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放射線の人体に対する影響

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(1)

乃木坂RT2013

第2章 放射線治療の

適応・被ばく・防護など

国際医療福祉大学

放射線治療・核医学センター

北原 規

(2)

本日の講演内容

1.放射線の作用・適応・感受性

2.被爆・障害・防護に関して

3.胎児被ばく・医療被曝

4.日常生活と放射線・発がんのリスク

5.福島原発事故と過去の大量被ばくの実例

6.チェルノブイリ原発事故との比較

7.何を考え、これからどうすれば良いか?

8.終わりに

(3)
(4)
(5)
(6)

1‐2.放射線の感受性

1‐2)放射線の感受性

①正常組織の感受性

②腫瘍組織の感受性

(7)

DNAの障害からの回復は細胞の状態や

種類により異なる

細胞・組織の放射線による障害の

受けやすさを放射線感受性という

細胞を死滅させるのに必要な放射線量が

•多い →

放射線感受性が低い

•少ない →

〃 高い

(8)

Bergonie-Toribondeau

の法則

1.増殖の活発な細胞程放射線感受性が高い。

2.分裂過程の長い細胞程放射線感受性が高い。

3.機能的に未分化な細胞程放射線感受性が高い。

(9)

正常組織の放射線感受性

8 神経、脂肪、線維 低い 7 骨、筋肉 6 皮膚、角膜、肺、精子 5 小血管、唾液腺、口腔粘膜 4 胃、大腸、膀胱 3 小腸,幼児骨端、水晶体 2 骨髄、生殖腺 1 リンパ球,精原細胞 高い 組織 放射線感受性

(10)
(11)

2.被爆・障害・防護に関して

2‐1・放射線障害

放射線障害の分類

(臨床医学の視点より)

身体的影響 遺伝的影響 早期効果(急性障害) 晩発効果(晩発障害) 組織への局所的影響 悪性腫瘍の発生 寿命の短縮(加齢現 象) 胎児への影響

(12)

2‐1・放射線障害の分類

(防護・管理の視点より)

影響の種類 確率的影響 確定的影響 (非確率的影響) 障害の種類 発癌,遺伝的影響 上記以外のもの しきい線量 なし あり 線量効果関係 発生確率(頻度)の増加 重症度の増加

(13)

放射線の人体への急性効果と晩発効果

確定的影響 確率的影響

(14)

確率的影響

放射線による影響の起こる確率が線量の関数と

なっていて、しきい線量が存在しないと仮定され

ている影響。確率的影響としては、がんと遺伝的

影響がある。

確率的影響については、放射線防護上は、

低い被曝線量の範囲内では線量と影響の起こる

確率の間に比例関係が存在すると仮定している。

(15)

確定的影響

放射線による重篤度が線量の大きさとともに増し、 影響の現れないしきい線量が存在すると考えられている影響を いう。 しきい線量を超えた場合に影響が現れ、線量の増加とともに影響 の発生確率が急激に増加し、影響の程度すなわち重篤度も増加 する。ある線量に達すると被ばくしたすべての人に影響が現れる。 がんおよび遺伝的影響以外の影響はすべてこれに区分され、 例えば、皮膚障害、白内障、組織障害、個体死等がある。

(16)

放射線の影響:急性影響と慢性影響

被ばく量(mSv) 症状 100以下 医学的検査で症候が認められない 250 白血球が一時的減少 1,000 吐気、嘔吐、全身倦怠 2,000 5%の人が死亡 4,000 30日以内に50%の人が死亡 6,000 2週間以内に90%の人が死亡 7,000 100%の人が死亡

(17)

各臓器における放射線障害

急性障害 晩期障害 全身 放射線宿酔 発癌 成長発育害 造血器 白血球減少 白血病 悪性貧血 皮膚 紅斑、脱毛、水泡 萎縮、潰瘍、皮癌 眼 結膜炎、角膜炎 白内障 中枢神経 浮腫、脳圧亢進 壊死、放射線脊髄症 呼吸器 放射線肺炎 肺繊維症 消化器 口内炎、食道炎、腸炎 潰瘍、穿孔 泌尿器 膀胱炎、腎炎 膀胱萎縮 生殖器 精子・卵子形成障害 不妊

(18)
(19)

外部被曝

放射線の種類:X線、Ȗ線、ȕ線(飛程は短い)

被曝防止の3原則

①時間:比例

②距離:2乗に反比例(手で直接持つこと

は避ける)

③遮蔽:防護エプロン

鉛ガラス(

Ȗ線、X線)

アクリル衝立(

ȕ線)

コールドラン(RIを用いない予備実験)

作業時間の短縮化

(20)

放射線外部被ばく防護の

3

原則

放射線の通り抜 けを防止(遮蔽) 放射線からできるだ け離れる(距離) 放射線にあたる時 間を短く(時間) 遮蔽 距離 時間

(21)

内部被曝

1)内部被ばくとは、生体内に取り込まれた放射性

物質による照射のことを示す。

2)体内に入る経路は、呼吸、経口、皮膚の3通り

3)内部被ばくでは、

Į線やȕ線は放出された線源の

近傍でエネルギーを失うため、体内に取り込まれた

線源が存在している器官や組織に集中的に線量を

与える。また、体内の線源から放出されたȖ線は、

線源が存在する器官、組織以外にも被ばくを与える。

(22)
(23)

放射性核種の半減期と

体内からの除去の速さ

放射性核種の壊変は指数関数で表される。一方、体内にとり 込まれた(吸収された)物質(安定元素)が体内組織から代謝 あるいは排泄によって除去されるときも、その物質の量は ほぼ指数関数的に減少して行く。 このような生物学的過程によって物質がはじめの 1/2に なるまでの時間を生物学的半減期という。 体内の放射性核種は、核種自身の壊変とこの生物学的過程 によって減衰するので、その半減期を実効半減期という。

(24)
(25)
(26)

内部被ばく(摂取)による実効線量算定のための年齢補正係数 (ICRP Publication 72経口摂取における線量係数(70歳に到達するまでに受ける線量)から算定) 緊急時に考慮すべき放射性核種に対する実効線量係数(ICRP  Publ.72) 核種 半減期 経口摂取(Sv/Bq) 吸入摂取(Sv/Bq) I-­129 1570万年 1.1 10-­7 3.6 10-­8 I-­131 8.04日 2.2 10-­8 7.4 10-­9 I-­133 20.8時間 4.3 10-­9 1.5 10-­9 Cs-­134 2.06年 1.9 10-­8 2.0 10-­8 Cs-­136 13.1日 3.0 10-­9 2.8 10-­9 Cs-­137 30.0年 1.3 10-­8 3.9 10-­8 内部被ばくに関する線量換算係数 実効線量係数を用いた内部被ばく線量評価 預託実効線量mSv=摂取量Bq 実効線量係数mSv/Bq 物理学的 半減期 1歳 5歳 10歳 15歳 成人 核種 (1-­2歳) (2-­7歳) (7-­12歳) (12-­17歳) (17歳以上) I-­131 8.04 日 8.2 4.5 2.4 1.5 1 Cs-­137 30.0 年 0.9 0.7 0.8 1 1

(27)

2. 実測値の他に推定値(米)を使用した線量推計 (1)平成23年3月∼6月20日までの中央値濃度の食品(米は推計値)を一年間あるいは妊娠期間中摂取した場合の推計(mSv/年) 全年齢 妊婦 小児 胎児 乳児(母乳摂取のみ) 年間合計 0.111 0.072 0.118 0.039 0.024 *米の中央値は白米を摂取すると仮定し7.7Bq/kgとした。 *胎児と妊婦は妊娠期間中(9ヶ月間)の推計値。 (3)平成23年3月∼6月20日までの中央値濃度の食品を一年間あるいは妊娠期間中摂取した場合の推計(mSv) 全年齢 妊婦* 集団の特性別 小児 胎児* 乳児(母乳摂取のみ) 年間合計 0.096 0.064 0.106 0.036 0.022 (2)7月以降は6月と同じ状況であると仮定した場合の中央値濃度による平成24年2月までの推計線量(mSv) 全年齢 集団の特性別 妊婦* 小児 胎児* 乳児(母乳摂取のみ) 年間合計 0.106 0.07 0.137 0.063 0.044 *胎児と妊婦は妊娠期間中(9ヶ月間)の推計値。 1.実測値に基づく預託実効線量推計 (1)平成23年3月∼6月の4ヶ月の実測値の中央値濃度による線量推計(mSv) 摂取期間 全年齢 集団の特性別 妊婦* 小児 胎児* 乳児(母乳摂取のみ) 3月 0.011 0.01 0.034 0.022 0.019 4月 0.007 0.006 0.014 0.007 0.005 5月 0.007 0.006 0.008 0.004 0.002 6月 0.009 0.008 0.009 0.005 0.002 計 0.034 0.03 0.065 0.038 0.029 *胎児と妊婦は妊娠期間中(9ヶ月間)の推計値。 *小児:1歳∼6歳 *妊婦の食品の摂取量(代表値)は、全年齢集団に比べ少ないので線量が小さくなっている。

(28)

預託実行線量(1)

体内に摂取された放射性核種の壊変によって体内の組織や臓器が照射 される内部被ばくの場合、それら組織や臓器への線量の与えられ方は、 時間の経過とともに変化することになります。線量率のこの時間的変化は、 放射性核種の種類、物理的・化学的形態、摂取の仕方、及び核種が取り込 まれる組織や臓器に依存します。 内部被ばくの場合は、 放射性核種の代謝や排泄の速度をコントロールでき ないのが普通であり、従って、摂取したときにその後の線量率分布及びその 時間積分値である線量は決まってしまうと考えられます。組織や臓器Tの受 ける預託等価線量H(IJ,T)は、次の数式で表すことができます。 H(IJ,T)=œh(t)dt ただし、時間についての積分は、t0からt0+IJまでとします。 上式において、h(t)は組織や臓器Tの摂取後の時間tにおける線量率であり IJの値は、職業被ばく及び公衆の成人に対しては50年、子供や乳幼児に 対しては摂取から70歳までの期間をとります。

(29)

29

(30)
(31)

預託実行線量(2)

放射性物質の組織や臓器中の実効半減期(放射核種の体内からの 排出とその核種自体の減衰の両方を考慮した半減期)の長いものと 短いものについて、上式のh(t)を例示したものが図1です。 預託実効線量E(IJ)は、放射性物質の体内摂取から受ける組織や 臓器Tの等価線量にその組織や臓器の組織荷重係数W(T)を乗じて 加え合わせたもので、次の数式で示すことができます。 E(IJ)=ȈW(T)・H(IJ,T) ただし、合計は全身の組織や臓器Tについて行なうものとします。

(32)

預託実行線量(3)

しかしながら、放射性物質が体内に摂取され、体内の組織や臓器に沈着した場合、 組織や臓器の受ける線量を算出することは容易ではありません。 それは、この内部被ばく線量を算出するために、体内の組織や臓器に沈着している 放射性物質の量を測定する必要があり、しかもその量の時間的変化を追跡しなけれ ばならないからです。 このため、内部被ばくの場合は、人が摂取した放射性物質の量と、人体の組織や 臓器が受ける線量の大きさとの関係を算出しておくことにより、摂取した放射性物質 の量を基準にして人の被ばく量を算出する方法がとられています。 放射性核種1Bqとそれを急性摂取(1回摂取ともいう)したときの預託実効線量(mSv) との比を実効線量係数(単位mSv/Bq)といい(表1)、預託実効線量の計算に用います。 預託実効線量は、この実効線量係数を用いて以下の式にて算出します。 預託実効線量(mSv) = 実効線量係数(mSv/Bq) 年間の核種摂取量(Bq) 市場希釈 係数 調理等による減少補正年間の核種摂取量(Bq) = 環境試料中の年間平均核種 濃度 その飲食物等の年間摂取量 ※市場希釈係数と調理等による減少補正は必要があれば行います。

(33)

ベクレル

ĺ

シーベルトの換算

例えばホウレンソウ

1kgにヨウ素131が2000ベクレル(Bq)

あるとする。

これを 2000 Bq/kg と表す。

これに放射性核種に対する実効線量係数(下表参照)を

用いてベクレルをシーベルトに換算する。

ベクレルの値にヨウ素131の実効線量係数(経口摂取の

場合) 2.2 10-8 をかける。

2000 Bq/kg 2.2 10-8 Sv/Bq = 0.000044 Sv/kg

換算ツール

http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON

(34)

3‐1.胎内被曝

胎児は特に放射線感受性が高い(成人の2∼5倍). 妊娠初期の不注意な被曝を避けることが重要である. 10 days rule:妊娠可能な女性のX線検査は月経開始後10日以内 に行う.(現在は用いられていない。) 胎児被曝の影響 ①着床前期(受精後9日まで) 着床不能(流産):しきい線量0.05∼0.1Gy 生き残った胚は正常に発育(all or none) ②器官形成期(受精後2∼8週) 奇形(脳(小頭症)と骨格系が多い)の発生→しきい線量0.1Gy 胎芽死亡(着床前期よりは発生率は低い) ③胎児期(受精8週以降) 精神発達遅滞→しきい線量0.1∼0.2Gy(線量とIQ低下は 直線関係)(特に8∼15週で発生率が高い) 発育不全(脳や骨格系が多い) 悪性腫瘍の発生(50%は白血病)→発生率10∼15%/Sv (成人の2∼3倍) (器官形成期、胎児期とも起こる)

(35)
(36)

着床前期の障害

‡

着床前期(受精∼9日)に被ばくした場合には、

1)胚が死亡して、本人が自覚することなしに流

産する。

2)発育遅延や奇形を生じることなく正常な新生

児が生れる。

ĺヒトの場合出生率の低下

‡

胚の死亡増加が認められるのはネズミで妊娠

1日目にX線

0.1‐0.15Gyという報告があるが、

ヒトで証明することは困難。

(37)

器官形成期の障害

‡

器官形成期(受精後2‐8週)は、着床から四

肢ができるまでの期間。胎児の放射線被曝に

よる奇形発生に対して感受性が高い時期

‡ 致死効果

:器官形成期でも早期では致死効果

がみられ、胚は死滅し、吸収されるが、週数

が進むにつれ致死効果はみられにくくなる。

‡ 成長抑制

:この時期の被曝で胎児の成長と出

生後の成長と抑制が観察される。

(38)
(39)

胎児期の障害

致死効果:ヒトでは

360cGyの被曝で流産、マウス

では被曝により出生前あるいは出生後の死亡が

みられ、

LD

50

値は胎齢が進むにつれ増加する。

成長障害:身長の抑制、頭囲低下,胸囲抑制など

奇形:巨視的な奇形は誘発されない

発癌:被曝した成人同様に癌が誘発。

300∼800 10

‐6

cGy

-1

(40)

3‐2.医療被ばく

患者さんの診療のために放射線を使用すること 患者さんに利益があること •病気の診断 •がんの放射線治療 患者さんに被ばくがある (医療被ばく) 医療被ばくには線量限度がない 患者さんへの放射線の使用は 患者さんへの利益の大きさが 医療被ばくによる影響の大きさよりも 十分に大きいと考えられる時に 行われる

(41)

診断

放射線診断

• 外からの放射線 • 内からの放射線:核医学診断(アイソトープ検査)

治療

放射線治療

• 外からの放射線(外照射) • 内からの放射線(内照射) ‒ 腔内、線源治療 ‒ 核医学治療(内照射療法)

医療で用いる放射線

(42)

医療被ばく mSv 20 20 従事者年間線量限度 10 上部消化管検査 8.5 注腸検査 8.0 腹部CT検査 7.5 PET検査 5.0 5 2.4 自然放射線による被曝 乳房検査 2.0 腰椎撮影 1.5 1 1 一般公衆年間線量限度 胃のX線検診 0.6 0.5 0.5 宇宙ステーション1日滞在 0.1 0.1 東京-ニューヨーク(片道) 胸部X線検査 0.05

(43)

医療被ばく mSv 20 20 従事者年間線量限度 10 上部消化管検査 8.5 注腸検査 8.0 腹部CT検査 7.5 PET検査 5.0 5 2.4 自然放射線による被曝 乳房検査 2.0 腰椎撮影 1.5 1 1 一般公衆年間線量限度 胃のX線検診 0.6 0.5 0.5 宇宙ステーション1日滞在 0.1 0.1 東京-ニューヨーク(片道) 胸部X線検査 0.05 胸部X線撮影:0.05 mSv

(44)

医療被ばく mSv 20 20 従事者年間線量限度 10 上部消化管検査 8.5 注腸検査 8.0 腹部CT検査 7.5 PET検査 5.0 5 2.4 自然放射線による被曝 乳房検査 2.0 腰椎撮影 1.5 1 1 一般公衆年間線量限度 胃のX線検診 0.6 0.5 0.5 宇宙ステーション1日滞在 0.1 0.1 東京-ニューヨーク(片道) 胸部X線検査 0.05 胃のX線検査: 検診:0.6 mSv 精密検査:8.5 mSv

(45)

医療被ばく mSv 20 20 従事者年間線量限度 10 上部消化管検査 8.5 注腸検査 8.0 腹部CT検査 7.5 PET検査 5.0 5 2.4 自然放射線による被曝 乳房検査 2.0 腰椎撮影 1.5 1 1 一般公衆年間線量限度 胃のX線検診 0.6 0.5 0.5 宇宙ステーション1日滞在 0.1 0.1 東京-ニューヨーク(片道) 胸部X線検査 0.05

腹部CT:7.5 mSv

(46)

医療被ばく mSv 20 20 従事者年間線量限度 10 上部消化管検査 8.5 注腸検査 8.0 腹部CT検査 7.5 PET検査 5.0 5 2.4 自然放射線による被曝 乳房検査 2.0 腰椎撮影 1.5 1 1 一般公衆年間線量限度 胃のX線検診 0.6 0.5 0.5 宇宙ステーション1日滞在 0.1 0.1 東京-ニューヨーク(片道) 胸部X線検査 0.05

(47)

医療被ばくの軽減

可能な限り、X線を使わない検査に置き換える

9 脳CT → MRI 9 胃バリウム検査 → 胃カメラ 9 注腸検査 → 大腸内視鏡 9 腹部(肝・胆・膵など)CT → 超音波検査 9 骨盤部(子宮、卵巣など)CT → 超音波検査、MRI

妊婦、或いは、妊娠可能な女性は極力避ける

胎児奇形発生のしきい線量=100mSv

小児、乳幼児は、特に、放射線防護に注意する

小児、乳幼児の生殖腺は放射線感受性が高い

(48)
(49)
(50)

50 2014/9/30

(51)

51 2014/9/30 中国(陽江)3.5 ガラパリ(ブラジル)5.5 ケララ(インド)3.8 ラムサール(イラン)10.2 日本 0.43mSv/y

世界の大地自然放射線

(世界平均0.5mSv/y)

(52)

137

Csの降下量の経年変化

大気圏内核実験   スリーマイル島  

(53)

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/study_round.html

花崗岩

ウラン、トリウム、ラジウム

イメージングプレートで2日間撮影

(54)
(55)
(56)
(57)

4‐2・放射線による発癌

1.潜伏期:白血病は3∼40年(被曝線量が多いほど潜伏期間は 短縮)その他の癌は10∼15年以上(潜伏期間に線量依存性なし) 2.被曝時年齢が若いほどリスクが高い(特に10歳以下) 3.線量率効果:1回急性被曝よりも低線量率長期被曝の方が リスクは低い(1/2になる) 4.局所高線量被曝(2∼20Gy)で特にリスクが高い。 5.放射線による発癌が明らかで,その確率が高い腫瘍: 白血病,乳癌(女性),甲状腺癌,肺癌 6.放射線発癌による生涯死亡確率: 1Gyの急性全身被曝→12.0%(国連科学委員会 1994年) 0.1Svの急性全身被曝→0.8%(米国科学アカデミー 1989年) 一生涯に毎年1mSv被曝→0.6%( 〃 )

(58)
(59)
(60)

放射線による発がんの潜伏期

最小潜伏期 潜伏期の中間値

白血病

約2年 約8年

固形癌

平均 10年 16∼24年

(61)
(62)
(63)

63

(64)
(65)
(66)
(67)
(68)

19  -­‐  91   9.5  ʹ  19   3.8-­‐9.5   1.9-­‐3.8   1.0  ʹ  1.9   <  1.0   No  Data   1F  NPP     80km   60km   30km   20km   福島第一原子力発電所周囲の空間線量率の分布 Source: MEXT 地上1mでの 線量率(ȝ6YKU

(69)

住民の避難経路・時期 に関する聞き取り調査 3月12日午前10時 避難開始 3月12日午前11時避難完了

被ばく線量の算定

福島第一原発周辺の 線量率の時間変化に 関する情報

住民の被ばく線量

(70)
(71)
(72)
(73)
(74)

内山正史:「ホールボディカウンティグと日本人の放射性セシウムによる内部被曝線量」 放射線科学 34(6):169-­170,1991 1986年以降のデータはセシウム-­137とセシウム-­134との和である。チェルノブイリ事故(1986年)の影響で1987年のセシウム -­137の体内量は再び増加した。 日本人成人男子の体内の137Cs 1.7 Ǎ6Y 1.3 Ǎ6Y 積算被曝線量Ǎ6Y年 積算被曝線量Ǎ6Y年 年月 体内量(Bq) 体内被曝線量(ǍSv) 放射性 K40 1964 130 200 1990 120 170

(75)

75

‡

セシウムの場合はKと同じような生体内動態で筋

肉への集積が問題となる。

‡

セシウムの半減期は

30年と長いが生体内での生

物学的半減期は

100日程度と短い。

‡

チェルノブイリではセシウム被曝での発癌の報告

はない。

‡

昨年末に偶然セシウムの内部除染剤が発売され

た。

ĺラディオガルターゼ (メジフィジックス)

セシウム

137

被曝は怖いのか?

(76)
(77)
(78)
(79)
(80)
(81)
(82)
(83)
(84)
(85)
(86)
(87)
(88)
(89)
(90)
(91)
(92)
(93)
(94)

94

 

 

チェルノブイリ原発事故での放射線恐怖症

 

•ノルウェー :3ヶ月後、妊娠率が減少した •デンマーク :法律上の流産が増加した •イタリア :5ヶ月後、人工流産が増加した (20 ∼52/日) •スエーデン :合法的な堕胎が増え、事故後の妊娠率が減少 ヨーロッパにおける低線量の放射線による新生児の先天異常 は、ほとんど認められなかった。しかし、不安と恐怖は次の ことをもたらした。 • 旧ソ連邦だけでなく、欧州各国で堕胎が増加 • 四半期の出生数が事故後急激に減少 • 放射線に対する過剰不安が国民を不合理的な健康行動に走 らせた

(95)
(96)
(97)
(98)
(99)
(100)

100

放射線除染

‡

身体表面被曝、創傷汚染、内部被曝では除染が

必要な場合がある。

‡

今回の災害での外部除染基準

±

GIサーベイメータで

13000CPM ĺ10.0000CPM

‡

内部被曝の除染基準

±

自衛隊でのスクリーニング基準(次ページ)

±

英国健康保護局(

Health Protection Agency: HPA)

‡ 137-Csの内部被曝は30mSvでは利益無し。300mSvでは

(101)

101

内部被曝の対応

‡

内部被曝の測定法

±

鼻腔スメア

±

WBC(ホールボディーカウンター)

±

バイオアッセイ(排泄物から計測)

‡

BqからSvへの換算

±

核種が確定できたら実効線量係数から求める

‡

除染は専門家に任せる

±

放医研に後送が原則

(102)

102

‡

内部除染は汚染源の特定が重要(汚染のルート)

±

気道からの吸入

鼻腔スメアの約40倍が内部汚染の目安

±

経口摂取

±

創傷汚染

‡

内部除染は放射線核種により手技が多種

±

キレート剤

±

胃洗浄

±

下剤、利尿剤

±

阻害剤

±

その他

(103)

食の安全性

3月17日 食品の暫定規制値を設定 緊急時の対応として、 放射性ヨウ素(I) 実効線量 2mSv/年 放射線セシウム(Cs) 実効線量 5mSv/年 (ICRP等の緊急時対応に関する見解に準拠している) 7月26日 食品安全委員会 「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価(案)」 生涯における追加累積実効線量で100mSv以上で健康影響 小児ではより放射線の影響を受けやすい可能性

(104)

104

報道で問題となった水と野菜、さらに

魚の被曝は?

„

3/23:金町浄水場で210Bqのヨウ素131検出

…

乳児摂取基準は

100Bq以下

„

3/20:茨城のほうれん草から15000Bqのヨウ素

131が検出された。

…

野菜の基準値は

2000Bq/Kg以下

„

4/10:コウナゴ(魚)から570Bqのセシウム137が

検出された。

…

魚の基準値は

500Bq/Kg以下

(105)

報道で問題となった水と野菜、さらに

肉の被曝は?

„

3/23:金町浄水場で210Bqのヨウ素131検出

… 乳児摂取基準は100Bq以下 „

3/20:茨城のほうれん草から15000Bqのヨウ素131が

検出された。

… 野菜の基準値は2000Bq/Kg以下 „

7/8:福島県産の牛肉からセシウム137が1Kgあたり

2300Bq検出された

… 肉の基準値は500Bq/Kg以下

(106)

106

金町浄水場で

210Bqの

131

I 検出

„

210Bq/Lの

131

I

…

Svに換算すると約

ȝ6Y/

…

例え

210Bq被曝の水だとしても

22㌧

を飲まなけ

れば

100mSvの被曝には達しない

„

しかし乳児であれば

…

短期間に

430L飲めば甲状腺の発癌リスク

20mSvに達する可能性がある。

…

その理由は?

(107)

107

乳児は成人よりリスクが大きい

„

実効線量係数は年令によっても異なる。

… 乳児は成人の約10倍(131Iの場合) „

報道にあったヨウ素

210Bqなら

… 成人であれば4.3㌧飲めば20mSvの被曝に達する … 乳児はその1/10で430Lで20mSvに達する可能性がある „

この数値はあり得る被曝?

… 原子力安全委員会は乳児の1日摂取水分量は710ml/日と想定 … ヨウ素の半減期8日を考慮すればまずあり得ない。

(108)

108

報道で問題となった水と野菜、さらに

魚の被曝は?

„

3/20:茨城のほうれん草から15000Bqのヨウ

素131が検出された。

…

100mSv被曝するには

303Kg

のほうれん草を短

期間に摂取しなければならない

„

4/10:コウナゴ(魚)から570Bqのセシウム

137が検出された。

…

100mSv被曝するには

13㌧

の魚を摂取しなけれ

ばならない

(109)

乳児では本当に危険?

„

実効線量係数は年令によっても異なる。

…

乳児は成人の約8倍

„

報道にあったヨウ素210Bqなら

530L

飲めば発癌リ

スクが高くなる。

„

この数値は100%あり得ない被曝?

…

ヨウ素の半減期8日を考慮すればまずあり得ない。

(110)

茨城のほうれん草から

15000Bqの

131

Iが検出

„

成人の発癌や胎児被曝

100mSv

が問題

…

15000Bqĺ0.33mSv/Kgとなる

…

100mSv被曝するには

303Kg

のほうれん草を短期間

に摂取しなければならない

„

乳児は?

…

短期間に7.4Kgのほうれん草摂取すれば

20mSv

の被

曝になる。

…

乳児に大量のほうれん草を食べさせるか?

(111)

111

福島原発関連記事から

1.

職業被曝限度が

100mSvから250mSvに引き上げ

られた根拠は?

2.

ヨードK内服は必要か?

3.

被曝した水や野菜、魚は危険か?

4.

屋外活動する子供の被曝限度

20mSvの根拠は?

(112)

112 „

線量限度は、規制当局が定め、計画被ばくや緊急

ひばく状況の作業者や公衆に対して適用

„

緊急時被ばく状況の公衆被ばくは

状況に応じて

20∼100mSv以下

…

この数値の最下限を採用すると

20mSv

„

事故後の復旧段階の

現存被曝は

1∼20mSv以下

…

この数値の最大値を採用すると

20mSv

ICRP pub103 (2007)

(113)

役に立つホームページ

日本医学放射線学会

http://www.radiology.jp/

放射線医学総合研究所

http://www.nirs.go.jp/index.shtml

日本原子力学会

http://www.aesj.or.jp/

農林水産省

http://www.maff.go.jp/noutiku_eikyo/

小児内分泌学会(

http://jspe.umin.jp/

)

日本アイソトープ協会

http://www.jrias.or.jp/index.cfm/1,14676,3,html

緊急医療被曝ポケットブック

http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/index.html

食品安全委員会

http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_201

10316.pdf

(114)

謝辞

正木 英一 先生

国立成育医療研究センター 放射線診療部部長

横谷 進 先生

国立成育医療研究センター 生体防御系内科部長

荒木 尚子 先生

国立成育医療研究センター

母性医療診療部 代謝内分泌内科 科長

直居 豊

自衛隊中央病院 放射線科部長

以上の先生より情報・資料をご提供頂きました。

心よりお礼申し上げます。

参照

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