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Trends in International Nutrition Policy Toru Rikimaru Office of Development Specialists, Institute for International Cooperation, Japan International

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Academic year: 2021

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国際栄養 政策 の動 向

独立行政法人国際協力機構国際協力総合研修所国際協力専門員室

Trends

in International

Nutrition

Policy

Toru Rikimaru

Office of Development Specialists, Institute for International Cooperation,

Japan International Cooperation Agency

Some of the most influential bodies for the direction of international nutrition policies are the United Nations System • Standing Committee on Nutrition (SCN) , the international conferences and summits related to nutritional matters, the general assembly of the United Nations and the guidelines on nutrition by United Nations organizations or authorized academic associations. SCN promotes cooperation amongst UN agencies to strengthen the coherence and the impact of actions against malnutrition with other partner organizations. The International Conference on Nutrition and the World Food Summit were held in the 1990s, and the objectives that were established were to halve the number of food-insecure and malnourished people by the 21st century, although these objectives are still far from being met. Millennium Development Goals established at the UN General Assembly in 2000 with the declared intent of radicating extreme poverty and hunger, reducing child mortality and improving maternal health, with emphasis placed on nutrition activities for achieving these goals. WHO has reported that child and maternal underweight are the leading global risk to disease, disability and death in the world today. Many guidelines have been developed by such responsible organizations, as WHO and UNICEF, and by academic associations to share a common understanding for combating global malnutrition, including PEM, iron deficient anemia, vitamin A deficiency and iodine deficiency. Although governments of developing countries and donors follow these guidelines, effective measures for nutrition related to HIV/AIDS, life-style related diseases, and anemia have yet to be sufficiently implemented, and measures for

developing the international growth standards and food/nutrition aid in an emergency and during war are still chal-lenging issues. Since poverty, hunger, conflict, population growth, food insecurity, infectious diseases, gender issues and environmental problems are strongly associated with feeding all the human beings, we have to widen the scope of nutrition science to adopt these challenging issues so that we can develop international nutrition as an applied science and contribute to combating global nutritional problems.

Jpn. J. Nutr. Diet., 62 (4) 199 210 (2004) Key words : international nutrition, nutrition policy, SCN, malnutrition, underweight

1.は じ め に 国連 食 糧 農 業 機 関(FAO)は,発 展 途 上 国 の17%が 低 栄 養 状 態(1999∼2001年)に あ る と推 定 した1)。栄 養 問 題 は 多 岐 に わ た り,タ ンパ ク 質 エ ネ ル ギー 欠 乏 症 (PEM),ビ タ ミンA欠 乏 症,食 事 性 貧 血,ヨ ー ド欠 乏 症,そ の他 の微 量 栄 養 素 欠 乏 な どが 広 く途 上 国 に発 生 し て い る。最 近 は,生 活 習慣 病 の 問 題 も先 進 国 め み な らず 途 上 国 に も浮 上 して い る。ま た,エ イ ズ な どの感 染 症 の 世 界 的 な 流 行 か ら 「感 染 症 と栄 養 」 の 取 り組 み も大 きな 課 題 とな っ て い る。さ ら に は,世 界 中 に発 生 して い る政 治 的 混 乱 や 自然 災 害 か ら発 生 す る難 民 や 被 災 者 へ の食 料 援 助 の取 り組 み な ど も重 要 な課 題 で あ る。 これ らの 栄 養 問 題 の 対 策 手 法 の 開発 の た め に,大 きな 人 的 お よび 資 金 的 投 入 が な され て きた。そ して そ の手 法 を駆 使 して 多 くの 国 際 機 関,ド ナ ー,NGO(非 政 府 組 織)な どが 積 極 的 に途 上 国へ の栄 養 食 料 協 力 を行 っ て き キ ー ワ ー ド:国 際 栄 養,ミ レ ニ ア ム 開 発 ゴ ー ル,SCN,栄 養 不 良,低 体 重 (連 絡 先:力 丸 徹 〒162-8433新 宿 区 市 ヶ 谷 本 村 町10-5国 際 協 力 機 構 国 際 協 力 総 合 研 修 所 電 話03-3269-3851 FAX 03-3269-6991 E-mail Rikimaru.Toru@jica.go.jp)

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て い る。多 くの 点 で効 果 が 現 れ て い る半 面,い ま だ に大 きな解 決 に至 っ て い な い 側 面 もあ る。そ の 取 り組 み を さ ら に効 果 的,効 率 的 に促 進 す る た め に は,途 上 国政 府, 国 際 機 関,援 助 機 関,NGO,大 学・研 究 所 な どが 相 互 に幅 広 い 協 力 の も とに,共 通 の 認 識 や 指 針 を もつ こ とが 必 須 条 件 と な っ て きて い る。 これ まで も,国 連 機 関 を は じめ と して,国 際 的 な栄 養 課 題 へ の 取 り組 み に関 す る指 針 につ い て は 論 議 が な され て きて,多 くの ガ イ ドラ イ ンが 送 り出 され て い る。 本 論 で は,「 国 際 栄 養 政 策 の動 向 」 と題 して,近 年 の 国 際 機 関 等 の 栄 養 政 策 へ の 取 り組 み とそ の 課 題 に つ い て 述 べ る こ と とす る。 Ⅱ.国 際 栄 養 政 策 の 動 き 国 際 栄養 政 策 の 指 針 を決 定 づ け,か つ 大 きな影 響 を及 ぼ して い る の は,(1)国 連 シ ス テ ム・栄 養 委 員 会,(2) 栄 養 食 料 に 関 連 を もつ 国 際 会 議,(3)国 連 総 会,(4)国 連 機 関 を 主 体 と した 国 際 機 関 の ガ イ ドラ イ ン な どで あ る。 1.国 連 シス テ ム・栄 養 委 員 会 の 役 割 「国 際栄 養 」 は,現 時 点 で は特 に途 上 国 の栄 養 問題 を 重 要 な課 題 と して取 り扱 っ て い る。先 進 国 もそ れ ぞ れ に 栄 養 問題 を抱 え て い る が,個 々 の 国 が 自 国の 責 任 で そ の 対 策 を立 て る こ とが 可 能 で あ り,共 通 の 指 針 を立 て る 緊 急 性 は そ れ ほ ど問 わ れ て い な い よ う に思 われ る。 一 方,途 上 国 の場 合 は,栄 養 改 善 へ の 取 り組 み に対 し て,多 くの 国 際 機 関,二 カ 国 援 助 機 関,NGOな どの 協 力 を得 て い る た め に,ド ナ ー 間 や ドナ ー と被 援 助 国 間 に ア プ ロー チ や 手 法 に齟齬 が 生 じな い よ う,共 通 の 認 識 あ る い は ガ イ ドラ イ ンが 不 可 欠 とな っ て くる。混 乱 を さけ る た め に,関 連 組 織 間で 共 通 指 針 を立 て る こ とが 求 め ら れ,現 在 そ の役 割 を果 た して い る のが,国 連 シ ス テ ム・ 栄 養 委 員 会(UN System・Standing Committee on Nutrition:SCN)で あ る(資 料1)。国 際機 関 が独 自 に, あ る い は い くつ か の 機 関 が 共 同で ガ イ ドラ イ ンや ポ リシ ー を作 成 し,発 行 して い るが,そ の 基 本 的 内容 につ い て は,SCNの 会 議 で す で に コ ンセ ンサ ス が 得 ら れ た も の で あ る と解 釈 で き る。た だ し,SCNの 役 割 は,か な り 厳 し くチ ェ ックす る よ うな機 能 を持 ち合 わ せ て い る訳 で は な い の で,全 て が 明確 な 形 で 同 意 され た もの だ と断 言 す る こ と はで きな いが,国 際 栄養 分 野 の 政 策 形 成 に対 し て は,情 報 の 提 供 や 論 議 の機 会 提 供 とい った 形 で 大 き な 影 響 を与 え て い る。 2.栄 養 に か か わ る世 界 会 議2) 1990年 代 に は 栄 養 と食 料 に 関 す る大 き な世 界 会 議 が 開 催 され,栄 養 の た め の 目標 が 設 定 され た。多 くの 途 上 国 は これ らの 世 界 宣 言 を教 訓 に栄 養 ポ リ シー の 策 定 と ゴ ー ル の 設 定 を行 っ た。 世 界 子 供 サ ミ ッ ト(1990)の 会 議 で は,「5歳 未 満 の 子 供 の 中・重 度 栄 養 不 良 の 割 合 を,2000年 まで に1990年 の 半 分 に減 少 させ る 」 こ とが 強 調 さ れ た。ま た,10年 後 ま で に は ビ タ ミ ンA欠 乏 症 を な くす こ と も同 時 に提 案 され た。 そ して,1992年 に 世 界 栄 養 会 議 が,世 界 保 健 機 関 (WHO)とFAOの 共 催 で ロ ー マ に て 開催 され た。そ し て,世 界 子 供 サ ミッ トで 強 調 され た 目標 の再 確 認 と飢 餓 資料1国 連 シス テ ム・栄 養 委 員 会(SCN)の 役 割 ACC/SCNは,国 連 機 関 あ る い は 国 際 機i関 の 栄 養 活 動 や ポ リ シ ー を 調 整 す る た め の 組 織 で あ る。国 連 機 関 の ヘ ッ ドか ら構 成 さ れ るAdministrative Committee of Coordination(ACC)が,World Food Conference後 の1977年 にSub-Committee on Nutrition(SCN)の 設 立 を 勧 告 し た。そ し て,こ れ は 国 連 の 経 済 社 会 審 議 会(ECOSOC)に よ っ て 承 認

さ れ た。2001年 にACCの リ フ ォ ー ム が あ っ た た め,SCNはUnited Nation System・Standing Committee on Nutritionに 名 称 を 変 更 し た。SCNの 国 連 メ ンバ ー は,ECA,FAO,IAEA,ILO,UN,UNAIDS,UNDP,UNEP, UNESCO,UNFPA,UNHCHR,UNHCR,UNICEF,UNRISD,UNU,WFP,WHO,WorldBank,IFPRI,ADB で あ る。外 部 か ら は二カ 国 援 助 国(そ の 機 関),NGOの 代 表 がSCN活 動 に 積 極 的 に 参 加 し て い る。事 務 局 は ジ ュ ネ ー ブ のWHO内 に あ る。 SCNの 役 割 は,国 連 機 構 を 通 し て 栄 養 ポ リ シ ー と 戦 略 を 調 整 す る こ と で あ り,ま た 栄 養 不 良 に 対 し て よ り活 発 で 効 果 的 な 活 動 を 行 う た め の パ ー トナ ー と の 協 力 を 強 化 す る こ と で あ る。定 例 会 が,国 際 機 関 や二 カ 国 援 助 機 関 を ホ ス トと し て 毎 年 世 界 各 国 で 開 催 さ れ て い る。SCNの 中 に は 主 要 課 題 の ワ ー キ ン グ グ ル ー プ が あ り,SCN定 例 会 議 時 に ワ ー キ ン グ グ ル ー プ の 討 議 内 容 や 課 題 に 対 す る 指 針 な ど が 提 出 さ れ る こ と に な っ て い る。現 在 の ワ ー キ ン グ グ ル ー プ は 以 下 の よ う な も の で あ る。 ・ラ イ フ サ イ ク ル を 通 し た 栄 養 ・緊 急 時 の 栄 養 ・HIV/AIDS ・微 量 栄 養 素 ・栄 養,倫 理 お よ び 人 権 ・食 料・栄 養 に 関 す る キ ャパ シ テ ィ ー・デ ベ ロ プ メ ン ト ・就 学 齢 児 の 栄 養 ・母 乳 と補 助 食 ・世 帯 食 料 保 障 資 料)www.unsystem.org/scn

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201 表1 2015年 を 目 途 と し た ミ レ ニ ア ム 開 発 ゴ ー ル3) に よる死 の撲 滅 が 謳 わ れ た。ま た こ の会 議 で は,各 国 が 独 自の 国家 栄 養 活 動 計 画 を策 定 す る こ とが 勧 告 され た。 さ ら に は,世 界 食 料 サ ミ ッ ト(1996)の 会 議 で は, 「栄 養 不 良 の 人 数 を2015年 まで に は現 在 の 半 分 に す る こ とを 目標 に もち,全 て の 人 々 に食 料 安 全 保 障 を 達 成 させ る働 き をす る こ と,ま た 全 て の 国 の飢 餓 を撲 滅 す る 努 力 を続 け る こ と」 が 謳 わ れ た。 これ らの全 て の 会 議 は,貧 困 を撲 滅 す る た め の 幅 広 い 戦 略 の1つ と して栄 養 不 良 の 削 減 を 強 調 し て い る 点 で 共 通 して い る。し か し,こ れ らの力 強 い宣 言 に もか か わ ら ず,2000年 に 達 した 時 点 で も,当 初 の 目標 は 達 成 され て お らず,今 後 もそ の可 能 性 を疑 問視 す る声 さ え聞 か れ る。旱魃,戦 争,内 乱,HIV/AIDS,腐 敗 政 治,人 口 増 加 な どが,こ れ らの世 界 宣 言 の ブ レー キ とな って い る よ う に思 わ れ る。 3.国 連 総 会 ミ レニ ア ム 開発 ゴ ー ル3,4) 2000年 に 開 催 さ れ た 国 連 総 会 は 「ミ レ ニ ア ム・サ ミ ッ ト」 と呼 ば れ,貧 困 を 半 減 させ る とい う 「ミ レニ ア ム 開 発 ゴー ル 」 を採 択 した(表1)。こ の 「ミ レ ニ ア ム 開 発 ゴ ー ル」 は8項 目の 開発 ゴー ル を 明記 して,2015年 ま で に 達 成 す る も の と し て い る。ゴ ー ル1は,「 極 度 の 貧 困 と飢 餓 の撲 滅 」 で,そ の 目標1は,貧 困 を2015年 ま で に1990年 代 の半 分 に 削 減 す る こ とで あ り,目 標2は 飢 餓 に苦 しむ 人 口 を2015年 まで に1990年 代 の レベ ル の 半 分 にす る こ とで あ る。目 標2の 達 成 度 を評 価 す る指 標 と し て,「5歳 未 満 児 の 低 体 重 の 発 生 率 」 と 「最 低 レベ ル 以 下 の エ ネ ル ギー 量 を摂 取 す る 人 の 割合 」 が あ げ られ て い る。 ま た,そ の他 の ゴ ー ル と して,初 等 教 育 の 普 及,ジ ェ ン ダ ーの 平 等,子 供 の死 亡 率 の削 減,妊 産 婦 の健 康 改 善, HIV/AIDSな どの 予 防 な どが あ げ られ て い る。 栄 養 不 良 は,人 間 の元 来 の 資 質 を侵 食 し,問 題 に対 応 しよ う とす る弾 力 性 を減 じ,そ して 肉 体 的,知 的 能 力 へ の影 響 を介 して 生 産 力 の 低 下 を 引 き起 こす とい う点 で, 貧 困 の大 きな要 因 で もあ る。ま た,栄 養 不 良 に よ っ て知 的能 力 が 低 下 し,そ の 子 供 の 就 学 率 が 低 下 し,就 学 時 期 が 遅 延 す る傾 向 に あ る。栄 養 不 良 は,子 供 の 学 校 で の学 習 活 動 に もマ イ ナ ス 影響 を及 ぼ して い る。こ の よ うな観 点 か ら,貧 困 の撲 滅 や 初 等 教 育 の 達 成 の た め に は,栄 養 改 善 は非 常 に 重 要 な要 素 で あ る と い え る。 また,乳 幼 児 死 亡 率 の 低 下 や 妊 産 婦 の健 康 改 善 を推 進 す る うえ で は,栄 養 改 善 は最 重 要 な必 須 事 項 で あ る こ と は 言 う まで も ない。 さ ら に,ゴ ー ル8で 謳 っ て い る 「開発 の た め の グ ロ ー

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図1World disease burden(DALYs) in 2000 attributable to selected leading risk factors Source) WHR (2002) バ ル パ ー トナ ー シ ップ の推 進 」 の項 目で は,最 貧 国 に対 し て政 府 開発 援 助(ODA)の 特 別 な 配 慮 を 実 施 す る こ と を 目標 に掲 げ てお り,そ の 目標 達 成 度 の 評価 の た め の 指 標 と して,「 基 礎 社 会 サ ー ビ ス(基 礎 教 育,プ ラ イマ リー ヘ ル ス ケ ア,栄 養,安 全 な水,衛 生)に 対 す る援 助 機 関 のODAの 割 合 」 が 明記 され て い る。こ の よ う に ミ レニ アム 開 発 ゴー ル の達 成 の た め に は,栄 養 分 野 へ の 取 り組 み は必 要 不 可 欠 な重 要 な事 項 で あ る と断 言 で き る。 4.世 界 保 健 報 告 書2002 健 康 阻 害 の 最 大 危 険 因子 と して の低 体 重 WHOは,健 康 に対 す る リス ク に 関 す る こ れ まで に な い 大 規 模 な 調 査 結 果 を ま と め,「The World Health Report 2002」 に報 告 して い る5)。報 告 書 は,今 日の 世 界 にみ られ る疾 病,障 害,死 亡 に影 響 を及 ぼ す 基 本 的 な リ ス ク を 明確 に して い る。選 択 され た25以 上 の 主 要 な 予 防 可 能 リ ス ク を,影 響 度 の大 きい順 に ラ ン クづ け して い る。 こ れ らの リ ス ク を正 当 に 評 価 す る た め の尺 度 と して, DALYs(障 害 調 整 生 存 年 数)が 適 用 さ れ て い る 注)。同 定 され た リス ク は,影 響 規 模 の 大 き さ順 に,子 供 と妊 産 婦 の 低 体 重,危 険 な性 交 渉,高 血圧,喫 煙,飲 酒,不 衛 生(安 全 で な い 飲 料 水,ト イ レ,衛 生),高 コ レス テ ロ ー ル,固 形 燃 料 に よ る室 内煙,鉄 欠 乏,肥 満,亜 鉛 欠 乏, 果 物・野 菜 の 低 摂 取,ビ タ ミ ンA欠 乏 と な っ て い る (図1)。母 子 の 低 体 重 のDALYs全 体 に 占 め る 割 合 は 9.5%(1億3,800万DALYs)で あ る。 こ れ らの リス ク の ラ ンキ ン グ は,地 域 に よっ て 異 な り, 先 進 国 で は高 血 圧,高 コ レス テ ロー ル,肥 満 な どが 上 位 リ ス ク とな っ て い る が,高 死 亡 率 を示 す 途 上 国 で は,低 体 重,危 険 な性 交 渉,不 衛 生 な どが 上 位 リス ク と な っ て い る。さ らに途 上 国 の 中 で も地域 差 が あ り,ア フ リ カで は,危 険 な性 交 渉 が 低 体 重 を若 干 上 回 っ て い る。一・方, 南 東 ア ジア(WHO区 分)は 低 体 重 が 不 衛 生 や そ の 他 の リス ク を大 幅 に上 回 っ て 大 きな 健 康 障 害 リス ク と な っ て い る。 こ れ らの結 果 か ら も,い か に低 栄 養 が 人 々の 健 康・生 命 の大 きな リス ク とな っ て い る か が 明 白で あ り,途 上 国 で は最 もそ の対 策 に 重 点 を 置 くべ き課 題 で あ る。 皿.世 界 の 栄 養 問 題 の 現 状 1.タ ン パ ク質 エ ネ ル ギ ー 欠 乏症(PEM) 2000年 時 点 で,途 上 国 の 乳 幼 児 の 低 体 重(Under-weight)発 生 率 は 約25%と 推 測 さ れ て い る。世 界 的 に は乳 幼 児 の低 体 重 の発 生 率 は 実 質 的 に減 少 して い る(図 2)。発 生 率 の 高 か っ た 南 ア ジア で もそ の 傾 向 は明 らか で あ る。一 方,ア フ リ カの 状 況 は他 の 途 上 国 と は異 な り悪 化 傾 向 に あ る。そ の 要 因 と し て,貧 困 の 増 大, HIV/AIDS感 染 の拡 大,内 乱,農 業 生 産 の 増 大 不 調 が 考 え られ て い る。低 栄 養 の 絶 対 数 は,い ま だ大 きな人 口 を保 有 して い る ア ジア が 圧 倒 的 に優 位 で あ るが,低 栄 養 問題 の深 刻 さは ア フ リ カ に徐 々 に シ フ トさ れ て い る とい え よ う。 成 長 不 良(Stunting)に 関 して も低 体 重 の 結 果 とほ ぼ 同 様 な 傾 向 が み ら れ た。全 途 上 国 に お け る 痩 せ (Wasting)の 発 生 率 は約8%前 後 と推 定 さ れ,こ れ らの 発 生 率 は 近 年 大 き な変 動 を示 して い な いが,ア フ リカ で

注)DALYs(Disable Adjusted Life Years)は,損 失 生 存 年 数(Years of Life Lost: YLL)と 障 害 生 存 年 数(Years of Life Lived with a Disability: YLD)の 和 と し て 表 さ れ る も の で,全 て の 疾 病 に よ る 健 康 影 響 度 を 比 較 す る た め の 共 通 尺 度

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children 0-5 years old 1990-2005 by UN region and subregion

Notes) auflderwejght is defined as < - 2 standard deviations of the weight-for-age median value of the NCHS/ WHO international reference data.

bData not available .

Sources) WHO Global Database on Child Growth and Malnutrition (2003)

203

図2EStimatedprevalenCeOfunderweighta

children 0-5 years old 1990-2005 by UN region and subregion

Notes) aUnderweight is defined as < - 2 standard deviations of the weight-for-age median value of the NCHS/WHO international reference data.

bData not available .

Sources) WHO Global Database on Child Growth and Malnutrition (2003)

上 昇 し,ア ジ ア で減 少 す る傾 向 は 他 の 低 栄 養 指 標 と同様 で あ っ た4)。PEMの 対 策 と して, WHOと ユ ニ セ フ は完 全 母 乳 と 適 切 な 補 助 食 の 普 及 を 図 る た め のIYCF

(Infant and Young Child Feeding)グ ロー バ ル戦 略 を 途 上 国 各 国 に推 奨 して い る6)。 2.ヨ ー ド欠 乏 症 1990年 代 に は,世 界 の30%以 上 の 人 々 が ヨ ー ド欠 乏 の リス ク を有 す る とみ られ,ま た 甲状 腺 腫(Goitre)の 経験 を もつ 人 の 数 は約7億5000万 人 以 上 で あ る と推 定 さ れ て い る。不 十 分 な ヨー ド摂 取 の 結 果 と して,4,300万 人 の 人 々 が なん らか の 脳 障害 を受 け て い る と推 定 され て い る7)。世 界 規 模 で は,ヨ ー ド欠 乏 症 は250万DALYs の 結 果 を起 こ して い る と推 定 さ れ て い る5)。 ヨー ド欠 乏 は ヨー ド油 の直 接 的経 口投 与,お よ び皮 下 注 入,食 塩 の ヨー ド添 加 な どの方 法 に よっ て 改 善 す る こ とが 可 能 で あ る。食 塩 へ の ヨー ド添 加 が 最 も一 般 的 な方 法 で,こ の 手 法 は 全 て の 地 域 で 有 意 に増 加 して い る。 2002年 の 時 点 で,途 上 国 の66%以 上 の 人 々 は ヨー ド添 加 塩 を摂 取 して い る と さ れ て い る7)。 3.ビ タ ミ ンA欠 乏症 最 近 の デ ー タ か ら の推 定 に よれ ば,1億4,000万 人 の 未 就 学 児 と700万 人 以 上 の 妊 婦 が 毎 年 ビ タ ミ ンA欠 乏 症 に侵 さ れ て い る。結 果 と して120万 ∼300万 人 の子 供 と相 当 数 の 女 性 が 不 必 要 に死 亡 し,440万 人 の 子 供 と 620万 人 の 女 性 が 夜 盲 症 に侵 され て い る8)。高 ビ タ ミ ン 欠 乏 症 発 生 地 域 で は,ビ タ ミ ンAの サ プ リ メ ン テ ー シ ヨ ンは20%程 度 まで 乳 幼 児 死 亡 率 を 低 下 させ る こ とが で き る とさ れ て い る9)。途 上 国 の6∼59か 月齢 児 の59% が,ビ タ ミ ンAの 投 与 を受 け て い る と推 定 され て い る8)。 4.鉄 欠 乏 性 貧 血 WHOは,世 界 の60%以 上 の 人 々が 鉄 の摂 取 が不 十 分 で あ り,30%以 上 が 貧 血 症 で あ る と推 定 し て い る1・)。 特 に,途 上 国 の 妊 産 婦 や 乳 幼 児 が そ の影 響 を 強 く受 け て い る。途 上 国 の 妊 産 婦 の56%,就 学 齢 児 の53%,非 妊 婦 の44%,未 就 学 児 の42%が 貧 血 で あ る と報 告 さ れ て い る11)。貧 血 は知 的 発 達 の 障 害,就 学 率 の 抑 制,生 産効 率 の 悪 化 の要 因 とな る た め,途 上 国 の 経 済 開発 の大 きな 阻害 要 因 とな っ て い る。 最 近Hortonら12)は,貧 血 に よ っ て 損 失 した 収 入 の GDPに 占 め る割 合 を算 定 し た。そ の 経 済 価 は,貧 血 の 程 度 や 教 育 の労 働 市 場 へ の 貢献 度 に も影 響 され るが,例 え ば ホ ン ジ ュ ラ ス で2%,バ ング ラ デ シ ュで7.9%と 大 きな 割 合 で あ る こ とが 示 さ れ た。 また,米 国 医 学 研 究 所 の最 近 の分 析 に よれ ば,妊 産 婦 死 亡 の1/5は 重 症 貧 血 の 影 響 を受 け た 結 果 で あ る と され て い る13)。貧 血 対 策 と して は,栄 養 教 育 や 寄 生 虫 の 駆 除 な ど を行 って い るが,栄 養 教 育 の効 果 が期 待 で きな い こ とか ら,鉄 剤 の 投 与 普 及 が 中心 に行 わ れ て い る。 5.亜 鉛 欠 乏 症 亜 鉛 欠 乏 に よ り,成 長 阻害,感 染 症 の罹 患 や重 症 度 の 助 長,異 常 妊 娠 な どが 起 こ りや す くな る。現 時 点 で 欠 乏 症 の発 生 状 況 に 関 す る信 頼 され る デー タ は な いが,食 料 需 給 の デ ー タか ら推 定 され て い る。そ の 結 果 に よれ ば, 低 亜 鉛 摂 取 の リス ク を もつ 人 口割 合 は,調 査 対 象 地 域 全 体 で約48%で あ る。そ の 中 で 南 ア ジ ア(95%),北 ア フ リカ・東 地 中海 地 域(74%),南 東 ア ジ ア(WHO区 分) (71%),サ ブ サ ハ ラ ア フ リ カ(68%)の 地 域 で 高 い結 果 とな っ て い る14)。そ の対 応 策 と して 食 事 の 多 様 性,食 品 強 化,サ プ リ メ ン テ ー シ ョ ン な ど の ア プ ロ ー チ 法 が IZINCG (International Zinc Nutrition Consultative Group)か ら提 案 され て い る15)。 Ⅳ .栄 養 政 策 上 で 重 要 な 基 準 と ガ イ ド ラ イ ン 1.公 衆 衛 生 学 的 重 要 度 を知 る ため の 基 準 栄 養 問題 を抱 え て い る 国 は,国 の 政 策 と して そ の対 策 を急 ぐ必 要 が あ る が,同 時 に 対 策 の 重 要 度 や 緊 急 性 の度 合 い を推 測 しな け れ ば な らな い。そ の 目安 と な る指 標 に 関 して,米 国 医学 研 究所 が 地 域 の リス ク レベ ル を判 定 で きる表 を作 成 した(表2)16)。栄 養不 良 の 種 類 別 に,そ の 発 生 割 合 を4段 階 に分 け て い る。こ の 表 に利 用 され た 数 値 が 絶 対 的 な 意 味 を持 つ もの で は ない が,世 界 の 栄 養 不 良 発 生 率 の 現 状 を考 慮 して 勘 案 さ れ た も の で あ る の で, 1つ の 目安 と して 利 用 す る こ とが 可 能 で あ る。こ の よ う

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な指 標 は,近 年,生 活 習慣 病 を含 め さ ま ざ ま栄 養 問題 が 発 生 して い る途 上 国 の 中 で,ど の よ う な対 策 に優 先 性 が あ るの か 判 定 す る際 に も有 効 とな る。 2.栄 養 対 策 の た め の ア プ ロ ー チ さ ま ざ ま な栄 養 不 良 あ る い は栄 養 関 連 疾 患 が 存 在 し, そ の 改 善 の た め に 適 切 な ア プ ロ ー チ を取 る必 要 が あ る。 SCNは,栄 養 障 害 と介 入 方 法 と の 関 係 の マ トリ ッ クス を紹 介 して い る(表3)16)。本 章 に掲 載 した もの は,各 栄 養 障 害 が 米 国 医 学 研 究 所 の公 衆 衛 生 学 的重 要 度 でⅣ 度 を 示 す 深 刻 な事 態 の 対 応 法 で あ る。深 刻 度 に よ りそ れ ぞ れ の対 応 が 調 整 され る こ と は言 うま で もな い。介 入 方 法 と して,サ プ リ メ ン テ ー シ ョ ン,食 品 強化,フ ー ド・ベ ー ス・ア プ ロー チ お よ び公 衆 衛 生 学 的対 策 が あ る。サ プ リ メ ンテ ー シ ョン に は,対 象 を特 定 す る場 合 と,対 象 を特 定せ ず に全 国 規 模 で 実 施 す る よ うな もの が あ る。 例 え ば ビ タ ミ ンA欠 乏 が一 般 的 で あ る 途 上 国 で は, 重 症 な 栄 養 不 良 児 や 麻 疹 感 染 児 に 対 して ビ タ ミ ンA投 与 を実 施 す る 一 方 で,全 て の6か 月 か ら5歳 未 満 児 に 年 2回 投 与 す る 方 法 も行 って い る。 食 品 強 化 に関 して は,ヨ ー ドの食 塩 添 加 は そ の 典 型 的 な対 策 で あ り,対 象 を特 定 しな いユVバ ー サ ル な 対 応 と な っ て い る。 フ ー ド・ベ ー ス・ア プ ロ ー チ に は,栄 養 教 育 が あ り, 食 料 生 産,お よ び食 品補 足(Food-to-food)な どの コ ン ポ ー ネ ン トが あ る。こ の 表 で は,「 食 料 生 産 」 とな っ て い るが,世 帯 食 料 安 全 保 障(household food security) の 方 法 が 実 質 的 効 果 を伴 う よ うに思 わ れ る。 さ ら に,公 衆 衛 生 学 的 な ア プ ロ ー チ と して,予 防接 種, 寄 生 虫 コ ン トロー ル,安 全 な飲 料 水 と衛 生 の確 保,移 動 手段 の ポ リ シ ー策 定,下 痢 と呼 吸 器疾 患 対 策,衛 生 観 念 の 向 上,活 動 能 力 の 向上 な どが重 要 とな っ て い る。問 題 の 対 策 に対 して どの よ うな ア プ ロ ー チ が 必 要 で あ るか を 適 切 に判 断 して,対 策 の た め の 戦 略 を構 築 す る こ とが 求 め られ る。 3.食 料 援 助 緊 急 食 料 援 助 は,食 料 の確 保 が 全 く困 難 な状 況 にあ る 難 民 や 被 災 者 に対 して行 わ れ る。援 助 側 は,対 象 者 の栄 養 状 態 維 持 に必 要 な食 料 の 量 を即 座 に計 算 す る こ とが 求 め られ る。世 界 食 糧 計 画(WFP)と 国 連 難 民 高 等 弁 務 官 事 務 所(UNHCR)は,緊 急 時 の 食 料・栄 養 必 要 量 を 推 定 す る た め の ガ イ ドラ イ ン を発 表 して い る17)。こ の ガ イ ドラ イ ンで は,エ ネ ル ギ ー 算 出 基 準,各 種 栄 養 素 摂 取 量 の 基 準,食 文 化 を 配慮 した 食 品 の 選 択,ク ッキ ング条 件 の確 認,供 与 食 品 の 品 質 管 理,難 民 の 栄 養 状 態 の モ ニ タ リ ン グ な ど に つ い て 説 明 し て い る(資 料2)。こ れ ら の ガ イ ドラ イ ン を尊 重 して,早 急 に対 応 す る こ とが求 め られ て い る が,緊 急 食 料 援 助 を必 要 とす る対 象 に,迅 速 に そ して 公 平 に分 配 す る に は,さ ま ざ ま な課 題 が残 され て い る。 難民 や被 災 者 を ター ゲ ッ トと した食 料 援 助 の他 に,食 料 需 給 が マ イ ナ ス状 態 にあ る国 へ の 穀 物 や 特 定 の食 料 の 援 助 も行 わ れ て い る。し か し,大 量 の援 助 食 料 が 安 い価 格 で市 場 に 出 回 っ た場 合,現 地 で 生 産 され て い る農 産 物 の価 格 の下 落 を起 こ して,生 産 農 家 に ダ メー ジ を与 え る な どの 問題 を生 じる こ と もあ りう る。 そ こ で,多 くの被 援 助 政府 で は,こ れ らの 食 料 のマ ー ケ ッ トへ の影 響 を軽 減 し配 送 コ スrトを節 約 す る た め に, 援 助 食 料 を民 間 に適 切 な価 格 で 販 売 し,そ れ に よ っ て確 保 した予 算 を 農業 生 産 向 上 に活 用 す る シス テ ム を応 用 し て い る。 4.ビ タ ミ ンA投 与 近 年 は 多 くの 途 上 国 で 乳 幼 児 へ の ビ タ ミ ンA投 与 が 普 及 し,そ の実 施 普 及率 が 上 昇 して い る。対 象 は,乳 幼 児 だ け で は な く授 乳 婦 も含 ま れ て い る。ビ タ ミ ンAの 投 与 は,ビ タ ミ ンA欠 乏 症 の予 防 を 目 的 と して い る が, 同時 に免 疫 能 の 向上 と感染 症 罹 患 お よ び乳 幼 児 死 亡 率 の 抑 制 を も 目的 と して い る。ま た,麻 疹,慢 性 下 痢,重 症 栄 養 不 良 を患 っ て い る乳 幼 児 に対 して も単 発 的 投 与 が 推 奨 さ れ て い る。ビ タ ミ ンAの 投 与 は,WHOの 基 準 量18) を遵 守 して行 わ れ て い る(表4)。 ビ タ ミ ンA欠 乏 症 は,子 供 に対 して の み な らず 軽 度 の 夜 盲 症 に な っ て い る 妊 婦 に 対 して も大 き な死 亡 リス ク フ ァ ク ター とな っ て い る。妊 婦 へ の ビ タ ミ ンA投 与 は, 胎 児 へ の影 響 な ど を考慮 して投 与 は見 合 わせ られ て い た が,ビ タ ミ ンA欠 乏 症 が 乳 幼 児 に 発 生 し て い る 地 域 や 妊 産 婦 の 食 事 に 含 まれ る ビ タ ミ ンA量 が 低 い 地 域 で は, 母 親 の健 康 維 持 と胎 児 の 発 育 に ビ タ ミ ンAの 投 与 効 果 が 期 待 で き る こ とか ら,以 下 の 条 件 で ビ タ ミ ンAを 投 与 す る こ とが推 奨 され て い る19)。 ① 妊 娠 中 を 通 して1日 当 た り10,000IU(3,000μgRE) の投 与 を超 え な い。 ②1週 間 当 た りの投 与 量 は25,000IU(8,500μgRE)を 超 え て は な ら ない。 ③ 上 記 に関 して は,25,000IUの 単 発 投 与 は推 奨 で きな い。特 に 受 胎 か ら15∼60日 目の 問。 5.鉄 剤 妊 娠 女性 が 食 事 か ら鉄 分 必 要 量 を摂 取 す る こ とは,多 くの 途 上 国 で 実 質 的 に 不 可 能 で あ る とみ な さ れ て い る。 そ の 結 果,ほ とん どの 途 上 国 で妊 娠 女 性 へ の鉄 剤 投 与 を 栄 養 政 策 の1つ と して実 践 して い る。UNICEF/WHO合 同保 健 ポ リ シー 委 員 会(1996)は,妊 娠 女 性 の 少 な くと も40%が 貧 血 で あ る 国 で は,全 て の 妊 婦 と6カ 月 か ら5 歳 齢 の 子 供 に対 してサ プ リメ ンテ ー シ ョ ン を行 う こ と を 推 奨 して い る20)(表5)。ま た,鉄 の 要 求 量 が 最 大 に な る

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資 料2 WFP/UNHCR食 料 援 助 ガ イ ドラ イ ン17)(一 部 抜 粋) ●対 象 者 の詳 細 な情 報 が な い 初 期 段 階 で は,エ ネ ル ギ ー基 準 値 を1人 当 た り2 ,100kcalと す る。 ●十 分 な食 料 とは,軽 作 業 の た め の エ ネル ギ ー,タ ンパ ク 質 ,脂 質,お よび ミネラルの最低必要量 を満 た し,文 化 的に 受 け入 れ られ,子 供 や病 弱 者 で も容 易 に消 化 可 能 で あ る もの と定 義 され て い る。 ●当初 か ら規 定 の必 要 エ ネ ル ギ ー と異 な る と判 明 して い る場 合 は ,フ レキ シブル に対応す る。あ る程度 の食料入手 や収 入 が あ る場 合 は必 要 量 を 減 ら こ とが で き る。ま た,気 温 の低 い環 境 条件 下 で は,食 料 必 要 量 を増 や す べ きで あ る。こ の 場 合 は20℃ が基 準 とな り,5℃ 低 下 毎 に100kcalの 増 加 とな る。 ●実 際 の 食 料 栄 養 量 を計 算 す る こ とは 非 常 に重 要 で あ る の で,対 象 の主要 な状 況 と条件 を考慮 して,で きるだけ早 い段 階 で,経 験 者 に よ っ て実 施 され るべ きで あ る。 ●2,100kcalは 軽 作 業 の男 女 の 平 均 値 と して 求 め られ た 数 値 で あ り,労 働 量 や 男 女 比 ,年 齢構成 比な どに よって必要 エ ネル ギ ー は 当然 変 動 す る。 ●対 象 が 長 期 間 に渡 る飢 餓 や 食 料 不 足 下 に あ っ た 場 合,あ るい は微 量 栄 養 素 欠乏 症 の発 生 率 や粗 死 亡 率 が 高 い 場 合,補 助 食 や 治 療 食 プ ロ グ ラ ム を検 討 す る 必 要 が あ るか も しれ ない。 ●対 象 者 が 有 効 な設 備 で加 工 調 理 す る 方 法 を知 っ て い る こ とが 前 提 とな る。 ●主 食 は 文 化 的 に受 け入 れ られ る食 料 で あ るべ きで あ る。緊 急 的 状 況 下 で新 しい タイ プ の 食 品 の 導 入 は適 切 で は な い。 ●水 や 調 理 設 備,燃 料 の有 効 性 を確 認 す る 必 要 が あ る。 ●供 与 す る全 食 品 につ い て の ク オ リテ ィー・コ ン トロー ル を実 行 す べ きで あ る。食 品 の 質 と安 全 性 の確 認,要 求 され た 内 容 に合 致 して い る か の 確 認 が 必 要 で あ る。油,ス キ ム ミル クは ビ タ ミ ンAで 強 化 さ れ て い るべ きで あ り,混 合 食 品 は ビ タ ミ ン と ミネ ラ ル強 化 の た めFAO/WHOに よる 国 際 仕 様 に従 うべ きで あ る。 ● タ ンパ ク質 は総 エ ネ ル ギ ー 量 の 最 低 で も10∼12%供 給 す べ きで あ る。ま た,総 エ ネ ル ギ ー の 少 な くて も17%は 脂 質 か ら供 給 され な けれ ば な らな い。 ●緊急 食料 援助 にの み 依 存 して い る集 団 は微 量 栄 養 素 欠 乏 症 の リス ク を もつ。現 地 で生 産 され る 食物 や 新 鮮 な野 菜 を摂 取 す る こ とが勧 め られ るべ き で あ る。 ●難 民 の 食 料 栄 養 状 態 は,少 な く と も12カ 月 ご と に シス テマ テ ック に レ ビュ ー され る べ きで あ る。 妊 娠 期 間 に,鉄 栄 養 の改 善 を 試 み て も明 らか な効 果 が 出 に くい 問 題 も あ り,近 年 は 妊 婦 の貧 血 予 防 の 観 点 か ら, 妊 娠 前 の 鉄 貯 蔵 量 を増 加 させ る 目的 で,非 妊 娠 女 性 や 青 年 期 の 女 性 へ の サ プ リメ ンテ ー シ ョン を実 践 す る こ と も 推 奨 され て い る。予 防 目的 の た め に は,2∼4カ 月 間毎 日60mgと るべ きで あ り,毎 年 繰 り返 す こ とが勧 め られ て い る。し か し,こ の推 奨 は ほ とん ど無 視 され て い る の が 現 状 で あ る。女 性 に貧 血 の リス クが あ る地 域 で は,毎 日投 与 に代 わ って 週1回 の投 与 で も効 果 が あ る と され て い る13)。子 供 と妊 婦 へ の 週1∼2回 投 与 に つ い て の 検 討 も行 わ れ て い るが,現 時 点 で は,毎 日投 与 の 維 持 が 妥 当 で あ る と結 論 さ れ て い る11)。 低 出生 体 重 児(<2,5009)は,鉄 貯 蔵 量 が 少 ない 状 態 で 生 ま れ て き て い る の で,2カ 月齢 以 降 に鉄 欠 乏 の リス ク を もつ こ とに な る。そ の た め に,低 出 生 体 重 児 に対 し て は2カ 月,あ る い は3カ 月 齢 か ら鉄 サ プ リメ ン トを与 え る こ とが 勧 め られ て い る13,20)。 6.ヨ ー ド塩 WHOの ヨー ド推 奨 量 は成 人 で150μ9/日 で,妊 婦・ 授 乳 婦 で200μg/日 で あ る21)。こ れ らに 見 合 う ヨー ドを ヨ ー ド添 加 塩 か ら摂 取 す る と仮 定 して,食 塩 ヨー ド中 の ヨー ド含 有 量 が 計 算 され て い る。ヨ ー ド含 有 量 に 関 して 定 め られ た 国 際 基 準 が存 在 し ない た め,各 国が 独 自で設 定 して い る。食 塩 生 産 者 レベ ル で20∼100ppmに 設 定 して い る国 が 多 い22)。輸 送,保 存段 階 で ヨ ー ドの揮 発 が あ り,消 費 者 レベ ルで は 最 低 で も15ppmの 濃 度 を確 保 す る の を 目標 に して い る。た だ し,ヨ ー ド欠 乏症 の発 生 して い る 多 くの 国 で は,食 塩 へ の ヨ ー ド添 加 を法 律 で 制 定 して い る。 7.完 全 母 乳 育 児 完 全 母 乳 育 児 とは,母 乳 だ け で6カ 月 齢 まで 育 て,そ れ 以外 の 食物 や 水 を全 く与 え な い方 法 で あ る。母 乳 に は 栄養 学 的,免 疫 学 的 お よ び心 理 学 的 メ リ ッ トに加 え,経 済 学 的 な メ リ ッ トや 余 分 な感 染 源 ル ー トを絶 つ メ リ ッ ト が あ る。し か し なが ら,途 上 国 の よ う な 感染 症 が 主 要 な 死 因 と な っ て い る 地 域 で は,母 乳 代 替 品(Breast-milk substitutes)の 利 用 は 非衛 生 的 な処 理 に よ る感 染 症 の リ ス ク を高 め,子 供 の 死 亡 率 を 高 め る結 果 と な っ て い る。 そ の た め にユ ニ セ フ を は じめWHOな どが,完 全 母 乳 育 児 を推 進 させ るた め の 指 針 を作 成 して発 表 して い る23)。 また,母 乳 育 児 の 大 き な妨 げ とな っ て い る乳 児 用 粉 ミ ル ク会社 の 大 規 模 で 不 適 切 な広 告 や販 売活 動 を規 制 す る た め の 規 約 「母 乳 代 替 品 の マー ケ テ ィ ング に 関 す る国 際 基 準 」 が,WHO,ユ ニ セ フ,関 係NGOに よっ て作 成 さ れ,1981年 の 世 界 保 健 総 会 で 採 択 さ れ て い る24)。国 際 基 準 が 守 られ て い るか どう か に 関す る モ ニ タ リ ン グ も実 施 され て い る。

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表4ビ タ ミ ンA欠 乏 症 予 防 の た め の 年 齢 別 ビ タ ミ ンA 投 与推 奨 量18) 〈治 療 目的 〉 ビ タ ミ ン欠 乏症3回 投 与c(初 回:診 察 時,2回 (角膜 乾 燥 症,夜 目:翌 日,3回 目:1カ 月 後) 盲 症,ビ トー 斑, 角膜 軟 化 症) 麻 疹2回 投 与(初 回:診 察 時,2回 目:翌 日) 慢 性 的 下痢1回 投 与(診 察 時) (14日 以 上) 重 症 栄 養不 良1回 投 与(診 察 時) a6カ 月 未 満 の 子 供 の 場 合 は ,母 親が ビタ ミンAの 投与 を 受 け て い な い こ と を確 認 す る必 要 が あ る。投 与 量 の違 い に よ る 混 乱 を 避 け る た め に,液 体 用 デ ィ ス ペ ンサ リ ー で 投 与 す る 方 が好 ま しい。 b欠 乏 状 態 に あ る場 合 は,高 レベ ル 投 与 後3∼6カ 月 で 至 適 レベ ル以 下 に低 下 す る こ とが 認 め られ て い るが,4∼6 カ月 の 間 隔 の 投 与 で 十 分 重 症 な ビ タ ミ ンA欠 乏 症 を予 防 す る こ とが で き る。 c1回 投 与:200 ,000IU V.今 後 の 課 題 1.HIV/AIDSと 栄 養 母 乳 に よ る母 子 感 染 の リス ク が 懸 念 され て い るが,途 上 国 で は い ま だ に 明 確 な対 処 方 法 が確 立 さ れ て い な い。 つ ま り,母 乳 を 中止 し,母 乳 代 替 品 に切 り替 え る こ とに よ る リ ス クが,HIV感 染 に よ る死 亡 リス ク を 上 回 る可 能 性 が あ るか らで あ る。 一 方,途 上 国 の 人 々 の個 々 人 の 衛 生 レベ ルや 考 え を尊 重 す る こ と を重 視 し,UNポ リシ ー は,母 乳 を 与 え るか ど うか の 決 定 権 は母 親 に あ り,決 定 に必 要 な情 報 の提 供 や カ ウ ンセ リ ング・サ ー ビス の提 供 を行 い,母 親 の決 定 を助 け る こ とを 強調 す る方 針 を打 ち 出 して い る。 しか し,多 くの 途 上 国 で,ま だ カ ウ ンセ リ ング シ ス テ 表5貧 血 予 防 の た め の 鉄 投 与 の 推 奨 量 とス ケ ジ ュ ー ル2・) a鉄 投 与 量 は2mgFe/kg体 重/日 を基 準 と して い る 。 b集 団 に 少 女 お よ び 出 産 可 能 年 齢 女 性 が 含 ま れ る場 合 は 妊 娠 時 の 出 産 障 害 を 防 ぐた め に400μg葉 酸 を含 ませ るべ き で あ る。週1∼2回 の投 与 が 妥 当 で あ る とみ られ て い る が,検 討 段 階 に あ る。従 っ て は,現 時 点 で は 実 際 に コ ミ ュ ニ テ ィー で の 継 続 性 を考 慮 して,そ の 回 数 を判 断 す る こ とが 勧 め られ て い る。 ・6カ 月 間 継 続 で き な い 時 は,投 与 を出 産 後6カ 月 間継 続 す る か,投 与 量 を妊 娠 期 間 中 に120mgに 増 加 す る。 ム が 十 分 に 発 達 し て い な い こ とや,HIVの ス ク リ ー ニ ン グ シス テ ムが 確 立 して い な い こ と を考慮 す る と,母 親 に決 定 権 はあ る と して も,母 乳 育 児 の推 進 は や む を得 な い 方 向 で あ るか も しれ な い25)。 栄 養 不 良 は,HIV/AIDS感 染 者 の 肉体 的 活 動 お よ び そ の 結 果 と して の労 働 生 産 能力 を低 下 させ て い る。そ れ らが さ らに 貧 困 に 拍 車 をか け て い る。HIV/AIDSで 両 親 を失 っ た子 供 の栄 養 状 態 も問 題 とな って い る。こ れ ら の 悪 循 環 を 和 ら げ る 方 策 と し て,多 く のNGOが HIV/AIDS感 染 者 世 帯 や 孤 児 を ター ゲ ッ トと した,食 料 援 助 や ケ ア の提 供 を 実 施 して い るが,問 題 の 解 決 に は 至 っ て い な い。 2.食 事 性 成 人疾 患(生 活 習 慣病) こ れ ま で は,一 般 的 に は貧 しい 国 に お け る 主 要疾 患 は, 乳 児,幼 児,妊 婦 を侵 す 感 染 症 や 栄 養 欠 乏 症 で あ る とみ られ て きた。冠 状 動 脈 性 心疾 患,高 血 圧,肥 満,糖 尿 病 の よ うな非 感染 性 疾 患 は,裕 福 な先 進 国 にみ られ る の み で あ る と思 わ れ て きた が,こ れ らの 疾 患 は途 上 国 に お い て も急 激 に 緊急 的 な 課 題 と な って き て い る。し か し,生 活 習慣 病 の 影響 を受 け た 莫 大 な数 の 成 人 は,運 動 を あ ま り しな い,不 適切 な 食 事,喫 煙 とい っ た西 洋 の ラ イ フ ス タイ ル を取 り入 れ て い る 中流 ク ラ ス で あ り,か つ社 会 的 に重 要 な役 割 を果 た して い る グ ル ー プ で あ る。治 療 の コ ス トは,栄 養 欠 乏 を軽 減 させ る た め に助 け を 必 要 と して い る 貧 困 層 か ら貴 重 な財 源 を分 断す る こ とに な る。多 く の 途 上 国 は,慢 性 疾 患 と欠 乏 疾 患 の二 重 のハ ンデ ィ を も ち 始 め て い る。

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3.乳 幼 児 の た め の新 しい 国 際成 長標 準 値 WHOとUNICEFの 合 同 プ ロ ジ ェ ク トに よ り,新 しい 母 乳 児 を基 準 と し た標 準 値 を作 成 す る こ と に な っ て い る。現 在 活 用 され て い る標 準値 は,人 工 乳 児 を数 多 く含 む 集 団 を基 準 と して作 成 さ れ て い る た め,母 乳 児 の 成 長 評価 に は 適 切 で ない とみ られ て い る。 4.戦 乱 や 災 害 時 の食 料・栄 養援 助 緊 急 時 の食 料 援 助 は,典 型 的 な人 道 援 助 の1つ と して 幅 広 く実 施 され て い るが,さ ま ざ まな 問 題 が 含 まれ て い る。軍 事 的 戦 乱 の 性 質 が 変 化 して きて お り,戦 闘 員 と一 般 市 民 の 問 の 区 別 が 困難 に な っ て い る こ と な どか ら,国 際 人 道 法 の 適 用 が 困難 に な っ て きて い る場 合 が 多 々み ら れ る。ま た,援 助 要 員 の安 全 性 の確 保 が保 障 され ない よ うな 危 険 な戦 闘地 へ,ど の よ うに して 食 料 を配 給 す るか な どの 問 題 も残 る。さ らに は,政 治 的 な 混 乱 か ら出 た難 民 な ど に対 す る食 料 援 助 が,不 公 平 感 を招 き,さ らな る 混 乱 を招 く可 能 性 もあ る。食 料・栄 養 援 助 を必 要 とす る 人 にい か に公 平 に効 率 的 に届 け る か の技 術 的 側 面 と 国際 規 約 な ど を さ らに発 達 させ て い か な け れ ば な らな い。 Ⅵ. お わ り に わ が 国の 国際 栄 養 協 力 の 規模 は,残 念 なが ら決 して十 分 で あ る と は い え な い。こ の実 態 の 背 景 に は,ODA指 針 の 中 に,栄 養 協 力 が 明確 に 謳 わ れ て い な い とい う大 き な課 題 が あ る と同 時 に,「 国 際 栄 養 」 が わ が 国 の 栄 養 学 教 育,研 究,実 践 に 十 分 に根 づ い て い な い とい う問題 点 もあ る。こ れ らは,相 互 に,国 際 栄 養 協 力 へ の貢 献 に対 す る ブ レー キ とな っ て い る よ う に思 わ れ る。 日本 の技 術 革新 が さ ま ざ ま な形 で 世 界 に貢 献 して い る 現 状 が あ る 一 方 で,日 本 発 の 「国際 栄 養 」 分 野 の 貢 献 が あ ま りに も少 な す ぎ る とい う側 面 もあ る。現 在,国 際社 会 で 問 題 と な っ て い る 貧 困,飢 餓,戦 乱,人 口 増 加, H IV/AIDS,ジ ェ ンダ ー,環 境 問 題 な ど,ど れ を見 て も 人 間 の 「食 」 と深 くか か わ っ て い る もの ばか りで あ る。 栄 養 学 の 間 口 を広 げ て,こ れ らの 課 題 を包 括 した 形 で, 新 しい 栄 養 科 学 を発 展 させ て い か な け れ ば な ら ない 時 代 に きて い る とい え る。そ して そ の科 学 は 単 に実 験 室 レベ ル の もの で は な く,実 践 的 に活 用 で き る レベ ル の もの で あ る必 要 が あ る。も し,こ れ らの取 り組 み を今 後 積 極 的 に行 わ な けれ ば,日 本 は,本 当 に 「国 際 栄 養 」 の 後 進 国 と な っ て しま う可 能 性 が 大 で あ る。 文 献

1) FAQ : Monitoring progress towards the World Food Summit and Millennium Development Goals, In State of Food Insecurity in the World 2003

(2003) FAQ, Rome

2 ) Members of the Commission of SCN : Vision and goals for the future, In Ending Malnutrition by 2020 : an Agenda for Change in the Millennium, pp.51-55 (2000) ACC/SCN, Geneva

3 ) United Nations : Millennium Development Goals, http://www.un.org/millenniumgoals

4 ) SCN : Nutrition trends and implications for attaining the MDGs , In SCN 5th Report on the World Nutrition Situation, pp.5-24 (2004) UN System SCN, Geneva

5 ) WHO : The World Health Report 2002 Reducing Risks, Promoting Healthy Life (2002) WHO, Geneva

6 ) WHO Secretariat : Infant and young child nutrition : Global strategy on infant young child feed-ing, 55th World Health Assembly (2002) WHO, Geneva

7 ) UNICEF : The State of the World's Children 2004 (2004) UNICEF, New York

8 ) West, K.P. Jr.: Extent of vitamin A deficiency among preschool children and women of reproductive age, J. Nutr.,132, 2857S-28665 (2002)

9 ) Beaton, G.H., Martorell, R., Aronson, K.A., Edmonston, B., McCabe, G., Ross, AC. and Harvey, B.: Vitamin A supplementation and child morbidity and mortality in developing countries, Food Nutr. Bull., 15 (1994) ( http://www. UNU.edu/unupress/ food/8F154e/8F154E04.htm)

10) WHO : Nutrition/micronutrient deficien-cies/Battling iron deficiency anemia, http://www. who.int/nut/ida.htm

11) ACC/SCN : Micronutrient update, In 4th Report on The Report on The World Nutrition Situation, pp.23-32 (2000) ACC/SCN, Geneva

12) Horton, S. and Ross, J.: The economics of iron deficiency, Food Policy, 28, 51-75 (2003)

13) Viteri, F.E.: Prevention of iron deficiency, In Prevention of Micronutrient Deficiencies/Howson, C.P., Kennedt, H.T. and Horwitz, A.H. eds., pp.45-102 (1998) Oxford Academic Press, Washington, D.C.

14) Brown, K.H., Wuehler, S.E. and Peerson, J. M.: The importance of zinc in human nutrition and estima-tion of the global prevalence of zinc deficiency, Food Nutr. Bull., 22,113-125 (2001)

15) IZINCG : The Public Health Importance of Zinc, http://www.izincg.ucdavis.edu/public_health

(12)

16) ACC/SCN Commission : Issues to be consid-ered by regional and national meetings (Annex4), In Ending Malnutrition by 2020 : An Agenda for Change in the Millennium, pp.70-77 (2000) ACC/SCN, Geneva

17) WFP/UNHCR : Guidelines for Estimating Food and Nutritional Needs in Emergencies (1997) WFP and UNHCR

18) WHO, UNICEF and IVACG Task Force : Vitamin A Supplements : A Guide to Their Use in the Treatment and Prevention of Vitamin A Deficiency and Xerophthalmia (1997) WHO, Geneva

19) WHO and MI : Recommendations for per-formed vitamin A supplementations for mothers dur-ing pregnancy and the first six months postpartum, and/or for their infants, In Safe Vitamin A Dosage dur-ing Pregnancy and Lactation, pp.3-5 (1998) WHO, Geneva

20) Stoltzfus, R.J. and Dreyfuss, M.: Guideline for

the Use of Iron Supplements to Prevent and Treat Iron Deficiency Anemia (1998) INACG, WHO and UNICEF

21) ACC/SCN : Micronutrients, In Third Report of the World Nutrition Situation, pp.19-52 (1997) ACC/SCN, Geneva

22) Lotfi, M., Venkatesh Mannar, M.G., Merx, R. J. H. M and Naber-van den Heuvel, P.: Food vehicles and fortificants, In Micro Nutrient Fortification of Foods, pp.ll-24 (1996) MI and IAC

23) UNICEF : Approaches that work, In The State of World's Children, pp.37-69 (1998) UNICEF, New York

24) WHO : International Code of Marketing of Breast-milk Substitutes (1981) WHO

25)力 丸 徹:国 連 栄 養 フ ォ ー ラ ム,第28回ACC/ SCN会 議 報 告 書(2001)国 際協 力 事 業 団,東 京

参照

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