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1. はじめに 2. 融雪期の舗装損傷実態調査 積雪寒冷地においては 融雪期の融雪水や凍結融解 作用などが道路舗装の損傷に大きな影響を与えること は従前から認識されてきたことであり 積雪寒冷地の 舗装を構築するに際しては これらの積雪寒冷地特有 の過酷な条件に耐えうるための技術を開発 適用する 1)

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Academic year: 2021

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(1)

融雪期に発生する舗装のポットホールの実態と発生メカニズムの検討

Study on the conditions of potholes that form in pavements during the

snow-melting season and on the mechanism of pothole formation

丸山 記美雄

 安倍 隆二

**

 熊谷 政行

***

MARUYAMA Kimio, ABE Ryuuji and KUMAGAI Masayuki

 本研究の目的は、融雪期に発生する舗装損傷のうち特にポットホールに着目し、その発生実態と発 生メカニズムを解明して、今後の対策立案に役立てようとするものである。検討手法としては、供用 中の道路においてポットホールの発生実態や発生条件を把握する現地調査を行い、その結果を踏まえ て、ポットホールを発生させる要因やポットホールの発生メカニズムを検証した。その結果、北海道 においては融雪期にポットホールの発生が多い実態にあり、融雪水の存在、ゼロクロッシングなどの 気温変化、荷重の作用といった要因が、ひび割れや打継目などに作用することでポットホールが発生 するというメカニズムの一端が明らかになった。 《キーワード:ポットホール、融雪水、凍結融解、ゼロクロッシング》

 This study aims at understanding how potholes form during the snow-melting season, toward applying the findings to road maintenance and management. An onsite survey on roads currently in service investigated the conditions under which potholes form. The causal factors and mechanism of formation were studied. It was found that, in Hokkaido, potholes tend to form during the snow-melting season and that multiple factors are involved, such as the existence of snow-melt water, temperature changes across the ℃ threshold, and the application of load. These affect road defects such as cracks, leading to pothole formation.

《Key Words:pothole, snow-melt water, freeze and thaw, zero-crossing》

報 文

(2)

2.1 ポットホール発生実態調査方法  調査は、遠軽地域と札幌地域の国道で実施した。  遠軽地域においては、国道238号、242号、333号の 合計約160km 区間における一年間のポットホール発 生状況を調査した。調査は基本的に1日おきにいずれ かの路線で実施しており、ポットホールの発生が確認 された月日と個数を記録し、集計整理した。ポットホ ールが発生した部位や発生状況、ポットホールの発生 2.融雪期の舗装損傷実態調査  融雪期に発生する舗装損傷には様々なものがある が、本報ではそれらのうち、特に写真-1に示すポッ トホールに着目した。着目した理由は、様々ある損傷 形態のうちで、ポットホールが道路利用者にとって最 も視認しやすく、その大きさは多くの場合直径数十 cm 程度で深さは数 cm 程度と形状的には小さいものの、 ひとたび発生すると道路利用者の走行性に直接的かつ 即時的に影響し、道路管理上も速やかな対応が求めら れるなど、緊急度の高い損傷形態であるためである。 さらに、ポットホールの発生については、いつどのよ うな場所でどれくらいの量のポットホールが発生する かをこれまでに蓄積された技術的知見のみで判断する のは困難であり、結果として対応も後手に回りがちで、 その発生実態やメカニズムについて新たな知見を得る 必要があると考えたためである。  そこで、ポットホールの発生実態と発生メカニズム を解明するため、供用中の国道においてポットホール 発生状況を調査した。さらに、ポットホールの発生実 態を分析することで、どのような条件下において舗装 が破損する可能性が高いのかを検証した。 1.はじめに  積雪寒冷地においては、融雪期の融雪水や凍結融解 作用などが道路舗装の損傷に大きな影響を与えること は従前から認識されてきたことであり、積雪寒冷地の 舗装を構築するに際しては、これらの積雪寒冷地特有 の過酷な条件に耐えうるための技術を開発・適用する などの配慮がなされて今日に至っている(例えば文献1) など)。しかし、多くの社会基盤施設がそうであるよ うに、北海道内の国道約6600km の舗装もその多くが 1960 ~ 1970年代の高度経済成長期に構築され、1980 年頃までに全体の約8割の舗装が構築済となっており (道路統計年報2)等より筆者ら集計)、その後約30 ~ 40年近くの間絶え間なく通過する車両の荷重を支え、 毎年の寒冷期、融雪期の過酷な条件に晒され続ける中 で、多くの舗装にダメージが蓄積され老朽化が進んで いると考えられる。今後は老朽化の更なる進展に伴い、 損傷が顕在化することが懸念される。また他方では、 IPCC 第4次報告書3)など最近の気象データに示され るように、多くの地域で気温、降雨量などの変動幅が 拡大する傾向にあるとの指摘もあり、融雪期の気温変 動や融雪水のピーク量の増加なども推測される。これ らの要素が重なる場合、従前よりも融雪期の舗装の損 傷が顕著になる可能性は否定できない。  上述したような背景の中、実際に近年では融雪期に 発生するポットホールに関する道路利用者の通報等が 増加しているとの指摘がある。道路としての機能を維 持し、現在の道路資産を安全かつ安定的に守っていく ためには、融雪期に発生する舗装の損傷実態を把握し、 損傷の発生要因やメカニズムを明らかにして、融雪期 の舗装の損傷を少なくする技術や、損傷が発生した場 合に適切に対処する技術を高める必要があると考えら れる。  そこで、本研究は、融雪期に発生する舗装損傷のう ち、特にポットホールに着目し、その発生実態と発生 メカニズムを解明して、今後の補修対策や予防対策立 案に役立てることを目的とした。手法としては、供用 中の道路においてポットホールの発生実態や発生条件 を把握するための実態調査を行い、その結果を踏まえ て、ポットホールを発生させる要因やポットホールの 発生メカニズムを検証した。その結果、いくつかの知 見を得ることができたので、以下に報告するものであ る。 写真-1 融雪期に発生したポットホール

(3)

 積雪寒冷地では、一年の中でも特に融雪時期や春先 に舗装の損傷が激しくなることが分かり、他の時期に 比べて舗装が大きなダメージを受ける時期であること が推察される。参考として、本州など比較的温暖な地 域では、ポットホールは6月の梅雨時期や9月、10月 の台風および秋雨の時期など、雨の多い時期に多く発 が確認された日とアメダスデータ等の気象条件の関係 の調査も併せて行った。さらに、ポットホールの発生 実態や対処方法に関して道路管理者および請負者にヒ アリング調査を行った。  札幌地域においては、国道337号の約25km 区間に おけるポットホール発生状況等を1月~3月の間、調 査した。調査は1日おきにポットホールの発生を確認 して発生月日と個数を集計整理するものと、調査対象 区間を1月~3月の間に週1~2回、ポットホールの 発生部位や発生状況を詳しく目視調査する形で実施し た。  これらの調査結果を基に、ポットホールの発生時期、 ポットホール発生部位や発生時の気象条件、さらに、 秋の時点におけるひび割れ率を実測と予測に基づいて 把握し、1月~3月の間のポットホールの発生状況と の対応関係などを調べた。 2.2 ポットホール発生実態調査結果 2.2.1 ポットホールの発生時期  遠軽管内におけるポットホールの月別発生件数を図 -1に示す。ポットホールは2月から徐々に増え始め、 遠軽地域の融雪期にあたる3月と4月に発生量が多い ことが確認された。また、寒さが厳しい1月に発生し ていない点も注目される。  札幌地域における調査においても、融雪期の2月初 旬ころから3月中旬にかけてポットホールの発生が多 いことが確認できた。 生するといわれている。今回の調査においては、それ らの時期にはあまりポットホールが発生しておらず、 温暖な地域とは発生時期が異なる傾向を示している点 が特筆される。 2.2.2 ポットホールの発生部位  遠軽地域と札幌地域での調査において、ポットホー ルの発生している部位を整理した結果を図-2、図- 3に示す。ポットホールの大半は、元々何らかのひび 割れや施工時の継目等が存在した箇所に発生している ことが確認できる。遠軽地域では、疲労ひび割れと横 断ひび割れ部に発生したポットホールの割合が約8割 を占めている。また、札幌地域では疲労ひび割れ部に 発生したポットホールの割合が約9割を占めている。 打継目などの施工継目部に発生したポットホールは約 1~2割であった。疲労ひび割れ部にポットホールの 大半が発生している結果となったが、これは調査対象 路線区間が疲労ひび割れの発生量が多い路線区間であ ったためと考えられ、他のひび割れの発生量が多い区 間では、そのひび割れに起因するポットホールの発生 割合が多くなるものと推測される。  図-4には、路面のひび割れ率と、ポットホールの 発生割合の対応関係を整理した結果を示す。ひび割れ 率が高くなるにつれて、ポットホールが発生する割合 が高くなることがわかる。つまり、ひび割れ率が高い 区間ほど、ポットホールが発生する確率が高いといえ る。  以上のようにポットホールはひび割れ部分をきっか けに発生することが多いことがわかった。 㪇 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 㪋㪇 㪌㪇 㪍㪇 㪎㪇 㪏㪇 㪋᦬ 㪌᦬ 㪍᦬ 㪎᦬ 㪏᦬ 㪐᦬ 㪈㪇᦬ 㪈㪈᦬ 㪈㪉᦬ 㪈᦬ 㪉᦬ 㪊᦬ 䊘䉾 䊃䊖 䊷䊦⊒↢ઙᢙ㩿ઙ㪀 㪇㩼 㪈㪇㩼 㪉㪇㩼 㪊㪇㩼 㪋㪇㩼 㪌㪇㩼 㪍㪇㩼 㪎㪇㩼 㪏㪇㩼 㪐㪇㩼 㪈㪇㪇㩼 㪩㪉㪊㪏 㪩㪉㪋㪉 㪩㪊㪊㪊 ో૕ 䈠䈱ઁ ᣉᎿ⛮⋡ ❑ᢿ䈵䈶 ഀ䉏 ᮮᢿ䈵䈶 ഀ䉏 ∋ഭ䈵䈶 ഀ䉏 図-1 遠軽地域におけるポットホールの月別発生件数 図-2 ポットホールの発生部位別件数(遠軽地域)

(4)

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3.3 融解期における路盤材料および路床材料の支     持力低下の検証  既往の調査によって得られている、路盤材料の凍結 融解後の修正 CBR 試験の結果6)を図-15に示す。凍 結融解前の修正 CBR 値と凍結融解後の修正 CBR 値 の比(CBR 保存率)は複数の路盤材料でいずれも70% 程度であり、路盤材料は凍結融解を受けると支持力が 低下することが確認できる。このような凍結融解作用 に伴う支持力低下に加えて、ひび割れ等から融雪水が 路盤や路床に浸入すると、路盤材や路床材の含水比を 高めることになるため、更に支持力は低下すると考え られる。  カッター切断により発生させたひび割れに対する透 水量試験結果を図-13に、曲げ破断により発生させた ひび割れに対する透水量試験結果を図-14に示す。  ひび割れ幅が3mm を超えると、測定の上限である 1400ml/15秒以上の透水性を示し、ほとんど抵抗なく 水が浸透していく状態となっている。  ひび割れ幅が0.5 ~1mm 程度の時には、透水量は 約800ml/15秒もしくは約600ml/15秒となり、ひび割 れ幅が3mm 以上の場合に比べると若干浸透しにくく なる。しかし、いずれのひび割れ幅においても、単位 時間当たりの透水量に程度の差はあるものの、供給さ れた水は速やかに浸透していくレベルであると評価で きる。本試験で設定した0.5mm ~1mm 程度および、 それ以上の幅のひび割れには、融雪水は容易に浸透し ていくものといえる。  融雪期には、路肩部等に堆積された雪が解け、その 融雪水が路面から流入し、さらにひび割れや打ち継ぎ 目部分から容易に浸入しており、その量も表面側から 供給される融雪水の量にもよるが、供給された量の大 半は浸透している状況にあると推察される。 㪇㪅㪇 㪇㪅㪈 㪇㪅㪉 㪇㪅㪊 㪇㪅㪋 㪇㪅㪌 㪇㪅㪍 㪇㪅㪎 㪇㪅㪏 㪇㪅㪐 㪈㪅㪇 ಾㄟ⍾೑ ಾㄟ⎈⍹ 㪚㫆㫅ౣ↢ 㩿㪘㪀 㪚㫆㫅ౣ↢ 㩿㪙㪀 㪚㫆㫅ౣ↢ 㩿㪚㪀 㪚㪙 㪩଻ ሽ₸ 㪇 㪉㪇㪇 㪋㪇㪇 㪍㪇㪇 㪏㪇㪇 㪈㪇㪇㪇 㪈㪉㪇㪇 㪈㪋㪇㪇 㪈㪍㪇㪇 㪇 㪉 㪋 㪍 㪏 㪈㪇 㪈㪉 䈵䈶ഀ䉏᏷㩿㫄㫄㪀 ㅘ᳓㊂㩿 㫄㫃 㪆㪈㪌⑽㪀 㪇 㪉㪇㪇 㪋㪇㪇 㪍㪇㪇 㪏㪇㪇 㪈㪇㪇㪇 㪈㪉㪇㪇 㪈㪋㪇㪇 㪈㪍㪇㪇 ᏷ዊ 㩿㪇㪅㪌䌾㪈㫄㫄㪀 ᏷ਛ 㩿㪊㫄㫄⒟ᐲ㪀 ᏷ዊ 㩿㪌㫄㫄⒟ᐲ㪀 ㅘ᳓㊂㩿㫄㫃㪆㪈㪌⑽ 㪀 ᏷ዊ㧦0.5㨪1mm ⒟ᐲ 図-15 路盤材料の凍結融解後の CBR 保存率 図-14 曲げ破断ひび割れに対する透水量試験結果 写真-4 カッターひび割れに対する透水量試験状況 図-13 カッターひび割れに対する透水量試験結果 写真-3 曲げ破断によるひび割れの作製状況

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れらの要素がひび割れや打継目等の舗装の弱点に作用 すると損傷はより早く進展するものと考えられる。つ まり、雪が解けた水が、ひび割れや打継目などの舗装 構造の一部から浸入もしくは浸透し、それが気温の変 動や日射に伴い凍結や融解を繰返すことで様々な形で 舗装体に影響を及ぼすものと整理できる。なお、ここ で、融雪水とは狭義でいえば、文字通り雪が解けた水 だけを意味するが、本研究が対象とする融雪水は、融 雪期に舗装体に悪影響を及ぼす水の供給源を総称した ものと位置づけており、図-17に示すように、路面へ の降雪が解けた水、道路脇に堆積してある雪が解けた 水、道路の周辺の雪が解けて道路へ路面や地下から流 入した水、季節はずれの降雨などを含んだものとして いる。 4.融雪期の舗装体への影響要因の整理および損傷メ   カニズム検討  前述した調査の結果を踏まえ、融雪期に舗装体にマ イナスの影響を及ぼす要因を整理し、融雪期に発生す る損傷の発生メカニズムを検討した。 4.1 融雪期の舗装体への影響要因の整理  融雪期における舗装体への影響要因を図解したもの を図-16に示す。融雪期の舗装体への影響要因として は、図-16に示すとおり多くの要因がありそれらが複 合的に関与していると考えられるが、敢えて単純化す れば主要な要素は、①水の存在、②温度変化(凍結融解、 ゼロクロッシング)、③荷重の作用の3つである。こ 〝ᐥጀ 㪘㫊ᷙว‛ጀ ☸⁁〝⋚ጀ 㒠㔎 Ⲣ㔐᳓䈱⥩ⵝ ૕ౝᶐㅘ Ⲣ㔐᳓䈱⥩ⵝ ૕ౝᶐㅘ ࿾ਅ᳓ 㒠㔐 䈵䈶ഀ䉏䉇ᛂ⛮ ⋡䈎䉌᳓䈏ᶐㅘ ゞਔ䈱タ⩄ 䋨ゲ㊀䋬䉺䉟䊟⸳࿾࿶䋬ゞਔ ㊀㊂䋬੤ㅢ㊂䋬䉼䉢䊷䊮䉇 䉴䊌䉟䉪䋩 ᷷ᐲⅣႺ 䋨ಓ⚿䋬Ⲣ⸃䋬䉷䊨䉪 䊨䉾䉲䊮䉫䋬 ᷷ᐲᄌൻ䋩 ᳓䈱ሽ࿷䋬⥩ⵝౝㇱ䈻䈱᳓䈱ᶐ ౉䋨Ⲣ㔐᳓䋬㒠㔎䋬㒠㔐䋬࿾ਅ᳓䋩 ᷙว‛ጀ䈱᧚ᢱ䉇⁁ᘒ 䋨㈩ว䋬䈵䈶ഀ䉏䈱ሽ࿷䋩 〝⋚ጀ䈱᧚ᢱ䉇⁁ᘒ䋨᳓䈱ଚ౉ 䉇ಓ⚿Ⲣ⸃䈮઻䈉ᡰᜬജૐਅ䋩 〝ᐥጀ䈱᧚ᢱ䉇⁁ᘒ䋨ಓ਄䋬ಓ⚿ Ⲣ⸃䈮઻䈉ᡰᜬജૐਅ䋩 ೋᦼ䈱⥩ⵝ⸳⸘ ⥩ⵝᣉᎿᤨ䈱⁁ᴫ 䋨ຠ⾰▤ℂ䋬᷷ᐲ▤ℂ䋬 ᣉᎿᛛⴚ䋩 ⥩ⵝ䈱ഠൻᐲว 䋨⚻ㆊᐕᢙ䋬ㅢㆊบᢙ䋩 ၸ㔐 ၸ㔐 〝ᐥጀ 㪘㫊ᷙว‛ጀ ☸⁁〝⋚ጀ 㒠㔎 〝஥䉇ᢳ㕙䈱㔐 䈎䉌䈱Ⲣ㔐᳓ 〝㕙䈱㔐䈱 Ⲣ㔐᳓ ਛᄩᏪၸ㔐䈎䉌 䈱Ⲣ㔐᳓ 〝஥ၸ㔐䈎䉌䈱 Ⲣ㔐᳓ Ⲣ㔐᳓䈱⥩ⵝ૕ ౝᶐㅘ Ⲣ㔐᳓䈱⥩ⵝ૕ ౝᶐㅘ ࿾ਅ᳓ 㒠㔐 ࿾ጊ䈎䉌䈱 ࿾ਅ᳓ 図-16 融雪期における舗装体への影響要因 図-17 融雪期における水の供給源

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装体内部や層間に隙間が生じさせる 5) 路床に氷晶を生じ、凍上や不等沈下を生じさせ る  舗装体に上述したような変化が進行したところに、 車両の走行荷重や衝撃荷重が加わることで、ポットホ ールが発生・進展することとなる。  なお、一口に融雪期に発生するポットホールといっ ても、発生位置や発生原因などは様々なものがあるが、 融雪期に発生する代表的なポットホールの発生タイプ を表層混合物層中心のもの、混合物層全層のものの2 タイプに大別し、各々の発生メカニズムを図-18、図 -19のとおり整理した。 4.2 融雪期の舗装体の損傷メカニズムと分類  次に、融雪水の浸入および浸入した水の凍結融解が、 舗装体に及ぼす具体的な変化について要約すると以下 の項目のとおりとなる。 1) 混合物層を脆弱化させる(ひび割れの進展、ひ び割れ周辺の混合物の脆弱化、空隙やすきまの 増加、アスファルトと骨材の付着の悪化) 2) 表層と基層の間など、混合物層の間の接着力を 弱め、層間ではがれやすくする 3) 路盤や路床を高含水比の状態にし、路盤材や路 床材が部分的に泥濘化するなどして、支持力が 低下する 4) 浸入した水が凍結する際に、体積が増加して舗

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参考文献 1) 土木学会舗装工学委員会寒冷地舗装小委員会:積 雪寒冷地の舗装、舗装工学ライブラリ6、2011. 2) 国土交通省:道路統計年報 3) 気象庁訳:IPCC 第4次評価報告書第一作業部会 報告書技術要約、2007 4) 久保宏、岩崎信行:アスファルト混合物の凍結融 解試験について、土木試験所月報 No.287、1977 5) 丸山記美雄、高橋守人、早坂保則:表層用アスフ ァルト混合物の凍結融解作用に対する抵抗性、平 成12年度土木学会年次学術講演会、2000. 6) 安倍隆二、丸山記美雄、熊谷政行:積雪寒冷地に おけるアスファルト舗装の理論的設計方法に用い る材料特性および環境条件に関する検討、寒地土 木研究所月報 No.708、2012. 5.結論  本研究から得られた成果は以下の様にまとめられ る。 (1) ポットホール発生実態  融雪期において、一日の間に気温が0℃をはさんで 変化する時に、ひび割れ部や打継目などの周辺や、融 雪水が流入・滞留しやすい箇所で、ポットホールの発 生が多い実態にあることが確認された。 (2) 融雪水が舗装体に及ぼす影響  融雪水などの水分の存在と凍結融解作用が複合し、 それが繰返し作用した場合、アスファルト混合物は一 般的には空隙が増加し強度が低下する方向の影響を受 けることが確認された。  また、舗装のひび割れからは舗装体内部に容易に水 分が浸入することが確認された。融解期には融雪水が 浸入し、凍結融解作用を受けてアスファルト混合物の 強度を低下させたり、路盤材や路床材の含水比を高め て支持力低下を招くなどの影響を及ぼすと考えられる。 (3) 融雪期の舗装体への影響要因と損傷メカニズム  融雪期の舗装体への影響要因としては、数多くの要 因がありそれらが複合的に関与していると考えられる が、主要な要因は、①水の存在、②温度変化(凍結融解、 ゼロクロッシング)、③荷重の作用の3つに整理でき る。これらの要因がひび割れ等の舗装の弱点に作用す ると損傷はより早く進展すると考えられ、ポットホー ルなどに代表される融雪期の舗装損傷の発生に至ると いうメカニズムを提示した。 (4) ポットホール対策における道路管理の効率化  本研究で明らかとなったポットホールの発生実態、 融雪水が舗装体に及ぼす影響やポットホールの発生メ カニズムを念頭に置くことで、ポットホール対策の立 案や、ポットホールの発生による道路利用者の不便を 減らすことなどに役立てることができると考えられる。 6.おわりに  本報では、融雪期に発生する舗装損傷のうち特にポ ットホールに着目し、その発生実態と発生メカニズム について記した。これらの結果を踏まえ、ポットホー ル発生リスク予測手法の検討、融雪期の舗装損傷の補 修対策や予防対策について現在研究を進めているとこ ろであり、後日報告することとしたい。  最後に、実態調査にご協力いただいた国土交通省北 海道開発局の関係者の方に謝意を表します。

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丸山 記美雄* MARUYAMA Kimio 寒地土木研究所 寒地道路研究グループ 寒地道路保全チーム 総括主任研究員 技術士(建設)、博士(工学) 安倍 隆二** ABE Ryuuji 寒地土木研究所 寒地道路研究グループ 寒地道路保全チーム 主任研究員 技術士(建設) 熊谷 政行*** KUMAGAI Masayuki 寒地土木研究所 寒地道路研究グループ 寒地道路保全チーム 上席研究員 技術士(総合技術監理、建設)

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