1
論 文】 UDC ;624.
014.
2:691.
714 :62−
462 日本 建 築 学会構 遣 系 論文 報告 集 第 408 号・
1990 年Z 月曲 げ
と
圧
縮
を
受
け る
冷 間 成 形 円形 鋼 管 部 材
の
終 局 耐 力
の
統 計 的評 価
正 会員 正 会’
員越
黒
智
羽
健
啓
之* 明* *1.
は じめ に 限 界 状 態 設 計で は部 材の耐 力や変形 能 力に影 響 す る 数々 の因子を統 計 的に扱い, 総 合 的に部 材あ るい は構造 物の安全 性を論じ る必 要がある。 こ の問 題につ いて は多 くの研究成果が あり,
それら に基づい て限 界状 態 設 計は すで に実用 段 階にあ る。
し か し,
それら の研 究は主にH’
形 鋼 部 材につ いて考 察さ れてお り1,『
3,,
円 形 鋼 管 部 材の 耐 力 問 題 を設 計 段階まで論じ た研究は少ない。 部 材 耐 力の統 計 的な評 価に は数々 の方 法が ある が,
現 在の ところ設 計に生かせるの は,LRFDi
)に 代 表され る 実 験 値 と解 析 値に基づい た1次 近 似の 2次モー
メ ン ト法 で あ る。
ま た, 曲 げと 圧縮 を受ける部 材は,
荷 重 状 態に よ り耐 力が変化す る た め に, 厳密な安全性の評 価は 困難 であり,
耐 力の評 価 方 法の統一
が 必要であ る。
こ の耐 力 評 価の 問題につ いて も,LRFD
で な され た方 法は有 効 である と考え ら れ る。
しか し, 曲 げ と 圧 縮 を 受ける部 材の 耐 力に対するLRFD
の統 計 的な評 価 方 法は,
実 験 変 数に か か わ り な く耐 力の変 動 係 数は一
定 として,
設 計 値に対 する実 験 値 の平 均 値と変 動 係 数を求 めて いる。 部 材 耐 力の変動 係 数 は,
実験変数,
た と えば細長 比により変化 す るの で,
こ の方 法で は合 理 的な評 価と な ら ない 。 この欠点を解消で き るものζして,
確 率変数の分布形を質点モ デル で表現 し た数値解 析で耐力 問題 を考 察し た研究4 〕が あ る 。 曲 げと圧 縮 を受 ける冷 間成 形 鋼 管 部 材の耐 力は簡 単な 解 析 値5}とよく一
致 する6}・
η 。 ま た,
実 験 資 料の数は限ら れ て い る6
つ まり,
実 験 値 を評 価するだ けで は,
安 全 性 の論 議 ができない の で, 数 値 解 析で基 本 的 な考 察 を行 う 必 要が あ る。 そ の場 合に,
塑 性 加工後の素 材の応 か ひ ずみ関 係の特性や複雑な残 留応力の評価が問 題と な る。’
ま た,
冷 間成形に よ り素材は高い 降伏応 力と な るの で,
部 材の変形 能 力が小さ く な ること が報 告され て いるS)。
これ ら は設計に関連す るの で,
統 計 的に応 用 が 可 能な形 で の応カー
ひずみ関係の評 価が 必要である とい え る。
著 者らは文 献9 )に おい て冷 間 成 形 円 形 鋼 管 材の応 カー
ひずみ関 係の一
般 化を試みて お り,
その結 果か ら局 部 座屈耐 力と中心 圧 縮柱の耐力につ い て考 察し た。
た だ し, 応 カー
ひずみ関係の一
般化に も数 値 演 算が必 要であ り,
物 理 的な意 味が不明確で あ る。
こ こ では,
まず応 カー
ひずみ関 係に お け る硬 化 指数の簡 便 な 近 似式 を提 案す る。 そ の結 果 を 用いて, 曲 げと圧縮を受け る部 材の耐 力 問題の統 計 的 考 察 を行う。
2
,
冷 間 成 形 完 成品 の み か け の 応カー
びずみ関 係 2.
1 硬 化 指 数の近似 値 応 カー
ひずみ関係をRamberg−Osgood
式で近 似 する た めに は 応 カー
ひずみ曲線上の 1 点 (応 力,
ひずみ )の値 ある条 件 を満足 す る応 力,
あ るいはひず みの値 が最 低 必 要で あ る。
み か け の降 伏 応 力σy (O.
2% 残留ひずみ値 )が明 ら かであ れ ば の条 件が与え られ る の で,
・
一
&
・・・
…(
£
)
M (・ ・ 箪・
1参 照 ) た だ し,
E :ヤング係 数 (2 100 t/cmZ )の条 件に引 張 強さ時の対 数ひずみ ε, を用い て硬 化 指 数 m を 求める方 法はすで に導か れて い る】ω
。
しか し,
21
.
0 本 論 文の一
部は,
文献2の に発表し た も の で あ る。
* 熊 本 大 学 助 手 # 熊 本 大 学 教 授・
工 博 (19S9年8月10日原 稿 受理,
1989年 12月コ9日採 用 決 定 } O Oゆ
2 0ゆ
4 0¶
6 0.
8 1.
0 δ lx)Fig
.
1 Stress・
stram models showing effect of hardening ex.
PQnent3e m 20 10 O O
.
6 0.
7 0.
8 0,
9 1,
0 σh!σ囗Fig
.
2 Relations between hardening exponent and yield ratio ay と引 張 強さ σ uに は統計量が ある が, ε e に は統 計 量が ない。
そこで,
引 張 強さσu 時の真 応 力 σ。 と ε。との 関 係に注目 すると恥一
詈
+ ・… 2(
σe σ y)
m…・
・
…・
・
…・
…・
……・
・
…
〔1 > ε。=1n
〔σ。/σ。)・
…・
………一 ……・
一 …
(2)詈
+ ・… 2頭 舞)
m −1・
……・
…………一 ・
(3 )σ y と au の値をこれら の条件式に代入 し
,
収 束 計算で m を求め た9}。
しか し,
こ れらの条 件 式は複雑な非線形 式で あり,
m を 求 める収 束 計 算 も複 雑であ る。 そこで,
近 似解を求める た め に (1 ),
(3 >式の弾性部分の 項を 無 視し,
σ e と εe を消 去す る と 璽n (ay/σ u)=1
/m {1− ln
(500
/m )}……
…・
・
…
(4 ) この (4 )式で注目 すべ きことは,
硬 化 指 数が降 伏 比 のみの関 数と な ることで ある。Fig.
2に (4)式を実 線 で示す。
し か し, (4
)式で は数 値 的に m を 求 めな く ては な ら ない。
そこ で,
(4)式を適 当な関 数に置き換 え ることによっ て m の解を求め る。3
次ま でのTaylo
[展 開 式 ある い は対 数 式の級 数 解で (4 )式 を近似す ると誤 差が大 きく,
次 数を増や し て も 解が複雑と な り実用に な ら ない。
そ こ で, (4)式 右 辺 のlnx
を下 式で近似す る。 y= an +bx
°’
5+ C こ の関 数に は3
つ の 未定 係 数 (a, b, c)が ある か ら,
ln
x の あ る点に お け る接 線こ う配と曲 率こ う配を合わ せ る。
m の平 均 値は都 合 よく10程 度であ る か ら,
m == 10の点まわ りで各こ う配を一
致さ せ た。
その結果 か ら (4>式は璽n (σy/σ
=
)=
Ci・
m−
t 十C2・
M−
o’
5十C3…・
………
(
5
)2C
,S
十Ci−
2CiC3−
C2
4CiS−
4CIC3 十C2
m =
!
2(
S − C3
)2
…………・
…・
…・
……・
…・
・
…
(6 )ただし
,S ・
=C3
のと き m=
(Ci
/C2
}1一
56
一
S =
1n
(σuノσu},Ci
=−
5.
91,
C2=
L26,
Ci.
;− O.
1
こ の (6) 式で与 え られ る m と降 伏比 との 関 係 を Fig
.
zに破 線で示 す。
実 線の (4)式 と ほ ぼ一
致し てい る。 降 伏 比の統 計 量が明ら か に な れば, (6
)式 を 用い て応 カー
ひずみ関 係の統 計的な一
般 化が可 能で ある。
2.
2 降 伏比の 統計 量 残 留 応 力な ど の影響を含ん だ み か けの応 カー
ひずみ関 係を近似す る た めに,
降伏応 力 ay は短 柱の圧 縮 試 験か ら得ら れ る値と して い る。
し た がっ て,
(6
)式の降 伏 比 も圧 縮 試 験の降 伏 応 力を使 用し な け ればな ら ない。
降 伏 応 力 σ。
や引 張 強さ au と同様に降伏比の実 験 値 を回帰 すれば必 要な統 計量 を得るこ と がで き る。
し か し,
引 張 試 験 と 圧 縮 試 験のそ ろっ た資 料は少な く, 両 者の そ ろっ た資 料を回 帰し て も,
統 計量 と して の 信 頼 性は σy,
σ u の統 計量 よりも 低 く な る。
そこで, Cy と σu の統 計 量か ら降伏比の統 計量 を誘導す る。
ロー
ル成 形されたSTK 41 材の統 計 量は lnay=−
O.
0803・
1n(DIt )十1n4.
56十lnM
,COV =0.
121 サンプル数 :68・
・
…・
…・
…
(7
}ln
σ。=−
o.
0034・
ln
(D
/t>+ln
4.
78+ln
M
,COV
=・O.
078 サ ンプル数 :320…・
…・
…
(8 } p=・O.
576
(lnM
,とln
M2
の相 関 係 数 ) であ る か ら9)葺
一
・・
954・
Ms
(
?
)
,
°’
°’6e・
…・
・
……・
・
……・
…
(・) た だ し,ln
M3
=
ln
Mi
− ln
M2
し た がっ て,1n
M3
の標準偏 差す な わ ち降 伏 比の変 動 係 数 はVar (lnM ,)
=
Var (lnM ,)十Var (1nM
,)−
2ρ・Var
lnM
匸・
》气煎 翩 か らCOV
(Ms
}= arln
M
,=O.
099
ただし,COV
:変 動 係 数,
Var :分 散 降伏比の実験資 料をFig.
3に示す。
た だ し,
図中の 実線は (9
)式の確 率変数 餓 を1.0
と し た平 均値で あ り,
破線は平均 値か ら変 動 係 数の2
倍分 は な れ た95
% 1.
0 76 「 U OOD6
丶 δ 4,
0 0.
3・
0.
2 10 20 30 4050 100 D!t信頼限 界で あ る
。
そ れ らの誘導さ れ た値は実験資料を よ く表し てい る とい え る。
3.
統 計 的 評 価 方 法 LRFD 方 式に必 要な耐 力の統計量は平 均 値と変動係 数で ある。 近 似 的に,
耐 力の対 数 値の標 準 偏 差が耐 力の変動 係 数 と等しい とす る。
耐 力の対 数 値y
が各 確率 変数の関 数 となること を前 提 としてy= 9(x ,,
x
・,・
・
:,xn
各 確 率変数の平均 値 μx、
,μx、
,…,
Uxn の ま わ りで 1次 近 似のy
の平 均 値はE
(Y
)= 9( μx且
,
μXt,
…,
μxπ
)…・
………・
…
(10) ま た, 各確率 変数 間の相関を考慮してy
の分 散はVar (・)・
類象
(
暴
職
)
・・v (X
・,
・X
・)………・
……・
…・
…………
(11) た だ し,Cov
:共 分 散 こ の近似はgが陽 関 数で ない場 合に は直接 使 用する こと がで き ない 。 し か し,
部 材 耐 力が数 式の形ではな く, 数値解析の結果と し て求め ら れ る と す る と,
各 確 率 変 数 の平均 値 を用い て数 値解 析を行うことに より,
(10) 式 の値を求め るこ と がで き る。 ま たtg を多 項 式で補間 する数 値 微 分 法 ]1)に よ っ て (11 )式の係数を与え るこ とに より,
耐 力の分 散 を求め る こと がで きる。 そ の場 合に問 題 とな るの は刻み点を ど の よ うに取る かであ る。 そ こ で,
接 線 剛 性 理 論に こ の方 法 を用い て,
中心 圧縮 柱の耐 力の平 均 値と変 動 係 数 を求 める。 そ れ らの数 値 と 確率 論 的に厳密な値であ る確 率 密 度 関 数の数 値 積 分の結 果 を比 較す る。
その ことで,
1次近似の平 均 値の妥 当 性 と数値微分に お け る関数 g の刻み点の検 討 を する。 なお, 計 算する点に高 次モー
メン トを考 慮して確率の 重みをか け,
演 算 結 果か ら統計量 を 得る と小 野ら4, が用 い た 3point 法の概 念と同じで あ る。
こ こ で は,
(ll
)’
式に基づい て分 散 を求め る た め にの み耐力の関数 g を 離 散 化してお り,確 率の分 布 形などの考慮は して いない。 ま た, こ こ で の方法は (11
)式の 1次 近 似 式に基づい て い る た め に,
各確率変数間の相関を考慮す ること がで き る。
(7 ),
(8
)式にお け る降 伏 応 力に関 する確 率 変tw
M, と引 張 強さの確 率 変 数M
,が耐 力に関 係す る と してXi=
ln
Mh
X2
=ln
M2
と す る。X
,とXz
の相 関を考 慮し た 2次 元の確 率 密 度 関 数 を与 え,
そ の確 率密 度関 数に基づいた応 カー
ひずみ関 係の モ デルか ら得た 接線剛性理論 値の確 率 分 布を数 値 積 分し て 平 均値と変動 係 数を求め た9♪ 。 そ の平 均 値 をFig.
4に, 変動係数をFig.
5
に そ れ ぞ れ実 線で示 す。 な お,
Fig,
4 2.
0 5 0=
.
2
丶■
.
コ
Z 0.
5 O O.
2 0.
4 0.
6 0.
8 1.
0 1.
2 1.
4 1,
6 XnFig
.
4 Comparison between apProximate mean and exact mean values of column strengths (P〃=
30)COVO
.
15 0,
10 0.
05 0 0.
20。
40甼
60。
8 1・
0 1.
2 1.
4 1.
6 XnFig
,
5 COV of column strengths (P/t=
30) の たて軸は公称の降伏 軸力Ny.
n で無 次 元化 し て い る。
前 述の よ うに,1
次 近 似の平均 値は, 各 確 率 変 数の平 均 値 を 用い た 接 線 剛 性 理 論の値と なる。
すな わ ち,
σs と atC の平均 値は (7 ),
(8 )式か らa。
,
・一
… 6(
♀
)
+
… (・/・m ・)・
…………一
(・2>・
.
,
・一
・・
7・(
♀)
一
゜’
°°3‘ (・/・ )……・
・
…・
…・
・
(13) この2
つ の式を (6 )式に代入 すると m の 1次 近 似 の平均 値が得られ る。 その m の平 均 値と σy の平 均 値を 用いてRamberg −Osgood
式を与え る。
そ の応 カー
ひずみ 曲線を用い て求めた接 線 剛 性 理 論 値を Fig.
4に破 線で 示す。
(12
), (13 )・
式 を 用い るこ とで,
μx、,
μx、を用い た こ とにな り, こ の値は 1次 近 似の平 均 値と な る。Fig,
4
に おい て, 破線と実 線に若 干の差を生 じ て いる の は,
耐力の確 率の分 布 形 がいびつ に な る細 長 比の領 域 であり,
これ は1次近似によ る誤 差 と考え ら れる。
し か し,
非 常に小さ な差であ り, 平均 値は 1次 近 似で十 分な 精 度が あ ること と, (6)式の近 似 式が妥 当で あ るこ と が分か る。
次に, 分 散につ い て考え て み る。
(11 )式に必要な 1 次 微 分の値は Lagrange の方 法に基づい た数 値 微 分111で 求め る。変
動 係 数を基 準に して多 項 式に当て は め る刻み 点 を下 記の よ うに設 定 し た。
Case 1 5点 (−
2,−
1,0、1,2
)Case
2 3,
点 (−
1,
0,
1)一
57
一
Case
3
5点 (−
1,−
0.
5,
0,0.
5,
1
)Case
4 3点 (−
0.
5,
0,
0.
5 )Case
5 3点 (−
2,
0,
2} かっ こ の中の数 字 )fiは標 準 偏 差の倍率で あ り, そ れ ぞ れ の確 率 変 数の 平 均 値か ら標 準偏 差の rs倍 分 離れ た数 値で演 算を行い耐力 を求め る。
その耐 力の対 数 値を通る 多 項 式 を 求め,
その多 項式を微分 し て (11
>式の係 数 を 求め る。
確 率 変 数 XI を例に説 明す る。
gの偏 微 分 項 を求める 場 合には, 普 通の変 数と確 率変数を区別す る必要は ない の で,
説明の便 宜上,
関 数g にお け るXi
を x と す る。
μx、
か ら9
,の7
,倍 離れた降 伏 応 力の値をσ y,
rt で表 し, その降 伏 応 力 と 変 数x の値 Xi との関 係はln a。
.
,t=
1n a、,
m + x、=−
O.
0803・
ln
(D/t} 十ln
4.
56十 溢・
ζ, ただし,
ζ,は確 率変数Xi
の標 準偏差 (0.121
)である。
a。,
v、
と引 張 強さの平 均 値 (13 )式 を (6> 式に代 入 し て m を 算 定し,
7,に対 応し たRamberg−
Osgood
式を求 め る。
そ れら3組ない し5組の応 カー
ひずみ曲 線に対し て接 線 剛 性 理 論 値 を 求 める。 そ れ らの理 論 値の対 数 値 y‘か らg
をLagrange の 2次な い し4次の 多 項 式 In−
1 で表すと 9(Xi,
μXi)=ln−
1(二じ) 一加
(籍講
≡
謬
;
;
;
籌
寰
i
猛
課
ii
;
;
緊臻
こ の 多項式を x で微分 す るこ とで,
(11 )式中の 偏 導 関 数 ∂g/∂Xi
の μx、
,
XIK、
にお け る値を求め ること がで き る。
同 様に ∂g
/∂x,の値を求めて変 動 係 数 を 算 定し た。
Fig.
5に 演 算 結 果を示す。
脇(1/π・
2.
4/2100・
λ)が0.
8 以 下の領 域で は,Case
5を 除い て数 値 積 分の値 と1次 近 似の値は よ く一
致して いる。 そ れ以 外の領 域で は,
そ れ ぞ れ若 干の差は あるが,
よ く傾向が表さ れ て い る。
こ こ で生 じ た差は,
耐 力の確 率 分 布の形がい びつ に な るた め と考えられ る。 これ は,
接 線 剛 性 理 論に上 限 値 (オ イ ラー
荷 重 )が存 在する ためである か ら,
こ の上 限 値の影 響をあ ま り受け ない曲 げ と圧 縮 を受け る部材耐力につ い ては,
こ こ での方 法で十 分な精 度がある もの と考え ら れ る。
4.
部 柑の終 局 耐 力の統 計 量 4.
1 部 材 耐 力の数 値 解 析 法 面 内に の み変形を生じる部 材の最大 耐力を解 析 的に求 める方 法には数々 の提案が あ る。 精度の高い厳密な解 析 方法 も あ る が, 耐 力の一
般化 に は多く の数値演 算が 必要 であ るの で, た わみ形 を正 弦 波で仮 定し た近 似 解 5)一
’
7) の 妥 当性を既往の実験資 料6〕・
T},
IZ)−
IT] を用い て検討す る。 た だ し, 断面を 周方 向に40
分割し た数値 積分 法で断面 力 を求め ること と す る。一
58
一
N
)
、1
,N
Ne
司
・削
↑
N
e )・
CN ( 階 1 )−
OH ( 盖 岡Fig
.
6 Test collditions forbearn
.
columnsMu
.
e〔±・
cml 1000 100 10 3 3 黜0 100 1000 凹”.
o 随・
oolFig
.
7 Test results and predictions of ultimate strength of beam.
columns 既往の 実験に はFig.6
の よ う に3
種 類の載 荷 方 法が あ る。 こ の 近似解で 求めた最 大 耐 力はFig.
6 (a),(c) の タイ プの実 験 値 と よく一
致 する こと が明らか になっ て い る6)・
7)。
(6 )式で m を算 定する た め に は素 材の 引 張 強さと 短 柱の圧 縮 試 験の 降伏 応 力が必 要である。 実 験 資 料にお い て両 者が公 表さ れて い る場 合に は (6 )式を用い て応 カー
ひずみ関 係 を 近 似し た。 短柱 圧 縮 試 験の応 カー
ひずみ 関係のみが 公 表 さ れて い る場 合に は,0.
4% の残 留ひず み に対 応す る応 力 σ。t
、を用い て m を求め た。
す な わ ち1n
2
m
=
ln
(。。.
、/。 y) 短 柱の圧縮 試 験の結果が 公表さ れて いない実 験 資 料と 熱 間圧 延の材 料 あるい は焼 鈍 材の 実 験 資 料は扱っ てい な い。
Fig.
6の すべ て の載 荷 方 法で は,
曲 げモー
メ⊃・ トが変 化 するの で,
最 大 曲げモー
メ ン トの実 験 値乢,
,と計 算 値 職 cとの関係 をFig.
7に示 す。 Fig.
6(a)タイ プでは,
一
部の実 験 値が計 算 値を下 回っ て いる。
これ は文献7
) の資 料であり,
そ の文 献に述べ ら れて い る よ う に局部座 屈の影 響 と 考えられ る。 また (b)タイ プで は,
実 験 値 は計 算 値 よりも若 干 高い こと が分か る。(c)タイ プでは,
(
ご Z b1 / / / / / / (卜
1u
.
附,
Nu
.
畍) /θ
(
M
凵・
d・Nu,
d)M
〔t・
cm )Fig
.
8 Definition of resistance of beam.
columns 耐 力に摩 擦 力の影 響が報 告 されている曲 げ耐 力の小さい 小 径の実 験 を 除い て,
計 算 値は実 験 値と よく一
致して い る。 総 じて実 験 値 と計 算 値の相 関は良好である。
Fig.
6(b
)の載 荷 方 法で は曲 げモー
メ ン トに こ う配が ある た めに等 価 曲 げモー
メ ン ト係 数Cm
を 考え な けれ ば なら ない。
しか し,実 験資料の細長 比 λが 小さい た め に, 塑 性 設 計 指 針13 ,の算 定 式で はCm
がほぼ 1.
0とな りCm
を考え ても設 計 値は変わ ら ない。
ま た,
こヒで行っ た解 析 方 法ではCm
の違い による耐 力の変 化 を表 現で き ない の で,
Fig,
6(b
)タイ プの λが大き な領 域における部 材 耐 力は考 察の対 象 外とす る。 4.
2 平 均 値と変 動 係 数 前述の部 材耐 力の数値解析 法か ら得た最大耐力を前述 の統 計 的 評 価 方 法に適用 して部 材 耐 力の 統計量 を求め る。
この場 合に,耐 力の変 動 を評 価す る方 法が問題と な る。
つ ま り,
荷 重の経 路が 明 ら かでな け れば,
耐 力の分散が 求め ら れ ない。 こ の問 題には多くの議 論が あ る が,
こ こ で はLRFD
]) と同様に,
Fig,
8
に示す よ う に荷重は M−
N 相関 図の原 点か ら直線で変化す ること と す る。 す な わちM =
=
N ・
e と して,
偏心量 e は確 定量 と して変 動は ない もの と考 え る。
ま た,
こ の直線上で部材 耐 力が変動する こ とにな るの で, 部 材の最 大 耐 力の統 計量 を偏 心 圧 縮 柱の軸 方 向 耐 力Nu を用いてR
=
ハlu・
V〆i
:F
−
≡葬F・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(14) の値で評 価 する。 ま た
,
Fig.
8の よ うに曲 げモー
メ ン ト を横 軸と し,
圧 縮 力を たて軸と し た と きの直線の角 度θ に対する R の変 動 係 数の 変 化を調べ る。 直 線の角 度 θ と荷 重 状 態にはN
1セm θ
=
7
=
万 の関 係 が ある。
こ こで,
θは荷 重 状 態 を表す変 数 とな り, 偏心 量の みで変化 す る確 定量であ る。
解 析の 変 数は細 長 比 λ=
20,
40,
60,
80,
120と し,
2.
O 5 0=
.
2
丶暉
.
コ
Z 0.
5 0 1.
5 0匸
.
、
Z 丶一
.
コ
Z 0.
5 0 1.
5 0【
.
2
丶.
.
コ
Z 0。
5 o1.
5 0【
.
2
丶・
.
2Z O.
5 01.
0 5 翫己
.
2
丶・
.
・
Z O。
50
}.
0 1.
5 鬥・.
・!M卩.
・ 2.
0 0.
50
1.
0 1.
fi Mu.
■!Mp.
n 2.
0 0.
50
1.
0 1.
5 Mu.
購/門P,
n 2.
O 0.
50
1.
0 1.
5 門凵.
・!凹P.
n D!t±10馬
100 2.
0 {e 〕λ=120
0 0.
5 1.
0 1.
5 2・
O Mu,
・!凹卩.
nFig
,
9 Mean Ψa 且ues Qf ultLrnate strengths of beam−
columns一
59
一
COVO
.
15 0。
10 0.
05 CNS#5 Cese卜4 0 0 0.
1π D.
2π 0.
3π 0.
4π 0.
5π θ ‘陥 d〕Fig
.
10 Effect of dlfferences in several discreteヒechniques onvalue Qf COV 〔D/t
=
30> M−
N 相 関 線が 90分 割する よ うに偏心 量 を 設定し, 径 厚 比D
/tは10か ら100 まで 10おきと し た。
なお, 外 径は165.
2mm
と した。最大 耐力の 1次 近 似の平 均 値を公 称の 降 伏 応 力 σy
.
n (2.
4t/cmZ )で計 算 し た公 称の降 伏 軸 力Ny,
n と 全 塑 性 モー
メ ン トM
.,で無 次 元 化してFig.
9に示 す。
平 均 値 は公称の耐力に比べ て か な り高く な る。
また, 径 厚 比に よ り降 伏 応 力と引 張 強さ が変 化 する た めに, 最 大 耐 力の 平 均値も1
径厚比で変化して い る。 分 散につ いて は,
まず 前 述の数値微分におけ る刻み点 の違い によっ て どの程度の差が分散に現れ る かを検 討し た。 刻み の点によっ て分 散の差が顕 著な λ己120
の演 算 結 果をFig.
10に示 す。
Case
5の θが大きい場 合,
す な わ ち高 軸 力の場 合を除い て,
すべ て の演 算 結 果に大し た 差は ない 。 これ は,
中 心 圧 縮 柱と違っ て耐 力の確率密度 の分布形がいびつ で は ない こと を示 して い る。Case
5 を除け ば どの演 算 結 果 も大し た差がな い の で,Case
2
の演 算結果 を用いて以 下の考 察 をする。
演 算 結 果をFig,
11に示 す。
径 厚 比に よ る変動係 数の 変 化は λ=
120の場 合に顕 著である。
ほ か の細長 比では,
径 厚 比に よる変 化は ほとんどない。
ま た,
θ に対す る変 動 係 数の変化は細 長 比によ り異な る。
変 動 係 数と平均 値の変 化は複雑で あ り,LRFD
方 式 の設 計におい て必 要な低 減 係 数と平 均 値 を 簡 単な 形で表 すこと はで き ない もの と考え ら れ る。
5.
設計耐力 の 考察 5.
1 全 塑性限界耐力 冷 間 成 形 材の よ うに降伏 棚が現れ ない材料で は,
全 塑 性モー
メ ン トの評価自体に問 題 が あ る。
現 在の耐 力 設 計 で は, ひずみ硬 化による耐 力の上 昇を見 込んで い ない の で, 全 塑 性モー
メ ン トが設計に使用す る部材耐 力の最 大 値であると考え ら れ る。
し か し,
明 瞭な降 伏 棚が現れ な い 場合に は徐々 に応カー
ひずみ関 係の剛 性が変 化す る た め に,
全 塑性モー
メン トを設 計の最 大 値と して良いのか ど う か不 明であ る。
本 論で は, 0.
2%の残留ひずみ に対 応 する応 力 を降 伏 応 力 としてい る が, この値を用い て算 定し た 全 塑性モー
メ ン トと部 材 耐 力との関 係 も定か でな い。
一一
60
一
COVD,
15 0.
10 0.
05 D/t=
10贈
1DO 000
.
1π O.
2π O.
3π 0.
4π 0.
5π θ 1「Ed 〕 〔a
〕λ=20
COVO.
15 O.
10 0。
05 0 〔b
D/t=
10閹
100 COVO。
15 0.
10 0.
05 O O.
1n O.
2π O.
3K O.
4rt O.
5π 0 〔C θ tred) λ=40
D!t言
10嘲
100 COVO.
15 0.
10 0.
05 0 0.
1π 0.
2π 0・
3π 0.
4疋 0。
5rt θ tred ) λ=60
D!t≡
10−
100 0 。 0.
1. 02 。 0.
3。 0.
4rt 。.
:i. θ lredl [d
}λ=80
COVO.
15 0.
10 O,
05 D/t=
10陶
100 O O O.
1π 0.
2π O.
3π 0.
4π O.
!iπ θlraの 【e
〕 λ=120
Fig
.
11 COV of ultimate strengths Qf beam.
columnsそ こで
,
短柱 (λ一
20 )の最大 耐 力が全 塑性 状態の限 界 耐力であ る と して, これ を 全 塑性モー
メン トの計 算 値 と 比 較して み る。
6 54 β 321 0 0 0
.
1π 0.
2π O.
3n O.
4π 0.
5π θ lred )Fig
.
12
Safety index for full plastic limit state計値
1V
喇 と曲げに対す る設計値Mzad
との関 係は鴛
一
・ ・s(
π Nv,
d2Ns.
d)
…・
……・
・
…・
……一 ・
(15) ただしMp,
d=
Zp
・
ay,
el:設 計 用 全 塑 性モー
メ ン ト Nyri=
A・
σs,
dl
設 計 用 降 伏 軸 力 σ。,
d :設 計 用 降 伏 応 力,
Z . :塑 性 断 面 係 数A
:断 面 積 Fig.
8に示す よ うに 廻嘸 と1V昭 は MKd=
Nzaa・
e を満足 す る と し てR
,=N
、、d’
s/i
’
IF5T と したRd
を設計用 限 界 耐 力と す る。 た だ し,
(15) 式 で は数 式の形でR
.を与ネること ができな い の で,
2分 法で上記の条件を満足する (ユ5 >式の根を求める。
また,
Fig,
11に示 し たR
の 変 動 係 数 ζ。 を考 慮し て R.と R の平 均 値Rm
との関 係を調べ る。 その た めの指 標とし て ln(Rth/Rd)・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(16) β’
=
ζ, β’
はLRFD
方式 の安全指 標 βに分 離 定 数a を か け た もの と等 しい。
ま た,
荷 重の 変 動を考えない 場合に は,
設 計 変 数に よっ て β’
が変 化し な けれ ば安 全 性が一
定で ある といえ る。 (15) 式の設 計 用 降 伏 応 力 ay,
d に公 称の降 伏 応 力σy.
n (2.
4t/cmZ )を用い た β’
をFig,
12に示 す。
β’
は径 厚 比で大き く変化 して いる。 し か し,
θに対しては あ まり 変 化し ていない。
これ は, (15
)式 は妥 当で あ り,
公称 の降 伏 応 力 とした設 計 用 降 伏 応 力に問題が あ ること を示 してい る。
そこで, (7 )式の圧縮試 験の降伏応 力の統 計量 に基 づい て設 計 用 降 伏 応 力 を与え る。
す な わ ち,LRFD
方 式と同様に σ y.
d== ay,
パ exp (−
fla
・
ζ1)Z
ρ と A を確 定量 とし て い る た め に,
こ の式 中の β。
はMp
とN
。の 安 全 指 標と考えること ができ る。 しか し,
降 伏 応 力 ay は0.2
%の残留ひずみに対応 す る 応力であ 65 4 β 3 2 コ 0 0 0.
1π 0,
2;匸 0・
3π Og4π O.
57匸 θ Cred】Fig
.
13Safety
index controlLed by statistical data of compress.
ed yield stresses (β巳
=
3.
0) り, その ay で与え たMp
とNy の計
算 値が部 材の曲 げ耐 力 と圧 縮 耐 力 を 表し てい るとはい え ない。
そのた めに, β。
を与えた設 計 用 降 伏 応 力 を 用い て 求め たR
αと 曲 げ と 圧 縮を受け る短 柱の 限 界耐 力の平 均 値Rm
とを 比 較 し て, β’
と βa が等しい かどう か検討す る必要が ある。
βα と β’
が等 し けれ ば, その設 計 用 降 伏 応 力は部 材 耐 力の 評 価に適切で ある とい え る。
β。
=
3.
0と し た設 計 用 降 伏 応 力 を 用い て (15) 式 に基づい てR4
を 算 定 し た。
Fig.
13に計 算 結 果 を 示 す。 径 厚 比の変 化に伴 う降 伏 応 力の 変化 と部材 耐力の 変化は一
致 し な い た め に,
Fjg.13
の よ うに径 厚 比に よっ て β’
は変化す る。 ま た,
β。とβ’
は か な り異な る値で あ る。
これ は, 部材耐 力の 統 計 量が素 材の応 カー
ひずみ関 係に お け る降 伏 応 力の統 計 量ほど 径厚比の影 響を受け ない た め で あ る。
す な わ ち, 降 伏 応 力が高い場 合に は, 降 伏 比が萵く な り硬 化 指 数m は大き く な る。
し たがっ て, 降 伏 応 力 近 傍での応 力上 昇率は小さ く な り,
ほぼ降伏応力で部材の 最大 耐力が決ま る。 逆に降伏応力が低いと m が小さ く な り,
応 力の上 昇率は大き く な り,
ひずみの増 加が小さ く て も応 力はか な り上 昇す るの で,
部材の最大耐力は全 塑 性モー
メ ン トよ り も高 く な る。
つ ま り, 降 伏 応 力と m の変 化が部 材 耐 力に与える影 響は相 殺される ので,
降 伏 応 力の統 計 量に お ける径 厚 比の影 響がそ のま ま部 材 耐 力には現れ ない。 こ れ は,O.
2
%の残 留ひずみ よ り も若 干 大き なひずみ 領 域の応 力の統 計 量を部 材 耐 力の設 計に使 用すれば良い ことを示してい る。 し か し,
その よ う な応 力の統 計 量 を 求め るの は困 難であ るの で,
引張 試 験の降 伏 応 力 を使 用 し て み る。 引 張 試 験の 降 伏 応 力tay は, 圧縮の降 伏 応 力 に比 較して分 散は小 さく,
平 均 値は若 干 高く な り径 厚 比 の影 響が小 さい9 )。
tay
−
・.
・畷
乎
)
… (・/・m・)一 ・
……・
・
(17
)COV
= o.
109 こ の統 計 量 を用い て設 計 用 降 伏 応 力 を与え る と一
61
一
6FO4 β 3 21 0 0 0
.
1π 0.
2π 0.
3π 0.
4π 0.
5π θ〔r 巳のFig
.
14 Safety index controHed by stat 正sticai data of tensi【e yie皇d stresses (β。
=
3.
0) σ y,
d=
t σy,
m・
exp (一
βa・
ζ4)……・
…・
・
・
・
……・
・
…
(18
)Fig,
14 にβ。=3.
0
と し た 場合の β’
を 示 す。
β’
は径 厚 比にか か わ り な く ほ ぼ3.
0
であ る。 つま り,
安 全 性 を一
定に す る た め に は (18
)式を用いて (15
)式の 肱d と 凡 d を 与 え れ ば よい といえ る。
た だ し, この 結果は λ= 20の部 材の最 大 耐 力と比 較 し た場 合であり,
細 長 比の値 が 変わ れば (18
)式との関 係も変 化するもの と考え られ る。
5.
2 曲げ圧 縮 限 界 耐 力 曲 げと圧 縮 を 受 ける部 材の設 計には,
圧 縮 を受け る部 材の設計耐 力 1V。r を用いた相関 式が一
般に下 式で与え ら れて いる。
壘
+晦
Nc
=
1.
0・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一
(19) 「(
−
Nzad1
N,)
脇 ただし, N, :オイラー
座 屈 強 度 圧縮を受ける冷間成 形 部 材の耐 力の平 均 値や分 散は熱 間圧延材と異なっ てい る。
また, N,.
の既 往の設 計 式 を 冷間 成 形部材に適 応し た場 合に は, 短 柱の領 域 (λ<30 ) を 除 く と,
設計 式と部 材 耐 力と の不一
致よりも径 厚 比で 安 全 性が変 化する割 合の方が大きい9)。 こ れ ら は,
圧 延 材とは別の設 計 式が冷 間 成 形 材に必要なこと を示 して い る。 し か し,
そ れ らの こ とを設 計に反 映す る た めの考 察 は不 十 分で あ る。
ま た,一
般に短柱領域でのN 。
r の低 減 係 数とMp
の低 減 係 数は 同 じ値が与え ら れ るこ と が多い の で,
これ らの低 減 係 数の値につ い て は考 察し ない。
設計 変 数 θ に対して一
定の安 全 性 を 確 保で きる方 法 につ い て考察す る。
その た めに, 細 長 比に よ る耐 力の平 均値の変化と低減係数の変化 が 含 まれ た表 現で ある塑 性 設 計 指 針ls)o
設 計 式をN
,r と し て 用い る。 す な わ ち,
STK
41材で は Ncr O≦λ≦30の場 合=
1.
O
Ns・・〈 ・≦・2・ の場 合
旛
一
1・
・一
・… 6(・一
・・)一 62 一
87 65 β 43 21 0 0 0●
1π O.
2π O.
3
π 0.
4π D.
5π θ lrad )Fig
.
15Safety
index usi ロg linear interaction equatio ロs (D/t=
30)
・>
12
・ の駘 晦鶚
…・
……・
………・
…・
………・
(20) ま た, (19
)式のMp
と (20 )式のNy
の計 算に は公 称 の降 伏応 力 σ。.
n を使用 する。
公 称の降 伏 応 力 を 用いるこ とで,
そ れぞれ に低 減 係 数を含んで お り, (19),(20 ) 式は設 計 耐 力 を与え ること とする。
以上の ことに基づい て,
曲げ圧 縮 限 界 状 態の β’
を 求 め た。
β’
の変 化は 径 厚 比 が異なる場 合に もθ に対し て は よ く似た傾向と な る ので,
こ こ で は一
例と して D/t ;30
の演 算結果 をFig.
15に示す。
文 献1)で はfl
の 値を1.
65 (α=0。55,
β=3.
O
)とし て い る ことか ら判 断 す る と,
(19) 式に基づけば全 体 的に安 金 側の評 価 とな る こと がFig
.
15か ら分か る。
し か し,
λ=
120 を除い て θが大きくなる とβ’
が小さくな る傾 向が あ る。
こ の傾 向は,H
形 鋼 部 材 を対 象に設 定さ れ た (19 )式 が円形 断 面の部 材 耐 力を表せ な い た め に生じ たもの と考え られ る。
前 項で示 し た よ う に,
円形 断 面の全 塑 性 状態の設 計 式 (15)式とλ=
20の限 界 耐 力 を比 較し た場 合には,
θに 対して β’
は変化 し ない。
ま た,Fig.
15
中の λ=’
40,60,
80の β’
の変 化は λ=
20の変 化と同じ傾 向 が ある か ら, (15) 式に基づい た相 関 式 を 曲 げ圧 縮 限 界 状 態の設 計に 用い る こ と が必 要で ある と考え られ る。
(15> 式に基づ い て,Sherman
は(
1
弌
識藷
一
・・S(
πN
”d2 ハ1cr
)
一 ・
……
(21 ) の相 関 式を使 用 し て い る17 )。 この 相 関 式を用い て β’
を 求めるとFig、
16と なり,
短 柱の領 域 (λ=
20,
40 )で は,
θ に対してほ ぼ一
定の β’
と な る。 し か し,
λが60以上 で はθが 小 さ く な る と β’
は 低下し て い る。
また,
細長 比が大き く な るにつ れ てその傾向は著しい。
これは,
冷654 β 321 D O O
.
1π 0。
2π 0。
3π 0。
4π O,
5n θ Cred }Flg
.
16 Safety index using interaction curves of CHS (D/t=
30) 65 4 β 3 21 0 0 0
.
lrt O.
2π 0.
3π 0.
4π 0.
5π θCred)Fig
.
17 Safety lndex using factored inte[action curves 〔D/t=
30) 間成 形 材では かな り小さ なひずみ の領域で非 弾 性 挙 動が み ら れ ること が,
部 材 耐 力に影 響す る た めと考え ら れ る。
こ の現 象は評 価し て お く必 要がある。
低 減 係 数 ψ を用 い た相 関 式とし て〔、
.
、.
翫
調舞
一
・ ・s(
晋
籍
)
……・
・
(22) を想 定し,di
=・
1.
3と す る と θに対して β’
は ほ ぼ一
定の 値で あっ た。 そ の演 算結果をFig.
17
に示す。
径 厚 比が 30の場合には,
λ= 20,
120 を除い て β’は ほぼ2.
0 とな る。
λ=120
で は, θに対して β「
は大 き く変 化 してお り,
その最 低 値は ほ か の細 長 比の値と お お む ね等しい。
ま た,
λ=
・
20で は,
β’
は ほ か の細 長比の結 果と 比較して格 段に 大き な値であ る。.
これ らの結果は,
安全性の評価に既往 の設計式 (20
)式 を使用 し たこと に起因 し て お り,N
。。
の設 計 値には再考の余地があるとい え る。
図示し てい ない が, 径
原
比が変 化するとB
’
の値 自体 は変化す る が,
θに対し て は変 化し な くて ほぼ一
定の値 であっ た。
実験 資料の 限 界耐 力Re
と (22 )式 を用い て求め た設 計用 限 界耐力R
,をFig
」8
に比 較す る。
こ の図に単 位 を示して い ない の は,
偏心 量 e に よっ てRe
とRd
の単Re100D
10D 10 RdF◎
.
18 Test results compared wiしh factored resistances位が変 化 する ためであ る。
Re
とRd
の値は e (cm ),
N
(t)と し て算 定 し て い る。 また,
実 験 資 料に はSTK
50
相当の材 料 が あるの で,
その実 験 資 料につ いて は σy.
n=
3.
3t/cmZ とし て R, を 計 算 して いる。 実 験 資 料の数 が限 られ て い る上に,
実 験変数に偏 りが あり,
同一
素材 の実 験 が 多い。
こ の よ う な実 験 資 料 との比 較では,
前 述 のNc
。の問 題 や径 厚 比に よる安 全性の変 化を明ら かに で き な い が,
Fig.
18に よ れ ば (22 )式を用い た設計値は 存 在 軸 力や曲 げモー
メ ン トに関係な く お お む ね一
定の安 全 性を与えて いる といえ る。6.
ま と め 曲げ と 圧縮を受け る部材耐力につ いて の統 計 的な評価 の結果を ま と め る。
(1
)加 工 後の応 カー
ひずみ関 係 を与える モ デル の係「
数につ い て, 統計 的に応 用が可 能な形で簡 便な近 似 式を 得た。
(2 ) 十 分な精 度の ある部 材 耐 力の近 似 解に応 カー
ひ ずみ関係の モデル を用い てその妥当性を確 認した。
(3 )1
次近似の平 均値と 分散を数 値 的に求め た。
そ の結果,
曲げ と 圧縮 を受け る部 材の最 大 耐 力の統 計 量は 径 厚比,
軸力比, 細 長 比に よ り変 化し た。
(4
) 素材の降 伏 応 力の統 計 量 を用い た低 減 係 数 を 降 伏 軸 力 と全 塑 性モー
メ ン トに与え ること が,
全 塑 性 限 界 状 態の設 計に有 効である こ と が分か っ た。 (5) 現 在の設 計に使 用さ れ てい る曲げ 圧縮 耐力の相 関 式は,
円形 鋼 管 部 材に対し て適切 な 設計 耐 力を与え な くて,
荷 重 状 態によ.
り安 全 性が変化 した。
円 形断面の全 塑性状態にお け る相関 式に基づい た曲 げ圧 縮 耐 力の相 関 式では,
細長 比 が大き く な る と危 険 側の評価と なっ た。
特 殊な低減係数 を その相関 式に与える と, ほ ぼ一
定の安 全 性が確 保で き た。 これ らの こと か ら,
曲げ と 圧縮を受け る冷間 成形 円形 鋼 管 部材の耐 力を統 計 的に評 価でき た といえ る。し か し,
一 63 一
初 期 不 整な どの幾 何 学 的な不 整 を考 慮し て い ない
。
ま た,
具 体 的な低 減 係 数の表 現 を避けて, 既 往の設計式を基準 に して安 全 性の評 価 を して いる。 初 期 不 整の問題は実際 の構 造 物の施工程 度 を考 慮 し た上で考え るべ き問題で あ り, ほ か の形 鋼と統一
され る必 要 が ある。
ま た , 低減係 数 を与え る ために必 要 な安 全 指 標 と分 離 定 数の値も荷重 状 態などを考 慮し た上で統一
され るべ き で あ る。
これ ら の ことが成され た後に, よ り合 理 的な評 価 を行う予 定で あ る。 謝 辞 本 研 究は文 部 省 科 学 研 究 費 (総 合 A No.
63302052 代表 者五 十嵐 定 義)お よ び東レ科 学 振 興 会の援 助 を 受け た。
記して感 謝し ま す。
参 考 文 献1)
Bjoihovde
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3SYNOPSIS
UDC:624.014.2:691.714:62-462
STATISTICAL
EVALUATION
OF
ULTIMATE
CAPACITIES
OF
COLD-FORMED
CIRCVLAR
TUBULAR
BEAM-COLUMNS
'
by,KENSHI
OCHI,
ResearchAssistant,Kurnamoto'
sity, and Dr.\OSHIAKI KUROBANE, Professer,
mote University,Members of A.I.
J.
This
paper presents results ofqn
analysis of ultimatebehavior
of tubularbeam-columns
based
on.statisticaldata
for
cold-formed circular tubesunder combihedbending
and axialloads.
The
conclusionsdrawn
are summarized asfollows
:(1)
The
hardening
exponent includedin
a stress-strain model fortubular sections after cold-formiqg wasfound
tobe
representedby
a simplefunctien
of yield ratio.Statistics
of theyield Tatio weredetermi"ed
by
using statistical dataon compressive yield stresses and ultimate tensile strengths.
(
2)
Mean
values and'coefficients
of variation of the column buckling strengths were obtainedby
using asemi-probabilistic numerical approach. These values were
found
toagree well with exactyalues.
(
3)
A simple theoretical approachbased
on a proposed stress-straininodel
wasfound
tobe
capable ofpreting ultimate strengths of tubular
beam-columns
inthe existingdata
base,
Numerical
analysis accordingtothe
first
order prebabilisticapproximation was carried ouf todetermine
mean values and coefficients ofvariation of resistances.ef tubular