四 投資の主要形態としての有償誇券
前述の如くフランスの大戦前の固民貯蓄は年々四十億法或は五十憶法と推算せられてゐるのであるが、之れが
如何なる方面に投資せられてゐたかを見るに、其の主要形態として、土地家屋と有償詑穿とが繋げられる。今、
其の何れが多いかに就いてレスキュールに依れば、菅は土地への投資が多かったが、土地偵格の下落のトーめに此
の方面への貯蓄の吸収は少くなり、叉家屋への投資もフランスの人口が停滞的であるがために次第に共の重要性
を失ふ傾向がある。侍、不動産抵常貸付に就いても同様であつて、フランスに於ては此の貸付は少くとも﹂番抵
常として、其の大部分がクレデイ・フォンシエ︵不動産抵嘗銀行︶の手を経て行はれ、此の鈍行は農家や郡市の不動産所有者に貸付けるべき資金を債券の牽行に依って拉得する。右の如き事哺に依って結局、有情譜券の恐行
︵封︶がフランスの投資の重野性腺びに其の方向哲示す鼻息の指標であると、彼れは述べてゐ・る。今、此の育英に従つ
︵22︶ ÷二應大戦前の㌻ンスに於ける有偶語容の磯行並びに上場統計を見れば雷如くである。︵単位百萌法︶ 野‡完て ∴第三ぬ大磯前に放けるフランスの囲民貯蓄及び投資三︶
蔽 太 郎
■▼ ︵〓潰0︶ 草四束の統計の年々の合計を見るならば、山九〇七年、完〇八年の如き世界的恐慌の影響を怠けだ年を除いて大
大戦前に於けるフラ㌣スの国民貯啓及び投資
第十三令 弟王統 ︵こ五こ︶￠空ハ 鴨漸増の傾向を示し、完〇九年以後は毎年四宣十倍法の産額に準じてゐる。然ん此の瓦額のノ磯村覇に疎いて′は 次の如き事情を考渡せねばならぬため、其の凡てがフ多ンスに既で應芽せられにと見ることは机釆ないトめであ る。即ち、若干の符弁特に外囲誇弁の大部分はフデンスに於て應暮せられにものが叫部分であつでも、正岡に於 て應募せ鉦蒜分量引く∵ことなくして敢行東金部が加嘗られでゐ㌢と及び敬膚漂壷符弁の蒜分は 取引所ヘ上場の取消に依って全然胡込がせられて竃ないことで属そ斯かる事情に依つて前変の毎年の合計は、 ︵お︶ 年々有償誰券に鸞際投資せられたる金額を表はすものではないのである。故にそれはフランスに於ける有慣許券 額行政級の動きことを示す資料とはなるにしても、必しも観民貯蓄の中より▲それだけの有偶語券投資が行ばれた ことを示すものではない。 従って歯民貯蓄の中より幾干の有岡詑好投資が行はれたかは別に推算せられねばならぬのであるが、其のjE確 筏るものは本来容易に求め得られないものである。そこで以下に於ては若干の材料より判断して大ざつばなる推 測を試みることとする。 今耽蓮の国民貯蓄推夢の材料となつたものを疎みると、レスキュールの推算せる闘民貯蓄約四十億法の中には ネーマルクの推辞したる年々の個人別貯蓄鍼こ十億法と年々償還せられる債務額十乱億放とが食まれて居る。而 して其の個人新貯蓄額約二十億法の中の十五億法はフランス及び外観の市債諦弁に投資せられるものとなづて居 ち、後者は前者の四分の三を占めでゐる。右の外に年々償還せられる債特額十五億法の中より有償静券に押投賓
せられるものが存することが推盈せられるが、それが如何程であるかは不明である。然し少くとも其の三分の叫 即ら五倍淡位は有悦詭弁に再投資せられるものと想像すれば、先の十五倍法■と合せて、図民貯蓄約凶十億法の申 少くとも約二十倍法即こ分の﹁は有憤誇穿に投資せられてゐにといふ推測が出来る。而して此の推測は次に記す るが如く、ネーマルクの推訝しにるフランス入所有の有償語弊の年増加額に大鰐合致するものである？ 彼れはフランスに於て貸買せられるフランス及び外囲の有慣狩弁額を推算し、更に其中フランス人の所有に巌 ︵24︶ ︵25︶ は千首億法となつた、即ち年平均約十八倍七千五首濁法の増加である﹂せ述べてゐる。之れに償って大戦前のフ 而して被れは 大戦前忙於ける ﹁山八六九年以後フランス人所有の有憤誇雰は三倍以上となり 桑 三百三十億法よh千六十億法或 ︵二五三︶ 五七
第十三華∵第≡野 0岬五四︶ 五八 ランス人所有の有服許琴は少くと滝年成約二十億港の増加々先せるものと見ることが出来る。従つて亦大戦前の フうンスに於ては、︼奔々の債務償還を食めにる意味の国民貯潜を豹側十倍法ともで、其の中の約年分は有慣詮 ︵話六︶ 蓉に投資せられて居たといふ大腰の推測が立てられるC ︵嘗ハ︶ ネーマルクは完“岩年1忙、フランスの祖々の個人新貯欝額と年々の債務慣数額とを合せたる金額の中より授受 せら勃るものを、年々大凡≡十億法と推賞し．之れが阻年後に灯町十億法忙達するであらうといふことを述べてゐる。然 ︵如 し L之れは必しも有侶詮券にのみ投資せられる金額を指Jてゐない。而して被れは ︵27︶ 十五億乃至こ十億法であると、劇九〇六年に準へたこと︵琴二参照︶㌢一九⋮年に於てへも繰返してゐる。 因に劃九〇八年末及び山九劇○年凍に於ける世界の主食国民の所有に屠する有情許無胡は、、不−マルクの推算 ︵盟︶ に侠れば次の如くであつで・、一フランスは癖三位を占めてゐる。︵革位十億哲
五 定額牧人有情許容 ネーマルクの計算に依れば、前掲の一九仙○年末に於けるフランス入所帯の有惜許券の放射千六十倍乃至十百 倍法より年爾凶十五億乃重吉十億法に及ぷ牧人を生むのであるが、右絶鰯を更に詑券の牧人が∵罠せるか否かに 依って、定額収入符穿と欒勤収入誇葬とに置則すれば、前者は七十瓦パーセントを占め後者は二十五パーセント へ封︶ に過ぎない。更に彼れが′。ハリ取引所の公定市場に放て賛買せられる各柾の弔慣詑弁に就いで北ハの情感を哀したる 廊純なる統計表に依れば、⋮丸山○年末に於てはフランス有償諒恕の中、俗に﹁家父﹂の有慣誇殊︵宕−e彗S︵斎 笠rのde巾ami零﹀︶と崩せられてゐ包囲債、．パヮ市債、クレデイ◎フォンシュの債券、大鎖道愈敢の赦債の如き 訂のは八ニュ二五パーセントを占め、特に麟債は三五。七九。ハーセン・﹁、束部、ワオン、南部、北部、オルレア ン、四部の如き大紋遣合祀の敢債は こ六。七九パーセントに及ん、でゐる。叉外国語弁の中ではロシア及び其他の ︵30︶ 諮問の閥債が八二晶六パーセント空口めTゐる。偽、ゼルマン。マルルンの調賽に依れば、劃九一≡年末に於 ては取引所に上場せられてゐるフランス有償詔療七日四十億法の申、株式及び利益参加詑券は二百三十億淡で、 ︵31︶ 公債、赦債ほ五首十倍法に達してゐる∴即ち後者は約六十九パ・−セントを占めでゐる。 右に依って大戦⋮別に於てフラン女人の始める有償詭餐は主として憤格の狸勤少き定朝牧人許容であることが知 られるが、之れは、既述の如く貯蓄力を持？早環階級が慣格及び収入攣動の危険を避けで投資の安全性を求めん 大戦前忙於愕庵フラツスの国民貯笥及び投賓 ︵二五五︶ 鼠九
竿三巻 讐二軍
三雲ハ︶六Dとせる心理の現はれに外ならない。而して特に国債の民衆化せることは、孝一マルクが完〇八年に﹁国債若
者の数は盲軍曹下る圭はない。千路の選蓉人の存する園に於て百五十薦の圃債所有者姦ふることば興味 ︵32︶ぁることである﹂と述べてゐること宣依って、其の議を窮ふことが出来る。
籠
六 外観有慣詭弁
最後にフランス人宕の外習慣芸警就いては、フランス入所有の有慣募紙警共にネーマルクの推算
せるもの射亮に掲誓が、それに依れば普の後者に射する割合は㌃二〇年末に於ては三割寡以上であり、
をこ年末に於ては三分の−に常る。然し此のフランス人質の外囲要警庇いては苧の署の推算があ るので、それ等嘉掲のネーマルクの推算人弗舶の彼れの推雷も併せて︶と封照せしめて次に掲げる。︵豊十 漂。苧の※墓宋蒜冨菱筆0
大磯前に於けるフランスの国民貯蓄及び投資 ふ 八 八．入 山 入 九〇 劇 八、九 こ 劇 八九七 鵬 八 九九 叩 九〇ニ ー九′〇四 山 九 〇 六 刷 九 〇七 一九〇 八 劇 九〇九 −九 血 ○ 山 九 山 ニ ー九 〟 四 又 は 戦前 二〇、ニ ※二五1こ七 ※〓七1三〇 ∴ト三〇−≡二 ※三八1四〇 四〇−四二 ○ ヽ 少 く と も ト．ノ ≡二−≡
三五
≡七、一重
※三八
倒〇
四〇
㌃ニT醐揖亨棚m
︷※㍗一肌 二九、入 ︵或は三C︶ ︷・血 一八、瓦 ※ニー 〓ハ 〓ハ、− テりー レゲイ テサー チu− ×カチノ 政府調査 ×フォヴイル ×ギヨーム ーブ¶′− 1一ノllツ ー グラムモン ツオリンガー シフゼホ ×ギ ニLオルアカ・ユ ミンマリ チヨ ツ●ンン ンl Iク○’ ラ■マ× イルウ スタス トント ヽ ︵こ草牢︶ 六一 Xカイヨー筑十三容第≡批
︵二五入︶ 六こモ∫ルトン諸レウイスは前表の諸単著の推芸︵緋軋㌶謂蒜銅品珊㌶肌用机け机㌶ほ笥
︶基げ 富後、彼等白身の完叫三年の推算額忘百草億としてゐる。壷七︶今仙九6年以後の之等の推算警比較すればネーマルクの要は他の撃者ぞれようも少くとも二二手鹿法少く瀾積られてゐる。斯かる見積の相違
があるために、大型別に於てフランス入所有の外囲有償発券鶴城は海外校資額︵嘗︶の増加は、年空凡そ如何糧 であつたかに就いても1之れを多く見る者は十八億淡︵莞︶といふが、既述の如きネーマルクの推算を根鹿とすれば、フランス入所奄の内外有償詮食紙感の櫓加が年々ニ†億淡であるから赤固有偵詮弁のみの増加を十八億
洪と見るてとは多過ぎぎとになる。そこで今恨りに之れを十芥億放と見れば、其の前者に封する割合は四分の三
と誉ので雪て、之れに依って、姦前のフランス人の有慣募投資の薫る由象物は外輯詭弁であつたといふ
ことが招来る。而して此事は既掲の有償詮弁凌行及上場統計の内繹を見るだけでも大概察知し得られるのである。
蒜七︶モーム→トン及びレウイスは完七蒜以後完仙言迄のフランスの国際収支勘定よりフランスの海外純芸額を推算し、結局・→ヤルクの推警孟外親授奇警芝鞄分多いがそれ忙近似・せ︼姦学芸し、管後外人のフランス
投資讐就いてのネーマルクの推警加算してフランスの海外絶技冨とし、仙石川二三年のそれを四百由十農法望四 へ由︶ 音大十五億法と出し！之れを概略四官五十億法と見たのである9此の推慧海外投筍讐あるから、それは概念上に於ては外警備記歩芸象せられてゐない授警も含め得晶であ
嘉、大戦前忙於て造外投書雷へば外観宗籠券投票大部分であるが故K、彼等晶警戯密に翳せないのであらうと思はれる。
ル ー ン マ ル ク が ィ 几 一 〇 年 に 於 け る フ ラ ン ス 入 所 有 の 外 観 有 憤 誰 弁 を 概 数 乍 ち 閻 別 に 依 っ て 示 し た も の 億 法 ） ハ註八︶ テひーは、フ、ランスは戦前十妄間に撃音億汝の新外閲有情発券を磯碑んたと述べて慮るので、＝慧鱒の鱒如 億 は 寺去 約 と 十 ■ しr法 ニーモー＿一与 る く） 叉 ル ロ ア 大戦前軋．於け訝乙ア針スの国民貯蓄及び投資 ロ ・・J 7 イ ギ リ ス ベルギー、オランダ ド イ ツ ールコ、セルビア ブルガリア、ルーマニア、ギヮシヤ オースト㌢−ハンガリー ・1 タ リ ー ス イ ス スぺイン、ポルーガル 図 ポーサふーは一九劇○年に年々海外忙投薬せられ各金額を、・柵偲糾段吏を除い七、†五 名 ︼九−P年末 ︵ネーマルク︶ 一〇1一l O、五 〇、五 nい五 二1二、五 二1三 〓−二、五 T⊥、五 〇、五 ≡ト由 スカンヂナビア 共他欧洲舘凶 ︵こ五九︶ 六三 ブル甘リア、 ル ー マニ ギ リ シ ナ九﹂四年一︵如㌶︰㌣︶ コ セルビア ア ヤ 一∴三 〇、五 ○、数
右に伐つで封外債櫨薗としての大職前のフランスの地位を警ことが出来、しかも之等の投資のこ呑の二がヨ
Pツ．ハ諸歯に封するもの、であり、其申；アに封して金牌の四分の右投安んてゐる鮎に於て、如何に封外投資が偏して属たかを知る罫が出来るが、酪連の如く此の封外投資額はフランスの有償詮弁校費総額の約三分のこ
常り、且叉年々の有償許容新投資初の四分の≡が之れに向つたの居るから、其の反面に於てフランスの一団内庭
柴への投資誉れだけ少く菅、却つでフランスの経済的張連を痕抒ゑのではだかとの懸念星するのは常然
であつで、之れがために大戦前のフランスに於ては封外投資を拭って美鈴挙が展開ぜられたのである。常時フ
ランスの莫大誉封外投資に反響る論者は苦して大望銀行の態度姦結し、之れを摺攣る者は種々の理 へ
38︶
由姦げて反駁して孝。今雨着の意見々紹介すること纂菅て、何が莫大なる封外蔓の呂であ
見ることも簡雷・は出来禁が、然し少くとも其の重富ものとしては、一、大堅剛に於てはフランスの開格敵
弟十≡巻 冤≡耽 北米合衆囲、カナダ エジナーースエズ アルゼンチン、ブラジル、メキシコ 支 那、8 本 チユニス、フランス植民地 ︵三四1由ニ﹁五︶ ニー三 ≡・・・四 四・・F・▼▲五 一Ⅰ二 二−≡ 其他南米諸国 ア ジ ア 望、○︷如酎ノ。ツパ ︵美○し 六照 一、C ヱジデー、スよズ、南阿 四、五 ≡○、四 二四、六債の贋行が少かつたこと︵之れは眈絢の教行及び上場統計の内鐸に伐つでも宛はれる︶二、貯蓄者が投資の安全 及び利他の大なる邦より外園の公債、敢債に多く應寡せること﹁之れに就いては外観囲憤に糾する移摘税や所由 税が特に低廉であつたことや、大預金銀行の勧誘が大いに関係する︶。三、常時フランスの金利が他の大開に比べ て劇般に低廉であつにことが緒外闊をしてフランスに於で募債せしめたること。四、フランス政府が封外勢力伸 ︵誠︶ 張或は封外貌蔓囲僻維持のたゆに外国債募集の許可を容易に輿へたることが奉げ得るで凍らう。而してゼルマン． マルタンが﹁塑別に於ては、資本市婁は投資の選繹に就いての完全なる自由と囲家に封する大なる猫立性とを特 警し品ケ述べてゐるのは、語及び戦後に於けるフランスの霊市場が票とは全く状態を異にする ことを約言せるものであつて、戦時及戦後に於ては戦前の如き局重なる白山投黎時代を最早見ることが‖来ない のである。此の意味に於て戦時及び戦後に於けるフランスの閣民貯蓄及び其の投資を繰る諸間竃は、大戦前の状 態宮田憩鮎として考察せねばならぬと考へる。 ︵完︶ ︵21︶ J・訂s言語一〇p●eit・増P・3−コ ︵22︶ L冒l呂n2￥Op・＆・憎・NNい J・卜2SC彗2−Op・告・吋二00ひ ︵レスキュールの掲げてゐるものは、山九〇〇年．一九〇八年及び〟九ニー年の合計に誤りがある︶ ︵公︶ Lロ∼laプne￥Op・告・勺・棺ごg−e・ ︵舛︶ A．婆場m鴛e町−訂st邑s厨莞inter邑iO邑eみ認くa−el︼設営bi−i腎es一ⅠぎR2ppOき一望一・増⋮＄ ︵E告pi什d岩 出墓etiロdel⊥ns賢一首rnte⊇註Onal計望a諌言莞，TOme舛Ⅰ舛︶⋮㌢謬㌻nne￥▼ママ．Cir Pい説 ︵然︶ ibid・勺小思e什増＝望 ※原番に千人十億法となつてゐるが、之れが閤りであることは、飢︶の乗英他忙依って 大戦別忙於けるフランスの国民貯蓄及び投資 へこ六岬︶ 六恵
（ ′ヽ ′￣ヽ ′†、
