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バイノーラル

ボイスストリーム テクノロジー

ことばをもっと聞きやすく

バイノーラル ボイスストリーム テクノロジーを使うと、ことばを聞き取りやすくするだけでなく、補聴器を 装用されている方にとって聞き取りづらい場所での聞き取りを解決してくれます。 はじめに この 20 年間、補聴器の技術的な可能性がずっと進 歩し続けています。以下は、その中でも代表的な 3 つの技術革新です。 ・ 1980 年後半:チャンネル毎の圧縮動作 ・ 1990 年中盤:デジタル信号処理 ・ 2008 年:リアルタイム両耳間音声信号処理 これらの進化で補聴器をより小型化にし、より高 度な機能を搭載することが出来ました。それだけ でなく、ユーザーの満足度も保証し続けています。 これはおなじみの MarkeTrak マーケット分析で年代 順に例証されています(Kochkin 2010)。両耳供給シ ステムの数はとどまること無く増え続け(Kochkin 2009)、補聴器を調査するにあたって両耳間音声信 号処理技術が注目されつつあります。 最新のクエスト チップを搭載したフォナック クエ ストシリーズでは、補聴器の両耳機能がさらに充 実しました。この機能は両耳間の聞こえをサポー トしてくれます。両耳機能は補聴器の能力をさら に高め、報告に上がっている問題を解決してくれ ます。(Kochkin 2010) ・ 大人数の中で正面の話し手のことばの聞き取り ・ 騒音下で正面以外の話し手のことばの聞き取り ・ 騒音下での電話 ・ 風が強い屋外でのことばの聞き取り フォナックのクエストチップに搭載された両耳機 能の概要と、新しいチップによってどのような難 しい音響状況への解決が出来たのかを記します。 バイノーラル ボイスストリーム テクノロジー バイノーラル ボイスストリーム テクノロジー 補聴器間のリアルタイムオーディオデータ通信に よって支えられています。周辺機器のサポートに とどまらず、聴覚障害を抱えたユーザーの両耳の 聞こえを補います。しかし、補聴器間でデータを 通信するワイヤレス機能は様々な条件をクリアし なければなりません。例えば、時間処理を短くし たり消費電力を最小限にとどめたりすることが重 要となります。この新しい両耳間通信システムは 低い電圧でも作動します。また、テレコイルと違 い音声をデジタルで送信できるよう設計されてい ます。これにより安定したデータ送信を実現して います。 ワイヤレス機能は 10.6MHz の周波数で送られてい ます。(2.4GHz で作動するブルートゥースと比べ ると)この低い周波数は消費電力のニーズに応え るためです。ワイヤレス機能はデータのやり取り に非常に有利です。オーディオデータの周波数帯 域は 8kHz まであり、両耳間通信にとって、とても 効果的です。通信は双方向なので、必要なデータ 率はその2 倍になります。音声とコマンドデータ通 信に必要なビットレートは 300k ビット/秒になり ます。 仮にサンプリングレートが20kHz でリニアエンコー ディング解像度を 16 ビットとすると、オーディオ データの双方向通信には 640k ビット/秒ものビット レートが要求されます。そのため、必要なデータ

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量がやり取りできず、使えるはずの機能が使えま せん。そのため、音声データは予め MP3 にエンコ ードされてから送信されます。これに使われるコ ーデックはわずか2 ミリ秒ほどのタイムディレイと 300k ビット/秒のビットレートで済みます。そのた め両耳間オーディオストリーミングに最適なので す。このビットレートは前述のワイヤレス機能に よって送られ、2 つの補聴器間に必要なコマンドデ ータを通信させるための効果的なバッファの容量 を確保することができます。高速処理が両耳間で の処理を可能にさせ、音源定位を自然なまま保て ます。 オートステレオズーム 近年、雑音と会話を分離し、客観的にも主観的に も会話の聞き取りを改善するために、補聴器の複 数マイクロホンによる技術がキーとなる要素とな っています。(Ricketts and Mueller 1999; Chung 2004) 2 つの信号はマイクロホンの位置よって微妙に異な ります。 聞きたい音は前方にあるという前提で、 マイクロホンの感度は目的の音源の方向である前 方に向けられています。これには2 つのマイクロホ ンに入力される信号の差分と時間差を用います。 このビームフォームには固定型、もしくは騒音源 の変化に合わせて追尾する適応型指向性がありま す。 2 つの無指向性マイクロホン信号で情報を処理する 通常の指向性で効果的に騒音を抑制するには、聞 きたい音から 60 度以上の角度の差が必要です。こ れ以下だと聞きたい音と騒音が指向性の範囲内に 入ってしまうためです。そのためこのシステムは 日常生活でも限界があります。例えば騒音源が聞 きたい音からの 60 度以内に存在したり、もしくは 聞きたい音からの距離が遠かったりした場合です。 マイクロホンの指向性範囲を狭めたり、感度を上 げたりすることでこの限界は広げることが出来ま す。マイクロホンの配列を増やすことでも可能で す。音源はたいていの場合頭と同じ範囲内にある ので、平面型指向性マイクロホンは非常に効果的 です。しかし複数のマイクロホンが互いの背後に 配置される、音響スタジオで使われるこのような 方法は補聴器が小さいので現実的ではありません。 補聴器システムには全部で4 つのマイクロホンがあ ります。両耳間通信によって、それらは2 つの別々 のシステムとしてではなく、2 つで 1 つのシステム として扱うことができます。また、これは人間が 2 つの外耳のそれぞれの指向性を組み合わせてひと つの特性を持っている、自然な両耳の補聴器にマ ッチしています。ステレオズームはワイヤレス機 能を介して左右の補聴器にあるデュアルマイクロ ホン指向性の信号を組み合わせ処理します。最初 に、両側の補聴器にあるマイクロホンの入力音は 通常の指向性の処理をするようになっています。 それぞれの出力信号は全ての音響データのバンド 帯をカバーするためワイヤレス送信機を使用して 対側に送られます。 そこで同じ側に存在するデュアルマイクロホンシ ステムの出力信号と共に処理されます。4 つのマイ クロホンを使ったマイクロホン配列は第3 世代のマ イクロホンシステムとなります。マイクロホンの 段階や大きさの特徴はこの目的に大いに合致しま す。マイクロホンは補聴器にセッティングされる 前にすでに整合されています。マイクロホンは補 聴器が装用されている間、感度や段階に考えられ る違いを補う適切なアルゴリズムを使用して自動 的に行われます。図1 では反響のしない部屋で測っ た、自由空間でのマイクロホンシステムの指向性 ダイアグラムを載せています。0 度から見て左右約 45 度のより狭い指向性マイクロホンの範囲がある ことが分かります。 これによって、たとえ声の大きな別の話者が話し たい相手より近くにいるときでも、マイクロホン システムはそれを別の物として判断をすることが 出来ます。前方以外からの会話や騒音を抑制する 能力が明らかに増加しました。SN 比は補聴器単体 の2 つのマイクロホンを使ったシステムと比較して、 約 3dB の改善がみられました。マイクロホン間の 距離が「見かけ上」増加することで、低い周波数 でより効果的に立体感を得ることができるよう、 異なる場所からの個々のマイクロホン信号間の差 を増幅します。図1 ではさらに、左右の補聴器がそ れぞれバラバラのポーラーパターン(指向特性) でなく、むしろそれらは空間分離が保持されてい ます。これは空間認識や音源定位に必要です。左 右同一の指向特性は、定位のために任意の方向情 報を欠いている音の両耳の感覚をもたらすでしょ う。これにより、音源定位に必要な特定の角度で 減衰される両耳の音の感覚をもたらします。

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図1 上:広範囲での KEMAR の左右の耳を使った指向性のポーラ ーパターン。下:広範囲での KEMAR の左右の耳を使ったス テレオズームのポーラーパターン。いずれも反響の少ない 音場。 ステレオズームはスパイス シリーズのプレミアム クラスに初めて搭載されました。この機能による 聞こえの改善は多くの研究で証明されています。 (Nyffeler 2010a, Nyffeler 2010b, Nyffeler 2010c, Timmer2010) オールデンブルグの聴力センターで行われる研究 において、ステレオズームと一般的な片耳指向性、 そして利用可能なもう一つのシステムとの比較が 行われました。OLSA(オールデンブルグ・センテ ンス・テスト)は予め用意された騒がしい環境で 使われました。7 つのスピーカーが異なる方向から カフェテリア音を示しました。(図 2)騒音信号は そのため散らばるようなっています。音を出す前 にある2 つの物は 30 度もしくは 330 度で固定され ます。そうすることで指向性マイクロホンシステ ムのメインローブ(指向性の範囲)が会話音と騒 音とを区別できるようにとても狭い範囲にならな ければなりません。 中等度難聴を抱えた 15 人の被験者が研究に参加し ました。図3 は異なった指向性マイクロホンアプロ ーチの会話音反応閾値の中間値です。結果がマイ ナスであるほど良い結果となります。ステレオズ ームは明らかに他の2 つの指向性マイクロホンより も優れています。ステレオズームを使った被験者 は片耳指向性の環境閾値よりも 1.65dB 小さい音で 文章中の言葉を 80%理解でき、競合するシステム の環境閾値よりも 2.75dB も小さい音でも理解する ことが出来た。結果は統計として重要です。この 結果で分かるように、指向性の可能距離が 30 度以 内の時に、高音域のマイクロホンシステムのみが 騒音と聞きたい音との間に区別をつけることがで きます。研究ではステレオズームが明らかに理想 的な条件下だけでなく、現実にもおこりうる騒音 が広がった環境下でもことばの聞き取りに改善が 見られたと確認されました。 Kreikemeier ら(2012)は 14 人の重度難聴者を被験者と して、片耳と両耳のそれぞれの指向性の聞こえや すさの比較検証をしました。 ・ 固定型指向性(片耳) ・ 環境適応型指向性(片耳) ・ ステレオズーム(両耳) 図4 の結果によると、両耳の指向性は固定した指向 性を持つ片耳と比較すると、両耳はより直接的で 主観的で優れています(ステレオズーム vs 固定型 指向性を参照)。固定した指向性を持つ両耳シス テムと適応型指向性を持った片耳システムを比べ たところ、直接比較した”ステレオズーム vs ウルト ラズーム"では、固定型指向性よりウルトラズーム が騒がしい場所でより良く機能しますが、ステレ オズームはさらに効果的に機能することが分かり ました。 図2 ステレオズームの効果を調べるためスピーカーからOLSA を 提示。カフェテリアノイズは拡散された騒音信号を想定し 30°、60°、90°、180°、270°、300°、330°の角度か ら時間的にシフトされて提示。 会話信号は0°の角度で提示。 ■ウルトラズーム ■ステレオズーム ■競合製品 図3 図 2 の環境下で行った 3 つの指向性をテストに用い、被験 者が80%の会話理解が可能であった SRT の中間値。

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ステレオズーム 固定型 ウルトラズーム 変わらない 図4 3 つの指向性を比較した主観的評価の累計。ことばの理解、 騒音抑制、音質などすべてのカテゴリーで、検査/再検査、 前や後での結果を含む。 2 つの片耳での比較結果ではこの考え方は正しいと 証明されています。ウルトラズームと固定型指向 性の比較では、適応型指向性マイクロホンがより 具体的な騒音下にもより良く適応できるので、ウ ル ト ラ ズ ーム が よ り好 ま れま す 。Kreikemeier ら (2012) はこれらの結果から、より複雑な指向性マ イクロホン技術と聞きにくい困難な状況下でも自 覚可能な改善につながる具体的な狭い範囲での指 向性範囲が必要であるという結果になりました。 主観テストと同様に、客観テストでもステレオズ ームは補聴器単体のデュアルマイクロホン指向性 よりも優れていると行った全ての研究結果から分 かりました。 以前の製品(スパイス シリーズ補聴器)では、エ ンドユーザーがステレオズームを手動で呼び出さ なければなりませんでした。また、予め設定され た補聴器でしか作動しませんでした。使う時だけ 作動させるため、その時の状況に合わせたプログ ラムを選ぶことはユーザーにとって難しいことも ありました。結果として、使わない方は全く使わ ず、使う方は必要以上に使うといったことが起き ていました。効果が見られないような場所でステ レオズームを使用し電池が早く消耗したり、また 効果が逆効果になってしまうこともあったかも知 れません。 上記の問題を解決するため、ステレオズームをオ ートマチックで作動するよう改善、サウンドフロ ーの自動プログラムとして使うことが可能になり ました。サウンドフローはステレオズームが上記 で挙げたような効果がない状況を生み出さないた め、適切な状況に限り動作するよう改善されまし た。複数のパラメーター (入力レベル、環境分 類)によって、サウンドフローは両補聴器の入力 音を分析し、その後ワイヤレス通信を介して2 台の 補聴器の入力音を比較します。両補聴器がステレ オズームを作動させるには、ある一定の条件が必 要になります。 この動きは突然起こるわけではなくヒステリシス 曲線によってきます。そのためステレオズームは 測定したパラメーターが一定の期間安定する状況 でのみ切り替わります。切り替えの感度は Phonak Target の微調整画面の中にあります。サウンドフロ ーとオートステレオズームの時定数はリンクして います。サウンドフローオプションで設定された パラメーターは環境変化に対するステレオズーム の時定数や環境認識の閾値に影響します。 これらの技術はオートステレオズームが必要な時 のみにだけ作動し、実際に両耳間通信技術の効果 があればいつでも動作するということを実現して います。ステレオズームによる消費電力の増加は、 その効果がある時にのみ抑えられます。そしてサ ウンドフローに組み込まれることで、ステレオズ ームを事前に補聴器に設定しておかなくてもよく なりました。 結論として、フォナックのバイノーラル ボイスス トリーム テクノロジーによって「話し手の顔を見 ながら大人数の中での会話」という複雑な環境に も効果的な解決法を提供することができます。 オートズームコントロール 指向性マイクロホンシステムは聞きたい音源が補 聴器ユーザーの角度0 度の前にいることが基になっ ています。しかし、ことばが前ではない違った方 向にあり、話し手の方向に顔を向けられない(も しくは向けたくない)ときもあるかと思います。 よくある状況としてユーザーが車を運転していて 同乗している方と話したいけれど前を見て運転を しなければならない時があります。一緒に乗って いる人の方向に指向性マイクロホンが向いてくれ ると望ましいものです。 オートズームコントロール機能はこのようなユー ザーのために作られました。この機能はスパイス シリーズのプレミアムクラスに初めて搭載され、 クエスト シリーズ補聴器にも引き継がれています。 この機能は4 つのマイクロホンネットワークが適切 な状況を素早く見つけだし、自動的に一番効果の ある指向性モードに確実にセットされる仕様にな っています。補聴器ユーザーはオートズームコン トロールを使うために、マニュアルプログラムと して両耳の補聴器に設定しておく必要があります。

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ワイヤレス通信は環境分析と音声ストリーミング に必要なデータ通信がしやすいよう、常に動作し ています。 最も高い SN 比やレベルによる音声信号がどの方向 から始まるかをアルゴリズムは最初に検出し、正 しい方向へと切り替えます。切り替わりはオート ステレオズームと同様、システムが不規則に働か ないよう数秒してから切り替わります。具体的な 切替時間は検出された雑音レベルと環境によって 変化します。 話し手が補聴器ユーザーの前もしくは後ろにいる とき、両補聴器は語音明瞭度を最大にするため、 前もしくは後ろへ固定した指向性に切り替わりま す。この場合、ワイヤレス通信は補聴器間でパラ メーターを調節し、また音環境が一定であるかど うか監視するためのみ使われます。話し手が補聴 器ユーザーの右側もしくは左側にいるときは、話 し手に一番近くて SN 比の良い補聴器が無指向性へ と切り替えられます。両側の補聴器のマイクロホ ン信号は弱まります。 ワイヤレス通信は同側から反対側へと音信号が送 られます。切り替わりで音の大きさやトーンが顕 著に変わらないよう、マイクロホン位置による音 響効果も考慮して行われます。前方からの音に対 するマイクロホンの位置効果はいずれの場合でも 使われます。両補聴器の信号利得は左右の聴力低 下レベルが違う場合でも機能するようそれぞれの 耳の利得や圧縮比に基づいて計算されます。 すでに多くの研究で、語音明瞭度の改善が証明さ れています (Nyffeler 2010d,Nyffeler 2010e)。上記で 述べた「オートステレオズーム」についてオール デンブルグで行われている最近の研究では、オー トズームコントロールと2 つの競合他社のシステム との比較調査を行いました。 目標語音明瞭度 は OLSA を使って決定されます。騒音信号を拡散させ るため、騒音信号はそれぞれのスピーカーから同 時に提示されました。 しかしこのテストでは、会話信号は前方からでは なく、90 度もしくは 270 度からランダムにやって きます(図 5)。被験者は会話信号がどちらかのス ピーカーから提示されることは知らされているも のの、どちらのスピーカーから提示されるかは分 かっていませんでした。このテストでは集中力 (注意能力)も測定します。報告書では機能の効 果時間が会話音源に集中にもよると紹介していま す。図6 では様々な測定環境での語音聴取域値(両 方の角度 90 度と 270 度の測定した組合せ)の中間 値を紹介しています。オートズームコントロール は他の2 つの機能より優れているのは明確です。オ ートズームコントロールは競合製品 B よりも 1.9dB も良く、競合製品 A よりも約 3dB 良い語音聴取閾 値に到達します。両社の値は OLSA の探知レベルを 明らかに越えています。従って、この結果は重要 であると言えます。 図5 オートズームコントロールの効果を調べるためスピーカー から OLSA を提示。カフェテリアノイズは拡散された騒音信 号を想定し 0°、30°、60°、180°、300°、330°の位置 から時間的にシフトされて提示される。 会話信号は90°もしくは 270°の角度から提示。 オートズームコントロール 競合A 競合B 図6 OLSA による SRT の中間値。オートズームコントロールと 2 つの競合他社の機能との比較。スピーチ提示は 90°と 270°両方の結果を統合。 Wu ら(2012) は補聴器を付けた車を運転するドライ バーと助手席や後部座席に座っている相手との会 話を促進させるための対策を調査しました。次の 3 つを行いました。 ・ 後 方 に 集 中 し た 指 向 性 マ イ ク ロ ホ ン を 使 う 。 (HA1) ・ ワイヤレスのストリーミング機器を通じてもう片 方の補聴器へ一番良い SN 比の信号を送る機能を 使う。(オートズームコントロール搭載のHA2) ・ SN 比が低い側を減衰し干渉を抑える。(HA3)

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運転中の会話信号や妨害信号は助手席にいる人や 後部座席にいる人によって起こります(図 7)。 KEMAR の両耳に補聴器を着けて助手席に座らせ、 補聴器からの出力を記録しました。これらの記録 では客観的な言語理解が評価された上で、その後 聴覚的に修正され、耳のヘッドセットを通じて両 耳の聴力損失で苦しんでいる 25 人の被験者に提供 しました。HA2、すなわちオートズームコントロー ルにおける CST (The Connected Speech Test : Cox ら 1987)結果が図 8 です。指向性は常に最も適切で効 果的な方向へ自動で切り替わります。 スピーチ・テストの結果から、客観的に確認でき るほどSN 比の改善がみられました。(予め KEMAR による測定で理論的に証明済み)無指向性と比較 して、「新技術」オートズームコントロールを使 った被検者の聞き取りは平均 10.6%改善が見られ ました。そして指向性の設定と比べた時(もちろ んこの状況では逆効果ですが)オートズームコン トロールを使うと聞き取りが 37.6%改善されまし た。「横からの言葉」は、無指向性と比較してオ ー ト ズ ー ム コ ン ト ロ ー ル を 使 う と 聞 き 取 り が 18.5%改善され、また前方の固定型指向性と比較で は 33.8%もの改善がみられました。分散分析によ って、テスト結果とオートズームコントロールの 間に関連性が明らかになり、これらの結果は統計 的にも有意と言えます。それぞれの統計レベルで の一般的な解決方法の比較に文献での研究は含ん でいませんが、他のプロセス2 つのオートズームコ ントロール機能でも平均していくつか利点が記録 されました。 結論として、フォナックのバイノーラル ボイスス トリーム テクノロジーによって「騒音下で聞き手 が話し手に顔を向けることができない」という複 雑な環境にも効果的な解決法を提供することがで きます。 図7 CST のサンプル音録音のテスト設定。 無指向性 指向性 ズームコントロール 図8 横や後からのことばといったテスト環境によって分けてテ ストした3 つのアプローチによる CST の平均結果。 デュオフォン 電話での会話を正確に理解することは、難聴者と って非常に困難が伴います。(Latzel 2001) 特に周り の騒音がうるさい環境だと難しくなります。それ を解決するため、多くの補聴器には電話機の磁気 誘導システムの信号を受信するテレコイル機能が あります。マイクロホンをオフにすることでさら に SN 比は高くなります。しかしながら、磁気誘導 システムを搭載していない電話機もあり、テレコ イルだけで全てを解決することはできません。ま た、もう片方の耳は受話器として使用されず、音 が入ってこないだけではなく、補聴器が反対側の 耳に干渉も引き起こします。これでは両耳装用し ていても電話を楽しめません。このような理由に より、補聴器ユーザー 、特に電話を 頻繁に使う 人々にとって聞きにくい音響状況を聞きやすくさ せるための新しい解決方法が必要です。 デュオフォン機能はこういった要因を反映して開 発されました。デュオフォンは補聴器間で音声デ ータ通信を使い電話の音声を送り、片方のマイク ロホンを介して反対側の補聴器へ伝送します。反 対側の入力音はもう片方が受信した信号を優先さ せるため 6dB 減衰されます。そのため、反対側の 聞きやすくなった SN 比はもう片方にも影響を与え ます。イージーフォン機能を使えば、補聴器が自 動的に受話器を感知して最適な音質になるようプ ログラムを切り替えます。補聴器ユーザーは、た だ補聴器に受話器を近づければよいのです。それ だけで電話での会話がはっきりと聞こえる SN 比の 高い聞こえを実現し、両耳機能をより効果的に利 用することができます。

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騒がしい環境で電話をかけるときに、デュオフォ ンが与えることばの理解の改善に寄与するのか、 15 人の中等度~高度難聴の被験者に参加してもら い、リューベック専門大学で検証を行いました。

様々な被検者に合わせてより詳細な検証を行うた めJFC テスト (Just Follow Conversation Test : Hygge ら 1992)を行いました。このテストでは、周囲の騒音 (55dB)に対して「私が内容を理解できる」基準を満 たす会話音レベルを被検者自身が決定します。 図9 では JFC テストでの個々の結果を紹介していま す。電話信号が片耳だけで使われるときは機能せ ず、デュオフォンを使用すると SN 比が良くなりま す。JFC テストによる主観的な言語理解は 3 人の被 験者をのぞいて改善することが出来ました。その 他のケースでも、デュオフォンを使うことで SN 比 が最大 12dB 改善しました。これは、片耳で電話を 聞くときよりも、デュオフォンを使う時の方が、 この被検者の場合、電話の声が周りの騒音よりも 12dB 弱くても良いということになります。 結論として、フォナックのバイノーラル ボイスス トリーム テクノロジーによって「騒音下での電話 の聞き取り」という環境にも効果的な解決法を提 供することができます。 図9 JFC テストを行った個々の結果。自由音場に設置されたスピ ーカーからの騒音と共に、会話音は受話器を通じて提示さ れる。被験者は自分が「内容が理解できる」まで音声信号 を変化した。JFC 閾値は会話信号が片側(「電話」側の耳) に提示された値。 風の中でのことば 風切り音による SN 比の低下はしばしば見られます。 補聴器マイクロホンの周りにある風が雑音を引き 起こしてしまうので、特に聴覚障害をかかえる人 が補聴器を装用するときに起こり、多くの技術革 新はこの分野で機械的に、そしてデジタル信号処 理を使って風の影響を減らそうと開発してきまし た。純粋に機械的な解決が出来たとしても、実際 に聞くとわかりにくいのです。例えば、マイクロ ホンフィルターが日常的な使用で汚くなると、聞 きたい音を風から切り離すために、アルゴリズム はただ特定の周波数幅の増幅を抑えることしかで きません。周りの雑音を弱めてくれますが、音声 信号も弱めてしまいます。ですので、この方法は 良い言葉の理解を保証するには多くの風状況にお いて効果的ではありません。 十分でない風抑制は別として、検索メカニズムが 不完全では補聴器の機能の効果が得られません。 例えば、風が存在しないのに風が「探知された状 態」の時(偽陽性:選択性)、もしくは風がある のに風が探知されない時、信号が弱すぎるのが原 因かもしれない(偽陰性:感度)。 新しい機能の「風の中でのことば」では特にこれ ら 2 つの問題の解決を目的としています。風切り 音のフィルタリングの性能が良くなり、ことばの 明瞭度が上がると同時に、探知能力の感度や特定 性も上がりました。 検出 既存のフォナックの技術を基に、低周波数に入っ てきた音によって風切り音の検出・探知が行われ ます。さらにフォナック クエストはデュアルマイ クロホンシステムの信号を分析します。ある一定 の期間(システムの時定数)、2 つのマイクロホン が得た特定の周波数帯のレベルと信号の位相に直 接的な相互関係がない場合、風があると想定しま す。さらにある特定の周波数成分の比を分析し、 風の強さがどのくらいかを検出します。これら2 つ の結果をもとに、サウンドフロー上では風切り音 抑制をほぼリアルタイムで騒音レベルに合わせな がら動作します。このアルゴリズムにはデュアル マイクロホンシステムを持つ補聴器が必要になり ます。 抑制 これまでの風切り音抑制(ウインドブロック)に 加えて、新しいクエストシリーズでは探知された 風切り音レベルと音声信号のレベルから 求めた SN 比によって抑制を計算します。ことばの音声信

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号レベルが風切り音のレベルより高いときは、抑 制を控えます。このとき、ことばの入力音は影響 を受けません。風の強い状況下で、風切り音抑制 がことばの明瞭性を犠牲にしてまで快適性を維持 しないためです。 新しい風切り音抑制機能はまた、風切り音レベル によっても作動します。このシステムは検出され たパラメーターによる周波数属性を利用し風切り 音の強さを求めます。求められた値によって、抑 制はコントロールされ、風切り音レベルが低いと きは減衰を弱め、高いときには減衰を強めます。 抑制がかかる周波数の閾値は、クローズフィッテ ィングでは 1.6kHz ほどに抑えられると同時に、オ ープンフィッティングではベント径によって最高 3.5kHz までの周波数に影響を与えることができます。 語音明瞭度の改善 風騒音を抑えると風の強い環境でも快適な補聴器 装用が可能です。しかし、そのような快適な環境 は 会 話 を 向 上 さ せ て く れ る と は 限 り ま せ ん 。 Kochkin (2010)による最近の研究でも、未だに風の 影響が大きな問題であると言及している理由のひ とつです。そのため、ただ快適な状況を作り出す だけでなく、風の強い環境でも言葉の理解を高め ることが大事です。新機能「風の中でのことば」 では補聴器の両耳間ワイヤレス通信を利用し、両 耳間での処理を容易にします。この新しい両耳機 能では、それぞれの補聴器が検出した風切り音レ ベルを交互に送信し、それぞれのパラメーターを 分析します。やりとりしたパラメーターの値にほ とんど差がない場合、この機能は動作しません。 風状況が左右均等と想定し、それぞれの補聴器で 別々にウインドブロック機能だけが働きます。 しかし、もし異なった値が検出された場合、左右 非対称の風状態であると想定されます。この状況 では、風切り音の影響が少ない側(同側)から反 対側(反対側)へと信号が送られます。反対側上 で、両方の信号(風切り音の少ない同側の信号と 反対側の信号)をフィルタリングし、ミックスし ます。これによって、両耳聴や音源定位に必要な 音声情報を最も保つことができます。反対側上で、 同側補聴器からの信号をミックスしている間、反 対側はその周波数帯のみ抑制します。そして、こ のミックスされた信号が、反対側の補聴器の信号 処理と設定に基づいて出力されます。 図 10 では左右非対称の風状況によって異なる動作 の一例を示します。図 10-a は左右の補聴器の入力 信号です。風の中でのことばは動作していません。 よって、右側の入力音は風騒音によって歪んでい ますが抑制されていません。図 10-b では風の中で のことばを作動しています。右側補聴器に風切り 音を見つけると、入力音を抑制して、快適性が改 善しました。図 10-c では左右のうち左側が風切り 音がより少ないとして、音声信号を左側補聴器か ら右側へと送ります。送られなかった信号は両側 補聴器で独立して処理され、結果として語音明瞭 度がより高まることを意味します。 結論として、フォナックのバイノーラル ボイスス トリーム テクノロジーによって「風の強い屋外で の会話」という複雑な環境にも効果的な解決法を 提供することができます。 図10 風の中でのことばの効果。左右のマイクロホンの時間信号をを表す。

a 風の中でのことばを作動していない場合。左側のマイクロホンは風切り音の影響がない一方、右側は風切りの影響で乱され ている。

b 風の中でのことばが作動しているが。左側のマイクロホンには妨害する風切り音が検出されなかったため、処理を行わな い。風の中でのことばによって、右側の風切り音が大幅に抑制されている。

c 風の中でのことばが作動しており、両側に風切り音が検出されたが、右側と比べ左側の風切り音が弱いと認識。会話信号を 左から右へワイヤレス音声通信によって送る。

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結果 この資料で紹介した機能は、最新チップを搭載したフォナック クエストシリーズ補聴器で利用可能です。しか しながら、機能の効果を最大限発揮するために、補聴器は必ずユーザーのニーズに最適に合わせなければなり ません。これは個人個人の補聴器の音響特性を考慮し、そしてユーザーの一人ひとりにできるだけ寄り添った フィッティングが必要だということです。そして、ユーザーの聴力低下に変化がないか、補聴器のマイクロホ ンが環境によって影響を受けていないかなど、定期的に調整と性能をチェックし続けることが必要です。 ユーザーの話に耳を傾け、これらの条件が満たされたならば、日常生活の様々な状況で経験していく主要な問 題に、新しいフォナックのプラットフォーム”クエスト シリーズ” で使われるバイノーラル ボイスストリーム テクノロジー が効果的な聞き取りをどのようにもたらすかをこの資料では述べました。きっと、ユーザーの補 聴器に対する満足感が大幅に向上することでしょう。 Literature

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図 1  上:広範囲での KEMAR の左右の耳を使った指向性のポーラ ーパターン。下:広範囲での KEMAR の左右の耳を使ったス テレオズームのポーラーパターン。いずれも反響の少ない 音場。  ステレオズームはスパイス  シリーズのプレミアム クラスに初めて搭載されました。この機能による 聞こえの改善は多くの研究で証明されています。

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