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7 年ぶりに行われた肺非結核性抗酸菌症全国調査結果について倉島 篤行605-606

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Academic year: 2021

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605

7 年ぶりに行われた肺非結核性抗酸菌症

全国調査結果について        

倉島 篤行

 近年全世界的に肺非結核性抗酸菌症の増加が指摘され ているが,わが国の本症罹患率や有病率は国際的に見て 最も高いレベルであると推測されてきた。しかし,わが 国における本症の全国的調査は非結核性抗酸菌症研究協 議会が 2007 年に行った以降は皆無であった。本症の全 国調査は 1968 年,当時の国立療養所非定型抗酸菌症共 同研究班が全国の 13 施設の国立療養所で行ったのが最 初である。全国統計である結核症罹患率との対比で本症 の推定罹患率を算出したのは 1980 年であり,その時に 1971 年からの data を改めて計算し,1971 年は 0.89 であ り,1980 年は 1.51 であった。以後,国立療養所非定型抗 酸菌症共同研究班は,1997 年まで毎年の全国サーベイか ら本症推定罹患率を 26 年間継続的に発表してきたとい う国際的に類例のない業績を残してきた。  この後,非結核性抗酸菌症研究協議会が 2001 年と 2007 年に,全国 200 床以上の全ての病院へ対象を拡げア ンケート調査を行った。2001 年調査では 6 カ月間に受診 した新規の肺非結核性抗酸菌症および同期間の菌陽性肺 結核症を求め 521/2051 病院(25.4%)から回答があり, 推定罹患率は 5.9 であった。2007 年の調査は,期間は 2 カ月に短縮し他は同一内容で行われ,回答数は 532/2674 病院(19.9%)で推定罹患率は 5.7 であった。  今回,平成 26 年度厚生労働省厚生労働科学研究委託 として新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発研 究事業「非結核性抗酸菌症の疫学・診断・治療に関する 研究」が承認され,非結核性抗酸菌症の疫学に関する研 究の一環として,病院施設を対象とした全国アンケート 調査を 2007 年以降 7 年ぶりに実施した。  研究班のこの項目に関する班員構成は下記である。  主任研究者:阿戸 学(国立感染症研究所免疫部部長)  分担研究者疫学調査担当:御手洗聡(財団法人結核予 防会結核研究所抗酸菌部部長)  研究協力者:倉島篤行(財団法人結核予防会複十字病 院臨床研究アドバイザー),長谷川直樹(慶應義塾大学 医学部感染制御センター教授),星野仁彦(国立感染研 究所ハンセン病研究センター感染制御部室長),南宮  湖(慶應義塾大学医学部呼吸器内科),森本耕三(財団 法人結核予防会複十字病院呼吸器センター)  以下,2014 年 11 月 4 日の第 90 回日本結核病学会総会 抄録原稿提出時以降の,いくつかの追加や修正を含んだ 本調査最終確定数値での内容を示す。 方   法  日本呼吸器学会認定および関連 884 施設に,2014 年 1 月から 3 月まで 3 カ月間の肺非結核性抗酸菌(NTM) 症と結核症の新規診断数を記入するアンケート調査を実 施した。質問項目内容は従来と同じ骨子であるが,診断 基準は 2008 年改訂に合致するものとし,指標疾患とし ての結核症は菌陽性肺結核ではなく,潜在性結核感染症 を除く新登録結核とした。 結   果  回収率は 62.3% で,同期間中の新登録結核の診断数は 2,327 例で,肺 NTM 症の診断数は 2,652 例であった。同 期間の新登録結核年換算罹患率は 12.9 であり,肺 NTM Kekkaku Vol. 90, No. 7 : 605_606, 2015

公益財団法人結核予防会複十字病院 臨床研究アドバイザー 連絡先 : 倉島篤行,公益財団法人結核予防会複十字病院 臨床

研究アドバイザー,〒 204 _ 8522 東京都清瀬市松山 3 _ 1 _ 24 (E-mail : kurashimaa@fukujuji.org)

(Received 28 Apr. 2015 / Accepted 26 May 2015)

キーワーズ:肺非結核性抗酸菌症,全国調査,罹患率,Mycobacterium avium complex,Mycobacterium

(2)

606 結核 第 90 巻 第 7 号 2015 年 7 月

結   語

 2014 年のわが国,肺 NTM 症の推定罹患率は 14.7(人 口 10 万人あたり)と,2007 年の約 2.6 倍であり,これは 国際的に見て最も高い肺 NTM 症罹患率である。  著者の COI(confl icts of interest)開示:本論文発表内 容に関して特になし。 症の罹患率は 14.7 と推定された。肺 Mycobacterium avium complex(MAC)症が 88.8% と大多数を占め,M. kansasii 症は 4.3%,M. abscessus 症は 3.3% であった。  MAC の中で菌種内訳が明らかな範囲での地理的分布 は,M. intracellulare が北海道では 11.1%,東北 24.6%,関 東 23.5%,中部 30.9%,近畿 36.3%,中国 36.7%,四国 49.1 %,九州 59.7%,沖縄 66.7% と,緯度と一致した菌種分布 割合の変化が認められた。

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