YGR-5041
平成
16 年度
超高効率民間輸送機に関する調査研究
平成
17 年 3 月
ii まえがき 航空機産業は先端技術を駆使し、知識集約的で波及効果が大きく、産業構造の高度 化に有効なため、科学立国を目指す我が国にとって不可欠な産業として、その発展 と高度化には大きな努力が払われている。 そして今後、我が国の航空機産業を発展させていくためには、世界の民間航空機市 場に関する情報を調査し、それらの市場分析を行なうことが不可欠である。 弊協会では航空輸送、航空機材、航空会社、航空機メーカー等の世界の民間航空機 市場に関する情報を収集・調査し、その分析結果に基づき航空旅客や機材の需要動 向予測を実施しているが、今年度は今後発展すると見込まれる超高効率輸送機の需 要予測に焦点を当てて調査・分析を行った。 本書はその分析結果を報告書にまとめたもので、関係者に広く配布すると共に、イ ンターネットのホーページ(http://www.jadc.or.jp)を通じて、この業界関係者の みならず広く一般の用に供しようとするものである。 平成17 年 3 月 (財)日本航空機開発協会 この事業は競輪の補助金を受けて実施したものです。
iii 目 次 1. 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2. 航空業界の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3. エアラインの市場調査 ・・・・・・・・・・・・・・・13 3.1 欧州エアライン調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・13 3.2 米国エアライン調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・17 3.3 アジア/太平洋エアライン調査 ・・・・・・・・・・・21 4. 航空旅客予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 4.1 航空旅客に及ぼす経済活動および航空運賃の影響 ・・・・24 4.2 経済予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 4.3 航空運賃の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 4.4 航空旅客の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 5. 提供座席キロの予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・30 5.1 ロードファクター(座席占有率)の予測 ・・・・・・・30 5.2 地域別提供座席キロの予測 ・・・・・・・・・・・31 5.3 地域別距離帯別提供座席キロの予測 ・・・・・・・・・・32 6. 航空機の需要動向予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・36 6.1 機材の稼働率の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・37 6.2 機材の大型化(平均座席数の推移) ・・・・・・・・・・38 6.3 機材の退役予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 6.4 機材の受注残 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 6.5 保管機材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 6.6 将来機材の想定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 6.7 メーカーの販売力の想定 ・・・・・・・・・・・・・・・46 6.8 小型機市場におけるジェット機シェア ・・・・・・・・・47 6.9 ジェット機の運航機数及び機材需要予測 ・・・・・・・・48 6.10 ターボプロップ機の運航機数及び機材需要予測 ・・・・・54 7. 航空機エンジンの需要予測 ・・・・・・・・・・・・・・59 8. 超高効率民間輸送機の需要分析 ・・・・・・・・・・・・61 9. 予測手法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 10. 添付資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
1 1. 概要 z 2001 年 9 月の米国同時多発テロの影響で減少した世界の航空旅客の回復は鈍く、2003 年 に入っても 3 月のイラク戦争、4 月からは SARS の影響で、特にアジアのエアラインを中心に 旅客が更に低下した。 2004 年になって漸く航空旅客は回復に向かい、2000 年(テロの前 年)を上回って、前年比では 11∼12%増となった。 -50.0% -40.0% -30.0% -20.0% -10.0% 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 2001年1月 2001年7月 2002年1月 2002年7月 2003年1月 2003年7月 2004年1月 2004年7月 米国 欧州 アジア/太平洋 2000年同月からの RPK伸び率(%) 主要地域の月間旅客伸び率 RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)
SARS 2003年4月 米国同時多発テロ 2001年9月 イラク戦争 2003年3月
z このような中で、北米における Southwest や JetBlue、欧州における Ryanair や easyJet のよう な低コスト・エアラインは、低運賃の提供によるシェアの拡大と新路線による市場開拓で旅客 を伸ばしており、アジアや中南米にも広がっている。 これらに対抗して、米国の United や Delta、アジア/太平洋の Singapore や Qantas 等の大手エアラインは、自ら低コスト・エアライ ンを設立して運航しているが、これらによる運賃競争は実質運賃の低下につながり、更に 2004 年からの燃料価格の高騰は、エアラインを業績悪化に追い込んでいる。 z 2000 年まで順調であった世界のエアラインの営業状況は、2001 年の米国同時多発テロ以 降赤字が続いており、2004 年も 37 億ドルの赤字となる見込みで、黒字に転ずるのは旅客回 復後の 2006 年以降とみられている。 地域的には、特に旅客回復が遅く、実質運賃の低い 米国エアラインの業績が悪く、欧州エアラインは、僅かであるが 1998 年以来の黒字になる見 込みで、アジア/太平洋地域のエアラインでは、数社が黒字になっている。 世界のエアラインの営業利益 -2.0 2.3 8.4 14.0 12.3 16.5 15.9 12.3 10.7 -11.8 -4.9 -2.8 -3.7 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 営業利益 (名目10億米ドル)
2 z 航空旅客の成長を支える世界の経済は、テロの影響で 2001 年から 2003 年まで 1.4%、 1.8%、2.5%の低い伸びで推移してその回復は遅く、漸く 2004 年になって 4%に回復した。 今後 20 年の世界の実質 GDP は、過去と同じ年平均伸び率 3.1%を維持する。 z 旅客の伸びに影響を与えるもうひとつのファクターである実質運賃は、今後も年平均 1.3% で低下し、旅客の伸びを支えるであろう。 z 世界の航空旅客輸送量(RPK:有償旅客キロ)は、過去 20 年間年平均 5.4%で伸びてきたが、 今後 20 年間は平均 4.8%で成長し、2024 年には 8 兆 8860 億人キロと 2004 年の 2.6 倍の 旅客規模となる。 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 2623 2395 2994 874 1184 1011 914 370 予 測 実 績 3479 8886 2004年 2024年 1984年 1210 世界の航空旅客予測 有償旅客キロ (10億人・キロ) 年平均伸び率(%) 1985-2004 2005-2024 北米 4.0 4.1 欧州 5.9 4.4 アジア/太平洋 7.9 6.1 その他 4.7 4.4 世界合計 5.4 4.8 世界合計 z 地域別にみると、現在二大市場の北米と欧州は、今後20 年もほぼ過去と同じ年平均伸 び率4.1%および 4.4%を続けるが、世界平均の伸びより低いため、その市場シェアは 北米が35%から 29%へ、欧州が 29%から 26%に縮小する。アジア/太平洋は、中国、 東南アジアの経済発展を背景に、年平均 6.1%と大きな伸びを示し、そのシェアを現在の 26%から 34%へ拡大して、世界最大の市場に成長する。 2004年 1% 3% 7% 4% 4% 2% 4% 35% 29% 11% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 29% 欧州 アジア/太平洋 26% その他 11% 2024年 1% 4% 11% 4% 4% 2% 4% 29% 26% 15% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 27% 欧州 アジア/太平洋 34% その他 10%
3 z 世界の航空輸送供給量(ASK:提供座席キロ)は、ロードファクターが 73%から 76%に上がる ことにより、旅客の成長より若干低い年平均 4.6%で伸び、2024 年には現在の 4 兆 7430 億 席キロから 2.5 倍の 11 兆 6380 億席キロとなる。 z この輸送量を供給するための機材として、現在 14,300 機のジェット機と 3,900 機のターボプ ロップ機が運航されているが、この内ジェット機は今後 20 年間に現在の運航機数の 54%、 7,700 機が退役し(内 80%は細胴機)、ターボプロップ機では 78%の 3,050 機が退役する。 z 20 年後の 2024 年末には、航空輸送の主体を占めるジェット機は現在の 2.2 倍の 31,700 機 となるが、一方ターボプロップ機は、リージョナルジェット機に置換えられて、現在の 43%の 1,700 機に減少する。 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 ジェット機の運航機材構成予測 20-59席機 60-99席機 100-119席機 400席機以上 120-169席機 170-229席機 230-309席機 310-399席機 機数 実 績 予 測 31657 14292 22050 9491 残存機 新規需要 328JET,ERJ135/145,CRJ200 CRJ700/900 717/737-600 A318 ERJ170/190 737-700/800A319/A320 737-900 A310767 A340777 747ADVA380 727-200,737-300/400 A320,MD80/MD90 DC8,707 747 DC10,MD11 L1011 767 727-100,737-100/200/500,TRIDENT,DC9S BAC111,F28/F70/F100,DC9 A321 A300 A330 747 A310 A300 6056 7E7 757 1822 1318 822 1436 6054 2787 1230 567 1241 441 1047 644 640 2923 3819 4063 6430 1824 2764 2725 534 349 282 187 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 サイズ別ジェット機運航機数および需要予測 残存機 新規需要 1822 4241 822 4168 1436 4345 6054 9217 1230 2391 1241 3205 1047 3369 640 721 20-59席 60-99席 100-119席 120-169席 170-229席 230-309席 310-399席 400席以上 合計運航機数 2004年末: 14,292 機 2024年末: 31,657 機 2005-2024年需要機数 25,082 機 広胴機 細胴機 リージョナル・ジェット機
4 z 2005∼2024 年の需要機数は、この間の退役機の代替需要を含めてジェット機が 25,100 機 であるが、この中には 2004 年末における受注残 2,600 機が含まれる。需要機数で最大なの は 120∼169 席クラスで 6,400 機、次いで 100∼119 席の 4,100 機である。又、ターボプロッ プ機の需要は、830 機と少ない。 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 ターボプロップの運航機材構成予測 機数 15-19席機 20-39席機 40-59席機 60席機以上 残存機 新規需要 3914 1694 2691 2926 4401 実 績 予 測 JET STREAM31, DHC6 BE99/MOD1900,METRO,EMB110 JET STREAM41,CN235 SD330/360 SAAB340 748,F27/F50 SAAB2000 DHC8-300 DHC8-300 ATR42 FD328,DHC8-100 EMB-120 FD228, MOD1900 ATR72,DHC8-400 1637 224 945 232 920 212 412 199 64 115 302 346 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 1637 288 945 347 920 514 15-19席 20-39席 40-59席 60-79席 サイズ別ターボプロップ機運航機数および需要予測 機数 合計運航機数 2004年末: 3,914 機 2024年末: 1,694 機 2005-2024年需要機数 827 機 412 545
5 z 地域別には、現在最も運航機数が多い北米がジェット機需要の最大市場(34%、8,600 機) で、次が今後最も成長が見込まれるアジア/太平洋(27%、6,900 機)、その次が欧州(25%、 6,300 機)となる。 2964 1801 1247 563 8570 6335 6881 3296 1811 2771 3754 5956 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 既存機 地域別ジェット機運航機数および需要予測 機数 新規需要 11534 北米 欧州 アジア/太平洋 その他の地域 8136 8128 3859 合計運航機数 2004年末: 14,292 機 2024年末: 31,657 機 2005∼2024年需要機数 25,082 機 z それらの販売高は 2004 年価格で合計 1 兆 2510 億ドルで、最大が 310∼399 席クラスの 3,430 億ドル、次いで 230∼309 席の 2,520 億ドル、120∼169 席の 2,460 億ドルである。又、 ターボプロップ機は、118 億ドルで全体の販売高に占める割合は小さい。 1824 4063 6430 2764 3819 2923 534 2725 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 20-59 60-99 100-119 120-169 170-229 230-309 310-399 400-機材サイズ別ジェット機販売予測 (2005∼2024年) 機数 2004年価格10億米ドル 0 100 200 300 400 500 600 49 99 77 246 87 252 343 97 合計 25,082 機 1兆2510 億米ドル 座席区分(席) 細胴機 広胴機 700
6 z 2005∼2024 年のエンジンの販売基数は、ジェットが 62,300 基、ターボプロップが 1,700 基で、 合計 64,000 基となる。これを 2004 年価格の売上高で示すと、ジェットが 3,400 億ドル、ター ボプロップが 10 億ドルで、合計 3,410 億ドルとなる。 z エンジン市場で最も需要が大きいのは、A320 や 737 シリーズに搭載されている 12,000∼ 35,000 Lb クラスで、エンジン基数で 47%(30,200 基)、売上高でも 44%(1,510 億ドル)を占 める。 15508 7241 9334 30239 1654 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 T/P <12 12-35 35-65 65-100 A330/A380 B777/B747ADV A300/A310/A340 A350 B747/B757/B767 B787 A318/A319/A320 A321/A340 B757/B767/B737 328JET CRJ-200/700/900 EMB135/145/170/190 1900, ATR42/ 72 DHC- 8 航空機エンジンの需要予測 (2005∼2024年) エンジン基数 エンジン基数 エンジン基数 売上高 (10億ドル) ターボプロップ 1,654 1 ジェット 62,322 340 合 計 63,976 341 0 25 1 47 151 70 72 50 75 100 125 売上高 売上高 (10億ドル) 推力 (×1000 lbs) 150 200 z B767 と A300/A310/A330 の後継機で、燃費等の効率性を追求した超高効率民間輸送 機B787/ A350 の対象となる市場は、230∼309 席クラスで、今後 20 年間で 2,800 機、 B787 が出現後の 2008 年∼2024 年の 17 年間では 2,600 機となる。そこで、ボーイ ング社とエアバス社の販売力はほぼ互角で、機体性能もそれほど差がないとすれば、 B787 と A350 でそれを二分することになろう。 1241 441 1047 640 2764 2725 534 644 187 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 2004 2024 2004 2024 2004 2024 超高効率民間輸送機の対象市場 残存機 新規需要 3205 3369 721 230-309席 310-399席 400席以上 2008∼2024年: 17年間 (B787の出現以降) 2,600機 機数 広胴ジェット機の市場 (2005∼2024年)
7 2. 航空業界の状況 2001 年 9 月の米国同時多発テロの影響で減少した世界の航空旅客は、2002 年には殆ど 回復せず、2003 年に入っても 3 月のイラク戦争、4 月からは SARS の影響により、特にアジア のエアラインを中心に旅客が低下し、世界全体では旅客が伸びなかった。 2004 年になっ て漸く航空旅客は回復に向かい、2000 年(テロの前年)の水準に達し、前年比では、11∼ 12%増となった。 世界の航空旅客輸送の推移 100 1,000 10,000 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 暦 年 出典:ICAO定期/不定期運航 有償旅客キロ(10億) 2004年 世界合計 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 3,479 370 914 1,011 1,184 137 182 306 1,210 503 年平均伸び率 1985-1989 1990-1994 1995-1999 2000-2004 北米 7.5% 2.7% 5.0% 0.9% 欧州 8.1% 7.3% 6.5% 1.6% アジア/太平洋 8.4% 9.5% 7.5% 6.4% その他 4.2% 5.5% 4.7% 4.6% 世界合計 7.4% 5.6% 6.0% 2.8% 1984年 世界合計 最も旅客の回復が鈍かった北米エアラインの月間旅客の推移は、2001 年のテロ以降 2000 年の水準まで戻らなかったが、2004 年になって、ようやくその水準を越え始めている。 欧州エアラインでは、北米より回復が早く、2003 年 11 月以降、旅客が 2000 年レベルを超 えている。 アジア/太平洋のエアラインでは、テロの影響は上記 2 地域より少なかったが、2003 年の SARS の影響は、イラク戦争より大きく、同年 5 月の旅客は、前年を 50%近く下回った。しかし、 その回復は早く、9 月にはほ 2000 年規模に戻って、2004 年は順調な伸びを示している。
8 -50.0% -40.0% -30.0% -20.0% -10.0% 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 2001年1月 2001年7月 2002年1月 2002年7月 2003年1月 2003年7月 2004年1月 2004年7月 米国 欧州 アジア/太平洋 2000年同月からの RPK伸び率(%) 主要地域の月間旅客伸び率
RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)
SARS 2003年4月 米国同時多発テロ 2001年9月 イラク戦争 2003年3月
このような中で、北米における Southwest や JetBlue、欧州における Ryanair や easyJet のよ うな低コスト・エアラインは、低運賃の提供によるシェアの拡大と新路線による市場開拓で旅 客を伸ばしており、アジアや中南米にも広がっている。 これらに対抗して米国の Delta や United、アジア/太平洋地域の Singapore や Qantas 等の大手エアラインは、自ら低コスト・エ アラインを設立し運航しているが、これらによる運賃競争は実質運賃の低下につながり、更 に 2004 年からの燃料価格の高騰は、エアラインの業績を圧迫している。 平均原油価格とジェット燃料価格 $0 $10 $20 $30 $40 $50 $60 Jan-86 Jan-87 Jan-88 Jan-89 Jan-90 Jan-91 Jan-92 Jan-93 Jan-94 Jan-95 Jan-96 Jan-97 Jan-98 Jan-99 Jan-00 Jan-01 Jan-02 Jan-03 Jan-04 Jan-05 C rude O il : S p ot P ri c e per B a rr el 40¢ 60¢ 80¢ 100¢ 120¢ 140¢ 160¢ J e t F uel : P ric e P a id p e r G a llo n
9 世界のエアラインの営業利益は、2000 年まで米国エアラインの好調により 8 年間黒字を継続し ていたが、米国同時多発テロがあった 2001 年以降赤字が続いており、2004 年も 37 億ドルの赤 字となる見込みで、黒字に転ずるのは旅客回復後の 2006 年以降とみられている。 地域的には、 特に旅客回復が遅く、実質運賃の低い米国エアラインの業績が悪く、欧州エアラインは、僅かで あるが 1998 年以来の黒字となる見込みであり、アジア/太平洋のエアラインでは、数社が黒字に なっている。 世界のエアラインの営業利益 -2.0 2.3 8.4 14.0 12.3 16.5 15.9 12.3 10.7 -11.8 -4.9 -2.8 -3.7 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 営業利益 (名目10億米ドル)
世界的なエアライン提携(Global Alliance)では、Air France と KLM の合併したことにより KLM/Northwest Alliance は Air France の”Skyteam”に参入し、2005 年 3 月に Swiss を合併 することにした Luftansa の"Star"、British AW の"oneworld"の 3 グループに集約された。 これらのグループには世界の主要 37 社が含まれ、2003 年の旅客数および売上高は世界の 半分を占めている。
ALLIANCE名 エアライン地域 (結成)
北米 UNITED AMERICAN DELTA
AIR CANADA NORTHWEST(04年9月)
US AIRWAYS(04年3月) CONTINENTAL(04年9月)
中南米 VARIG(97年10月) LANCHILE(00年6月) AEROMEXICO(99年9月)
欧州 LUFTHANSA BRITISH AW AIR FRANCE
SAS(97年5月) IBERIA(99年9月) KLM(04年9月)
AUSTRIAN(00年3月) FINNAIR(99年9月) CSA(01年3月)
BMI(00年7月) AER LINGUS(00年6月) ALITALIA(01年7月)
LOT(03年10月) AEROFLOT(05年)*
VIRGIN ATLANTIC* Air Malta*
SPANAIR(03年4月)
BRAATHENS*
TAP AIR PORTUGAL(04年6月) Blue 1(04年6月)
CROATIA AL(04年12月) ADRIA AW(04年12月)
中東/アフリカ SOUTH AFRICA(04年6月) ROYALl AIR MAROC*
アジア/太平洋 SINGAPORE(00年4月) QANTAS KOREAN AIR(00年7月)
ANA(99年10月) CATHAY PACIFIC
THAI AIRWAYS(97年5月) AIR NEW ZEALAND(99年3月) ASIANA(03年2月) AIR CHINA* * : 準会員 2003年 ALLIANCE計 RPK(10億) (World Share) 670 (22%) 485 (16%) 606 (20%) 旅客数(百万) (W.S) 305 (18%) 205 (12%) 294 (18%) 売上高 (10億ドル) (W.S) 77.8 (25%) 46.9 (15%) 61 (19%) SKYTEAM 9社(1999年9月) STAR ALLIANCE 20社(1997年5月) ONEWORLD 8社(1998年9月)
10
また、中国では 2000 年以降エアラインのグループ化が進み、旧 CAAC から分割され、再 編された主要 3 グループに加え、Cathay を除けば Shaghai AL グループと Hainan AL グル ープの 5 グループとなっている。 また、2005 年になって、公共性の高い航空輸送事業を奨 励する政策により、OK 航空等の民間エアラインの設立が続いている。
グループ Fourth Group(3 Airlines) Fifth Group(5 Airlines)
主要
エアライン Air China China Eastern AL (CEA)
China Southern AL (CSA) Shanghai AL (上海ベース) Hainan AL*3 (Haikou ベース)
親会社 China National Aviation Corp.Holding (CNAC) Eastern Air Group China Southern AirHolding Co. *7 Enterprises(CSAEG)China Sky Aviation
傘下の Air China Southwest China Eastern Xibei China Southern AL China Postal AL Changan AL
エアライン (Air China 100%) (CEA100%) Norhtern (CSA100%) (CSAEG51%) (Hainan 75%)
Air China Cargo (CA 51%) China Yunnan AL China Southern AL Shandong AL China Xinhua AL
(Air China 51%) (CEA100%) Xinjian AL(CSA100%) (Hainan 100%)
Air China Zhejian China Eastern AL Wuhan China Southern Shanxi AL
(Air China 100%) (CEA40%) Zhuhai (CSA60%) (Hainan 100%)
Air Macau (CNAC51%) China Cargo AL(CEA55%) Guangxi AL (CSA60%) Yangtze River
Dragonair (CNAC43%) Shantou AL (CSA60%) Express (Hainan 85%)
Shenzhen AL (CNAC100%) Sichuan AL (CSA39%)
Xiamen AL (CSA60%)
保有機数 216 147 249 61 84
CAAC 3 Divisions (20 Airlines)
この他の航空業界の動向として、米国での Scope Clause の緩和が挙げられる。 Scope Clause は、メインライン(大手本体)の Plilot が、自分達の職場を守るためにリージョナルライ ン(フィーダー)が低コストで運航するリージョナル・ジェット機の運航機数を制限するもので あるが、エアラインが生き残るためにはコスト削減が必要で、Plilot は破産かコスト削減かを迫 られ、各社で Scope Clause の緩和が進んでいる。
11 Major Airlines Regional Partner 制限項目 American 機材サイズ: ・上限70席 American Eagle 運航機数: ・50席、70席合計で最大67機 ・最大でメインラインの細胴機数 Chautauqua ・70席以下は最大45機 の110%まで可能(実質無制限) Trans States ・50席以下は制限なし。 Business Express ・45席以下は制限なし 路線網: ・平均距離550nm以下 Continental 機材サイズ: ・上限60席 ・ExpressJetは制限無し。 ExpressJet 運航機数: ・59席以下は制限なし ・その他は59席までしか運航で Skywest きない。 Gulfstream Int'l Delta 機材サイズ: ・上限70席 ・70席機の導入
ASA(Atlantic Southeast) (ASAのRJ85x20機は例外) 2005∼2009年
Comair 運航機数: ・70席以下は制限なし 82/106/125/125/125機
Skywest ・70席は最大57機 合計500機以上
Business Express (子会社のASAとComairのみで両
Trans States 社はDeltaで解雇されたPilotを受
入れることが条件) Northwest 機材サイズ: Mesaba 運航機数: ・45席以下は制限なし ・50席以下は制限なし Pinnacle ・45∼55席は機数制限 ・70席機は交渉中。 Business Express (計算式による) Trans State (RJ85x36機は例外) United 機材サイズ: ・上限70席 Skywest 運航機数: ・広胴機1機追加でRJx5機追加 ・50席以下は制限なし。 Air Wisconsin ・細胴機1機追加でRJx3機追加 ・70席は52機発注済み。 Trans States ・ターボプロップ機の代替で150 Great Lakes 機まで(RJ85は例外) ・50席以下(最大65機) (American Eagleのみ) Scope Clause 従来 (2003年A/L調査まで) 現在 機材受注においては、2001 年テロ後の旅客激減とエアラインの経営不振で大手メーカー (エアバス、ボーイング)の年間受注数は、それまでの 1000 機台から 2004 年には 650 機に 減少した。2004 年の受注の大半を占めるのは、好調な低コストエアラインによるもので、機材 は A320、737 ファミリーである。 そして、2001 年以降、年間受注機数でエアバスがボーイン グを上回り、市場占有率を拡大している。 このような状況で、ボーイングは 2004 年 4 月全日 空から 50 機の受注を得て B767 の後継機となる B787(B7E7)をローンチし、エアバスも昨年 12 月に対抗機種の A350 のエアラインへの提案を開始した。 一方、100 席以下の CRJ や ERJ 等のリージョナル・ジェット機は、旅客がジェット機を好むこ とから、欧州、米国のリージョナル・エアラインでターボプロップ機の代替や新規路線の開拓 のための需要が続き、1997 年から毎年 300 機以上を受注し続け、2000 年には 630 機を記 録した。2002 年にはテロ後の輸送容量削減の影響を受けて 130 機に減少したが、2003 年は 再び米国エアラインにおける Scope Clause の緩和もあって 70∼90 席を中心に 270 機に、 2004 年には 330 機に受注が増加した。
このような状況下で、BAe は撤退、Fairchild Dornier 社は倒産し、その 328JET 部門は 2002 年に米国の AvCraft に売却され、型式証明取得テスト直前だった 728JET は中国への売却 が決まったが、AvCraft は倒産の危機、728Jet もその後進展がない。
この他の動向としては、中国の ARJ21(80∼100 席ジェット)およびロシアの RRJ(60∼100 席 ジェット)の開発が決定され、特に ARJ21 は、中国の大きな国内市場の需要を満たす機材と して採用されることが見込まれる。 又 2005 年になって、Bombardier が新 100 席クラスの
12 C-Series(C110 および C130)のエアラインへの提案を決定し、年内にローンチする予定とな っている。 512 481 468 855 698 539 279 254 286 123 430 695 535 611 377 603 319 250 250 277 115 108 109 152 249 195 87 125 36 131 81 285 400 443 379 479 419 351 331 370 0 0 0 0 0 13 21 0 28 28 45 37 163 205 163 215 221 52 68 165 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2 35 117 139 129 391 77 76 189 134 69 57 27 41 131 49 27 22 46 58 75 26 32 13 63 23 13 0 17 27 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 1985 1990 1995 2000 その他 Embraer Bombardier Airbus Boeing ジェット機の受注機数変遷 機数 696 646 604 1048 1078 796 414 401 396 343 633 1078 1247 1411 1111 1711 1049 729 855 973
13 3. エアラインの市場調査 民間航空機の需要動向を調査するため、世界の主な市場である欧州、北米およびアジア/ 太平洋地域の主要エアライン/メーカーを訪問し、航空業界の状況、将来動向および機材 について現地調査を行った。 3.1 欧州エアライン調査 (2004 年 9 月 実施) 3.1.1 訪問先 Lufthansa(LH) フランクフルト、ドイツ Iberia(IB) マドリッド、スペイン Finnair(AY) ヘルシンキ、フィンランド LOT(LO) ワルシャワ、ポーランド Austrian Airlines(OS) ウイーン、オーストリア Alitalia(AZ) ローマ、イタリア Rolls Royce(RR) ダービー、英国 Air France(AF) パリ、フランス British Airways(BA) ロンドン、英国 Virgin Atlantic Airways(VS)ロンドン、英国
3.1.2 欧州航空業界全般
z 2001 年 9 月 11 日の同時多発テロ以降、イラク戦争、SARS の影響で旅客が減少していたが、 漸く旅客が回復して 2000 年レベルを超え、各エアラインの旅客の伸びの将来見通しも年平均 5∼7%と楽観的である。しかし、旅客が伸びても LCC(Low Cost Carrier)との運賃競争が激し く、Yield(収入単価=運賃)は下がり続けており、収入増加は今後1∼2 年は期待できない。 各社ともコスト削減等のリストラを行って対応しているが、その度合いにより各社経営状況の回 復には多少差がある。(2003 年黒字:AF、BA、IB、OS、VS、赤字:AY、AZ 、LH、LO) z 一方、LCC(Low Cost Carrier)は、大手エアラインの約半額の低運賃を提供して、高需要路線
やレジャー路線を運航して成長を続けているが、チャーターエアラインから LCC に移ったエア ラインもあり、ややオーバー・キャパシティーぎみになっている。競争も激しく、現在の LCC の すべては、将来生き残れないであろうという見方もある。
z 大手エアラインは、合併、提携による再編で Oneworld(BA、IB、AY)、Star Alliance(LH、SAS、 OS、LO)、Skyteam(Air France、KL、AZ)3 つのグループに分けられる。Oneworld は柔軟性 があり、傘下のエアラインが他のグループエアラインとコードシェア等の提携することを禁止し てはいない(AY)。現在、提携エアラインでの機材共同発注(Star)や、機材仕様の統一 (Oneworld)が検討されている。
z 欧州における騒音や排気ガス等の環境問題は、各空港で基準が設けられているが、欧州全 体としても検討されている。
14
欧州主要エアラインの提携 欧州の Low Cost Carrier
3.1.3 リージョナル機 z ターボプロップは短距離路線や滑走路長が短い地方空港路線で運航されているが、RJ (Regional Jet)より経済性に優れているため、競合の少ない路線ではまだ使用される。(AY、 LO) z 30 席 RJ は、経済的に非効率で必要ない。(AF、AZ、OS) z 欧州では RJ の最小サイズとされている 50 席 RJ(CRJ200、ERJ145)の市場拡大は、ピークが過 ぎたと見るエアラインが多い(AF、LO、OS、RR)。現在のこのクラスは手荷物が十分に持込め ず、2012 年以降に(RR)これを解決できる代替機材を望んでいる。 z 70 席機は、CRJ-200 をストレッチした CRJ-700 と最新の Embraer170 があるが、CRJ-700 は古 い技術の機体で胴体が細いため、Embraer170 の評価の方が高く、今回訪問した中では、既 に運航しているエアライン(AZ、LO)、発注しているエアライン(AY)がある。
z 欧州の Scope Clause は、従来から米国ほど厳しくないが、緩む方向である。(AY;110 席、IB: 現在 70 席、将来 100 席目標、AF:100 席)
3.1.4 100 席機
z B737 と A320 ファミリー(120∼180 席機)の下をカバーする機体として、経済性の良いファミリ ーを望んでおり、Star Alliance では共同発注を検討している。このクラスとしては、A318、717 および Embraer190/195(開発中)、Bombardier C-Series(提案中)があるが、Embraer が現実 的で比較的評判が良い(AY、LO、OS)。 Bombardier の C-Sries は航続距離が長いため欧州 エアライン用には最適化されていないので評判が良くない(LH)。
z 日本提案の 100 席機は 100 席で最適化されたコンセプトは良いが、出現時期が 2010 年なの に、エンジン等が決まっておらず、Paper Plane の印象が強い(AF)。各社の新型 100 席機へ の要求は下記のとおり。
15 巡航速度: M0.80(LH:燃費増加とのトレード) 航続距離: 1,200∼1,500nm(LH)、1,500nm(AF、AZ)、 2,000nm(AY、BA、IB)、OK(OS)、 客 室: 座席幅 18 インチ、通路幅 20 インチ、横 5 席配置で問題なし サイズ: -09ER(AY)、-08(BA)、
Family: Family は 20 席間隔(BA)、-07 で最適化設計(LH)、胴体短縮型機は一般 に良くない(LH、IB、AY、AF)
出現時期: 2010 年では遅い(AY、IB)、OK(OS、AZ、BA)
コンテナ: 必要ない(AF、AZ、LO)、必要(BA)、YPX09 では必要(IB) そ の 他: Overhead bin の容量大きく(AF、OS、BA)、
車椅子対応ラバトリーは欧州では標準装備(AF、AZ、BA) 3.1.5 200−250 席機 z 多くのエアラインが 7E7 に興味を示し、検討しているが、まだ機体更新には時間があり、性能 もボーイングのいう値が達成できるか疑問視しており(LH)、エアバスも新型機を提案している こともあり、はっきりするまで様子を見ようというところが多かった(IB、AY、OS、AZ、AF、BA、 VS)。 z その中で全日空がオーダーしたことに驚いていた(OS)。 z 複合材胴体に多少不安を持っているエアラインもある(AF)。 z ロールスロイスは 7E7 用エンジン Trent 1000 の開発が順調に進んでいるとのこと。 3.1.6 300−400 席機 z B777 は、AF、BA、OS および AZ が既に運航しており、AY は MD-11 の代替として検討中。 A340 も好調で、IB が 747 の代替機として発注、VS も現在運航している-300 に加え-600 型を 長距離路線主力機として発注。 3.1.7 超大型機 z A380 は AF、LH と VS が発注しており、大型機による座席当りのコスト優位性を期待している。 z AF は東京、ニューヨーク、モントリオール、ロスアンジェルス便に、LH はロス、ニューヨーク、シ ンガポール便に、VS はロスアンジェルス空港のゲートとインテリアの問題で、2008 年に納入を 遅らせた。 A380 は、A340 と同じ Pilot Rating。B747-400 よりコスト減、エンジン性能および座 席数 40∼50 席アップ、B7E7 との Pilot Rating を含めたコモナリティー等を持たせた B747 Advanced は、BA(2010 年から必要)と LH が興味を持っているが、LH は本当に出来るのか疑 問を持っている。
3.1.8 超高速機および超音速機
z 各エアラインとも状態が良くない中では、このような将来機についてはどこも積極的な意見は ない。しかし、否定的な意見は少なく、マッハ 1.6 の速度については大西洋 1 日 2 往復の生産
16 性を含め納得してもらえた(AY、AZ、VS)。 z また、運賃 30%アップもほぼ肯定的であった(AZ、BA、VS)。 z 陸上飛行が長いルートを要するエアラインでは、ソニックブームを下げて、陸上でも超音速で 飛べるようにしてほしいとの要望があった(IB、AZ)。 3.1.8 メーカー調査(ロールスロイス−RR)
z Trent ファミリーは、新広胴機の 55%のシェアを占めており、7E7 用の Trent1000(52,000∼ 70,000lb)は 5 番目のシリーズで 7E7 の全ファミリーをカバーする。派生型なので新技術も加え て Trent800 より燃費で 4%良く、信頼性も更に向上している。開発は、スケジュールどおりに 進んでいる。 z RR としては、将来の出現機材にあわせてそれに適合するエンジンを開発している計画である。 したがって、MJet にもエンジンデータを提供しているし、YPX へもエンジンデータを提供するこ とが出来る。後日、担当者がコンタクトしたいとのことであった。 z RR は、エンジンメーカーとして市場予測を行っているので、お互いの予測を説明し、意見交 換を行った。 RR の最新の予測は、9 月中旬にツールーズで行われた Speed News の Forum で発表されたもので、今年 2 月に発表された予測を一部更新させたものである。JADC の 2004 年予測と比較すると、旅客予測はほぼ同じであるが、今後 20 年間のデリバリー予測で、総数 で 16%多い 27700 機となっており、サイズ別では 90 席以下のリージョナル・ジェットと 130-180 席が多いが、110 席は少ない。 又、広胴機では、空港混雑による大型化を想定して、 300-350 席はほぼ同じで、200-250 席が少なく、400 席以上が多くなっている。 3.1.9 調査結果概括 今回の調査では、西欧のナショナル・キャリアー8 社(BA、LH、AF、IB、AZ、OS、AY)に加え、 東欧のナショナル・キャリアー1 社(LO)、ブランド志向の独立エアライン(VS)とエンジン・メーカ ー1 社(RR)の調査を行ったが、大勢としてターボプロップは、競合のない短距離路線で使用さ れ、リージョナル・ジェットの 50 席は減少の方向で、経済性の良い新 70 席の Embraer170 が導 入され始めている。 100 席クラスは、B737 シリーズと A320 シリーズの下に位置する機材として求められているが、 Embraer190 が現実的で、Bombardier の C-Series は、財政上開発が難しいと考えるエアライン が多く、YPX もまだ Paper Plane という感覚が強い。
200−300 席クラスは、経済性の高い新型機の 7E7 が期待され、興味を持っているが、経営 状況もまだ回復していないこともあって、すぐに発注しそうなエアラインはなかった。
M1.6 の超音速機は運航時間短縮の効果があり、将来機としては興味がもたれているが、コ ストとソニックブームが課題。
17 3.2 北米エアライン調査 (2004 年 11 月 実施) 3.2.1 訪問先 United Airlines(UA) シカゴ、米国 Air Canada(AC) モントリオール、カナダ GE(GE) シンシナチ、米国 Northwest Airlines(NW) ミネアポリス、米国 American Airlines(AA) ダラス、米国 ExpressJet(BTA) ヒューストン、米国 3.2.2 北米航空業界全般 3.2.2.1 米メジャー・エアラインおよびエアカナダ 北米の航空旅客輸送量は 2001 年 9 月 11 日のテロ以前のレベルにほぼ戻ったが、プライス・ リーダーの LCC(Low Cost Carrier)との競合で、高運賃のビジネス客が LCC を利用するように なり、北米エアラインのイールド(収入単価=平均運賃)は低下し続けている。又、燃料価格の 高騰(原油価格で 2003 年:$30/バーレル→2004 年 9 月:$50/バーレル)は、財政状況を圧 迫し、破産保護下の更なる経費節減策(UA、US Airways)や、破産保護の検討(AA、Delta)を 行なっている。このような状況から、2004 年 10 月に破産保護下から脱出し、低コストにリストラし た AC 以外の米メジャー・エアラインは、新たな投資となる機材の新規発注は難しい状況にあ る。
北米メジャー・エアラインと LCC (Low Cost Carrier)
3.2.2.2 低コスト・エアライン
米国 LCC の Southwest、JetBlue、AirTran 等と同様、カナダにおいても WestJet 等の LCC が そのシェアを拡大している。
18
LCC は、100∼150 席機の単一機材で Point-to-Point を高頻度で運航することにより、稼働 率をあげ整備費や訓練費をはじめとするコストを低く抑えている。ただ、Point to Point といって も路線が多くなればコネクションも必要になり、Southwest の一部はハブ的運航になっている。 JetBlue は現有の A320 に加え、2005 年から 100 席クラスのリージョナル・ジェット Embraer190 の導入を決めている。
2003 年末、United Express の Atlantic Coast は、United からのコスト削減要求に反発して United との関係を解消し、LCC の Independence Air として運航を開始したが、独立して 50 席リ ージョナル・ジェットの運航で利益を出すのは難しく、2005 年始めには破産に追込まれるので はないかといわれている。 3.2.2.3 リージョナル・エアライン メインライン (メジャー本体)のハブへのフィーダー路線を運航するリージョナル・エアラインは、 2004 年の旅客の伸びが 15∼60%と好調で、メインラインの不調を背景にスコープ・クローズが 緩められて 50 席ジェットは制限なしとなり、制限はあるものの経済性の良い 70 席ジェットの導入 を進めている。 スコープ・クローズはメインラインとそのパイロット・ユニオンとの労働協約の一部で、パートナ ーのリージョナル・エアラインで使用する機材のサイズと機数の範囲を定めているが、ここ 1∼2 年の間に次のように緩和されている。 AA はこれまで 50 席以上が 67 機までに制限されていたが、2003 年 4 月の協約改訂では、50 席以下は制限なしで、子会社の American Eagle のみ 70 席機が 45 機までとなった。NW も 50 席機以下の制限がなくなり、現在 110 機の 50 席機に 40 機追加する予定で、70 席機は交渉中。 UA も昨年再交渉を行い、50 席機まで制限なしとなり、70 席機は 52 機発注済み。なお、 CO(Continental )/ BTA では、現在 50 席以下の機材しか運航していないが制限がなく、どんな 機材でも運航できるとのこと。 3.2.3 機材について 3.2.3.1 リージョナル機 スコープ・クローズの緩和で、今後の導入は最小機材が 50 席で、より経済性の良い 70 席機、 90 席機へ移りつつある。
UA、AA は CRJ700 を運航、AC は CRJ700 と EMB170/190 を発注、NW は RJ85(69 席)に加 え新 70 席機(EMB170 が有力)を検討中。BTA では 70 席導入の制限はないが、現状の 50 席 機(EMB145)のリース期間がまだ 5 年あるので現状維持。 3.2.3.2 100 席機 各エアラインに対し、日本で開発を検討している 100 席機の説明を行った。100 席機の導入の タイミングは、リージョナル機と 150 席機のギャップを埋めるために今すぐ 100 席が必要(DL)、 DC-9 のリプレースとして 100 席機を 5 年以内に決定(NW)というエアラインと、現有機材の更新 時期(2010 年代中頃)が来たら検討するというエアライン(CO、AA)に分かれる。ただし、その頃 にはエアバスやボーイングの次世代機と競合するのではという指摘もあった(CO)。
19 リージョナル・エアラインはスコープ・クローズがあり、未だ現実のものとは考えていない。 3.2.3.3 200-250 席機(7E7) 200∼250 席クラスの 767 を運航するエアラインは 7E7 をその代替と位置づけてい るが、各社の導入時期が2010 年以降のため時間的にまだ余裕があり、競合機の A350 との比較もしたいとのことで、今回訪問したエアラインの中では今年中に発注するエ アラインはないと思われる。 AC は、767 で運航できない長距離路線用主体(−8、−9)に、短距離用(−3)も 含めて検討中。 NW は DC-10 と 747-200 のリプレースとして検討中。A330 を運航しているので、 その派生型のA350 選択の可能性も高い。 UA は、現在破産保護下にあり、すぐに導入する計画はないが、−3 と−8 に興味あ り。 複合材の多用については、各社ともBoeing の実演説明で、リペアやインスペクショ ンに満足している印象を受けた。ただし、油圧が従来の3000psi から 6000psi に上が っているので、それによる不具合増加の可能性が指摘された。 3.2.3.5 超大型機 A380 は、ハブ空港間の路線用で、成田の便数が更に制限されるとか、新ハブを設け るとなれば可能性があるが必要機数は少なく、導入したエアラインがどのように運航す るか、又Airbus がどのようにサポートするかを見極めて対応したい (NW)。他のエア ラインでも、A380 を導入する程の市場はなく 747 で十分(UA)など、米国エアラインに は大きすぎるということで一致している。 3.2.3.4 超高速機 今回、日本で検討中の3 クラス 250 席、巡航速度 Mach 1.6、航続距離 6000NM の超 音速機を説明したが、ソニックブームや騒音の問題(GE)はあるものの、スピードに は興味を示している。 そのなかで、ニューヨーク−パリで4 時間となるとメンテナンスの時間を入れると一 日2 便は運航できない(UA)、もっと長距離の 8000NM 位の方がエキサイティング(AC)、 長期的な研究になるであろう(NW)との意見であった。 時間節減に対するプレミアム運賃は、多少取れる(AA)、15∼20%位まで(AC)、又、 ビジネスのみの専用サービスとなろう(NW)。
座席:First・Business は Flat Seat が必要(AA)。ピッチは、First:80 インチ(AC)、 50 インチ以上(UA)、Business:60 インチ以上(AC、NW)、50 インチ弱(UA)、 Economy:32 インチ(AC)。
3.2.4 エンジンメーカの見通し(GE)
3.2.4.1 市場予測
20 客予測は、GDP のみで予測をし、今後 20 年間では年平均 4.2%(JADC:5.0%)と保 守的見方をしている。 今後20 年間の納入機数予測は合計 22,500 機(JADC:24,000 機)で、旅客の伸びが 低い分少なめとなっている。サイズ別には、JADC、Boeing の予測に近く、Airbus のよ うな超大型機が多くなる予測にはなっていない。 3.2.4.2 エンジン開発状況 30 席から 120 席までのリージョナル・ジェット機用のエンジンは、CF34−3 (9000LB:ERJ145、CRJ200)、−8(14500LB:CRJ700)、−10(20000LB:ERJ175/195、 ARJ21)で対応する。 100∼200 席 Narrowbody 機(A320、737 ファミリー)の後継機用エンジンとしては、 CFM56-5/-7 の派生型で対応し、EIS(Enter In Service)は 2012 年で、Operating Cost で12%減がターゲット。
GEnx は、Composite を適用した Fan Blade(Wide Code Design)、Fan Case で軽量化、 タービン効率を向上させ、それを装備した7E7 は 767-300ER より燃費が 20%向上する。 Boeing の Fragmentation の説明のように、中型 Widebody 機の市場が大きく、GE はこ のクラスで50%以上のシェアを獲得する見込み。 GEnx エンジンが採用される機材(7E7、 A350)予測は、2008-2027 年の 20 年間で 2320 機、内 SR 用 520 機、LR 用 1800 機とな っている。
21 3.3 アジア・豪州エアライン調査 (2005 年 2 月 実施) 3.3.1 訪問先 中華航空 (CI) 台北、台湾 マレーシア航空(MH) クアラルンプール、マレーシア キャセイ・パシフィック航空(CX) 香港、中国 バリューエア(VF) シンガポール シンガポール航空(SQ) シンガポール カンタス航空(QF) シドニー 3.3.2 アジア航空業界全般 2003 年前半の SARS 及びイラク戦争により、アジア地域の航空旅客輸送は大幅に落ち込 んだが、現在ではほぼ完全に回復している。昨年 12 月のインド洋大津波により一部路線で 減便や運休に追い込まれ、回復に 3 ヶ月掛かると見ているエアライン(CI)もあるが、その他 のエアラインの多くは、被害地域が限られているため、影響は少なかったとしている。 将来的には各社は、航空旅客の大きな伸びが見込める中国、インドへの路線増強を目指し ており、今後の旅客の伸びは 4∼5%と見ているが、中国路線次第では 8%位になると見てい るところもある(CX)。 好調な旅客輸送を背景に、昨期は各社の業績も好調であったが、唯一、燃料価格の高騰 が懸念材料である。
アジア/太平洋地域の LCC (Low Cost Carrier)
3.3.3
格安航空会社アジア・オセアニア地域では、米・欧に次いで、Virgin Blue(オーストラリア)、Lion Air(イン ドネシア)、Air Asia(マレーシア)など、格安航空会社(LCC:Low Cost Carrier)が出現し、こ
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れに対抗して大手エアラインの QFが Jetstar、Jetstar Asia(シンガポール)、SQが Tiger Airways など子会社の LCC を設立し昨年から運航を開始している。ただ、同じく大手の CI は本体自体が低コストのフル・サービスエアラインを目指し、また、MHは LCC とはマーケット が異なり影響は余り受けていないので自ら LCC を運航する考えは今のところない。 アジア・オセアニアの LCC は、単一機材、No-frill、セカンダリー空港からの Point-to-Point 運航等の欧米のビジネス・モデルを範としているが、アジアでは欧米に比べセカンダリー空 港が未熟なこと、路線距離が長いことにより、VFの様にハブ空港(シンガポール)を拠点とし て、ミール・サービスを行い、シートピッチを広げて(32”)長時間飛行での快適性をアピール するなど差別化を図っているところもある。 3.3.3 100 席機 訪問各社に対し、日本提案の 100 席機の説明を行った。各社とも 100 席機に興味を示し、内 3 社(CI、MH、QF)が現有機材を 70∼120 席クラスのジェットで代替する計画があり Embarer 170/190/195、Bombardier CSeries などを候補として検討中であるが、いずれも現段階では1 ∼3 年内に機種の選定を計画しており、2010 年納入予定の新 100 席機は間に合わない状況 である。 また、2 社からは、経済的に優れた機体であれば前向きに検討するとのコメントがあ った。 3.3.4 200-300 席クラス z ボーイングは 2002 年 12 月に 200∼300 席クラスの超高効率機 7E7 の開発計画を発表し、 2004 年 4 月に全日空からの発注を得てローンチした。今回調査の直前には中国からの受注 を機に正式名称を 787 に決定したことを発表した。 z 一方、エアバスは 787 と同じエンジンを搭載する A330 の派生型を発表し、787 に対抗してい る。 z 今回調査したエアラインで 787 に興味を示したところでは、共通して 787 の長距離型(CI、CX、 VF)であるが、サイズについては、余り大きくない(CX)及びストレッチ型(CI)に別れる。また、 A350 や 787 についての詳細データについては未だ貰っていないというエアライン(MH、SQ、 QF)が多かった。なお、この中で MH、QFは A330 の運航エアラインである。 3.3.5 超大型機
MH、SQ、QF が A380 をオーダーしており、SIA は来年世界で最初に A380 を運航するエアラ インとなるが、その仕様は3クラスで 480 席以下になること以外、未だ公表できないとのこと。 QF も来年から運航するがこちらは 520 席、二階前方と後方にラウンジを持つとのこと。MH も 500 席以下にする予定だが、就航に未だ2年あるので、特別な仕様は未だ決めていないとの ことであった。 3.3.6 超高速機 z 各社とも共通したコメントは経済的に成立することが重要とのこと、運賃割増は+30%程度(CI) というところもあった。サイズは 300 席(CI)とか、レンジは米国西海岸まで直行出来る
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7,000(nm)以上を求めるエアラインが数社(CI、VF、SQ)あった。
z また、ビジネス客をターゲットにするならば、SIN−NYC 線が良いというエアラインがあった(MH、 SIA、QF)。
24 4. 航空旅客の予測 航空旅客は、地域によりその地理的特徴、人口、経済活動等で異なるので、予測にお ける地域を下記の10 区分に分類している。ただし、CIS は除く。 4.1 航空旅客に及ぼす経済活動および航空運賃の影響 過去の航空旅客の伸びを支えてきた主要因は、経済成長と航空運賃低下であった。 一 方、1991 年の湾岸戦争や 2001 年 9 月に起こった米国同時多発テロは航空旅客を下げる要 因となっている。 地域別にこの航空旅客(RPK)と経済活動(GDP)、航空運賃(YIELD)との相関関係を分析 し、RPK 予測にはそれらの相関関係と GDP および YIELD の予測を用いる。 ここで、航空旅 客はその地域に属すエアラインが輸送する RPK を、経済活動はその地域の GDP を、又、航 空運賃はその地域の定期運航エアラインの平均運賃を使用している。 -15 -10 -5 0 5 10 15 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 伸び率 (%) 湾岸戦争 RPK GDP YIELD 航空旅客と 経済活動、航空運賃の関係 米国同時多発テロ 航空旅客:RPK 経済活動:GDP 航空運賃:YIELD イラク戦争 SARS
25 4.2 経済予測(添付資料−A 参照) 経済予測は、2003 年末に Global Insight(米国経済予測機関)が行った国別 GDP 長期予 測を 10 地域に集計したものをベースとしている。 世界経済は、2001 年のテロの影響でその伸びは 1.3%に減速し、2002 年 1.8%、2003 年 も 2.6%の低い伸びで推移して、その回復は予想していたより遅く、2004 年になってようやく テロ以前の 3.9%に回復した。 -2.0% 0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 北米 中南米 西欧 東欧 アフリカ 中東 中国 日本 アジア 豪州 世界 実質GDPの伸び率(%) 世界経済のテロ後の回復 暦年 予測 実績 米国同時テロ 長期的には、先進地域の経済成長は現状維持もしくは鈍化するのに対し、他の地域は過去 より大きな伸びを示し、今後 20 年の世界の実質 GDP は、過去と同じ年平均伸び率 3.1%を 維持する。 地域別に見ると、北米・西欧は過去 20 年間とほぼ同じ 2.9%、2.1%の安定した成長を続け る。日本は 1990 年代初頭からの不況が長引いていたが、漸く 2003 年に 2%まで回復し、今 後は平均 1.7%と最も緩やかな成長となる。中国はこれまでのような驚異的な伸びより鈍くな るものの、依然 6.1%と高い成長率を示し、アジア(日本、中国を除く)も経済不況から脱して 長期的には 4.7%の高い伸びを維持する。 一方、中南米・東欧・中東・アフリカなどの諸国は、自由主義経済への移行(東欧)、政情安 定化による経済発展(中南米、中東、アフリカ)などの要因により、今後は経済が大きく発展 していくと予測され、中南米は 3.9%、東欧は 4.1%、中東は 3.7%、アフリカは 4.3%と過去よ り高い成長となる。
26 3.9% 4.1% 4.3% 3.7% 8.6% 5.7% 2.5% 3.3% 2.9% 2.7% 1.4% 2.2% 2.5% 3.2% 3.1% 4.7% 6.1% 1.7% 2.7% 2.1% 2.9% 3.1% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 世界 北米 中南米 西欧 東欧 アフリカ 中東 オセアニア 日本 中国 アジア 1985-2004 2005-2024 地域別経済成長予測 年平均伸び率
27 4.3 航空運賃の予測(添付資料−B 参照) 過去20 年間に実質航空運賃を半減させてきた大きな要因は、経済性の良い新型機に よる運航コストの低減とエアラインの合理化努力であったが、最近の低コストエアラ インの出現やインターネットでの低運賃購入等で運賃競争がそれに拍車をかけてい る。今後もこのような機材の経済性の追求やエアラインの企業努力、および競争によ り、航空運賃は低下していくであろう。しかし、エアラインのリストラやM&A を伴 うコスト削減も厳しい状況になっており、その傾向は今までより緩やかとなろう。 したがって、1984 年から年平均 4.0%で低下してきた世界の航空運賃は、今後は現在 開発中の超大型機が出現しても、かつての747 出現時のようなインパクトはなく、運 賃低下に殆ど影響を与えないと思われ、年平均1.3%で低下するであろう。 地域別には、北米の運賃は世界平均より低いレベルにあり、今後の運賃低下も年平均 1.0%と鈍化するが、西欧の運賃レベルは高く、将来年平均 1.5%で低下する。 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 実質航空運賃の予測 2004 US cent/RPK 世界平均 北米 西欧 1985-2004 2005-2024 北米 -2.6% -1.0% 西欧 -2.0% -1.5% 世界平均 -4.0% -1.3% 年平均伸び率(%) 予 測 実 績
28 4.4 航空旅客の予測(添付資料−C 参照) 航空旅客(RPK:有償旅客キロ)の予測は、最初に過去の RPK と GDP, Yield の相 関関係を分析し、次にそれらの関係を用いて GDP の予測と Yield(平均運賃:旅客 収入/RPK)の予測から RPK を地域別に求めている。 しかし、それらの関係はテロの影響による旅行控えがあり、1991 年の湾岸戦争時 に見られたように一時的な旅客減少の別の要因となっている。今回のテロによる旅客 の減少はイラク戦争、SARS で回復が長びき、約 4 年間(湾岸戦争時は回復に約 3 年) 影響を受けている。 世界のRPK は、1985∼2004 年の間、年平均 5.4%で伸びてきたが、今後 2024 年 まで年平均4.8%で伸び、2004 年(3 兆 4790 億人キロ)の 2.6 倍(8 兆 8860 億人キ ロ)の旅客規模となる。 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 2623 2395 2994 874 1184 1011 914 370 予 測 実 績 3479 8886 2004年 2024年 1984年 1210 世界の航空旅客予測 有償旅客キロ (10億人・キロ) 年平均伸び率(%) 1985-2004 2005-2024 北米 4.0 4.1 欧州 5.9 4.4 アジア/太平洋 7.9 6.1 その他 4.7 4.4 世界合計 5.4 4.8 世界合計 地域別航空旅客では、現在二大市場の北米と欧州は、今後 20 年もほぼ過去と同じ 年平均伸び率4.1%および 4.4%を続け、北米は現在の 2.2 倍、欧州は 2.4 倍となるが、 世界平均の伸びより低いため、その市場シェアは北米が35%から 29%へ、欧州が 29% から26%に縮小する。
29 2004年 1% 3% 7% 4% 4% 2% 4% 35% 29% 11% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 29% 欧州 アジア/太平洋 26% その他 11% 2024年 1% 4% 11% 4% 4% 2% 4% 29% 26% 15% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 27% 欧州 アジア/太平洋 34% その他 10% 5.4 4.0 4.4 6.0 3.1 2.9 6.3 6.6 4.6 7.4 4.8 4.1 4.4 4.4 3.4 4.1 4.5 5.0 4.1 7.1 18.5 6.4 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 世界 北米 中南米 西欧 東欧 アフリカ 中東 オセアニア 日本 中国 アジア 1985-2004 2005-2024 航空旅客の伸び率予測 有償旅客キロ 年平均伸び率 (%) アジア/太平洋地域は、過去大きな経済成長を背景に年率 7.9%の旅客の伸びを維 持し、20 年前の 4.6 倍となったが、今後も中国や NIES/ASEAN が中心となって 6.1%の高い成長を続ける結果、現在の 3.3 倍に増え、そのシェアも 26%から 34%と なり、世界最大の市場となる。その中で日本は、成熟した市場であり、経済成長率の 見通しも低いため、過去より低い4.1%の伸びとなる。 その他の地域では、アフリカは経済成長があってもまだ市場が未成熟のためそれほ ど大きな旅客の伸びは見込めないが 4.1%の伸びに上昇、中東は政治の不安定さがあ り 4.5%に減少、中南米は近年政治や経済の安定化が進んでおり、4.4%を維持する。 また、東欧はEC への加盟等、西欧化が拡大しており、3.4%の伸びとなろう。
30 5. 提供座席キロの予測 予測された旅客(RPK)を運ぶのに必要な提供座席キロ(ASK)は、RPK をロード ファクターで除することで求められるが、ロードファクターも将来向上すると予測さ れる。 5.1 ロードファクター(座席占有率)の予測(添付資料−D 参照) 世界の旅客ロードファクターは、1984 年に 63%であったのが、旅客の増減に対し 機材供給の過不足によりバラツキはあるものの、2004 年には 73%まで上昇し、北米 や西欧では平均より高い 75%を示している。これらの高いロードファクターの要因 は、運賃の低下によるロードファクターの採算ライン上昇に対応するため、提供座席 を削減したことと、二桁の旅客の伸びによると考えられる。
今後もエアラインは収入増加のためにRevenue Management System を駆使し、 またインターネットを利用した切符販売、Alliance による良質の同一サービス提供等 によりロードファクターの向上に努力すると考えられるが、平均ロードファクターが 80%を越えると繁忙時に多くの旅客が乗れない(スピル)状況となるため、ロードフ ァクターの上限に近づきつつある。 以上より、2024 年には世界平均で 76%程度まで上昇すると想定した。 50.0 55.0 60.0 65.0 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 北米 西欧 日本 アジア 世界平均 地域別座席利用率の予測 ロードファクター % 実 績 予 測
31 5.2 地域別提供座席キロの予測(添付資料−E 参照) 1985 年からの世界の ASK の伸びは、ロードファクターの向上で RPK の伸び(年平 均5.4%)より 0.8%低い年平均 4.5%で伸びてきたが、今後 2005∼2024 年の間は前 述のように平均ロードファクターが73%から 76%へ向上するため、RPK の伸び(年 平均4.8%)よりやや低い年平均 4.6%で伸びると思われる。 北米および欧州は世界の平均を下回る年平均3.9%および 4.2%と低く、シェアを下げ るが、アジア/太平洋は年平均5.8%の大きな伸びで北米、欧州を凌ぐ市場となる。 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 年平均伸び率(%) 1985-2004 2005-2024 北米 2.8 3.9 欧州 5.1 4.2 アジア/太平洋 7.7 5.8 その他 4.0 4.1 世界合計 4.6 4.6 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 1573 1353 1290 526 4743 世界合計 2004年 3397 3096 3967 1178 11638 1936 世界の提供座席キロの予測(地域別) 提供座席キロ 〔10億席・キロ) 暦 年 予 測 実 績 2024年 1984年
32 5.3 地域別距離帯別提供座席キロの予測 5.3.1 距離帯別区分 更に路線距離帯でもその伸びは異なる。需要予測において、旅客を運ぶための航空機 は路線距離に適した機材を選択するため、路線帯別にも細分する必要がある。 現在(2003 年 9 月の定期運航ノンストップ路線)の路線距離別 ASK 分布を見ると、 ターボプロップ機がほぼ1000km 以下、リージョナル・ジェット機が 2000km 以下、 100 席以上の細胴ジェット機が 4500km以下、広胴ジェット機が 4500km以上の路 線で運航されていることから、本予測における距離帯区分を下記のように分類した。 リージョナル 1000 Km 以下 短距離 1001∼2000 Km 中距離 2001∼4500 Km 長距離 4501 Km 以上 0 100 0 2 000 3 000 40 00 5000 600 0 700 0 8000 90 00 100 00 1100 0 12 000 13 000 140 00 Turboprop Regional Jet Narrowbody Jet Widebody Jet 0 100000 200000 300000 400000 500000 600000 Turboprop Regional Jet Narrowbody Jet Widebody Jet ノンストップ路線の距離 (KM) 路線距離区分と路線提供座席キロ 提供座席キロ (百万) 長距離 中距離 短距離 リージョナル
出典: OAG MAX Database, 2003年9月
4500 2000 1000
33 5.3.2 座席区分 (添付資料−F 参照) 地域、距離区分で分類されたASK は、更に座席数の区分でも分布が異なり、800 席 までほぼ20%増の間隔で 15 に区分している。ただし、後述の機材需要においては、 機材グループに合わせて座席区分を多少変更している。 2003 年 9 月の定期運航の地域別、路線距離区分別、機材座席区分別の年間 ASK を分 析すると、各地域のエアラインによって、路線距離や機材サイズの構成が異なるが、 世界全体でみると、リージョナルおよび短距離路線では 40∼59 席機(CRJ200、 ERJ145 等)と 120∼169 席機(A320、737 等)が主力で、中距離では 120∼169 席、 170∼229 席(A321、757)の細胴ジェット機と 230∼309 席(A300/A310、767)の 広胴ジェット機が多く運航されている。長距離路線では殆どが広胴ジェット機で310 ∼399 席(A340、777、MD11)や 400∼499 席(747)が主力である。 予測においては、現在の地域別、路線距離区分別、機材座席区分別ASK 分布ベース にASK の伸び、機材の大型化/小型化の変化を考慮して将来の ASK 分布を求めてい る。 001-019 020-039 040-059 060-079 080-099 100-119 120-169 170-229 230-309 310-399 400-499 1-1000 1001-2000 2001-4500 4501 -100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 エアラインの運航路線ASK分布 - 世界合計 機材座席区分(席) 路線距離区分(km) 年間ASK(百万)
34 5.3.3 距離帯別 ASK シェアの予測(添付資料−G 参照) 地域別エアラインの路線のASK は、距離帯別でその伸びが異なり、それらの区分予 測においては過去の傾向から想定した距離帯別ASK シェア予測を用いて求めている。 過去20 年間の傾向を見ると、長距離路線の伸びが他の距離帯より高く、そのシェア を拡大してきたが、その分他の距離帯のシェアは低下してきた。その理由としては、 これまでは機材の航続性能の向上や、海外旅行の増加などにより、長距離路線や国際 線の伸びが大きかったことが挙げられる。将来は、長距離市場も短距離同様に成熟す ると共に、十分な航続性能を有する機材が出現するため、各距離区分のシェアは次第 に一定値に落ち着くと予測している。 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 路線距離区分シェアの予測 提供座席キロ シェア(%) 23.9 21.3 24.6 30.1 18.9 22.5 22.0 36.6 18.5 24.0 18.9 38.6 1000km以下 1001-2000km 2001-4500km 4501km以上
35 5.3.4 地域別距離帯別提供座席キロの予測(添付資料−G 参照) 地域別ASK 予測を路線距離帯別 ASK シェアの予測を用いて路線距離帯に分けると、 北米では米国内の航空輸送が発達しているため4500km 以下の路線距離帯が 3/4 と 大きなシェアを占めているが、欧州およびアジア/太平洋では国際長距離路線である 4500km 以上の路線距離帯が約半分を占めている。また、その他の地域では、上記主 要3 地域の半分に満たない輸送容量であるが、4500km 以上の路線距離帯が 3 割と長 距離路線の割合が少ない。 274 522 267 606 248 745 197 423 900 272 696 812 224 526 1192 286 621 294 351 783 669 1507 560 1788 464 101 267 105 146 133 216 187 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 2004 2024 2004 2024 2004 2024 2004 2024 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 1000km 以下 1001-2000km 2001-4500km 4501km以上 1573 3397 1353 3096 1291 3967 526 1179 提供座席キロ(10億) 地域別距離帯別提供座席キロの予測 2004年 4,743 億 提供座席キロ 2024年 11,638 億 提供座席キロ 2005-2024 1000Km以下 4.3 1000-2000Km 4.6 2000-4500Km 4.4 4500Km以上 4.8 合計 4.6 年平均伸び率(%) 2005-2024 北米 3.9 欧州 4.2 アジア/太平洋 5.8 その他 4.1 合計 4.6 年平均伸び率(%)
36 6. 航空機の需要動向予測 航空機の需要予測では、2004 年末の運航機数をベースとして、現在の地域別、距離 別の提供座席キロ(ASK)から、将来の ASK を求めた後、1機当りの年間座席キロ で除して機数を算出している。 一機当りの年間 ASK = 座席数×年間飛行距離 (年間飛行距離=Block Speed×Utilization) 将来ASK の一部は現在の運航機材の残存機で賄われ、残りは今後納入される機材(新 規需要)で賄われる。そして、新規需要機材のASK は将来市場における想定機種(現 在生産中の機種と将来出現が予測される機種)にその特性(価格、運航費、航続距離) やメーカーの販売力を考慮して分配される。 予測の中では、機材のUtilization の向上、機材の平均座席数の変化、機材の退役想 定、競合機種の出現等の条件でさまざまな組合せが考えられるが、ここでは標準的な ケースとして、機材の平均サイズの変化は過去の傾向を用い、現在検討されている開 発計画機は予定どおりに出現すると想定している。(想定機種は6.6 項参照)
37 6.1 機材の稼働率(Utilization)の向上 機材の Utilization として、ここではジェット機一機当りの年間飛行距離を指標とし ているが、過去1982∼1990 年の間長距離路線の大きな伸びに伴い一機当りの年間飛 行距離も飛躍的に伸びた。しかし、1991 年には旅客の伸びがマイナスとなる一方で、 1988∼1990 年に大量に発注された機材の納入により供給過剰に陥り、それは 1980 年の水準まで低下した。その後旅客が回復すると共に一機当りの年間飛行距離の伸び も元の傾向に戻り、ここ数年はあまり大きな向上は見られず上下しているが 2001∼ 2004 年はテロやイラク戦争、SARS の影響で旅客が減少して機材が余り、Utilization が下がっている。 現在の低いUtilization は旅客が回復するにつれて、過去の傾向の年間 0.25%の伸び に戻ると考えられ、ジェット機のUtilization は、今後 20 年間年平均 0.4%で向上す ると想定した。また、ターボプロップ機についても、同率で伸びると想定している。 ジェット機のUtilization*の向上 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 2019 2024 暦 年 一機当りの 年間飛行距離 (百万km) 出典:ICAO定期運航データ 実 績 予 測 *:一機当りの年間飛行距離 =年間AIRCRAFT Km / 運航機数 過去の傾向 年平均伸び率 0.25% p.a. 2005∼2024年 年平均伸び率 0.40% 1.799 1.661