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金時人参種子の発芽に関する研究 V 発芽抑制物質について-香川大学学術情報リポジトリ

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155 筍11巻 通巻籠29弓(1959)

金時人参種子の発芽に関する研究

Ⅴ 発芽抑制物質につい て*

渡 辺 正 一・,安 芸 精 一

On germination of Kintoki−CarrOt Seleds

V Ger・mir)ationinhibitor・Sin seeds*

ShoichiWATANABE and SeiichiAKI

(LaborIatOry Of Vegetable Science) (ReceivedJuly13,1959) Ⅰ 錆 声 木研究は金時人参種子の発芽不良の原因振死の肌・環と.してL1953∼55年に亘り行なわれたもので,研究費の一部ほ文 部省科学研究費補助によった.記して謝意を表するい 筆者等ほ金時人参種子に発芽遅延の現象があり,(8)新種子の発芽促進を因るためにほ水洗,日乾,宅除等の予措が 効果的であることを述べた.(9)永報賃ほこれ等の予措が何級発芽促進に.効果的であるかを究射せんために行なった実 験結果の一・部である穏子中発芽抑制物質の存在についてほCROCKER 放び BARION氏(1)の著普に示され,わが 国においても石川氏(4),牧野及び宮本成澤がほうれんそう,近藤氏(5)等が小麦,安田民(王2)が芥莱及び土白菜等,堀 及び杉山氏(3)がたかな類種子においてその存在を考えている、.金時人参穫子について筆者の一人(10〉ほ既に1953年に その存■在を予知し,発芽遅延の機構について予報(H)したが,この報嘗ほ是が奨験的魔過について述べんとするもの である、 Ⅰ 試 験 方 法 発芽抑制物質の存在及びその作用を証明するた捌こノ次の諸実験を行なった〟 (Ⅰ)発芽抑制物質の存在を証明するための試験。 1… 櫨子浸班液の発芽に及ぼす影響 a 浸出液を再び槙子に吸収せしめて乾燥後発芽試験を行なった場合 b 浸出液で発芽試験を行なった場合 2.溶媒を変えた場合の浸出物の発芽期制作用 3,.浸出物が他のそ菜稜子の発芽に及ぼす作用 (Ⅱ)発芽抑制物質の含有部位に関する試験。 4.果皮の浸出物の発芽に及ぼす影響 果皮,桂皮,胚乳(含胚珠)の浸出物の発芽に及ぼす影響 新旧種子及び熱度を異にする種子中に含まれる発芽抑制物質。 古種子敦び新種手車に含まれる発芽抑制物質の作用 7い 花撒の水洗による抑制物質の溶失に関する試験 (Ⅳ)発芽抑制物質に対する光,熱,乾燥の影響。 8.発芽抑制物質に敦ぼす光の影響 9.発芽抑制物矧こ対する日乾,熱乾の影響 以上の試験を行なうに当り,一一一連の試鹸に用うる顆料は聡て同一稚拙の種子を用い,同一詞験を綴り返すために は,花轍の数を3∼5個用い3∼5区制でした.発芽詞験ほ9crnシヤー・レに泌紙2放せ用い,一つのシヤ−レに100 粒を置床し,発芽勢は5∼6日間,発芽率は16日間の発芽数を以って示したけ *園芸学会昭和30年秋季大会において発表

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香川プこ学農学部学術報賃 156 阿 武 験 結 果 (t)発芽抑制物質の存在及び作用について。 1.電子浸出液の発芽に及ぼす影響 a 水洗乾燥笹子に蹟接浸出液を吸収せしめた場合.、水50ccに.槙子2000粒の割合で2,5時間浸重した種子を, Aは水で,Bは同じ積子4000粒を50ccの水で20分間煮沸濾過した浸出液を吸収乾燥した後水で,Cほ無水洗組子をそ のまま水で常法により発芽試験を行なった“試験ほ.3花撒3区制とした..平均結果ほ次のようである. 第1表 浸出液再吸収種子の発芽 B I C

15.10 %

フ3〃32 発 芽 勢 発 芽 率 b 浸:出液で発芽試験を行なった場合.この場合はAは水洗乾燥笹子をそのまま,Cは無水洗種子をそのまま常 法に.より発芽試験を行ない,BはAと.同様に処理した暖ヂに浸出液(種子0‖5gを15ccの水に16時間浸壇し煮沸波過し たもの)を濾紙に.注いで発芽試験を行なった.試験は5区制とし5花撒を用いた. 第2表 浸出液を注いだ濾紙上での発芽 ‥ −−l 一 発 芽 勢 発 芽 率 以上2実験に.より種子中にほ発芽抑制物質を含み,水で溶出すること.ができることが分かった.. 2∩ 溶媒を変えた場合の浸班物の発芽期制作用り a エーテル,アルコール浸出物の発芽抑制作用.この試験ほ0‖5gの電子をそれぞれ連盟の・エ・−テル払)あるいほ アルコー・ル(B)に1日浸漬し,是を4枚の濾紗こ吸収せしめて−,溶媒が揮発した後,この泌紙上で予め水洗乾燥した種 子の発芽試験を行なったもので,比較のためにCはエーテルのみ,Dほアルコールのみを吸収揮発せしめたもの,E は無処理濾紙を用いて発芽試験を行なった.試験は5花撒を用い5区制としたい 第3未 エ・−テル,アルコー・ル浸出物の発芽抑制作問

79。.4 %

83い4 発 芽 勢 発 芽 率 b 発芽抑制物質と溶媒と.の防除この試験は発芽抑制物質の性質を知るために,アルコール浸出物を,Alは まず水で溶解濾過し,A2ほ残物をアルコ・−ル、で溶曝したもの放びBlは同じくアルコール浸出物をエーテルで溶解濾 過し,B2ほ残物をアルコールで溶解したものを捕紙に吸収せしめ,乾燥後常法に従って是等の濾紙上で発芽試験を行 なった結果であるい 第4表 発芽抑制物質の水,エ−テル放びアルコ−・ルによる溶解性

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鵠11巻 通巻第29琴(1959) 157 C 浸出物の濃壁と発芽抑制作用次の如き斉殊により発芽抑制物質を稀釈してその抑制階力を調査Lた.結果 は第5表のようである… 第5表 発芽抑制物質の濃度と抑制作間 処 理 放 び 濃 度

発芽勢l発芽率

AlO。3285gのアルコール浸出物を40ccの蒸溜水で溶解,証紙1枚に2cc吸収乾 燥 A8 Alを5倍に稀釈L漕紙1故に2cc吸収乾燥 A8 A2液を更に5倍に稀釈して使用

BI Al処理残額を40ccエー・テルで溶解,以眉同様

B2 Bl液を5倍に稀釈して使桐 B8 B2液を5倍に稀釈して使桐 CI Blの場合の残債を40ccアルコL−・ルで溶解低層 C2 Cl液を5倍に稀釈して使問 C8 C2液を5倍に稀釈して使困 D 蒸溜水のみ.で発芽 92‖0% 93 8 92.8 80い0 93い8 91い2 89‖5 89.5 90,.5 91.5 8 8 0 1 1 0 0 5 0 4 6 ︵∠ ロJ 8 9 6 3 ﹁ノ 6 6 1 4 5 4 R︶ ︻0 6 3.浸出物が他のそ菜穣子の発芽に及ぼす作f乱 人参桂子9gを120ccのアルコールに2El間浸潰し,適液を50枚の濾紙に吸収してアルコー・ルを揮発せしめ,この上 で常疲に従って各畦のそ菜桂子の発芽試験を行なった小 弟6表 発芽抑制物質のそ菜桂子に対する作用 理 区 無 処 理 区 発 芽 芽 率 発 芽 勢 発 芽 材 判 二二==_ _ %. 〇 6 4 3 6 4 3 5 9 フ 3 4 ︵∠ l 矧 % 8 8 つ山 8 っ︼ 1 5 3 ︻hJ 9 ﹁ノ ︹ノ 9 6 6 ち し や ね ぎ は く さ い だ い こ ん ほ う れ ん そ う 2 2 8 2 0 ﹁∠ OU 2 ︻LJ 4 5 ﹁ノ 9 6 5 備考:発芽勢の決定ほちしや(白かきちしや)4甘聞,ねぎ(九条太葱)3巨i間,はくさい(松島純二 等白菜)1日間,だいこん(聖謹院■大根)2E澗,ほうれんそう(次郎丸)6E澗の発芽を以っ て示す. 以上4実験より発芽抑制物矧まアルコール,エーテル等に溶解して水に溶解しないものがあり, アルニー′−・ルに溶解 してェ・−・テルに・溶解困難なものもあり領一物資でないことを示す.従って同じ浸出物でも溶媒によって抑制作用に強 弱が認められるい またこの抑制物腰ほ人参以外の他のそ菜の発芽を抑制する作用が認められたu (∬)発芽抑制物質の含有部位について。 4… 果皮浸出物の発芽抑制作f臥同一・花組踵子を2分し,−・男を水洗乾燥し,他はそのまま乾燥してそれぞれ宅除 し,是等の果皮2gをそれぞれ50ccの水で10分間煮沸し,この泌過液2ccにつき先の水洗乾鰻穏ヂ100粒を浸澹乾燥し た後,常没によって発芽討験を行なった…試験材料と.して褐熱,黄熟,寂然桂子の果皮を用いた. 第7表 水洗果皮放び無水洗果皮中の発芽抑制物質の作間 無水洗果皮浸出液 水洗果皮浸出液  ̄

褐熟種子l輩熱姦妄丁高音有言市訂訂盲盲

糞熟種子l緑黙種子 発 芽 勢 発 芽 率

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香川大学殿学部学術都電 158 同様の試験を煮沸液をり酌、ず浸澹液について行なったが_ト襲と同傾向の結濯が得られたぃ 5.果皮,種皮教び胚劉浸片㌔液の発芽抑制作用‖種子1を充分乾燥し,宇でもんで果皮を屈り,次に」ヨでついて穣皮を とり,それぞれの重患比を求め,その仕率に寝てじて原皮2.フOg,種皮0′ノ6プg,残部(胚乳及胚芽)5gを待,是を各30cc のアル=r【−・ルに浸潰して抑制物質を浸出し,油紙1枚について2ccを吸収せしめ,1000C■で乾燥してアルコトルを揮 発して彼,常旗により発芽試験を行なったル顔料ほ羅卦敦び坤新磯子を用い,発芽に用いた種子ほ予め水洗乾燥した 宅除種子である、 令 第8襲 種芋 種皮浸出液 胚乳(含胚芽〕浸出液  ̄

有言盲T盲盲盲

発芽勢i発芽率 発芽勢】発芽率 警芸≡芸l;…∴… 61.31 82.5 同様の傾向は蒸溜水没出物についても得られた‖ 以上2契験に.より,発芽抑制物質は果皮,穣皮,その他の部分いずれにも含有せられ,こ.の中点も抑制作問の甚だ しい部分が果皮であることが分る. (Ⅱ)新旧種子及び熟度を真にする種子申に含まれる発芽抑制物質。 6−新旧電子車に含まれる発芽抑制物質の作耐用昭和28年童及び29年蓮の古種子放び新種子の同数を・アル=T・−ル浸 出し,濾紙に吸収乾燥し この上で常法により予め水洗宅除した種子の発芽試験を行なった5花撤5区㈲の平均結 果は次のようである.倍この試験ほ比較横手が生産平安を異にし,比較対照に困難のため,29年産棲子の同一花微積 子を半畳5カ月間更に日光に当る処に放竃し,是から浸出物をとり,前と同一の穐子を以て発芽試験を行なった. 弟9表 新占種子中の発芽抑制物質 \− − _ \\\処理 試験日 \ \ 発 芽 勢 発 芽 率 苗穂子浸出物 新種子浸出物l無 処 理 古梅子浸出物L新穂子浸出物r 熱 処 理 昭29.10.1 陪30∴331 この試験でほ新旧板子の浸出液が同じような抑制作用を示した,しかし数次による試験でほ稜々異なる結果を示し た恐らく胡料が異なるためであろう.この試験で新税予が採種後3カ月目と.8カ月削こおいて合着抑制物質の作間 に大差を示さなかったことは,第1回教び第2回目の発芽試験の結果と無処理屡.の発芽結果より容易に察知すること ができる∴本試験において,新種子の後期発芽率が前期発芽率よりも柏高い理由は,無処理区の結果をも考厨に入れ ると,貯蔵に.より抑制物質の作用が減退したと.考えるよりも,後熟のために・発芽カが増加したために発芽率が高くな ったと考える力が至当であると思われる小 7い 花轍の水没による抑制物質の流失についで欝熟談び緑熱花撒各7個を花茎約30cmをつけて切り取り,花撤 を縦に2等分し,ニつのグループに分けて切口を水中に挿入し,第1区はそのまま放置し,第2区は毎日30分間ずつ 花撒を水中に入れて,是を・1週間継続し,両者を花撒別に採侵して室内に貯蔵し,1カ月後説び10カ月後に.発芽試験 を行なった. 期日 \■■\−_、

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159 第11巻 通巻第フ9琴・(1959) 浸水した花緻の発芽率が高い・このことは間切に・おいて雨のために発芽抑制物質の1部が流失するであろうことを 予想せしめるい (Ⅳ)発芽抑制物質に及ぼす光の影響。 同一雅撒からとった果皮を透明及び黒色のビニーリレに包んで日蔭の冷所に1カ月間放置し,是の蒸溜水浸出液を予 め水洗乾燥宅除した瞳子に吸収せしめ,乾燥后常洪に従って発芽試験を行なった・6花組6区制の平均は次のようで あるい 第11表 発芽抑制物掛こ及ぼす光の影響 発 芽 率 % 発 芽 勢 %

中熟種子 j 完熟種子

中 黙 種 子l完 熟 種 子 透明 ビ ニ ー・ル 黒色ビ ニ ←・ル この種の試験は更に幾度か裸返したが差異が認められなかった… 9.発芽抑制物に設ぼす日光,高温乾燥の影響…8gの組子を200ccのアルコー・ルに浸漬し,濾紙1故について浸 出液2ccを吸収して蔭乾し,それぞれAは日乾(2時間),Bほそのまま,Cは熱乾(60∼70〇C2時間),Dは塩化 カルシ.ユ.【ム乾燥(20時間)した泌紙上で筒港により発芽試験を行なったい 7区制の平均結果ほ次のようである・ 第12表 口乾,蔭乾,熱乾,CaC18乾燥と発芽抑制物質の作桐

 ̄■M▼【

㌻盲盲丁盲 壷丁哀

乾Icacl減燥F 無 処 理

こ毒二妄二二竺二竺1 82‖90% 85.20 発 芽 勢 発 芽 率 以上の2実験に.よると.光,熱,乾燥処理ほ発芽抑制物質の作間を澤返しないようである・

W 考

察 種子中発芽抑制物質が存在することを証明する力沫としてほ,浸出液を濾紙に注ぎ,水を注いだ遮紙上での発芽試 験の結果と比較することが行なわれたが,(1)(9)(10)この方法の一つの欠点は浸出液の濃度が種子の水分吸収を阻み発 芽遅延の原因となる場合のあることである・深辣町2)は是を避けるために浸出液の濃度と酎様の砂糖液を作り,そ の結果を比較検討した本葬験においてもこの点を考慮し,氷点降下洪により浸控i液の澤透圧を測定し,是と同圧の 砂糖液を作り,両者を比較したが,この試験にほ−・,二の困難な問題があり所期の結果が得られなかった小 よって浸 出液を再び板子に吸収せしめ,是の発芽結果を比較するために笑験工のa,b両方の試験を行なったわけである・但 しこの場合にも再度種子を一億期間液中に苦くために発芽カに影響を及ぼす惚れあることを考え,筒放の処置を水で も行ない比較検討した.以上の結果,浸出液で処理した桂子は発芽が遮延し,発芽抑制物質の存在を示した発芽抑 制物質の存在を知る最も確実な方法は抑制物質を摘軌することであり,既に,CROCXER及びBARIONの著習(4)に・も 抑制物質として数種の物質があげられている.わが国においても牧野,首席両氏(2)はほうれんそうより抑制物質とし て櫛酸塩類を摘出している.承実験においては抑制物質の衷体を極めることはできなかったが,アルコールで種子を 浸賛し,浸出液のアルコ−・ルを揮発することにより半個体性物質を得,是を再度エ・−テル,アルコL−ルあるいは水で 溶解し,その性野を検討した結果,是が発芽抑制作用を有することを明らかにすることができたい倍この物質が数柾 のそ菜種子の発芽をも抑制することが判明したが,このようにある枝の種子からとられた抑制物質が他の榎子の発芽 を抑制することはCROCKER放びBARTONも記述する処である‖ 発芽抑制物質が種子のどの部分に存在するかについては,従来種皮中とかあるいは穣子全体とか,程々の結果が得 られているが,凍実験においては果皮,桂皮,胚乳等の絶てに含まれることが証明され,特に果皮浸出液が最も抑制 作用が大ぎかった.但しこの結果ほ兼皮申の抑制物質の含有率が最も高いと言うことではなく,金時人参果巽中果皮 の盈が最も多く,従って含有盗も多いというわけである果皮中に含まれる抑制物質の盈が多いことは,宅除種子が

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香川大学農学部学術報賃 160 発芽良好であるという聾者の契験成統を証明するものである.但し果皮の除却が棍子の一周帥こ傷害を起し,吸水,呼 吸作用を好都合にするために発芽を捉達するであろうとの艶聞も生ずるから,種皮の一部を針で傷つけ,無傷種子と 発芽の比較を行なったが,結果ほむしろ逆であり,宅除の効果カミ果皮中の発芽抑制物質を除却するためであるとの確 信を一層強くすることができた 太契験(7〉の抑制物質の流共に関する試験結果ほ,闘場において生育の途上で枯死した草本から取った褐色の種子 が,その発芽率に比して発芽勢が比較朋よい結果を示したこと.や(8),成熟度を異にする種子からとった浸出液の発芽 抑制作問が異なる第7表の結崇は,成熟途r榊こおいて降雨のために漸次抑制物腰が流失するためであろうと言う証明 の一億拠を与えるものと思う‖ 発芽抑制物質が光,熱,乾燥等の作脚こよって漸次その能力を淑返するのではなかろうかと.の考え.力は日乾,熱 乾′,賠蔵等に.よって−【程度の差はあるが 【 漸次発芽率を増加することから予想せられるが,森実験の結果は絶て 負の結果が得られた… 発芽抑制物腰が極めて安定な物質で熱に強いことほCRCCKER及びBARTONも述べるところ であり,このような結果から考えると人参種子が日光乾燥,貯蔵等によって発芽率の増加を兼す理由ほ,発芽抑制物 質が是等の処理に.よって抑制能力を減退するのではなく,胚珠の後熱が進み発芽カを増加するためであると考えるこ と.が至当のようである.本契験中岡じ程度に熱した花撒から得た板子浸出液でも発芽抑制作間には差異が認められ たり このことほ宅除穐子の発芽試験においても認められること.であるから,恐らくこのような相異は系統による遺伝 的素質に.よるものであろうと考えられる…金時人参種子の発芽遅延の原因としては,更に光に対する反応と,その消 長の問題が考えられるが是についてほ更に別報する‖ Ⅴ 結 1..金時人参種子中には発芽抑制物質を含有し,含有盈ほ果皮巾に屈も多いが,橿皮放び胚乳(含胚珠)申にも存 在する. 2.この発芽抑制物熟ま.饉一物質でほなく,水,アルコール,コこ・りテル等によって抽出藍が典り,アルコール抽出 物中にはエ・−テルや水に溶解困難な物質をも含む… i3・この発芽抑制物贋は人参以外のそ菜範子の発芽をも抑制する性質がある− 4.発芽抑制物贋の作用は収穫期,種子の熱度,あるいほ同熱度でも異った花撒からとった亀子の浸出液に・よって 強弱が認められる‖恐らく評釈による遺伝的素質の稲造や,成熟申の降雨によって抑制物腰の仙部が流失するためで ほなかろうかと考えられる・ 5..発芽抑制物掛ま日光,熱(1000C以下),乾燥貯敲等によって患放び質に・変化を菜さない… 6‖ 以上より水洗,宅除が発芽促進に効果的である原因ほ,水洗,宅除により抑制物質の減少を釆すためであり, 日乾,貯蔵等によって発芽率の高くなる理由は是等に.よって抑制物質の数あるいぼ作用を減少するためではなく,後 熱作月∃による胚珠の発芽カの増加にあると.考えるべきである,、 引 用 文 献 発芽後の生長を・抑制する物質について,育種学研 究,4(3),158ノ}160(1955) (8)渡辺正一L,浅野宏,都田正:金時人参種子の発芽に (1)CROCKER,W..BARTON,L Vい:Physiology of seeds.Ch工Onica BotanicaCo,U。SA.(19551)。 (2)深城島表:果汁の穐子発芽に教ぼす影響問題に就て, 九大農,学芸雑誌4(2),119∼13r3(1930.)い (3)堀裕,杉山直儀:タカナ輝の種子の休眠について (第二載),園芸学会雑誌,22㈲,7280(1954).(9) ㈲ 石川茂確:ほうれんそう果皮中にある生長抑制物質 について,植物学雑誌,64,フ55∼フ56(1951) (1(カ (5)近藤万太郎,高橋隆1l∠‥小麦の穂発芽現象につい 関する研究(幾一・報),香川終科大学学術観望, 7(1),27へ′30(1955). 渡辺.正一・‥仝上∬,園芸学会雑記,23匝),237−244 (1954)。. +:金時人参の磯子,良種,1(2),1∼5 (1953)い 叫 +−‥金時人参の採種と播種,新種筒,(れ16 ▼17(1955) 購)与矧田貞雄:種子生産学,東京,遊資望(1950) て,澄を学研究 30,(1938) (6)笠原安夫=種実の発芽促進敦朝刊,数学研究,36 (1944) (7)牧野岩男,富永隆夫:ほうれんそうの種子における

(7)

第11巻 通巻第29憂(1959) 161

RるsⅥmる

Oneoftheauthors,WATANABE rePOrtedtheeffectsof presoakingand removalofpericarpOn the

germinationof Kintoki−CarrOt SeedsinJouYnalofiheHoYticuliuralAssocialion ofJaPan Vol.23,No‖4, 1954。The present study,aSdescribed below,WaS工nade董IOm1953to1955toclari董ywhythesetreatments are effective.

Ⅰ.h order to certify the existence o.f germination−inhibiting substancesin carrot seeds:

(1)Water extractsof carrotseeds were used to germinate carrot seedswith the bllowing two methods:

(a)Comparative germ;nation of seeds pre−SC>akedin water,01】e treated with wate工 alone,and the otheIWith the water−eXtraCtS Of seeds

(b)Comparative germination o董$eeds sown on filter paper,One CO班ainingtap water,and the Other containirlg Water−eXtraCtS Of seeds

(2)Ethylalcoholand?thyletherext‡aCtSOfcarrots3edswereuse,dingerminationtestofcarrot Seeds

Ⅱ.Thelocation of the germinatioかinhibiting substances wasinvestigated,Separating theseedinto pericarp,Seed coat and払e remaining parts of the seed

Ⅱ.The power toinhibit germination by the sub3tanCeS COntainedin old and newly harvested Seeds was compared.

Ⅳ.In order to clarify why the germination rate3Vary between seeds which were harvested at different times or stored under various c)nditions.exp3rimehts were carried out to determine the e董董ectso壬1ight,heat dryness and water s)ユking ofumbell曳0ユgerminatiorinhib柑ng sibs†ances

Results obtained were as董011く)WS:

(1)Germinationqinhibiting$ubstances are presentin a11pa工t$ Of:Kintoki−CarrOt Seeds,but are especi311y d)nCentratedin pericarp

(2)Germinationinhibitorsin cユrrOt S∋ed coコSistof various kinds of substユnCeS,and solne Of them are soluble jn ethylalcoholor ethylet‡1er,but areinsolublein water

(3)Theseinhibitors can als〇inhibit germination of vegetable seeds other than carrot seeds 佐)Thesei∫1hibitors show variable effects with the matlユrity,harves七 time andindividuality of seeds from which these were extracted.Perhaps scl¶e Of the3e differeヱ1CeS may be′hereditaryi∫1 character,☆hile others are caused by rains which di∋SOlve the subSta二nCeSin the field

(5)Sunlight,heat or d工yne言3Willnot alt3r the ability of germinationinhibiting substances to inhib汁germinationof carrOt Seed$

(6)Froてn the abovereSu.1ts,itisconclude且that the effecto壬presoaking or removalo董pericarp dependsonthequantitative de〇reaち3inthec)nt∋nt O三ge′rminユtioニIinhibitorsins∋eds(botanicalfruits), andtheincreasingof germinatiolby drying or・StOrage depend onthe stiTnulation of after−ripening rather thar)the decreasein the ability of the germinationinhibitors caused from such treatment$巾

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