文 論 04
糾 a 驅
■
.
CDU 日本 建 築 学 会 構造 系論 文 報告 集 第 395 号・
昭和 64 年 1 月ア
レ
ー
地 震 動
記
録 を用
い
た
地 震 波
の
相 関
性
と
伝 達
特性
に
関
す
る
基 礎 的研 究
正 会 員 員 会 正’
員 会 正 正 会 員 正 会 員和
栗
飯
佐
相
泉
田塚
藤
羽
正
節
智
朋
哲
*哲
* *夫
* * *美
* * * *紀
** ***1.
は じめ に 建 築 構 造 物の耐 震 設計におい ては,
入力地 震動の推定 部 分に最も多くの不 明点 が 残 さ れて いる。
これ を 改 善 す る ためには,
実 地 震 動 記 録 を用い た多くの観 測 結 果を基 に地 震 波 動の伝 達 機 構 を 調べ ること が肝 要と考え ら れ る。
地 震 断 層か ら観 測 点まで の地震 波 動 伝 播 過 程を考え た 場 合,
伝 播媒体の弾性 波速度や密度構造などにっ いて は 不 明 確であ り,
耐 震 工 学 上 問 題 と なる周 期帯域の地 震 波 動 伝 播を 理論で説明 する ための モデル作 成が極めて困 難 である。
逆 問 題 として,
波 動 伝 播モ デル を仮 定し,
シス テム同 定 理 論に基づ き実 地 震 動 記 録か ら シ ス テ ム パ ラ メー
タ を推 定し た場 合,
推定 精 度の問題 が あ るにせ よ,
パラ メー
タの値が地 震ご とに変 動す ること が多い。 こ の よ うな不 確 定な要素が多くて,
複雑な地 震波動伝播現象 に対し て は, 確 定 論 的な とらえ方より, 現象にぱ らつ き がある こと を踏 まえて,
統 計 的に実 測および理 論の両 側 面か ら現象を 明 らか にする こ と が必 要と な る。
そ の研 究 結果を設 計用 地 震荷重に取り 入れ てい くことは, 耐 震 工 学 上,
重要と考え ら れ る。
こ の よ う な視 点か ら,
筆 者ら は,
波 動伝播 機 構を 調べ る ために設けら れ て い る ア レー
観 測の資 料を統 計 解 析 し,
抽 出し た性 質を 理論 的 解析で 裏 付 ける一
連の研 究を行っ て い る。 本 論 文では,
地 震 動 記録 間の伝 達 関数とコ ヒー
レン ス 関 数 を 推 定す る新た な 手 法 を 提 案 し, 地 盤 構 造 や波動 伝播過 程の相 違が 地 震波 の相 関 性と伝 達 特 性に 及 ぼ す影 響 と, 相 関の無い地 震 波 成 分の発 生 機 構 を明らか にする こと を 目 的 としてい る。 統 計 解 析に はt 個々 の記 録 を解 析する手 法と記 録の集 合 を解析す る方 法 が ある。
地 震 波 動 問 題に お い て, 前 者 の方 法 を 用い た特 定の地 震に関す る波 動 伝 播の研 究 が 多“
東 北大学 教授・
工博 纏 東 北 大 学 助 手・
工博 * *t 東北 電 力(株 ) 帥 脚 清 水 建 設 大 崎 研 究 室 工修 # *1“ 東 北 大 学 大 学 院 生 〔昭 和63年2月10日原 稿 受 理 ) く な さ れて い る。
例えば, 相 互 相 関 解 析に よ り地 震 波の 伝播 時間につ い て検 討 し た研 究])”
5)が あり, コ ヒー
レ ン ス解 析に基づ き地 震 波の各 振 動 数 成分 間の相関性を検 討 し た研 究E}・
7)な ど が あ る 。 異な る地 震で観 測さ れ た記録 の集 合を統 計 解析 し て,
波 動 伝 播 過 程が異.
な る地 震波の 相 関 性と伝達特 性につ いて検討 し た 研究は非 常に 少な く,
筆 者らの 研 究8)−
IZ )が あ るのみで あ る。 これ らにおい て は,
周 辺地 盤の 波動伝 播特性を伝達関数で と ら え,
線 形 最 小 分 散 推定に基づ く 統計解 析手 法を 用い て標本 地 震 動 記 録か ら観 測 点 間の伝 達 関 数と標 本 間の相 関 性を表す コヒー
レ ン ス関 数 を 推 定し,
地 盤 構 造 と地 震 波 間の相 関 性の関 係につ い て検 討して い る。 その結 果,
鉛 直観測点 間の地 震 波の 相 関性 と 地 盤の固 有 振 動 数の 関連 が見いだ さ れて いるS,な ど,
地震 波 間の相 関 性を検討す る筆者ら の方 法は有効で あるこ と が示さ れて いる。 地 震 波の相 関 性と伝 達 特 性に関しては,
ま だ わ ず か な 部 分しか解 明さ れておらず,
地 盤 構 造や波 動 伝 播 過 程の 相 違が こ れ らに及ぼす影 響に鬨し ても,
ほ とん ど明ら か に され てい ない。
本論文では, 筆者らに よ.
り既に導 入さ れた解 析 手 法に加えて, 地 震 動の フー
リエ振 幅 間 とフー
リエ 位 相間の相 関性お よ び伝 達 特 性を抽 出する新た な手 法を誘 導する。次に,
これら の手 法を用い て,
鉛 直ア レー
だ けでな く水 平アレー
を兼ね備え た観 測システム で観測 さ れ た実地 震 動記録 を解析し.
抽 出さ れ た性質に基づ き 地盤構 造の相違 が地震波間 の位 相お よ び振 幅の相関性に 及 ぼ す影 響につ いて検 討す る。
な お, 地 震 動 記 録に含 ま れ る地 震 波 成 分 を相 互 相 関解 析によ り検 出して い る。 本 論 文で は,
地 震 動 記 録の初 動 部か ら終 結 部ま で のすべ て のデー
タを使 用して い る。
2.
伝 達 関 数 とコ ヒー
レ ンス関 数の推 定 手 法 個々 の 地 震で観測さ れ た 地 震動記録を標 本と して線 形 最小分散推 定に基づ き, フー
リエ ス ペ ク トル か ら伝達関 数を推定する手 法,
フー
リエ振幅か ら伝達 関数の振 幅を 推 定す る手法,
そ して位 相 特 性か ら位 相の伝達関数を 推 定す る手 法につ いて以下に説明す る、 ま た, 各々 の手法一 28 一
に て定 義される コ ヒ
ー
レ ン ス関 数の 性 質にっ い て述べ’
る。
x{t
}と y(t
)をそれ ぞ れ 入力 と 出 力と し1
その フー
リ エ 変 換 (本 論 文 で は フー
リエ ス ペ ク トル と呼ぶ )をX
(f
}と Y{f
)とする。
記 号f
は振 動 数 を 表す。i
地 震 にて観 測さ れ た地 震 動 記 録 を標 本 記 録 として,
入 力 観 測 点と出 力 観 測 点の記 録の フー
リエ ス ペ ク トルを それぞれX
,(f
)とV
,(f
)で表す。 n 個の地震で観測さ れ た地 震 動 記録 を使 用す れば,
標本の大き さ が n で ある 入力と出 力の フー
リエ ス ペ ク トル の 母集合 がで き る。
そ れ をX
(f
}=IX
‘〔f
),
i=1−
n},Y
(f
)−
ly
‘(f
),
i=1〜
n}と す る。
こ の入力と出 力の記 録 間に,
線 形な伝 達 関 係 Y(∫)=
H (f
)X(f
)一 …・・
−t・
一
………・
…
(1) が成り立つ と仮 定す れば, 標 本 記 録か ら線 形 最 小 分 散 推 定 に より,
最 適 伝 達 関 数 H(f
}と コ ヒー
レ ン ス 関 数 cohiif )は・(∫・
一
謡
i
一
甜 … pl−
…f
〕ト・
一 ・
・
(・) ・・ht
(f
)一
、1
藩滋
}
) = H *(f
)HUf
)S.
.
(f
)/salf
}・
・
…・
…・
(3) で与え ら れ る]3}。
こ こ に,
*は共 役複素数 ,ノは虚 数単位,S
=x とSyy
は そ れ ぞ れ 入力 と 出 力の パ ワー
ス ペ クトル,
Sxy
はクロ ス ス ペ ク トル を表す。
これ らのス ペ ク トル は,
標本関数の フー
リエ ス ペ ク トル のアンサンブル平均で与 え ら れ る。
SXx
(f
)・毒
酵
(学
(∫) 躑一
麦
が
(∫1
蹴 鋤 一麦
些
珮甼
(∫)・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4)A
(f
>は伝 達 関 数の振 幅で あ り,
地 震 動の フー
リエ 振 幅 比を表す。
θ(f
)は位相 遅れ (ま た は位 相 差 )を表す。 式 (2)か ら求め ら れ る A(f
)と・
θげ)を.
本 論 文で は,
そ れぞれ最 適 推 定 伝 達 関 数の振 幅 と最 適 推 定 伝 達 関 数の 位 相 遅れと呼ぷ ことにする。
コ ヒー
レン ス関 数は式 (3> で定 義さ れ る ス クェ アコ ヒー
レ ン ス (square coherence > と,
そ の コ ヒー
レ ン ス の平 方 根で定 義さ れる ルー
トコ ヒー
レ ン スが あ り,
本 論 文で はスクェ アコ ヒー
レ ン ス で コ ヒー
レ ン ス関数 を定 義す る。・
こ.
の コヒー
レンス 鬨数 は 出力の パワー
ス ペ ク トルSw
と推定 出力パ ワー
ス ペ ク ト ル (H
ホ (f
)H
(ノ)Sxr
(f
})の比であり,
線 形回帰 推 定にお ける相 関 係 数が もつ 意 味と同様に,
値が 1であれ ば すべ て の地震で伝 達 関 数が等し く,
] に近い ほど地 震に対す る伝 達 関 数のバラ ツキが小 さくて記 録 間の相 関が良い こ とを表す。
式 (3)の コ ヒー
レン ス 関 数 を伝 達コヒー
レ ンス関数と呼ぶ ことにする。
一
般に 1,・
=
1であるが,
震源距 離やマ グニ チュー
ドに よ り,
地 震 動 強さ が大き く変 化 する ため,
J,は地 震 動 強 さの大きい地震の特 性が推 定 結 果で強 調さ れ る ことを 避 け る た めに用い た 重み関 数である。 本 論 文で は, Isとし て入力 波 形のパ ワー
ス ペ ク トル密 度 関 数の全 面 積 〔=
波 形の全エ ネル ギー
)を用い て い る。
石
一
∫
:
・1
鵬d
∫・
…………
∴・
・
…一 …・
(・) こ こ に,T
‘は記 録 長で ある。
こ の 重み関数を 用い た方 法は個々 の地 震にお け る地 震波の ス ペ ク トル 構 造を変え ない か ら, 入出 力 関 係 を乱さず, 有効な方 法で あ ること が示され てい る11 )。
た だ し, 地 盤が強い材 料 的 非 線 形 領 域に達する場 合,
こ の重み関 数 を用いる ことは不 適切 と な る。 しか し,
本 論 文で使 用 する地 震 動 記 録は中 小 地 震 で観 測さ れ たもの で ある の で,
こ の重み付けに関し て は,
ほ と ん ど問題 が ない と考えられる。
振 動 数 領 域で入出 力 関 係は線 形で あ る とすれ ば,
入 力 と出 力の フー
リエ振 幅間に も線形 関 係 「】f
(ノ「
〕1
=A
(f
}IX
(F
)「・
tt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(6} が成り立ち,
線形最 小分散推定手法によ りフー
リエ振幅 か ら振幅比A
(f
)を推定す ること が可能で あ る。 本論文 で展 開 し た 推 定 手 法 を 以下に 示 す。
推 定規 範 」 を nJ =
Σ]Ily
≧(ノ}1
/1!7
「
一
14(ノ)1Xi
(∫)IV
σ訂2・
・
・
…
(7
) tul とし,
こ れ を最 小に な ら しめる A を推 定する とすれ ば,A
は次 式で与え ら れ る。捨
1
糊1
附 贓・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(8) A(f
}=
Snv
(f
) この推 定 問 題で,
式 (3) と同 様に コ ヒー
レンス関 数 を 出 力の パ ワー
ス ペ ク トル と推 定 出 力の パ ワー
ス ベ ク トル の比 を用い て定 義す れば{
鷙
1瓦 (川Y
・(f
)1
/・・lz
coh2 (∫)=t−・
・
・
…
(9 ) Sxx(f
)s嶽 ∫) と な る。 こ の推 定 問 題にお ける A(f
)とcoh : (f
)をそ れ ぞ れ最 適 推 定 振 幅 比 と振 幅コ ヒー
レ ン ス関 数 と呼ぶ こと にする。
線 形入 出 力 問題で は, 入 力と出 力の位 相間にも線 形 関 係が成り立つ 。 よっ て,
線 形 最 小 分 散 推 定に よ り標 本 関 数の位相か ら伝達 関 数の位相遅れ を推定す ること が可 能 と なる。
本 論 文で展 開 し た 方 法 を 以下に示す。 実 記録 か ら求め られ る位 相 θ(f
)は主 値で ある た め,−
180 度か’
ら180度の 範 囲の 角 度に限 定さ れ る。
ある地 震で θが 】79度.
他の地 震で一
179度で ある場 合,
平 均 値は 0度 と なり,
真の平 均 値±180度か ら はずれ た値に な る。 こ れ は角 度を標 本 値と して統 計 処 理 することに起 因 する。
こ の ため,
角 度の単 位で ある入力の位 相 θXCf )と出 力の 位 相 θy(∫}を使 用せず, X(f
)と y (f
}をそれぞれ の振 幅一
29
一
で除し た位 相特性
P
=(
f
)「譲
fil
−
expl−
jer
(ノ}}P
・u
)一
、”
tlil
=
=
expl−
j
・・ (f
)1
一 ……
(10) を用い る。 位 相 特 性 間にも線 形入出力 関係 py(f
);
HPげ)px (f
}…・
………・
・
…・
(11
) が成り立つ もの と して,
位 相の伝達関 数を 推 定 す る。
こ の推 定 問 題は,
先 述の線 形 最 小 分 散の伝 達 関 数の推定問 題に て振 幅を1とした場 合と等価な問題 と な る。
入力と 出 力の位 相 特 性の ア ンサ ンブルを そ れ ぞ れPx
=IP7
(f
),
i;
1〜
n},P
シ;
IP
}cf
),
i=1−
n}と す れば,定 義 (式(10
)) に より入力と出 力の パ ワー
の値が 1で あ る か ら,
パ ワー
スペ ク トル と クロ ス ス ペ ク トルはSxx
(∫)= ・1,
Syy
(f
)= 1、r 。(
f
).
⊥£
expl.
j
(、r
(f
).
,f
(f
))l
ttt
(’2) n ‘=
1 とな る。
こ の場 合, 推 定 伝 達 関 数がクロ ス スペ ク トルと 等しく なり,
伝 達 関 数 とコヒー
レ ン ス関 数は式 (2> よ りHP
(f
).
.
Sr
〆f
)=
”
A
(f
)exp (一
ノ佐3(∫)}…・
(13
)coh2 (
f
)=
1HP
(f
)1
!=
IA
(f
}12
と な る。
こ の推 定伝達関数の位相遅 れ とコ ヒー
レン ス関 数を, それぞれ最適推定位 相遅れと位相コ ヒー
レン ス関 数と呼ぶ ことにす る。
こ の伝 達 関 数が個々 の標 本 記 録の 位 相遅れ の ア ンサンブル平 均で あ る こ と か ら,
標 本 記 録 の位 相 遅れ が すべ て同じ で あ れ ば,
伝 達 関 数の振 幅の値 は1と な り,
異な れ ば 1以 下の 正の値と な る。 伝 達 閧 数 の振幅がコ ヒー
レ ンス 関 数の性質を表し てい る の で,
式 (13 )に 基づ き 伝 達関数 をコ ヒー
レ ン ス関 数 と位相遅 れexs
を用いて書き換え ること が で き る。H
(f
)==COh (ノ)expl
−
j
亀9f
)1
・
……
……・
…
(14
) こ こ にcoh (
f
)=
coh2 (f
) 0≦coh (f
)≦1……
(15) 式 〔14)と coh (f
)は風工学の研 究おける,
風 速の クロ ス ス ペ ク トル表 示とコ ヒー
レ ンシー 4[に 対 応し, 地 震 波 動 伝 播 問 題に ても水 平ア レー
観 測 点 間の地 震 波の相 関性 の検討に適 用が試み られて い る15 )一
】η。
水平ア レー
観測 点 間に限 らず,
あ ら ゆ る 観 測 点 間の地 震 波の相関性の検 討に, 本論文で定義し た位相コヒー
レン ス関 数の適 用は 可 能で ある。
こ のコ ヒー
レン ス 関 数 を用い ることに よ り,
ほとん ど研 究さ れ て い な い鉛 直 観 測 点 間の地 震 波の位 相 の相 関 性が明らか にされる ことが興 味 深い。 最 適 推 定 伝 達 関 数と最 適 推 定 振 幅 比 間の関 係,
お よ び伝 達コ ヒー
レ ン ス関 数と振 幅コ ヒー
レ ン ス関 数の関係は,
次の複素数 の三 角 不 等 式1
象
澄 (∫)y,{f
)/・・1
≦象
附 )11
・y・(f
)l
/・・一
30
一
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(16
) を考 慮し て,
そ れ ぞれの 定 義式 を 比較す る と灘
讐
欝 閉
警
糶 論肇
謇
鰻
関 数i
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
鹽
一
・
・
…
一・
…
一・
・
(17 ) とい う不 等 式が誘 導で き る。
不等式 (i6
)と (17
)で等 号が成り立つ 条 件は,
すべ ての標 本で入出 力 間の 位相遅 れが等しい ことである。
標本間にて,
表面 波と実体波や 実体波であっ てもS
波とP
波などの異 種地震 波成分が標 本 記 録に混 在した り, 伝 播 方 向などが異な る地 震 波を標 本とし て扱っ た りすれ ば, 標 本間の位 相遅れは異な り式 (17>の不 等 式 が 成り立つ。
また, 位 相 を無視す れば振 幅 比とコ ヒー
レ ンス の値は大 き くなる こと も 示し てい る。
地震 動 記 録の振 動 数 成 分 を標 本とし た標 本 平 均で定 義 す れば,
本論文で示し た統計解析 手 法 を個々 の地 震の記 録の統 計 解 析に適 用で き る。 地震 動 記 録の記 録 時 間 長さ が標本に よ り異な る場 合,
高 速フー
一
リエ変 換 を 用い て解 析す る と,
標本ご と に振 動数刻み が異な る。
本 論 文では,
標 本の最 大 記 録 時 間長さ を記 録 長とし,
標 本 記 録がこ れ よ り短い 場 合,
後 続の零 を記 録に加えて時 間 長さをそろ え た。 統計解 析におい て,
ウィ ン ドー
関 数 を用い た移 動 平 均による スペ ク トル の平 滑 化は行っ て いない。
3.
東 松 山ア レー
地 震 観 測 と周 辺 地 盤 構 造 埼玉県の東松 山 市にあ るア レー
地 震 観 測 所で観 測され た 地 震 動 記 録 を 解 析に使用 した。 ア レー
観 測 点 配 置を図一
1に示す。No .
1 ,No .
2,
No .
6
の 鉛直アレー
観 測 点と,
こ の観 測 点 周 辺の 3箇 所に水平ア レー
観 測点が配 置さ れ て い る。
昭和 58年に水平 ア レー
観 測点が 追 加 さ れてい るが,
本 論 文で は,
そ の観 測 点で記 録された地震動 記 録 を使 用して いない ために,
その観 測 点 を 図に記入 し てい ない。
鉛 直ア レー
観 測 点の 深 さは,
そ れ ぞ.
れGL −
120.
6m (No.
1),GL −
58,
2m (No .
2),GL
(No .
6) である。
地 盤 中にある水平アレー
観測 点 {No .
3,
No .
4,
No .
5)の位置 をNo .
2
観測点か らの水 平 距 離と地 表 面 か らの深さ で,
水 平配 置 図と鉛直配 置 図に示した。 ボー
リン グ調査結果 に よ る とNo .
2か らNo.
3観 測 点 方 向に 沈み込ん で い る と考え られ る第三紀 中 新世の 都 幾川 層 (泥 岩で,
位 置は図一
2で示 した地 盤よ り 深い )の上 層 (GL − 36.
2m− GL −
85.
1m >に観 測 点 が 設置さ れ た の で, 水 平アレー
観 測 点は必ずし も 同一
標 高に ない。
水 平アレー
の表層 地 盤構造の一
部が,
弾 性 波 探 査に より調 査さ れ てい る。 この調 査結果に基づ くS
波 速 度 分 布の概 略 を,
図一
2に示す。
地 表面 は平坦で は な く起伏が あり,
こ の起 伏 形 状に似た 形で表層 が 褶曲して い ること が 分 か る。P −S
検層結果に基づ く各 観 測点の地 盤 構 造 を図一
3 に示す。
最 深部の観 測点 (No,
1)に お ける S波 速 度はO.
7km /sec で あ り,
水 平ア レー
観 測 点N,).
3−−
No.
5の(
605040.
GL 30201D O No,
5 (m} GL−
3標高
,。
GL6
−
O.
7 GL,
4 2 GL−
51噛
3m−
58.
2m No.
3 ,L 3G し一
85.
1旧9
〔
1120
,
5m(
b
)
鉛直配置図
図一
1 東 松 山ア レー
観 測 場 所の観 測 点 配 置 図 No.
ユ.
2.
6No.
3 NQ.
4 No.
5 深度 km!seckm /seckm /seckm /sec (m) 1 2 312 312 31 2 3 玉、
1凾
1
’ : L−−
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1 :」
11
疊
401
1 「冒
.
.
」 3 1 L「
【ご
r」…
} 2 し冒
冒
「 ● 」 3 60…
i
…
r−.
」 3L
: 旨 8.
r
: 2 … L1 S波 速 度 10…
…
一一
一
一
P 波速 度…
● 地 震 計 位 置 12 図一
3 P−
S検層結果に基づ く各 観 測 点の地 盤 構 造鞠
50401110 国0、
2 深 度m70605040302010 (a )No.
2−
No.
3断 面.
NO,3 m 開01NO,
2s 波 B観 測.
線 」 饐04 ♂ o.
4.
〕 0.
5 BT :1o
,
95i槭
,
脳 ).
7 o.
9.
95 o.
9 0.
95 Km /5既 0100200 300400500 50 閥o.
4 ア0 NO.
2 (b)Ne.
2−
No.
4断 面 度旧 s波 C齪測線 HO,
l NO,
218
「 ・ HO.
5o,
c卩
50,
困03〜
0.
5 ),
ア 「 4030 0.
9 。,
,51 … 2G10 0.
931Km ん昭匸 01002003GO400m NO・
5 NO.
2.
(c )No.
2−
No,
5断 面’
図一
2 弾 性 波 探 査 結 果に基づ くS波速度分 布 の 概 略 21 0 98 7 6 54
3 2 4 4 4 3 3 3 33
3
3 3,
●
,
曜
ρ ’「
9 136 e 138 140 0 00
142144146ooeoO
700m 3 4’
5 6 ア マ グニ チ ュー
ド 図一
418 地震の震 源位置とマ グニ チュー
ドー
31
一
100
01
1
⊃ 030
。
1
e ・ ■の
8 0 ●o oo
:
。 ● e3
45
67
8
図一
5 最 大 加 速 度 (No.
6観 測 点のNS 成 分〉とマ グニ チュー
ドの関 係S
波 速度は O.
7−
O.
8km /sec である。
波 動 伝 播 過 程の相 違 が 地 震 波の相 関性 お よ び伝 達 特 性 に及ぼ す影 響を明ら かに す ること を 目的と してい る た め,
震 源 位 置 が異な る 地 震で得られ た数 多く の標 本 記 録 を使用 す ることが望 まし く,
ワ ウフラッ ター
1s〕とい う記 録 計 器による ノイズの 混入が顕 在 化 し た地 震 動 記 録を除 き,
で き る限り多く の地 震 動 記 録を標 本とし て選 ん だ。 その結 果, 1979年 7月2 日〜
1984年 6月 30日 まで の 18地 震で観 測 された 加 速 度 記 録 を標 本と し,
前章の統 計 解 析 手 法 を用い て 図一
6〜
図一
15まで結 果を推 定し て 求め た。
記録の サンプリン グ間 隔は0.
01
秒である。 18 地 震の震 源 位 麗 とマ グニ チュー
ドを 図一
4に示 す。 震 源 位 置が 比較 的近い地 震が幾つか あ り, こ れ らの地 震の性 質が解析結 果に強 調さ れ ることが危 惧さ れ る。 しか し,
こ れ らの地 震は発 生 頻 度が高い という重 要な性 質を有し て い る か ら,
こ の性 質を保 存す る た め,
震 源位 置を考慮 した重み付 け を標 本に施していない。NS
成分の地表 面 最 大 加 速度 (No .6
観測点)とマ グニ チュー
ドの関 係 を 図一
5に 示す。
4.
時間領域に お け る統計 的 地 震 波 動 伝 播 特 性 相互相 関解析によ り地 震 動 記 録 間の 時 間 遅れ と波 動 伝 播 時 間の関 係につ いて調べ て, そ れ ぞ れの地 震 動 記 録に 含ま れ る波動 成分 を検出し, 周 辺地 盤 全 体に わ た る波 動 伝 播に関し て検討す る。
相 互 相 関 係 数お よび 自 己相 関 係 数は式 (3
)で与え ら れ る クロ ス ス ペ ク トル お よ び パワー
ス ペ ク トル を逆フー
リエ変換した関 数を規 準化し て求め た。 最深部にあるNo .
1観 測 点の地 震 動 記 録のNS
成 分 を 入力と し, 他の観 測 点の NS 成 分を出 力とし た時の相互 相 関 係 数 を 出 力 観 測 点ご とに図一
6に示 す。 横 軸は時 間 遅れであ り,
その単 位は秒であ る。 鉛直観 測 点間 の相互 相 関 係 数 (No.
2お よ び No,
6観 測 点)に見 られ る ピー
ク (No.
2が 4個,
No .
6が 2個 )の時 間遅 れに着 目 し, こ れ らの ピー
クの時間 遅 れを図一
7に 円 で示す。
時 間 遅 れ が 正で あ る領 域に,P −S
検層結果に基づ く弾 性 波 速 度 分 布か ら求め た鉛直入射S
波のNo .
1 観測 点か らの伝一
32
一
播 時間 を破 線で表す。
また,
時 間遅 れ が負の領 域に,
No .
1観 測 点に鉛 直 伝 播 するS
波の伝 播 時 間を破 線で示 す。
相 互 相 関係 数がピー
クと な る時 間遅 れ が破線近 くに 分 布し て い る結 果か ら,
鉛直ア レー
観 測 点 間の 水 平 動 記 録に ほ ぼ鉛直に伝播す る相関の良いS
波 成分 が検 出で き る。 比較 的近いNo .
5 観測 点の相互 相 関 係 数はNo .
2ee 測 点の相互相 関 係数に似 ているこ と か ら, 地 震 動 記録間 の相 関は比較 的よい。 そ れ に対し て, 遠く離れ たNQ ,
3 とNo .
4の観測 点の相互相関係 数の 値は非 常に小さ く,
記 録 間の相 関が 悪い こ と が分か る。
こ の こと か ら,
水 平 距 離が長 く な るに つ れて地 震 動 記 録 間の相 関が悪く な り,
相 関の無い地震 波 成 分が 地 震 動記録 に多く含ま れて い る こと が考え ら れ る。 その た めに,
水平アレー
一
観 測点 の地 震 動 記 録に含ま れ る地 震波成分 を相互相 関係 数の結 果か ら検 出す るこ と がで き ない。 相 互 相 関 解 析の検 討で ほ と んど用い ら れ たこと が ない 0.
500.
00 0。
500.
DD o.
5DO .00
0.500 .00
0。
500。
00 0。500。
00 NO・
。
5NS NO。
SNS NO。
4NS NO。
3NS NO。
2NS NO。
[NS一1 .0 −
0
・
5
000 0 .5
ny一
r 岾 SEC1。
0
図d6 地震の標本記 録か ら推定し たNo,
1観測 点と他の観測 点 の 餌S成 分 間の相 互 相 関 係 数0.
〔m)
一
60.
一
120 .
−
0.
50
.
0(
sec )+
0.
5
図一
7 相 互 相 関係 数のピー
ク の時 間遅 れ (○)と鉛直入射・
反 射S波の走 時 時 間 (破 線 ) 〔縦 軸=−
t観 測 点 深さ , 横 軸= 時 間 遅 れ)騨
・
、丶
如
丶
,
「 96 ノ ー6
0 ノ〜
N
り 乙 6 ノ」
.
0 0N
’卩
,
1
●
ON ’S
wave ’ 〜 ’ 〜 〜 ’ 、,
巳
「
■
t
ロ
t
,
σ Q「
●
・
●
.
■
.
■
ゆ
り
,
’
・
、
●
ロ
,
コ
’ 覧t
ら
8 : ’ 一自己相 関 係 数 を利 用し
,
時間 遅 れ と波動 伝 播 時 間の関 係 を調べ,
各 観 測 点に含ま れ る波 動成分の検 出を試み る。 各 観 測 点の地 震 動のNS
成分の自己相関係数を各観測点 ご とに図一
8に示す。
横 軸は時間 遅れ で,
その単位 は 秒 である。第1の ピー
ク の時 間遅れ が常に原 点にあ るの で,
こ の ピー
クの時 間 遅れは波 動 伝 播 時 間に関 係 がない。
よっ て,第
2の ピー
ク の時 間 遅れ に着 目し,
こ のピー
ク の時 間 遅 れ (自 己相 関 係 数は偶 関数で ある か ら正の時 間 遅 れ)と,P −S
検層 結 果に基づ くS
波 速 度 分 布か ら求 め た鉛 直入射S
波が 地表面で反 射し て戻っ て く るまで の 伝 播 時間 (入 射 波の 地 表 面 まで の伝播 時 間の 2倍 )を表一1
に示す。
サンプリング 時 間が 0.
Ol秒で ある こと を 考 慮す ると,No .
ユとNo .
2の鉛 直ア レー
観 測点の 自 己 相関係数で,
第 2の ピー
クの時 閘遅 れ は鉛 直入射S波の 走 時時間と 比較的よい一
致が み ら れ,
ほ ぼ鉛 直に伝 播 す るS
波 成分 が検 出さ れる。
自己相 関 係 数も波 動 成分の検 出に利用できる こ と が 分 か る。
相互 相 関 係 数 で 鉛 直 方向に 伝 播す るS
波 成 分が検 出で き な かっ たNo,
3と No.
4の 水 平ア レー
観 測 点の 自己相関係数におい て,
第2の ピー
ク の時 間遅れ は鉛 直入射S
波の伝播 時 間と 比較 的よ く一
0.
500。
00 0.
500.
OO D.
5DO.
[}0 0.
500.
00 D。
500.
00 0。
500 .00 NO.
6NS NO.
5NS NO.
4NS NO.
3NS N〔1.
2NS NO.
置N5一
1
。
0
図一
8 SEC−
0
.
5
0
.
0
0 ・5
1 .0
各 観 測 点の自己相 関 係 数 (NS 成分 ) 表亠 1 自 己相関係 数の第二 のピー
ク値の時間遅れ (観 測値 }と 地 盤モ デル か ら計 算した地 表 面で反 射して戻っ て く る ま で の鉛 直入射S波の伝 播 時 間 (S地 盤モ デル),
単 位は 秒Ho
.
1No.
2NQ.
3No.
4 歴o,
5 闘o.
6 観 測 値 0.
340.
170.
23o
.
170.
13o.
09 S波モテ塙 0,
3470.
175o・
23亀 0,
1490.
180D.
005 致する ことか ら, 水平アレー
観 測 点の地 震 動 記 録に も第 2の ピー
ク に対 応す る相関の よいS
波 成 分が検 出で き る。No .
5
とNo .
6の観 測 点の観 測 値とS
波モ デル の伝 播 時 間に違いがみ ら れ る。 No.
5観 測点の相 互 相 関 係 数・
の第一
と第二 の ピー
クの時間遅 れの差O.
14秒 (=
0.
24−
0.
1)は 自 己相 関 係 数の第 2の ピー
ク の時 間遅れ 0.
13 秒に比 較 的よく一
致 しているこ と か ら,
相 関 係 数の ピー
ク の時 間 遅れ がS
波の伝 播 時間 を表し ている と考え ら れ る。 よっ て,No .
5観 測 点の地 震 動 記 録に もS
波 成分の 波が含ま れて い ると推 定さ れ る。
以上の 結 果か ら,
鉛 直アレー
観 測 点 ばか り で な く水平 アレー
観 測 点の地 震 動 記 録にも,
ほぼ鉛 直に伝 播す る実 体波で ある S 波 成 分が検 出で き た。
表一
1に 示 し たNo .
2〜
No.
5の伝 播 時 間の観 測 値と, 鉛直観測 点配置図 (図一
1参 照 )と地 盤 構 造 図 (図一
3参 照 )を 照 査 する と.
地 表か ら観 測 点ま で の深 度が大き く な る に D.
れ て,
S波 の 伝 播 時 間が長 く な る こと が分か る。 こ れ はNo.
2か らNo .
3
方 向に地 層が傾い てい る ことに対 応してい る。
このよ う’
に周 辺 地 盤特 性の影 響を受けたS
波 成分は水平 距離が 長 く な るにつ れて地 震 動 記 録 間の相 関が低 下する ことか ら,
こ のS
波 成分 以外の相関の無い波 動 成 分が地 震 動 記 録に含ま れ る 可 能 性 が あ る。
相 関の無い波 動 成 分 と地 盤 構 造の関係につ い て, 2点 間の地 震 動の 伝 達 関 数 とコ ヒー
レ ン ス関 数の特 性に基づ き,
以 下の章で検討す る。
5,
鉛 直 観 測 点 間にお け る地震波の相関性と伝 達特性 相 関の良いS
波 成 分が検 出 された鉛 直ア レー
観 測 点 間 につ い て,
最 深 部の観 測 点 (No .
ユ)を 入力 観測点と し,
他の No.
2とNo.
6の観 測 点 をそ れ ぞれ出 力 観 測 点と し た入 出 力 系で,
地 震 動のNS
成 分 間の伝 達 関 数 と各 種コ ヒー
レ ン ス関 数を推 定し,
地 震 波の伝 達 特性と相関 性に つ いて検 討 す る。
推 定 伝達関 数と1次 元 波 動モ デル か ら 求め たS
波の伝達関数と の 比較 検 討 も行 う。 伝 達コ ヒー
レン ス 関数,
振 幅コ ヒー
レン ス関 数,
位 相 コ ヒー
レンス関数を それ ぞれ出力 観 測点ごとに 図一
9の(
1
),
(m
,
(田 )に示す。
すべ ての 出 力 観 測 点で,
位 相コ ヒー
レンス関 数が振 動 数に対して著し く変 動して い るこ とか ら,
位 相 間の相 関は振 動 数 依 存 性がある ことが 分か る。 特に L6Hz で谷と な り,
こ の振 動 数で著し く 位相 間の相 関が悪い。 振 幅コ ヒー
レン ス 関 数は 1.
6Hz
近 傍で谷と なら な いだ けで な く,
高い振 動 数で も値が小 さ くな らな い ことか ら, 振 幅 間の相 関は非 常に良い。
振 幅コ ヒー
レン ス関 数に比 較し,
位 相コ ヒー
レ ン ス 関 数の 値が 非常に 小さ く,
位 相コ ヒー
レ ン ス関数 と振 幅コ ヒー
レ ン ス 関 数の特 性は異なる。 位 相コ ヒー
レ ン ス関 数よ り 伝 達コヒー
レ ン ス関 数の値が わずかに大きいが,
1.
6Hz で谷と な ること な ど,
伝 達コ ヒー
レ ン ス関 数と位 相コ ヒー
レ ン ス関 数は定性的傾 向が良く似てい る。 この結 果一
33
一
且
.
50 t.
OO 0.
50 O。
OO 1.
50 匸gOO ・荊
0.
OO(
a)
NO
.6
1。
5a 1。
OO O。
50 OQOO 1。
50 墨。
o口 口。
50 0.
00(
a)
NO
.
6
董。
50 1。
DO O。
50 0。
00 1.
50 夏。
00 o。
50 0。
00(
a)
NO
.
6
O I 2 3 4 5 6 7 8 9■0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 910 9 1 2 3 4 5 6 7 El 910(b
)
NO .2
(
b
)
NO
.
.
2
(
b
)
NO .
2
11
)伝 達コ ヒー
レ ン ス関 数 (m
振幅コ ヒー
レン ス関数 (皿) 位相コ ヒー
レ ン ス関 数 図一
9No,
1観 測 点と他の鉛 直 観 測 点の NS 成 分 間の各種コ ヒー
レ ン ス関 数の比 較 15.
OO 10.
00 5.
OO O・
00 15.
00 】口.
00 5。
00(
a)
NO
.
6
O.
00 D 【 2345678910(
b
)
NO
.
2
(1
) 地 盤モ デル の振 幅 比 図一
10 5.
004 』03。
002.
001.
000.
00(
a)NO .
6
5.
004.
003。
002.
001.
ooO。
OO O 葺 23 ↓ S678910(
b
)
NO
.
2
(ll
> 最 適 椎定伝達 関 数の振 幅 59004噸
003。
002.
001.
【〕00.
00 5.
004.
003 』02.
001.
oeo.
oo(
a)
NO
.
6
OI2345B78910(
b
)NO .2
(皿) 最 適 推定振 幅 比 No.
1観 測 点 (入 力 }と他の鉛 直 観 測 点 (出 力 )の NS 成分の椎定 振幅比 とS波 地 盤モデル の結果 の 比較 leo.
OO90.
OOD。
oa一
90.
00一
1eo.
00 1SO.
OO90。
00D.
oo一
9口.
00一
180.
00(
a)
NO
.
6
lBO。
0090.
OO0。
00一
90.
00一
180。
00 18V.
009 囗.
00O.
00一
90.
00一
160.
00(
a)
NO
.
6
田0.
0090.
000。
00一
90.
00一
leD.
00 且80。
00go.
oo0。
00一
9〔〕。
OD一
180.
OO(
a) NO .
6
O l 23 4 56 ? 8910 0 i 2 34S678910 0 1 2345678910(
b
)
NO
.
2
(
b
)
NO
.
2
(
b
)
NO
.
2
1D
地 盤モデル の位 相遅 れ (”) 最 適 推 定 伝 達 関 数の位 相 遅れ (皿 ) 最 適 推 定位 相遅 れ 図一
11 No.
1観測 点 {入 力 ) と 他の鉛直観 測 点 (出 力 ) の NS 成分の椎 定位 相 遅れとS波 地 盤モ デル の結果の比較一 34 一
か ら
,
地震動の フー
リエ ス ペ ク トル間の相関は位 相 間の 相 関で決 定さ れて い るこ と が分かる。 P−S
検 層 結 果に基づ き作 成した 1次 元S
波 地 盤モ デ ル か ら計 算し た増 幅 率,
最 適 推 定 伝 達 関 数の振 幅,
最 適 推 定 振 幅比 をそれぞれ図一
10の (1
},
(H
),(皿 )に示 す。 地 盤モ デル の減 衰は各 層とも一
律 5%とIO%の 2 ケー
ス を設定し,
それ ぞ れの結 果を実 線と破 線で示す。
各 図 と も1.
6Hz
で ピー
ク と なり,
この振 動 数 が 地 盤の 卓越 振 動数と考え ら れ, モ デル と実測に 比較的良い一
致 が見られ る。
この 1.
6Hz で位相コ ヒー
レン ス 関 数が谷 と な る こ と か ら,
地 盤の卓 越 振動 数で地 震 動の位 相問の 相 関 が 悪い。
こ の車 越 振 動 数で位 相間 の相関 が悪い た め に, 最 適 推 定 振 幅 比 より最 適 推 定 伝 達 関 数の振 幅は や や 小さ い値と な っ ている。
地 盤モ デル に見 られ る.
2次 お よ び3次の卓 越 振 動 数の ピー
ク を, 最適 推定伝達 関数の振 幅 だけでな く最 適 振 幅 比の 図か ら読み取ること は 困難で あ り, 高 振 動 数 帯 域でモデル と実測にずれ が見ら れ る。
こ の ことに関し て は, 地盤の減衰を含めて,
今 後,
検 討 する必 要があると思われ る。
地 盤モ デル か ら求めた伝 達関数の位 相遅れ,
最適 推 定 伝 達 関 数の位 相 遅れ , 最 適 推 定 位 相 遅れをそれ ぞ れ 図一
11の (1
),
(fi
),
(皿 〉に示 す。
位 相 間の相 関の良い振 動数帯域で推定位相遅れ のばらつ きが小さ く,
そ の変 化 は地 盤モ デル と定 性 的 傾 向が似てい る。 しか し,
相 関が 悪い1.
6Hz
近傍で, 位 相遅 れ の ば らつ き が大きい こと が読み取れ る。
以 上の結 果か ら,
地 盤の卓 越振 動 数 近 くの振 動 数 帯 域 で み られ るよ うに, 鉛直方 向に伝 播してい るS
波成分の 他に,
相 互 相 関 解 析で識別で き ない相関の無い波が地 震 動 記 録に混 入 して い るた めに,
地 震 動記録 間の 位 相の相 関 関 係が乱され て,
伝 達 関数 が 地震ご とにば らつ いてい る現 象が推 測さ れ る。
本解析 手法で は地震動の同一
方 向 成 分 間の相 関 関係 し か考 慮され てい ない こ と か ら判 断す・
ると,
地震 動 記 録 間で相 関の無い地 震 波 成分と し て鉛 直 方 向に関して立 体 的に波 動 伝 播 する地 震 波成 分12) が 考 え ら れる。 し か し,
こ の立 体 的に伝 播する地 震 波 成 分 を考・
慮 して も,
ま だ解明 さ れて いない,
地震 動 記 録 間で相 関 の 無い地震波 成分 が存在す る。 鉛 直ア レー
でとらえ るこ との できない地 震 動 記 録 間の相 関関係を,
次章で,
水 平 ア レー
観 測 記 録 を用い て解 析し, 検討 す る。
6.
水平 観 測 点 間に おける地 震 波の相 関性 と伝 達 特 性 水 平ア レー
観測点 間に,No .
2観 測 点を 入力 観 測点と・
し,
No.
3,
No.
4,
N.
o.
5の水 平ア レー
観 測 点をそ れ ぞ れ 出 力観 測 点と し た 入出 力 系を当てはめる。 こ の入 出 力 系 により,
地 震 動の NS 成分間の伝 達関数と各 種コ ヒー
レ ン ス関 数を推 定し た結 果か ら,
地盤 性 状の影 響を受け て いるS
波 成 分 間の相 関 性と伝 達 特 性にっ い て検 討し,
相 関の 無い地震波 成分の発 生機構を推定す る。
伝 達コ ヒ
ー
レンス関数,
振 幅コ ヒー
レ ン ス関 数, 位 相 コ ヒー
レ ン ス関 数 を 出 力 観 測 点ごとに 図一
12に示す。
こ の3
種 類の コ ヒー
レンス関 数 を比 較 検 討 すれ ば,
鉛 直 観測点の結果と同様に,
地震 動 間の位 相の相 関が悪い た 1.
50 1.
oo 口.
50 o.
o口 匚.
50 【.
00 o.
50 0.
00 1.
50 1.
00 0.
50 Oroo(
a)
NO
,
3
(
b
)
NO
.
4
0 翼 2345678910(
c)
NO
.
5
(1) 伝 達コ ヒー
レ ン ス関 数 図一
12 1.
50 匹.
00 0。
50 0璽
00 卜.
50 1.
OO 0.
SO 0.
00 1.
50 1.
oo 0.
50 O.
OO(
a)
NO
.
3
(
b
)NO .4
O I 23 456 7 8 910(
c)
NO
.
5
(皿) 振 幅コ ヒー
レン ス関 数 1.
50 1.
00 O.
50 o.
oo t.
50 1.
00 0.
50 0.
00 1.
50 1.
00 o。
50 0.
00(
a)
NO
.
3
(
b
)
NO
.
4
0 宦 23456789 巳0『
(
c)NO
.
5
(田 〉 位 相コ ヒー
レ ン ス関 数 No、
2観 測 点と他の水 平 観 測 点の NS 成分 間の各 種コ ヒー
レンス関 数の比 較一
35
一
め に, 伝達 関 数が地 震ご と にばらつ いていることが 分か る
。
No .
2観 測 点に比 較 的 近いNo .
5観 測 点の位相コヒー
レン ス 関数は遠く離れ たNo .
3およ びNo .
4 観測 点より 全体 的に相関が良い こと か ら, 水 平 観 測 点 間 距 離 が 長く な るにつれ て地 震 動の位 相 間の椙 関が低 下する傾 向が読 み取れ る。
1Hz より高い振 勤 数 帯 域で, 位 相コ ヒー
レ ン ス閧 数の値は非 常に小 さい こ と が,
鉛 直観 測 点の 結 果 と異な る。 長 周 期 成 分の地 震 動 間で相 関が よい という結 果は,
こ の ア レー
観測場 所で観測 さ れ た個々 の 地 震 動 記 録を統 計 解析し た結 果7乏 整 合してい る。 ところ で,
長 周期領域で現れ ない観測場所周辺地 盤 特 性の 違い が 地 震 動 間の位相の相関に影 響を 及 ぼ して い る こと が考え ら れ る。 この影響に関して, 以下に詳し く検 討す る。
最適推定伝達関数の振 幅と最 適 推 定 振 幅 比 をそ 5。
004.
003.
oo2.
σOl.
000。
00 5.
004 。003。
002。
00LOOO.
00(
a)
NO
。3
OI234567B910(
a)NO
。
3
5.
004.
003.
002 』 0 』 000。
00 れそ れ図一
13 の (1
>,
(ll
)に示す。
ま た, 最適 推 定 伝 達 関 数の位相遅 れ と最適 推 定 位相遅 れをそ れ ぞ れ図一
14 の (1
),
(ll
)に 示 す。
最適 推 定 振 幅 比と両 推 定 位 相 遅 れの結 果か ら,
比 較的遠く離れ たNo .
2 観測 点と No.
4 観 測 点 間に おい て,
地 震 動の フー
リエ 振 幅は ほ と ん ど等 しい が,
位相の対 応関係は ほと ん ど無い ことが読み取れ る。
こ の結果と, こ の 2観 測 点 間で地 表まで のS
波の伝 播 時間 が等しい とい う結 果 (表一
1の観 測 値を参 照)か ら判 断すると,
こ の観測点 間で深さ方 向の地 盤 構 造の 違 い は小さ く,
こ の 違いが 波 動 伝 播 に及 ぼ す 影響は わずか であ る と考え ら れ る。 よっ て, 褶 曲し てい る表層 が波 動 伝 播に影響を及ぼ してい ることが考え られ, こ の地 層で 発生 す る相 関の無い地 震波 成分 が,
位 相間の相 関 を悪 化 さ せて いる と推定さ れ る。 ほ } 5。
004。
OO3。
OO2gDO 盲.
000.
00 0(
b
)
NO
.
4
最 適 推 定 伝 達 関数の振 幅 且 2 3 ↓ 5 6 7 8 910(
b
)
NO
.
4
(皿 ) 最 適 推 定 振 幅 比 5。
004.
OO9。
002。
OO1。
000。
00 560a4.
口03。
002.
001。
000.
00 湘1
一
(
c)
NO
,
.
5
0 1 23 456 ? 8910(
c)NO
.5
図一
13 No.
2観測 点 (入 力)と 他の水 平 観 測 点 {出 力)の NS 成 分の推 定振 幅 比の比較 IBO.
OO90.
000。
00一
90 。00一
18D。
OD !80。
0090.
000.
00r90.
00一
180.
00(
a)
NO
.
3
0 1 lBD。
DO90。
000.
00一
90.
00一
・
1BO.
00(
b
)
NO
.
4
(1
) 最 適 推 定 伝達 関 数の位 相 遅れ 180・
OP.
90.
OO0.
00一
90.
00 18D。
OD9D。
OOD。
OD一
90。
00一
ISD。
00 180』0 ,90・
000.
00一
90.
00螺
亠(
c)
N
(〕。
5
r180.
OO−
180。
00 23456 ? 日 g10 012345678 ∈ト10 01234561PB910(
a
)
NO
・3
(
b
)
NO
・4
(
c)
NO
。
5
〔皿 ) 最 適 推定 位 相遅 れ 図一
14No.
2観 測 点 (入 力1
と他の水 平 観 測 点 (出 力 )の NS 成 分の推定 位 相 遅れ の比 較一
36
一
最 適 推 定 振 幅 比の結果におい て