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平成18年度卒業論文

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平成18年度卒業論文 J リーグの勝ち組と負け組 所属ゼミ 学籍番号 氏 名 村澤ゼミ 1033010097 池田 征史

(2)

要約 スポーツリーグ内には勝ち組チームと負け組チームが存在する。チーム経営 の目的は利潤の最大化である。したがって勝ち組は勝つことが儲けにつながる チームであり、負け組は勝つことが儲けにつながらないチームである。成績と 観客動員数の相関が高いチームは、勝つことが儲けにつながるのでチームの強 化に積極的に資金を投入する。逆に成績と観客動員数の相関が低いチームは、 勝つことが儲けにつながらないのでチームの強化に資金を投入しない。その結 果として勝ち組と負け組が生まれる。 本論文ではJリーグの各チームについて成績と観客動員数の相関を調べ、勝 ち組と負け組を明らかにする。例えば浦和レッドダイヤモンズは勝ち組、柏レ イソルは負け組であることが分かる。

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目次 第1章 はじめに ... 4 第2章 スポーツリーグの経済学... 5 1. 勝ち組と負け組 ... 5 2. ゲーム理論による説明... 5 第3章 Jリーグの勝ち組と負け組 ... 8 1. 対象チーム ... 8 2. データ... 9 (1) 成績... 9 (2) 投資...11 (3) 収入...12 2. 3者間の相関関係...14 (1) 成績と投資の関係...14 (2) 成績と収入の関係...15 3. 結論 ...16 第4章 おわりに ...17 参考文献...18

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第1章 はじめに スポーツリーグ内には勝ち組チームと負け組チームが存在する。チーム経営 の目的は利潤の最大化である。したがって勝ち組は勝つことが儲けにつながる チームであり、負け組は勝つことが儲けにつながらないチームである。成績と 観客動員数の相関が高いチームは、勝つことが儲けにつながるのでチームの強 化に積極的に資金を投入する。逆に成績と観客動員数の相関が低いチームは、 勝つことが儲けにつながらないのでチームの強化に資金を投入しない。その結 果として勝ち組と負け組が生まれる。 本論文ではJリーグの各チームについて成績と観客動員数の相関を調べ、勝 ち組と負け組を明らかにする。例えば浦和レッドダイヤモンズは勝ち組、柏レ イソルは負け組であることが分かる。 本論文の構成は次のとおりである。第2章で Szymanski(2004)のモデルを 用いて、スポーツリーグで勝ち組と負け組の違いを説明する。次に第3章で J リーグの各チームの成績と観客動員数の相関係数から J リーグの勝ち組と負け 組を明らかにする。最後に第4章で今後の研究課題を述べる。

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第2章 スポーツリーグの経済学 1. 勝ち組と負け組 勝ち組とは勝つことが儲けにつながるチームであり、負け組は勝つことが儲 けにつながらないチームである。 Szymanski(2004、p111~p126)は、2チームからなるスポーツリーグにおい て勝ち組と負け組が生じる理由を理論的に明らかにした。各チームの収入は観 客動員数に、観客動員数はチームの勝敗に、勝敗は選手に対する投資に依存す る。チーム経営の目的は利潤(=収入-費用)の最大化である。勝てば収入は 増えるが、勝つために費用がかかる。そのため勝つことが儲けにつながらない チームと儲けにつながらないチームが存在する。その結果として勝ち組と負け 組が生じる。 2. ゲーム理論による説明 今、リーグ内に2つのチームが存在すると仮定する。このとき両者が勝率

( )

のもとで勝つことで得られる収入を w

( )

-2 i i i b R w = ⎛⎜a w w⎞⎟ ⎟⎟ ⎜⎝ ⎠ i R w =a b w とする。このとき限界収入は

( )

-' i i i となる。 また、勝率は投資額

( )

ti でwi =t ti /( i +tj) のように表せるとする。さらにプ レーヤーの限界費用を とする。 c このときチーム1、チーム2が勝つことでそれぞれ得られる利潤は、収入か ら費用を引いた式 -1 1 1 1 2 t R R c t t ⎛ ⎞ = ⎜ + ⎟ ⎝ ⎠ t 、 2 2 2 1 2 -t R R c t t ⎛ ⎞⎟ = ⎜ ⎟ + ⎝ ⎠ t となる。すなわち、各チームの利潤は投資額であらわすことができる。

(6)

そして、各チームは相手の投資額を所与として、自チームの利潤を最大化さ せる。つまり、dR dt1/ 1=0、dR dt2/ 2= のときナッシュ均衡となり、両者の0 利潤は最大化される。 チーム1の場合、

(

)

1 2 1 2 1 1 2 1 2 ' -dR t R t c dt t t t t ∗ ∗ ∗ ⎛ ⎞⎟ = ⎜ = + ⎝ ⎠ + 0

(

)

2 1 1 1 2 1 2 1 2 -t a b t c t t t t ∗ ∗ ∗ ⎛ ⎞⎟ ⇔ ⎜ = + ⎝ ⎠ + (1) チーム2の場合

(

)

2 1 2 2 2 1 2 1 2 ' -dR t R t c dt t t t t ∗ ∗ ∗ ⎛ ⎞⎟ = ⎜ = + ⎝ ⎠ + 0

(

)

1 2 2 2 2 1 2 1 2 -t a b t c t t t t ∗ ∗ ∗ ⎛ ⎞⎟ ⇔ ⎜ = + ⎝ ⎠ + (2) よって、(1)式と(2)式より

(

)

(

)

2 1 1 1 1 2 2 2 2 1 2 1 2 1 2 1 2 - -t a b t t a b t t t t t t t t ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ⎛ ⎞= ⎜ + ⎟ ⎜ + ⎟ ⎝ ⎠ ⎝ + + 2 t ∗ ⎞ ⎠

(

)

(

)

2 1 1- 1 1 2- 2 2 w a b w w a b w T T ∗ ∗ 1 2 t + =t T ⇔ = (

)

2 とおく) こ れ は ナ ッ シ ュ 均 衡 を 表 し て い る 。 こ こ で 、 チ ー ム 1 の 利 潤 係 数 を 、チーム2の利潤係数を とする。 1 1, 1 2 a = >σ b = a2=1,b2=2

(

)

(

2 - 2 1 1 1- 2 w σ w w w ⇔ =

)

1 1 ( )

(

1-w1

)(

σ-2w1

)

w1

{

1-2 1-

(

w

}

⇔ = ∵w1+w2 =1 2 2 1 1 1 1 - 2w - w 2w 2w w σ ⇔ + = 1 1 w w σ σ ⇔ + = 1 /(1 ) w σ σ ⇔ = +

(7)

同様にw2 =1/(1+σ)となる。 このときw w1: 2 =t t1: 2=σ:1の関係が成り立つ。 すなわち、チーム1の勝率は投資額によって決定され、また積極的に投資す るにつれ得られる限界収入

(

も高くなる。つまり、チーム1は勝つことで高 い収入を得られるので、勝つために積極的に選手に投資することが考えられる。

)

σ

(8)

第3章 J リーグの勝ち組と負け組 1. 対象チーム 本論文では 1999 年現在でJ1リーグに所属していたチームを対象とする。な ぜなら、開幕してから現在までの15年間でJリーグの体制が大きく変化して きており、全チームを対象とすることで後に使用するデータの量に差が生じて くるからである。 Jリーグはリーグ開幕当時10チームであったが、その後新たに加入したチ ームを含め現在は30チームである。そのため編成チーム数は J リーグ開幕か ら毎年のように変化している。ここで開幕当時から J リーグに所属しているチ ームと最近2年以内に J リーグに参入したチームにおいてデータの量に差が生 じる。 また、1999 年にJ2リーグが発足し2部リーグ制になっている。そのため 1999 年以降J2リーグに参入したチームはそれ以前の観客動員数などのデー タが存在せず、また近年J2リーグからJ1リーグに昇格したチームは後に使 用する年棒のデータが欠如している。

(9)

2. データ (1)成績 ここでいう成績とは順位、相対順位を示す。相対順位はその年の順位を総チ ーム数で割って得られるものである。これらの指標を使用する理由は、先ほど 述べたJリーグのチーム数増減などの制度変化を背景として、Jリーグ開幕か ら現在にいたるまでチームごとの成績価値を極力平等にするためである。 成績を計る指標は他にも勝ち数や勝ち点がある。しかし、勝ち数は年毎やJ 1、J2リーグによって試合数が異なるため、年によって成績の価値に誤差が 生じる。勝ち点は勝ち数と同様に誤差が生じる点、年によって加算基準が異な る点で成績の価値を平等に考察する上で適さない。 表3-1はJリーグにおける各チームの順位推移を表したもので、通年で平 均順位が上位のチームから並べてある。ただし、2シーズン制を採用していた 年に関しては2シーズン合計の年間総合順位を採っている。また、Jリーグは 1999 年から2部リーグ制となり、シーズン終了後にJ1リーグ下位チームとJ 2リーグ上位チーム間で入れ替えがある。J2リーグから自動昇格、J1リー グから自動降格するチームと各リーグから入れ替え戦にまわるチームがあるが、 その場合の順位はJ2リーグから自動昇格するチームはJ1リーグから自動降 格するチームより上位にくるものとしている。ただし、入れ替え戦でJ1リー グ下位チームがJ2リーグ上位チームに勝利しJ1リーグに残留した場合は、 J2リーグの自動昇格チームの下に位置し、入れ替え戦で敗れJ2リーグに残 留したチームはJ1リーグの自動降格チームの上に位置するものとする。また 入れ替え戦でJ1リーグ下位チームがJ2リーグ上位チームに敗北しJ2リー グに降格した場合は、J2リーグの自動昇格チームの上に位置し、入れ替え戦 で勝利しJ1リーグに昇格したチームはJ1リーグの自動降格チームの下に位 置するものとする。

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表3-1 対象チームの順位推移 チーム名/年 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 ジュビロ磐田 - 8 6 4 2 1 7 2 1 1 2 5 6 5 鹿島アントラーズ 2 3 7 1 1 2 9 3 2 4 5 6 3 6 横浜 F マリノス 4 6 2 8 3 4 4 4 13 2 1 1 9 9 名古屋グランパスエイト 9 11 3 2 9 5 3 9 5 6 7 7 14 7 清水エスパルス 3 4 9 10 5 3 1 8 4 8 11 14 15 4 ガンバ大阪 7 10 14 12 4 15 11 6 7 3 10 3 1 3 浦和レッドダイヤモンズ 10 12 4 6 10 6 17 16 10 11 6 2 2 1 ジェフユナイテッド千葉 8 9 5 9 13 16 13 14 3 7 3 4 4 11 東京ヴェルディ1969 1 1 1 7 15 12 6 10 14 10 8 9 20 25 柏レイソル - - 12 5 7 8 2 1 6 12 12 18 19 17 サンフレッチェ広島 5 2 10 14 12 10 8 11 9 17 16 12 7 10 セレッソ大阪 - - 8 13 11 9 5 5 18 16 9 15 5 20 ヴィッセル神戸 - - - - 16 17 10 13 12 14 13 11 21 18 京都パープルサンガ - - - 16 14 13 12 17 15 5 18 21 16 21 アビスパ福岡 - - - 15 17 18 14 12 17 24 20 19 17 19 湘南ベルマーレ - 5 11 11 8 11 18 24 24 21 26 26 25 29 Jリーグ総チーム数 10 12 14 16 17 18 27 27 28 28 28 28 30 30 表上部に位置するチーム、たとえばジュビロ磐田や鹿島アントラーズ、横浜 Fマリノスは通年で安定して上位に位置している。また表下部に位置している チーム、たとえば湘南ベルマーレやアビスパ福岡、京都パープルサンガは通年 で下位に位置する傾向にある。 その中で浦和レッドダイヤモンズは開幕当初は順位が低迷しているチームで あったが、近年は優勝争いをするような強豪チームになっている。それに対し、 柏レイソルは一時期上位に位置するチームであったが、近年はリーグ内におい

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(2)投資 ここでいう投資とは各チームの総年棒を示す。表3-2は 2002 年から 2006 年における対象チームごとでJ1リーグに所属していたときの総年棒を平均値 の高いチームから並べてある。データがない部分はJ2リーグに所属していた ことを示しており、J2リーグのデータは得られなかった。よって、対象チー ムである湘南ベルマーレが表3-2に入っていないのは 2000 年からJ2リー グに降格しているからである。 表3-2 対象チームの総年棒(単位:百万円) チーム名 / 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 横浜 F マリノス 741.3 658.8 902.4 872.3 976.0 ジュビロ磐田 736.8 698.7 801.0 1060.4 835.1 浦和レッドダイヤモンズ 387.8 622.6 741.4 878.0 1202.6 鹿島アントラーズ 697.3 820.6 749.8 774.6 760.8 名古屋グランパスエイト 609.3 691.1 790.7 671.0 661.6 ガンバ大阪 669.0 640.5 596.2 638.6 782.4 柏レイソル 736.3 580.0 648.2 670.0 - 清水エスパルス 628.2 692.0 596.9 668.3 543.4 ヴィッセル神戸 531.6 435.0 577.0 666.6 - 東京ヴェルディ1969 566.2 465.0 475.0 478.8 - セレッソ大阪 - 501.4 409.5 470.7 470.5 ジェフユナイテッド千葉 485.1 486.6 390.0 423.6 490.1 サンフレッチェ広島 290.9 - 449.3 458.0 580.7 京都パープルサンガ 463.9 375.3 - - 391.5 アビスパ福岡 - - - - 377.7

(12)

表3-1で上位に位置しているチームが選手に資金を投入していることがわ かる。その中でも表3-2から浦和レッドダイヤモンズの総年棒が最近5年で 著しく上昇しているのがわかる。 (3)収入 ここでいう収入とは各チームの観客動員数を示す。収入を示す指標として他 にも具体的に営業収入や広告収入費が挙げられるが、Jリーグが公式にこのよ うなデータを含めた各チームの経営情報を公表し始めたのが 2005 年度からで ありデータとして不十分であるため観客動員数を使っている。観客動員数は入 場料としてチーム収入の側面を持ち、チームの勝敗がどれほど収入に影響する かを考察する上でその変化を如実に表すものとして適していると判断した。表 3-3は対象チームの全データが得られる 1997 年から 2006 年におけるチーム 別のホームゲーム1試合平均観客動員数であり、平均値の高いチームから並べ てある。

(13)

表3-3 対象チームのホームゲーム1試合平均観客動員数 チーム名/年 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 浦和レッドダイヤモンズ 20,504 22,706 21,276 16,923 26,720 26,296 28,855 36,660 39,357 45,573 横浜 F マリノス 9,211 19,165 20,095 16,644 20,595 24,108 24,957 24,818 25,713 23,663 鹿島アントラーズ 16,985 15,345 17,049 17,507 22,425 21,590 21,204 17,585 18,641 15,433 名古屋グランパスエイト 14,750 13,993 14,688 14,114 16,974 16,323 16,768 15,712 13,288 14,924 ジュビロ磐田 10,448 12,867 12,273 12,534 16,650 16,564 17,267 17,126 17,296 18,002 清水エスパルス 9,888 12,298 12,883 12,422 15,973 14,963 16,284 13,568 12,752 14,302 東京ヴェルディ1969 10,933 13,338 9,379 7,609 19,396 15,128 17,563 15,059 14,716 5,705 セレッソ大阪 9,153 9,864 10,216 13,548 11,857 7,952 13,854 14,323 17,648 13,026 ガンバ大阪 8,443 8,723 7,996 9,794 11,723 12,762 10,222 12,517 15,966 16,259 アビスパ福岡 8,653 10,035 11,467 13,612 13,822 6,491 7,417 8,743 10,786 13,780 柏レイソル 8,664 9,932 10,122 10,037 12,477 11,314 10,873 10,513 12,492 8,328 ヴィッセル神戸 6,567 7,686 7,691 7,512 13,872 10,467 11,195 15,735 14,913 6,910 サンフレッチェ広島 6,533 8,339 9,377 8,865 9,916 10,941 9,000 14,800 12,527 11,180 京都パープルサンガ 7,881 8,015 8,859 7,253 3,808 10,352 10,850 7,807 7,857 9,781 ジェフユナイテッド千葉 5,693 5,365 5,774 6,338 7,818 7,897 9,709 10,012 9,535 13,393 出所:Jリーグ公式HP 表3-2と同様に表3-1で強豪と考えられるチームは集客力があることが この表からわかる。その中でも浦和レッドダイヤモンズは他のクラブに比べ平 均的に集客力のあるチームであるが、2000 年度に落ち込んでいる理由はJ2リ ーグに降格していたからであると考えられる。

(14)

2. 3者間の相関関係 (1)成績と投資の関係 ここでは 2002 年から 2006 年の5年間における J1リーグの「成績」と「投 資」の関係を説明する。表3-4は対象チームにおける各チームの順位、相対 順位と総年棒の相関係数を表す。 表3-4 年度別の順位、相対順位と各クラブ総年棒の相関係数 年度 順位 相対順位 2002 -0.71 -0.71 2003 -0.49 -0.49 2004 -0.51 -0.51 2005 0.18 0.18 2006 -0.37 -0.59 表を見てわかるように 2005 年を除いて4年間で逆相関関係を示している。こ れは順位の数が少ない(成績が上位である)チームほど、選手に資金をかけて いることを表している。つまり、ここから選手に資金をかけるチームほど上位 の成績をおさめる傾向にあることがわかる。

(15)

(2)成績と収入の関係 ここでは J1リーグにおける「成績」と「収入」の関係を説明する。 表3-5は対象チームの相対順位と観客動員数の相関係数を表している。 表3-5 クラブの順位、相対順位と観客動員数の相関係数 チーム名 順位 相対順位 浦和レッドダイヤモンズ -0.86 -0.92 ガンバ大阪 -0.71 -0.69 アビスパ福岡 -0.79 -0.68 ジェフユナイテッド千葉 -0.52 -0.63 サンフレッチェ広島 -0.12 -0.56 セレッソ大阪 -0.32 -0.53 名古屋グランパスエイト -0.49 -0.52 ヴィッセル神戸 -0.05 -0.38 東京ヴェルディ1969 -0.29 -0.28 京都パープルサンガ -0.19 -0.25 鹿島アントラーズ -0.15 -0.22 横浜 F マリノス 0.09 -0.09 ジュビロ磐田 0.15 -0.05 清水エスパルス 0.14 -0.03 柏レイソル 0.13 0.51

(16)

ここではより「成績」の価値を通年で平等に計るため相対順位に着目して述 べることとする。 柏レイソルのみが正の値であり、その他のチーム全てが負の値である。これ は順位が高いほど観客動員数は増えるという逆相関関係を表している。またさ らに、逆相関の値が小さいほど成績変化によって観客動員数が大きく変化する ことを示している。それとは逆に逆相関係数の値が大きいほど成績変化による 観客動員数の変化はあまり見られないことになる。よって、浦和レッドダイヤ モンズは成績変化によって観客動員数が他のチームに比べて大きく変化するこ とがわかる。それに対し、柏レイソルは成績変化による観客動員数の変化はみ られないことがわかる。 3. 結論 表3-4と表3-5の結果から J1リーグにおいて浦和レッドダイヤモンズ は勝つために選手に資金をかけリーグ内でいい成績をおさめることがより高い 収入につながるチーム、すなわち「勝ち組」である。一方、柏レイソルは勝つ ことが必ずしも収入につながるとはいえないため選手にさほど投資をおこなわ ないチーム、すなわち「負け組」であるといえる。 なぜなら、表3-4は成績が上位のチームほど選手に資金をかけることを表 し、また表3-5は結果的に収入を得ているチームほど成績が上位であること を表しているからである。つまり、選手に資金をかけることはリーグ内におい ていい成績を収めることにつながり、その結果より収入を得られることを間接 的に表している。

(17)

第4章 おわりに

J リーグにおける勝ち組と負け組をデータから実証するうえで各クラブチー ムの投資(選手年棒、人件費)と収入(クラブ別平均観客動員数)の関係を取 り上げたが、年棒については各クラブの公式のデータは公表されていない。そ ういった中で年棒データの出所である「How Much Are You, Mr.Football?」は 作者も明かされておらず推定のデータではあるが、本論文では各チームの投資 の指標として年棒が最適であると考えているため、これは欠くことができない 貴重なデータである。 そこでさらにこの論文の完成度をさらに高める意味でも J リーグによるより 開かれた正確な情報開示が望ましい。より公式かつ正確なデータを得ることで さらに興味深い結果が得られる可能性があるため、それを今後の研究課題とし たい。

(18)

参考文献

・Stefan Szymanski,"Professional Team Sports Are Only a Game,"Journal of sports economics,vol.5 №2,p111~126 2004.

参照

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