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日本国召喚・異聞録 ID:159780

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Academic year: 2021

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日本国召喚・異聞録

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︻注意事項︼

  この PDFファイル は ﹁ハーメルン﹂ で 掲載 中の作 品を自動的 に P DF化 した も のです 。  小説 の作 者、 ﹁ハーメルン﹂ の 運営者 に無 断 で PDFファイル及 び作 品を引 用の 範囲を超 え る 形で 転載 ・ 改 変 ・ 再配布 ・ 販売 す る こと を禁 じます 。    

すじ

  その 日、フォーク 海 峡 には 鉄 と 血 の 雨 が 降 った⋮⋮  み の ろ う先 生 の ﹁日 本 国召喚﹂ の 二 次創作です 。  も し も 先 進11ヵ国会議 に 、 海 上自衛隊 の 護衛隊群 がいた ら ⋮⋮と いう 仮想 戦 記 の 仮想 戦 記 です 。   ※  2019/10/04   改 題 しました 。 ﹃鉄血 海 峡﹄ は第 1章 の タイトル にな り ます 。  各話 の 内容を更新 しました 。  ・設定をWeb 版か ら書 籍版に 変更  ・ 用 語や 数字の 間違 い を訂 正  ・ その 他、読み直 して 気 になったとこ ろを加 筆 ・修 正  ストーリー は 変わ っていませ ん。   ※  2019/10/30  アクセス 数が 20万を超 えました ! 感謝、感謝 です 。

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  目   

  

第 1章﹃鉄血 海 峡﹄ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 1話﹃ 第 零護衛隊群﹄   1 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 2話﹃ 異 世 界の 真珠 湾 ﹄   9 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 3話﹃国境 の海 ﹄   18 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 4話﹃ 空 転 す る世 界 ﹄   27 │ │ │ │ │ │ │ │   第 5話﹃ ﹁オペレーション:西遊記﹂ 発 動﹄   36 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 6話﹃真珠 湾 迎撃﹄   45 │ │   第 7話﹃グラ・バルカス帝国 海 軍航 空 隊 の 栄 光と挫 折﹄   54 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 8話﹃ 常 識 と 非 常 識﹄   65 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 9話﹃グレードアトラスター炎上﹄   80 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 10話﹃ つぎはぎの 艦隊﹄   94 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 11話﹃ 手 負 いの 魔王 と番 犬 たち ﹄   108 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 12話﹃ 男の 花道﹄   127 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 13話﹃ハイブリッド・フロント﹄   139 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 14話﹃ ひ ゅ うが 被 弾 ﹄   146 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 15話﹃ 全兵器 使 用 自 由 ﹄   153 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 16話﹃鉄血 海 峡﹄   161 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  最 終 話﹃和製シルガイア﹄   171 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   番 外編﹃ASM│2X開 発 秘話﹄   182 第 2章﹃ 戦 禍 の 文明圏﹄ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 1話﹃伝説を 作った男 ﹄   189 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 2話﹃ 海 を 渡った 蒼 海 豚﹄   193 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 3話﹃ヤムート誕生﹄   198 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 4話﹃アルミニウム の嵐 ﹄   204

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│ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 5話﹃踊る会議 と 踊ら さ れる人々﹄   214 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 6話﹃ナグアノ の 冒険﹄   220 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 7話﹃憂鬱 な パーティー﹄   230 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 8話﹃蠢 く 者 たち ﹄   237 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 9話﹃四者四様﹄   245 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 10話﹃ 第 二 次 フォーク 海 峡 海戦 ﹄   255 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 11話﹃ 地政学の ススメ﹄   263 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 12話﹃列 強の 矜持﹄   272 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 13話﹃日 本の告白 ﹄   279 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 14話﹃竜母 いず も﹄   284 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 15話﹃レイフォリア、悪 夢 再 び ﹄   293 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 16話﹃バルクルス 失 陥﹄   302 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 17話﹃1:48﹄   308 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 18話﹃揺れる艦 橋 ﹄   317 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 19話﹃魔 の時 間 帯 ﹄   326 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 20話﹃スーパーハンマー Ⅱ作戦 ﹄   333 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 21話﹃ 嵐の前 夜﹄   341 │ │ │ │ │   第 22話﹃古代 兵器 ︵パル・キマイラ︶ の 猛威﹄   349 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 23話﹃ 破 滅 の 足音﹄   359 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 24話﹃帝都︵ラグナ︶ 空 襲﹄   366 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 25話﹃頭上 の敵 ﹄   373 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │  最 終 話﹃ 政 治 の季 節︵ターン︶ ﹄   380 第 3章﹃イルネティア 危機 ︵クライシス︶ ﹄ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 1話﹃ミリシアル の 変心﹄   388 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 2話﹃ラグナルック 作戦 ﹄   396

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│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 3話﹃掛 け 違 えた ボタン﹄   406 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 4話﹃パル・キマイラ の影 ﹄   411 │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 5話﹃バトル・オブ・イルネティア﹄   422 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 6話﹃ 死 を 呼ぶ 青 い 虹﹄   434 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 7話﹃暁 の 巨人︵タイタン︶ ﹄   444 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 8話﹃赤 い海 岸﹄   450 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 9話﹃ハイマクス﹄   455 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 10話﹃ 場 外 乱 闘﹄   466 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 11話﹃ 孤 狼 の 艦長﹄   478 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │   第 12話﹃ 孤 狼 と 群狼﹄   485

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1章﹃鉄血

峡﹄

1話﹃

零護衛隊群﹄

    港町 カルトアルパス の港湾 管理 局は 多忙を 極 め ていた 。 ﹃ 第 一文明圏トルキア王国軍、 戦 列艦7、使節船1、計8隻 到着 ﹄ ﹃ 第 一文明圏アガルタ法国、魔法船団6、民間船2、計8隻 到着 ﹄ ﹁ ⋮⋮この 辺り のは 変わり 映えせ ん な ﹂   港湾 管理責任者 の ブロント は 、 魔信 での やり と りを聞 きなが ら、 管 理 局の 窓 か ら様 子 を 眺 める。  軍艦マニア の彼は 、 カルトアルパス で 二 年に 一度開催 さ れる 先 進1 1ヵ国会議 が大好きだった 。世 界 各国 が 国 の 威信を かけて 、 最新鋭 の 艦隊を ﹁使節を護衛 す る﹂ という 名目 で 送り出 してく る。 彼にとって は港湾 管理者 の 仕事 は 、 半ば 趣 味 を 兼ねてい るよ うな も のだが 、 この ときばか り は 趣 味が九割ぐ ら い を 占 め てい る。 ﹁ こ こ に 第 零 式 魔 導 艦 隊 が あ れ ば 、各 国 の 艦 隊 も 貧 相 に 見 え た だ ろ う にな ﹂   神 聖ミリシアル帝国 が 誇る最新鋭 の第 零式魔導艦隊 は 、 諸事情 か ら 会 議 中 は カ ル ト ア ル パ ス の 西 方 の マ グ ド ラ 群 島 で 訓 練 を す る の が 慣 例 になってい る。   そ ん な彼が 期待 してい る国 が 二 つあ る。   ひとつは第 二文明圏 の 列 強 レイフォルを滅 ぼした グラ ・ バルカス帝 国。  も う ひ と つ は 第 三 文 明 圏 の 列 強 パ ー パ ル デ ィ ア 皇 国 を 解 体 し た 日 本 国。   ど ち ら も 文 明 圏 外 の 新 興 国 で あ る。文 明 圏 外 国 家 が 列 強 に 勝 つ な ど 、 前 代 未 聞 であ る。 いったいど ん な 艦隊を擁 してい る のか 、 軍艦マ ニア な ら興 味が 沸 かない わ けがない 。 ﹃ 第 三文明圏外日 本 国、 海 上自衛隊 第 零護衛隊群、 巡洋艦7、 空 母1、 計8隻 到着 ﹄ ﹁ 来たか ﹂

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 ブロント は 身を 乗 り出 して 双 眼 鏡を のぞいた 。  双 眼 鏡 には灰 色一色 の 艦 が 8隻 映った 。艦型を見れ ば 、 1隻 は 明ら か に 空 母 と 分 か る。残 り の 7 隻 は 大 き さ か ら 巡 洋 艦 と 現 場 の 作 業 員 が 判 断 し た の だ ろ う 。 そ れ で も 隣 の ス ペ ー ス に 停 泊 し て い る ム ー の 戦 艦﹃ラ ・ カサミ﹄ と 比 べ る と 、 大きい も のは 同 じく ら いの大きさが あ る。 ﹁ そういえば 、 この区割 り は ムー の 希望を取り 入 れ た ん だっけな ﹂  ブロント は 、 ムー が ﹁日 本の 艦隊を自国 の 艦隊 の 隣 に停 泊 させて欲 しい ﹂ と申し入 れを していたこと を思 い 出 した 。ムーも日 本に 興 味が あ るら しい 。列 強の中では 最初 に 日 本と 国交を 結 ん だという 。   彼は 知ら なかったが 、 エモール王国も日 本に大 変 な 興 味 を持 ってい る。 その 理 由の 一部 はこの 会議 で 明 かさ れる はずだった 。 ﹁ し か し 第 零 護 衛 隊 群 と は ⋮⋮ 我 が 国 の 第 零 式 魔 導 艦 隊 の 真 似 を し た のか ?  あの 小 さい 巡洋艦 は 、 ミスリル級魔導 戦 艦 に似てなく も ない な ﹂   そ う だ と す る と 日 本 の 最 新 型 に 違 い な い 。ブ ロ ン ト は ス テ ル ス 性 を考 慮して 、 傾斜 した平 面を多 用した ﹃ あきづき ﹄ の 艦 体 を双 眼 鏡 で 見 なが ら つぶ や いた 。  も し 全 て が 駆 逐 艦 │ │ 潜 水 艦 や 魚 雷 が 存 在 し な い ミ リ シ ア ル 帝 国 では 小型艦││ だと 聞 いた ら、 彼は 目を 白 黒 させたか も し れ ない 。 ﹁ 本 当 に ほ と ん ど の 国 が 軍 艦 を 連 れ て き て い る と は ⋮⋮ こ ん な 露 骨 な 砲 艦外交 は 初め てだ よ﹂  ヘリ 搭 載型護衛艦 ﹃ ひ ゅ うが ﹄ の 艦 橋で 、 この 使節団 の 事務方 の トッ プ を 務 め る 近 藤 は 、感 嘆 と も ぼ や き と も 区 別 が つ か な い 言 葉 を 発 し た 。 御園 み そ の ﹁ 大 使 の 情 報 は 正 し か っ た で す ね 。巡 視 船 だ け で 来 た ら、外 国 に 舐められ てました よ﹂  近藤 の 補 佐役の 井上 が 相槌を 打つ 。  ムー に 駐 在大 使 として 赴任 した 御園 は 、 ムー 政 府 か ら 先 進11ヵ国 会議 の 様 子について 情 報 を 入手した 。 その結 果、 参加国 は 国力を誇 示 す る た め に 、最新 の 軍艦を連れ てく る のが慣 例 だと 知 ったのだ 。

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﹁舐められる のは 日パ 戦 争 ︵日 本側で 使われ てい る俗称︶ で コリゴリ で す 。寄 せ 集め で も護衛艦を連れ てきて 良 かった ﹂ ﹁ おい ﹂  近藤 は 井上 に 注意 した 。 ﹁ お 気 になさ ら ず 。事実、寄 せ 集め ですか ら﹂ 艦隊司令施設 F I C 鮫島 さ め じま   普 段 は に籠 も ってい る、 護衛隊群司令 の 海 将補 が 気配りを 示す 。   海 上 自 衛 隊 は 4 個 の 護 衛 隊 群 を 保 有 し て い る。 こ の 4 個 が ロ ー テーションを 組 ん で 、任務 に就いてい る。   まず 1個 は整 備や修理 ・ 改 修 のた め に ドック 入 り してい る。 当然 出 動 す る ことはできない 。   さ ら に ドック か ら出 てきたばか り の 1個 は 、 乗組 員や護衛艦 の 一部 が入 れ代わ ったことに より、 慣 熟訓練 に 追われる。 こ れも とて も出動 でき る状 態ではない 。   そうな る と 任務 に 投 入でき る のは 、 額面通り の戦 闘力を 発 揮 でき る 高練度 と 、 そ れ には 及 ばない低 練度 の 2個 の み であ る。   とこ ろ がこの ローテーション は 、 日パ 戦 争 で崩 れ てしまった 。エス ト シ ラ ン ト 沖 大 海 戦 で は 、 主 戦 場 に 限 界 の 2 個 護 衛 隊 群 を 投 入 し た 。 そ の た め デ ュ ロ 方 面 に は 訓 練 未 了 の 護 衛 隊 群 を 派 遣 す る は め に な っ た 。  実際 は パーパルディア皇国 海 軍 が 舞鶴 強 襲 作戦 ︵日 本側の呼 称︶ を 敢 行 したた め、 この 隊 の 出 番はなかったが 、 更 に 悪 いことに本 土防衛 の 必 要 に 迫 ら れ た 。 整 備 中 の 1 個 も 沿 岸 警 備 を 任 務 と す る 地 方 隊 が 突 破さ れ たときに 備 えて 、 まだ ドック 入 り していなかった 護衛艦2隻 まで バックアップ として戦 闘待 機させ る という 、 綱 渡 り の やり 繰 りを 強い られ たのだ ︵ こち らも出 番はなかったが ︶ 。  国民や同盟国 ・ 友 好 国 は 日 本側の 人的損害 が ゼロ という結 果 に大 満 足 したが 、 海 上 幕 僚 本 部 は手放しでは 喜 べなかった 。旧世 界で 国土 と シ ー レ ー ン の 専 守 防 衛 を 前 提 と し て 整 備 さ れ た 現 行 の 海 上 自 衛 隊 の 装備 では 、新世 界で 生 き 残る にはあま り に も頼り ない 。   そ こ へ 降 っ て 湧 い た の が 、今 回 の 使 節 団 の 護 衛 任 務 で あ る。 だ が

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ローテーション が破 綻 していた 既 存の 護衛隊群 の中か ら は 出 せない 。   海 上 幕 僚 本 部 は 苦肉 の策 を 強い られ た 。臨 時 編成 であ る。  旗艦を務める ﹃ ひ ゅ うが ﹄ は 、 新世 界に 備 えた 新装備 の 艤装を 終え た ば か り で あ る。 そ の 肝 は レ ー ダ ー の 能 力 向 上 と 和 製 ク ラ ウ ド シューティング の 導 入 、 そして 衛星通信能力 の 向上 であ る。 ﹃ ひ ゅ うが ﹄ には元 々 ﹃和製イージス﹄ と も 呼ば れる ﹃FCS3﹄ アク ティブ ・ フェイズド ・ アレイレーダーを備 えていた 。 こ れを あきづき 型 と 同 等の ﹃FCS3│A﹄ に 換装 した 。 こ れ で 短距離 なが ら同 時に 32目標を追 尾でき る能力を 獲 得 した 。 垂直 発 射セル V L S ﹃ ひ ゅ う が ﹄ に は 1 6 基 の が あ っ た が 、 こ れ は 撤 去 さ れ た 。ヘリ母艦 兼 輸送艦 としては 、 大きな スペースを食 う VLS と弾 薬 庫 は 厄介者 でしかなかった 。最初 は単 艦 で も任務 に就け るよ う 、 そ れ な り の 自衛力を付与 さ れ たが 、 実際 に 運 用して みる と 、 その よ うな場 面 は な か っ た の だ 。現 在 の ﹃ ひ ゅ う が ﹄ に 残 っ て い る 固 定 武 装 は 20ミリ 機 関 砲 C I W S 2基 の み であ る。   ちな み に ﹃ ひ ゅ うが ﹄ か ら撤去 した VLS は 、 新造護衛艦 で 再 利用 さ れる予定 だった 。高価 な 装備を ﹃ ひ ゅ うが ﹄ の デッドウエイト にさ せておくほどの余 裕 は 、 海 自 にはないのだ 。   武器 も ないのに イージスシステム だけ積 ん でどうす る のか 、 この 疑 問に 対 す る 答えが 新型艦隊指揮通信システム││ い わゆる ﹃和製クラ ウドシューティング﹄ であ る。  艦隊をネットワーク で繋ぎ 、 全ての 艦 の索敵 情 報と火器 管 制 を 共 有 す る。誰 かが 見 てい るも のは 、 全 員 が 見る ことができ る。誰 かが 持 っ てい る 兵器は 、 誰も が 引 き 金を引 け る。護衛隊群 全体が 、 あたか も一 つの兵器であ る かの よ うに振 る舞 う 。 経 験 ノウハウ  も ち ろ ん 運 用 の は こ れ か ら 積 ま な け れ ば な ら な い 。 本 当 に 使 い物にな る かは 、 こ れ か ら 次第だ 。  最後 の 衛星通信能力 の 向上 は 、 情 報 収集衛星 との 直接通信能力 の 付 与 であ る。旧世 界 よりも広 大な 新世 界では 必須 といえた 。  護衛艦 ﹃ あきづき ﹄ もフェン王国 の 軍 祭に 参加 したあと ドック 入 り し て い た 。 ﹃和 製 イ ー ジ ス﹄を 搭 載 し た あ き づ き 型 の 中 で は 新 装 備 開

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発 後 に 最初 に ドック 入 り したた め、 新装備 が 艤装 さ れ た 。 といって も 国 産空 対 空 ミサイル A A M │ 4 / 5 の発 射装置 であ る。 艦対 空 ミサイル S A M  日 本 に は 国 産 の が な い 。保 有 し て い る の は ア メ リ カ製 の ﹃SM│1/2﹄ と ﹃ESSM﹄ であ る。現状 では 再生 産がで きないのだ 。   ただ ﹃埋蔵金﹄ はあ る。 在 日 米 軍 だ 。転移 前に在 日 米 軍 とは 燃料 弾 薬 を 相 互 に 融 通 す る 協 定 を 結 ん で い た 。 そ れ を 使 え ば 在 日 米 軍 の 備 蓄 を 引 き 出 す こ と は で き る。 だ か ら 今 す ぐ 困 る わ け で は な い │ │ と 少 し前までは 思われ ていた 。  風向 きが 変わる きっかけになったのは 、 や は り日パ 戦 争 であ る。 空 母を持 たない 日 本は 艦隊防 空 をSAM に 頼る しかなく 、 日パ 戦 争 にお け るミサイル消費量 は 、 海 自 の幕 僚達を不安 にさせ る のに十 分 すぎ る も のだった 。 空 対 空 ミサイル A A M   そ こ で を S A M に 改 造 す る 計 画 が 持 ち 上 が っ た 。 だ が A A M は 戦 闘 機 の ハ ー ド ポ イ ン ト に ぶ ら 下 げ れ ば い い の に 対 し 、 S A M は V L S の 中 に 収 め な け れ ば な ら な い 。技 術 や 基 幹 部 品 は 流 用す る として も、ミサイル 本体は 再設計 が 必要 にな る。   そ こ で ハ ー ド ウ ェ ア の 完 成 を 待 た ず に ソ フ ト ウ ェ ア の 開 発 が 進 め ら れ る こ と に な っ た 。 ﹃和 製 イ ー ジ ス﹄ で 国 産 A A M を 扱 え る よ う に 検証 デバッグ 改 造 す る 必 要 が あ る。ソ フ ト ウ ェ ア の 改 造 や は 机 上 で も で き る。 実 だが 最 終 テスト は で やら なけ れ ばな ら ない 。 幹 部 しか ん  艦長以下 ﹃ あきづき ﹄ の たちはこぞって 反対 した 。新装備 の 必 要 性は 認めるも のの 、 自分 が モルモット にな る のは 誰 で も反対 す るも のだ 。 だが 国家 公 務員 が政 府 に 逆ら え る はず も なく 、 彼 ら に 名誉 な役 が 回 ってきた 。   こうして ︵多少 の 不安 はあって も︶ 取り 敢えず 動 かせ る艦 が 集めら れ て 、 臨 時の 護衛隊群 が 編成 さ れ た 。野 党 や野 党 寄り の マスコミ に 騒 が れ ない よ う 、 軍拡 ではなく 臨 時 編成 だと 分 か るよ うに 、 第 五護衛隊 群 ではなく第 零護衛隊群 と 名付 け られ た 。   第 零護衛隊群 はしずしずと入港し 、埠頭 に着く 。 ﹁隣 の 艦 は ミリシアル帝国 のかね ?﹂

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 近藤 が 誰 に 訊 く わ けで も なく 、疑 問 を口 にす る。 ﹁ いいえ 、 ムー ですね 。ラ ・ カサミ型 戦 艦 の ネームシップ ﹃ラ ・ カサミ﹄ で す 。艦 橋 左 舷 に 階 段 が 付 い て い る で し ょ う 。 あ の 階 段 で 何 度 も 転 落事 故が 起 きたので 、 二 番 艦 か ら は 艦 橋 内部 の 階段 の幅 を広 げ る 改 良 を施 した ん です ﹂  鮫島 が 解説 す る。 ﹁詳 しいですね ﹂  感心 す る井上 に 、鮫島 が 苦笑 で答え る。 ﹁ 商 売 で す か ら。自 分 は 防 衛 装 備 庁 に 出 向 し て 新 装 備 の 開 発 に 参 加 し ていたのですが⋮⋮呼び戻さ れ て 群を任 さ れ たのは 、 責任 払いという や つですかね ﹂  日 本 人 が 聞 くと 勇 ましい 響 きの 名 前だが 、 実 物の 鮫島 は学 者 にしか 見 えない男だった 。 ﹁勇 ましい ﹂ とか ﹁ 海の男 ﹂ という 修飾語 がお よ そ 似 合 わ な い 。近 藤 も 井 上 も 初 対 面 の と き は 、 ﹁コ イ ツ に 任 せ て 大 丈 夫 か ?﹂ と 思 っ た ほ ど だ 。防 衛 装 備 庁 に 出 向 し て い た と 聞 い た と き は 、 意 味 も なく 納得 してしまった 。   このときは 二人 と も、 外交使節団 の 自分 たちが戦 争 の当 事者 にな る とは 、 夢に も思 っていなかったのだ 。 ﹃ラ・カサミ﹄ の 艦 橋で も品評会 が 始 まっていた 。 ﹁日 本 は 戦 艦 も 空 母 も 保 有 し て い な い と 聞 い て い た が 、我 が 軍 と 比 較 でき る立 派な 艦 があ る ではないか ﹂  ムー 派 遣艦隊司令 の ブレンダス は 、﹃ラ ・ カサミ﹄ 艦長 の ミニラル に 問いかけ る。 ﹁ あ れら は全て 護衛艦 というのだそうです ﹂  ミニラル は 訂 正す る が 、 武 闘 派として 知られるブレンダス は 友 好 国 であ る はずの 日 本に 対 して も、不信感を拭 えない 。 ﹁詭弁 ではないのか 。 戦 力を過小評価 させ る た め の ﹂  実 際 は 艦 艇 の 運 用 方 法 の 思 想 が 違 う か ら 呼 び 方 に 違 い が 生 じ て い る に 過 ぎないが 、 自分 たちの 思想 が全てだと 思 い 込ん でい る人間 が 気 づくはず も ない 。   どち ら かといえば穏健派の ミニラル は 、﹁ また 始 まったか ﹂ と 思 いつ

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つ 対応 す る。 ﹁日 本 は 旧 世 界 で 覇 権 主 義 で 失 敗 し て 、専 守 防 衛 に 国 策 を 変 更 し た 歴 史 があ る そうです 。護衛艦 という呼び 方 には 、 そういう 背 景 も あ る の でし ょ う ﹂ ﹁軟 弱だな ﹂  ミニラル は ブレンダス の 言葉 が 、 日 本だけでなく 自国 に も向 け られ た も のだと 気 づいた 。世 界第 二 位の 列 強の地位に 昇り なが らも、 永 世 中 立 と 融 和 主 義 を 掲 げ る 政 府 の 姿 勢 が 、ブ レ ン ダ ス に は 理 解 で き な かったのだ 。ブレンダス が 首 席幕 僚 だった 頃、 穏健派か ら ﹁ナンバー 所 以 ゆえ ん 1 にしてはいけない ナンバー2﹂ と 言われ た であ る。  ムー は 世 界第 二 位の 列 強になってか ら、 世 界 最 強の神 聖ミリシアル 帝国 が 融和 主 義 に 転 じたこと も あって 、 ほと ん ど戦 争を 経 験 していな い 。ム ー に 戦 争 を 吹 っ 掛 け る 国 が い な く な っ た か ら だ 。 だ が そ れ が 、 実 ブレンダス の よ うな 他国を見 くび る、 を生む原 因 になってい る。   この 不毛 な 品評会 は 、 主役の登場に よ って中 断 させ られ てしまうこ とになった 。 ﹃ な 、 何だ 。 あの 船 は ?﹄ ﹃ あ れ は⋮⋮ 船 なのか !?  魔信 か ら 流 れ てきた 声を聞 いて 、 艦 橋にいた 人間 は港の入 り口を 振 り返 った 。 ﹁ ﹁ ﹁ おおお !﹂ ﹂ ﹃ラ・カサミ﹄ の 艦 橋にいた全 員 か ら 異 口同音 に 感嘆 の 声 が 漏れる。   全 員 の 目 には 、グラ ・ バルカス帝国 の 伝説 の戦 艦﹃グレードアトラ スター﹄ が映っていた 。  驚 いていたの も 束の 間、 ﹃ラ ・ カサミ﹄ の 艦 橋は ﹃グレードアトラス ター﹄ の 品評会 で 盛り上 が り始め た 。 そ れ は ﹃ラ ・ カサミ﹄ の 艦 橋の 艦 橋に 限 った 話 ではなく 、 港のあちこちで 始 まっていた 。 ﹁驚 いたな 、 本当に大 和級 だ !﹂ ﹃ ひ ゅ うが ﹄ の 艦 橋で も鮫島 が 驚 きの 声を あげていた 。 だが ﹃ラ ・ カサ ミ﹄ の クルー と 違 って 、 そこには畏 怖 の 感情 がなく 、 どち ら かといえ

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ば子 供 がはし ゃ ぐ よ うな 雰囲気 があった 。 ﹁自衛隊 はあ れ に 勝 て るん ですか ?﹂   あま り に も 危機 感 が 感 じ られ ない 鮫島 に 、 井上 が 質 問した 。 ま る で 戦 争を 前 提 にしてい る かの よ うな 質 問に 近藤 は 顔を しか め たが 、 重要 な 情 報には 違 いないと 思 い 、井上 に 注意 す る のは 我 慢した 。 ﹁防 衛 装 備 庁 で は ど ん な 武 器 が 最 も 効 果 的 か 、議 論 百 出 の 状 態 で す 。 ほ 地 球 で は 戦 艦 は と っ く に 絶 滅 し て い ま し た か ら ね 。 ま だ アイディア は 構想 の 段階 です ﹂ ﹁ では 、 あ れ と 今日明日 にで も 戦う よ うな 事 態は 、 回避 すべきですね ﹂  井上 は 冗談 のつ もり でそう 言 った 。

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2話﹃

界の

真珠

    港町 カルトアルパス の港湾 管理 局は 多忙を 極 め ていた 。 ﹁出航 ? ﹃グレードアトラスター﹄ が ? 会議 はまだ 明日も明後日も あ るん だぞ !﹂  ブロント の 質 問に 、部下も困惑 しなが ら 答え る。 ﹁会議 の 冒頭 で 、 いきな り 席 を立 ったそうです よ﹂ ﹁ ⋮⋮いったい彼 ら は何 を しに来た ん だ ?﹂ ﹁ そ れ が⋮⋮ ﹃自分 たちに 降れ﹄ と 、宣言 したそうです ﹂  ブロント は 困惑 しなが らも、自分 が 辿り 着いた 推理を確認 す る。 ﹁ 全 世 界に 宣 戦 布 告す る つ もり か !? ﹁ 正 確 な こ と は 本 人 に 訊 い て み な い と 分 か り ま せ ん が ⋮⋮ 普 通 は そ う 思 います よ ね ﹂  ブロント は 今度 は 渋 い 顔 になった 。 ﹁レ イ フ ォ ル を 降 し て つ け あ が っ た か ⋮⋮ し ょ せ ん は 文 明 圏 外 の 蛮 族 だな 。 いいだ ろ う 。 さっさと 送り出 して やれ !﹂   港湾 管理 局 員 たちの尽 力 に より、 ﹃グレードアトラスター﹄ は異 例 の 速や かさで カルトアルパスを出航 した 。 艦隊司令施設 F I C ﹃ ひ ゅ うが ﹄ の は別の 緊 張 感 に 包 ま れ ていた 。 ﹁ こ れ が 情 報 収集衛星 か ら受信 した画 像 です ﹂  通信科 の 自衛官 の 説明を聞 きなが ら、 第 零護衛隊群 の 高級 幹 部 たち の 視線 は ディスプレイ に 釘付 けにさ れ た 。 ﹁ こ れ は⋮⋮戦場じ ゃ ないか !﹂   その 一人 が全 員を代弁 す る かの よ うに 声を あげ る。  通信科 の 隊員 が画 像 の 一部を拡 大す る。 ﹁国 章 を 確 認 し た わ け で は あ り ま せ ん が 、 こ の 沈 み か け て い る 艦 は 神 聖ミリシアル帝国 のせ ん ⋮⋮ 魔導 戦 艦 です 。 場所 を考 え る と 、 第 零式 魔導艦隊 と 見 て 間違 いあ り ませ ん﹂ ﹁ こ れ はどこ を撮 影した画 像 な ん だ ?﹂  鮫島 に問 われ て 、通信科 の 隊員 は 説明 し 忘れ ていたことに 気 づく 。 ﹁マ グ ド ラ 群 島 で す 。 こ こ カ ル ト ア ル パ ス の 西、 お よ そ 5 0 0 キ ロ で

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す ﹂   幹 部 たちの 間 か ら ざ わめ きが 起 き る。 ﹁至近距離 じ ゃ ないか !﹂ ﹁30ノット な ら 半 日足ら ずだ !﹂  自 分 た ち の 身 近 で 血 な ま ぐ さ い 戦 闘 が 行 わ れ て い た 。 そ の 事 実 に 衝撃を受 け る。 ﹁ミリシアル の敵は ?  まあ 想像 はつくがな ﹂ ﹁ たぶ ん ご 想像通り だと 思 います ﹂   そう 言 って 、 画 像を 元に戻し 、今度 は別の 部分を拡 大す る。 ﹁個 艦 識 別 ま で で き ま せ ん が 、 ど れ も 旧 日 本 海 軍 の 軍 艦 に よ く 似 て い ます 。グラ・バルカス帝国 と 見 て 間違 いあ り ませ ん﹂   幹 部 たちの 間 か ら、 唸 り声 があが る。 ﹁ 次に 衛星 がこの地 域を撮 影でき る のはいつだ ?﹂ ﹁惑星 が 巨 大なうえに 、 稼 働 してい る衛星 が 4 つしか⋮⋮ ﹂ ﹁言 い 訳を訊 いてい るん じ ゃ ない 、 数字 を訊 いてい るん だ ﹂   こ れ までの 鮫島 か ら想像 できない態 度 に 、 周 囲 は 軽 く 驚 く 。 ﹁ ⋮⋮ 4日後 です ﹂  鮫島 は 仏頂面 にな り なが らも、質 問 を続 け る。 ﹁衛星 の 軌道を変 え られ ないか ?﹂ ﹁ 本 国 に 問 い 合 わ せ て み な い と 分 か り ま せ ん が ⋮⋮ 難 し い と 思 い ま す ﹂ ﹁推進 剤がないのか ?﹂ 防衛省 ウ チ ﹁技 術 的 な 問 題 で は あ り ま せ ん。衛 星 を 利 用 し て い る の は だ け ではあ り ませ ん。文科省 と 国交省も 利用しています ﹂ ﹁ ⋮⋮そうだった ﹂   幹 部 たちの 間 に 諦めムード か 広 が る。  鮫島 は 頭を かく 。 ﹁グラ・バルカス の 暴言 は 、既 に本 国 に 伝 えた ん だな ?﹂ ﹁ はい 。 第 一 報 を出 しました ﹂ ﹁続 報 を出 してく れ。 ﹃今日 は グラ ・ バルカス の エイプリルフール では ないことが 証明 さ れ た ﹄ ﹂

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 鮫島 はいつ も の 口調 に戻ったが 、 つ られ て 笑 う 人間 はいなかった 。 ﹁背 広 組 に も。通 信 手 段 の セ キ ュ リ テ ィ が 担 保 で き な い 場 合 は 、人 を 会議 場に 向 か わ せ ろ﹂  鮫島 は わ ざと ら しい 咳 払い を す る。 ﹁ こ の 情 報 は 特 秘 と す る。 こ の 場 に い る 者 以 外 に は 他 言 す る な 。 政 府 の 許可 が 下りる まで 我 慢してく れ﹂   そう 言 ったあと 、 周 囲 にい る人間 の 顔を見回 し 、 全 員 が 納得 したの を確認 した 。 ﹁司令、 この 後 はどうさ れる おつ もり ですか ?﹂  質 問 を したのは ﹃ あきづき ﹄ の 艦長 だった 。鮫島 とは 少々因縁 があ る。 ﹃ あきづき ﹄ に 新装備 が 押 しつけ られ たとき 、 鮫島 はまだ 防衛装備 庁 に 出 向 し て い た 。艦 長 た ち の ク レ ー ム を 処 理 し た の は 、鮫 島 だ っ た 。 ﹁ 政 府 が決 断 してく れ ないと 、俺 たちは何 も でき ん﹂  鮫島 はそう答えたが 、﹃ あきづき ﹄ の 艦長 どこ ろ か 、 誰も そ れ では 納 得 してく れ そうにないこと を見 て 取 った 。 ﹁最 悪 の 事 態 を 想 定 し て 、 そ の と き 俺 た ち に 何 が で き る か を 考 え て お こ う 。各 艦 の 首 席 幕 僚 は 残 っ て く れ。 そ れ 以 外 は 持 ち 場 に 戻 っ て く れ﹂  世 界の 国々 の 艦船 が 集 まってい る た め、 ﹃ あきづき ﹄ が 接岸 してい る 桟 橋 に は 海 上 自 衛 官 が 何 人 も 警 備 に 立 っ て い る。艦 長 は 彼 ら の 敬 礼 に 返 礼 を返 しなが ら艦内 に入 ろ うとしたが 、 甲 板 で 出迎 えた 人 物 を見 て 足を 止 め た 。 ﹁ ご 苦労 さまです ﹂ ﹁ う む﹂ ﹁広井二 佐は 一緒 ではないのですか ?﹂ ﹁ 彼は 野暮 用で ﹃ ひ ゅ うが ﹄ に 残 った よ。 副 長 こそなぜここに ? 俺 の 代り に CIC に 座 っていてく れ ないと 困る ぞ ﹂ ﹁艦内 の 見回り の 途 中です ﹂ ﹁ そうか 。俺も付 き 合 おう ﹂  二人 は甲 板外 周の 通路を、艦 尾に 向 かって歩く 。

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  副 長 は 歩 き な が ら 艦 長 が 話 を 聞 か せ て く れ る も の と 期 待 し て い た が 、 艦長 が何 も話 そうとしないので 、 慎 重 に 自分 か ら話を 振って み た 。 ﹁ なにか 厄介事 で も あ り ましたか ?﹂ ﹁ その 通り だ 。悪 いが 今 はまだ 話 せ ん﹂ 箝口令 か ん こう れ い   副 長 は 大 体 の 事 情 を 察 し た 。司 令 と の 因 縁 程 度 で あ れ ば が 敷 か れ る こ と な ど な い だ ろ う 。今 の 自 分 た ち は 外 交 の 場 に い る。 し か もグラ ・ バルカス帝国 が全 世 界に 宣 戦 布 告 を して 、﹃グレードアトラ スター﹄ で港 を出 て 行 った 。 こ れ だけの材 料 が 出 てい れ ば 、 大 抵 は 分 か る。  二 人 は 艦 尾 の ヘ リ ポ ー ト ま で 歩 み を 進 め て い た 。ヘ リ ポ ー ト は 空 の 状 態だった 。 ﹁自 分 は ハ ワ イ に 行 っ た こ と が あ り ま す が 、 こ こ は 真 珠 湾 に は 似 て い ませ ん な ﹂   副 長 の 言葉を聞 いて 、艦長 は 足を 止 め た 。 ﹁ ち ょ っと 寒 いな 。 中に入 る か ﹂  艦長 はそう 言 って 、ヘリ 格 納庫を指 した 。  ヘ リ ポ ー ト だ け で な く 、ヘ リ 格 納 庫 に も ヘ リ コ プ タ ー は な か っ た 。 人気 ひ と け そ れゆ え も ない 。 ﹁自 分 は 艦 長 が 司 令 と ア レ で 揉 め る の で は な い か と 心 配 し て い た ん で すが⋮⋮ ﹂  ヘ リ 格 納 庫 に は 装 備 庁 か ら 押 し つ け ら れ た A A M 発 射 装 置 が 置 か れ ていた 。   発 射装置 は ﹃装置﹄ と呼ぶの も憚れるよ うな簡単な も のだった 。3 本 の 主 柱 の 間 に 戦 闘 機 の 主 翼 に 見 立 て た 横 板 が 渡 し て あ る。 そ の 下 側 に 航 空 自 衛 隊 か ら 譲 っ て も ら っ た 6 個 の 中 古 の パ イ ロ ン が 取 り 付 けてあ る。 そ れ に 修理上り品 の ﹃F│2﹄ 戦 闘 機の火器 管 制 装置 が繋 がってお り、 信号変換 器 を 中 継 して 、﹃ あきづき ﹄ の火器 管 制 システム に 接続 さ れ てい る。  使 うときには発 射装置をヘリポート へ 移動 し 、 パイロン の 下 に AA 指令 コマンド M を 取 り 付 け る。後 は 改 造 し た ソ フ ト ウ ェ ア で 火 器 管 制 装 置 に を送れ ば よ い 。

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  材 料 のほと ん どは 倉庫 か ら かき 集め てきた リサイクル品 で 、 原 材 料 ハードウェア S A M 費 は ほ と ん ど か か っ て い な い 。 が 完 成 す れ ば 不 要 に な るも のだ 。 な る べく 金を かけないという 姿勢 は正しい 。  構造 は単 純 で 、 使 用してい る部品も実 績のあ るも のばか り。 だか ら 信頼 性 も高 そうに 見 え る が 、実 は 真逆 なのだ 。   戦 闘 機が ミサイルを 発 射 す る ときは 、 空 を飛ん でい る ときだ 。 あ る 程 度 以 上 の 高 度 を 取 り、 あ る 程 度 以 上 の 対 気 速 度 が あ る。 発 射 の 手 順 シーケンス は こ う だ 。 ま ず パ イ ロ ン か ら ミ サ イ ル を 切 り 離 し 、少 し 落 下 さ せ て 距 離 を と る。 こ の と き は ミ サ イ ル は フ ィ ン に よ っ て 姿 勢 が 安 定 してい る。 そ れ か らミサイル の エンジン に 点 火す る。   とこ ろ が 護衛艦 か ら 発 射 す る 場 合 は 、 初期 条 件 が全く異な る。護衛 手 順 シーケンス 艦 は 空 を 飛 ば な い 。高 度 も 対 気 速 度 も な い 。同 じ で 発 射 し よ う とす る と 、 こうな る。  パイロン か ら切り離 さ れ た ミサイル は 、 不安定 な 姿勢 で甲 板 に 落下 す る。 甲 板 に 落 下 し た 状 態 で ミ サ イ ル の エ ン ジ ン は 点 火 さ れ る。 当 然 ミサイル はどこへ 飛 ぶか 分 か ら ない 。   そこで ﹃F│2﹄ か ら取り外 した火器 管 制 装置 の プログラム に 変更 手 順 シーケンス が 加 え ら れ て い る。新 し い で は 、 ま ず ミ サ イ ル の エ ン ジ ン に 点 火 す る。 そ れ か ら パ イ ロ ン か ら 切 り 離 す 。 そ う す る と パ イ ロ ン か ら 切り離 さ れ た 瞬間 か らミサイル の弾体は 加速を開始 す る ので 、 ごく 短 時 間 で十 分 な 対気速度を 獲 得 し 、 安定 した 姿勢 で 飛翔 す る ことができ る。 手 順 シーケンス  一 見 も っ と も ら し く 聞 こ え る が 、も ち ろ ん こ の よ う な は 前 例 が な い 。 そ れ に 詳 細 に 検 討 し て み る と 、色 々 と 疑 問 点 が 浮 か ん で く る。例 えば 、 パイロン に 取り付 けた 状 態で エンジン に 点 火す れ ば 、 エ ン ジ ン の 推 力 が 発 射 装 置 に 加 わ る。 そ れ が ト ラ ブ ル の 原 因 に な る 可 能 性はないのか ?  艦長 たちは 一通り の 説明を聞 いたとき 、﹁ こ れ は危ない ﹂ と 思 った 。 そこで積極 的 に 質 問した 。自分や 乗組 員、 そして 艦 の 安 全に 関わる の だか ら 当然であ る。   こ れ に 防 衛 装 備 庁 の 人 間 は 一 つ ひ と つ 丁 寧 に 答 え た 。 先 程 の 疑 問

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にはこう答えた 。   横 板 と主 柱 の 接合部 は 、 一定以上 の 力 が 加わる と 外れるよ うになっ わ てい る。 つま り想定外 の 力 が 加わる と 、 よ うになってい る。 そのとき ミサイル は横 板 ごと 飛ん で 、 海に 落 ち る。 だか ら 乗組 員 や艦 は 安 全であ る。 ﹁自動車 の クラッシャブルゾーン と 同 じです よ﹂   そう 言われ たときは 納得 したが 、 よ く 考 えて みる と 二 つは全然別物 だ 。 艦対艦ミサイル S S M ﹁例 え ば の よ う に 発 射 筒 か ら 射 出 す る こ と は で き ま せ ん か ?﹂   副 長 が改 善を 求 め たときは 、 こう答えた 。 ﹁A A M は 元 々 発 射 筒 に 収 め ら れ な い ん で す 。S A M や S S M は 最 初 は フィン は本体の中に格 納 さ れ ていて 、 飛翔を始め てか ら 本体か ら外 に 飛 び 出 る よ う に な っ て い ま す 。 し か し A A M は そ う な っ て い な い 。 発 射 筒 ⋮⋮ V L S も 同 じ で す が 、 入 れ よ う と す る と フ ィ ン が 引 っ 掛 かって 邪魔 にな るん です ﹂ ﹁ な ら新 しい発 射 筒 を造れ ば ?﹂ ハード A M ﹁今 度 は そ れ に お 金 と 時 間 が か か っ て し ま う 。 そ れ な ら の 完 成 を待 った 方 がいい ﹂ ﹁ いっそのこと 、 そうす る ことはできない ん ですか ?﹂ ﹁ 大 規 模な ソフト の改 造 は 、 ハード の改 造以上 に時 間 がかか るん です 。 新 しい SAM が 配備 さ れ た ら、 今度 は イージスシステム が数年 間使 え なくな り ます よ﹂   そう 言われる と 、 副 長も 改 善要 求 を引 っ 込め ざ るを得 ない 。  質 問の 波 が 途切れ たとこ ろ で 、装備庁 の 人間 はこう 切り出 した 。 ﹁自 分 と し て も コ レ を み な さ ん に 渡 す の は 不 本 意 な ん で す よ。 で も 人 も金も 時 間も ない 。人 と時 間 は 仕方 がない 面も あ り ますが 、 せ め て 金 は な ん と か し て ほ し い 。財 務 官 僚 に は 言 い た い こ と が い っ ぱ い あ り ます よ。立 場 上言 えませ ん けどね ﹂   こ れ は 艦長 たち ││ という より 海 上自衛隊も同 じだった 。  例 えばこ ん ごう 型イージス艦 には ヘリポート はあ る が 、 ヘリを 整 備

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す る 格 納 庫 が な い 。 だ か ら ヘ リ を 使 っ た 人 や 物 の 輸 送、ヘ リ の 給 油、 パイロット がいない ヘリ の 輸送 には 使 え る が 、 独自 に ヘリを運 用す る ことはできない 。 こ れ では 不便 だし 、 せっかく 造 った ヘリポート の 価 値が低い 。   そこで 後継 のあたご 型 では格 納庫 が 造られ た⋮⋮のだが 、 竣工 前に 予算 の 都合 で ヘリ の整 備 に 必要 な機材が削 られ てしまった 。   こ れ に は さ す が に 防 衛 省 も 怒 っ た 。 だ が イ ー ジ ス 艦 に は 最 初 想 定 弾 道ミサイル防衛 B M D し て い な か っ た 新 た な 任 務 が 付 与 さ れ て い た 。 で あ る。  近隣国 が核兵器と ミサイルを開 発してい る ことが 明ら かにな り、 政 府 は 対応を迫られ た 。国民を守る ︵安心 させ る︶ た め、 艦隊防 空のた め の イージス艦 に 、 弾 道ミサイル迎撃能力を追加 した 。 だが 緊 張が エ スカレート した場 合、 日 本全 土を守る た め には 、 日 本海に常時 3隻 の イ ー ジ ス 艦 を 張 り 付 け な け れ ば な ら な い 。 こ ん ご う 型 4 隻 で は 明 ら かに 不足 なのだ 。 その よ うな 状況 の中 、 ヘリ運 用 能力 の問 題 で 、 あた ご 型 の 配備を遅ら せていいのか ?  装備を人質 に 取 った やり方 に 怒りを覚 えなが らも、 防衛 大 臣 と 財務 大 臣 の 直接折衝 で 、 改 修 で 速や かにあたご 型 に ヘリ運 用 能力を付与 す る こと を約 束させて 、防衛省 は 財務省 と 妥 協した 。   だが 腹芸 では 財務省 が 一枚上 手だった 。折衝後 の 記者会見 で 、 防衛 大 臣 は 合意内容を ﹃確約﹄ と 述 べたが 、 財務 大 臣 は ﹃努力目標﹄ と 述 べたのだ 。   ちな み にあたご 型 には未だに ヘリ運 用 能力 がない 。   そ の 後 は し ば ら く は 財 務 官 僚 に 対 す る 恨 み 節 で 話 が 盛 り 上 が っ た 。 そ の 過 程 で 奇 妙 な 一 体 感 が 産 ま れ た 。相 手 が 財 務 官 僚 じ ゃ し ょ う が ない 。 そう 思 って 艦長 たちは 妥 協した 。   しば ら く時 間 が経ってか ら、 財務官僚を出 汁に 上 手く丸 め込 ま れ た と 艦長 たちが 気 づいたことは 言 うまで も ない 。   と き ど き 自 衛 隊 O B の ジ ャ ー ナ リ ス ト が 国 産 兵 器 を バ ッ シ ン グ し てい る が 、 きっと 隊 にいたときは 自分 たちと似た よ うな経 験を したの だ ろ う 、 などと 思 う よ うになった 。

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  そして第 零護衛隊群 が 編成 さ れ たとき 、 あのときの 装備庁 の 人間 が 自分 たちと 同 じ制 服を 着て 、 海 将補 の 階級章を付 けて 、 新 しい 群司令 だ と 紹 介 さ れ た と き に は 、驚 き よ り 怒 り を 覚 え た 。外 部 の 人 間 だ と 思 っ て い た の に 実 は 身 内 だ っ た 、 そ れ だ け で も 相 当 モ ヤ モ ヤ す る が 、 そ れ が 自分 たち を飛 び 越 して 上官 になったとあっては 、 心 中穏 や かで はい られ ない 。 ﹁言 っ て お く が 、俺 の 口 か ら は ま だ 何 も 言 え ん。ア レ と は 別 件 だ と は 言 え る がな ﹂  グラ ・ バルカス帝国 は本 気 で 真珠 湾攻 撃を す る つ もり なのだ ろ うか ?  ま だ 分 か っ て い な い の だ ろ う 。 だ か ら 箝 口 令 が 敷 か れ て い る の だ 。   そ の 日 の 夜、ル ー ン ポ リ ス に 急 遽 呼 び 出 さ れ た 議 長 の リ ア ー ジ ュ は 、 第 零式魔導艦隊 の 部隊消 失 を聞 かさ れ て 驚 き 、 カルトアルパス襲 撃 の 可 能 性 を 聞 か さ れ て 胃 に 穴 が 開 く よ う な 思 い が し た 。も し 彼 が 日 本 の 大 使 も カ ル ト ア ル パ ス の ホ テ ル で 同 じ 問 題 で 悩 ん で い る と 知 った ら、 急性 胃 潰 瘍 で入 院 したか も し れ ない 。 ﹁ ま ず い 。 ま ず い ぞ 。 こ の ま ま だ と 日 本 は 、 ま た 戦 争 に 巻 き 込 ま れ て しまう ﹂   危機 感を露わ にす る外務 大 臣。近藤や井上 の 顔 に も、 苦悩 の 色 が浮 かぶ 。  鮫島も その場に 同 席していた 。 普 段 な ら指揮を執る た め に ﹃ ひ ゅ う が ﹄ の 船室 で 寝泊 ま り す る が 、 今 は 軍事 の 専門家 として大 臣 たちに 助 言を す る必要 があった 。 ﹁ 何か戦 争を回避 す る 手 段 はないのか ?﹂  鮫島 は 真 剣な 表情を 作っていたが 、内心 では呆 れ ていた 。 ︵ そ の 質 問 は も う 三 度 目 だ ぞ 。 い っ た い い つ ま で 議 論 の 入 り 口 で グ ル グル回 ってい る つ もり な ん だ ?︶  日 本は ︵他 の 国 と 一緒 に ︶ 宣 戦 布 告 を受 けてい る。も うすでに 巻 き 込 ま れ てい る のだ 。も し無 理矢理回避 し よ うとす る と 、 かな り 危 険 な 外交的 な 綱 渡 りを す る しかないだ ろ う 。 だが 綱 渡 りを続 け れ ば 、 いず れ は 転落 す る。

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︵も う時 間 がない 。仕方 がない 。ショック 療 法 で 行 くか ︶ ﹁ 大 臣、 発 言 して もよろ しいでし ょ うか ﹂  外務 大 臣 は 疑 問の眼 差 し を鮫島 に 向 け る。 ﹁ 戦 争を回避 でき る 手 段 がひとつだけあ り ます ﹂ ﹁ 本当か !?  外務 大 臣 だけでなく 、 近藤 と 井上 まで 期待 のこ も った眼 差 し を向 け て く る。鮫 島 は 逆 に が っ か り し た 。プ ロ の 外 交 官 の 近 藤 と 井 上 は 期 待 でき る かと 思 っていたのだが 、 どう やら 大 臣 と ドングリ の 背比 べ ら しい 。 ﹁グラ・バルカス帝国 に 降伏 す る のです ﹂  三人 には 斜め上過 ぎた ら しい 。三者三様 の 変顔 が 見れ た 。 ﹁君 は本 気 で 言 ってい る のか !﹂  外務 大 臣 が吠え る。 ﹁グ ラ・バ ル カ ス は 既 に 拳 を 振 り 上 げ ま し た 。 振 り 上 げ て し ま っ た も のは 、 どこかに 降ろ すしかあ り ませ ん﹂  三人 は 鮫島 が 言 おうとしてい る こと を理解 した 。   戦 争 は 既 に マ グ ド ラ 群 島 で 始 ま っ て し ま っ た の だ 。日 本 が 望 む 形 で終 わら せ る た め には 、最 低 一度 は 勝 つ 必要 があ る。 ﹁ こ れを ご 覧 ください ﹂  鮫 島 は 各 艦 の 首 席 幕 僚 た ち と 作 っ た 資 料 を 取 り 出 し 、 大 臣 た ち に 配 った 。   大 臣 たちは 表紙を見 て 、眉を しか め た 。 ﹁ ﹃オペレーション:西遊記﹄ ?﹂

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3話﹃国境

の海

   新アルタラス王国 海 軍巡視船タルコス号 は 、 アルタラス島北 側 をパ トロール していた 。 元   パーパルディア皇国 の海 軍 は 、 日パ 戦 争 で 壊滅的 な 損害を受 け た 。 そ の 結 果、フ ィ ル ア デ ス 大 陸 周 辺 海 域 の 治 安 は 一 時 悪 化 し た 。 ロデニウス 大 陸 の 再現 であ る。   ただ ロデニウス 大 陸 と 違 って 、 軍 か ら 給 与を 払って もら えなくなっ 奴 や つ た 軍艦 乗 り が海 賊 に 身を した わ けでなく 、 今 まで パーパルディア皇 国 に 隠れ て地味に活 動 していた海 賊 たちが 、 大手 を 振 るよ うになった のであ る。  パーパルディア皇国 に占 領 さ れ たとき 、 アルタラス王国軍 は 壊滅 し た 。アルタラス は 再独立を果 たした も のの 、 国 はまだ 再建 の 途上 であ る。 海 賊を取り締 ま ろ うに も、 海 軍 には 船 がない 。   戦 争 中 は 海 上 自 衛 隊 が 警 察 活 動 を 担 っ て く れ た 。 終 戦 直 後 は 海 上 保 安 庁 の 巡 視 船 が 肩 代 わ り を し て く れ た 。 だ が 主 権 国 家 を 名 乗 る 以 上、自国 の 治安維持 活 動を他国 に 任 せ 続 け るわ けにはいかない 。  ルミエス 女 王 が海 軍再建を 政 府 に 指 示したときのことだ 。 ﹁陛 下、日 本 が 全 て タ ダ で や っ て く れ る の で す 。 な ぜ 我 々 が 汗 水 垂 ら して 、 危 険を冒 して海 賊 と戦 わ ねばな らん のです ?﹂   こう発 言 した 貴族 がいた 。   こ の と き ル ミ エ ス 女 王 は 前 代 未 聞 の 行 動 に 出 た 。 女 王 は 玉 座 か ら 立 ち 上 が る と 、 その 貴族 の前へ 行 き 、 スカート の 裾 が捲 れる の も構わ ず 、貴族 に強 烈 な前 蹴りを喰らわ せたのだ 。  鼻血を垂ら して尻 餅を つき 、 呆然としてい る貴族を見下ろ して 、 女 王 はこう 言 い放った 。 ﹁アルタラス の 民 は 寄生虫 ではない !﹂   政 府内 の アクシデント に も かか わら ず 、 この エピソード はたちまち 巷 に 広 まった 。 そして 国民 に ウケ た 。   女 王 が 貴族 の 顔を した 寄生虫を蹴飛 ばす 風 刺画が流 行り、 面 子が潰 れ た 貴 族 は こ れ が き っ か け と な っ て 没 落 し た 。後 の ア ル タ ラ ス の 歴

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史書 には 、 ルミエス 女 王 の 気高 さ を表 す エピソード として 必 ず 載るよ うになった 。  日 本に 亡 命していた ルミエス王 女 ︵ 当時 ︶ は 、 日 本の社 会 制 度 につ い て 学 ん だ 。 そ し て 日 本 が 旧 世 界 で 有 数 の 援 助 大 国 だ っ た こ と を 知 った 。   な ぜ 日 本 は そ ん な に 援 助 を し た が る の か ? 助 け て も ら っ た 身 で 不謹 慎だとは 思 ったが 、 ルミエス王 女はその 疑 問 を解 かずにはい られ なかった 。 そして 日 本の 援助 の ポリシー が ﹃自立 支 援﹄ であ る こと を 知 った 。   ここか ら 先は 日 本 人 に 訊 いた 方 が 早 いと 思 ったが 、 外務省 の 職員 に 訊 いた ら建 前の 返事 しか 聞 けそうにない 気 がしたので 、クワ ・ トイネ の留学 生 の 友人 に 、日 本 人 の 友人を 紹 介 して もら った 。 ﹁友達 づく り かな ﹂  日 本 人 女子大 生 の 返事 は 、ルミエス王 女の 想像を越 えていた 。 ﹁友達 ?﹂ ﹁ う ん。 主 従関係 じ ゃ ない 、 お 友達﹂ ﹁日 本て 、 前の 世 界では 列 強じ ゃ なかったの ?﹂  訊 か れ た 方 は 困 った よ うな 顔を した 。 ﹁ う ーん、 経 済力 は第 三 位 、 軍事力も ⋮⋮ 五 位 以内 には入っていた よ う な 気 がす る。 で も列 強じ ゃ ないと 思 う ﹂  訊 いた ルミエス王 女の 方も困 った 。順 位で判 断 す れ ば 、 列 強 以外 の 何 者 で も ない 。 ﹁日 本 人 は 祖 国 を 誇 り に 思 わ な い の ?  大 国 で あ る こ と を 自 慢 し な い の ?﹂  日 本 人 女子大 生 の 顔 に も ﹁理解 できない ﹂ という メッセージ が浮か ん だ 。 ﹁ そ れ は ま あ ⋮⋮ 一 応、郷 土 愛 ? み た い な も の は あ る わ よ。 で も そ れ って 、国 の大 小 に 関係 ないでし ょ う ﹂   こ れ は ルミエス王 女の 方 が 一 本 取られ た 。 ﹁ まして 自分 の 国 は大 国 だか ら威 張 る な ん て 、カッコ悪 いじ ゃ ない ﹂   どこが カッコ悪 いのか 、ルミエス王 女には 分 か ら なかった 。

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  ︵新世 界の ︶ 外国人 のこういう 反応 には慣 れ てい る のか 、 日 本 人 は 一 つの エピソードを話 してく れ た 。  日 本が 転移 す る 数年前 、 日 本で大 規 模な災 害 が 起 きた 。 この災 害 で 2万人近 い死 者・行方不明者 が 出 た 。   こ の と き 世 界 中 の 国 が 、日 本 を 支 援 し て く れ た 。義 援 金 や 救 援 物 資、 救 助隊を日 本に 送 ってく れ たのだ 。も ち ろん国 の 規 模に よ って大 小 の 違 いはあったが 。   こ れ も ル ミ エ ス 王 女 に は 信 じ ら れ な い 話 だ っ た 。例 え て 言 う な ら、 神 聖ミリシアル帝国 で災 害 が 起 きたとき 、 アルタラス の よ うな 文明圏 外 国 家 が 支 援 す る よ う な も の だ 。 こ の 世 界 だ っ た ら 笑 い 話 に し か な ら ない 。 ﹁困 ってい る ときに 助 けてく れる のが 、 本当の 友達 じ ゃ ない ﹂   こ の 言 葉 を 聞 い た と き 、ル ミ エ ス 王 女 は 一 つ の 理 解 に 至 っ た 。 ﹃力 に 頼ら ない 世 界 秩序﹄ 、 そ れ が 日 本の 目標 ではないか 。   海 を 挟 ん だ 隣 国 の パ ー パ ル デ ィ ア 皇 国 の 恐 怖 支 配 を 見 続 け て き た ルミエス王 女には 、 この 日 本の 理想 は眩しく映った 。  も し ﹃ しきしま ﹄ に救 助 さ れ なかった ら、 ルミエス王 女は 毒矢 で 落 命 し て い た だ ろ う 。 命 ば か り か 祖 国 ま で 救 っ て も ら っ た ル ミ エ ス 女 偏 向 バイアス 王 の 日 本 観 に を挟む なという 方 が無 理 な 注文 だ ろ う 。  日 本 を 利 用 す る こ と し か 考 え な か っ た 貴 族 の 態 度 が 女 王 の 逆 鱗 に 触 れ た の は 当 然 の 帰 結 で あ る。新 政 府 に は 同 じ 地 雷 を 踏 む よ う な 間 抜 けはいなかった 。 海 軍再建 案は 速や かに 検討 さ れ た 。   し か し 出 て き た 再 建 案 は 女 王 を 失 望 さ せ る の に 十 分 な も の だ っ た 。 日 本 で 廃 船 に な っ た 軍 艦 を タ ダ で 譲 っ て も ら う と い う 安 直 な も の だったのだ 。   当 時 の ア ル タ ラ ス 人 は 機 械 文 明 を 理 解 し て い な か っ た 。日 本 の 軍 艦も魔導 で 動 いてお り、 ち ょ っと 努力 す れ ば 自分 たちに も 扱え る に 違 いない 。 そう 考 えたのだ 。   こ れ に は 女 王 も 頭 を 抱 え た 。 彼 ら が 間 違 っ て い る こ と は 自 分 に は 分 か る。 そ れ は 日 本で 生 活していたか ら だ 。 その体 験 がなけ れ ば 、 自 分も同 じ 間違 い を犯 すことは 容易 に 想像 できた 。

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  そ れ ゆ え 彼 ら を 一 方 的 に 叱 る こ と は で き な い 。 し か し 彼 ら の 誤 解 を 解 く こ と も 容 易 で は な い 。 彼 ら を 日 本 に 派 遣 す る の が 一 番 手 っ と り早 いが 、 船出 したばか り の 新アルタラス王国 にはその よ うな余 裕 は ない 。  日 本に 滞 在していたときは 考 えたこと も なかった ︵ という より考 え る 余 裕 がなかった ︶ が 、 日 本の 生 活 費 はとてつ も なく 高 いのだ 。亡 命 中はお ん ぶに 抱 っこが 許 さ れ たが 、 独立 した 後 はそうはいかない 。 あ の 貴族を寄生虫 呼ば わり したのは何だったのか 、 という 話 になってし まう 。   こ こ で ル ミ エ ス 女 王 は 逆 転 の 妙 案 を 編 み 出 し た 。日 本 へ 行 く の が 無 理 な ら、 日 本に来て もら えばいい 。 そう 考 えたのだ 。 具体 的 には 日 本政 府 に公 船をアルタラス に派 遣 して もら い 、 政 府や軍 の幹 部 にそ れ を見 学させ る のだ 。自分 が 初め て ﹃ しきしま ﹄ に乗 船 したときの体 験、 あ れ な ら 彼 ら の 誤解を解 くこと も でき る はずだ 。   しかしこ れ は アルタラス 側の 一方的 な 都合 だ 。日 本に 頼む のは 、 や は り 虫 が 良 す ぎ る。苦 し い 事 情 を 日 本 に 説 明 し て 理 解 を 得 る 必 要 が あ る が 、日 本側に もメリット があ る提 案にしなけ れ ばな ら ない 。  後日、 新アルタラス王国 か ら日 本政 府 に 招待状 が届いた 。ルミエス 王 女 ︵ 当時 ︶ を 救 助 した 巡視船 ﹃ しきしま ﹄ の乗組 員 に 感謝 の 意を表 すた め、 新アルタラス王国 は乗組 員 の 代表 の瀬戸 船長 に 勲章を贈る こ と を 決 定 した 。 ついては 授章式 典 を開催 す る ので 、﹃ しきしま ﹄ の乗組 員一同を招待 す る、 という 内容 だった 。   こ れ が 日 本 国内 で報 道 さ れる と 、 日 本 国民 には好 感をも って 受 け止 め ら れ た 。 ﹃ し き し ま ﹄ の 乗 組 員 た ち も 喜 ん だ 。日 本 の マ ス コ ミ も ア ルタラス に や ってきて 、式 典の 様 子 を詳 しく 取 材した 。   ただし 受章者 本 人 の瀬戸は 、 緊 張で全く 式 典 を 楽し め なかった 。 海 上保安官 であ る 瀬戸は 、 外国人 と 接 す る 機 会 が 多 い 。 だが彼の 相 手は 良 くて 堅気 の 船員、 悪 け れ ば海 賊 であ る。王族 は 完 全に彼の 守備範囲 外 であ る。王 女と 知ら なかったときは 冷静 に 対処 できたが 、 女 王 と 分 かって 接 す る のは 気苦労 の 連続 だった 。  ル ミ エ ス 女 王 は こ の と き も 幸 運 に 恵 ま れ た 。窮 状 を 知 っ た 日 本 の

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外務省 が クワ ・ トイネ 公 国 に 話を つけて 、クワ ・ トイネ 公 国 の 沿岸警 備 隊 で 使 っ て い た 中 古 の 巡 視 船 を 新 ア ル タ ラ ス 王 国 に 売 っ て く れ る こ と に な っ た の だ 。 し か も 代 金 は 日 本 政 府 が 立 て 替 え て く れ る と い う 。日 本政 府 が 新アルタラス王国 に 代金を貸 す ︵立 て 替 え る︶ 条 件 は 、 金 利なし ・ 返済期限 なしという も のだった 。アルタラス国民 はこ れ は 事実上 の プレゼント で 、 返 す 必要 がない 金 だと 思 った 。 だが ルミエス 女 王 は 財 政 に 余 裕 が で き た ら 返 す つ も り で い た 。も っ と も 借 り る 前 にそ れを言 うと 不要 な 波風 が 立 つので 黙 っていた 。   こ の 話 は と ん と ん 拍 子 に 進 み、間 も な く 最 初 の 巡 視 船 1 2 隻 が ク ワ ・ トイネ か らアルタラス に 回航 さ れ てきた 。 このとき クワ ・ トイネ で 保 管 さ れ て い た 偽 装 商 船 タ ル コ ス 号 も ア ル タ ラ ス に 回 航 さ れ た 。 タルコス号 は 旧アルタラス王国 の 資 産であ り、 新アルタラス王国 が所 有 権 を 引 き 継 ぐ こ と に 問 題 は な か っ た 。 こ う し て タ ル コ ス 号 は 偽 装 商 船 か ら 海 軍 の公 船 になった 。最 大の 変化 は 、 マスト に常に海 軍旗を 掲 げ るよ うになったことだった 。  も う ひ と つ 変 化 が あ っ た 。船 首 に 据 え つ け ら れ た 1 2.7 ミ リ 重 機 関銃 であ る。 こち ら は タルコス号ら が 回航 さ れ たとき 、 日 本政 府 が 金 銭 的 対 価 な し で 譲 渡 し た も の で あ る。 そ の 代 わ り 銃 と 弾 薬 に は 厳 重 な 管理 が求 められ た 。不心得者 が 巡視船 か ら取り外 して 、 第 三国 に 売 っ た り し た ら 困 る。ア ル タ ラ ス で は 銃 も 銃 弾 も コ ピ ー 生 産 で き な いか ら、 日 本は 譲 渡できたのだ 。仮 に 相 手が リーム王国 だった ら、 日 本は 譲 渡 も輸出も しなかっただ ろ う 。   こうして 巡視船 に 生 ま れ変わ った タルコス号 は 、 先 進11ヵ国会議 三日目 の 早朝も、哨戒任務 に就いていた 。  タルコス号 の 船長 は 銃 と 一緒 に 日 本か らプレゼント さ れ た ︵アルタ ラス では ︶ 高 性 能 の 双 眼 鏡を首 か ら ぶ ら下 げて 、 水平 線 に異 状 がない か 確 認 し て い た 。 彼 は 視 力 に は 自 信 が あ っ た 。双 眼 鏡 で は 視 界 が 狭 く な る。双 眼 鏡 を 使 う の は 異 状 を 発 見 し て か ら だ っ た 。 そ の 彼 が 双 眼 鏡を 手に 取る。北 の水平 線上 に 、艦 影 ら しき も の を認め たのだ 。 艦 型 シルエット ﹁ かな りデカイ ぞ 。 あの は⋮⋮ 竜母 か ?﹂   第 三 文 明 圏 と そ の 周 辺 で 竜 母 を 保 有 し て い る 国 は 一 つ し か な い 。

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船長 は 緊 張しつつ 、更 に 観察 す る。 ﹁ ずいぶ ん船首 が 突 き 出 て⋮⋮ ﹃ヴェロニア﹄ だ !﹂   彼は振 り向 いて 部下 に命じた 。 ﹁魔信 で海 軍 ほ⋮⋮ ﹂  船長 の 声 は 轟音 でかき 消 さ れ た 。  タルコス号 の乗組 員 たちは 、 空 を見上 げた 。蒼 穹の中 を日 本か ら飛 着 陸 アプローチ 来した大 型 機が 、ルバイル 空港への のた め に 旋回 してい る。 ︵夕 べ か ら 急 に 数 が 増 え た な 。 し か し 変 わ っ た 飛 行 機 械 だ 。 帽 子 を 被 ってい る︶  船長 は 飛行 機に 一瞬見 と れ たが 、自分 の 任務を すぐに 思 い 出 した 。 ﹁ 本 部 に 伝 え ろ。 ﹃ヴェロニア﹄ が 現れ た ! 今 はまだ中 間線 の 向 こう だ ﹂   春の 後 半に 差 しかかった ル ・ ブリアス は 、徐々 に晴天 率 が 下 が り始 め た 。高 温 多 湿 の 海 洋 性 高 気 圧 と 低 温 低 湿 度 の 大 陸 性 高 気 圧 の 境 目 │ │ い わ ゆ る 梅 雨 前 線 │ │ が 南 か ら 接 近 す る か ら だ 。日 本 よ り 低 緯 度 の アルタラス島 は 日 本 より早 く 梅雨 が 訪れ、 日 本 より早 く 梅雨 が 明 け る。  ル ・ ブリアス の 郊外 にあ る日 本大 使館 で 、近衛騎士団長 の リルセイ ド はその 肩書 に 相応 しい 服装 と態 度 で 、 高宮駐アルタラス 大 使 との 面 会を待 っていた 。  職 業 上 の 必 要 に 迫 ら れ て リ ル セ イ ド は 今 の 佇 ま い を 身 に つ け た が 、 内心 では 騎士団長 は 自分 には 荷 が 重 すぎ る と 思 っていた 。   周 囲 か ら 見 れ ば 順 当 な 人 事 だ っ た 。 だ が 本 人 は そ う 思 っ て い な か っ た 。自 分 が 王 女 の 供 を 命 じ ら れ た の は 、騎 士 団 の 中 で 一 番 未 熟 だったか ら。王 女の命 を 救ったのは ﹃ しきしま ﹄ の武 力、 瀬戸の 的確 な判 断、 そして 日 本の 高度 な医療 技術 なのだ 。自分 は 王 女の周 囲を右 往 左 往 し て い た に 過 ぎ な い 。 そ れ が リ ル セ イ ド の 自 己 評 価 だ っ た 。 まだ 若 い リルセイド は 、 異 国 で 気丈 に振 る舞 う 王 女にとって 、 すぐそ ばにい る精 神 的 な支えが 重要 だったことに 気 づいていなかった 。   だ か ら 式 典 の と き に 再 会 し た 瀬 戸 の 妙 に こ わ ば っ た 笑 顔 を 見 る た びに 、 リルセイド は トラウマを 刺 激 さ れ た 。 ﹃ しきしま ﹄ が 出航 して平

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和 な 毎 日 が 戻 っ て く る か と 思 っ た ら │ │ ど う や ら 瀬 戸 を 不 当 に 嫌 っ たせいで天 罰 が 下 った ら しい 。 ﹁ お 待 たせしました 。 大 使 の 準備 ができました ﹂  日 本 人職員 に告げ られ て 、 座 って 待 っていた リルセイド は 腰を上 げ る。アポ なしという失礼な 訪 問に も かか わら ず 、 待 たせたこと を詫 び る かの よ うな 職員 の態 度 に 、 リルセイド は却って 気後れ す る。逆 に 日 本の 国力を知ら ない 相 手には 侮られるリスク があ る が 、 少 なくと も新 アルタラス王国 では杞 憂 であ る。  高宮 大 使 は 50代 半ばの女性で 、 一言 で形 容 す れ ば ﹁上品 な 貴 婦 人﹂ という 表現 がぴった り の 人 物だ 。日 本の 外務省 が 、 ルミエス 女 王 が 相 談 し や すい 相 手という 基準 で 選ん だ 人 物だった 。 ﹁よ くい ら してくださいました 。リルセイド騎士団長﹂ ﹁突 然 の 訪 問 に も か か わ ら ず 、対 応 し て い た だ き あ り が と う ご ざ い ま す ﹂ ﹁ そ の よ う な こ と は お 気 に な さ ら な い で く だ さ い 。少 し 年 寄 り の 世 間 話 に 付 き 合 ってくださいな ﹂  リ ル セ イ ド は 無 駄 足 に な ら ず に 済 み そ う だ と 思 っ た 。高 宮 大 使 が ﹁世 間 話 が し た い ﹂ と 言 う と き は ﹁非 公 式 な 情 報 交 換 を す る 用 意 が あ る﹂ ときなのだ 。 この場で 話 し 合 ったということは 他者 には 漏ら さな い 、 い わゆるサードパーティールール が 適 用さ れる。も しこ れを 破 れ 有 ば 、 二度 と はできなくな る。国 で も人 で も、 誰 彼かま わ ず ﹁ ここだけの 話﹂を す るよ うな 相 手に 、気を許 すはずがない 。  持 って 回 った 言 い 方 が 苦 手な リルセイド は 、 あ る程度相 手の 気心 が 知れ てい る こと も あ り、 単 刀直 入に 切り出 す 。 ﹁パーパルディア皇国 の 竜母 ﹃ヴェロニア﹄ が 現れ ました 。 まだ中 間線 を越 えてはいませ ん が ﹂  高宮 大 使 は先 を促 す よ うに 頷 く 。 ﹁ホットライン で問い 合わ せたとこ ろ、 ﹃通 常の 訓練航 海であ る﹄ と 回 答が来ました ﹂  日 本政 府 が カイオス に無 線 機 を 渡した経 験を踏 まえ 、 73ヵ国連合 無 線 機 ホットライン に も を 渡していた 。カイオス の 言 う 通り、 話 し 合 いの チャンネ

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ル があ れ ばこそ 、 日パ 戦 争 は 早期講和 が 成立 したのだ 。も ち ろん魔信 で は な く 電 波 な ら 日 本 は 傍 受 で き る と い う 、冷 徹 な 計 算 が 働 い て い た 。 こ れ も フ ィ ル ア デ ス 大 陸 の 安 全 保 障 の た め で あ る。ム ー と の 貿 易 が 盛ん になった 今、 第 三文明圏 と周 辺 の 安定 は 日 本の 安 全 保障 の 必 須 条 件 になってい る。 ﹁建 前としては 、 筋が 通 っていますね ﹂ ﹁ ですが 、﹃ヴェロニア﹄ は パーパルディア の 最後 の 切り 札と呼べ るも の 。 しか も維持 に も運 用に も、相 当な 金 がかか る と 聞 いています ﹂  パ ー パ ル デ ィ ア 皇 国 軍 が 日 パ 戦 争 で 被 っ た 損 害 は 甚 大 だ っ た 。最 大 の 損 害 を 出 し た の は 竜 騎 士 だ っ た 。 か つ て 竜 騎 士 が 乗 る ワ イ バ ー ン は 文明圏外国家 では 撃墜 は 不可能、 も し 倒 せた ら自 慢でき る という ほど強かった 。 とこ ろ が 今 は 、 飛行 機 械 の 射的 の 的 であ る。も っと も 飛行 機 械を 所 有 してい る のは 、 日 本と ムー と神 聖ミリシアル帝国 ぐ ら いの も のであ る が 。 ﹁ 彼 ら は ピ リ ピ リ し て い ま す ね 。実 は 日 本 に も 問 い 合 わ せ が あ っ た の です よ。 ﹃ルバイル に 爆撃 機 を集め てい る真意 は何か ﹄ と ﹂  リルセイド は 日 本の 返事を訊 くの を一瞬 た めら った 。 ﹁ ﹃フィルアデス 大 陸 とその周 辺 で武 力を行使 す る意志 はない ﹄ そう答 えました 。 あと ﹃ワイバーンオーバーロード の 飛行訓練 は 、 本 国 で 行 われる こと を期待 す る﹄ と 要望を伝 えました ﹂ ﹁私 に 話 して よろ しかったのですか ?﹂  気 前 よ く教えてく れる ことに 、リルセイド は却って 不安 なった 。 ﹁ ええ 、 この 程度 な ら。 本 国 か ら指 示 も出 ています ﹂ ﹁日 本のお 心遣 いに 感謝 します ﹂  リルセイド の 言葉 には 、 情 報 提供 だけでなく 、﹃ヴェロニア﹄ が オー バーロード の発 艦を しづ ら い よ うにした牽制への 感謝も 入ってい る。 ﹁新 ア ル タ ラ ス 王 国 は 日 本 の 大 切 な 友 好 国 で す 。誤 解 が あ っ て は い け ませ ん か ら お 伝 えしますが 、 ルバイル 空港に 駐 機してい る 大 型 機は 爆 撃 機ではあ り ませ ん﹂   そ れ では何のた め に ? リルセイド は 疑 問に 思 ったが 、 そ れを訊 く の は 控 え た 。ア ル タ ラ ス と は 関 係 な い こ と ま で 話 す 義 理 は 日 本 に は

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ないのだ 。 ﹁仕 事 の 話 ば か り で 疲 れ た で し ょ う 。少 し 年 寄 り の 世 間 話 を 聞 い て く ださいな ﹂  リルセイド は 期待 した 。高宮 大 使 はしばしば 世間話 と 称 して 、 重要 な 情 報 を匂わ せてく れる のだ 。 そ れ が 日 本本 国 の 指 示なのか 、 大 使個 人 の 考 えなのかまでは 分 か ら なかったが 。 ﹁今、 神 聖 ミ リ シ ア ル 帝 国 の カ ル ト ア ル パ ス で 先 進 1 1 ヵ 国 会 議 が 開 催 さ れ て い る の は ご 存 じ で し ょ う 。実 は 今 回 か ら 日 本 も 参 加 し て い る のです よ﹂   そ の 程 度 は リ ル セ イ ド も 知 っ て い た 。 だ が あ え て 話 題 に し た と い うことは ││ ︵ 中 央 世 界 で 何 か 重 大 な 事 案 が 発 生 し て い る ? 日 本 が 武 力 介 入 を 検 討 しなけ れ ばな ら ない よ うな何かが !︶  今 の ア ル タ ラ ス で は 知 り 得 な い 貴 重 な 情 報 だ っ た 。 だ か ら と い っ て アルタラス に何かができ る とは 思 えないが 、 無 知 のままでい るより はは る かに マシ だ 。 ﹁ 大 変 興 味 深 い お 話 で し た 。 こ れ 以 上 お 邪 魔 を し て は ご 迷 惑 で し ょ う 。私 は 城 へ戻 ら せていただきます ﹂ ﹁ そうですか 。陛下 に よろ しくお 伝 えください ﹂  高 宮 大 使 は 微 笑 み を 浮 か べ て い た 。 だ が そ の 微 笑 み か ら 何 か を 読 み取る ことはできなかった 。 ど ん なに温 和 なお 人 好しに 見 えて も、 彼 女 も立 派な 外交官 なのだ 。

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