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Academic year: 2021

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(1)

東邦大学医療センター佐倉病院 市民公開講座

「頭痛なんか怖くない 2」

小 児 の 頭 痛

東邦大学佐倉病院小児科学講座

舘野 昭彦・小島泰子(小児神経外来)

東山 ふき子(臨床心理士)

(2)

外来受診動機は?

•急性の場合

髄膜炎ではないでしょうか?

脳炎・脳症ではないでしょうか?

•慢性または再発性の場合

(子どもに頭痛があるのですか?)

脳腫瘍ではないでしょうか?

この場合、頭部単純CTを施行するだけで納得して帰られます。 果たして、これでよいのでしょうか?

(3)

急性の頭痛の原因には? 特徴は?

• 一番多いのは、風邪やインフルエンザなどの急性感染症 による頭痛です。 (最も多い) • 急性副鼻腔炎(蓄膿症)の場合には、眼球奥の拍動性の 頭痛を生じ、片頭痛と診断されることがあります。 (少ない) • 中枢神経系の感染症で最も多いのは、ウィルス性髄膜炎 です。オタフクかぜによる髄膜炎は多いのですが、良性 です。細菌性髄膜炎はワクチンの普及により稀ですが、 緊急を要する疾患です。 (少ない)

(4)

慢性の頭痛の原因には? 特徴は?

• 成人と同様な疾病が存在します。緊張型頭痛、片頭痛、 起立性調節障害に伴う頭痛、心因性頭痛などです。

(多い)

• 脳腫瘍の頭痛には、early morning headache がみられる ことがあります。多くの場合、3か月以内に他の症状が 出現します。けいれん発作(てんかん発作)などです。 (少ない)

• 小児特有の頭痛として、てんかん性頭痛があります。 (少ない)

(5)

一次性頭痛と二次性頭痛はどう鑑別するのか

I.二次性頭痛を疑うのは、 1.突然の頭痛 2.今まで経験したことのない頭痛 3.いつもと様子の異なる頭痛 4.頻度と程度が増していく頭痛 5.50歳以降に初発の頭痛 6.神経脱落症状を有する頭痛(重要、系統だった神経診察を行う) 7.癌や免疫不全の状態を有する患者の頭痛 8.精神症状を有する患者の頭痛 9.発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛である。(グレードA) II. 小児の二次性頭痛にはどんなものが多いか 感染症が多く、次いで頭部外傷である。 頭痛外来では、頭部外傷に伴う頭痛 > 頭部以外の感染症に伴う頭痛? 救急外来での頭痛は、神経疾患以外の感染症 > 頭部外傷。 リスクがあるときは、頭部CTを検査すべきである。 (グレード B) 4

(6)

小児の頭痛の診療に際して

てんかん性頭痛 epileptic headache

てんかん代理症 convulsive equivalent headache

診断基準 I 主要症状(全て満たすことが望ましい) (1) 反復性頭痛発作 (2) 突然に出現 (3) 脳波異常(てんかん波,発作時の徐群発) (4) 抗けいれん剤が有効 参考症状(1つ以上認めること) (1) 頭痛発作の誘因なし (2) 数分~数時間の持続 (3) 発作後の睡眠または嗜眠あり (4) 嘔気・嘔吐あり 5

(7)

小児の頭痛の診療に際して

てんかん性頭痛 epileptic headache

てんかん代理症 convulsive equivalent headache

診断基準 II (The Practice of Pediatric Neurology)

(1) 反復性発作性頭痛 (2) 突然に出現 (3) てんかん波の存在 (4) 抗けいれん剤が有効 (5) 頭痛発作の誘因なし (6) 数分~数時間の持続 (7) 片頭痛の家族歴なし (8) 発作後の嗜眠,傾眠あり (9) 嘔気・嘔吐あり (10)頭全体または前側頭部痛 6

(8)

• 記入は、両親かそれに代わる養育者が行い、記入には約20~30分かかる。 • 質問紙の構成は二部に分かれており、子どもの活動や交友関係、家族関係などの 生活状況などから社会的な能力を問う質問と、問題行動を問う質問118項目から成 る。 • 問題行動は、現在から過去6か月以内の子どもの状態を、 0;あてはまらない、 1;ややまたは時々あてはまる、 2;よくあてはまる、 の3段階で評価を行う。 • それぞれの尺度は、男女、年齢範囲別に標準化され、「正常域」「境界域」「臨床域」 の3つに評価され、T得点で示される。 T得点 正常域 境界域 臨床域 総得点、 内向・外向尺度 33~60 60~63 63~100 問題行動尺度 50~67 67~70 70~100 • 「境界域」を含めた「臨床域」と は、特殊教育プログラムを含め たメンタルヘルス・サービスを 受ける必要があるかどうか、の 指標となる。

Child Behavior Checklist

(CBCL)/4-18

(9)

CBCL/4-18 問題行動尺度(全118項目)

問題行動尺度 項目数 項目内容 上位尺度 Ⅰひきこもり尺度 9 「ひきこもる」、「しゃべろうとしない」、 など Ⅱ身体的訴え尺度 9 「めまい」、「頭痛」、「腹痛」など Ⅲ不安/抑うつ尺度 8 「落ち込んでいる」、「自分に価値 がない」、「心配する」、など Ⅳ社会性の問題尺度 8 「行動が幼い」、「仲良くできない」、 など Ⅴ思考の問題尺度 7 「強迫観念」、「強迫行為」、など Ⅵ注意の問題尺度 11 「注意が続かない」、「落ち着きがな い」、「衝動的」、など Ⅶ非行的行動尺度 13 「うそをつく」、「家出をする」、など Ⅷ攻撃的行動尺度 20 「言うことをきかない」、「けんかを する」、「ものを壊す」、など 内向尺度 外向尺度

(10)

小児における慢性反復性頭痛の分類と頻度

(東山・舘野, 2000) 診断名 (%) 平均年齢 年齢範囲 片頭痛 21 11.0 7-15 筋収縮性頭痛 35 10.5 7-15 起立性調節障害(OD)に 伴う緊張型頭痛 16 13.1 10-15 心理・社会的なストレス に伴う緊張型頭痛 14 11.8 7-15 分類不能な頭痛 14 6.4 4-9

(11)

頭痛診断のフローチャート

CBCL所見(+) 心理・社会的ストレス(+) CBCL所見(-) 心理・社会的ストレス(-) 分類不能な頭痛 心理・社会的な ストレスに伴う 緊張型頭痛 頭部筋群の異常(―) 頭部筋群の異常(+) 筋収縮性頭痛 起立性調節障害の 診断基準(-) 起立性調節障害の 診断基準(+) 起立性調節障害 (OD)に伴う 緊張型頭痛 拍動性 非拍動性 片頭痛 (急性感染症による頭痛を除外) 慢性反復性頭痛

(12)

慢性頭痛の簡易診断アルゴリズム

頭痛患者 危険な頭痛の除外 Q1 日常生活への支障は? 片頭痛、慢性連日性頭痛 反復性緊張型頭痛 軽度~中等度の片頭痛 Q2 1か月の間に何日頭痛があるか? 慢性連日性頭痛 片頭痛 Q3 週に何日鎮痛剤を 服用するか? Q4 片側の可逆性の感覚障害や 同名性の視野異常があるか 薬物乱用性頭痛なし 薬物乱用性頭痛 前兆のある片頭痛 前兆のない片頭痛 群発頭痛 その他の三叉神経 自律神経性頭痛の鑑別 16日以上 15日以下 大きい 少ない 3日未満 3日以上 ある ない 症候性頭痛の鑑別 11

(13)

21年間に小児科臨床心理士が介入した頭痛患者 3 6 4 12 15 8 3 5 4 1 3 2 2 1 3 5 4 7 2 2 10 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 人数 うち面接人数 チェックリスト開始 頭痛スタディ開始 患者総数は1481名、うち頭痛患者は147名

(14)

慢性連日性頭痛の事例 13歳の女子

【主 訴】頭痛発作、朝起きられない 【現病歴】半年前ころから頭痛発作が出現。性状は拍動性であり、眼 球奥が痛いこともある。頭痛発作は数時間以上持続し、睡眠をとら ないと治らないこともある。出現時間は朝が多く、視覚過敏を伴う ことがある。 最近、朝起きられずに、乗り物に酔いやすい。不登校状態になって いる。 【家族歴】母親に片頭痛あり。 【現 症】全身状態は良好。貧血なし。胸腹部異常なし。神経学的診 察において異常を認めない。 【検査】 1. 起立試験:起立性調節障害を思わせるデータが得られた。 2. 頭部単純CT:異常なし。

(15)

慢性連日性頭痛の事例 13歳の女子

【鑑別診断】 1. 慢性頭痛・片頭痛 2. 起立性調節障害による頭痛 3. 神経症・不適応状態 【治 療】 1. ミグシス、バルプロ酸投与→無効(片頭痛の否定) 2. リズミック投与→無効(起立性調節性障害の否定) 3. SSRI投与後、都内の心療内科へ紹介 【転院後の診断】 1. 抑うつ状態

(16)

ま と め

• 大学の頭痛外来には、慢性連日性頭痛が増えている。 • 慢性頭痛の診断は、時に難しく、児童心理学的なアプロ ーチが必要である。 • 小児における画像検査(頭部CT、MRI)は、第一段階 の検査であり、これで診断が完結するわけではない。多 くは、不要である。

ご清聴有難うございました。

参照

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