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エンバク冠さび菌夏胞子の発芽時における成分変化-香川大学学術情報リポジトリ

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エンバク冠さび歯夏胞子の発芽時における成分変化

谷 利 一一・,内 藤 中 人

さび薗夏胞子の成分については,発芽鑓理究明の一・環としてすでにかなり報碧されているが,それらは selfJinhibitionに関連する特殊成分,呼吸基質としての一・般成分に大別されるようである.筆者ら(9)はさきに 工ンバク冠さび薗夏胞子の発芽時における呼吸について報告したが,これと平行して呼吸基質の観点から一・ 般成分の変化についても1,2の実験を行なったので,ここにその結果を報告する. なお,本報告は昭和39年度日本椀物病理学会大会シンポジウム(12)における講演発表の・−部で,経費の劇部 は昭和37年度文部省科学研究費によった. 実験材料および方法 供試胞子‥エンバク冠さび菌(P〟〟・紘厄れ椚m由CoRDA)の同調化(8)および天然の夏胞子を供試した.ただ し後者の場合には0り25mmの締で爽雑物を除き,また発芽率80%以上のものに限定した小 多量の発芽胞子 を必要とするときは,特記のほか,径9cmのベトリ皿の蒸留水10∼20ml上に10mg(生体重)ずつ200∼ 25◇C暗黒で所定時間浮かべ,ろ別胞子をろ紙にはさんで軽く圧さく後,真空デシケ」一夕」−・で乾燥する. 発芽胞子の重畳:蒸留水20mlずつを入れたベトリ皿5,10,20コに生体重100mg(水分含量22・2%)の 胞子を均等に分配して胞子密度を20,10,・5mg/ベトリ皿の3区とする.ガラス棒で撹はんして水面に胞子の 浮遊膜をつくらせ250C暗黒に所定時間放置後,あらかじめ杵屋しておいた束搾ろ紙No・6で吸引ろ過,450C 真空乾燥して恒慮を求めるい ただし,浮遊0時間区では,発芽進行をできるだけ抑制するため60Cで浮かべ 直ちにろ過したが,終了までに約30分を要した. エ・−テル可溶部:試料100mgを乾燥後18×18cmの共栓つき試験管に入れ,1入rHC120mlを加えて熱 湯で30分加熱する小 流水で冷却後試験管壁の試料ふきとりに用いた少畳の脱脂綿を試験管に残したままエチ ルエー・テルで撹はんする1.分液ろ斗に移注,蒸留水20mlを加えて振とうし,工一−テル可溶区分をとり,残 部はさらに3回同抽出をくりかえす‖ 両者を合して水洗,無水Na2SO4で脱水,エ−テル留去して4うOC真 空下で恒慮蓬求めるい 脂肪酸:上述のエ・−・テル可溶部に70%エタノ・−リレ性2%KOHlOmlを加え∴70◇Cl時間加熱後室温(5∼ 150C)に20時間放置する..ついで1ArHClでpHlとし,分液ろ斗で3同工一−・テル振とうしてえたエ・−テル 層を水洗,エ・−テル留去,中性エタノ′−ル10mlに溶かし,フ.工ノーールフクレンを指示薬として80%エタ ノール性〃/50NaOHで滴定し,盲検との満足差(ml)を求める−. ェタノ−ルー水可溶部:乾燥試料150mgをソックスレ−・脂肪抽出器で24時間エタノ」−ル抽出し,同留意後 の橙黄シラノプにエ・−・テルを加えて室温に3日間放置後,傾斜法でエーーテルを除く..3回反覆してエ・−テル 可溶部を完全に除いてから45◇C真空乾燥し,残存区分を秤鼠するり ついで蒸留水50mlを加えてエ−テル 添加のときと同様に水可溶部を除き,同様の乾燥後杵鼠する..両者の差をエタノ・−ルー水可溶部とする.. 少糖類:乾燥試料150mgを上述同様にエタノ・−ル抽出後,1・5×1・1cmの共栓つき試験管に入れ,〃/10 HCl5mlを加えて熱湯中で1時間加水分解する..室温で1夜放借後に上淀2mlをとって〃/10NaOHで 中和し,SoMOGYl−SHAFFER−HARIMANN法で還元糖を定量する。 多糖類:小型試験管に入れた乾燥試料100mgを1几∵HC15mlで2時間煮沸加水分解し,冷却後1〃 NaOHで中和する.加水分解液は濃橙褐色を呈するので活性炭末を加えて1日放置し,前述同株にしてろ液 の還元糖を定温する… なお,少糖,多糖類の還元糖は〃/200Na2S208滴定植をぶどう糖に換算して表示,後 者はさらに少糖類を差引いてその含量とする…

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アミノ酸:既報(18)により乾燥試料2い5gをエーーテル脱脂,温水(600C)溶出して飽和さく酸鉛,H2S処理 後の80%温エタノーー・ル(600C)可溶区分をとり,エタノ・−ル留去後に少孟の蒸留水で溶かしてイオ・ン交換樹 脂カラムで3区分のアミノ酸に分別した(第1図)..まず〟/10さく酸緩衝液でpH4“7にしたアンバ・−うイ トIRC−15020ml充填のカラムに通し,蒸留水200mlで 洗徹する..Ⅳ/3HClで吸着区分を溶灘し,同IR−45(OH塑) 20mlのカラムでさく酸アンモニウムを除去して塩基性アミ ノ酸とする…IRC−150に非吸着の区分はひきつづきIR−120 (H型)20mlのカラムに通し,5%NH40Hで溶離した同吸 着部から混在アン・モニアを減圧下で除き,さらにIR−45(OH 型)20mlのカラムに通す小 通過液と同カラム洗液を合して 中性アミノ酸区分とし,同カラム吸着部ほ〃/3HClで溶出し て酸性アミノ酸区分とする..以」二の操作は定量的に行ない, えた区分についてはそれぞれ2次元上昇のペ−リヾ・−クロマl、 グラフイ−を行なった‖ すなわち束搾ろ紙No50(25×2・5 cmりの一億から綱cmの対角線上に原点をとり,定恩 的につけた濃縮材料を15%水添加フェノーリレ液で第1次展 開,花−ブタノ・−ル:さく酸:水(4:1:2v/v)の混液で第2次 展開し,常法のこンヒドリン発色によって標準の各アミノ酸 スポットと比較し同定するい 発芽管内容物の染色:スライドグラスの蒸留水浦上に少量 胞子を250C所定時間浮かべてから,水滴をろ紙で吸いとり 焔火でかるく乾かすと,ほとんどの場合内容物は発芽管の先 端方向に移行し,内容物は圧縮状態になる..脂肪はカロチ ン(14)のために橙黄色の塊状を呈するが,他の内容物もアニリ ンブルー・−フェノール染色(6)で容易に存在部位が判別できる. mC−∽(pI14u7)

・−−i−−一

過過部 吸着部 IR十120(H型) 吸着部

IR「

吸着部 通過部 第1図 遊離アミノ酸のイオ・ン交換 樹脂による分別 そこで同染色部と脂肪塊の充填する距離を発芽管先端から測定(400倍)して先端染色部とした..ただし,内 容物が断片的に存在する発芽管もまれにあるが,これは除外したルつぎに,スダンIVで脂肪,PAS反応(多 糖類に対する過ヨウ素法(2))で多糖類,BPB−HgC12(1)でたん自質をそれぞれ染色し,調査した全発芽管に対 する着色発芽管の比率を求めて,それぞれの染色率とした一 実 験 結 果 発芽時における脂肪・糖類・アミノ酸の変化:胞子浮遊時間と胞子重過との関係をみるのに(第1表),胞 子密度10mg/ペl、り皿の場合には24時間後まで菌体重はほとんど変化しない..この場合の発芽率は50∼70 %であるが,胞子密度を変えて発芽率を60∼80%,10∼20%としても重虚変化は7%以下である. 脂肪・糖類含盈の分析結果は第2表のとおりで,休止胞子の粗脂肪335%は浮遊5時間で減少,同16時 第1表 発芽にともなう胞子重盗の変化 (3回平均) 胞子浮遊時間(時) 】 0乱 5 16 24 24 24 胞子密度(mg/ベトリ皿)b 発 芽 率 (%) 10 10 10 5 20 50′−ノ70 50∼フ0 50∼70 60′・、.80 10∼20 絶乾胞子重慮比(%) 【 100 97‖0 985 965 995 93‖0 a60Cの蒸留水に胞子を浮かべ(胞子密度20),直ちにろ過,乾燥する b直径9cmのベトリ血中の生体mg

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第2表 発芽にともなう脂肪ならびに糖類含盈変化 (3回平均) 16 24 28‖5 17.0 36.6 24.8 4.9‘7 4 15 3.88 0′0234 2.04 2り41 19い86 13‖39 胞子浮遊時間(時) 0 5 33.5 26小7 45.3 40 8 1562 4.35 1606 3.85 02ユ4 0。0ユ46 1.22 2 35 9,88 1330 粗 脂 肪 脂 肪 酸a エタノ・−ルー水可溶部 マ ン ニ ト・− ルb 遊 離 糖b 少 糖 類 多 糖 類 a 入り50NaOH滴定植mりg胞子,その他は絶乾率(%) b既報(11)から引用 第3表 発芽にともなうア ミノ酸の変化 (1) 胞子浮遊時間(時) 川 + + + 十‡、・十 日+ 刷 肘 †+ +′、J_ +∼_ 榊 + 冊 グル タ ミ ン 酸 アスパラ ギ ン酸 フェニールアラニン バ リ ン アーア ミ ノ ら く 酸 ダ ル ク ミ ン α」ア ラ ニ ト レ オ■ ニ グ リ シ ン ン ン ン ン +≠廿+ +仲井+ (2) 胞 子 浮 遊 時 区 分 No・・乱 酸 性 中 性 3 4 塩 基 性 5 6 a 第2図参照 間でやや増加するが,24時間後にはふたたび減少して叔初の約1/2となる.、脂肪酸も休止胞子に最も多く, 経過時間とともに減少する,′ エクノ・−ルー水可溶の主成分はマンニトールと考えられるが(同表bを比較参 照),休止胞子の含量約16%は浮遊5時間で約1/4となり,以後24時間まであまり変化しない‖ 少糖類は逆 傾向で,浮遊5時間以後は約2倍になる..多糖類は16時間まで増加,24時間に減少する.糖類のうちでは多 糖類が最も多く,遊離還元糖はいちじるしく少ない“なお,熱水抽出物中に遊離少糖類をほとんど検出でき ない(1$)い遊離アミノ酸組成は第2図,第3表のとおりで,休止胞子からはグルタミン酸,アスパラギン酸,

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A アスパラギン酸 B グルタミン酸 C セリン D グリシン E トレオニン F グルタミン G α一アラニン H 7−アミノらく酸 Ⅰ バリン J フェユーリレアラニン K リジン 1,2 未同定酸性アミノ酸 3 未同定中性アミノ酸 4,5,6 未同定塩基性■アミノ酸 第2図 2次元ペーパー・クロマトグラムにおける遊離アミノ酸 スポットの相対的位置

第3図 発芽管の染色性

1乾燥によって発芽管内容物は先端方向へ移動してかたまる場合が多い a:内容物でみたされた場合 b:空隙の部分 C:脂肪塊が散在している発芽管(まれな例) s:夏胞子(140倍) 2 発芽2時間頃の胞子内容物は発芽管出現部の方向にかたよっている(560倍) 3 発芽3時間以上の胞子には内容物をみとめない r:不発芽胞子(560倍) 4 BPB−HgC12反応で発芽管は最先端まで染まる f:脂肪酸(560倍) .5 PAS反応ほ発芽管叔先端部で陰性である f:脂肪酸 p:PAS反応陽性部(560倍)

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4(氾 110 b b 発 光 300 芽 規 部) 管 染 妓 色 ( モⅧ 〝 の )長 z00 さ 70 〝 100 50 ● ● ●●● 00 a発芽率︵%︶ ● ● ● ● :・・…・ .く‡ 、−、 3 6 16 24 30 3 6 16 24 30 砲r浮遊後の嘲抑咋) 第4図 発芽にともなう発芽管長ならびに同先端染色部の変化 a 測定胞子数1回約200コ,3回平均 b測定発芽管数1回約30コ,3回平均 α−アラニン,セリン,グリシン,ダルクミン,アーアミノらく酸,トレオ・ニン,リジンが検出された.また未 同定のニンヒドリン陽性物質として酸性アミノ酸2種と塩基性アミノ酸2(または3)種をみとめた.浮遊 ・5および16時間後にはダルクミンがいちじるしく増加し,アスパラギン酸,7−アミノらく酸ほやや減少した. また,・7.ヌ.ニールアラニン,バリン,未同定中性アミノ酸は確認可能なまでに増加したい 胞子内容物の顕微化学的観察:スライド上の点滴に浮かべた胞子における発芽率・発芽管長の経時的変化 は第4図(左)のとおりで,供試胞子は1∼3時間に70%発芽し,5時間後に発芽がほぼ完了する.発芽管伸 長は16時間まで比較的速やかで,24時間以後は停止状態にある仙 先端染色部(第3図1)の長さは第4図(右) のとおりで,すなわち,3∼6時間でほあまり変化ないが,それ以後16時間までに急速に短縮し,以後も短 縮の傾向にある.なお浮遊3時間以前の胞子ではほとんどの発芽管が100J∠以下で,内容物鱒発芽管全体に 充満するほか,一・部は胞子内にも残存する(第3図2,3比較参照)巾 発芽管における脂肪,多糖数,たん自賀の配列はつねに−庵で,先端部からたん自賀(第5図4),多糖類 (同図5),脂肪(同図 4,5)の順である.脂肪はときには分散して小塊をなす場合がある(同園1).これら 成分の発芽管におけ−る染色率と浮遊時間との関係は第5図のとおりで,染色発芽管は時間とともに減少する 第5図 発芽時における発芽管先端部染色性の変化

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が,その浮遊時間との関係は成分によって異なる..すなわち,スダンIV,BPI‡−HgC12染色率は,30時間後 でほ両者とも約70%,72時間後ではそれぞれ60,40%をしめすり ところがPAS反応でほ浮遊16時間まで は徐々に,それ以後24時間までは急速に染色発芽管が減少し,30時間で10%となる.本結果を発芽管仲良 曲線(第4図左)と対比してみると,PAS反応陽性物質における染色率が最も関係探いようである‖ 考 察 さび菌夏胞子の脂肪・脂肪酸に関するTuILOCIiら(15)の詳細な研究によると,Pα〃g花菖〃(〃rO乃αgαではパルミ チン酸を主成分として,16−18%の脂肪を含萌する.また,HouGENら(7)によると,タ.grdmZ花菖;わ幻滋Zは約 20%の粗脂肪を含み,SHUら(11)は同胞子の脂肪含量は発芽により19」7%から7.8%に減少するとしているu CA=RIDERら(4)も同菌および折〃7り(βり南柏混について,発芽中の脂肪酸減少と不鹸化物増加をみとめてい る..このように,脂肪・脂肪酸は休止胞子に比較的多く,発芽とともに消費されるようである.本実験でも 同様の傾向をしめし,休止期の粗脂肪含意335%が浮遊24時間後に17%となる(第2表).脂肪酸も経時的 に減少した..粗脂肪含畳の浮遊16時間における一・時的増加は,打.♪ゐのβ〃g綽)の発芽18時間における不鹸化物 の増加と−・致する.水に浮遊後8時間まではア、√〃r〃乃αJαのRqは0」5∼0い6で,かつqP2は安息香酸に阻 審される(9).本実験における脂肪酸含盈の減少をあわせ考えると,発芽初期には脂肪を呼吸基質とするとの SHUら(11),FARKASら(5)の見解は本菌夏胞子でもほぼ間違いなかろう.なお,胞子密度を高めて発芽率を10∼ 20%にしたものでほ,24時間後の粗脂肪・脂肪酸含最がそれぞれ29」3%・38.3ml/gで,発芽良好な試料よ りもはるかに高かった1.SelfJinhibition下ではQp2が低下するので(9),この結果も脂肪の呼吸基質としての 利用を哀づけるものであろう.. 筆者ら(1a)はさきに,本菌夏胞子の遊離糖含盈はきわめて低いが,マンニトールは16%存在し,両者とも 浮遊5時間でいちじるしく減少すると報告した..本実験でほ,エ−テル不溶,エタノールー水可溶の区分が マンニトールの消長に一激するので(第2表),同区分の主成分として,他の糖または糖アルコ・−ルを考える 必要はなかろう. 少糖類含孟は発芽によって2倍に増加する..多糖類も浮遊16時間まで同様の傾向にあり,24時間で減少す る..これら糖類増加の機構はなお明らかでないが,マンニトール減少との関連が十分想像される.多糖類の 24時間における減少は,一斉において多糖類の消費または重合が平行的に行なわれていることを示唆するも のと考える.この点については顕微化学的槻察結果の考察でさらにふれてみたい“なお,ク・gr〃m壱乃g5 け血担1)では発芽前のマンナン15.2%,グルコ・−・スポリマ・−67%が発芽後わずかに増加する−. 本菌夏胞子のアミノ酸についてはWILSON(16)がグルタミン酸,アスパラギン酸,β−アラニンなど5種を報 貸し,他菌夏胞子でも知られているが(3・16),発芽時の変化に関しては不明のようである.本実験の結果によ ると,P・J8rO花αJαのアミノ酸は種類,含意ともに特筆すべき点はない.発芽後ダルクミンはいちじるしく増 加するが,これはアミノ基転位の系が発芽時に活性化するためと想像されるい 発芽16時間で中性アミノ酸が 増加傾向をしめす生理的意義については,今後の追及にまちたい..SHUら(10)によると,多くの添加アミノ酸 はPlgr〃mf花∠‖需琉仁夏胞子に利用されてCO2となる.本実験でもアスパラギン酸,7−アミノらく酸などは 発芽後に減少しており,ダルクミン増加をあわせ考えると,−・部のアミノ酸が呼吸基質として利用されてい る可僚性もある。しかし,その含意から推定して主体をなすとはとうてい考えられない. 以上の考察は胞子をベトリ皿上で発芽させた発芽率50∼70% の試料の分析結果にもとづくものであるか ら,発芽率100%のときの内容成分の的確な轟時変化はこれだけではとらえ難い“そこでこれを補なうため, 発芽管中の脂肪,多糖類,たん自賛を染色して,それぞれの発芽時における消長をしらべた..その結果によ ると(第4図,第一5図),発芽管伸長の速い時期(浮遊3∼16時間)には内容成分の全盈が比較的速やかに, また伸長停止時期(同24時間以後)にはゆるやかに減少する… 3成分のうちでは,多糖類と推定されるPAS 反応陽性物質の消失が伸長停止と関係深いようである..脂肪,たん自賀はそれ以後もかなり長期間みとめら れる場合が多い..既述のとおり,多糖類はマンニトール由来の可儲件が高く,かつその大部分は呼吸基質に なっていないようであるから,PAS反応陽性物質は発芽管壁構成材料として重要であると考えざるをえない.

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同成分についてひきつづき実験中であるが,でん粉,グリコーーゲンなどではない… 摘 要 ェンバク冠さび菌(鳥∽壷ね‖別冊血CoRDA)夏胞子を蒸留水上に浮かべ,発芽にともなう成分変化をしら べた.. (1)菌体絶乾重は発芽・不発芽ともに浮遊時間と関係なく,ほぼ一・走である巾 (2)休止胞子の主成分は粗脂肪(34%),マンニトーソレ(16%),多糖類(10%)である.脂肪酸は発芽につ れて減少し,不鹸化物は浮遊16時間頃にわずか増加傾向をしめす小 マンニトール,遊離糖類の大部分は浮遊 5時間までに消失する.一・方,少糖類,多糖類は同期間内に約2倍に増加する.. (3)休止胞子は9樺の既知,2∼3種の未知(未同定)アミノ酸を含む巾 発芽後ダルクミンはいちじるし く増加し,フェニー・ルアラニン,バリン,未同定中性アミノ酸も検出される..アスパラギン酸,アーアミノら く酸は発芽後減少の傾向をたどる. (4)検鏡結果によると,発芽管内容物の大部分は発芽管伸長の速やかな時期に消費される..PAS反応陽性 物質の消失は発芽管伸長停止の時期と一激する..同物質は多糖類の一層と推定されるが,でん粉,グリコ・− ゲンではない.脂肪,たん白質は発芽管伸長停止後も長期間残存する.. 引 用 文 献 の発芽時における呼吸,日植病臥 33,17−22 (1967) (10)SHU,P,NEISH,AC,LEDrNG王子AM,GA・: Utilizationofaddedsubstratesbyuredospores Of’wheatstemrust,Can‖J・Mcrobioll,2,559− 563(1956) (ll)SHU,P,TANNER,KG,LEDrNGHAM,GlAl: Studiesontheresplration of restlng and ger− minatlnguredosporesofwheatstemrust,Can Jβ〃J・,32,16−23(1954) (12)谷利一・‥エンバク冠鋳病菌夏胞子の発芽時に おける形態と生理,日植病報,29,216(1964) (シンポジウム要旨) (13)谷利一・,内藤中人‥エンバク冠鋏病菌ならび に竹梅病菌胞子のマンニトール,香川大鹿学 報,12,93−96(1960) (14)谷利一・,内藤中人:エンバク冠鋏病菌および メダケ赤衣病菌胞子のカロチノイド色素, 日 柏病報,26,106−111(1961) (15)TuLlOCH,AりP,LEDINGHAM,GA:Thecom− ponent fatty acid fbundin spores of plant rustsandotherftlngi,Ca花ノりMmbioll,6,425

−434(1960)

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(1)赤堀四郎編:酵素研究法Ⅰ,476,東京,朝倉

(1955)

(2)明日山秀文ら福:種物病理実験法,405−406, 東京,日本植物防疫協会(1963)・

(3)BROYLES,JW∴ Sugarandaminoacid com−

POSition and variations fbundin uredospores

Ofcerealrusts,ア少∼坤βJ加J,ヰ2,3−4(1952)

(4)CALrRIDER,P.G.,RAMACHANDRAN,S・,Goト TLIEB,S.:Metabolism during germination

andftlnCtionofglyoxylateenzymesin uredo−

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(1963)

(5)FARKAS,G.L,LEDINGHAM,GA:The rela− tion ofself−inhibition of germination to oxi−

dative metabolism of stem rust uredospores,

Cb花J〟≠‘r〃∂ま〃J,5,141−151(1959)

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(19150)

(‘7)HouGEN,FいW・,CRAIG,BりMり LEDINGHA叫 G.A.:Theoilofwheatstemrusturedospores

IThesterolandcarotenes of the unsaponi−

fiable matter,CanJMi(rObio[,4,521p529 (1958) (8)内藤中人,谷利一・:エンバク冠さび菌夏胞子 の発芽初期における膨潤ならびに小突起につ いて,日植病報,32,26−34(1966) (9)内藤中人,谷利一・:エンバク冠さび菌夏胞子

(8)

Changeinchemicalcomponentsduring・germination

OfuredosporesofhL〃iniacor’Onata

ToshikazuTANIandNakatoNAITO

Snmmary

AsapartofstudiesonphysiologlCalnatureofur・edosporesof助ccinia coro71ala CoRDA,

chemicalanalyseswerIemadefbrthespores befbr・eandaftergerminationo魚thesur・faceof

Water■.

(1)No change occur・edin totaldry weight ofuredospores throughout germination

periods.

(2)M可or materialsin rest spor・eS Were Crude fat(34%),mannitol(16%),and

polysaccharides(10%).Gradualdecr・eaSeinfattyacidwasnotedduringincubationperiods

fbr24hours.Nonsaponi点ablelipidseemedtoincreaseslightlyat16hoursafterincubation・

Bulk ofmannitoland fiee SugarS disappeared within anincubation of5hours,Whereas

oligosaccharidesincreasedits contents to about two times・Polysaccharides,hydrIOlyzable

withlNHCl,gaVemaXimumvalueat16hoursafterincubation・

(3)Sporesbefbregerminationcontainedninecommnaminoacidsandtwoorノthree

unknownones・AccumulationofglutamineaftergerminatlOnWaSremarkable・0therthree

neutralaminoacids,Phenylalanine,Valine,andunknownone,WereClearlydetectedonlywith

theextractsaftergermination・Asparticacidandr−aminobutyrlCaCidseemedtobeconsumed

tosomeextentsduringgermination.

(4)Micr・OSCOPicalobservationindicatedthatmaterialsingerm−tubeswere mostly con・

sumedinaperiodoflogarithmicphase ofgrowth・A positive materialfbr・PAS reaction・

presumablywatersolublepolysaccharidebutnotstarchorglycogen,disappearedingerm−tubes

whengerm−tubesceasedtheirelongation;Whereasfat and protein wereobserved to besti11

remainedingerm−tubeseveninalateper・iodofstationaryphaseofgrowth・

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