザイン制作

 法政大学の学生に学びの実態について、学習場所、学習方法、学習時に大切にすること、

学習形態などの調査を本大学学生 26 人に対して行った。その結果、以下のことが分かった。

個人学習の場合、約7割の学生が自習室を学習場所として選び、静かな空間を求めていた。

周りに学習している人がいる環境を求める声もあり、このことは学習意欲の向上につながる のではないかと考えた。以上のことより、個人学習の空間に求められる要素は、①静かな環境、

②意欲の向上を促進する環境であると考えた。集団学習の場合、約4割の学生が外堀椅子を、

約3割の学生がラーニングコモンズ・空き教室・食堂を学習場所として選び、主に会話ので きる空間を求めていた。また、グループワークを円滑に進めるための共有目的のツールがあ る環境を求める声もあった。以上のことより、集団学習の空間に求められる要素は、①話し 合いのできる環境、②話し合いを円滑にするためのツールを備えた環境であると考えた。そ れらの意見をもとに、典型的なユーザーモデルを抽出し、そのニーズをもとにデザインを考 えて行くペルソナデザインの手法を用いた。その例を以下に3つ示す。

A:付属校出身で、他学部にも友達はいる(が縦のつながりがない)。最近は資格の勉強をし ていて外堀校舎の自習室での静かな学習環境を好む。

B:ゼミやサークルには所属していない。放課後はバイトに専念し、勉強は自宅やカフェなど 学校以外の環境で行う。SA について知りたい。

C:サークルでの先輩後輩関係があるので、縦のつながりがある。サークル内で企画や引き継 ぎ等について話し合うことが多い。

個人学習

Relax Individual Group

Free システム

個人学習 Relax

Individual Group

Free

システム

個人学習 Relax Individual Group

Free システム

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 ・空間デザイン

 構造としては、図書館の上の階にあり、中 央のエレベーターからユーザーは入る。誰も が通るこの場所に、今回私たちが提案するシ ステムを導入した。人の動きや流れに着目し たデザインになっている。学習スタイルを調 査した結果から、以下の5つの空間設定をした。

 以上のような形で、ユーザーモデルをもとにデザイン案を考えた。それらを図面化・模型 化をし、デザイン案を作成した。

 ・個人学習(半二階)

 やはり、静かで孤立した場所のニーズは多かったので、半二階に、高さとガラスによって 音を遮断した今の自習室に当たるスペースを設置。一見孤立しがちに見える個人学習者も、

必ず皆が学んでいる場を通るようになっていて、学ぶ気配を感じられる設計になっている。

 ・リラックス(緑)

 ここに、私たちは、机にむかって勉強する だけが学びのスタイルではないと考え、ハン モックや畳など我々の考える遊び心を入れた。

図書館の上にあるため、本を読むには、ソ ファやハンモックなど完全にリラックスした 状態で学ぶこともあると考えた。Individual、

Group の学習スペース両方からのアクセスが 可能。

 ・Individual(ピンク)

 もう一つの個人学習の場。個人学習をする 場合でも、周りがざわざわしていて、その雑 音や勉強している人に囲まれて勉強をするの が好きという意見を受けての場。また、友達 との半個人学習にも最適。

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ポスター

 ・Group(青)

 やはり、ゼミやサークル、授業などにおいて、

複数人で集まれるスペースは重要である。今 回は、予約制のグループ学習室とは違い、自 由に、気軽に集まれるような場として設計し た。

 ・Free(オレンジ)

 現在のピアラーニングやラーニングコモン ズに相当する場である。机やイスは可動式で 様々な用途や人数に合わせて使用可能な設計。

Free スペースと同様、Individual、Group の学 習スペース両方からのアクセスが可能で、個 人学習からグループ学習、グループ学習にお いての人数変更などに対応。

 ・システムデザイン

 今回提案するシステムは、学生が主体となって情報を共有するものである。ここで言う情 報とは、アカデミックなもののみならず、体験やノウハウも含めたものを言う。 発信者は、シー トを新規作成し、共有したい情報を文字化。次に、情報に関するキーワードを「#SA」のよ うにタグとして設定し、システムにアップする。一方、受信者は、まずシステムにアクセスし、

得たい情報のキーワードを検索エンジンにかけて検索し、閲覧。その中で、気に入ったもの があった場合、お気に入り登録をすることができる。お気に入りに登録する際、自ら考えて タグを設定することができ、オリジナルのお気に入り一覧が作成できる。例えば、「イギリス の気候」についての情報に対して発信者が「#SA」とタグ設定していたとしても、受信者が お気に入り登録する際に「#SA イギリス」と付けることができる。 また、情報漏洩を防ぐた めに、受信者がシステムで情報を得るためには今回提案した「知」のコミュニケーションの 場で操作する必要があるが、発信者は気軽に情報を共有できるようにどこでも発信のための 操作をすることができる。 さらに、システムでシステム内の繋がりを作るのみならず、セミ ナーの開催案内も共有することで、Face to face の繋がりも築くことができ、ここでは、学生 のみならず教員も参加する場を作り上げる。

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3.実験

 目的:実際に、ユーザーに学習スタイルを聞き、そのニーズに今回我々が提案した空間な     いしシステムが対応できるのかということを確かめる。

 結果:ここでは、2つ例を挙げる。

 ①勉強は学校のスタディールームで行い、たまにカフェでも行う。家では行わない。

 ➡提案:個人学習スペース・individual スペース・relax スペース

 2階の個人学習スペースは外濠スタディールームのように、静かな学習スペースであるか らだ。しきりを設けたため、個人のスペースが確保され、静かに勉強に集中したい人に向い ていると考える。またカフェで勉強をするということより、少しざわついた環境での勉強に 向くのは、individual スペースであると考え、周囲には、グループワークを行う人たちもいる ため、リラックスして勉強に取り組むことができると考えた。relax スペースはカフェのよう に、自分のお気に入りの場所を見つけ、好きな本を読んだり、休息をとったり、のんびりで きるスペースである。カフェを学習環境に選んだということより、勉強の休憩時間や、リラッ クスしたいときに利用できる。

 ②パソコンを利用する。また、個人学習は個室のような空間で行う。

 ➡提案:個人学習スペース

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ポスター

 パソコンの利用は、どこのスペースでも出来るようにコンセントを設ける作りにしている。

個人学習の際に、半個室である学習スペースであり、静かな空間であったため個人学習スペー スを提案した。 しかしながら、我々のデザインには完全個室の学習スペースは作らなかった ため、個人学習スペースでも半個室空間になってしまう。このことより、前後左右を囲まれ た空間があってもいいのではないかと考えた。

 デザイン後に実際に学生の声を聞いてみると、それぞれの空間が機能するか否かを見るこ とができた。①では、ユーザーのニーズに対応できているが、②であったように、新たなニー ズも出てくることより、このような空間は、その時々に、ユーザーの変化やそのニーズをしっ かりと捉え、空間自体が変わっていく必要があると考えた。

4.評価

 実際に、学会での発表の場において、空間の模型とシステムの図を提示し、ユーザーから の評価を得た。

 空間について

 ・こんな学習スペースが実現したらすごく便利

 ・ハンモックというのが良いが、占領されてしまいそう  ・ほぼ全部の場所にコンセントは必要

 ・音は上に上ってくるから、自習室が音を遮断できるのか

 ・様々な用途に対応しているし、ハンモックや畳などが斬新で面白い

 システムについて

 ・教員ももっと積極的に参加していけるようになるといい。

 ・HOPS というシステムは、情報を共有するシステムという面では同じであるが、共有す る情報に制限があり、かつグループで分けられていることであまり使われてないが、今回 学生が主体となって、どんな情報も共有できるのは良い。

 ・セキュリティーが心配

 →発信者はどこでも、受信者は提案する空間でのみ操作可能

5.結論

 私たちは、今回学習スペースやその環境のデザインを通して、人々が学ぶ姿勢というもの を研究した。人は、様々な方法で学び、知識を得て行く。私たちが感じた学生の学びの現状 とは、課題を出されて、ある事柄について学んだり、試験に備えて、レジュメの範囲内のこ

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とを学んだりというように受動的なものとなっている面があるように感じた。現に、アクティ ブ・ラーニングが提唱されたことにより新設されたピアラーニングは、その目的にそって使 われることはほぼないという現状もある。

 そのような現状の中では、従来の学びの価値観を取り払うような学びの場、人が、自由に、

様々な形で学習できる場が必要とされる。さらに、学んだことを、アカデミックなもの、そ してその経験やノウハウも含めて、様々な所属を超えて共有することは非常に有意義であり、

学びの可能性を広げることができるのではないかと考えた。

 現在、そのような環境は完全には整っていないが、特に、大学においては、その学習環境 は学ぶ当事者である学生の学習スタイルやニーズをしっかりと取り入れていくことが、更な る学びの活性化につながるのではないか。しかし、我々の提案した学習空間ないしシステムは、

実際にユーザーに使われ、どのような使われ方をするのかということに着目し、それらのニー ズないしスタイルに柔軟に対応して行くことが求められる。したがって、今回我々が提案し たものが完成系ではない。このように、つねにユーザーの目線にたって、押しつけではない 設計をして行くことはとても重要なことである。

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ポスター

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市民にとっての戦争とは

鈴木靖ゼミ

仲島友理・宮寺真衣子・古山美月・宮本理代・小倉加奈・吉田桜子 門田聖矢・荒井葉亮・曲可欣・何采玲・禹尚秀・篠崎美佳・杉之下彩花・林梦凡

 今年 9 月、国会で集団的自衛権による武力行使を限定的に可能にする安全保障関連法が可 決された。同法は「我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守る」(内閣官房「安 全保障法制の整備について」)ことを目的したものだが、一方でこれによる他国との同盟関係 の強化は、国民を新たな戦争の被害者あるいは加害者にするとの懸念もある。

 集団的自衛権の行使が今後日本に、そして私たち一般市民にどのように関わってくるのだ ろうか。そんな疑問を抱え、私たちは過去の戦争について調べてみた。そこで出会ったのが、

1950 年朝鮮戦争中に起こった老斤里事件だ。これは朝鮮戦争の最中、老斤里という小さな村 で同盟国アメリカの軍隊によって韓国市民が大量虐殺された、という事件である。

 同盟国の軍隊が自国に入ったとき、あるいは自国の若者が海外に出兵したときに何が起こ りうるのか。このような問題を考える上で、この老斤里事件は多くの示唆を与えてくれると 考え、私たちはこの事件の調査に乗り出した。

 1950 年 6 月 25 日の朝鮮戦争の勃発から 3 日目、北朝鮮の侵攻を受け、韓国の首都が大 田に移された。その大田も 7 月 20 日に陥落すると、韓国市民たちは米軍の命令により後方 の安全地帯へ避難を始めた。韓国側の戦況が日増しに悪化する中、避難途中の避難民たちは、

突然現れた米兵に京釜線の線路上で所持品検査を受ける。結果、釜と包丁以外の危険物は見 つからず、彼らが北朝鮮の兵士ではなく、ただの避難民であることが確認されたはずだった。

ところが、しばらくすると米軍の戦闘機二機が飛来して、避難民を攻撃した。そして避難民 を線路下のトンネルの中へ追いやり、7 月 26 日の午後から 29 日の早朝まで約 60 時間、ト ンネルの両側から銃撃を加えた。これによって 150 名の市民が殺され、13 名が行方不明となっ た。そのうちの 83%は子ども、女性、老人であった。

 事件当時の様子を知るために、私たちは事件の現場となった忠清北道永同郡にある老斤里 を訪ね、事件の生存者の一人である梁海燦さんからお話をうかがった。当時まだ 10 歳だっ た梁さんは、死体の下に身を隠してなんとか生きのびることができたが、この事件で 13 人 の親戚を亡くされたという。事件当時を思い出されながら、梁さんはこう語った。「事件の記 憶を忘れようとしても忘れられませんし、生々しく記憶に残っています。だからこの場所で その話をするたびに胸が苦しくなり…胸がいっぱいでものが言えなくなるのです。」

 一方、罪もない避難民を殺害した米軍の兵士たちは、その後この事件とどのように向き合っ

奨励賞

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映像

てきたのだろうか。私たちはBBCが2002年2月1日に放送したドキュメンタリー番組 Kill ‘em All を翻訳し、その中で紹介されている元兵士たちの言葉を探った。そこに語られている事実 は衝撃的なものだった。

 「戦闘地域を移動する民間人はすべて敵とみなし、射撃するよう命じられた。」

 「いまでも(私が殺した)女の子の夢をみます。どれだけ忘れようとしても どれだけ治療 を受けても それは消えないのです。そして歳を重ねるごとに その苦しみは激しくなるばかり です。」

 朝鮮戦争が終わって約 60 年、兵士から市民に戻った今も、彼らは自分の犯した罪の重さ に苦しめられながら生きている。

 ここまでで、「市民にとっての戦争」という視点から、老斤里事件を通して見えてきたもの。

それは「苦痛、悲しみ、後悔」だけであった。では、私たちは平和を守るために今後どうし ていけばよいのだろうか。この問いこそが、今後日本国民として生きていく私たちの課題な のである。本作品を通して、私たち 1 人 1 人の平和への姿勢、というものについて考えてい ただけたのではないだろうか。

参照

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