理 学 療 法 学 第15巻 第2号 100
〜104
頁 (1988年)神
経 生 理
学
的
ア プロー
チ の有
効
性
成
人
片 麻痺
に
対
す
る
ボ
バー
ス法
の
検
討
*中
山
彰
一
* * 要 旨 成 人片麻痺の治療で圧倒 的支 持の もと に普 及し た Bobath 法に対して,
近年その有効「生に つ い て の 懐 疑的見解が 示 さ れ てきてい る。Bobath
法の有効性につ い ては学 問 的 側 面,
治 療 者 と患 者 側 面,
教 育 的側面な ど から再 検 討を計る と 共に困難性はあろ うが,
他 法との比較 対 照 試 験に よる有 効 性の実 証 も要し よう。 また,
欧米におい ては,
本 邦と は医療・
経 済・
社 会シ ス テム の相 違 もあろ うが以 前より,
さ ま ざまな 議 論が な されて いる。 以 上 の観点より文献的考察を中心に Bobath 法の見解につい て総括 する。 キー
ワー
ド 成 人 片麻痺, ボバー
ス 法,
伝統的治療法1
は じ め に 我 国に おける成人片 麻 輝の治療に ボバー
ス法 (神 経 発 達 的 治 療 法,
NDT )が導入される や いなや,
ま さに理学 療 法士独 自の専 門 性の頂 点 を象 徴 するが如 く, 圧 倒 的支 持の もとで普 及し て きた と言 えよ う。
し か しなが ら,
麻 痺肢の機 能回復,
能 力 障害,
社 会 的不 利そ し てQOL
の 観 点か ら ボバー
ス法の有 効性と信頼性,
普遍性に対 する 疑閥 も投 げかけ られ.
殊に“
い わ ゆ るファ シ リ テー
シ ョ ン・
テ ク= ッ ク批判”
と題した 三好D〕 論文は真に衝撃 的 であっ た。
ま た,
上田2β)や大 川4)もボパー
ス法につ い て の聞題点を 厳 し く批 評 し て いる。
こ の よ うに, は からずも我々PT
自身か ら湧 きで て議 論し合わ な け れば なら ない重 要な 点に もか か わらず,
処 方す る 医師側 か ら問わ れ な け れば問 題 意 識 が 生 ま れ ない こ とは大 変残念であると 言わ ざるを え ない。
し か し,
現 在まで全て の PT に問 題 意 識がなか っ た訳ではない の で あり,
懐 疑 的 観 点か ら学問的議 論の展 開 を計っ てい こう とい う気 運があっ て も,
どうもそ れができない風 潮が強 か っ た の も事 実であろう。
で は,
な ぜこ のような風 潮が浸透し て し まっ たのだ ろ うか,
そ れ は 肯 定派,
否定派そし て中 間派のそ れぞれの 学 閥 的,
臨 床 的観 点上の相 違は勿 論であろ うが,
ど う も* Discussion of the Bobath approach for adult hemiplegia * * 九 州 リハ ビ リ
テ
ー
シ ョ ン大学 校Akikazu Nakayama
,
RPT :Kyushu College of Reha−
biiitatien
,
Physical Therapy Department根 底に 日本 人 的感 情 論 や 建 設 的議 論の展 開が苦 手とい う よ うな国民性 も背 景にあるよ うな気がし てな らない
。
も っ とお互いが大局的に据 えて検討 し直 すこ とが 是非 共必 要である と考 える。
また片 麻 痺に対 する ボバー
ス法や他の神 経 生 理 学 的手 技の有効性と問題点が指 摘された か らと い っ て,
浹して 理 学 療 法の専 門 性 と将 来 性 を 閉 ざす もの で はない。
む し ろ不 可 解,
未 解 明 な 部 分が多い ことが発想,
発 展の資 源 の宝 庫である と も 言 え, 挑 戦してい くこ との意 義も 大き く, 建 設 的努 力と方向性が得られ る もの と確信 するの で ある。
そして,
異 論・
反 論があっ て こそ 真の学 問 的 発 展 も得 られる と考え る。
以 上の観 点よ り, 今回 は未 熱な筆 者が感じて い るボ パー
ス法の問題 点と医療,
経 済,
社会シス テ ムの相違はあ ろ うが,
諸 外 国の動 向を 含め た 問題 提 起 をし てみ たい。
H
ボバ
ー
ス法の問 題点
筆 者 自身の感じ ている問題 点につ い て,
適切でないか も し れないが 便 宜上,
以下の分 類に従っ て概 略を述べ る。
1) 学 朋的側薗 片麻痺の回復と経過につ い て は損 傷 部 位と拡さに基 づ ぎ,
ま た自然治癒の程度と発症か ら リハ 治療開始ま での 期 間や内 容な ど,
数 多 くの因子に よ り影 響を受 けるa と は言う ま で も ない。
そこで,
ボバー
ス の片麻痺の神経・
運 動 機 能の 病 態 像の 据え方につ い ては,
神 経 生理学,
運 動発 達と動作学 的面か ら も, その 理論体 系が投げ かけた 功績は 認め られよ う。
しか し,
誤りや疑問点 もない訳でJapanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service Japanese Physioal Therapy Assooiation
成 人片 麻 痺に対 する ボパ
ー
ス 法の検 討1CI
はない。
更に麻 痺その もの の回復につ いて は,
現実 的に 「片 麻 痺は麻 痺と痙 姓と共に生 き る 」 と 言 わ れる如 く,
い かにボバー
ス 法と 言 え ども他 法 同 様に限 界 が あること は 間 違いない の で ある。
また,
痙 性 抑 制と正常パ ター
ンを促 通させ る ための 長 期 間の 治 療を し ても, それが ADL や機能動 作の中で 実 際 的,
有 効に適 応で きなけ れば,
っ ま り Disability,
Handicap , ひい て はQOL
の中で の 意 義が獲得さ れ な け れぽ治 療 者の自 己 満 足に終 りかねない。 ま し て や, そ の効 果の持 続性とfollow
up がな さ れ な け れ ばなら な いが,
その点 も不 明 確でも ある。 こ とに片 麻 痺のPT
の中心的手 段とし て浸 透し た現 在,
い く ら他法 との 比較対 照が難し い と は言え,
そ の有 効 性 を示 すた めのデー
タ も公 表さ れて いない限りは疑 問 視せ ざ る を得ないであ ろ う。
2) 治 療 者 側 面 ボパー
ス法の 肯 定 派,
否 定 派,
中 間派と してそ れ ぞ れ の見解の も とで対 応 する際,
施 設に よっ て は様々な混 乱 が 生じ るこ とも現実である。
例 えば処 方 する Dr.
やPT,
OT ,
ナー
ス,
ST そ し て患 者とその家 族 まで含め,
治 療 ゴー
ル設 定,
治 療内容や治療 期 間 とプラトー
との関 係 な どがチー
ム 間で の ギャ ッ プ となる ことは大 きな問 題であ る。
ま た,PT
ス タ ッ フ と患 者 数の関 係か ら施 設に よっ て は,
疑問 視され る方法を長 時 間,
長 期に渡 り実 施 する こ と は不 可 能な点も多い の であ り,
ひい て は コ ス ト の面 な ど も関 連して くる の で ある。
3) 患者側面従来 か らPT と 患 者の 両 者 共に片麻 痺の 理 学療法は徒 手的治 療手 技が支 配 的とい う風潮が強い
。
殊に患 者 側か らすれば, 当然麻痺側の 徒手 的 手 技 中 心に長時間 施行し て も ら うことを 要 求,
希望 するこ とは当然であろ う。
こ の た め,
例 えぽ患 者 同 志の関係か ら, 伝 統的治療中 心 と し た 担当PT の方 法に不 満を抱き,
上 司に受 持 変 更を要 望 する患 者がで て くる な どの問題 が現実に起こっ て くる の で ある。
勿 論,
患者 治 療におい て は親 切 な 態 度で望 む こ とは当然であるが,
麻 痺 側へ の徒手的繊細 な方 法が最 良で あるとは言 え ず,
患 者に一
時 的な感 動 的喜びの場 面 をい く ら与え ても機能 的,
実際 的に麻 痺 肢が使え なけれ ば解決で きず,
む し ろ障 害 受 容を含めた大き な問 題を残 して しまうこ とに もな り か ね ない。
こ の よ うに患 者か ら み たPT
や障 害 受 容の問 題は,
むしろ治 療者側 がその よ うな風潮を作 り上げて しまっ た点 も多い こ と を反 省 すべ きであろ う。 お り しも薬づ け医療か らリ ハ ビ リづ け医 療,
そ して徒手 療 法づけ 医療な ど と陰口を た たかれない よ う に,
幅 広い対 応で望んでい くべ ぎと考え る 。 4) 教 育 的 側 面 今 後 有 能なる後 輩が育っ てい くため の 教育現 場で は,
大 きな 問 題である。 指 導 教 官, 臨床実習指導者,
学 生 自 身 を 含め てその 指 導 体 系に混 乱を 生 じ て お り,
ま た国 家 試 験の 問題内 容に ま で も波 及し て い ること も事実で無 視 できない。
今後は,
ボバー
ス 法の適 応と限 界, そ して 問 題 点を も 認識し た上での教育現場で の対 応が必 要とな ろ うD 皿ファ シ リ テ
ー
シ ョン・
テ ク :’
vク に対す る欧 米の動 向 我 国 同 様に欧 米に お い て も,
神経 生 理学 的手技の効 果 につ い て議論さ れて ぎた。
Dickstein ら5) は 131 名の片 麻 痺に伝 統 的 治 療 群 (57名 ),PNF
群 (36名 )と ボバー
ス法 (38
名) を6週 間実 施しBarthel
Index,
筋トー
ン.
ROM と筋力, 歩行 機能な ど を評価し,
その有 効 性を比 較し た。
結 果は伝統的治療 法よ リボ バー
ス法,PNF 法が 優れてい る と はいえ ない と否 定的結果 を 示 し て い る。
本 報 告は治 療 期 間 が短い こ と や,
多数の 要因 が片 麻 獅に は 関 与 す るため の問 題 点 もあろうが,
困難な比較対照を試 み てい る点で優 秀な評価に値し よ う。
また,
同 著者崢} は ボパー
スの反 射 抑 制パ ター
ン が,
異 常な 筋トー
ン を抑 制・
減 少させ るか につ いて27名の片麻痺を筋 電 図学 的に 検討し て い るが,
RIP と患側 筋 卜一
ン の 減 少につ い て の相 関はな く疑 問 視された とも報 告してい る。
Logigian
ら7〕はNDT
が 導 入されて20
年近く経 過し た現 在, 全く とい っ て よい ほ ど NDT の有効性の検討が な さ れ てい ない こ と は疑 問である とし,
32名の 片麻痺に ボパー
ス法と伝 統 的治療法 を 比 較した結 果,
NDT の優 位 性は認めなかっ た と報 告し た。
L。ad らs)は, 比較対 照方法に 若 干 問 題を有 すも伝 統 的治療法19
名,
NPA 法20名 を異な る2
施設で比較し,
機 能テス ト, ADL,
歩 行評価で の優位 性は認め ら れ ず,
む し ろ NPA は治 療と 入院 期 間が 3倍 以上もかかっ た と した。
Basmajian9) は 米 国PT
誌に 「研 究又自粛」 とい う意味ありの テー
マ で次の様に述べ てい る。
現在の PT の治 療手技の有効性に おい て科学 的,
理 論 的 背 景に疑 問 があり,NPA
の実 証 デー
タ も不明,
NPA
の用 語が不 適切,
NPA は時 間と経 費に無 駄が多いな ど としNPA
の有効 性の再検討 を 早 く行 うぺ きであろ うことを示 唆し てい る。
ま たカ ナダPT
学 会 招 待 講 演正叫こおい て 「リハ ビ リ テー
シ ョ ン におけるプラセ ボ の 問題 」と題し, PT の 特殊な治 療 技 術の理 論 的,
科 学的効果の実 証につ い ては 非 特 異的効果と特 異 的効果を き ちん と ふ ま えて今 後 検 討し直 すべ きと 述べてい る
。
同様に Arch
,
Phy.
Med .
102 理 学療法 学 第工5巻第
2
号 Reha.
の論 評11〕に 現 在 まで脳卒 中の治療 と予後に対 する 調 査 が 長 く遅 れてお り,
適 切な治 療アプロー
チ開 発のた め に はその治 療法の有効性と問 題 点につ い て 比較研究が 必 要で, ま た自然経 過との 関 連 性の 把 握が 重 要 と記し て い る。
そし て,
彼の推 奨 する 統 合行 動科学的 PT12) (EMG
パ イ オ フ ィー
ドパ ッ ク法)の観点か ら, ボ バー
ス 法を伝統 的療 法と称し,
自ら比較 検討し てい る。
方 法は ボパー
ス法/6名,
EMG フ ィー
ドバ ッ ク法/3名を.
.
ヒ肢に 5週間 実 施し,
その後9 ケ月に 渡 り手 指の 機 能 評 価,
ADL ,社 会 性な ど を第3
者の専門 家にて評 価 した。
結 果 は両 方法共に有効であっ たが,
どち ら が優 位である か は 認めず,
結 局は治 療の簡 潔 さや 社 会 経 済 面の配 慮か ら方 法 を検討 すべ きこ とを示 唆し てい る。
Issacsi3》は英 国PT 誌に 「脳卒 中の研 究に対 するPT 」 とし,PT
技術の科学 的実証 デー
タの欠落, PT は自分 達の治 療 技 術を ど う理 解し て い る の か疑問,
多くの PT は従 来の伝 統 的治療法を疑問視し,
なぜ実証デー
タ のな い新 法 (NPA を指してい ると思 わ れ る)に熱烈に走る の か,
新法の有効 性の比較 検討 を実証する こ とを望み た い と批 判的 見解を 述べ てい る。
Gordeni4
)は Arch.
Phy
.
Med.
Reha.
の論 評}こNPA の 理論的,
合理的 根 拠と有効姓が実 証されて いない。
ま た臨床的 見 地から, 麻痺肢の機 能 回 復に おい て は どの方 法・
技 術であろ うと何 もし ない よ りもよい とい うの は当 然の事で ある。
し か しだか らと い っ て,
その方 法 と技 術 の優 位 性に つ い て の検 討は全
く無視されてお り,
今こそ NPA と他 方 法の有 効性につ い て 比較 実 証 すべ きであろ うこと を述べ て い る。 Lind15> は 脳 卒 中リハ
ビ リの効 果の ま とめ とし,
過 去 の リハ 効果を検討し た 7論文を 総括し,
機 能回復は発 症 後 6ケ月 間の 自然鳳復に基づ くもの で,
PT や OT の直 接 的効果で は ない。
し か し,
リハ ビ リはADL ,
QOL
の 向上に最 も重 要であり社 会・
経 済 的背 景を含め た検討が 鍵 となろ う と述べて いる。
その他,
Quin16
) は 5 例の片麻痺 上 肢に 5N9 ケ月 間 のPNF
を,一
方 伝統 的 治 療を4例に 施 行し た結 果,
PNF
を長期に し ても伝統 的 治療法より も上 肢 機 能回復 に有効性は ない と し た。 同様に Stem ら 17)は 伝 統 的 治 療 群31例と PNF 31例に対 する効 果 を 比 較し,
特にPNF
の有効性は認めな かっ た と し た。
Gowland18
,
19)は 脳 卒 中の運 勁・
感 覚回復につ い て335 名に週 5 目の ボ バー
ス法 中心の 治 療 結 果を感 覚,
運 動,
ADL な ど 多 彩に評 価分析し報告し てい る。 こ こ で筆 者 自身 興 味深く思っ たの はブル ン ス トロー
ムの Stage回復 の結果を みる と, なん と筆者 自身の経験から従 来の伝 統 的 方 法のStage
回復 度 合と大 差ない と思われたのであ り, 印象の みであるが少な くともボパー
ス法の麻 痺 肢の機 能 回復の 優 位 性は認め られない の である。
次に こ こ で,
脳 卒 中に 対 する 集 中 的 理 学 療 法 (明確 にボバー
ス法 と規定 は して いないが,
恐 らく何らか の NPA 的 方 法 を 用いて急性期よ り長時間か けた)につ い ての見 解を述べた論 文を検 索してみ たい。
Wade2D
) は 「脳 卒 中 咽 台療に おける PT は高 価な偽 薬 の ような もの で……
そ れは Dr.
の処 方 選 択の 態 度,姿 勢 を誤っ た もの にし かね ない……。
」と厳しく記し た 上 で,
脳卒申の発病後 6 ケ月 間1・
tどの程度の PT が必 要か, ま た その有効性は ど うか につ い て検討して い る。
162 名の 片 麻 痺に毎日2時 間 近 くの 集 中 的PT ・OT
治 療 を 行い,
Barthel lnClex , 機 能 評 価の結 果から,
麻痺と機能障害重 度例 は当然, 治 療時間と 回数 も著明に多かっ た にもかか わ らず ADL の評 価は低か っ た。
長期の集 中 的PT,
OT
を受け た例は, 肩の疼痛とROM
制限の問 題が多 発し機 能回復も良い とはい え ず,
治療手 技の 有 効 性 を検 討 すべ きとし,
暗に,
なに も専 門 的 集 中 PT を長 期に しなくて も簡 潔なア プロー
チ でも十 分で はない か と示 唆し てい る と思わ れる。
同様にSivenius
ら21} も3ケ月以 後 長 期に集 中 的 PT を し ても回復に差は な く,
3
ケ月以内で は治療時 間 が 長 い た め か若干回復を早め る傾 向はある ものの伝 統的方法 と差はない と述べ てい る。
Andrews22
) も長期に 渡る集 中 的 PT を し ても機能回 復1・
’
こは有 効 性を認めず。
特に発 症 3ケ月 後か らはあま り 変化し ない と している。
その他t 発 症後の早 期 集 中 的PT は有効 だ が, 3N6 ケ月 以後の長期集中的PT を続 けて も限界 あり との報 告は英国での Smith±3)
,
Garraway24
}, Brooklehust25磁こも見 られる
。
また,Dombovy26
} も脳 卒 申の リハ の再 検討 と見i
しの必要性を述べて い る。
AnderSQn27
〕は 脳卒中の リハ は 包 括 的 リハ 専 門 病院で なくて もナー
シン グホー
ム のPT
や 地 域 病 院 リハ で も大 差な く,
経 費 も少ない 。 ま た, NPA 手技は長 期閥要す るも効果の持続性に は疑 問が残るとして い る。
HarnrinU8} は 脳卒 申の早 期リハ に おける看 護ケ アー
の 係わ りとし,
リハ 看護と し て ナー
スに簡単で有 効 なPT
を 指 導 することの重要性を示唆し てい る。
また,
集 中 的 チー
ム ケ アー
の効果 を総括し た報告29) もあ り注目すべ き である。
こ のよ うに NPA 中心の専門 的PT
に対 する.
陵疑 的 意 見 も多い の で あ り,
筆者 自身は, 専 門 家 とい うのは単に その道のエ キスパー
ト であるこ とで はなく,
む しろ専 門Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service Japanese Physioal Therapy Assooiation
成 人 片麻 痺に対 する ボバ
ー
ス法の検 討103
的な難しい理 論 体 系に基づく方法 を,
い かに簡潔平 易に まとめあげ,
専門家 以 外で も応 用で き十 分な効果 が あ げ ら れ る もの まで 創造する か とい うことも重要であ る と考 え るの である。 ま た,
これは決して PT の将 来性を閉ざ す もの ではない と信 ずるので あるe 次に,
片麻 痺の麻痺肢に対す る筋力 強 化 運 動に対 する 見解をあ げる。
麻 痺 肢の 誤っ た 筋力強 化 法は異 常な筋 緊張とパ ター
ン を高め るた め,
ま るで禁忌 でもある かの ごとく唱えられて いる。
し か し Inal〕aso} , C・
lasser31 },
Bohann。n32ny35〕
,
Hamrin36)等は健 側と患 側の筋 力 評価 と強化を重 視し
,
貴 重な報 告をし て お り,
今 後この方面 の見直し を しっ か り とすべ きで ある。
そこで,
最近の脳卒ゆ 関 係の 出版 書で のNPA
の見解 をあ げて み る。
ま ずボ・
:一
一
ス法を代 表とす る中心 的文 献 は37)一
一
42)である。
これに対して文 献43)〜
46)はNPA に はあま り触 れず.
従 来の伝 統 的 手技申心にADL,
QOL
を 通 し て機 能 的,
実 際 的観 点よ り主に述べ てある。
ま た,
文 献44>はCailliet
が片麻痺上肢を分担執筆して お り, わずか数 行であるが NDT やNPA の実証デー
タが出 さ れて いない とし,
再検討 も要すの では と記し,
ま た他項 で Basmajian は NPA の リハ 効 果とコ ス ト面な どか らも 懐 疑 的見 解を 記 して い る。
そし て,
最 後に米 国PT
誌の 興味 ある論文を紹 介す る。
そ れは 「専 門の NDT の認定取 得は必 要か ?4了) 」 とい うテー
マ で会員の 意見を募 集し たの で ある。
その 結 果,
否 定派の 意見は NDT の有効性が科学的,
臨 床的に実証 さ れていない。 臨 床で適 応させ 効 果をあ げなけ れ ば,
た だ 治療 技 術 そのものが 上手に 行え る と い うこ とでは疑 問である。 本 当の 専門家はゴー
ルは どこ で,
どれ が 現実的かを判 断・
決 断できる こ とであ りNDT は疑問である。
QT やST
まで波 及し, 各専 門職の異なっ た側面まで犯し て しまう恐れ がある。
明 確に実証さ れてい ない の に就 職や昇 給に特 別 扱い の傾 向 があるの は疑問であり, その認 定 取 得に時 間と経 費 をか けるの もおか しい とい う もの であった。一
方,
肯 定 的 意 見は有 効 性がある と考えて おり,
信念を持っ たコー
ス受 講者 を認 定 する の は当然で,
ま た個人の=一
ズ と 生涯研 修,
専門性 向上の為に必 要であろう とい う もの であっ た。
こ の よ うに米 国PT
間での混 乱の様 子が うかが われる。 以上の様に米 国,
カナダ,
英国の一
部の動向と し て は,
リハ 治 療におい て科 学 的,
合理 的に実 証さ れていない も のに長期 間の治 療と経 費を無駄にするのは避けるべ きで あ ろ うとの見解か ら,
最近発 症よ りの期間と リハ 治 療の 回復の関係の研 究が増 え,
ま た厳しい社会・
経済 面か ら の追 求か ら も真に科 学 的有効牲の検 証を し直 すべ く , 新 たな局 面を 迎えよう とし ている こ と が推察される の であ る。
こ の ように,
脳 卒 中のPT
の有効性が 問わ れ て き た事 は,
ひいて は リハ 医 療の 向上につ ながる もの であろ うし,
短 期 間で簡 潔 有 効,
かつ 経済的 な方 法の確 立に努 力 すべ きであること を肝に命じ たい 。IV
お わ り に 筆 者 自身 も一
時 期ボパー
ス法 を 推奨し た ひ と り である。 し か し, 上 述した観 点 な どよ り,
適 応 と限界を見極め て 対 応 すべ きこと を痛 感し,
反 論 も承 知の上で述べ させて 頂いた。
は か らず も理 学療 法の各 分野に対 する批 評・
議 論が な さ れ始め PT の専 門 性, 将 来 性が問われようとし ている。
これはPT
に対し 意識 変 革が迫られてい る pre stage であり, いわば 訪 れる変革に対 する準 備 対 応のた めの重要な時期であろうと考え るe こ の様な意 味か らも 是 非,
建 設 的 意 見 と議 論の展開を計り,
発展 さ せて い く こ とを信じ てやまない の である。
文 献 1)三好正堂 :片麻痺に対 する‘
‘
いわゆ るファシ リ テー
シ ョン・
テクニ
ッ ク批判”
総含リハ,
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192,
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ビリ テー
シ ョ ン を 考 え る 1 リハ
ビ リ テー
シ=
ンにおける倫理 と論理,
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3)」二田 敏 ・日木語版へ の序文,
= ガー
ス・
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柴田澄江,
他 訳 ),
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1986.
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