中学校 第3学年社会科 (公民) 学習指導案 指導者 木村 公則 1.単元名 生産のしくみ −シュミレーションゲームを用いて− 2.単元について 本単元は、経済主体の1つである企業に視点をあて、生産活動から資本主義経済の特色を学習 していく展開である。主な学習内容は、株式会社のしくみ、私有財産制のもとでの再生産や利 潤のうまれるしくみ、企業の生産活動を支える金融制度、資本主義経済の弊害である生産の集 中、企業のソフト化・情報化という新しい動向、企業の国際化である。 特に、企業の生産のしくみをよりよく理解させるため、代表的企業形態である株式会社に焦 点を当て、消費者との関連でしくみを理解させることが本単元の重要な内容として位置付いて いる。 生徒たちは日々の社会生活のなかで、無意識のうちに「消費」という経済活動を営んでい る。さらに、生徒にとって自分たちの経済活動がどのような社会全体の経済システムやルール の下で行われているのかを意識し、理解する機会はまれである。経済効率の論理の中で、消費 ・生産のメカニズムの理解は重要な内容であるが、本単元で扱う生産活動についてはほとんど の生徒にその経験も無いことから、意義や意味の理解が乏しいといえる。しかし、従来の単な る内容知を重視した知識・理解に偏った学習では変化の激しいこれからの時代には生徒の真の 学力としては定着していかないという問題点が指摘できる。 そこで、本単元では班ごとに企業を企画・運営するシュミレーションゲームをおこなったり、 株式の動きを日本証券業協会等が企画・運営している「株式学習ゲーム」を利用したりしなが ら、より現実的に資本主義経済のしくみを理解させたい。また、企業には社会的な役割と共に 社会的責任があることを理解させたり、生産活動以外にも社会的に貢献していることなどにも 気付かせたりしながら現実の企業の姿をWEBや情報誌なども取り入れながら追究させていきた い。 本中単元の授業形態は、班別の調べ学習ならびに企業を企画・運営、株式売買のシミュレー ションゲームを取り入れておこなう。 3.単元の目標 ○ 株式会社のしくみを中心とした企業の生産のしくみのあらましや市場経済の基本的な考え 方が理解できる。 (社会的事象についての知識・理解) ○ 企業がどのようなしくみで生産活動をおこなっているのか、また企業がどのような社会 的役割と責任を負うべきであるのかを考えることができる。 (社会的な思考・判断)
みについて興味・関心を高め、シュミレーションゲームや班別レポート作成に意欲的に取り組 める。 (関心・意欲・態度) 4.評価規準 観 点 評 価 規 準 社会的事象についての 知識・理解 シュミレーションゲームを通して企業の生産のしくみや市場経済の 基本的な考え方が理解できる。 社会的な思考・判断 企業の社会的な責任や役割がについて考えることができる。 資料活用についての技 能・表現 さまざまな資料を有効に活用し、企業を企画運営したり株式を選択 したりすることができる。 関心・意欲・態度 シュミレーションゲームや班別レポート作成に意欲的に取り組むこ とができる。 5.単元の指導計画(9時間) 時 内容項目と活動内容 支 援 評 価 1 時 (1)私有財産制度 ①企業の生産活動 とはどのようなもの なのか、考えてみる。 ・生徒の持っているシャープペンシルが どこのメーカーのものが多いかをあらか じめ調べ、なぜそのメーカーを選んだの か、そのメーカーはどのように利潤を得 ているのかを考えることで資本主義経済 での企業の生産活動に興味を持たせる。 ・「シャープペンシルという名称はなぜ ついているのだろうか。」という問いか ら、日本では早川徳次が「早川式繰り出 し鉛筆」を1877年に発明し、「シャープ ペンシル」の名で製造販売し事、これは 今のシャープという会社を作った人だと 教える。画期的な発明は利益を生み、会 社名も広がる。ではみんなで次の時間に なにか新商品をつくりそれを売り出す会 社を作ってみようと提案する。 ・企業の生産活動につ いて意欲的に学習でき る。 (関心・意欲・態度) 2 時 (2)企業の生産活動 ②企業のしくみを企業 の企画をして考えてみ る。 ・各班で何か新発明になるような商品を 企画して企業設立を計画させる。 ・WEBの検索や会社四季報などの資料を 通して興味ある企業を班で選ばせ、企画 の参考とさせる。あまり業種が重ならず 班ごとの選択が行えるように支援する。 ・つくる企業の例として、有名な商品を 開発した企業の例などを示す。 ・さまざまな資料を用 いて企画ができる。 (技能・表現)
3 時 ③企業の運営をし、産 業の情報化・ソフト 化、企業の国際化を考 える。 ・自分の班が企画した企業はどのような ものを生産し、販売していくのか。ま た、会社の仕組みはどのようにするとい いのだろうかを班ごとに追究させ発表さ せる。 ・どのような企業が実際には世の中で発 展する傾向にあるのかを調べるなかか ら、産業の情報化・経済のソフト化や企 業の国際化などが理解できるように支援 する。 ・どのような企業にし たいのか追究できる。 (思考・判断) 4 時 (3)自己資本と他人資本 (金融) ④ 経営を続ける ための多額の 資本を企業は どのようにし て得ているの だろうか? ⑤金融のしくみを理解 する。 ・画期的な商品を開発したり生産・販売 したりするための資金はどうするのかを 考えさせる。 ・追究していく過程で、銀行からの貸付 など他人資本の他に株式というの自己資 本があることに気付くように支援する。 ・参考としてwebや会社四季報などの資料 から追究させていく。 ・他人資本としての金融のしくみや役割 についても理解させる。 ・企業が資本をどのよ うに得ているのかを追 究できる。 (思考・判断) ・金融のしくみや役割 が理解できる。 (知識・理解) 5時 (4)株式会社のしくみ ⑥株式会社ならびに株 券のしくみを理解す る。 ・日本証券業協会のVTRをもとに株式会 社のしくみと証券市場のあらましについ て理解させる。 ・株式会社ならびに証 券市場のしくみが理解 できる。 (知識・理解) 6 ・7 時 本時 ⑦株式変動の要因理解 するために、自分たち の班の株を売買する。 ⑧株式売買ゲームを して、実際の株式売 ・自分たちの班が企画した企業の株を実 際にゲーム形式で売買させる。 ・株価変動の要因を追及させる。 ・株式売買ゲームを説明し、実際の企業 名での売買を行わせる。 ・株価が上昇することは何を意味するの か考えさせる。 ・株式売買のしくみと 株式変動の要因が理解 できる (知識・理解) ・株式売買ゲームに意 欲的に取り組める。 (関心・意欲・態度) ・株式売買のしくみが
8 時 (5)企業の社会的役割と 責任 ⑨企業の役割や責任と は何かを考えてみる。 ⑩アンケートでたくさ んの意見をあつめる。 ・自分たちがつくった企業の役割と責 任、企業の集中による独占の問題につい て調べる。最近の新聞・雑誌記事、WEB などを利用して具体的な例なども調べさ せる。 ・自分たちで考えるだけでなく、業種や 職種によってさまざまな役割と責任があ ることを知るために、各自自分の家庭や 近所で働いておられる方などにアンケー トを実施させる。 ・企業の役割や責任と はどのようなものなの か考えることができ る。 (思考・判断) ・アンケートに意欲的 に取り組める。 (関心・意欲・態度) 9 ・10 時 (6)まとめ ⑪企業の生産のしく み、企業の役割・責任 についてまとめ、発表 する。 ・シュミレーションゲームの体験、webや 文献での調査、アンケート結果を基に課 題企業はどのようなしくみで生産活動を おこなっているのか」についてまとめさ せる。 ・レポートをまとめる。単なる調査の報 告で終わらず、今後自分たちの消費など 経済活動がどうあるべきかまで含めてレ ポートさせる。 ・課題の解決にむけて 意欲的に取り組むこと ができる。 (関心・意欲・態度) 6.本時の学習 (1)本時の目標 ○ 株価が変動する要因を考えさせることから、株価は企業の社会的信用を示すひとつのめや すでもあることに気付かせる。 ○ 実在する企業の株式購入ゲームに取り組み、現実の社会での株価の動きを理解させる。 ○ 株価の変動はさまざまな条件でおこるが、その1つに企業の社会的信用があることに気付 かせる。 (2)本時の展開 学習活動 学習内容 指導上の留意点 資料 導入 1.株式を売買する意 味を考える。 (5分) ・株券をつくって売ると企業 はどのようなメリットがある のか考える。 ・実際に自分で売買を経験し て考える。 ・前時のビデオ学習をも とに考えさせる。
展 開 1 2.各班の株券を売買 する。 (10分) ・売買をおこなう。 思い付きでの売買だが、人気 のある企業、そうでない企業 が生まれる。株を売る事にど んなうまみがあるのか考え る。 ・各班の株券と模擬紙幣 をあらかじめ製作してお く。 ・売買は各班の企業名、 生産、販売している商品 名というあえて限られた 情報をもとに選択させ る。 模擬株券 模擬紙幣 新聞 3.株価変動の要因を 考える。 なぜ株価は変動 するのだろう。 (15分) ・東京証券取引所の WEBページから東証株価を リアルタイムで見て、実際の 証券市場は日々刻々変化して いることを理解し、株価が変 動するのはなぜかの予想を立 てる。 ・人気というものの要因 を考えさせる。 ・級友と意見交流してい くなかで、変動の要因と 企業の立場からみた株価 の意味を理解できるよう に話し合いを進めさせ る。 WEB 教科書 ・各自考えた株価変動の要因 を発表しあう。 ・株価の変動は企業にとって はどのような意味があるのか を考える。 ・新商品の発売、金利の 動き、外国為替相場、政 治、国際情勢などできる だけ多くの要因がだされ るとよい。 4.株式学習ゲームを おこなう。 (20分) ・話し合いから分った変動要 因をもとに実際の企業の株を シュミレーション的に売買す る。 ・ゲーム用紙に班で相談して 購入銘柄を書く。 ・単なる投機的な売買で はなく、本時の学習をふ まえて売買銘柄を考えさ せる。 ・ここでの生徒の立場は 経営者でなく株主であ る。 ・もとでを仮に1千万円 としてみる。 ・次時に株価変動の結果 を発表して持ち株での損 得を発表することを告 げ、次時の予告をする。 株価ゲーム
展 開 2 5.前回のゲーム結果 を確認する。 (5分) ・前時におこなった株式売買 ゲームの結果をみて、ゲーム での売買の損得を確認する。 ・班ごとに結果をみて、取引 結果についての感想を述べ る。 ・株価が変動しているこ とをゲーム結果から理解 する。 ・ゲーム結 果用紙 6.株価が上昇した企 業とは。 (15分) ・株価が上がっている企業を 生徒がゲームで選んだ企業か らみつける。 ・さらに上昇の原因が明らか な企業をいくつか例示してど のような企業が株価を上げて いるのかを考える。 ・ゲーム結果から生徒に 見つけさせる。 ・教師であらかじめ生徒 になじみがあり、要因が はっきりとしている業績 好調な企業を選ぶ。例と しては、半額セールで人 気を集めた日本マクドナ ルド、ユニクロを経営す るファーストリーディン グなど。 7.株価があがる要因 を考える。 (15分) ・株価が上昇すると資本も増 える。どうすれば自分の班が 経営する企業の株価をあげる ことができるか考える。 ・では逆にどうしたら株価が さがるのだろうか。雪印乳業 食中毒事件の新聞報道例など を示して、企業の信用と株価 の推移の関連をみて考える。 ・前時の学習から株価変 動の要因は理解できてい るので、比較的容易に答 えが導けるとおもう。 ・この問いから企業の社 会的役割責任に結びつけ る橋渡しとしたい。 ・新聞記事 まと め 8.学習のまとめとし て話し合う。 ・株価が上昇するためにはど のような要因が重要なのか考 える。 ・各自が考えた結果をまと ・2時間の学習を通して 得た知識をもとに自分な りの考えをまとめさせ る。
(3)参考資料 ※ 日本証券業協会、(社)証券広報センター、東京証券取引所 「株式学習ゲーム ゲームマニュアル」 1999年12月 本時の教材として使用した「株式学習ゲーム」は日本証券業協会、(社)証券広報センター、 東京証券取引所が作成・運営している。本来このゲームは週1回もしくは2週間に1回程度の頻度 で10週∼13週の期間実施する場合が一般的だが、今回はそれを時間数の制約から1時間1回のみ 実施した。なお、「株式学習ゲーム」の詳細は次のホームページを参照されたい。 http://www.ssg.ne.jp/webh.html