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(1)

「既存伝統木造住宅の防火改修のポイント」

関西木造住文化研究会

目 次

1.適用方法

2.外壁土塗壁

3.化粧軒裏

4.外部開口部

(2)

本書は、都市防災上、重要課題である既存町 家等の老朽化による防火・耐震性能低下や出火 危険の増大等を解決する手法の一つとして、 平成 17 年度に取り組んだ防火研究「既存京町 家の防火改修設計・施工マニュアル」の概要を 抜粋・要約・整理したものである。 同研究は、京町家等が多く見られる準防火地 域の延焼の恐れのある部分*1の建物外周部(外 壁土塗壁、化粧軒裏、開口部)について、地域 固有の木造伝統文化を活かしながらも、建築基 準法上必要な防火性能を実質的に実現するため の防火改修のポイントを、告示及び既往の防 火・耐震研究・実験・実態調査データ、また、 熟達した伝統技能者の施工者等からのヒアリン グなどもふまえて、既存京町家の実態に即応し た手法で提示した。 詳細は、上記研究報告書を参照のこと。

①対象建物

建築基準法施行前に建築された、京町家など の木造伝統構法の住宅を主対象とする。 なお本書の内容は、既存京町家をモデルとし ているが、基本的な考え方は、各地の既存伝統 木造住宅にも広く適用できるものである。

②対象部位

準防火地域の木造建築物の延焼の恐れのある 部分の建物外周部(外壁土塗壁、化粧軒裏、 開口部)を対象とする。 なお、改修場所の周囲は建築基準法上の防火 規定に適合していることを前提としているため、 改修場所の周囲に対しても必要に応じて適切な 防火対策を施すものとする。 例 準防火地域で、敷地の間口が 6 メートル 以下の場合は、敷地全体が隣地境界線から の延焼の恐れのある部分に含まれるため、 建物 1・2 階全ての外壁を防火構造にする 防火規制がかかる。

③想定している火災の種類

建築基準法上、準防火地域の延焼の恐れのあ る部分に求められる防火構造は、「通常火災の うち、建物周囲において発生する火災(以下、 外部火災と略す)のみ」に対する要件を規定して いる。 そのため、本書も上記の外部火災を想定した ものになっているが、改修に際しては、建物の 屋内で発生する火災や地震火災対策についても あわせて検討する。

④防火改修の目標性能の考え方

建築基準法上、必要な防火性能を確実に実現 できることを目標とする。 なお、経年劣化を含めて防火性能に多種多様 なバリエーションが見られる膨大な既存建物に 対しては、実態に即した適切な防火改修が行え るような工夫を行った。 具体的には、法令の防火性能を確実に実現す るために、「①法令に明文化された要件」だけ でなく、「②法令には明文化されていないが、 法令の防火性能を確実に実現するために必要と 考えられる、既往実験・研究成果から導き出さ れた要件」も明記し、両者の要件の全てを満た すことを防火改修の要件とした。 また、一般規模の改修では、法令上の防火性 能を確保することが困難な仕様については、 既往実験研究データ等をもとに、法令の防火性能 と同等になり得る性能を確保するためのポイン ト、あるいは、現状より防火性能を向上させるこ とができる改修手法のポイントを提示した。 *1 延焼の恐れのある部分: 建築物の部分が、「道路中心線」・「隣地境界 線」・「同一敷地内の 2 棟以上の棟相互の、外壁 間の中心線」より、1 階は 3 メートル以下、 2 階以上は 5 メートル以下の距離にあるもの

1.適用方法

11

(3)

ここで扱う「土塗壁」とは、竹で編んで下地をつくった伝統的なつくりかたの土塗壁を指す。 ①建築基準法上、「準防火地域の木造建築物の 延焼の恐れのある部分の外壁」は、防火構造 とし、「外部火災による火熱に対して、加熱 開始後 30 分間の遮熱性と非損傷性」を満た す必要がある。 ②今まで防火構造として使える土塗壁は、真壁 裏返し塗りや土蔵造に限られていたが、近年 の研究開発によって、平成 16 年国土交通省 告示で新たな仕様が追加され、京町家に多く 見られる代表的な仕様は一部を除いて防火構 造に防火改修できるようになった。 (表 2.1) ③防火構造に認められていない仕様 土塗壁は両面塗(裏返し塗り)が一般的だが、 建物同士がほとんど接して建てられている場合 は、隣家と接した妻壁の屋外側(隣家側)の面 は物理的に土塗りができない「裏返し塗り無し (片塗り壁)仕様の場合が多い。 そのうち、柱の屋外側のチリ寸法(柱の表面 と壁の表面の間の距離)が 15 ミリを超え、屋 外施工ができない場合は、現時点では、防火構 造には認められていない。 しかし、同仕様については、既往実験・研究 データをもとに理論的に組み立てた評価方式 (案)を用いて、防火構造相当の性能を確保で きることが予測される防火改修手法を提示した。 既往の防火実験等の成果をふまえて、外壁に 要求される「非損傷性」、「遮熱性」、「遮炎性」 の 3 つの性能を確保するためのポイントを 表 2.2、図 2.1~2.2 に示す。

●遮熱性:

屋外で火災が起きたときに、建物の 屋内側 の温 度が、 可燃 物燃焼 温度 ( 最高 温 度 200℃、平均温度 160℃)以上に上昇しないこと

●非損傷性:

構造耐力上、支障のある変形や 溶融、破壊その他の損傷を生じないこと ●

遮炎性

(しゃほのおせい):屋外で火災が起きた ときに、建物の屋内側に火炎を出す原因とな る亀裂その他の損傷を生じないこと 京町家の代表的な外壁土塗壁仕様を防火構造 に改修するための要件を表 2.3に示す。

<表 2.3 の利用方法>

①左端の列は、京町家に一般に多く見られる 代表的な外壁土塗壁の仕様である。 ②表中、1の裏返し塗り仕様を防火構造に改修 する方法は、下記の 2 通りがある。 A.土塗り厚を 40 ミリ以上とする。 なお、土の塗り厚をふやしたり、土塗壁 と周囲の軸組(柱など)との間にヒゲコなど の火炎貫通防止対策を施すことによって、 より防火性能を向上させることができる。 B. 土塗り厚を 40 ミリ以上とし、かつ、土塗 壁の上に板を張る(大壁板張り)。その場合、 板の厚さの条件はない。 なお、上記Aのように土の塗り厚や板厚 をふやしたり、火炎貫通防止策を行うこと により、より防火性能を向上させることが できる。

2.外壁土塗壁

2.1 法令上の位置づけ

2.2 防火性能確保のためのポイント

21

2.3 防火改修のポイント

裏返し塗り無しの土塗壁(片面塗り) 柱 土塗壁

(4)

表 2.1 準防火地域の木造建築物の延焼の恐れのある部分の外壁の防火規定

法:建築基準法、令:同法施行令 要件 対象 政令で定める 技術的基準 同左基準に適合する構造で、下記の国 土交通大臣が定めた構造方法、又は同 大臣の認定を受けたものを用いる 図 解 非損 傷性 ( 耐力壁のみ ) 建築物の周囲で発 生する通常火災に よる火熱が加えら れた場合、加熱開 始後 30 分間、構 造耐力上支障のあ る変形・溶融・破 壊その他の損傷を 生 じ な い ( 令 第 108 条) 防火構造(法 第2条8 ) ① 準防火地域 の階数≦2 かつ、 延べ面積 ≦500 ㎡ (法第 62 条) ② 法 22 条区 域 の 特 殊 建 築 物 の 一部(法第 24 条) ③延べ 面積> 千㎡の 場合 (法第 25 条) 遮熱性 上記条件下で加熱 開始後 30 分間、 当該加熱面以外の 面(屋内に面する もの)の温度が可 燃物燃焼温度以上 に上昇しない (同上) (告示第 1684 号、788 号) A.耐力壁 下記のいずれかとする。 ①準耐火構造(耐力壁の外壁に係るもの) ②土蔵造 ③土塗真壁造(塗厚≧40 ㎜)、 但し、裏返し塗り無しの場合は、塗厚 ≧40 ㎜かつ、柱の屋外側チリ≦15 ㎜、又は、柱の屋外露出面の木材防火 被覆(板厚≧15 ㎜) ④「土塗壁・厚≧30 ㎜」+「下見板張 り・板厚≧12mm」+「土塗壁と柱・ 桁との取り合い部はちりじゃくりを設 ける等、当該建築物内部への炎侵入を 有効に防止できる構造」。但し真壁造の 柱・はり除く ⑤(屋内側)仕上A*2+(屋外側)土 塗壁・厚≧20 ㎜(下見板張り含)。但 し、真壁造の柱・はり部分は除く。他 (省略) B.非耐力壁 下記のいずれかとする。 ①準耐火構造 ②その他は上記A耐力壁の②~⑥に同じ 非損 傷性 ( 耐力壁のみ ) 建築物の周囲で発 生する通常火災に よる火熱が加えら れた場合、加熱開 始後 20 分間、構 造耐力上支障のあ る変形・溶融・破 壊その他の損傷を 生じない (令第 109 条の6) 準防火性 能( 1 *) ①法 22 条区域 (法第 23 条) 遮熱性 上記条件下で加熱 開始後 20 分間、 当該加熱面以外の 面(屋内に面する もの)の温度が可 燃物燃焼温度以上 に上昇しない (同上) (告示第 1685 号、787 号) A.耐力壁 下記のいずれかとする。 ①防火構造(耐力壁の外壁に係るもの) ②「土塗真壁造・厚≧30 ㎜」+「土塗 壁と柱・桁との取り合い部にちりじゃ くりを設ける等、当該建築物の内部へ の炎侵入を有効に防止できる構造」 ③(屋内側)仕上A*2+(屋外側)土 塗壁(裏返し塗り無し、下見板張含む)、 又は石綿スレート仕上厚≧3.2 ㎜又は せっこうボード仕上等(略)。但し真壁造 の柱・はり除く B.非耐力壁 下記のいずれかとする。 ①防火構造 ②その他は上記A耐力壁の②~③に同じ A② 裏返し塗り、または、 裏返し塗り無し *1 準防火性能:建築物周囲で発生する通常火災の延焼抑制に一定効果を発揮するために外壁に必要とされる 性能 *2 仕上A:せっこうボード張厚≧9.5 ㎜又はグラスウールもしくはロックウール厚≧75 ㎜充填の上、 厚≧4 ㎜の合板・構造用パネル・パーテイクルボードもしくは木材張り A③ イ ロ ハ A④ ニ 22

(5)

表2.2 外壁土塗壁の防火性能確保手法のポイント

屋外側:加熱側を指す。*:厚さが増すほど効果は大きい 性能 ポイント 解説 ①土塗壁の塗り厚を確保する* (例)裏返し塗りの有無に関わらず、総塗り厚を 40 ミリ以上 とすることで、防火構造に必要な遮熱性を確保できる。 遮熱性 ②柱の屋外側に木材を張る* (大壁板張り仕様) ・土塗壁への加熱を遅らせる効果がある。 ① 取 り 合 い 部 四 周 の 土 塗 壁 と 軸 組 と の 密 着 度 を 高 める ・壁厚を確保する ⇒壁と軸組との接触面積を増やすことができる ・スキマが生じにくい施工をする(経年劣化も含む) 遮炎性 土塗壁と 四周の軸 組との取 り合い部 まわりの スキマの 防止 ②取り合い部四周 に火炎貫通防止 措置を施す (火炎貫通防止措置の例) ノレン・ヒゲコ打ち、チリジャクリ、桟木、L 型金物、 アルミアングル等 ①柱の断面積を確保する ・真壁造の外壁は、柱が屋外に露出しているため、火災時 に柱が直接、燃焼・炭化して柱の断面が減少し、柱の 単位面積当たりの荷重が増大すると共に、荷重が偏心し て柱が座屈し、壁の非損傷性が損なわれることがある。 ・断面積の異なる柱が同時間、加熱を受けた場合、断面積 の小さい柱の方が炭化の割合が大きく、構造耐力への 影響が大きい ②柱の屋外側の露出面積を 減らす ・直接加熱される柱の燃焼面積を減らし、炭化をおさえる。 (例)柱の屋外側チリ寸法をおさえる ③ 柱 の 屋 外 側 の 露 出 面 を 木材等で防火被覆する* ・柱への着火を遅らせ、炭化をおさえる ④柱の屋外側に木材を張る (大壁板張り仕様)* ・柱への着火を遅らせ、炭化をおさえる ・遮熱性・遮炎性の確保の上でも有効な手法 非損傷性 柱の燃 焼 ・ 炭 化を遅 ら せる・おさ え る ⑤背割りを屋外側に露出さ せない ・柱の炭化及び柱内部の温度上昇による柱の強度低下を おさえる

図2.1 土塗壁の防火性能に影響を与える要素 図2.2 土塗壁の火炎貫通防止措置の例

23 ノレン ヒゲコ打ち

(6)

表 2.3 外壁土塗壁を防火構造に改修するための法令上の要件

*チリ廻り:軸組と土塗壁との取り合い部四周の火炎貫通防止措置。数字単位:mm 改修後の仕様・防火構造(告示仕様) 法令上の要件 さらなる防火性向上 手法のポイント例 改修前の 土塗壁仕様 改修後の 防火構造の 種類 下 図 記 号 裏返 し塗 りの 有無 土塗 り 厚 大壁 板張り 柱 の 屋 外 露 出 面 の 木 材 防火 被覆 チリ廻 り 措置* 裏返 し塗 り 土塗 り 厚 の確 保 板厚の 確 保 チリ廻 り 措置* 裏返し塗り イ 有り ≧40 ○ ○ 1裏返し塗り 大壁板張り イ 有り ≧40 板厚 条件無 ○ ○ ○ 2.大壁 大壁板張り ニ 無し ≧30 板厚 ≧12 要 ○ ○ ○ 板張り (裏返し塗り、 又は、裏返し 塗り無し) 3.真壁 真壁板張り イ 有り ≧40 板厚 条件無 ○ ○ ○ 4.真壁腰板張り (板張り部:裏返 し塗り無し) 真壁 腰板張り、 裏返し塗り 有り イ 有り ≧40 板厚 条件無 ○ ○ ○ 裏返し塗り イ ○ ○ イ 有り ≧40 板厚 条件無 ○ ○ ○ 大壁板張り ニ 無し ≧30 板厚 ≧12 要 ○ ○ ○ 屋外施工が 可能な場合 柱の屋外面 防火被覆 ハ 無し ≧40 板厚 ≧15 ○ ○ ○ 屋外チリ ≦15 裏返し塗り 無し ロ 無し ≧40 ○ ○ 5 裏返し 塗 り無 し 屋内施 工 に限 定さ れる場合 屋外チリ >15 ― ― (告示対 象外) <改修前の仕様> 告示仕様イ ロ ハ ニ 2.(妻壁)土塗壁・大壁板張り 4.土塗壁・真壁腰板張り 1.(一般外壁)土塗壁裏返し塗り 5.(妻壁)土塗壁裏返し塗り無し 24

(7)

1

①建築基準法上、「準防火地域の木造建築物の 延焼の恐れのある部分の軒裏」は、防火構造 とし、「外部火災による火熱に対して、加熱 開始後 30 分間の遮熱性を満たす必要がある。 (P32、表3.1) ②木材が露出した化粧軒裏は、今までは防火規 定のある場所には使えなかったが、近年の 研究開発によって、軒裏に必要な準耐火性能 を実現できることが明らかになったため、平 成 16 年国土交通省告示に準耐火構造の化粧 軒裏が新たに追加された。 ③法令上、準防火地域の延焼の恐れのある部分 にも使える化粧軒裏(告示仕様)を、図3.1 に 示す。 準耐火構造(1 時間、仕様イ~ニ) 仕様イ 仕様ロ 板面戸(厚≧12)の屋内面を、土・シックイなどで 防火被覆(厚≧40) 板面戸(厚≧12)の屋内側に堰板(せきいた)を設け、 その間に屋根面から土・シックイなどを充填(厚≧40) 仕様ハ 仕様ニ 板面戸(厚≧30)の屋内面を土・シックイなどで防火 被覆(厚≧20)。シックイなどは自立した構造とする。 板面戸(厚≧30)の屋外面を土・シックイなどで防火 被覆(厚≧20)。シックイなどは自立した構造とする。 準耐火構造(45 分) 仕様ホ (野地板厚 30 ミリ以上) (ホー1)木材・板面戸厚≧45 (ホー2)木材・板面戸厚≧45

図3.1 準耐火構造の化粧軒裏各種

3.化粧軒裏

3.1 法令上の位置づけ

野地板厚 30 ミリ以上、数字単位:ミリ 31

(8)

21

表3.1 準防火地域の木造建築物の延焼の恐れのある部分の軒裏*

1

の防火規定

*1外壁によって小屋裏又は天井裏と防火上有効にさえぎられているものを除く。 法:建築基準法、施行令:建築基準法施行令、 数字単位:ミリ 要件 対象 政令で定める 技術的基準 同左基準に適合する構造で、下記の国土交通大臣が 定めた構造方法又は同大臣認定を受けものを用いる 防火構造 ( 法第 2 条 8 ) ①準防火地域の 階数≦2、かつ、 延べ面積≦500 ㎡ (法第 62 条) ②法 22 条区域の 特殊建築物の一部 (法第 24 条) ③延べ面積>千㎡ (法第 25 条) 建築物周囲で発生する 通常の火災による火熱 が加えられた場合、加熱 開始後 30 分間、屋内の 温度が可燃物燃焼温度 以上に上昇しないこと (施行令第 108 条第 2 号) (告示第 1684 号)下記のいずれかとする ①準耐火構造 ②土蔵造 ③屋外側が次のいずれかの防火被覆をした構造 イ.鉄網モルタル塗又は木ずりシックイ塗で 塗り厚≧20 ロ.木毛セメント板張り,又はせっこうボード張りの 上に厚≧15 のモルタル又は漆喰塗り ハ.土塗で塗り厚≧20 準耐火構 造 ( 45分 ) ①防火地域の階数 ≦2、かつ、延べ 面積≦100 ㎡ (法第 61 条) ②準防火地域の階 数≦3、かつ、 500<延べ面 積≦1500 ㎡ (法第 62 条) 他 通常の火災による火熱 が加えられた場合、加熱 開始後 45 分間、屋内の 温度が可燃物燃焼温度 以上に上昇しないこと (施行令第 107 条の 2 第二号・三号) (告示第 789 号第 5)下記のいずれかとする ①野地板(厚≧30)及び垂木を木材で造り、これらと外 壁(軒桁含む)とのすきまに、厚≧45 の木材の面戸板 を設け、かつ、垂木と軒桁との取り合い等の部分を、 当該取り合い等の部分に垂木欠きを設ける等、当該 建物内部への炎の侵入を有効に防止できる構造とす る(図3.1 仕様ホ) ②準耐火構造(1時間)仕様 他 準耐火構 造 ( 1時間 ) 上記の他、 木造 3 階建ての 共同住宅 (令 115 条の 2 の 2) 通常の火災による火熱 が加えられた場合に、 加熱開始後 1 時間、 屋内の温度が可燃物燃 焼温度以上に上昇しな いこと (施行令第 115 条の 2 の 2 第一項第一号ロ) (告示第 790 号)下記のいずれかとする ①)野地板(厚≧30)と垂木を木材で造り、これらと外 壁(軒桁含む)との隙間に、次のいずれかに該当する防 火被覆を設け、かつ、垂木と軒桁との取り合い等の 部分を、当該取り合い等の部分に垂木欠きを設ける 等、当該建物内部への炎の侵入を有効に防止できる 構造とする イ.厚≧12 の木材面戸板の屋内側に厚≧40 のシッ クイ、土又はモルタル(以下、「漆喰等」と略)を塗っ たもの(図3.1、仕様イ・ロ) ハ.厚≧30 の木材の面戸板の屋内又は屋外側に厚≧ 20 のシックイ等(屋内側に漆喰塗等については当 該漆喰等が自立する構造) (図3.1、仕様ハ・ニ) ②次のいずれかの防火被覆を設け、かつ、防火被覆の 取り合い等の部分を、当該取り合い等の部分の裏面 に当て木を設ける等、当該建物内部への炎の侵入を 有効に防止できる構造とする イ.強化せっこうボード厚 15 の上に金属板張り ロ.繊維混入ケイカル板張り≧2 枚、総厚≧16 他 (省略) 32

(9)

21

建築基準法上は、「外部火災時に、軒裏の垂木 や野地板が燃焼・脱落しても、一定時間内は、 面戸まわりや小屋裏を通って屋内に延焼しない」 という考え方に基づいており、防火構造の軒裏 には、加熱を受けた後、30分間は屋内へ延焼し ないための「遮熱性」が求められる。 しかし、燃え抜け防止のためには、防火構造 でも「遮熱性」と「遮炎性」の両性能を満たす 必要があり、既往実験より確認された防火性能 確保手法のポイントを表 3.2(P34)に示す。 ●遮熱性:屋内側の温度が可燃物燃焼温度 以上に上昇しないこと ●遮炎性:屋内に火炎を出す原因となる亀裂 その他の損傷を生じないこと

図 3.3 化粧軒裏の防火性能にかかわる要素

図 3.2 既存化粧軒裏の例

3.2 防火性能確保のためのポイント

33 化粧垂木 化粧野地板 桁 面戸板 外壁

(10)

21

表3.2 軒裏の防火性能確保手法のポイント

性能 要件 ポイント 面戸板の 断面寸法 ・加熱を受けた後も炭化せずに燃え残った部分だけで自立できる断面寸法 を確保する。 (例)既往実験では、板厚30~40mmの木材の面戸板のみで30分の遮熱 性と自立性を確保できることが確認されている。 遮熱性 面戸板の遮熱性・ 自 立 性の確保 面戸板 の 防火被覆 ・木材の面戸板の裏面または表面にシックイや土を塗る手法は、遮炎性・ 遮熱性を確保するために有効な手法である。 ①面戸板廻りの各部材 間 の 取り合い部 か らの燃え抜け 防止 各部 材間の取 り合 い部のスキ マ の防 止 ・面戸板・桁・垂木・野地板等の各部材間の取り合い部のスキマを確実に ふさぐ。(特に面戸板まわり、垂木下面と桁上面の間の三角形のスキマ) ・既設の部材を利用して防火改修する場合は、既設部材の劣化・不陸など を十分調査して、スキマを確実にふさげる施工方法とする。 (例1)土またはシックイを、面戸板や垂木・桁間に塗り込む (例2)垂木の「面戸板との取り合い部」を「面戸欠き」*1とする (例3)桁の「垂木との取り合い部」を「トカド(外角)欠き」*2 や、 「垂木欠き」*3 とする。 (垂木欠きとトカド欠きの防火性能の差はほとんどないと考えられる。) *1 面戸欠き:垂木の、面戸板との取り合い部分にシャクリを入れること *2 トカド(外角)欠き:垂木が折れるのを防ぐために、軒桁上端の、垂木 が接する面を、垂木の勾配にあわせて面取りすること *3 垂木欠き:垂木の折れや暴れを防ぐために、軒桁の、垂木と接する部分 のみを垂木の勾配にあわせて彫り込むこと 野地板の厚さ

屋根葺き材や屋根下地工法の影響を受けることなく、防火性能を確保

できる「

厚さ 30 ㎜以上の木材」(木材重ね張りで総厚 30 ㎜以上でもよ い)とする。なお、重ね張りの場合は、2 枚の板の間の密着性を高める。 遮炎性 ②野地 板 の燃え抜けによる 野地板裏面から小屋 裏 への 延焼防 止 野地板同時の 接合方法 ①防火上の弱点となり易いため、経年劣化によるスキマが生じにくい納ま りとする。 ②野地板重ね張りの場合は、スキマ防止のために、野地板同士の接合部が 上下で重ならないようにする。 例 2 垂木の面戸欠き 例 3 垂木欠き *1 *2 34

(11)

3.3.1 共通事項

①防火改修範囲

小屋裏への延焼防止のために、既往実験成果 をふまえて、「外壁から半間程度、屋内に入った 「一の母屋まで」を防火改修の対象範囲とする (妻軒も同様)。

②目標とする防火性能

建築基準法では、準防火地域の延焼の恐れの ある部分の軒裏には「防火構造」が要求される。 しかし、防火構造の化粧軒裏の告示仕様がな いこと、及び、定期的なメンテナンス・補修等 が行き届きにくい場所のため、施工精度・メン テナンスのバラツキや経年劣化による防火性能 低下に対する安全率に余裕をもたせ、防火構造 よりワンランク上の「準耐火構造」に防火改修 することを目標とする。

③定期的なメンテナンス

軒裏は前述の様にメンテナンスが行き届きに くい場所のため、屋根の修繕・改修時などに 併せて、軒裏まわりの防火性能の点検・補修を 行なうことが望ましい。

3.3.2 種類別防火改修手法のポイント

A.化粧垂木を使った一般的な化粧軒裏

31ページの図3.1 の仕様に改修することに よって、法令の防火性能を満たすことができる。

B.加敷造(かしきづくり)

①.京町家の本 2 階建ての道路ファサード側の 2 階大屋根に多く見られ、腕木・出桁をつけ て軒の出を深くし、さらに化粧天井板をつけ た軒裏である。 同型式も、上記Aの考え方を応用して、法 令の防火性能を満たすことができる。 ②.改修のポイント イ.化粧軒裏・屋根部分 上記Aに準じる。特に、建物本体の軒桁上 部は面戸板が取り付けられていない場合が 多いため、該当部分に防火仕様の面戸板を新 設する。 ロ.軒裏と外壁の取り合い部まわり ①防火構造の外壁が軒桁下端まで連続して いること ②外壁・軒裏の防火性能低下に影響を与える スキマ・劣化等がないこと なお、化粧天井板は防火性能の低下に影響を 及ぼさないと考えられる。

3.3 防火改修のポイント

化粧垂木 35 化粧天井板 ①防火改修前 ②防火改修後

図 3.4 加敷造の防火改修の例

面戸新設(面戸防火仕様ロ)

(12)

C.妻軒

①前述のAの考え方を応用して防火改修を行 う。 ②妻壁上部の既設垂木 防火上は、妻壁上部の「既設垂木」を、化粧 垂木型式の化粧軒裏の「厚面戸」と同じ扱いと 解釈し、図 3.1(P31)の告示仕様を適用する。 具体的には、既設垂木が厚 45 ミリ以上の場 合は、図 3.1 の「仕様ホ」に適合しているもの とみなし、垂木に対しては特に防火補強を施す 必要は無い。 一方、厚 45 ミリ未満の場合は、同図中の「仕 様ハまたはニ」の改修手法を応用し、垂木の屋 内面または屋外面に土・漆喰等の防火被覆を厚 20 ミリ以上、施すものとする。 ③妻軒と外壁の取り合い部まわり イ. 防火構造の外壁が野地板下端まで連続し ていること(小屋裏側も含む) ロ.妻軒の防火性能低下に影響のあるスキマ や劣化がないこと

D.通り庇

①道路ファサード側の1階外壁間口全面に渡っ て取り付けられている「通り庇」は、防火構 造の外壁に取り付けた「付庇」と解釈する。 通り庇自体には防火性能を期待せず、「通 り庇が燃焼しても防火構造の外壁を介して 屋内へ延焼しないこと」を防火改修の目標と する。 ②改修のポイント イ.防火構造の外壁が、通り庇の上下間で連続 していること ロ. 外壁と通り庇の取り合い部まわりに、外 壁の防火性能の低下に影響を与える可能 性のあるスキマや劣化などがないこと ③通し腕木と外壁との取り合い部 イ.一般仕様の例 一般に多く見られる、軒の出の深い通り庇は、 「出桁+腕木+通し腕木+化粧野地板+付桁+ 人見梁」で構成されている例が多い。 外壁を貫通している部材と外壁との取り合い 部の納まりとしては、腕木は、人見梁に打抜き 長ホゾ差し・鼻栓打ちで留め付けられ、その腕 木を、屋内に半間入ったササラ(2階床梁)か ら伸ばした「通し腕木」から饅頭ボルトで吊る 構造となっている例が多い。 通し腕木との取り合い部の外壁の屋外・屋内 側には木製の付桁が取り付いているが、2 枚の 付桁の間は一般に空洞の場合が多い。 通り庇 化粧野地板 36 図 3.5 妻軒の防火改修の例 45 ㎜ 出桁 化粧野地板 付桁 人見梁 通し腕木 腕木

(13)

ロ. 付桁の間が空洞の場合の防火改修手法 上記イのように、2 枚の付桁の間が空洞の場 合の防火改修手法ポイントを図 3.6 に示す。 なお、この場合は、厚板で防火補強している ため、防火改修後の防火性能は、防火構造には ならないが、「既往実験により防火構造相当の 性能を確保できることが推測される仕様」を実 現することができる。

E.二重軒

①目標性能 二重軒は、一般に、部材寸法が繊細で、意匠・ 材料等のバリエーションが多く、納まりも複雑 な場合が多いため、告示仕様の中には含まれて おらず、既往実験でも防火構造性能を実現でき る手法は確認されていない。 従って、「既往実験・研究成果により導き出さ れた、現状より防火性能を向上できる仕様」に 防火改修することを目標とする。 ②防火ラインの設定 防火ラインとは、外部火災時に、火炎によっ て燃焼・脱落することはあり得るが、防火ライ ンを超えて屋内側に延焼することはないように 設定したラインである。 二重軒については、図 3.7 のように、防火ラ インは 2 ヶ所、考えられるが、防火ライン上の「外 壁と外壁の開口部」も防火構造、防火設備等と する必要があるため、防火性能を比較的確保し 易い「屋外寄り側」に防火ラインを設定すること が考えられる。(図 3.7 の「防火ライン1」) ③防火改修のポイント 既設軒桁・化粧野地板を取り替えずに再利用 して、設定した「防火ライン1」を超えて屋内 に延焼しないようにするためには、 イ.化粧桁直上部(図 3.7 参照)の面戸板まわり ロ.化粧野地板裏面 ハ.荒野地板裏面 の全ての部位からの屋内延焼防止対策を施す 必要がある。 二重軒の防火構造仕様の開発については、軒 裏の構造と共に、周囲の開口部や配置計画等も 含む総合的視点からの検討が必要といえる。 ②防火改修後 図 3.6 通り庇の防火改修設計例 ①防火改修前 *板厚は既設付桁の経年劣化を考慮して決定する 37 図 3.7 二重軒の納まりの例

(14)

①建築基準法上、「準防火地域の建築物の外壁 の延焼の恐れのある部分の開口部」は、「外部 火災による火熱に対して、加熱開始後 20 分間 の遮炎性能*1」が求められる。 ②上記の性能を満たすサッシやシャッターなど の設備を、法令上、「防火設備」と呼ぶ。 なお、木造住宅では、一般に「住宅防火戸」 (国土交通大臣認定取得のアルミサッシ(網 入りガラス使用等)や木製サッシなど)が 防火設備として普及している。*2 ただし、防火戸が有効に機能するのは、 カギ(クレセント)をしめている状態のときで ある。 表4.1 準防火地域の建築物の外壁の延焼の恐れのある部分の開口部の防火規定 法:建築基準法、施行令:建築基準法施行令 要件 防火戸その他の政令で定める「防火設備」*3を設けなければならない。(法第 64 条) *3その構造が準遮炎性能*に関して「政令で定める技術的基準」に適合するもので、「国土交通大臣 が定めた構造方法(告示第 1366 号、1360 号)」を用いるもの、又は国土交通大臣の認定を受けたもの ①政令で定める 防火設備とは (施行令第 109 条) イ.防火戸、ドレンチャーその他、火炎を遮る設備。 ロ.隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の 2 以上の建築物*5 相互の外壁間 の中心線のあらゆる部分で、開口部から 1 階にあっては 3m以下、2 階以上に あっては 5m以下の距離にあるものと当該開口部とを遮る外壁、そで壁、塀 その他これに類するもの(=防火構造)も含む(施行令第 10 9 条 2 項、告示第 1369 号) なお、京都の場合は、上記ロの防火設備の高さは、該当開口部の上端より 10cm 以上高いものであればよいとされている。 ②政令で定める技 術的基準( 施 行 令 第 136 条 の 2 の 3) 外部火災による火熱が防火設備に加えられた場合に、加熱開始後 20 分間、 屋内に火炎を出さないこと *1 遮炎性:屋内に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないこと *2 アルミ製住宅防火戸:引戸、引違い戸、引き違い窓、出窓、ランマ付など、様々なタイプがある。 ガラス:防火ガラス(網入りガラス、耐熱板ガラス等) *4:建築物の周囲において発生する通常の火災時に火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能 *5:延べ面積の合計が500㎡以内の建築物は1の建築物とみなす

4.外部開口部

隣地境界線 A:延焼の恐れのある部分。 B:防火設備が不要な開口部。R:1階は 3m、2 階は 5m 防火上有効なそで壁・塀 110cm以上 (平面図) (断面図) B B 隣地境 界 線 B

4.1 法令上の位置づけ

41

(15)

①防火性能確保のためのポイントを表4.2 に示 す。 京町家に多く見られる外部開口部は、屋内外 共に柱が露出し(真壁納まり)、かつ、柱と柱 の間に直接、木製建具を取り付ける場合が多い。 従って、大壁納まりの場合より、建具の取り 合い部四周の軸組木部の屋外側露出面積が増 えることが特徴的である。 特に、道路ファサード側の大型建具や縁側ま わりのランマ付掃き出し窓などは、柱・桁・人 見梁などの軸組に、直接、建具を取り付けてい るため、建具と軸組との取合い部四周の遮炎性 確保に十分留意する。 ②木製格子と住宅防火戸の組み合わせ 既往防火実験によると、京町家の道路側ファ サードに多く見られる木製化粧格子を防火戸 (2枚引き違い窓)の屋外側に取り付けた場合、 格子は外部火災によって燃焼するが、炭化して 燃え落ちるまでの間(実験では約 12 分間)は、 屋外から屋内へ侵入する熱(放射熱)をさえぎ るため、格子がない場合よりも、より安全側と なることが確認されている。 すなわち、格子の組子の寸法・意匠が一般的 な仕様の場合は、防火戸の屋外側に木製化粧格 子が設置されていても、格子が防火戸の防火性 能に悪影響を与えることはないといえる。

4.2 防火性能確保のためのポイント

図4.1 木製化粧格子と住宅防火戸の組み合わせの例 ①格子外付けタイプ ②格子柱面内納まりタイプ 窓額縁(軸組四周) 土塗壁 柱 木製格子 土塗壁 柱 木製格子 屋外 屋外 火炎貫通しやすい部位 防火設備 (アルミ防火戸+網入りガラスなど) 火炎貫通しやすい部位 防火設備(アルミ防火戸+ 網入りガラスなど) 42 窓額縁(軸組四周)

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表4.2 外部開口部の防火性能確保手法のポイント ポイント 解説 1. 建具自体 国土交通大臣認定の住宅防火戸(アルミ製等)を 使用する場合は、建具自体の遮炎性は保証されて いると考えることができる。 遮 炎 性 の 確 保 2. 建具の四周 の軸組・外 壁との取り 合い部 屋外側に露出した柱などの木部の燃え込みによ る、取合い部まわりからの火炎の屋内への貫通 や、建具自体の脱落が生じない納まり・施工方法 とする。 (例) ①取り合い部の軸組の屋内側及び屋外側四周に、 木製の額縁(厚 30 ㎜以上、かつ、軸組と額縁 の見込み方向の接触長さ 30mm 以上)を新設 する。⇒下図参照 ②柱の屋外側露出面積を 減らす 等 額縁等の部材断面が小さい 場合は、炭化速度が速くな り、20 分間で炭化厚さが 20 mm程度になると想定され る。 ⇒30mm厚の木製額縁を取 りつけることで、法令の 防火設備に要求される 20 分間の遮炎性を確保できる と考えられる。 3.建具が取り付 く柱の座屈防 止 (柱等の軸組に建具が直接取り付いている場合) 外部火災時の加熱・炭化による軸組の変形の 影響を建具が受けにくくするために、必要に応 じて、建具が取り付く柱に座屈防止対策を施す。 (柱座屈防止対策の例) ①柱の断面寸法の確保(120mm 角程度以上、 添え柱で補強) ②柱等の木部の屋外側露出面積を減らす 等 既往実験研究成果をふまえ た場合、柱が 120mm角程 度以上の場合は、開口部の 防 火 性 能 に 対 す る 影 響 は ほとんどないと考えられる。 防火戸の納まりの例 2. 建具の四周の軸組との取り合い部の 遮炎性の確保 1.建具自体の 遮炎性の確保 3 . 建 具 が 取 り 付 く 柱 の 座 屈 防 止 43

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①目標とする防火性能 「準防火地域内の建築物の外壁の延焼の恐 れのある部分の開口部に、政令で定める防火設 備を有効に設置すること」を防火改修の目標と する。 ②防火診断・改修の主なポイント 防火診断・改修の主なポイントを表 4.3 に示 す。 建具単体や、建具と軸組・外壁との取り合い 部だけでなく、開口部の防火性能の低下に影響 を与える可能性のある周囲の要素についても あわせて調査・診断・補強を行う。 表4.3 外部開口部の防火診断・改修チェックリスト(抜粋) 項目 要件 ①政令で定める防火戸が設置されていること 但し、開口部を火炎から有効に遮る防火構造の外壁・そで壁・塀等が設置されて いる場合は、上記の防火戸を省略することができる ②防火戸と四周の軸組・外壁との取り合い部について、法令で定める遮炎性能が 確保されていること ③建具が取り付いている柱が座屈変形する可能性がある場合は、座屈防止対策を 施すこと 1.防火戸及び 防火戸と四 周の軸組・ 外壁との 取り合い部 ④防火戸及び取り合い部四周に、防火戸の防火性能低下に影響を与える可能性の ある要素・劣化等が無いこと ①防火戸が設置されている外壁及び周囲の軒裏等が法令上の防火規定に適合してい ること* (*雨戸用戸袋・シャッターボックス裏面の外壁も含む) 2.開口部まわ り ②防火戸の周囲(外壁・軒裏・屋内側、近接建物等)に防火戸の防火性能低下に 影響を与える可能性のある要素がないこと 3. 防 火 戸 と 木製格子と の組み合わ せ ①木製化粧格子の屋内側に防火戸を取り付ける場合は、上記項目 1・2 の要件を 全て満たすこと 4. 防 火 性 と 耐震性等の 両立 ①敷地規模等の制約で建物間口方向の外壁の大半が開口部で構成されている場合 は、地震時にねじれ等による変形を生じ易いため、該当部位に適切な耐震補強を 施す (例1)建物隅角部の開口部を防火構造の耐力壁に改修し、かつ、1・2 階の耐力 壁の位置を一致させる 等 (例 2)建物隅角部の雨戸用木製戸袋の屋内側に防火構造の耐力壁を新設する 等 ②地震時のガラス飛散防止対策が有効に施されていること ③開口部が非常時の安全な避難・救援経路としても有効に機能していること 等

4.3 防火改修のポイント

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表 2.1  準防火地域の木造建築物の延焼の恐れのある部分の外壁の防火規定        法:建築基準法、令:同法施行令  要件 対象  政令で定める  技術的基準  同左基準に適合する構造で、下記の国土交通大臣が定めた構造方法、又は同 大臣の認定を受けたものを用いる     図  解  非損 傷性 ( 耐力壁のみ ) 建築物の周囲で発生する通常火災による火熱が加えられた場合、加熱開始後 30 分間、構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊その他の損傷を 生 じ な い ( 令 第 108 条) 防火構造(法

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