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艦隊これくしょん-艦これ-司令艦、朝潮です!! ID:41765

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Academic year: 2021

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艦隊これくしょん-艦これ-司令艦、朝潮です!!

(2)

︻注意事項︼

  この PDFファイル は ﹁ハーメルン﹂ で 掲載 中の作 品を自動的 に P DF化 した も のです 。  小説 の作 者、 ﹁ハーメルン﹂ の 運営者 に無 断 で PDFファイル及 び作 品を引 用の 範囲を超 え る 形で 転載 ・ 改 変 ・ 再配布 ・ 販売 す る こと を禁 じます 。    

すじ

<Season1>   いつ も の 定期アップデート直後、  艦 こ れログイン 画 面 に 現れ た 謎 の サーバー﹃虚帆泊 地 ﹄  運 営 か ら の サ ー バ ー 移 動 要 請 と 勘 違 い し て ロ グ イ ン し て し ま っ た 青 年は 、  提 督のいない横 須賀鎮守府 に着 任 してしまう 。   ⋮⋮ 朝 潮 型駆逐艦1 番 艦﹃朝 潮 ﹄ として 。   元の 世 界に戻 る た め には 迫り く る深 海 棲艦を退 け 、   天 秤を人類 側の圧 倒的 優 勢 に 傾 けなけ れ ばな ら ない 。   主のいない 鎮守府を代理提 督として 運営 しなが ら、  艦娘 として も 戦う 日々。   その先にあ る のは 生 か死か 、   そ れ と も さ ら におぞましい 運 命か 。  明日を信 じ 混迷 の海に 向 かって 、  駆逐艦朝 潮 、出撃 します !!     <Season2> ﹃司令艦﹄ │││ そ れ は異な る 未来の 記憶を持 つ ﹃提 督 ﹄ であ り、 深 海 棲艦 と戦う ﹃艦娘﹄ で も あ る 存在 。   ひ ょん なことか ら朝 潮 型駆逐艦1 番 艦 ﹃朝 潮 ﹄ となってしまった 青

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年 は 、ソ ロ モ ン 海 で の 戦 い の 後 も 仲 間 た ち と 忙 し い 日 々 を 送 っ て い た 。   そ ん な中 、 彼 ら に 謎 の 遠征任務 が 下 さ れる。  一方提 督 会 には 、 新 たに 艦 こ れ世 界に 囚われ てしまった 司令艦 が 加 わる が 、一 筋 縄 ではいかず⋮⋮ 。   そして 、 あの戦 争 で ﹃駆逐艦 ・ 朝 潮 ﹄ の 最期を知る姉妹艦 ﹃満 潮 ﹄ と ﹃荒 潮 ﹄ の着 任 が 、 横 須賀鎮守府 に嵐 を巻 き 起 こす 。   次の 朝 潮とな る運 命 を担 った 少 女  暗躍 す る 特 務提 督たちの影   怨 念を露わ にす る提 督機  司令艦・電 の 目的   海 を埋め 尽くす 深 海 聯合艦隊│││  例 えそこが絶 望 の海で も、駆逐艦朝 潮 、抜錨 します !!  │││ です よ ね 、司令官│││     ︵ この作 品 は Arcadia で も連載 してお り ます ︶

(4)

  目   

  

Season1 虚帆泊 地 二 着 任セヨ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務1﹃虚帆泊 地 ニ 着 任セヨ !﹄ 1 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務2﹃ハジメテノ艦娘 !﹄ 9 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務3﹃ハ級標的デ練度向上 !﹄ 23 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務4﹃ 浦 賀 水 道 海 域ヲ護レ !﹄ 35 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務5﹃艦隊 大整 備計 画 !﹄ 58 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務6﹃新艦娘建造指令 !﹄ 73 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務7﹃友軍トノ演習ニ挑メ !﹄ 90 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務8﹃司令艦隊酒保 祭 リ !﹄ 115 │ │ │ │ │ │ │ │  任務9│1﹃殴リ込メ 敵前 線泊 地 !﹄ 前 ︶   148 │ │ │ │ │ │ │ │  任務9│2﹃殴リ込メ 敵前 線泊 地 !﹄ 中 ︶   165 │ │ │ │ │ │ │ │  任務9│3﹃殴リ込メ 敵前 線泊 地 !﹄︵後︶   189 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  エピローグ:任務達成 報告   223   幕 間劇1 ﹃朝 潮に 提 督 会をT│party と呼ばせ る ことに失敗し │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ た 金 剛さ ん の 夜茶会in 佐 世保﹄   233 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  寄 港地 1﹃ 大 食艦 と主 計科提 督 ﹄   252 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   幕 間劇2﹃ 紺 色人魚姫伝説﹄ ︵1︶   280 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   幕 間劇2﹃ 紺 色人魚姫伝説﹄ ︵2︶   288 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   幕 間劇2﹃ 紺 色人魚姫伝説﹄ ︵3︶   300 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   幕 間劇2﹃ 紺 色人魚姫伝説﹄ ︵4︶   317 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   幕 間劇2﹃ 紺 色人魚姫伝説﹄ ︵5︶   329 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   幕 間劇2﹃ 紺 色人魚姫伝説﹄ ︵ 終 ︶   342 Season2 血 戦 !ダンピア 海 峡ヲ越ヱテ ! │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務1﹃ 敵潜水 艦ヲ 制圧 セヨ !﹄ 359

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│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務2﹃司令艦トノ接触 作戦 !﹄ 385 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務3﹃ ﹁ 第八 駆逐隊﹂ヲ編成セヨ !﹄ 399 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務4﹃ 強 襲 !空 母 機 動部隊﹄   418 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務5﹃ 第 二一駆逐隊、帝都ヘ﹄   438 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  任務5.5﹃夏色 の空 ﹄   452

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Season1 虚帆泊

任セヨ

任務1﹃虚帆泊

任セヨ

!﹄

  ﹁バグ か 、 この画 面 は ?﹂  定期アップデート が終 わ った水 曜日 の 夜、 ペットボトル の 緑茶を 片 手に机の 上 に 置 いた公 私 兼用の ノートパソコン に 向 かう 。   い つ も や っ て い る よ う に D M M の ロ グ イ ン 画 面 か ら﹃艦 隊 こ れ く し ょん﹄ を起動 ⋮⋮したとこ ろ、 突 然 見 たことの無い ページ が 表 示さ れ た 。   い や、 正 確 には 少 し 違 う 。   そ れ は 既 に 着 任 し た 提 督 に は 関 係 な い ハ ズ の サ ー バ ー 選 択 画 面。 サ ー ビ ス 開 始 時 か ら は 比 べ 物 に な ら な い ほ ど 増 え た い く つ も の サ ー バー たち 。   その 最 前 面 に 、﹃虚帆泊 地  サーバ﹄ と 書 か れ た 黒文 字の サーバー が 表 示さ れ てい る。 ﹁ ⋮⋮何て 読むん だ ろ、 こ れ﹂  g00gle 先 生 に 聞 いて みる が 、 その 名 前で ヒット す るページ は 無い 。念 のた め に公 式tw1tterも確認 して み たが 、 書 いてあ る ことは 微調 整 内容 についてばか り。 ﹁サーバー に 負担 がかか り過 ぎて る か ら、 大湊 み たいに 移動 し ろ、 って ことなのかな ?﹂   着 任 数が 爆 発 的 に 増 えていた 頃 ⋮⋮い や、 未だに着 任希望者 は 途切 れ て い な い の だ け れ ど も ⋮⋮ 運 営 か ら 呉 ・舞 鶴 鎮 守 府 の 一 部 提 督 に 、 サ ー バ ー 負 担 軽 減 の た め 大 湊 警 備 府 サ ー バ へ の 移 動 要 請 が な さ れ た ことがあ る。  同 じ よ うに 今回 の アップデート で も新 たな サーバー が 導 入さ れ、 自 分 がその 移動要請対象 になったのか も し れ ない 。 ﹁ しっかし 虚帆泊 地ってどこだ よ﹂   こ れ ま で は 歴 史 的 に 大 日 本 帝 国 海 軍 と 関 連 す る 場 所 が 選 ば れ て い たのだが 、 サーバー が 増 え 過 ぎたた めネタ切れ に 陥り、 とうとう 架 空

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の 泊 地 を設定 す る ことになったのだ ろ うか 。  少 し 気 になったので 、 某巨 大 掲 示 板 の ﹃艦隊 こ れ くし ょん∼艦 こ れ ∼質 問 スレ﹄ に 書 き 込ん で みる。  夜 の サ ー バ ー が 込 む 時 間 帯 だ 。 こ こ に も 艦 こ れ を 起 動 し な が ら ス レッドを開 く 提 督たちがひし め いていた ら しく 、 そ れ ほど 待 たずして 次 々 と レス が 返 ってきた 。 ﹃知ら ね ∼よ そ ん な サーバー﹄ ﹃運営 に 聞 いて み た ら どうです ?﹄ ﹃虚 帆 w w w w と う と う 運 営 も 東 方 面 に 堕 ち た か w w w う に ゅ ほ か わ いい よ うに ゅ ほ prpr﹄ ﹃如月駅み たいだな 。 こ れオカ板行 き案 件 じ ゃ ね ?﹄ ﹃スクリーンショット のう pを。話 はそ れ か ら﹄ ﹃ さっさと 選択 して 続 報 ヨロ。 あ 、 何かあって も骨 は 拾 えないか ら、 気 が 向 いた ら靖国 に 参拝 しとく わ。 南無 ∼﹄  予 想 通 り と い う か 、 全 く 役 に 立 た な い コ メ ン ト ば か り。 た だ ス ク リーンショット に 関 しては も っと も なので 、 念 のた め に PrtSc で デスクトップ 画 像を保 存しておく 。  相談 して み た も のの答えは 出 ない よ うなので 、 聞 くのはまた 今度 に してその時画 像もアップ し よ うか 。  待 っていて も 時 間 ばか り が 過 ぎていく 。 ﹁ ま 、サーバー が 軽 くなって 環境 が 良 くな る な ら いいか ﹂     どうせ 運営 か ら は 掛 け 軸 く ら いしか もら えないだ ろ うけど 。   昨 日 は 遠 征 要 員 の 駆 逐 艦 に キ ラ 付 け し て い る 途 中 で う っ か り 寝 落 ちしてしまった 。   その 後 は ﹃艦 こ れ﹄ を いじ る 時 間も 無く アップデート に 突 入してし まったた め、今日 はまだ デイリー任務も 終 わ っていない 。  イ ベ ン ト の 準 備 も 大 型 建 造 も 終 わ っ て な い 今、 あ ま り 余 裕 は な い 。 さっさと 開始 しなけ れ ば 。 ﹁よ し 、行 くか !!  ペットボトル のお 茶を ぐっと 口 に入 れ、 画 面上 の ﹃虚帆泊 地 サーバ﹄ をクリック す る。

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  いつ も の 真 っ 暗 な 背 景に 、 ぷかぷか丸が ローディング の 間 ぷかぷか 浮かぶ 姿 が 表 示さ れ た 。   何だ 、 別に普 通 じ ゃ ないか 。 ﹃代 理 提 督 が 鎮 守 府 に 着 任 し ま し た 。 こ れ よ り 艦 隊 の 指 揮 に 入 り ま す !!   え 、今代理 って 言 った よ うな⋮⋮ 。    瞬間、 昼の光が 目 に 飛 び 込ん できた 。 ﹁朝 潮 、 何 ぼ ∼ っ と し て ん だ ?コ ロ ッ ケ い ら な い ん な ら 深 雪 さ ま が も ら うぞっと ﹂    誰 かのお 箸 が振 り下ろ さ れ、 串刺しにさ れ た コロッケ が 上 がってい く 。 ﹁や ったぜ ー !! ﹁ ち ょ、 ち ょ っと 深雪 ち ゃん !! ん な 勝 手に⋮⋮ ﹂ ﹁ だった ら五月雨 の も いただきっ !! ﹁も うっ 、 な ん でぇ !?  不意 に 目 の前に 、 違 う セーラー服を 着た 小 学校 高 学年っぽい女の子 二人 が 現れ た 。  握り箸 で 小 さな コロッケを二 つ 突 き刺してい る方 は 、 黒髪をショー ト ボ ブ に し て 少 し 強 気 な 目 を し た 子 。ス ポ ー ツ ク ラ ブ の 陸 上 部 か バ スケ部、 といった 感 じで 、 いかに も 体 を動 かすことが好きそうだ 。  対 してそ れを 止 めよ うとしてい るも う 一人 は 色 白で 華 奢 、 ち ょ っと 変 わ っ た 意 匠 の セ ー ラ ー 服 を 着 て い る。 普 通 で は あ り え な い 水 色 の 長 い 髪 と 、 優しそうなた れ気 味の 青 い 瞳 が印 象的 な 少 女だ 。  二人 と も、 その 顔を見 たことがあった │││ゲーム の 、﹃艦隊 こ れ く し ょん﹄ の中で 。   吹 雪型駆逐艦4 番 艦、 駆逐艦 ﹃深雪﹄ と 、 白 露型駆逐艦6 番 艦、 駆 逐艦﹃五月雨﹄ 。  旧 海 軍 の 船を擬人化 した 架 空の存在であ る 彼女たちが 、 今、 自分 の 目 の前で何 やらもめ てい る ではないか 。

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﹁ ぶ ー っ !!   あま り の 衝撃 に 、口 に含 ん だままのお 茶を 噴き 出 してしまう 。 ﹁わ ぁっ 、朝 潮が潮吹いたっ !! ﹁や ぁ ー っ !?  驚 い て 箸 を 取 り 落 と す 深 雪 と 、 ち ゃ っ か り 自 分 を ガ ー ド す る 五 月 雨。 ﹁ な ぁ に ?騒 が し い け ど 、3 人 と も ち ょ っ と 行 儀 が 悪 い ん じ ゃ な い か な ?﹂  定食 屋に よ くあ るトレイを持 った 、 また 違 う制 服を 着た 高 校 生 く ら いの女の子が 近 づいて来 る。  薄 紫 色 の太くて 長 い サイドポニー の 髪型 が特 徴的 で 、 すぐに彼女が 誰 なのか 分 かった 。  長良型軽巡4 番 艦、軽巡洋艦﹃ 由 良﹄ 。   八 四艦隊計 画に 基 づいて 建造 さ れ た 姉 たちと 違 い 、 八六 艦隊計 画に 基 づいて 設計 さ れ た由 良型一 番 艦 と も 呼ば れる軽巡洋艦。  基 本 能 力 は 平 均 的 だ が 、 そ の 突 出 し た 高 い 対 潜 能 力 に は お 世 話 に なった 提 督 も多 い 。 ﹁ だって 深雪 ち ゃん が⋮⋮ ﹂ ﹁ だって 朝 潮が⋮⋮ ﹂  指差 ささ れ た 順 番に由 良 の 視線 が 巡り、 最後 にこち らを見 たとこ ろ で止ま る。 ﹁ ああ 、 こ れ は着 替 えなき ゃダメ ね 。鳳翔 さ ∼ん !!   振 り返 って 後ろ の 方、 木 製 の カウンター の奥に 声を かけ る。   そういえば 今気 づいたが 、 いつの 間 にか 自分 は 広 い 食堂 の よ うな場 所の 、4人掛 けの 椅 子席に 座 っていた 。  窓 か ら は 明 る い 光 が 差 し 込 み、食 堂 の 隅 に 掛 け ら れ た 柱 時 計 の 針 は 、12 時 27分を指 してい る。  食堂 には 他 に も、 事務員 っぽい 人や工 場の整 備服 の よ うな も の を 着 た男女の大 人 たちが 皆、 自分 の昼 食 と格 闘 してい る とこ ろ だ 。 彼 ら の い る 場所とこち ら 側は 、 簡単な屏 風 の よ うな も ので 仕切られ てい る。  よ く 分 か ら ないけ れ ど も、職員 用とそうでないのの 違 いだ ろ うか 。

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  ぽた 、 ぽた 、 ぽた⋮⋮   さ っ き 噴 き 出 し た お 茶 の 水 滴 が 規 則 正 し い リ ズ ム で テ ー ブ ル か ら 滴り落 ち 、穿 いてい るスカートを濡ら していく 。   ⋮⋮ スカート !?  自分 の 足 元 を見る。   そこには女子 小 学 生 用の 、 黒 い制 服スカート と 、 また 同 じ 色 の ハイ ソックスを穿 いた 足 があった 。 絶 対領域 には白くて細い 、 そして子 供 ら しい 肉付 きの 薄 い 足 が 覗 いてい る。   何でこ ん な も の を ?何でこ ん な も のが ?     女 装趣 味にして も小 学 生 の制 服 は無いだ ろ う 。   というか 、 そ も そ も そ ん な 趣 味があった 記憶 など無いが⋮⋮どうに も状況 が 掴め ない 。  一人考 え 込ん でい る と 、 カウンター の 方 か ら ぱたぱたと 草 履の 音 が 聞 こえてきた 。  現れ たのは割 烹 着の似 合 うおっと り した 感 じの大 人 しそうな女性 。  エンタープライズやロナルド ・ レーガン 含 め、世 界の空 母 のお 母 さ ん。  鳳翔型 空 母1 番 艦、軽 空 母﹃鳳翔﹄ 、 その 人 だ 。 ﹁ あ ら まあ 、み なさ ん どうしたのでし ょ うか ?﹂ ﹁朝 潮がいきな り 潮吹いた ん だ ﹂ ﹁ お 茶 です !!深雪 ち ゃん が 勝 手に コロッケ取る か ら だ よ﹂ ﹁ だって 朝 潮 、 全然 食 べてなかったし ﹂   潮 を 別の 意 味に捉えたのか 、 こち らを見 た 一瞬鳳翔 の 顔 が 紅 くなっ たが 、 すぐ元に戻 る。 ﹁鳳翔 さ ん、 片づけ を お 願 いします 。 由 良も 手 伝 いますか ら﹂ ﹁も ったいないですけど 、致 し 方 あ り ませ ん ね ﹂  目 の 前 に あ っ た お 茶 浸 し の ト レ イ を 一 つ 持 ち 、カ ウ ン タ ー の 奥 に 戻っていく 。台拭 きで も取り にいくのだ ろ うか 。   由 良も自分 の トレイを脇 に 置 き 、 残 さ れ た 2 つの トレイ の 皿を重 ね て片づけはじ め た 。

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 深雪 の 分 はほと ん ど 残 っていないが 、 五月雨 の トレイ にはまだ 食 べ か け の ご 飯 や ら 味 噌 汁 や ら が 多 く 残 さ れ て い る。確 か に も っ た い な い 。 ﹁深 雪、 あ な た は 朝 潮 を お 手 洗 い に 連 れ て 行 っ て あ げ て 。五 月 雨 は 悪 い け ど 、 ち ょ っ と 寮 ま で 戻 っ て 朝 潮 の 着 替 え を 持 っ て き て く れ る か な ﹂ ﹁ ぃ よー しっ 、 楽な 方 で 良 かったぜ !! ﹁ 何 言 っ て る の ?朝 潮 が 脱 い だ 服 は 、深 雪 が ド ッ ク の 脱 衣 所 ま で 持 っ て 行 くの ﹂ ﹁ なぬ 、やられ たっ !! ん なことだと 思 ったぜ 、チクショ∼ !!   きびきびと 駆逐艦二人 に 指 示 を下 す由 良。 ﹁ じ ゃ あ トイレ行 くぞ 、朝 潮 ﹂  少 しぶすっとした 顔 の 深雪 が先に歩き 出 す 。   ど う し て い い か 分 か ら ず そ れ を 見 て い る と 、深 雪 が 戻 っ て き て え えぃ も う !! 言 いなが ら 手 を握 ってきた 。 ﹁ ⋮⋮本当にどうしたの 、 朝 潮 。 さっきか ら一言も喋 ってないけ れ ど 、 どこか具 合 が 悪 いのかな ?﹂  引 っ張 られ て 行 く 途 中で 、 由 良 がさっと 額 に手 を 当ててきた 。   しな や かな白い 指 先は 少 し 冷 たく 、気持 ちいい 。 ﹁ う ん。熱 は な さ そ う だ け ど 、濡 れ た 服 で 風 邪 ひ く と 大 変 よ ね 。早 く 着 替 えてきち ゃ って ﹂ ﹁わ かった よ。深雪、最 大戦 速 !! ﹁ ⋮⋮ わわわわ ぁっっ !!  想像以上 に 深雪 の 足 は 速 い 。  食堂を通り抜 け る際思わ ず甲 高 い奇 声を上 げてしまい 、 周 囲 の 注目 が 集 ま る。  深雪 は 構わ ずそのまま 進み、 食堂を出 てすぐのとこ ろ にあ る 手 洗 い に 、 手 を引 いたままずかずかと入っていった 。   ﹃ 女子 便 所 ﹄ と 書 か れ た 方 に 。   きしきしと 音を立 て る 扉 を開 けて手 洗 いの中に入 る と 、 タイル 張 り の 床 と 壁 に 木 製 の 個 室 が 4 つ ほ ど 備 え 付 け て あ っ た 。 先 客 は い な い

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ら しく 、 ち ら っと中 を見 た 限り では全 部和式み たいだ 。 ﹁ ほ ら、 さっさと 脱 ぎなって ﹂  脱衣を促 さ れる。   といって も、 何 を どうす れ ば よ いのか 見 当 も つかない 。 そうしてま ごまごしてい る と 、深雪 の無 遠 慮な手が 肩 に伸びてきた 。  吊りスカート の 肩 ひ もを下ろ し 、 意外 と器用にぷちぷち 、 とお 茶 の 染み ができた ブラウス の ボタンを外 していく 。 が 、 ボタン の 四 つ 目 あ た り で 面倒 になった ら しく 、 ﹁ えぇい 、も う 一気 に 脱 がすか 。朝 潮 、バンザーイ ってし ろよ﹂  向 か い 合 っ て バ ン ザ イ の ポ ー ズ を し て み せ る。 そ れ に 従 っ て 両 手 を上 げ る と 、 えい や っとばか り に 上 着 を引 っ張 り上 げ られ た 。   しば ら く 身をよ じってい る と 、 すぽ ん、 と ブラウス が 抜 け る。 ﹁ じ ゃ あ 深 雪 は 服 を 持 っ て く か ら、五 月 雨 が 来 る ま で 顔 で も 洗 っ て 待 ってな ﹂   そしてごそごそと 自分 の スカート の ポケットを まさぐ る と 、 ﹁ こ れ、使 っていいぜ 。 さっきは 一応深雪も悪 かったか ら な ﹂   そう 言 って白い ハンカチを差 し 出 してきた 。  受 け 取 っ て よ く 見 る と 、隅 に 雪 の 結 晶 の 小 さ な 刺 繍 が 施 さ れ て い る。  誰 の 持 ち物か 非 常に 分 か り易 い 。 ﹁ ⋮⋮どうしちまった ん だ よ朝 潮 。 てっき り ﹃ いい わ、 自分 の を使 いま すか ら﹄ な ん て 言 うと 思 った ん だけど 、 い や に素 直 だな 。 そ れ にさっ き か ら 妙 に 大 人 し い し 、も し か し て 何 か 変 な も ん で も 食 べ た の か い ?﹂ ﹁ ⋮⋮あ⋮⋮その⋮⋮ 自分 は 朝 潮じ ゃ ⋮⋮ ﹂ ﹁ まあいい や、 寝 ぼけて る な ら 着 替 え る間 にち ゃん と 目覚 ましとけ よ。 じ ゃー な !!  一 方 的 に 言 い 放 っ て 脱 ぎ た て の 服 を 持 っ た 深 雪 は ド ア の 向 こ う に 消 えた 。   女子 便 所の中に 自分 だけが 取り残 さ れる。  安 物 の 芳 香 剤 と 男 子 便 所 と 同 じ よ う な ア ン モ ニ ア の 鋭 い 匂 い が 混

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ざって 、気付 け 薬 の よ うに 鼻 の 粘膜 と 脳を 刺 激 した 。 ﹁ ⋮⋮さっきか ら朝 潮って呼ば れ て る けど 、一 体どういう⋮⋮ ﹂   こ れ が 何 か の 夢 な ら ば 、深 雪 が 言 っ た 通 り さ っ さ と 目 を 覚 ま し た い 。  顔を洗 おうと 洗面台 に 近 づく 。   す る と正 面 に 備 え 付 け られ た 古 い 鏡 に 、自分 の 姿 が映った 。  毛 先が 少 し カーブ した 、 背 中の半ばまで伸び る黒 くて 長 い 髪。 細い 眉毛 の 下 には 、意志 の強そうな 少 し 目 尻の 上 がった大きな 瞳。  美人 の条 件を揃 えてはい るも のの 、精悍 だがまだ幼い 顔 つき 。   そして第 二 次性 徴期 が 始 まったばか り といった 、 ほと ん どが 直線 で 構成 さ れ た 小 さな 身 体 。   唯 一 女性 的 なのは 、 微 かなその 胸 の 膨らみを覆 う白い ジュニアブラ く ら いだ 。    ││││70 年 近 く前 、 太平 洋 戦 争 で 激 戦 を 繰 り広 げた大 日 本 帝国 海 軍。   海 に 沈 ん だ そ の 艦 船 た ち の 力 と 魂 を 持 ち 、今 ま た 人 類 の 新 た な 敵 、 深 海 棲 艦 と 戦 う こ と を 運 命 づ け ら れ た 少 女 │ │ │ │ の 姿 を し た 兵 器 たち 。  自律 機 動 戦 闘艦艇﹃艦娘﹄ 。  鏡 の中にはその 一人、 艦娘││││朝 潮 型駆逐艦1 番 艦、 駆逐艦 ﹃朝 潮 ﹄ の 姿 があった 。

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任務2﹃ハジメテノ艦娘

!﹄

  ﹁ どういう │││ ことだ │││﹂  唖 然 と し て し ば ら く 言 葉 を 失 っ て し ま っ た 。 手 に 持 っ た 深 雪 の ハ ンカチを取り落 としそうにな り、 思わ ず屈 み こ む。 す る と 鏡 の中の 朝 潮が 消 えた 。  ゆ っ く り と 立 ち 上 が る と 、再 び 鏡 の 中 に 少 女 の 小 さ な 頭 が 現 れ る。 手 洗 い場のくたび れ た 蛍 光灯の光 を反射 して 、 艶や かな 黒髪 の キュー ティクル が天 使 の 輪 の よ うにぴかぴかと 輝 いた 。  目 の前の 朝 潮の 顔 はいつ も の優等 生 然としたふうではなく 、 いつ も か ら は 考 え ら れ な い く ら い 自 信 の 無 い 表 情 だ 。 彼 女 の 特 徴 的 な キ リッ とした細い 眉も、 どこか 困惑 した よ うにへに ょ っ 、 となって 見 え る。  試 しに手 を上 げ る と 朝 潮 も 手 を上 げた 。  顔を しか め て みる と 、 今度 は クラスメート の男の子 を叱る委員長み たいな 顔 にな る。 ﹁ そ ん な バカ なことが ││﹂   お ず お ず と 右 の ほ っ ぺ た を 抓 ん で み る。切 り 揃 え ら れ 磨 か れ た 小 さな爪先が 、 弾 力 のあ る 子 供 の 肌 が 指 に 食 い 込ん だ 。   ぐいっと 引 っ張 る。  │││痛 い 。 こ れ は夢ではない 。  鏡 の中で 朝 潮が 涙目 になってきたので 、 慌てて手 を離 す 。 白い彼女 のほっぺたに 、 爪と 赤 い 指 の 痕 がくっき り とついてしまった 。 ﹁ じ ゃ あ も しかして ││﹂   恐 る 恐 る朝 潮の 、 白い ジュニアブラ に 包 ま れ た慎ましい 胸 に手 を 伸 ばす 。  │││ ぺた ん   かな り寂 しい 感触 が 伝わ って来た 。  一度触れ てか ら は 自分 の中で タガ が 緩ん だのか 、 も っと大 胆 にふに ふにと 揉ん で みる。童 女と 少 女の 境目 にあ る 性 徴途 中の 膨らみ は 、 ま だ未 成熟 で硬く 、 周 り の 皮膚 とほと ん ど区別がつかない 。

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 ブ ラ を ち ょ っ と だ け ず ら し て 中 を 見 て み る。誰 に も 侵 さ れ た こ と の 無 い 小 さ な 乳 首、や や 大 き め の 桃 色 の 乳 輪 が あ り、 そ の 周 り が ち ょ っと 盛り上 がってい る程度。 こ れを 乳房と呼べ る かどうか 、 本当 に 微妙 な ライン だ 。  駆逐艦 の 艦娘 は 一部を除 いて幼い体つきが 基 本だし 、 そ れ は 朝 潮 も 例外 ではない 。   潮 サイズ までと 贅沢 は 言わ ないけ れ ど 、今後 に 期待 し よ う 。 ﹁ で も朝 潮になって る ってことは ││﹂  │ │ │ 下 も そ う な の だ ろ う か 、 ま で は 恥 ず か し く て 言 葉 に で き な かった 。   し か し 好 奇 心 は 抑 え き れ な い 。 振 り 返 っ て 女 子 ト イ レ の 中 を も う 一度見回 し 、 自分以外 に 誰も いないこと を確認。今 な ら見られる心配 はない 。  ゆ っく り と手 を 伸ばして 、 朝 潮 型姉妹 共 通 の 、 公 立小 学校の制 服み たいな 黒 い 吊りスカートをめ く り上 げていく 。  も うすぐ │││ ほ ん の 少 し │││ あとち ょ っとだけ め く れ ば 、 中破 で も表 示さ れ ない 朝 潮の スカート の中が │││。   ふと 、我 に 返 って 鏡を覗 き 込む。   そこには危 険 な 誘惑 に 頬を紅 潮させ 、 自分 で スカート の 裾を持 ち 上 げ る朝 潮がいた 。瞳 は潤 み、 息 を 弾ませ 、 年 不相応 な 蕩 けた 表情を 浮 かべてい る。   その 姿 は 仮 にその 気 が無い 聖人君 子で も、 どきっとさせ られる く ら い 妖艶 だ 。  や がて 背徳 の 探 究 心 が 重力 の 抵抗を 打ち破 り、 秘密 の 花園 が 露わ に な る。  ジュニアブラ と 同 じ 、 白い子 供 用の パンツ。   とはいえ木 綿 のご わ ご わ した も のではなく 、 中学の 運動部 が 穿 く よ うな ショーツ と ボクサーパンツ の 間み たいな 、 ぴっち り と 下 半 身を包 み込むタイプ。  │││ う ん、 まあ ブラ が 実 用 重視 な時 点 で大体 デザイン は 想像 でき てた 。

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  こ れ で 黒 とか 紐 とかな ら意外 性があったのだけ れ ど も、 真面目 な 朝 潮がそ ん な も の を穿 く わ けは無いし 、 そ も そ も上下合わ ない 下 着 を選 ぶ性格には 思 えない 。   ち ょ っと 残念 か も、 と 思 いなが ら の 凹凸 のないつ る っとした 股間を 眺 め てい る と 、 何だか 不思議 な 、 言葉 にできない 妙 な 気分 になってき た 。  見 慣 れ て た 自 分 の そ れ と は 決 定 的 に 違 う 部 分。 幼 い 朝 潮 の 身 体 で 、 女の子だということ を最も 主張してい る部分。   無 意識 にごく ん、 と唾 を飲み込む││││。 ﹁朝 潮ち ゃ∼ん、 着 替 え 持 って来ました よ∼ !! ﹁ き ゃ い ん っ !!  突 然女子 便 所の入 り口 の扉が 開 き 、 替 えの ブラウスを小脇 に 抱 えた 五月雨 が 勢 い よ く 飛 び 込ん できた 。   とっさに スカートを下ろ して 蛇口を ひね り、 ばし ゃ ばし ゃ と 顔を洗 う 。 ﹁ あ 、 あ れ、朝 潮ち ゃん一人 で何してた ん ですか ?﹂ ﹁ かっ 、顔を洗 ってい る の 、 です わ、よ ⋮⋮ ﹂ ﹁ ふ ∼ん ?﹂   女の子っぽい 喋り方 で答え よ うとしたが 、 無 理 したせいで 語 尾がお かしくなってしまった 。 こ れ じ ゃ熊野 だ 。  深 雪 の ハ ン ケ チ で 顔 を 拭 く 。 ま だ 自 分 で 引 っ 張 っ た 頬 が 赤 い 気 も す る が 、 しば ら くす れ ば 消 え る だ ろ う 。   はいこ れ、 と 五月雨 に渡さ れ た 新 しい半 袖ブラウス に手 を通 してい く 。 ﹁ 何だか 今日 の 朝 潮ち ゃん、 ち ょ っと 親近感 があ る な ∼﹂   着 替 え を見守 っていた 五月雨 が 、 ち ら っと 漏ら した 。 ﹁ え 、 えと 、 何が⋮⋮かし ら ?﹂ ﹁ 慌 て ん 坊 さ ん で 、 ち ょ っ と ド ジ っ ぽ い と こ ろ。 い つ も の 朝 潮 ち ゃ ん も 格好 良 くて好きだけど 、 真面目 で 責任感 が強くって何ていうかこう ⋮⋮ スキ が無い ん だ もん﹂  五 月 雨 に は そ ん な 風 に 思 わ れ て い た の か 。 ま あ の 提 督 た ち も 同 じ

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感想 だ ろ うけど 。   そういえば 朝 潮は 、 口調 が 厳 しい 朝 潮 型3 番 艦満 潮の 姉 だ 。実際朝 潮 自身も、真面目 と 言 うことに 関 しては 相 当 我 が強いに 違 いない 。 ﹁ そう 、 な ら良 かった⋮⋮ わ﹂ ﹁ う ん う ん、 着 替 え 終 わ っ た ら 鳳 翔 さ ん が 替 え の ご 飯 を 用 意 し て く れ てい る か ら、朝 潮ち ゃんも一緒 に 行 きまし ょ う !!   何だか ゲーム の 五月雨よりも、 朝 潮に 対 しては 言葉 が 砕 けてい るよ うな 気も す る。   当然か 。  ゲーム の 提 督は 艦娘 たちの 上司 で 、 その命 令 は絶 対。文 字 通り艦娘 たちの 生殺与 奪 を握 ってい る のだか ら、 言葉遣 いは 自 然 丁寧 にな る の だ ろ う 。  今 は 同 じ 駆逐艦 の女の子が 相 手だか ら ⋮⋮ 。   改 め て 自分 が 朝 潮になってい る ということ を思 い 知ら さ れる。  ブラウス の 裾をスカート に 仕舞 い 、 肩 ひ もを かけ る。最後 に 鏡 で 身 だしな み の 確認。  艤装や 兵 装を外 してい るも のの 、 そこには ゲーム で 見 慣 れ た 朝 潮の 姿 があった 。 というか 、 装備 が無いと本当にただの女子 小 学 生 にしか 見 えないな 。   にこっ 、 と 笑 って みる。笑顔 の 練習。 ま る で画 面 の中の 朝 潮は 提 督 の前だか ら か 、 いつ も真面目 で 勇 ましい 表情 だったっけ 。   う ん、 こ ん な普 通 の女の子 み たいな 朝 潮 も、悪 くない 。 ﹁行 こう 、五月雨│││ ち ゃん﹂   そう 名 前 を 呼ぶと 、五月雨 は 嬉 しそうに手 洗 いの扉 を開 けた 。   どが ん、 と何かが 衝突 す る音 が 響 く 。 ﹁痛 ってぇ 、 なにす ん だ よ !! ﹁ あ れ ぇっ ?!深雪 ち ゃん !!   ち ょ う ど さ っ き 脱 い だ 服 を 片 づ け て 、 戻 っ て き た 深 雪 の 艦 首 に ク リーンヒット してしまった 。 ﹁ 大 丈 夫 ?立 て る かな 、深雪 ⋮⋮ち ゃん﹂ ﹁ いっけ る いけ る、 大 丈 夫だぜ⋮⋮って 朝 潮 、 まだ着 替 えてたのか ﹂

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  尻 も ち を ついて 頭を押 さえ る深雪 に手 を差 し 出 す 。  躊躇わ ず 握る深雪をよ いし ょ っ 、 と 引 っ張って 立 ち 上 が ら せた 。 ﹁ ご めん なさい 深雪 ち ゃん !!今度 は 気を付 け る か ら﹂ ﹁ 別にいいけどさ 。 そ れより朝 潮 、怒ら ないのか ?﹂ ﹁ 何 を ?﹂  深雪 はおいおい 、 と呆 れ た 顔を す る。 ﹁ いつ も だった ら ﹃廊下 は 走ら ないで ﹄ とか 、﹃ 前 方不注意 です ﹄ とか 、 き ゃん き ゃん言 ってく る のに よ。今日 は 拍 子 抜 けだぜ ﹂   本当に みん なの学 級委員長 だった ん だな 、朝 潮って 。 ﹁ そ れより早 くいかないとご 飯、冷め ち ゃ う よ ?﹂  深雪 は 五月雨 と 顔を見合わ せ る と 、 あはは 、 と 笑 い 出 す 。 つ られ て こち らも笑 ってしまった ﹁ な ら 競 争 だ 。負 け た ら 深 雪 さ ま の 代 わ り に 、寮 の 掃 除 当 番 一 週 間 だ ぜ ﹂ ﹁ じ ゃ ああたしが 買 った ら、 あたしの 洗濯 当番 一週間交代 !!  一斉 に 食堂 に 向 かって 走り出 す 。   彼女たちと 少 し打ち 解 け られ た よ うな 気 がした 。     ﹁遅 かったじ ゃ ない 、3人 と も﹂   先 ほ ど の テ ー ブ ル に は 4 人 分 の 定 食 が 乗 っ た ト レ イ が 並 ん で お り、 うち 一 つの席に由 良 が 座 ってい る。   ちな み にさっきの 競争 の 賭 けは 、 食堂 の扉に 深雪 と 五月雨 が 同 時に 激突 して ノーゲーム になった 。 ﹁ 由 良 さ ん、待 っててく れ た ん ですか ?﹂ ﹁朝 潮の 様 子 も気 になってたか ら、 ね ﹂   全 員 が 席 に 着 く の を 確 認 し て 、 由 良 が 手 を 合 わ せ て い た だ き ま す 、 と 言 う 。  一緒 に唱 和 して 、自分も箸を取 った 。  トレイ の 上 には味噌汁とご 飯、 お 新香 と 、 さっき ダメ にしてしまっ た コロッケ ではなく 、 代り に 豚 の 生姜 焼きの 皿 がついてい る。鳳翔 が

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気を 利かせて別の メニュー に 変 えてく れ た ら しい 。  最初 に味噌汁 を すすって みる と 、 熱 く 濃厚 な 赤 味噌の 香り が 口 の中 に 広 が る。 な め こと 豆腐 の味噌汁だ 。   さっきの コロッケを ほと ん ど 食 べていた 深雪 は 、 一日 に 二回定食を 食 べ る ことができたのが 嬉 しいのか 、早速豚肉 にかぶ り ついてい る。  成 長 期 だ か ら お 腹 が 減 る の だ ろ う か 。 と り あ え ず 自 分 も 目 の 前 の 生姜 焼き 定食 と格 闘始める。 ﹁ そういえば 、他 の 艦娘 ってどこにい るん ですか ?﹂   半 分 ほ ど 食 べ 終 わ っ た と こ ろ で 、 ふ と 誰 に 対 し て と な く 尋 ね て み た 。   びくっ 、 と 他 の 3人 の 箸 が止ま る。 何か 不 味いことで も言 ったのだ ろ うか ? ﹁ ど の 鎮 守 府 に 誰 が 着 任 し て い る か は 機 密 事 項 に 抵 触 す る か ら 由 良 も わ か ら ないけど 、今 横 鎮 にはここにい る4人 と 鳳翔 さ ん だけ 、 かな ﹂  朝 潮 、深雪、五月雨、 由 良、鳳翔。  駆逐艦3隻、 軽巡1隻、 軽 空 母1隻。 水 雷 戦 隊 が や っと 一 つ組 める 員 数 。  対 潜 番 長 が い る か ら 潜 水 艦 相 手 な ら そ こ そ こ や れ る だ ろ う け れ ど も、 正 面 火 力 が圧 倒的 に弱すぎ る。 ﹁ じ ゃ あ 提 督 は ?姿 が 見 え ま せ ん け ど 、提 督 は ど こ で 何 を や っ て い る ん です ?﹂ ﹁朝 潮 、 そ ん なこと 忘れる な ん て 、 頭 で も ぶつけたのかな ?うちの 鎮守 府 に 提 督 、 いないじ ゃ ない ﹂   絶 句 した 。 ﹁ あ 、も し か し て 夜 中 に 深 雪 ち ゃ ん に 蹴 っ 飛 ば さ れ た か ら か も。 前 か ら 朝 潮 ち ゃ ん、深 雪 ち ゃ ん の 寝 相 が 悪 い か ら 横 で 寝 た く な い 、 っ て 言 ってたし ﹂ ﹁ あ り そ う な 話 ね 。 そ れ で 記 憶 が 混 乱 す る か は 別 に し て も、朝 潮 は 普 段 我 慢 し て ば っ か り な ん だ か ら、 具 合 が 悪 い 時 は 早 め に 言 い な さ い 。 ね ?﹂ ﹁│││朝 潮ち ゃん ?﹂

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 黙 ったままでい る と 五月雨 が 顔を覗 きこ ん できた 。 ﹁ そ れ で 大 丈 夫 な ん で す か │ │ │ そ れ で 深 海 棲 艦 相 手 に 戦 え る ん で す か !? ﹁ あ ん ま り 大 丈 夫 じ ゃ な い 、 か な 。提 督 が い な い と 大 規 模 な 艦 隊 編 成 や 作戦 行動も できないし 、 艦娘 の数 も増 えないし 、 装備も更新 さ れ な い 。 由 良 たちが着 任 してか ら一 か 月、 今 のとこ ろ深 海 棲艦 が 現れ ない か ら いいけど 、 この平穏がいつまで 続 く やら│││﹂   ぱ りん、 とお 新香を 噛 む 由 良。 ﹁深 雪 は 早 く 出 て き て ほ し い ぜ 、深 海 棲 艦。 で な い と 活 躍 で き ね ー も ん な 。 に し て も 提 督 か ぁ ⋮⋮ 前 に い た 呉 鎮 じ ゃ 着 任 時 に 挨 拶 く ら い はした もん だけどな 。考 えて みれ ば横 鎮 の 提 督って 見 たこと無いぜ ﹂ ﹁ あ 、 あたし も です 。朝 潮ち ゃんも一緒 に着 任 した時 、 提 督がいない 鎮 守府 な ん て 、 ってぼ や いてたじ ゃ ないですか ﹂ ﹁ そう ?﹂   余 計 なこと を突 っ 込 ま れ ない よ う 、 お 茶 で 咽喉を 潤す 。 ﹁ 由 良 も 引 き 継 ぎ 資 料 で し か 知 ら な い け ど 、 そ も そ も 2 代 前 の 提 督 が 鎮守府を途 中で放 棄 していなくなっち ゃ ったのが 始 ま り なの ﹂   敵 前 逃 亡、 と い う こ と だ ろ う か 。世 が 世 な ら 軍 法 会 議 も の だ ろ う に 。 ﹁ そ れ で 後 を 継 い だ 前 の 提 督 さ ん か な り 頑 張 っ て い た ら し い ん だ け れ ど も、 危 険 な 任務 で 出撃 した 際、艦隊 が全 滅 してしまって ││﹂ ﹁ う わ ⋮⋮ ﹂  見事 な 泣 きっ 面 に 蜂、酷 いことは 重 な るも のだ 。 由 良 が 続 け る。 ﹁ 結 局 前 の 提 督 は 責 任 を 取 っ て 辞 任。 そ の 時 の 鎮 守 府 メ ン バ ー 唯 一 の 生 き 残り が 、 鳳翔 さ ん な ん だって 。 その時のことはあ ん ま り話 したが ら ないけどね ﹂ ﹁ あ ら、私 が何か ?﹂   振 り向 くとすぐ横に 、鳳翔 がお 盆を持 って 立 っていた 。 ﹁ 前 の 提 督 の 話 を し て い ま し た 。直 接 知 っ て い る の は 鳳 翔 さ ん だ け で すし ﹂ ﹁ まあ 知 ってい る といえばそうですが 、直接、 というのは 違 います ﹂

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 デザート の 小皿を配る鳳翔。  暗 く 黒 く 輝 くしっと り した 肌を持 った 、 ほのかな 甘 い 香りを漂わ せ る 肉 厚 の 練 小 豆 羊 羹。 こ れ が 噂 の 間 宮 羊 羹 ?。 そ う で な く と も 美 味 しそうだ 。 ﹁ で も提 督はいた ん です よ ね │││﹂ ﹁ え え 確 か に 。 で も 私 を 含 め 誰 も 姿 を 見 た 者 は お り ま せ ん。指 令 と い う形で 遠征や演習、 作戦 行動 の 指 示が 伝 え られる だけ ﹂   そして天 井 の 方を見上 げ る。 つ られ て 視線を向 け る が 、 そこには白 天 井 と LED 照 明 の 室内 灯しか無い 。 ﹁ こ の 司 令 部 の 建 物 に は 提 督 の 執 務 室 が あ り ま す 。掃 除 の た め に 何 度 か入ったことがあ るん ですが 、 今も昔も提 督はお ろ か 、 使 ってい る人 を見 たことはあ り ませ ん ね ﹂ ﹁ そう 考 え る と 提 督ってお 化 け み たい 。 ち ょ っと 怖 いです ﹂   怯えた 小動 物 み たいな 顔を す る五月雨。 ﹁ ま あ 実 際 は 海 軍 軍 令 部 か ら 直 接 指 示 を 出 し て い る、 と い う だ け な ん で し ょ う け れ ど も │ │ │ 執 務 室 が た だ の 物 置 に な っ て い る の は も っ たいない 気も します 。提 督が来なけ れ ば 仕方 あ り ませ ん けど ﹂   そ れ だ け 言 っ て 鳳 翔 は ま た カ ウ ン タ ー の 奥 に ぱ た ぱ た と 引 っ 込 ん で 行 っ た 。 そ の 様 子 は ま る で 小 料 理 屋 の 女 将。よ く 二 次 創 作 絵 で 見 る けど 、艦娘より こっちの 方 が天 職 な ん じ ゃ ないか 、 あの 人。 ﹁も う 一 時 半 か ぁ 。少 し 遅 く な っ ち ゃ っ た け ど 、今 日 の 訓 練 ど う す る ?朝 潮の体 調 が 悪 いな ら、陸 で 各自自習 ってことにして も いい よ﹂  食堂 の 隅 の 柱 時 計を見 なが ら 由 良 が 話題を変 え る。 ﹁深 雪 は や る ぜ !! 日 は 水 上 機 動 じ ゃ な く て 砲 雷 撃 戦 、 し か も 実 弾 の 訓練 だ よ な ?﹂   く ぅ ∼ 1 2.7 c m 連 装 砲 撃 ち ま く り た い ぜ ∼ !! 拳 を 握 っ て 震 え る。 ﹁ あなたじ ゃ なくって 、聞 いて る のは 朝 潮 。 どう 、 いけそうかな ?﹂ ﹁朝 潮ち ゃん ?﹂ ﹁も ち ろんやるよ な ?﹂  艦 娘 た ち の 6 つ の 瞳 が こ ち ら を 見 つ め て く る。 由 良 と 五 月 雨 は 慈

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し む様 な優しい 視線 だが 、 深雪 のには大 丈 夫だ よ な 、 な 、 という無 言 の圧 力 が 込められ てい る。思わ ずごく ん、 と唾 を飲み こ ん だ 。   正 直自分 が 置 か れ た 状況を受 け入 れられ ていない 今、 落 ち着いて 考 え る 時 間 が欲しい 。 ただ 、﹃ 砲 雷撃 戦 ﹄ と 聞 いて 少 し 心 が 躍 ったの も事 実。   海 上自衛隊員 で も なけ れ ば 、 Y0utube などでしか 見る ことの できない戦 闘艦 の砲 撃。 そ れを間近 で 、 しか も自分 の手で 行 え る 絶好 の機 会。   危 険 か も し れ ないが 、や って み たい 。   そ れ に 今 は 色ん なこと をや って 情 報 を集め なけ れ ば 、 何故 自分 がこ ん な こ と に な っ た の か は ず っ と 分 か ら な い だ ろ う 。 乗 れ る 流 れ が あ る のな ら、 乗 る べきだ 。 ﹁ でき る、 と 思 います 。 ただいつ もみ たいにはいかな⋮⋮ ﹂ ﹁ ぃ よー しっ !!そうと決ま れ ば 出撃 だ ∼ っ !!  テーブルを挟ん だ 向 こうか ら深雪 が 抱 き着いて来た 。 ﹁ くぎ ゅん っ !!   と い う か ヘ ッ ド ロ ッ ク の 要 領 で 首 の 周 り に 腕 を 回 し て く る。 幼 い 割に筋 肉 の 付 いた 二 の 腕 が 頸動脈 にき ゅむ っと 食 い 込ん だ 。 ﹁ ま だ 皆 食 べ 終 わ っ て な い で し ょ。 あ と 深 雪、朝 潮 が 止 め な い か ら っ て 調 子に乗 り過 ぎ 。訓練 で怪 我 して も知ら ない よ﹂   由 良 に 窘められ、 深雪 はちぇ 、 とぼ や きなが ら腕を離 した 。も う 少 し 長 け れ ば 陸 で 轟沈 していたか も し れ ない 。 ﹁ じ ゃ あ ご 飯 を 食 べ 終 わ っ た ら、ヒ ト ヨ ン マ ル マ ル に 艤 装 し て ド ッ ク 前海 上 に 集合。復 唱 !! ﹃ヒトヨンマルマル、艤装 して ドック 前海 上集合、了解 !!   急に 深雪 と 五月雨 が 食 べ る の を 止 め、 びしっと 掌を見 せない海 軍式 の敬礼 を しなが ら復 唱す る。間 に 合わ ず 、 あ わ あ わ とそ れ に倣う 。 ﹁│ │ │ や っ ぱ り 朝 潮 が 遅 れ る な ん て 不 思 議。 い つ も と 逆 だ け ど 、二 人 と も、 ち ゃん と 朝 潮 を気遣 ってあげてね ﹂   そう 言 って由 良 は 自分 の味噌汁 を すすった 。  

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     食後、 由 良 と別 れ て 深雪 と 五月雨 と 一緒 に 艤装 が 置 いてあ る軍需装 備保管庫 に 向 かう 。  保管庫 と 装備 整 備 場 、 また 艦娘 が ドック と呼ぶ ﹃艦娘専 用 傷病 療 養 施設﹄ は 隣接 してい るら しいので 、 装備を受 け 取 って 外 に 出れ ばそこ が 集合 場所だ 。   どう やら艦娘 の 損傷 という も のは ﹃艤装﹄ と ﹃生 体 部分﹄ の 2 つが 意 図 的 に 混 用 さ れ て い る ら し い 。 両 方 が 揃 わ な け れ ば 戦 力 と し て の ﹃艦娘﹄ にな ら ない わ けだか ら 当然か 。   つま り赤城 さ んを はじ め 大 型艦 の入渠時 間 が や た ら長 いのは 、 装備 の 修 復 に 時 間 が か か っ て い る せ い で あ っ て 本 人 た ち は 出 撃 し た が っ てい る のだ 、 と好 意的 に 解釈 しておこう 。  重 い ガラス の扉 を開 けて 司令部 の 建 物 を出る と 、 室内 で も 眩しいと 感 じた 陽 光が全 身 に 降り注 ぐのと 同 時に 、 初夏 の 熱気 と海の 磯臭 さが む わ っ と 襲 い 掛 か っ て き た 。 着 て い る の は 半 袖 ブ ラ ウ ス 一 枚 の ハ ズ なのに 、首 筋にじ んわり と 小 さな汗の 珠 が浮かび 上 が る。   昼 夜 どこ ろ か季 節も違 うことに 動揺 して 足 が止まってい る と 、 先 を 行 く 深雪 が手 を 振って呼 ん だ 。 そ れを追 いかけ る。   時 間 にまだ余 裕 があったので 、 記憶 があ や ふ や だとの 言 い 訳 で 鎮守 府内を 案 内 して もら う 。  艦娘 は 自分 たちだけ 、 ということだったが 、 実際 そこかしこ を旧帝 国 海 軍 の よ うな 軍服を 着た兵 士や 整 備員、 スーツ姿 の 職員 など 様々 な 職 種の 人 たちが歩いていた 。 敷地 内 の 建 物は 倉庫 が 多 いが 、 喫茶店や テニスコート、コンビニ など も あ り、 かな り環境 は恵ま れ てい る。    ゲームをや っていた時 、 鎮守府 と 言 うのはてっき り艦娘 の 基 地とし て 特 化 し た 場 所 だ と 思 っ て い た 。 し か し 大 き な ク レ ー ン や ド ラ イ ドックを見 てい る と 、 どう やら事情 は 逆 で 艦娘 たちの 方 が普 通 の海 軍 基 地に 間借り させて もら ってい る のだと 気 が 付 かさ れる。   海 軍 の 仕 事 は 攻 め て く る 敵 と 戦 う だ け で は な い 。 海 上 航 路 の 警 備

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と 維持 が主な 仕事 で 、 海 上自衛隊 がそうであ る通り、 どち ら かという と戦 闘 は イレギュラー だ 。  深 海 棲艦 と戦うという 使 命 を 帯びた 艦娘 に 、 そ れ以外 の 負担を 強い て 磨り 潰しては本末 転倒。哨戒や 偵 察、 海 上警備 は 可能 な 限り通 常兵 器 や艦艇 で 、 と 棲み分 けがなさ れ てい る のだ ろ う 。  途 中 、 海 沿 いにあ る 大学の クラブハウスみ たいな木 造建築 の横 を通 り かかった 。 潮 風 で 劣化 が 激 しいのだ ろ うけ れ ど も、 最 低で も築30 年 以上。意外 と 柱 はしっか り としてい るも のの 、 地 震 が来た ら一瞬 で 自動解 体さ れ そうな極 悪 物 件 だ 。 ﹁ ここが 私 たちの 寝起 きしてい る寮 ですけど 、覚 えてないですか ?﹂ ﹁ う ∼ん ⋮⋮ 覚 えてい るよ うなそうでない よ うな⋮⋮ ﹂  五月雨 の 言葉 に も ご も ごと 誤魔化 す 。見覚 えなどあ るわ けがない 。   彼女が 指差 す 一階 の 窓 には 花柄 の 布団 が 3 組 、 仲良 く並 ん で 磯風 に ばたばた煽 られ ていた 。 そして カーテン 全 開 で丸 見 えの 室内 には 、 天 井近 くに張 られ た 紐 に 趣向 の 違 う 下 着が何 枚 か干してあ る。 ﹁ おっと 、パンツ仕舞 うの 忘れ てた 。 まいっか ﹂  深雪 のかい !! ﹁ ああ 、 あたし も でした !!   お前 も か 五月雨 !!   女の子って 、 女だけだと時 々 異 様 にずぼ ら にな るよ な 。 その 点朝 潮 はきっち り してそうだか ら、心労 並大 抵 では無かっただ ろ うに 。   慌ててに 寮 に 飛 び 込む五月雨 と 、 大げさだな ∼、 との ん び り見 てい る深雪。   彼女が戻 る の を少 し 待 ち 、 出 発 。 い よ い よ目的 の 軍需装備保管庫 が 近 づいて来た 。  保 管 庫 は 艤 装、 兵 装 と 弾 薬 を 保 管 し て い る 場 所 と 聞 い て い た が 、 ち ょ っ と し た 自 動 車 整 備 工 場 み た い な 外 見 だ 。駆 逐 艦 や 軽 巡 な ら 大 丈 夫だ ろ うが戦 艦、 特に大 和型み たいな 超 弩 級 の 装備 は 管理 できない だ ろ うな 。 いないか ら いいけど 。  五月雨 は シャッター の 降り た 保管庫 の 通 用 口 に 近 づき 、 呼び 鈴代わ り の ブザーを押 した 。

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 ビー っという 音 が 鳴 って扉が 開 き 、 中か らサングラスを かけ 、 くた び れ た兵帽 を被 った 壮 年男性が 姿を現 す 。 ﹁ すいませ ん、 おじさ ん。訓練 用に 艤装を使 いたい ん ですけど ﹂ ﹁ お う 、五 月 雨 の 嬢 ち ゃ ん。 さ っ き 由 良 ち ゃ ん に も 電 話 で 聞 い た よ。 機 関 に は も う と っ く に 火 が 入 っ て る か ら 好 き に 持 っ て き な 。今 入 り 口開 けて やる か らよ﹂   男性が中に 引 っ 込む と 、 すぐに シャッター が 開 き 始め た 。隙間 か ら 3人 で潜 り込む。  薄暗 い ドック の 内部 に充 満 していたのは 、 鉄 の 匂 いと む せかえ るよ うな機 械油 の 匂 い 。 その中 を足 元に 気を付 けなが ら、 おっかなびっく り進ん でいく 。 ﹁ あったぜ 、 こ れ こ れ !!  深雪 が 目 当ての物 を見 つけて 駆 け 寄る。   その時 シャッター が 開 き 切り、 太 陽 の光がさあっと ドック内を 照 ら し 出 す 。  黒 光 り す る 鋼 鉄 の 城。一 瞬、 本 当 の 駆 逐 艦 が い る か の よ う に 見 え た 。  目を擦 って 再 び 見る と 、 そこにあったのは 金 属 製 の 台座 に 置 か れ た 3人分 の 艦娘 の 艤装、 その機 関部分 だった 。  艦娘 たちの 艤装 は 、艦 種 、 そして 艦型 に よ って大きく異な る。  駆逐艦 は機 関部を背 中に 、 兵 装 は手 足 に 装備 す る ことが 多 い 。 そし て 主 機 と 呼 ば れ る 靴 型 の 推 進 器 を 履 く こ と に よ っ て 水 上 を 自 在 に 駆 け 廻り、艦娘 としての 力を 十全に発 揮 す る。  早速深雪 は大きな煙 突を持 つ 自分 の機 関装置、 ﹁缶﹂ と も 呼ば れるユ ニ ッ ト を 背 負 う 。五 月 雨 は と 言 う と ベ ル ト 部 分 に ジ ョ イ ン ト が あ る ら しく 、 背 中 を近 づけ る と 電車 の 連 結器の よ うながし ゃ っこ ん、 とい う 音 がして 、魚雷 発 射装置 と 一 体 化 さ れ た機 関 が 装 着さ れ た 。 ﹁朝 潮ち ゃん、装備 の 仕方覚 えて る ?﹂ ﹁背負 うだけだか ら 簡単だぜ ﹂  言 わ れ て 自 分 の 機 関 ユ ニ ッ ト を 手 に 取 る。 ず っ し り と 重 い 鉄 の 塊 、 その奥か ら は低く 静 かな 起動音 が 脈 打つ よ うに 響 いてい る。

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 よ いし ょ っ 、 と ランドセル の 感覚 で 背負 う 。途端、 機 関 の 音 が 自分 の 鼓動 に 重 なった 。   体 中 に 力 が 満 ち る。 機 関 ユ ニ ッ ト も 天 使 の 羽 の よ う に 全 く 重 さ 感 じない 。 ﹁ こ れ が ││││艦娘 の 力││││﹂ ﹁ す げ ー よ な 。 機 関 が 動 い て な か っ た ら 漬 物 石 み た い に 重 い 缶 が 、 こ ん なに 軽 い ん だ もん な 。不思議 な 話 だぜ ﹂ ﹁深 雪 ち ゃ ん、 前 に 起 動 前 の 缶 を 持 ち 上 げ よ う と し て 腰 痛 め た か ら ⋮⋮ ﹂   その時 を思 い 出 したのか 、 ぷふっ 、 と 五月雨 が 可愛 く吹き 出 す 。 ﹁ そ れ な ら 五 月 雨 だ っ て 、最 初 背 中 の 魚 雷 を 下 に 向 け た ま ま 座 ろ う と して 、 尻か ら轟沈 しかけた ろ っ !? ﹁ う わ あぁ ん、 そ れ忘れ てって 言 ったのにぃっ !! ﹁ お 互 い 様 だっ !!   大 丈 夫なのか 、 ここの水 雷 戦 隊 は ?わ き ゃわ き ゃ騒 ぐ 駆逐艦二人 は さておき 、自分 の 装備を淡々 と整えていく 。  ブラウス の 袖口 まで 覆 う ハイソックス と 同 じ 色 の アームカバー。  右 手には幼い 朝 潮の 身 体には 不釣り合 いに大きく 、 こ れ で も かと砲 塔 が 強 調 さ れ た 造 り の 1 2.7 c m 連 装 砲 。左 手 に は 大 型 艦 さ え 一 撃 で屠 る威力を持 った 駆逐艦 の 必殺 武器 、 61cm四連装魚雷。 どち ら も 簡 単 に は 外 れ な い よ う に 、革 バ ン ド で し っ か り と 手 首 に 固 定 す る。  連装 砲の砲塔 を どう や って 動 かすのか 分 か ら なかったが 、 グリップ を握 って 動 けと 念 じ る と ウィーン、 という 鈍 い モーター音 と共に砲が 勝 手に 仰角を取り始め た 。 どういう 理 屈なのか 謎 だけ れ ど も、 戦 闘ヘ リ の 自動 照 準装置み たいな も のが 付 いてい るん だ ろ う 、 多分。 と り あ えず 深 く 考 え る のは よ そう 。   無 線通信 用の 小型インカムを耳 に 付 け 、 最後 に主機と呼ば れる靴型 の 推進装置 に履き 替 え る。   吹 雪 型 や 白 露 型 の よ う に ブ ー ツ 型 の も の な ら 普 段 使 い に も で き る だ ろ う 。 だが 朝 潮 型 主機は 、 先の 尖 った ミサイル駆逐艦ズムウォルト

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級み たいな 金 属 製ハイヒール。 しか も靴底 が 鉄板一枚 なので 、 陸 で履 いた ら衝撃を 吸 収 できず 、膝 か 足首を悪 くす る のは 想像 に 難 くない 。 ﹁朝 潮ち ゃん、準備 できた ?﹂  深雪 との 不毛 な ドジッ 子 争 い を 終えた 五月雨 が 尋 ねてく る。 ﹁多分 できた 、 と 思 います ﹂  装備 の数 も少 なく 、 そ れらを身 に着け る だけだ 。 幼い 駆逐艦娘 で も 自分 で 装備 でき るよ うに 、 そ も そ も の手 順も かな り 簡略 化 さ れ てい る のだ ろ う 。 ﹁よ し 、 深雪 さま 駆逐隊出撃 !! ∼ の乙女の 艦娘勤務∼ ♪ 月月 火水 ∼﹂ ﹁勝 手に 変 な 名 前 を つけないでぇ !!  足 元か ら かし ゃ こ ん、 かし ゃ こ ん、 という 駆動音を上 げて 妙 な 替 え 歌 を 歌いなが ら外 に 出る深雪を、 カンカンカン と 五月雨 の 足音 が 追 い かけていく 。 ﹁仲 がいい 、ん だ よ な ?﹂   そ ん な 二人を微笑 ましく 思 いなが ら、 びた ん、 びた ん と 板底 の ハイ ヒール で 保管庫出口 の シャッター に 向 かった 。  ││││ あ 、や っぱ り この 靴足首 にく る。

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任務3﹃ハ級標的デ練度向上

!﹄

    ﹁今 日 は こ の 横 須 賀 鎮 守 府 海 域 で 砲 雷 撃 戦 の 訓 練 を 行 い ま す 。 と い っ て も ここい ら は 民間船 の 航路 に も なってい る か ら、 流 れ 弾が 変 なとこ ろ に 飛 ん で 行 か な い よ う に ね 。 し か も 今 回 は 実 弾 を 使 う わ け だ か ら、 いつ も以上 に 注意 が 必要 な ん だけど │││﹂   横 須賀鎮守府内、 ドック 前の海 上 では先に 出 港していた由 良 が 待 っ ていた 。   両手に単 装 砲 を一門 ずつ 装 着し 、 一回り 大きな 高出力 の機 関ユニッ トを背負 った彼女は女子 高生 の よ うな 見 た 目も さ る ことな ら が ら、 深 雪 たち 駆逐艦 とは存在 感 が 違 いすぎ る。  軽巡 でこ れ な ら重巡、 戦 艦 は 一 体ど れ ほどの も のなのだ ろ う 。 ﹁ いっけ る いけ る∼ !! く戦いたいぜ ∼ !! ﹁も う 、深雪 ち ゃん落 ち着いて ﹂   そ ん な由 良 に 対 して無 駄 に 自信満々 な 深雪 が 、 手に 持 った 12.7 c m 連 装 砲 を 振 り 回 し て ア ピ ー ル す る。 横 に 立 つ 五 月 雨 は 方 針 に 当 た ら ない よ う体 を かが め た 。   吹 雪 型 の 深 雪 の 主 砲 は 朝 潮 型 に 比 べ て 砲 身 が 短 く 、代 り に 本 体 が トーチカ の よ うに大きい 。対 して白 露型 の 五月雨 の 連装 砲は 、 自動小 銃 の よ う に 小 さ く て コ ン パ ク ト。実 際 の 口 径 で な く 威 力 で 武 器 の 種 類 が 分 け られ てい る とはいえ 、 駆逐艦 の 持 つ 連装 砲の 外見 は 多 種 多様 だ 。   はいはい わ かったか ら、 と 深雪を たしな め た由 良 は 、 立 ったままの 姿勢 で海 面を滑るよ うについ ∼ とこち ら に 近 づいてきた 。 ﹁朝 潮 、 海に 出 た ら少 しは 感覚 が戻ったかな ?﹂ ﹁ さっき より は⋮⋮ ﹂   そ れ は本当だ 。  五 月 雨 に 手 を 引 い て も ら い な が ら お っ か な び っ く り 海 面 に 立 っ て み たのだが 、 浪の 揺れ は 多少感 じ るも のの 、 実際 には地 面 と 変わら ず 二 本の 足 でしっか り と水 を踏み し める ことができた 。

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 進 む 方 法 も ス ケ ー ト の よ う に │ │ │ い や、転 倒 の 恐 れ が 無 い 分 ス ケートより安定 してい る のだが 、 大 胆 に海 面を蹴り、 滑るよ うにして 自 在に 動 き 回れる。通 常の 船舶 と 違 って 旋回 半 径も 極 端 に 小 さく 、 急 な 加減速も陸上 と 同 じ よ うな 感覚 で問 題 ない 。   ま さ に 海 を 往 く 人 型 の 艦 艇。 ﹃艦 娘﹄ と は 言 い 得 て 妙 だ 。 水 を 得 た 魚 の よ うに 、朝 潮の 身 体は海に よ く 馴染む。 ﹁ 無 線 機の 状 態は ?みん な 聞 こえ る ?﹂ ﹁深雪、感良 し !! ﹁五月雨、感良 し !! ﹁ あ 、朝 潮 、感良 し !!   う ん う ん、 と 頷 く由 良。 そして 懐 中時 計を取り出 して時 間を確認 す る。 ﹁ そ ろ そ ろ頃合 ね⋮⋮ ﹂   何が 、 と 尋 ね る間も なく 軍 港の 出口、 は る か 沖 の 方 か ら ぽ ん ぽ ん ぽ ん ぽ ん、 と 軽快 な 音 が 聞 こえてきた 。  目を凝ら して や っと 見 え る 水平 線 に 、 ぽっぽっぽっと丸い煙 球を 煙 突 か ら 吐 き 出 し て 釣 り 船 サ イ ズ の 小 さ な 船 が 進 ん で い る。 そ の 後 ろ か ら 2 0 m ほ ど 離 れ て 黒 い 発 泡 ス チ ロ ー ル の 浮 き の よ う な 軽 自 動 車 大の塊が 二 つ 。 塊は 紐 で繋が れ て 引 っ張 られ てい る のか 、 同 じ 速度 で 並 ん で 小舟を追 いかけ る。 ﹁ あ れ が 今 回 の 標 的 │ │ │ っ て 、 こ れ ま で 何 度 も 模 擬 弾 で お 世 話 に な っ て る よ ね 。見 て の 通 り 鎮 守 府 の 海 兵 さ ん に 曳 航 し て も ら っ て い けど 、 あの 駆逐艦ハ級 の模 型二 体が 相 手 よ﹂   そう 言われ て発 泡スチロール 塊 をみる と 、 剥き 出 しの大きな歯が並 ぶ 口 と 、 駆逐艦ハ級 の特 徴 であ る 砲 口み たいな単眼が ペンキ で 描 か れ てい る のが 分 かった 。 大 分 歪 ん だ形 を してい る が 、 描 き手の絵 心 の無 さが 逆 に 不気 味さ を演出 してい る。  深 海 棲艦 ⋮⋮いつの 間 にか 世 界 各 地の海に 現れ、 船を、 そして海の 道を文 字 通り食 い散 ら かしていった 人類 の 仇 敵 。  沈ん だ 船、 沈ん だ 人 の怨 念 か ら生 ま れ た存在という オカルト じ み た 噂があ る が 、 そ れも仮説 の 域を出 ず 。 ただ 分 かってい る ことは 、 彼 ら

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が 昏 く 深 い海の 底 か らや って来 る ということだけ 。  ゆ えに 深 海 棲艦。 ﹁最 初 は 3 人 で 単 縦 陣 で の 砲 撃。陸 に 近 い の と 距 離 感 に 慣 れ て も ら う 意 味か ら、 水平 射撃 でしっか り 当てて 。 次に由 良 が 合図 した ら 模 型 が 船 か ら 切 り 離 さ れ る か ら、 そ れ に 向 か っ て 単 横 陣 で 雷 撃 を 喰 ら わ せ る。 停 船状 態か ら魚雷 発 射 と 同 時に 回頭、 戦 域 か ら離脱 でお終い 。 簡 単 よ ね ?﹂ ﹁ ぃ よ ー し っ !横 鎮 に 来 て か ら こ っ ち 、 模 擬 弾 演 習 し か や っ て な か っ たか ら燃 え る ぜ !! ﹁ はい !あたし 、頑 張っち ゃ いますか ら !﹂ ﹁ ⋮⋮ 努力 します ﹂   元 気 に答え る駆逐艦二人 に 比 べ る と 、 どうして も自信 なさげになっ てしまう 。 ﹁ そういえばこの中で 、実 戦 を 経 験 した 人 はい る かな ?﹂   何 を思 ったのか 、 由 良 が 尋 ねてきた 。 ﹁ 当 っ た り 前 だ !! に い た 時 、遠 征 先 で イ 級 を 2 隻 撃 沈 し た こ と も あ る ぜ !! ﹁撃沈 はまだですけど 、 あたし も出撃 したことはあ り ます ﹂  朝 潮の戦績は 分 か ら ないのでここは 黙 っておく 。   由 良 は 少 し手 を顎 に当てて 考 え 、 ﹁ う ん、 じ ゃ あ 旗 艦 は 深 雪 に お 願 い 。 何 か あ っ た 時 に 備 え て 由 良 は 後 ろ にい る か ら、 ち ゃん といいとこ 見 せて よ ね ﹂ ﹁了解 !! 艦抜錨、 この 深雪 さまに 続 きな ∼ !!  リ ー ダ ー に 抜 擢 さ れ て 舞 い 上 が っ た 深 雪 は 、ス カ ー ト の 裾 を 翻 し 初 っ 端 か ら 両 舷 最 大 戦 速。背 中 の 機 関 ユ ニ ッ ト か ら も う も う と 黒 煙 を 噴き 上 げて 、後ろも見 ずに海 面を蹴 って 走り出 す 。 ﹁行 こう 、朝 潮ち ゃん !! ﹁ う 、 う ん っ !!  遅れ ない よ う 五月雨 と 一緒 に 、 慌てて 深雪を追 いかけた 。 ﹁ 怪 我 しない よ うにね ∼ っ !!  二 つの主機で水 を踏み込み たび 小 さな 身 体がど ん ど ん加速 さ れ、 後

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ろ か ら気遣 う由 良 の 声 が ドップラー効果 で低くな る。  軽 や か な 駆 動 音 を 上 げ る 背 中 の 機 関 ユ ニ ッ ト。 全 身 に 感 じ る 海 の 風。波を蹴立 てて 進む と塩 気混 じ り の 飛沫 が 降り かか る が 、 艦娘 には 特 殊 な 防護フィールド が張 られ てい る た め、 肌 に当た る 前にさ ら に 小 さな 粒 になって散っていく 。   そういえば 訓練 前に 濡れ た 服を 着 替 えさせ られ たのは 、 濡れ た 状 態 で機 関ユニットを取り付 け る と 、 立 ち 上 げ時に機 関 が水 密 区画の 設定 を誤認識 して フィールド が 上 手く 働 かないか ら だとか 。   ほどなくして トップスピード に到 達。  走る の を 止 め、 目 の前の 五月雨 がそうしてい るよ うに 少 し 腰を落 と し 、 ぶ れ る 砲 身 を 少 し で も 安 定 さ せ る。 砲 塔 は 言 わ れ た 通 り 仰 角 0 ° 水平 射撃 の態 勢。  や が て 目 標 が 近 づ い て 来 た 。 浮 き に 描 か れ た 駆 逐 艦 ハ 級、仮 に A、 B とす る か 。 ふとこち ら向 いた A の 顔 が 、 脳 天に 開 いた単眼 を 歪 め て 嗤 ってい るよ うに も見 えた 。   ⋮⋮何か ムカ つく 。 ﹃五月雨、 朝 潮 、 測 距、 主砲 装 填 !!深雪 さまに 遅れる な │││斉射 ぁっ !!  インカムを通 して 深雪 の 勇 ましい 声 が 聞 こえたのと 同 時に 、 浪 音を か き 消 す 砲 撃 音 が 辺 り に 響 き 渡 っ た 。 彼 女 は と も か く こ ち ら は ま だ 射程圏内 に到 達 して も いないというのに 、 斉射も なに も あった も ので はない 。  音 に 遅れ て模 型 の手前に 二 つの水 柱 が 上 がった 。 命中弾無し 。 ﹃ ちぃっ 、 失敗したぜ 。 で も まだまだ ∼ っ !!   す ぐ さ ま 次 の 水 柱 が 上 が っ た 。 さ っ き よ り 近 い が 命 中 弾 な し 。 模 型 は砲 撃 で 生れ た 波 にあお られ 大 笑 い を続 けてい る。 ﹃深雪 ち ゃん、 全弾 撃 った ら怒られ ち ゃ います よ !! 、 あたしが 行 きま す 。 たぁ ー っ !!   前で 突 っ 込みを 入 れ なが ら、 深雪 の砲 撃 が止 ん だとこ ろ で 続 いて砲 撃を開始 す る五月雨。  二 つの発 射音。

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﹃ あ れ ぇ !?  一 発は 至近 弾 。 そして 二 発 目 は 、 な ん と ハ級A の 頭右 半 分を 吹き 飛 ばした 。 ﹃や ったぁ !! なさ ん、見 ててく れ ましたか ?!   こ ん なに着弾がぶ れる ということは 、 手元がぶ れ ていたか砲塔が 仰 角 だったか 。明ら かに ラッキーショット なのだけど も、 喜ん でい る 彼 女に 突 っ 込む のは 野暮 だ ろ う 。  五月雨 は 嬉 しそうに 左 手の 12.7cm連装 砲 を掲 げ る と 、 模 型 の 横 を通り過 ぎて 向 こう側に 消 えた 。   そうしてい る うちに 、 や っと 自分も有効射程 と 思われる距離 に入っ た 。 だが普 通 に 撃 って当て る自信 は無い 。も っと 近 くで !! ﹁ ⋮⋮敵 艦 発 見、突撃 す る﹂  マイク の 感度以下 でぼそっ 、 と呟く 。自分 で 言 って み て 気 恥ずかし くなった 。  誤魔化 す よ うに 右 手の 12.7cm連装 砲の 狙 い を付 け る。  進む向 きとしては 、 向 こうか ら見 て 丁 字 有 利 。相 手が攻 撃 してこな い模 型 だか ら こそ 、ゆ っく り射撃 す る 余 裕も あ る。  目標補足、 両の 目 でしっか り と 五月雨 が破 壊 したのとは別な 方、 駆 逐艦 模 型ハ級Bを見 据え る。 汗の 滲ん だ 右 の 掌 で 、 連装 砲の武 骨 な グ リップを握り し め た 。 ﹁ っ !!   手前に 生 ま れ た 波 が ハ級Bを持 ち 上 げ 、 その 頂点 で 動 き を 止 め た 一 瞬。  人差 し 指 で グリップ の 引 き 金を引 く 。  自分 では 叫ん だつ もり だったが 、 咽 か ら飛 び 出 したのは 声 にな ら な い空 気 の塊だけだった 。   どう ん、 どう ん、 と 轟音 が 二回、 腕を、 鼓膜を、 内臓を震わ せ る。反 動 で 倒れ そうにな る が 、 な ん とか 姿勢を立 て 直 す 。 火 薬 の焼け る酸 っ ぱい 匂 いが 鼻 の 粘膜を 焦がした 。   当 た っ た か ど う か も 確 認 で き ず に 、 そ の ま ま 模 型 の 横 を 通 り 過 ぎ る。

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﹃朝 潮 、二 発 と も 命 中 を 確 認。 い い ん じ ゃ な い ?! も ち ょ っ と 近 づ き すぎかな 、 ということで 50点﹄   由 良 先 生 は 採 点 が 厳 し い 。 し か も 当 た り や す い よ う に 敢 え て 距 離 を詰め たの を見抜 か れ てしまった 。  去り際 に横 目 で 確認 す る と 、 砲 撃 で 抉られ た ハ級B の 目玉 は中の白 い発 泡スチロール がのぞき 、 笑 い 顔 が 泣 き 顔 に 変わ ってい る。 いいざ ま 。   模 型 の 向 こ う 側 に は 深 雪 と 五 月 雨 が 機 関 を ア イ ド リ ン グ さ せ て 待 機していた 。 ﹁凄 いな ∼、も ういつ も の 朝 潮ち ゃん だね !! ﹁ ああ 、 う ん ⋮⋮ ﹂  喜ん でく れる五月雨 に 生返事を返 す 。 ﹁ ぐぬぬぬ⋮⋮ !!  対 し て 命 中 弾 が 無 か っ た 深 雪 は ふ く れ っ 面 で 唸 っ て い る。 睨 ま れ てい る っぽいのは 気 のせいだ よ な 。  ゆ っく り と水 面を滑り、 速度を落 として 二人 の 隣 に並ぶ 。 こ れ で 指 示 通り の単横 陣。 ﹃ 次 、雷撃 戦 準備。ロープ切り離 してください !! ﹃イエス・マム !!  インカム か ら 由 良 の 指 示と 、 ポンポン船 に乗ってい る であ ろ う海 軍 兵 士 の 威 勢 の い い 声 が 聞 こ え た 。 す ぐ に 目 の 前 を 横 切 る 壊 れ か け の 二 つの模 型 が 推進力を 失い 、 慣性だけで ゆ った り と 漂 い 始める。 ﹁各艦、魚雷 発 射 体 勢取れ。チクショー、今度 は汚 名 挽 回 だぜ !! ﹁ ええっ 、深雪 ち ゃん 挽 回 しち ゃ うの ?!本当にいいの !?   漫才 み たいな 掛 け 合 い を しなが ら なが らも、 魚雷 発 射管を構 え る二 人。  深雪 は水 面 に片 膝を つき 、 両太 もも に バンド で 固定 さ れ た 3連装 の 魚雷 発 射管二 つ を 海 面 に 向 け る。  五月雨 はその細い体に似 合わ ない 巨 大な 4連装魚雷管、 機 関ユニッ ト と 一 体 化 したそ れを ぐい ん と 動 かして 、 ま る で サソリ の尻尾の よ う に 自分 の横に 巡ら せた 。

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 小 さな 身 体に大きな 魚雷、 とは 朝 潮 型2 番 艦 大潮の 台詞 だが 、 比率 か ら言 えば 五月雨 の 方 が よ っぽど大きな 魚雷を背負 ってい る。  自分も魚雷を、 と 姿勢を 整え よ うとす る。 が 、 左 手に 装 着した 4連 装 の 魚雷 発 射管を見 て 動 きが止まった 。   どう や って発 射 す れ ばいい ん だ 、 こ れ ?  連装 砲での砲 撃 は グリップ に 引 き 金も付 いてたし 、 見よ う 見 まねで 何とかできた 。   で も 魚 雷 は │ │ │ 魚 雷 の 撃 ち 方 は 同 型 艦 で は な い 深 雪 と 五 月 雨 を 見 て も参考 にな ら ない 。   どうす る ?どうし よ う ?  魚雷 は水中 を進む か ら│││ そうだ !! ﹁深雪 は先 頭 の奴 を狙 うか ら、 五月雨 は 真ん 中あた り、 朝 潮は 後ろ 側の 奴 を狙 ってく れよ な ﹂ ﹁ そ れ だと 深雪 ち ゃん が 一 番当た りや すい よ。一人 だけず る い !! ﹁旗艦 は 深雪 な ん だぞ !! ﹁ ぶぅ ∼ っ 、 深雪 ち ゃん 横 暴 !!そう 思わ ない ?朝 潮ち ゃ│││ あ 、 あ れ │││朝 潮ち ゃん 何 や って │││﹂  五月雨 がこち らを見 て 不思議 そうな 顔を してい る。 ﹁ 何って 、魚雷 の発 射準備を│││﹂ ﹁ う わ っ 、朝 潮お前そ れ !! ﹁ へ ?﹂  チチッ、 と何かの 起動音。 そ れ と 同 時に 魚雷 発 射管を装備 した 左 手 が 、思 いっき り 水中に 引 っ張 られ た 。 ﹁わ っ 、わわわわわわわ っっっっっ !!!!!   何とか 足を踏ん 張って水 底 に 引 きず り込 ま れる のは免 れ たが 、 今度 は 海 に 浸 か っ た ま ま の 左 手 の 魚 雷 が 一 斉 に 小 さ な ス ク リ ュ ー を 回 転 させて 進み始める。   ぶし ゅ う 、 と 泡 の渦が 巻 き 起 こ り、 一度 は 立 ち 直 った体 勢 が崩 れ、 び た ん、 と海 面 に 腹を したたかに打ち 付 けた 。   幸い フィールド のおかげで 濡れる ことは無かったが 、 今度 はそのま まの 姿勢 で模 型 の 方 に 向 かってず り ず り ず り と 曳航 さ れ ていく 。

参照

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