Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation理 学 療 法 学 第38 巻 第4号 227
一
228 頁 (2011年 )シ
ン ポ
ジ
ウ
ム
皿特 定保 健指 導
分 野
*大
工
谷新
一
1
)2
> 運 動 指導
に お け る 理学
療
法
士 の役 割
特 定 保 健 指 導 分野 に おける理 学 療 法 士の専 門性 とし て,
まず は リス ク 管 理 が 挙 げ ら れ る。
理 学療法.
.
七は 対象者 に 対 し て安 全 で 効 果 的 な 運 動 を 指導す ること が 可 能 で あ る。
筆者 ら が 生 活 習 慣 病 管理料 算 定 者に対し て6
ヵ月間 の 運動 を指 導し た とこ ろ.
体 重,
最 高 血 圧,
中 性 脂 肪,
HDL
コ レス テロー
ル.
1in糖値が 有 意に改善
し た。 こ れ は,
理学 療 法士 が客観
的な デー
タ に基づ い て医 師と協 力し て運 動を指導
し た結 果である と考え ら れ た D。 こ の よう な安 全で効 果 的 な運 動 指 導に加 えて.
運 動 効 果 を得る ため に は運 動 が 継 続 されな けれ ばならない。 理 学 療 法1
:は運 動 を継 続さ せ る た め に,
疾 病リスクとい う専門知 識 を利 用 し て 対 象 者の健 康不安 を 手 掛か りにする場 面 をよく 目にするtt し か し,
運動とい う ものは本 来 楽しい 活 動である。
つ ま り,
運動 指導
に関わ る 理学療法
上 に は,
対象者
に楽
しく
運 動 させ る という
技量 が求め ら れ る。 また,
特定
保 健 指導
分 野の対 象の多
くは運 動 を して いない者である た め,
運 動 を 開 始 させな け ればな らな い。 運 動の開 始と継 続に は 「楽 しさ 」と 「継 続 」につ い て の概 念の理解が 必要である。
まず
,
運動の 楽し さ につ い ては フ ロー
体 験2}の概 念が重 要 と な る.
フロー
と は物 事に熱 中し て 没 頭 してい る 状 況 で,
課 題 と技 能
の レ ベ ルが至 適である場 合
に得
ら れ る。
対象 者
の能力
・
技 能レベ ルに 比 し て難 易 度・
機
会・
挑 戦レベ ル が高 す ぎる と不 安や心 配を感じ,
逆にそれが 低 す ぎる と退 屈 感を持っ て しま う。 運 動 実 施におい て フ ロー
体 験をもた らすた めには、
対 象 者 の運 動 技 能に見 合っ た運 動 課題 を 選 別しな け ればならない。
つ ぎに.
運動の継 続につ い て はア ドヒ アラン ス (adherence ) の概 念が重 要となる。
運動
の継 続 (
ア ド ピ ア ラン ス)
と はア ド ビ ア ラ ン ス と は
,
「
人 が何
か に対
し てと ど まる,
愛着
を感
じ る」
というこ と を指 す3}。
し た がっ て,
運動
ア ドピ ア ラン *Specific Ilealth Guidemce
l) 岸 和 田 盈 進 会 病 院 リハ ビリテ
ー
シ ョン部 (〒596−
0003 岸和田’
ilitt・井 町1−
12−
1)Shinichi Daikuya
,
PT.
PhD :Kishiwada Eishinkai Ilospita ].
Department of Rehabilitatien
2) 南 大 阪スポ
ー
ツ メデ ィカ ル&ヘル ス ケ アセ ン ター
Shinichi Daikuya
,
PT.
PhD:South Osaka Sports MedicaL andHealthcare Center キ
ー
ワー
ド:特 定 保 健 指 導,
専 門 性,
アドヒア ラン ス 〔adhcrence ) スとは,
運 動 を 継 続 するとい う強い意 志 を示 す 概 念である。
習 慣 的に運 動 を 継 続 する ことは健 康 増 進にとっ て重 要であ り,
運 動ア ドピ ア ラ ン スを向
上 さ せ ること は,
有
効な健康
増進方 略と な る。
筆 者が 運動を継 続して実施して いる中 高 年 者を対 象と し て 行っ たア ドヒ ア ラ ンス研 究4〕で は.
ア ドビ ア ラ ン ス 関連因 子の因子得 点を男 女 別に 比較し た場合,
社会 関 係.
運動 効 果,
運動 技 能,
自 己確 信の4
つ の因 子で有意 な 差 が み ら れ た (図 )。
また,
トラン ス セオレ テ ィ カル モデル 5}を 参 考 に 対 象 者の運 動 参 加 状 況 を準 備 期,
実 行 期,
維 持 期 に 分 けて検 討 した ところ,
運 動 効 果,
施 設 環 境の ふたつ の因 子で有 意 な差 がみら れ,
維 持 期では.
他の期と比 較し て社 会関係の平 均 値が大 きい 傾 向 を示 し た (図b
)。
つ ま り,
中高 年の女 性で は 仲 間 やスタッ フと交 流するこ と が重 要な 目 的 で あ り,
運動に よ る身体の変化,
健 康 管理 な どへ の効果 も期 待し てい る一
方,
男性で は 運動実施その ものが囗 的である こ と が多
く,
運 動 技 能の上達にも 関心が高い こ と が わ かっ た。 運 動 参 加 状 況か ら は,
準 備 期,
実 行 期で は,
施 設 と その環 境に影響 を受 けやす く,
実 行 期では 施 設環 境 だ け でな く運 動の効 果が大 き な要因 となっ てい た、
t また,
維 持 期で は仲間 との交流 が大切 なこ と が わ かっ た。
こ の結果 は 運動 意 欲 を 有し ない 者に直 接的 に あ て は め ること は 困難で あ る かもし れ ない。
し か し,
運動を 継 続 し てい る者の傾向か ら考 える と,
運動 実施
に よ る社 会
関係
の構築
や施 設
の状
況な ど が運動
ア ドピア ランスに とっ て重 要である。 そのた め,
理 学 療 法士 が運 動 指導
を行 う場 合に は,
運 動 仲 間 や 施 設 選びなどへ の配 慮 も必要であ る。 つ ま り,
理学 療 法士には自らの専 門 知 識を利 用し た安全で 効 果 的 な運 動 指 導 を 行 うこ と に加 えて,
以.
ドの 4点に示 す 運 動 そのもの の楽 し さや達 成 感 を 高めて い く,
換 着 すると対 象 者が 持っ てい る運 動 実 施へ のバ リ アを な くし,
運 動 を楽しく継 続さ せる こ と に傾 注 した専 門 性の確立が 望 ま れる。
1、
女 性に は運 動による社 交 的 な楽し さ や運 動の効 果 を示 す2
.
男性
で は運動
実施
意 欲 を満
た し な が ら運動技
能 を向
上さ せ る3
.
運動
が習慣化
して いない者
に は,
施設
の立 地につ い て も アピー
ルする 4.
運 動が習 慣 化してくる に つ れ,
仲 間づ く りと交 流に介 入 方 法 を 変 化 させて い く文 献
1 ) 小 河 陽 子,
熊 崎 大 輔,
他 :血液 検 査の測 定 値か ら み た 生活 習 慣 病 に対 する運 動 効 果.
運 動と栄 養の処 方 科学.
2010;1〔〕:11−
15.
2)Csikszentmlhalyi M二FLOW
.
Harper&Row,
Ncw York,
1991,
p74.
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation228
理 学 療 法 学 第38
巻 第4
号 a 自己確 信 施 設 環 境/
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.
/ 1/ 社会関係 」一
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1
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調
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「
運 動 効 果丶
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因 子
男
性
女性
社会 関係
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* 運動 効 果
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運 動 技 能施 設
一
〇.
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運動 技能
0
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−
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♪施 設〆
/
施設 環境
0
.
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−
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11
自
己確 信
一
〇.
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0
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12
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.
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自己確 信 社 会関係 運動効 果一
●一
準備 期一
■ト爽行期 十 維持 期因
子
運 動
参
加
状
況
準 備 期 実 行 期 維 持 期社会 関係
一
〇.
35 −0.
63
0.
12
運動 効果
一
〇.
47
0.
45
0.
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設
一
〇.
140
.
330 .
Ol
施設瑕 境 施 設運 動 技 能
一
〇.
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0.
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0.
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施設 環境
O.
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093
−O.
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*自 己 確 信
一
〇.
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12
0.
Ol
運 嫐 能
・P
・
O.
01(AM )VA)図
運
動
ア ド ピア ラ ン ス因 子得 点
の男女
別・
運 動 参加 状 況 別比較
各
因 子 得 点の男女別 (図a)
.
運動 参 加 状 況 別 (図b)の比較 結 果を示 す。
男女別比較では,
社 会 関 係.
運 動 効果,
運動技 能,
自 己確 信の4
つ の因 子で性差によ る有意 な 差 が み ら れ,
運動 参 加状況 別比較では,
運 動 効 果,
施 設 環 境の2
因 子 で 有 意 な 差 が み られ た。 ま た,
維 持 期では他の期 と比 較 して,
社 会 関 係 因 子の平 均 値 が 高い傾 向 を示 した。
3)Carron AV
,
Hausenblas HA.
et al:Social influence and exerciseinvolvernent
,
Adherence issues in spDrt &exercise (Bull S,
ed.
).
John
Wiley&Sons,
England、
1999,
ppl−
17,
4)大工谷新
一,
鈴木 俊 明,
他 :中 高 年 者の運 動ア ド ビ ア ラン ス に影 響 する因 子に関 する研 究一
民 間フ ィッ トネスク ラ ブ 1施 設にお ける検討
一.
理 学療 法学.
20D3;30:48−
54、
5)Prochaska
JO
,
Marcus BH:The transtheoretical model :Apphca−
tions to exercise
,
Advances in exercise adherence 〔Dishman RK,
ed )