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平成15年度 航空機等の機械工業動向調査事業

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Academic year: 2021

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エアバス A350 について 1 背景

エアバスは、2004 年 12 月 10 日に、ボーイング B787 の対抗馬としての A350 に関する Authorization To Offer(以下 ATO)を得て、近い将来のローンチを目指して、ローンチ 候補エアラインへの提案、受注活動を積極的に行っている。 エアバスは、B787 のローンチが発表された昨年の 4 月頃から、B787 の販売を牽制するた めに、A350 を開発する意向を再三表明し、更に、その開発に対する EU の助成の必要性を 強調したため、WTO での抗争を加速する等、大きな話題を呼んでいた。又、12 月後半に予 想されていた日本航空や中国の中型機選定に対する配慮から、この計画の具体化を急速に 進めて 12 月の ATO に持ち込んだものと考えられる。 しかし、A350 の受注は、ATO 直後の 12 月 21 日にスペインのエア・ヨーロッパが 10 機(他 にオプション 2 機)の購入覚書に調印し、ヨーロッパの結束の強さを示す幸先の良いスター トを切ったものの、その後の受注はない。今年に入って中国の 60 機、エチオピア航空の 10 機を加え 15 社から 191 機の確定受注を得ている B787 に比べ出遅れは否定できない。 但し、エアバスは、近年急速に拡大している A330/A340 のカスタマーベースを中心に A350 の販売を進める戦略を採っており、今年のパリエアショーでのローンチ発表を目指して強 力な販売活動を推進していると考えられ、今後数ヶ月、B787 との販売合戦が一層激しくな ることが予想される。 本資料は、エアバスの公表資料をもとに、この A350 について記述する。 2 概略仕様 現在、胴体長の異なる A350-800 と A350-900 の二つのタイプが提案されており、その仕 様の概略及び三面図(A350-800)は次の通りである。 出典 エアバス社資料 A350 の概略仕様比較 A350-800 A350-900 全幅 60.3 m (197 ft 10 in) 60.3 m (197 ft 10 in) 全長 58.8 m (192 ft 11 in) 63.7 m (208 ft 10 in) 全高 17.4 m (57 ft 1 in) 17.4 m (57 ft 1 in) 胴体径 5.64 m (18 ft 6 in) 5.64 m (18 ft 6 in) 座席数(3 クラス) 245 285 航続距離 8,600 nm (16,000 km) 7,500 nm (13,900 km) 最大離陸重量 242,000 kg (533,500 lb) 242,000 kg (533,500 lb) 最大着陸重量 182,000 kg (401,200 lb) 189,000 kg (416,700 lb) 最大零燃料重量 170,000 kg (374,800 lb) 177,000 kg (390,200 lb)

燃料容量 139,100 litter (36,750 US gal) 139,100 litter (36,750 US gal) 床下貨物容量 6 Pallet+8 LD3+695 cft Bulk 6 Pallet+12 LD3+695 cft Bulk エンジン/推力 GEnx 72-A1/72,000 lb GEnx 72-A1/72,000 lb

(公財)航空機国際共同開発促進基金 【解説概要 16-4-1】

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出典 エアバス社資料 尚、現在 A350 の開発日程は、2006 年初めに詳細仕様を決定し、開発を進め、A350-800 を 2010 年 6 月頃、A350-900 を 2010 年第4四半期に初出荷する、と発表されている。 3 エアバス・ファミリー機での A350 の位置付け エアバスは、A350 を同じような座席数を持つ既存の A330・A340 ファミリー機と共存す る機材と定義し、A380 も含めたエアバス長距離機ファミリーを補完する新しいメンバーと してこの販売を促進している。(図-1) 出典 エアバス社資料

即ち、A350-800 は、A330-200 と同じ座席数で、A380 や A340-600 と同じ航続距離を持つ A350-800 3面図

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機体であり、A330-200 の航続性能を飛躍的に延ばしたものと位置付けられている。(図- 2)

出典 エアバス社資料

又、A350-900 は、A330-200 より一回り大きな A330-300 や A340-300 と同じサイズで、 A330-300 と A340-300 の中間に位置する航続距離を持つ機体として位置付けられている。 (図-3) 出典 エアバス社資料 このように、エアバスは、A330、A340、A350 を、 ・共通のシステムを持ち、 ・共通の地上設備・機器で運航でき、 ・同一のフライトデッキを持ち、 ・最新のフライバイワイヤーコントロールシステムにより、同一の操縦性を持たせた 一つのファミリー機種であるとし、“共通のパイロット/カーゴコンテナ・システムで、 図-2 A350-800 の位置付け 図-3 A350-900 の位置付け

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いかなるエアラインのいかなる要求にも応じる運航が可能な中型機ファミリー”をセール スポイントに掲げている。 一方、ボーイングは、B787 を“民間航空機の新しい世代を築く画期的な機体”と位置づ け、その新技術の革新さを強調して、現存のボーイング・ファミリー機との共存・共栄を 重要視しない市場戦略を採っている。このため、同一サイズの B767 については、給油機と しての将来が展望できない場合は、この生産を中止すると表明しており、又、B777 につい ては、大きなサイズ(B777-300)への移行と貨物機の導入による機材の多様化で、当面 B787 との共存を考えているように見受けられる。このサイズの違いによる B777 と B787 の市場 の住み分け戦術が、いくつかの主要エアラインが求めている B787 の大型化(B787-9 の開 発)を、ボーイングが積極的に進められない理由の一つと考えられる。 現在販売が好調な現存の A330・A340 との共存・共栄を表面に掲げて、A350 の販売を進 めようとするエアバスと、B767 や B777 の一部を犠牲にして、その技術的な革新さを強調 し“新しい世代の民間機のさきがけ”を掲げて、B787 を販売しようとするボーイングが繰 り広げる戦いは、今後益々熾烈なものとなろう。 4 A350 の新技術と特徴 エアバスは、A350 の A330 からの主な変更点として、次項を挙げている。 • 新しいエンジン(GEnx-72A1) • 新しいパイロン • 主翼(空力的な改良と複合材化) • 水平尾翼(空力的な改良、複合材化、構造様式の変更) • 最大離陸重量の増加に伴う変更 • 新材料の採用による重量軽減 出典 エアバス社資料

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4.1 空力上の特徴

空力的には、主翼および水平尾翼の空力形状の変更、エンジン変更に伴う主翼形状の変 更による高速性能の向上、A380 で採用された Droop Nose と呼ばれる翼根側スラットの採 用による離陸性能・騒音の改善、翼胴フェアリングの形状変更、胴体接合部の減少等によ る空力性能の改良などが計画されている。 4.2 構造上の特徴 構造的には、中央翼を含む主翼、水平尾翼およびキールビーム等の複合材化、胴体構造 を中心としたアルミリチューム材の大幅採用、A380 で採用された下部胴体でのレーザービ ーム溶接の採用、パイロンの完全チタニューム化などが計画されている。これらの新材料 の採用により、構造重量を約 8 トン軽減することが出来ると言われており、複合材の使用 比率も、A380 の 25%から、A350 では 30%台に増加するものと考えられる。 4.3 システム上の特徴 システム関係では、A330・A340 との共通性を最優先した設計が行われ、商用運航当初か らの定時運航率 99%の達成が目標として掲げられている。又、機体整備費の低減に大きな 設計努力が払われている。具体的には、AIRMAN(エアバス整備マニュアル)使用によるラ イン整備の簡素化、A340-600 や A380 と同じ Electro Pneumatic Bleed System の採用、燃 料システムの簡素化、空調系統での新しい Air Cycle Machine の採用、A380 と同じ最新技 術の外部照明機器の採用、APU の信頼性向上、カーゴ搭載装置の改良、構造部材の耐食性 向上、降着装置・ブレーキ等を中心とした整備点検期間の延長等が計画されている。 以上 KEIRIN この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。 この解説概要に対するアンケートにご協力ください。

参照

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