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高等学校特別支援教育における認知行動療法および行動コンサルテーションの研究動向

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-64 248

-高等学校特別支援教育における認知行動療法および

行動コンサルテーションの研究動向

○高田 久美子1)、小関 俊祐2) 1 )桜美林大学大学院心理学研究科、 2 )桜美林大学心理・教育学系 【問題と目的】 特別支援教育とは,「障害のある児童生徒の自立や 社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点 に立ち,児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し, その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は 克服するため,適切な指導や支援を行うもの」(中央 審議会,以下中教審,2005)である。高等学校におけ る特別支援教育は,学校教育法改正(2007)において, 高等学校においても特別支援を行うことが明記され た。また,国連で批准された「障害者の権利に関する 条約」も2014年に日本で採択された。これらの制度上 の変化や現場のニーズをふまえて,高等学校において も,校内委員会の設置,特別支援コーディネーターの 配置など特別支援教育の体制整備は急速に進められて きた。しかしながら,「平成27年度特別支援教育体制 整備状況調査結果」(文部科学省,2016a)によれば, 高等学校の特別支援教育コーディネーターは,通常の 学級担任,養護教諭の割合が半々であり,専門性が担 保されているとはいえない。また,関ら(2017)は, 高等学校において特別支援を担う人材育成に関して未 整備であることを指摘している。このように,高等学 校における特別支援教育に関して,校内委員会の設置 などの体制整備は整いつつあるが, 専門性をいかに保 証するかという点が課題の一つとなっている。高等学 校における特別支援教育が推進されるなかで,生徒一 人一人の教育的ニーズに即した適切な指導および必要 な支援の提供の一つとして, 平成30年度(2018年度) から,高等学校でも通級指導が開始された。高等学校 における通級指導の内容は,障害のある生徒が自立と 社会参加を目指し,障害による学習または生活上の困 難を主体的に改善,克服するための指導とし,小中学 校等における通級指導の内容と同様,特別支援学校自 立活動に相当するものとする(文部科学省,2016b)。 特別支援学校高等部における自立活動の指導は,特別 支援学校高等部学習指導要領第 6 章に示された 6 区分 の中から,各生徒に必要とする項目を選定し,それらを 相互に関連付け,具体的に指導内容を設定するものと されている(文部科学省,2016b)。自立活動の目標は, 現行特別支援学校学習指導要領によると,「個々の生 徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困 難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技 能,態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の 基盤を培う。」ことであり, 6 区分とは,「 1  健康の 保持, 2  心理的な安定 3  人間関係の形成, 4  環 境の把握,5  身体の動き,6  コミュニケーション」 (文部科学省,2013)である。また,教科の補充におけ る特別指導においても,教科指導の延長ではなく,自 立活動に相当する指導の一環として実施することが適 当とされる(文部科学省,2016b)。これらの指針をも とに,平成26年度(2015年度)から開始された「高等 学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育 モデル事業」(文部科学省)では,自立活動を中心と した実践研究が始まっており,実施校は成果を上げて いる(文部科学省,2016b)。しかしながら,研究指定 校以外の高校での特別支援の取り組み自体,各学校に 任されており,具体的な方略が確立されておらず, ど のような問題に対して,どのような手続きが有効なの か,といったニーズと手続きのマッチングにおいて, 十分な検討が行われていない。学校カウンセリング分 野においては,発達障害者支援に関する専門性が必要 とされていることが指摘されており(橋本,2016), 特に学習方法の指導やICTの活用などによる教材研究 に 加 え, 社 会 的 ス キ ル 訓 練(S o c i a l S k i l l s Training: SST)や,感情のコントロールに焦点を当 てたアプローチなどで構成されている認知行動療法 (Cognitive Behavioral Therapy: CBT)の導入も積極 的に進められていることが報告されている(小関ら, 2016)。また,CBTに基づく手続きに加えて,学校現場 において,行動コンサルテーションを用いた支援が行 わ れ る こ と が 増 え て い る( 小 関 ら,2016: 道 城, 2012)。このように,特別支援教育の領域において, CBT,あるいは行動コンサルテーションの有効性が実 証され,普及しつつある。そこで,本研究では,高等 学校における特別支援教育を概観するとともに,高等 学校における認知行動療法および行動コンサルテー ションに関する研究論文を整理し,平成30年度(2018 年度)からの導入された高等学校での通級指導におけ る具体的な指導計画作成の一助とする。 【方法】

まず,Google Scholar,CiNii, J-STAGEを用いて, 2017年 6 月に「特別支援教育」,「高等学校」,「実態」, 「通級指導」,「認知行動療法」,「行動コンサルテー

ション」をキーワードとして,検索を行った。次に, 重複した論文を除外し,タイトルや抄録からスクリー

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-64 249 -ニングを行った。その際の条件は,( 1 )対象者が高 校生であること( 2 )特別支援教育を扱ったものであ ること( 3 )研究論文であることであった。その後, フルテキストで適格性を評価した。 【結果】 論文検索の結果,12本の論文を抽出した。そのうち 9 本は高等学校における特別支援の現状と課題に関す るものであり, 3 本は認知行動療法に基づく実践研究 であった。その結果,抽出論文から, 1 )高等学校に おける特別支援教育の制度や整備は進みつつあるこ と, 2 )特別支援教育に関わる教員の専門性の担保が 不十分であること, 3 )生徒個々の障害特性や学校の 実態に応じた支援の在り方の検討が必要であること, が明らかになった。また,高等学校の通常学級におけ る特別支援教育として認知行動療法を用いて介入を 行った 3 本の研究から, 4 )高等学校の通常学級にお ける特別支援教育に関する認知行動療法が有効である ことが明らかとなった。しかしながら,抽出した12本 の研究には,通級指導が平成30年度から始まることに ついて一部記載されつつも,具体的な実践方略に関す る研究はなかった。また,認知行動療法の必要性は述 べられている一方で,高等学校通級指導における実践 方略についての研究も行われていなかったため, 5 ) 高等学校の通級指導における認知行動療法の効果検証 研究が必要であることが明らかとなった。 【考察】 本研究の結果では,高等学校通級指導に関する研究 は抽出されなかった。また,高等学校における特別支 援に関するCBTの実践研究そのものが少ないことが確 認された。通級指導に関する研究が実践されていない ことは,通級指導制度が開始前であったことがその理 由と考えられるが,それだけではなく,高等学校の教 科担任制,また,同じ高等学校内に様々な専門課程が 存在することもその背景と考えられる。また,高等学 校における特別支援教育自体が小中学校に比べて遅れ をとっていることも実践研究の少ない理由として挙げ られている(文部科学省,2017a)。高等学校における 特別支援教育に携わる教員の専門性の担保について, 高等学校には, これまで特別支援学級や通級指導教室 など教育環境がなかったことから, 特別支援教育に対 する知識・理解において, 小・中学校とは異なる状況 があると考えられている(小木曽,2016)。そのよう な実態があるなかで,通級指導に関しても,特別支援 教育コーディネーターや,担任教員の専門性がこれま で以上に求められる。このような専門性の担保の方法 として,特別支援学校などの外部機関との連携,ス クールカウンセラーや,スクールソーシャルワーカー との連携,研修の実施,専門教員の配置等が必要と考 えられるが,高等学校と外部機関の連携には財政措置 等,環境整備の面で課題が多い(田部,2011)。現時 点では外部機関との連携が十分とはいえず,今年度か らの運用や,今後数年間は対応が間に合わないことが 予想される。つまり,高等学校の教員は外部機関に頼 らない方法で通級指導を行わなければならないことに なる。そこで,現場での実用可能性が高いCBTのプロ グラムを構築することによって,教員への特別支援に 関する専門性の担保を行うことが考えられる。CBTの プログラムの利点は,教育内容における操作変数と従 属変数を機能的にマッチングさせ,それを的確に説明 することを可能にする点があげられる。様々な状態像 の生徒に合わせた教育内容を提供することが可能とな るとともに,通級指導担当以外の教員にも授業内容や その意図について説明することができると考えられ る。CBTのプログラムによる教員への専門性の担保が 特別支援を必要とする生徒の心理的支援の一助となる ことが期待される。

参照

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