ABS/ESC機能を対象とした
Simscapeを用いたプラントモデリング手法の紹介
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 1
1. JMAABでの取り組みと目的
2. ABS/ESC機能を実現するブレーキ油圧回路の概要
3. ブレーキ油圧回路のSimscapeを用いたモデル化
4. 車両モデルへの接続
5. まとめ
目次
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 3
経緯
JMAAB プラントモデリングWS(PMWS)活動の目標
「プラントモデルの 再利用性向上 および 流通促進」
JMAABにて、Simulink版プラントモデルガイドラインを発行
20072010
モデリング手法検討、ツール紹介
2011
2012
2013
PMWS
1
(MathWorks)
PMWS
2
&
3
MuPAD数式処理、ワークフロー検討
R2007a Simscape Release!PMWS
4
Simscapeを中心にモデリング検討
Simscapeモデル増加
(ヘルプ、Matlab central)
Mathworksのプラントモデリングに関わるツールについて、トライアルや評価を実施してきた
※JMAAB:Japan MBD Automotive Advisory Board
日本の自動車業界のMATLABプロダクトファミリユーザがモデルベース開発の推進させるためのユーザ会
1)Simscape活用検討
• 各社課題/悩み事の整理
• 基礎+新機能の紹介
(未経験者でも参加できるように)
2)物理モデリング手法の普及検討
• 流通・再利用の観点からの考え方/課題を整理
PMWS4の狙い
「Simscapeを題材にモデリング手法を検討」
(E.g.)・Simple Vehicle model ・Battery model
・Power Window model
・Brake model
・Engine Cooling model etc.
活動目的
1)Simscape language レクチャー
・基礎+新機能の学習・カスタムコンポーネントの作成方法
2)Simscape 課題共有用モデルの作成トライ
・実際にモデルを作りながらコツ/課題を共有
活動内容
各社の取り組み
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 5
今回のSimscapeモデルを作成する観点
・制御モデルとの接続性、拡張性
以下の観点で課題共有用のモデルを作成した
・そのプラントモデルは、車両開発の中で、どのようなことに
活用/応用できそうか
課題共有モデルの対象領域
(ABS/ESC)ブレーキ油圧モデル + 車両モデル
・プラントモデリングのしやすさ(可視性、可読性)
ブレーキシステム
プラントモデルを活用するワークフロー
対象モデル
の分析
プラントモデル
作成
制御設計と
性能評価
対象モデル
の立式
MuPAD
©Simscape
TMSimulink
©/Stateflow
©同定
検証
(数式的アプローチにて 基本原理の解明) MathWorksが 提供するツール ・制御設計 ・性能評価シミュレーション ・プラントモデリング 諸元/特性入力 ・対象についての 運動方程式の立式/整理 ・モデル化方針 ・モデル化範囲決め (部品ベースのモデリング)MathWorks Automotive Conference 2014
/29
7
2. ABS/ESC機能を
■ABSシステム概要
急制動や滑りやすい路面で制動するとき、車輪のロックを防止することで車両の
姿勢を安定させ、ハンドルの効きを確保しようとする装置
※ABS(Antilock Brake System)
ロックを回避するために
ブレーキ圧を減圧
■ESCシステム概要
ESCは急なハンドル操作時や滑りやすい路面を走行中に車両の横滑りを感知すると、
自動的に、車両の進行方向を保つように車両を制御
VSAとは
適切に個々の車輪にブレーキを使用したり、エンジン出力を制御して
車両の向きを修正して横滑りを防止する制御
※ESC(Electronic Stablity Control)
早い回頭性のために
外輪のブレーキを増圧
挙動を収束させるために内
輪ブレーキを増圧
安定挙動
赤:ESC装着車
青:ESC非装着車
ブレーキ用油圧回路 構成要素
・マスターシリンダー
・カットバルブ
・Inletバルブ
・Outletバルブ
・サクションバルブ
・リザーバ
・ポンプ
・キャリパー
再現したい事象
マスタシリンダ圧/INLET/OUTLETバルブとキャリパ圧の関係ABS動作中
油圧回路中のバルブ開閉をコントロールすることにより、ブレーキ液圧に対する
増圧、減圧、保持を実現
Inlet バルブ Outlet バルブ キャリパ圧 減圧 増圧 Inlet バルブ Outlet バルブ リザーバ ポンプモータM
P
マスターシリンダ 開 閉 開 閉 キャリパー カットバルブ サクションバルブM
P
Inlet
バルブ
Outlet
バルブ
リザーバ
カットバルブ
サクション
バルブ
システム構成
ポンプ
動作イメージ
通常制動時
(システム非作動時)
ポンプモータ
■油圧回路の動作イメージ(1)
■油圧回路の動作イメージ(2)
M
P
Inlet
バルブ
Outlet
バルブ
リザーバ
サクション
バルブ
ポンプ
ABS制動時
(減圧作動)
ポンプモータ
カットバルブ
逃がした液は ポンプによって戻されるドライバの
フットペダル動作
M
P
Inlet
バルブ
Outlet
バルブ
リザーバ
サクション
バルブ
システム構成
ポンプ
ESC作動時
(非ブレーキ中の増圧)
ポンプモータ
余剰分はリリーフ 調 圧 吸い込みカットバルブ
■油圧回路の動作イメージ(3)
ドライバの
フットペダル動作なし
3.ブレーキ油圧回路の
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 15
モデル対象範囲と入出力信号
①ABS制御:メイン (指示液圧計算) ②ABS制御:サブ (油圧バルブコントロール) 車両モデル ③ブレーキ油圧回路 (ABS/ESCアクチュエータ) 車輪速 車速 マスター圧 Inletバルブ信号 Outletバルブ信号 Motor指示信号 増圧量 減圧量 各車輪への キャリパー圧 Simscape/ SimHydaulics Stateflow SimulinkABS/ESC制御からのバルブ信号を元に、車輪へのキャリパー圧まで計算
入力
出力
ヘルプ画面を見ながら、コンポーネントの特性を押さえてモデリングを実施
Simscape/SimHydaulicsライブラリ
SimScapeモデル
モデル作成手法
ヘルプ画面
<概念図>に照らし合わせて配置
バルブ要素(コンポーネント)
を表現
諸元設定画面
バルブ要素
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 17
ブレーキ油圧モデルの構成
ABS/ESCアクチュエータ
サクション バルブ カットバルブ Inletバルブ OutletバルブSimHydaulicsのライブラリを用いることで
概念図とほぼ同じ構成で、油圧モデルを作成することが可能
<概念図>
マスタ シリンダ リザーバ コントローラから のバルブ指示0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 0.95 1 0 0.5 1 1.5 Inletバルブ指示 0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 0.95 1 0 0.5 1 1.5 Outletバルブ指示 0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 0.95 1 0 10 20 30 40 50 キャリパー圧
油圧モデルを用いた計算結果
ABS制動時動作
Inlet/Outletバルブの開閉動作にて、キャリパ圧の減圧/保持/増圧を表現
Inletバルブ指示
Outletバルブ指示
キャリパ圧
減圧 増圧 カットバルブ [閉] [開] [bar] [時間]MathWorks Automotive Conference 2014 /29 19
油圧モデルを用いた計算結果
ポンプを作動させ、カット/サクションバルブの開閉動作にて、キャリパ圧の増圧を表現
ESC時動作
(非ブレーキ中の増圧)
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0 0.5 1 1.5 Pump 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0 0.5 1 1.5 レギュレータバルブ指示 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0 0.5 1 1.5 サクションバルブ指示 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0 50 キャリパー圧ポンプ動作指示
カットバルブ指示
サクションバルブ指示
キャリパ圧
カットバルブ [閉] [開] [bar] [ON]MathWorks Automotive Conference 2014 /29 21
車両モデルに結合し、ブレーキシステムのダイナミクスの影響を加味した
車輪速、エンジントルク、回転数等を表現したい
アクセルを踏んで車両を加速させ、コースティングになった状態での
急ブレーキを踏んだ時にABS作動のシミュレーション
車速
時間
加速
定常走行
急減速
ABS作動時の 制動距離はどのくらい?車両モデルに接続して表現したいこと
車輪速変化幅は どのくらい?車輪速
エンジン
回転数
影響?
車輪速変化の パワープラントへの影響は?車両全体システムの構成
既存のSimscape車両モデルに、構築したブレーキシステムを接続
接続
接続
①ABS制御:メイン (指示液圧計算) ②ABS制御:サブ (油圧バルブコントロール) 車両モデル ③ブレーキ油圧回路 (ABS/ESCアクチュエータ) 車輪速 車速 ブレーキペダル量 Inletバルブ信号 Outletバルブ信号 Motor指示信号 増圧量 減圧量 各車輪への キャリパー圧 Simscape/ SimHydaulics Stateflow Simulink入力
出力
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 23
コントローラ(Simulink)との接続
ABS制御:メイン
(指示液圧計算
)ABS制御:サブ
(油圧バルブコントロール)
ブレーキ
油圧モデル
コントローラ(Simulink)との接続性は高い
コンバータを介することで
油圧モデル(物理ドメイン)と
コントローラを容易に接続
車両モデル+ブレーキ油圧モデルの概観
<ブレーキペダル指示>
<アクセルペダル指示>
<車両挙動>
エンジンモデル トルクコンバータ トランスミッション トランスミッションECUブレーキトルク
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 25
車両モデルを用いた計算の一例
アクセルを踏んで、車体を加速させコースティングの状態になった時に
急ブレーキを踏んだ時のABS作動状態を表現する
0 5 10 15 20 25 30 0 50 スロットル開度、ブレーキペダル 0 5 10 15 20 25 30 0 100 200 エンジントルク 0 5 10 15 20 25 30 0 5000 10000 ブレーキトルク(ABSシステム指示) 0 5 10 15 20 25 30 0 100 200 車体速度、車輪速度 0 5 10 15 20 25 30 0 1000 2000 Engine回転数 0 5 10 15 20 25 30 0 1000 2000 トランスミッション回転数■ABSブレーキ中計算結果
変動する
20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 0 20 40 60 80 100 ブレーキトルク(ABSシステム指示) 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 0 20 40 60 80 100 120 車体速度、車輪速度 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 0 500 1000 1500 2000 Engine回転数拡大
す
る
走る、止まるに関する車両ダイナミクスをパワープラントの状態を含めて表現
ABS作動中の 車輪速の変化する
エンジン回転数 の変化する
ブレーキトルク指示
ABSシステムの 液圧指示する
23秒後から
ブレーキペダルを踏む
スロットルペダル、ブレーキペダル
ブレーキトルク
車輪速、車速
エンジン回転数
MathWorks Automotive Conference 2014 /29 27
プラントモデルの活用シーン
開発の初期段階にて、基本諸元にて構成された
ブレーキの影響を考慮したパワープラント系のダイナミクス
(エンジン回転数、トルク、シフト位置)を表現することができれば・・
・ESC/エンジン制御コンセプトと役割分担の考え方
・走る、止まる機能が必要なACCなどのADAS領域への応用
・ABS/ESC制御設計とメカブレーキの諸元設計
- ブレーキのメカ諸元を考慮した制御設計、効果確認
機能がまたがる部署間やメーカ/サプライヤ間での
仕様決めする際の共通言語として活用ができる
活用場面(例)
20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 0 20 40 60 80 100 ブレーキトルク(ABSシステム指示) 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 0 20 40 60 80 100 120 車体速度、車輪速度 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 0 500 1000 1500 2000 Engine回転数 車体速度/ 車輪速度 エンジン回転数- シチュエーション別における制御協調、調停のすりあわせ
実車テスト 【実車】 <制御モデル> ロジック再検討 【制御骨格確認】 実車テスト 【実車】 【制御チューニング】 ロジック再検討
プラントモデルを
活用した制御開発
従来の
実車を使った
制御開発
プラントモデルを活用し、制御設計や制御確認を机上で実施することで
開発のフロントローディングが可能
プラントモデルを活用する効果
要求仕様 要求仕様 【制御骨格確認】 実車テスト 【実車】MathWorks Automotive Conference 2014 /29 29