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ネーミングライツから見る観客増加の重要性

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(1)

KPMG

Insight

KPMG Newsletter

ネーミングライツから見る

観客増加の重要性

kpmg.com/ jp

経営トピック⑥

Vol.

23

March 2017

(2)

ネーミングライツから見る観客増加の

重要性

       有限責任 あずさ監査法人  スポーツアドバイザリー室 室長  パートナー 大塚 敏弘 スポーツ科学修士 得田 進介 現在、日本におけるネーミングライツビジネスは様々な施設で展開されており、日 本で初めてネーミングライツを導入した味の素スタジアムやネーミングライツ契約 を新たに結び2016年12月から名称が変わったZOZOマリンスタジアムのような大型 施設だけでなく、神戸市のバス停や渋谷区立の公衆便所といった施設にまでネーミ ングライツが売買されている事例があります。 企業がネーミングライツを購入するメリットとしては主にプロモーション効果があ ると言えます。特にプロスポーツで使用しているスポーツ施設は多くの入場者が見 込めるために、施設に企業名や商品名を冠することによって、多くの人々に対して 認知度の拡大を図ることができます。 さらに、プロ野球やJリーグはシーズン中に毎週開催されることから、テレビや新聞 などのマスメディアに取り上げられるなど、大きなプロモーション効果が期待でき ます。 ネーミングライツを販売する側のメリットとしては収入増加によるスタジアム維持 費の負担軽減であると言えます。ネーミングライツの金額が大きく、長期契約であ るほど財務安定性を確保することができると考えられます。 したがって、ネーミングライツの価値を最大化し、購入した企業と販売した施設運営 者の両者がメリットを享受できるようにしていくことが重要です。 なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめ お断りいたします。 【ポイント】 − Jリーグとプロ野球の入場者数を比較すると大きな差が生じており、プロ 野球の集客力はJリーグを大きく上回っている。 − ネーミングライツの金額とスタジアムの入場者数には相関関係があり、 入場者数の多寡がネーミングライツの契約金額に大きな影響を与えてい る。 − スタジアムをコストセンターからプロフィットセンターに変えていく ためには、まずは観客を増やしていく必要があり、そこから好循環が始 まっていくと考えられる。

大塚 敏弘

おおつか としひろ

得田 進介

とくだ しんすけ

(3)

Ⅰ. Jリーグとプロ野球の入場者数

ネーミングライツが導入されているスタジアムのみの2016年 シーズンの平均集客数をJリーグとプロ野球で比較すると、プロ 野球の方が約10倍多くなっており(図表1参照)、試合数がプロ 野球の方が多いことから、2016年シーズンの1試合平均入場者 数および1試合平均入場率で比較してもプロ野球の方が大きく なっています(図表2参照)。 このことから現状ではプロ野球の方が集客力があると言えま す。その理由として、ネーミングライツを導入しているスタジア ムの運営に球団が携わっていることが1つの理由ではないかと 考えられます。球団とスタジアムの一体経営が行われることで、 観客のニーズに応えるようなスタジアム運営における施策をス ピーディーに打ち出し、顧客満足度を効果的・効率的に高めら れているからだと推察されます。

Ⅱ. ネーミングライツの金額と

入場者数の関係

入場者数が多く見込める人気クラブ・人気球団が使用してい るスタジアムであれば、実際に観戦に訪れる観客だけでなく、 マスメディアなどに露出されることでスタジアム名が人目に触 れる機会が多いと言えます。スタジアムのネーミングライツを 購入する企業としても、それが人目に多く触れることであれば 投資効果が得られると判断できるため、契約金額は大きくなる 傾向にあると考えられます。 ここで、2 016年シーズンのネーミングライツの年間金額と ネーミングライツを導入しているスタジアムの入場者数をそれ ぞれプロットして分析したところ、両者には強い相関があるこ とが分かります(図表3参照)。 図上のR2とは「寄与率」といい、ネーミングライツの金額がば らつくなかで、入場者数がどれほど影響を与えているかを示し たものです。一般的にR2が0.7超では強い相関があるとされてい ます(図表4参照)。 【図表2 Jリーグとプロ野球のスタジアム  2016年シーズンの1試合平均入場者数と1試合平均 入場率(ネーミングライツ導入スタジアムのみ)】

出典:J.LEAGUE Data Site、NPB.jp を基に作成

Jリーグ プロ野球 0 6,000 3,000 9,000 12,000 15,000 18,000 24,000 21,000 27,000 30,000 0% 20% 10% 30% 40% 50% 60% 80% 70% 90% 100% 1 試合 あ た り 平均入場者数 ︵ 人 ︶ 1 試合 あ た り 平均入場率 【図表1 Jリーグとプロ野球のスタジアム  2016年シーズンの年間平均入場者数 (ネーミングライツ導入スタジアムのみ)】 Jリーグ プロ野球 2,000,000 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0

出典:J.LEAGUE Data Site、NPB.jp を基に作成

1 ス タ ジ ア ム あ た り の 平均集客数 ︵ 人 ︶ 【図表3 ネーミングライツの年間金額と年間入場者数の 相関関係(2016年シーズン)】 600 500 400 300 200 100 0 ネ ー ミ ン グ ラ イ ツ 年 間 契 約 金 額︵ 百 万 円 ︶

出典:J.LEAGUE Data Site、NPB.jp、クラブ・球団公式 HP 等を基に作成

R² = 0.852 0 500,000 1,000,000 1,500,000 入場者数(人) 2,000,000 2,500,000 Jリーグ プロ野球 【図表4 寄与率と相関の説明】 寄与率 R2 相関の強さ 0 相関なし 0 < R2 ≦0.2 ほとんど相関なし 0.2< R2 ≦0.4 弱い相関あり 0.4< R2 ≦0.7 相関あり 0.7< R2 <1.0 強い相関あり 1.0 または -1.0 完全な相関

(4)

Ⅲ. ネーミングライツの投資効果

ネーミングライツを導入するためには、スタジアムのネーミン グライツを購入しても良いと企業に判断されなければならず、 投資効果が無ければネーミングライツの購入先が現れることは 無いと考えられます。投資効果があるということは、スタジアム の名前が多くの人々の目に触れることで企業の知名度が上がる ことであり、そのためには前述したように観客を多く集める必 要があります。なぜなら、観客を多く集めると新聞やテレビ等 のメディアでの露出も増え、さらに多くの人々に認知されるこ とになり、ネーミングライツを購入した企業の知名度もさらに 上がることが期待され、投資効果がますます高まると考えられ るからです。Jリーグと比較して集客力が高いプロ野球の方が ネーミングライツの金額が高くなっていることから、集客力の 多寡がネーミングライツの金額に影響を与える1つの要因であ り、観客増の必要性は非常に高いと言えます(図表5参照)。

Ⅳ. コストセンターから

プロフィットセンターへ

収入源増加の第一歩は観客を増やすことであり、観客の増加 がスタジアムのプロフィットセンター化に向けての好循環の始 まりであると言えます。観客が増えるということは観戦のニー ズが高まっている状態であり、観戦のニーズが高まるとチケッ ト収入、グッズ収入、飲食収入が増えるのはもちろんのこと、放 映権が高額で売買され、スポンサーやネーミングライツの金額 も大きくなると考えられます。観客を増加させるための1つの 施策として、前述したようにクラブ・球団とスタジアムとの一 体経営があり、観客の満足度を高め、多くの人にまた来たいと 思わせるようなスタジアムになることが最も重要であると言え ます。 【図表5 Jリーグとプロ野球  2016年シーズンのネーミングライツの 年間平均金額】 Jリーグ プロ野球 350 300 250 200 150 100 50 0 ネ ー ミ ン グ ラ イ ツ 年 間 平 均 金 額︵ 百 万 円 ︶

出典:J.LEAGUE Data Site、NPB.jp、クラブ・球団公式 HP 等を基に作成

スタジアム開発を成功させるための計画

目次 序章 : スタジアム開発プロセスに ついて 第1章 : プロジェクトビジョンの構築 第2章 : 計画および実現可能性調査 第3章 : 許認可の取得と設計 第4章 : 建設 第5章 : 運営 終わりに 新しいスタジアムの新規建設または大規模な改修を検討す る際には、開発の開始から完了までのプロセスを理解するこ とが、プロジェクトを成功させるために重要です。 スタジアム開発計画に1つとして同じものはありませんが、 一連のステップと、異なるフェーズにおける相互関連性およ び関与する専門家を理解する必要性は大部分で共通してい ます。 本報告書では、開発業者、クラブ、協会および公共団体に対 して、スタジアム開発計画の概要を提供しています。

(5)

【バックナンバー】 スポーツビジネスの現状について (KPMG Insight Vol.12/May 2015) 欧州サッカーリーグ(ドイツ・ブンデスリーガ)の財政健全性 について (KPMG Insight Vol.13/July 2015) Jリーグの現状分析 (KPMG Insight Vol.14/Sep 2015) 欧州4大プロサッカーリーグと比較した際の日本サッカー界の 経営課題 (KPMG Insight Vol.15/Nov 2015) スタジアム建設における財務計画策定のプロセス (KPMG Insight Vol.16/Jan 2016) 人々が集うスタジアムとは ~海外事例を基に (KPMG Insight Vol.17/Mar 2016) スタジアムからはじまる地方創生 (KPMG Insight Vol.18/May 2016) スタジアム開発における会計専門家の役割 (KPMG Insight Vol.19/ July 2016) スポーツの発展と放映権料の関連 (KPMG Insight Vol.20/Sep 2016) チームとスタジアムの一体経営 (KPMG Insight Vol.21/Nov 2016) スタジアムの収入源となるネーミングライツ  ~海外と日本の比較 (KPMG Insight Vol.22/Jan 2017) 「スポーツアドバイザリー室」の概要 KPMGジャパンは、一般事業会社で培った知見や経験を活用 し、スポーツ業界に属するチーム、団体が強固な経営および財 務基盤を構築し、勝利し続ける組織作りの支援を行うため、有 限責任 あずさ監査法人内に「スポーツアドバイザリー室」を設 置しました。スポーツアドバイザリー室はスポーツに関連す るチームや団体が攻めのマネジメントを行う一助となるべく、 一般企業で培った経営や財務管理の知見を活用し、経営課題 の分析、中長期計画の策定、予算管理および財務の透明性等に 資するアドバイスを提供します。スポーツ業界を熟知したき め細やかなサービスを提供するとともに、KPMGジャパンのグ ループ会社の知見やスキルも活用しながら、スポーツ関連チー ムや団体を包括的に支援してまいります。 主なサービス ■ 経営課題の分析 業績評価項目・指標に関する各種調査、データ収集に係る支 援 目標値設定および分析手法に係る開発支援 ■ 経営管理に係るアドバイザリー 中長期計画支援、予算管理支援(経営戦略・経営目標と整合 した予算数値設定支援) 差異原因分析、組織目標達成のための具体的施策設定支援 ■ 財務管理 資金出納管理:各種資金表の作成と実績比較を通じた資金 管理体制構築 固定資産管理:設備投資の意思決定段階における採算性 計算、維持更新にかかる経済性分析支援、等 ■ 内部統制構築支援 ■ 情報システムに係るアドバイザリー ■ ガバナンス強化およびコンプライアンス支援 本稿に関するご質問等は、以下の担当者までお願いいたします。     有限責任 あずさ監査法人 スポーツアドバイザリー室 TEL:03-3548-5155(代表番号) 室長 パートナー 大塚 敏弘 [email protected] スポーツ科学修士 得田 進介 [email protected]

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平成29年3月期決算の留意事項

2017

年度税制改正の概要

kpmg.com/ jp

特 集 2(税務)

KPMG

Insight

KPMG Newsletter

特 集 1(会計)

Vol.

23

March 2017

KPMGジャパン [email protected] www.kpmg.com/jp 本書の全部または一部の複写・複製・転訳載および磁気または光記録媒体への入力等を禁じます。 ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対応するものではありません。私たちは、 的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りではありま せん。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する 適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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V o l. 23 March 2 01 7 FSC マークをこちらに入れてください。

参照

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