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暖地ビートの飼料的特性に関する研究 II 生育期別における飼料価値の変化について-香川大学学術情報リポジトリ

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16 香川大学農学部学術報雀

暖地ビートの飼料的特性に関する研究

Ⅱ 生育期別把.おける飼料価値の変化について

中広義雄,井白厚信,一色 泰

Studies on the foddering property of beets producedin warm country

Ⅱ Change Of the feeding value at different stage of growth

Yoshio NAKAHIRO,AtunobuINOKUCHIand YutakaIssHIKI

(Laboratory of ZootechnicalScience)

(ReceivedJuly2,1960) 1.緒 晋 ビートを家畜の飼料に供する場合,一戯的紅は根郡の糖蓄苗の最も多くなる時期を収穫の適期として,同時紅その 廃物である茎葉を利用するのが普通である.、従.って:ビートを飼料的見地から,絶えず収穫して家畜の飼料聡供するこ とは異例といえるが,栽培途上における種々の予期せざる理由により,収穫適期に成立ってその茎葉のみならず,根 部もともに飼料として利用する場合が予想せられる 製糖資源としてみた収穫適期における飼料的価値については,既に第1報(1)で報告したが,ビート各部の生育期に 伴う飼料価値の変化についての報告はみられない. そこでど−トの飼料的特性のw・部として,生育期ビとにおける一般成分及び消化率の試験を行ない,これが飼料的 価値の変化に.つき検討したので,こゝにその結果を報告する.. 2.試験の材料及び方法 (1)材 料 ビ−トの品種としてはGW359,MaIibopolyの2品種な選んだが,耕種の概要は次の通りであったり 〔桝種の概要〕 香川大学附属農場の−・部である砂質壌土の土地を使用し,次の様な取り扱いの下で栽培した・ aり 整地方法:疏菜跡地(西瓜,胡瓜,甘藍等)紅対し苦土石灰を,10a当り100kgの割合で全面散布を行なって 耕した後,畦巾1mの南北畦とした. b.肥 料:基肥として,8月3日10a当り堆肥2000,硫安20,チリ硝石25,過石50,塩加16各kg宛施し,追肥と しては9月7日チリ硝石2トkg,塩加8kgを施用したが,施用3成分はN22kg,P20613kg,K2022kgとなった. C.播種方法:8月5日1畦2条掃きに,10a当り10Lの椅子を播いたが,立枯病予防のため播礫前虹鱒きみぞ に対しブラシコ−ル(10a当り3kg)の散布を行なった.また覆土鉄圧後は小麦符を被いとして用い,乾燥を防ぐ とともに畦問に漕水したり d管 理:8月7日降雨があり発芽は順調で8月13日には約80%を示した.節1回間引は8月26日に行な い,翌日中耕除草後除肇剤CATを・散布し,更にデ)L/ドリン400倍彼の散布を実施した 次で8月29日EPN加用 4−4式ボルドー液の散布を行なった・・第2回間引は9月7日に株間20cmを基準として行ない,9月12日BHCl %粉剤を散布した.. (2)方 法 前記のビL−トを両品種とも10株宛,第1回昭和34年11月10日から約1カ月おきに収穫し土砂を除いた後,粟,茎及 び根部に分けて秤昂し(第1衷),次に細かく切断して風乾一束気浴乾燥を行なったものを,微粉状紅粉砕して分析 の試料としたが,これとは別にそのつど必要崖だけ収穫して,試験動物紅よる消イヒ率の査定に供した.

(2)

Tablel。Samples collected..

※Percentagebased onthe weight of fIeSh material・

a‖ 一・般成分‥定法によって定量した

b−.消化率:本試験に用いた実験動物はコリデール種去勢締羊2頭で,これ等供試動物の参考事項は第2表に 示した通りであった.

試験の期間は昭和34年12月2日より昭和35 Table2.,Memorandum ofexperimentalanimals巾 年1月2日に至る間で,次の様に分けた

Breed lAgeILive weight(kg) 予備試験期 昭和34年12月2日′叫} 同年12月8日 本試験期 第1試 験  ̄ ト茎葉 育 期 (晶 昭和34年12月9日∼同年12月15日 捕 食 期 昭和34年12月16日∼同年12月17日 予備試験期 昭和34年12月18日∼同年12月24日 本試験期 昭和34年12月25日∼同年12月31日 捕 食 期 昭和35年1月1日∼同年1月2日 第 2 試 験

卜.∴J

供試動物はコンクリート床上に.おかれた檻に収容し,尻にゴム製の受糞袋を装着して1日2回,朝夕の給飼後に これを取り替えて採楽し,その現0を分析試料に供した‖ また,試験期別の糞の限界を定めるために,本試験期の前日夜及び末日の夜の2回にわたって,LENKEIr法によ るFuchsin Diamontで染色調製せられた牧草粉末をそれぞれ50g宛給与したl給飼は朝夕の2回とし毎日カッター・ で1∼2cm内外に切断して与えた. 消化率試験紅用いたピートの品種は,GW359であって12月に収穫したものについて試験を行ない,これを第1 報で示した適期収稜の際における成絞と比較対照させた− 3.結果及び考察 生育期ごとにおけるど−ト各部の−・般成分の変化の〕犬態は,その収鼠とともに飼料的見地から最も重要な問題とな るが,まず葉部からみると節3表の様である

Table5小 Generalcomposition of beetleaves at each different stage of growth(%)

(3)

香川大学農学部学術報告 18

らみた収穫の適期に至ると80%近くまで低下して,他の粟根菜類の粟とは乾物崖の増加において根本的な違いがみら

れる.次で水分を除いた他の成分では,時期別変化上の特徴として,全乾物景の増加に伴い粗蛋白質,租脂肪,可溶

無窒素物,粕繊維,粗灰分がともに増加している点があげられる・すなわち,分析試料を採取した前後4カ月問にお

いて,紐帯白票はGW359が1.58%から216%,Maribopolyが1・,71%から3l57%までそれぞれ増加しており,後者の

場合では倍鼠に余る増加となっている.他の成分でもはゞこれに準じた値を示しており,その増加率ほ50∼100%内

外であるから,消化率を別にして考えればど−ト粟に関する限り,生育の後半になる程飼料的価値は急速に高まって

来るといえるこの点禾本科の育刈飼料が生育の進行ととも紅,蛋白質,粗脂肪含認が低下して,粧繊維,可溶額窒

素物騒が増加するのとは著しく様子が男る.飼料的な立場からみると,生育が進んでも籾繊維合昂の上昇が比較的少

く,粗蛋白質を始め粗脂帆可溶麺窒素物の増加の大きいことは大きなプラスであり,飼料に供する場合でも早期の

収穫は得策でないことを示し、根部収穫の適期ほ柴部にとってもまた,最も劇般成分の蓄戯が多く飼料価値の高い時

期であるといえ.る様である

先にビー・トの仙般成分について報告し・た際,葬部の粕葦白票合鼠が過去の成楕に比べて著しく高いことを指摘し

たが,本試験でもMaIibopolyの場合,収穫適期に近づくにつれて粗蛋萬肇は増加しており,その最高含罷は2月で

321%を示し,先の成損にはゞ近い数字となっている巾反面GW359の場合では,別口の巾がMaIibopolyに・比ぺて小

さい.このことは栽培条件,特に試験地の肥沃度に関係あるものと考えられる・すなわらGW359では標準的な肥培

管理が行なわれたのに対して,Mar・ibopolyは隣接した同加地域内にありながら,前作に西瓜を栽培していた」め肥料

の残効が大きく,これが盾接粗蛋白質星及高めたものと思われ,暖地の集約栽培農業経営下で栽培されるど ̄=は・

概して:良好なる肥培管理によつて育成されるであろ・うことを考慮に入れると,粗蛋白質含星も2∼3・5%位の範囲内

で変動することが予測せられる・

Table4.Generalcomposition of beettop ateachdifferentstage of growth(%)

Table5。Generalcomposition ofbeet roots ateachdiffer・entStage Ofgrowth(%)

また根部の状態を第5衷でネると,】1月の収穫に比べて2月では乾物左肱おいて同じ程度の増加があるが,・その内 容は多少興って:いるすなわち,この間の成分上の捌rlの中心は可溶無蓋蔵物であって,他の成分では粗灰分が殆ん ど変動なく,租蛋白軋粗脂肪,粗繊維屈も小r一っな増加に止まっている糖質源としての性格や根菜類の概念から考 えると当然のことではあるが,このことが飼料的には糖腎飼料に偏する結果となり,また早期収穫に対する適期収槌 期の栄養含量の増加率も,柴部における程大きくはない 茎及びと・−ト全体の一般組成は第4,7衷の通りであり,茎は各時期とも粟と根の中間的な値を示しているが,い くらか根の方に近い傾向がみられる,

(4)

Table6”Generalcomposition ofbeettops at eachdifferentstageofgrowth(%) Table7“Generelcompositionofwholebeets ateachdifferentstageofgIOWth(%)・ (2)早期収穫時における消化率と可消化春分 生育各期に・おける鵬般成分の変動とともに,その消化率の状態によつて最終的な飼料価値が決まるが,消化率試験 を数多く行なうことの困難性から,11月∼12月の時期を早期収穫と・みなして,12月収親のど−トな消化率試験の対象 に選び,これから得られた結果な前報の成約に比較させることにより,早期収穫粧対する適期収税時の消化率及び可 消化養分鼠の変化の状態を知ることゝした・ 前記の要領に従って消化率の査定を行なったが,緬革の噌好性はいずれの場合でも高くなつており・試験用間中何 等異状を認めることなく終了した・ 第1,2の試験期間中における粟及び根の摂取鼠並びに排労相を表示すると,節8,9衷の通りである・

Table8‖ Volumeofthe eaten fodder and feces of each ofthesheepduringthe experimentalperi・

Od(Expt..1)‖

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香川大学農学部学術報告 Table9.Volume of the eaten fodderand feces of each ofthe sheep during the

experimentalperiod(Expt2). 20 −・方試験に供した動物の風乾鶉の分析結果は第10表の通りとなり,これ等の数字をもとにして各動物によるど−ト 葉及び根の消化率を算定した結果は,第11,12表の様である.これにより柴の消化率は,粕蛋白質及び粗脂肪におい て218,0..18それぞれ%だけ早期収穫の場合の方が高いが,反面可溶触窒素物及び棉繊靴では574,4・75各%だけ 低いので,全体的にはその消化率も適期収穫時が高い結果となる.しかしながらその違いは比校的小さい..

TablelO.Components of fecalexcretion dr.ied by aiI(%)り

票㌃†悪

CIude

ash

ニⅠude fibIe

NF…E..

rablell Digestibility of beetleaves

Ⅰ、、ミl?,こ.J∴:た∴

protein Crude

C;芸ぎe rNnFEll篭芸空.慧e

Volumes of component in eaten fodder (g) Volumes of component in driedfecalexcIetionu Volumes of digested and absorbed u Digestibility(%) Volumes of component in eaten fodder (g) Voluznes of component indriedfec・alexcretion〝 Volumes of digested and absorbed 〝 Digestibility(%) No 1 No‖ 2 Average digestibility(%)

(6)

Tabie12い Digestibility of beet roots。 21 DI・y matteI £農芸Ⅰ」㌶針C霊e】N且Eハ Volumes of component in eaten fodder (g) Volumesofcomponent in dried fecal excretion, Volumes of digested and absoIbed ノケ Digestibility(%) /Volumes of component in eaten fodder (g) Volumes of component in dIied fecalexcretion”  ̄ 198.75 12422 74.55 57い50 201.51 117巾44 84.07 41、72 59.る1 410‖d2 2,8占12る 87.45 5,51725 55る.97 2,7占0.28 85.21 85.55 No.1 Noh2 Volumes of digested and absorbed Digestjbility(%) Average digestibility(%) また各試験動物の消化率から平均消化率を求めて,全可消化養分総量(T.D.N.)並びに沸粉価(S.Ⅴ)を算定す ると筋1ぼの様に・なったが,この数字を適期収穫時のそれに比べてみると,柴では粗灰分を除いた他の成分すなわ ち,粕蛋白質,粗脂肪,可溶無宝剣勿,組織維崖がともに半ば近くとなっており,T.D..N.では1494に対して7 51,S。Ⅴ。11.,84に対して−5”95でT.D.N.7。43,S.Ⅴ.5。89だけ低く約半量に近い

Table15”Digestible nutrients and starch value of beets(%). Dry

ma毛ter

0工g.

matter

孟霊いC諾eiN・㍑

CIude fibIe TりDuN.JS..Ⅴ. Leaf composition Digestibilty Digestible nutrients Root composition Digestibility Digestible r)utIients 0.25 2る55 0.0占 0.12 消化率でほ早期収穫の場合粗蛋白凰,粗繊維崖がわずかながら高く,可溶無窒素物のみ低い 次で根の方をみると, のが目立っている. −・方可消化発分崖榛名成分ともに適期収掛寺に比べて低く,T一・D・Nl20‖95に対して16.儲,S巾Ⅴ16..89に対して 13・41とな/つてTD・N4小32,SⅤ巾 348だけ低い… これはおよそ20%に相当するから,可消化養分還の時期別にお ける差は葉の場合に,比べると著しく小さい. もちろん,適期収樅時とはいっても前轍で報告したピートの成分鼠と,本試験のそれとの間には多少の違いがある ので,早期収穫の際における消化率や可消化養分との比較対照も絶対的なものとはならないが,両試験の結果による 成分上の差ほそれ程大きいものではないから,この様な比較も大局的には問題なく,大体の傾向は得られたものと考 えられる. 4 摘 要 生育期に伴うど−ト各部の飼料的価値を明らかにするため,時期別一般成分及び早期収脚寺に.おける消化率の試験 を行なったところ,次のこ、とがわかった. (1)菓部では,収穫適期に近ずくに・つれて各成分はともに増加しており,最終4カ月間に50∼100%の増加を示 し,特に粗蛋白貿の増加が著しいぃ (2)根部は,生育の進行に伴って可溶細萱素物の増加が中心となり,粗蛋白質,粗脂肪及び粗紙維星は小巾な増加 に過ぎず,茎では菓と般の中間的な傾向がみられた (3)消化率は,早期収機の場合根都の可溶無窒素物の他の低いことが目立ち,集部では租蛋白質及び粗脂肪が高い

(7)

香川大学農学部学術報告 22 反面,可溶無窒素物及び粗繊維ではやゝ低い (4)共はT小D.N7..51,S・Ⅴ‖595,根ではT.D.N一.1689,S.Ⅴ.13.41を示しているが,これは適期収穫時に 対し前者50%,後者では約80%に相当する 参 考 文 献 (1)中広義雄,高藍寿太郎:香大農学術報普,11,38 (1928) ∼45(1959)小 (3)片山外英雄‥農事試験場報普,41(1916)叫 (2)鈴木率三,西川哲三郎:lヨ畜会報,3(1) (4)畜試:年報,8(1942) Rる s u mる

With a view to clarify the feeding value of different parts of beet at dif董erent stage of growth,

experiments having been made as toits generalco叩POnentS at eaCh different peziod and the rate of digestion at the earliest haIVeSt time,the following conclusions were reached:

1.Leaves;A11the componentsinc工eaSed as the proper harvest time approached,andin the couISe Of thelast four months theincrease reached50−100%,Showing especially remarkableincrease ofcrudepro− teins.

2.Roots:As the beet grew on,theincrease of nitrogen free extract constituted the principalelement, and crude protein,Crude fat and crude fibre showed only a moderateincIeaSe。The top seemed tolie

between theleaf azld the root

3Rate of digestion:In the case of early harvest,the value of nitrogen hee extractin roots was

conspicuouslylow,andinleaves,the value oicIude protein and crude fat was high,but the value of nitrogen free extract and crude fibre was comparativelylow.

4.Leaves showed751T.D.N.,5,95S.Ⅴ…,rOOtS Showed16:89 T.D.N.,13…41S.Ⅴ.,andit corres・ pondsto50%of theior・mer,about80%ofthelatter at the proper harvest time

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