±¹¶° ¶µ° ² ´ ¶ ¸ ±° ±² ¨ᴢ© ·° ·µ ¸° ¸µ ¹° ¹µ ²°°° °µ ᴥࢳ࣊ᴦ 2003~08 年 2008 年 2009~25 年 年平均 成長率(%)(十億ドル)GDP増減額1 人当たりGDP(ドル)人口伸び率(%) 日本 3.0 681.6 38457 ▲5.0 米国 5.3 3188.7 47440 14.0 EU 9.9 6915.0 35682 2.0 中国 21.3 2679.1 3259 8.0 インド 16.2 662.5 1017 19.5 ASEAN 15.9 792.0 9551 16.9 韓国 7.6 285.4 19136 2.4 ブラジル 23.6 1043.1 8295 10.4 ロシア 31.2 1245.1 11807 ▲6.1 (出所)「“財務データ”で見る産業の 40 年」(日本政策投 資銀行)および「産業別財務データハンドブッ ク」 (注)中国は香港,マカオを除く.▲はマイナス (出所)IMF,国連資料より日本政策投資銀行作成 ■図 日本の製造業の売上高営業利益率
情報工学テキストシリーズ
刊行の趣旨
下図は日本の製造業の売上高営業利益率の過去 50 年ほどの推移を示したものである.私が 大学生だった頃(1968―1972 年),営業利益率は 8% 程度であり,製造業は大きな利益を上げ ていた.このころ,日本の企業が作る製品は世界で大きな競争力を持ち,我々の暮らしは毎年 良くなってゆき,日本は世界に大きく羽ばたこうとしている時期だった. 1970 年には大阪で日本万国博覧会が開催され,半年間で 6400 万人あまりの人々が無線電 話,リニアモーターカー,電気自動車,あるいはモノレールなどの最新技術に感動した.それ から 40 年,日本の製造業の利益率は年を追う毎に減少し,今ではとうとう 2% にまで落ち込 んでしまった.何を作っても売れない,あるいは売れても利益はほとんどないという状況に なっている. 下表はいくつかの国の経済の成長率や国民 1 人あたりの GDP(国内総生産)を示したもの であるが,かつての勢いは今はなく,日本の成長率は諸外国と比較して目を覆うばかりになっ てしまった.おりしも,2010 年は中国で上海万博が開催され,20% を超える成長率を持つ中 国が世界の中で輝いている. なぜ,日本の地位はこんなに低くなったのだろうか. なぜ,日本の製品は世界で売れなくなったのだろうか. ■表 世界経済で存在感を増す新興国iii
その原因は,日本の製造業に携わるエンジニアの企画力や総合力が乏しくなっていること, および日本人の多くが内向きになっていることだと思われる. まず,気持ちが内向きになるとどうなるか.それは,ときには戦い,ときには妥協し,他人 との意見の相違を乗り越え,自分や他人の企画や提案をよりよいものにしてゆく辛い努力を嫌 い,自分の殻に閉じこもり,自分をそのままの形で受け入れてくれる人や物とだけ付き合い, 自分の成長のチャンスを逃し,さらに内向きになってゆくという悪循環が始まる.言われたこ とだけをやり,給料分だけ働き,争い事のない趣味の世界で遊ぶ.いわゆる草食系人間である. こうした内向きの人は,当然のことながら世界を攻略する戦略的商品の企画や設計は苦手で ある.中国人,韓国人,あるいはインド人が少なくない会社内で,新規技術開発に関して英語 で議論し,世界の潮流を考え,自分のアイデアを製品に織り込む努力は草食系人間にとっては とても面倒なタスクであり,やる気が起こらない. 一方,エンジニアの企画力や総合力が乏しくなっていることは,みんなが消費者になってい て,製品やサービスは誰かが作り,自分はそれを選択するだけだという意識の蔓延が原因だと 思われる.そもそも企画力や総合力という力は,小学校・中学校,高等学校,そして大学・大 学院と続く教育,毎日の家庭生活,そしてクラブ・サークル活動などの課外活動や遊び仲間と のスポーツや娯楽など,生きることすべての中で自然に培われ,育つ能力である.しかしなが ら,現在は与えられることが多すぎ,自分で企画や提案をしなくても,テレビやインターネッ トからいくらでも情報が得られる.昔,携帯電話がないとき,駅で友人や恋人と待ち合わせを するという些細なことでさえ,確実に会うためにいろいろな工夫をしなければならなかった. 明らかに,現在は考えなくても良いことが多すぎる. みんなが消費者意識となり,必要なものを自分が企画・提案しなくても,待っていれば誰か が作ってくれるという考えを持つと,当然ながらエンジニア失格である.エンジニアは,誰か が作ったものの改良をすることも大切であるが,自分が企画・提案しなかったらずっと出てこ ない製品やサービスを世に生み出す能力と気概が必要である. 実は,このテキストシリーズは「自分が企画・提案しなかったらずっと出てこない製品や サービスを世に生み出す能力と気概」を情報工学教育の中で涵養する目的を持って企画したも のである. 国際競争力のある製品やサービスを企画・提案・設計・開発し,日本の製造業の営業利益率 を 8% に上げ,豊かで希望が持てる社会に変えてゆくためにエンジニアが果たす役割は大き い.そのため,そうしたエンジニアを育てる高専・大学・大学院の教育は極めて重要である. 特に,情報工学は,次世代の製品やサービスの中核となる学問分野である.最新の車にはコン ピュータの心臓部であるマイクロプロセッサが 100 個以上搭載されており,車はもはや走るコ ンピュータである.動力源は内燃機関から電気モーターに進化しても,それを制御し,快適で 楽しいドライブを実現するのはコンピュータの役割である.車も,飛行機も,電車も,電話 も,テレビも,調理道具も,あらゆるものがコンピュータの力で新たな可能性を生み出し,そ れらがネットワークで結ばれ,音楽,映画,新聞などとの融合も加わり,さらに大きな価値を もたらす.
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こうした情報工学の分野で新たな価値を生み出すエンジニアの教育に関する斬新な試みをこ のテキストシリーズでは行う.それは次の観点である. 1.学生の興味から入り,学ぶことの必要性を理解させるアクティブラーニングを基本とす る. 2.知識が実際の製品やサービス作りでどのように役立つのかを学生が理解する. 3.学生が獲得した知識で,新しい,かつ楽しい製品やサービスが実現できることを学生が 経験し,企画や提案が楽しいことを味わう. もちろん,この目標の実現にはテキストだけでなく,教員の力量が重要であることは言うま でもない.このテキストシリーズはエンジニアの独習用ではなく,上記の目標を実現したい学 生と教員の熱意を支援するために企画した.講義を受ける学生諸君は,社会で毎日生じる多く の問題をエンジニアとしてどう解決するかを考え,理工学のみならず,経済や社会に関して幅 広い知識を身につけてほしい.また,諸君らは情報工学の専門家として力を付け,多くの問題 に対して自分が率先してソリューションを提供できるようになってほしい. 情報工学テキストシリーズ編集委員長 三木光範