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2007年12月10日 初稿

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Academic year: 2021

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LNG 価格のこれまでの経緯と将来の展望(パートⅠ)

世界の3大 LNG 市場

世界の LNG 市場は、アジア・太平洋、欧州、北米と大きく3つに区分することが出来る。世 界の地域別 LNG 輸入割合は輸入量の多い地域を順に挙げると、①アジア・太平洋 64.0%、② ヨーロッパ 27.2%、③北米 8.3%、④中南米 0.5%となる。図 1 は世界の地域別 LNG 輸入割合を 示したものである。中東とアフリカ地域には LNG 輸入国は存在しない。中南米地域の輸入割 合は 0.5%と極めて小さい市場なので、世界の LNG 市場は限定的な 3 地域といっていいだろう。 LNG 市場の最も大きいアジア太平洋地域においては、日本、韓国、台湾が主要な輸入国で あり、インドは 2005 年から、中国は 2006 年から LNG の輸入を開始し、アジア太平洋市場に おける新規参入者として登場してきた。2 番目に大きい LNG 市場である欧州での巨大なプレ ーヤーは、スペイン、フランスである。3 番目の LNG 市場である北米の LNG プレイヤーはアメ リカであり、トリニダード・トバコ、エジプト、ナイジェリア等から LNG を輸入している。中南米市 場はごくわずかであるが、トリニダード・トバコからドミニカ共和国とプエルトリコへ輸出されて いる。 図1 世界の地域別LNG輸入割合(2006年) 8.3 0.5 27.2 0.0 0.0 64.0 北米 中南米 ヨーロッパ 中東 アフリカ アジア太平洋

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グローバル化する LNG 貿易

LNG貿易は、1964 年にアルジェリアから英国に輸出されたのが最初である。図 2 は、世界 の天然ガス取引推移を 1997 年から 2006 年までの天然ガス貿易量を表したものである。1997 年の天然ガス貿易量は、パイプラインとLNGを合わせて 4,330 億m3であったが、2006 年には 7,482 億m3と 1.7 倍に拡大している。この 10 年間の年間平均増加率は 5.9%となる。因みに、 同期間の世界の天然ガス消費量の年間増加率は 2.3%であるので、この間の天然ガス貿易量 の増大は、消費量の増加に対して 2 倍以上のスピードで拡大していったことになる。 次に、パイプラインガス取引と LNG 取引の割合を見る。1997 年における天然ガス全体の貿 易量に占めるパイプラインガスと LNG の割合は、パイプラインガス 74.3%、LNG25.7%であった のに対して、2006 年にはパイプラインガス 71.8%、LNG28.2%となっており、この 10 年の間に、 LNG の割合が大きくなっている。過去 10 年間を振り返り、今後の展望として、天然ガスの国 際貿易はさらに拡大することが予想され、またその中で LNG の比率が増大していくと言えよう。 言葉を変えて表現すれば、LNG 貿易は今後さらにグローバル化することが予測される。 図2  世界の天然ガス取引推移 3217 3331 3605 3893 4113 4314 4549 5021 5327 5371 1113 1130 1232 1370 1430 1498 1688 1780 1888 2111 4330 4461 4837 5263 5543 5812 6237 6801 7215 7482 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 (出典:BP統計よりグラフ化) (単位:億m3) 世界全体 パイプライン取引 LNG取引

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市場毎に異なる LNG 価格メカニズム

天然ガスは全世界で取引されている共通の商品ではないので、天然ガス価格のメカニズ ムはその地域毎で独立している。現在のところ世界における主要な LNG 市場は前述したよう にアジア、欧州、北米であるが、それぞれ地域独自の価格メカニズムを持っている。 アジア地域においては、LNG は石油代替燃料と考えられていたので、LNG 価格は原油価 格にリンクするようになっており、日本においては輸入された原油の平均価格 JCC(Japan Crude Cocktail)リンク方式が採用されている。このように LNG 価格は原油価格にリンクしてい るために、原油価格が上昇すれば LNG 価格も後を追うように上昇し、原油価格が下落すれ ば LNG 価格も後を追うように下落するような価格変動をする。 欧州においては、パイプラインガスが、石油化学製品、ガスオイル、燃料油等と競合してい るので、パイプラインガス価格は石油製品の価格水準を尺度として決められている。一方、 LNG はヨーロッパ全土に網羅されているパイプラインガスと競合的にならざるを得ないので、 LNG 価格も自ずとパイプラインガスと同じような価格メカニズムとなっている。 米国においては、円熟した競争的なガス市場が存在するため、ガス価格は一般的にヘンリ ー・ハブの市場価格とリンクしている。ヘンリー・ハブとは 17 系統のパイプラインが交差してい るガス集積地の名前であり、そこで天然ガスの売買が行われている。米国全土で行われてい るガス価格は、ヘンリー・ハブとの格差(+または-)で表示される。ヘンリー・ハブとの格差はそ の時の需要パターンや最終需要者までの輸送距離の遠近によるものが多い。米国への LNG 輸出においては、スポット販売、及び長期契約に基づく販売の 2 種類があるが、LNG はパイ プラインガスと競合しているので、LNG 価格はヘンリー・ハブの価格にリンクしている。 以上、3 地域(アジア、ヨーロッパ、北米)の価格リンクと考え方をまとめると表 1 のようにな る。 表1 現在の LNG 価格リンク 地域 リンク方式 考え方 備考 アジア(日本) 原油価格リンク LNG は石油代替エネルギーで ある 現在は JCC 価格決定の主要 指数となっている ヨーロッパ 競合燃料価格リンク 天然ガスは原油、石油製品と 競合しなければならず、LNG も 同様である LNG はパイプラインガスとの 競合もある 北米(米国) ヘンリー・ハブ価格・リンク LNG は国内天然ガスの需給に 委ねる ヘンリー・ハブ価格は原油価 格との相関性が薄く、変動幅 が大きいため、米国への LNG 輸入量も大幅に変動する

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図 3 は 1996 年から 2006 年までの日本、欧州、米国の原油とガスの主要価格の推移を表し たものである。図によれば、欧州と米国のガス価格はそのほとんどがパイプラインで輸送され るため、日本に比べて価格が安くなっている。米国においてはガスは国内で生産されるばか りか、カナダ、メキシコからも輸入している。欧州においては、ガスはアルジェリア、オランダ、 北海、そしてロシアからパイプラインで輸送されている。日本の LNG 価格は、原油価格にリン クしているので、概ね OECD 原油価格と同じような価格変動をしている。 図3 世界の天然ガス価格 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 1996 年 1997 年 1998 年 199 9年 2000 年 2001 年 200 2年 200 3年 2004 年 2005 年 200 6年 (出典:BP統計 2007年) (単位:ドル /MMBtu) 日本LNG CIF価格 ヨーロッパ連合 天然ガスCIF価格 米国天然ガス ヘンリーハブ価格 OECD原油 CIF価格 図 4 は日本の原油価格と LNG 価格の関係を示したものである。日本の LNG 導入は、1969 年に米国アラスカ州キナイから第 1 船が日本に到着したのが最初である。アラスカ LNG 導入 時の LNG 価格は、プロジェクトへの投資額を基にした固定価格で$0.52/MMBtu であった。こ の固定価格は原油換算すると、原油平均価格$0.33/MMBtu に相当し、プレミアムを加算して $0.52/MMBtu となった。その後ブルネイ、アブダビでも当初は固定価格が採用されたが、 1973 年アラブ・イスラエル戦争が勃発し、73 年から 74 年にわたって貨物積込停止が続いた。 これが原油価格の急激な高騰という第一次石油危機である。石油価格の高騰に追従して LNG 価格も値上げされた。1973 年、原油価格は$2.83/b だったものが、74 年には$10.41/b(ま たは$1.90/MMBtu)に急上昇した。LNG 供給者は原油の高価格から得られる利益を LNG にも 取り込もうと、LNG 価格を原油等価にすべきだと盛んに主張した。その結果、第 2 次石油危機 後の 1979 年以降は原油等価方式が採用され、原油の GSP(政府販売価格)に 100%リンクして 熱量等価により LNG 価格が決定された。原油等価方式は 1985 年まで続くことになる。

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しかし、1980 年半ば頃から既に原油供給過剰は表面化しており、OPEC 諸国の一部は減 産を余儀なくされてきた。それにも拘らず OPEC は原油値上げを続行し、基準原油であるアラ ビアンライトは 1981 年 10 月には 34$/bbl まで上昇した。その後、1983 年 2 月に 30$/bbl 、 1985 年 2 月にはさらに 28$/bbl に値下げされた。1986 年以降、OPEC は政府販売価格の仕 様を放棄し、世界の石油市場は供給と需要によって価格が決められるようになると、価格の 崩壊が生じた。 1985 年からの原油実勢価格の低下により、GSP リンクの LNG 価格が原油価格と著しく乖離し たため、新たに JCC(Japan Crude Cocktail)リンク方式が採用されるようになった。JCC とは全 日本輸入原油 CIF 平均価格のことで、これによる LNG 価格の算式は以下のとおりである。 LNG 価格(Y)=係数(a)×JCC(X)+一定額(b) 現在、ほとんどプロジェクトではその価格フォーミュラーを GSP リンクから JCC リンクに変更し ているが、a、b の数字はプロジェクトごとに若干の差異がある。1986 年以降、価格フォーミュ ラーに基づいた“S カーブ”が導入されるようになった。“S カーブ”の詳細は後ほど述べるが、 基本的には原油リンクとしており、以前の価格方式に不安定性を緩和しようとするものである。 2007 年 12 月現在、LNG 価格は、“S カーブ”が影響して、熱量等価で原油よりも安いレベルで 推移している(図 3 参照)。 図4  日本の原油・LNG価格推移 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 1969 年度 1971 年度 1973 年度 1975 年度 1977 年度 1979 年度 1981 年度 1983 年度 1985 年度 1987 年度 1989 年度 1991 年度 1993 年度 1995 年度 1997 年度 1999 年度 2001 年度 2003 年度 2005 年度 (単位:円/1,000Kcal) 原油価格 LNG価格

図 3 は 1996 年から 2006 年までの日本、欧州、米国の原油とガスの主要価格の推移を表し たものである。図によれば、欧州と米国のガス価格はそのほとんどがパイプラインで輸送され るため、日本に比べて価格が安くなっている。米国においてはガスは国内で生産されるばか りか、カナダ、メキシコからも輸入している。欧州においては、ガスはアルジェリア、オランダ、 北海、そしてロシアからパイプラインで輸送されている。日本の LNG 価格は、原油価格にリン クしているので、概ね OECD 原油価格と同じような価格変動

参照

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