• 検索結果がありません。

レジャー個別銘柄

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "レジャー個別銘柄"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

任天堂(東証1部 7974)

注目点

「Nintendo Switch」が好調な滑り出しとなっている。今冬のク

リスマス商戦でもこの勢いが続き、コアなゲームユーザーから、ファミ

リー層への普及が進めば、累計1億台を販売した「Wii」に迫る大

ヒット商品となる可能性もあろう。モバイルゲームでも、先行配信

していたオーストラリアに続き、11月下旬からは世界41ヵ国まで

配信地域を拡大した「どうぶつの森 ポケットキャンプ(ポケ森)」が

好調な滑り出しとなっている。「Pokémon GO」でもそうであった

が、任天堂の持つブランド力、豊富なIP(キャラクターなどの知的

財産)が、モバイルゲームのマーケットでも強力な武器になることを

示した。モバイルゲームが第2の収益の柱に育つ可能性も十分に

あろう。

同社の株価は、Nintendo Switchのヒットと「ポケ森」への期待

で堅調な株価推移が続いている。マーケットでは、ニンテンドー

DSとWiiの2つの大ヒットで、2007年11月1日につけた上場来

高値(73,200円)が意識され始めているとみている。但し、

SBI証券では、現段階においては、株価がそこまで到達するのは、

難しいのではないかと考えている。ニンテンドーDSとWiiはともに自

社プラットフォームで収益性が高く、2009/3期には営業利益

5,552億円という過去最高益を計上した。今回はNintendo

Switchは自社プラットフォームであるものの、モバイルゲームはそう

ではない。自社プラットフォーム並みの高い収益を実現するのは、

現時点では難しいとの見方をしていることによる。目標株価を

53,000円(2021/3期予想PER約23倍の水準)に設定し、

レーティングを新規に「やや強気」とし、カバレッジを開始する。

主なリスクは、同社の主力事業であるゲームビジネスがヒットビジ

ネスで収益の変動が大きいこと、為替相場の変動の影響を大き

く受けること、など。

「Nintendo Switch」がクリスマス商戦の主役に、「ポケ森」も大ヒットの兆候

SBI証券 投資調査部シニアアナリスト

田中 俊

2017年11月28日

(新規)

投資評価

やや強気

目標株価

53,000円

目標株価との乖離率 11.1%

株価(11/27)

47,720円

時価総額

57,325億円

発行済株式数

120,127千株

外国人持株比率

45.4%

配当(18/3期予想) 470.0円

PER(18/3期予想) 51.2倍

PBR(18/3期予想) 4.3倍

ROE(18/3期予想) 8.7%

(注)発行済株式数は自己株除く、予想はSBI証券 連結業績(日本会計基準) 決算期 売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比 当期純利益 前期比 EPS DPS ROE (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (円) (円) (%) 2017/3 2Q 実績 136,812 -33.0 -5,947 - -30,883 - 38,299 234.0 318.8 0.0 - 2018/3 2Q 実績 374,041 173.4 39,961 ー 69,591 ー 51,503 34.5 428.9 110.0 - 2015/3 実績 549,780 -3.8 24,770 - 70,530 - 41,843 - 353.5 180.0 3.7 2016/3 実績 504,459 -8.2 32,881 32.7 28,790 -59.2 16,505 -60.6 137.4 150.0 1.4 2017/3 実績 489,095 -3.0 29,362 -10.7 50,364 74.9 102,574 521.5 853.9 430.0 8.5 2018/3 会社予 960,000 96.3 120,000 308.7 125,000 148.2 85,000 -17.1 707.8 360.0 - SBI予 980,000 100.4 135,000 359.8 170,000 237.5 112,000 9.2 932.3 470.0 8.7 2019/3 SBI予 1,250,000 27.6 240,000 77.8 260,000 52.9 171,000 52.7 1,423.5 720.0 12.4 2020/3 SBI予 1,385,000 10.8 320,000 33.3 340,000 30.8 225,500 31.9 1,877.2 940.0 15.1 2021/3 SBI予 1,500,000 8.3 400,000 25.0 420,000 23.5 280,000 24.2 2,330.9 1,170.0 17.3 注:当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益、EPSは自己株式を除くベース

(2)

2

(1)会社概要

同社は1889年創業の娯楽関連の老舗企業である。創業当初は、花札やトランプなどの製 造・販売から玩具などに取扱商品を拡大、業容を拡大してきた。転機となったのは、1980年 の携帯型ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」、そして1983年の家庭用テレビゲーム機「ファミリーコン ピュータ」の大ヒットである。そこから、同社は世界的なビデオゲームメーカーへと飛躍を遂げた。 その後も、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」、家庭用テレビゲーム機「Wii」など画期的な ハードウェアを開発するとともに、ソフトウェアにおいても、「スーパーマリオ」、「ポケットモンスター」、 「どうぶつの森」など数多くの人気シリーズを生み出してきた。同社は、世界中に数多くいる熱 心な任天堂ファンに愛されている企業で、ゲーム業界において特別な企業である。また、マリオ の生みの親として知られる同社の代表取締役フェロー宮本茂氏は、ゲーム業界のレジェンド 的な存在でもある。ビデオゲームの歴史は任天堂とともにあったと言っても過言ではないであろ う。

現在は、ニンテンドー3DS、Wii U、Nintendo Switchなどゲームプラットフォーム、amiibo、 バーチャルコンソール等も含めたゲーム専用機のビジネスを中核に、ディー・エヌ・エーとの協業 によるスマートデバイス事業、豊富なIP(キャラクターなどの知的財産)を活用したIP関連収入、 創業からの事業である花札、トランプ、百人一首、麻雀、囲碁、将棋などの製造・販売を 行っている他、新規事業としてQOL(Quality of Life、生活の質)事業にも取り組んでいる。 同社は100年を超える歴史ある企業である。過去には、タクシー会社、インスタント食品、ホ テル、ベビーカー、コピー機などやや無謀な多角化にチャレンジし失敗した経験を持つ。また、 ゲーム機ビジネスにおいても、Nintendo64、ニンテンドーゲームキューブ、Wii Uのように期待 通りに売れなかった商品もあれば、バーチャルボーイのように、(20年以上前に3DやVRの時 代がやってくることをイメージしていたかのような)先進的過ぎて壮大な失敗をしたゲーム機もあ る。そうした失敗を糧に、枯れた技術の水平思考(広く普及して安価になった技術でも、アイ デア次第でヒット商品を生み出せる)などにより、同社は数多くの時代の寵児となるような大ヒッ ト商品を生み出してきた歴史を持つ。 そうした過去の経緯もあり、ゲームは究極のヒットビジネスで、「娯楽は、いつ市場が消えてもお かしくない」との危機意識が、手元の現預金を、10年くらいヒット商品がなくても大丈夫なので はと思えるくらい、手厚く保有する財務戦略にも表れているとみている。 100年を超える歴史の中では、 大ヒットの影に様々な失敗も 図表1 地域別販売実績(2018/3期第2Q累計) 出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 図表2 セグメント別販売実績(2018/3期第2Q累計) 出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 ビデオゲームの歴史は任天堂 とともにあった ゲーム専用機 95.0%

(3)

3 同社は、任天堂DNA(継承するもの)として、独創性・柔軟性・誠実さを掲げている。「ファミリー コンピュータ」で家庭用テレビゲーム機、「ゲームウォッチ」、「ゲームボーイ」により携帯型ゲーム機 の市場を開拓、ニンテンドーDSの「脳トレ」、Wiiの「Wii Sports」、「Wii Fit」などにより、これま でゲームに馴染みのなかった層にユーザーを広げるなど、独創的で柔軟な発想により、新たな市 場を開拓してきた企業として知られる。また、同社は花札やトランプなどの製造・販売からスター トし、時代のニーズの変化を嗅ぎ取り、新たな事業分野に進出することにより、娯楽という変化 の激しい業界で、100余年生きのび成長してきた柔軟性も兼ね備えている。さらに、サポート・ 修理などでの親切・丁寧・迅速な対応への評価は高く、都市伝説のように語られているケースも 多くみられ、ユーザーに誠実な企業と広く認知されている。 同社は、自社の強みとしては、① ハード・ソフト一体でのものづくり、② おもてなしのこころ、③ 世代を越えて愛されているキャラクター、④ 安心・安全への配慮、⑤ 信頼に基づくパートナー シップを挙げている。SBI証券の視点から、5つの強みを分析してみた。 ① ハード・ソフト一体でのものづくり 同社は、ゲーム機のハード・ソフトの両面において、高い開発力を有している稀有な企業である。 プラットフォーマーであると同時に、ゲームソフトにおいても、世界トップクラスの開発力・マーケット シェアを有している。ゲームハードを提供するプラットフォーマーは、多くのソフトウェアメーカーにソフ トウェアの開発をしてもらえるような汎用性の高いハードウェアの開発を優先せざるをえない。一 方、ソフトウェアメーカーはハードの性能に制約された中で、ソフトウェアの開発を行わなければな らない。しかし、両方を自社で行っている同社には、一体型のものづくりで、そのような制約がない。 作りたいソフトウェアのアイデアがあれば、それを実現できるプラットフォームを作る(次世代のプ ラットフォームにそうした機能を入れる)ことなどもできる。そこに、次々とユニークで面白いゲーム をヒットさせ続けてきた基盤がある。ニンテンドーDSの2画面・タッチパネル、Wiiのリモコン型コント ローラー、3DSのすれ違い通信などは、その端的な例であろう。 ② おもてなしのこころ 同社は前岩田社長時代には、「ゲーム人口の拡大」を標榜し、「5歳から95歳まで」というスロー ガンを掲げていた。幅広いユーザーにゲームを楽しんでもらいたいとの考えがベースにある。そのた め、チュートリアルも丁寧で分かりやすい作りで、ゲーム初心者でも、躓くことなくすぐにゲームを楽 しめる作りとなっている。また、同社のゲームは、一人部屋に籠ってではなく、家族や友人と多人 数で遊ぶゲームが多いのも特徴である。例えば、「マリオカート」や「マリオパーティー」などは、一人 プレイよりも多人数でのプレイがより楽しい。ヘビーユーザーも楽しめる深さがある一方で、運の要 素も強く、ゲーム初心者がゲーム熟練者に対戦で勝つ場合もある。また、開発中のソフトを何 度となく繰り返しプレイして、ゲーム中のバグ(不具合)を見つけるデバッグ業務を行っているマリオ クラブに対する評価も高い。同社のゲームソフトはバグが少なく、操作性の高さに定評がある。 ゲームユーザーが飽きずに、ゲームを長く楽しむことができるか否かを徹底的に追求してきた企業 姿勢は高く評価できよう。 ③ 世代を越えて愛されているキャラクター 同社には30年以上に亘り生み出されてきたたくさんのキャラクターがある。「スーパーマリオブラ ザーズ」、「ポケットモンスター」、「どうぶつの森」、「ゼルダの伝説」、「星のカービィ」など世代を越え て、世界中で愛されているキャラクターを多数保有している。リオデジャネイロ五輪の閉会式に安 倍首相は、会場の真ん中に設置された緑色の土管から、「スーパーマリオブラザーズ」のマリオの コスプレ姿で登場し、大きな話題となった。マリオが世界中に知れ渡った日本を代表するキャラク ターであることを示していると言えよう。2015年には米Universal Parks & Resortsと提携を 発表。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)では、600億円超の巨大プロジェクトとして、 2020年の東京オリンピック前に「SUPER NINTENDO WORLD」のオープンを目指している。 米ユニバーサル・オーランド・リゾート、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドにも同様の施設を展開す る予定である。このようなIP(キャラクターなどの知的財産)の外部利用による収益拡大も見込ま れよう。 ハード・ソフト一体でのものづく りで、新たな遊びを実現

(2)強み・特徴

任天堂のDNAは独創性・柔 軟性・誠実さ ゲームユーザーが飽きずに、 ゲームを長く楽しむことができる かを追求 リオ五輪の閉会式には、安倍 首相がマリオのコスプレで登場

(4)

4 ④ 安心・安全への配慮 同社は、一般的な電子機器の安全基準にとどまらず、玩具としての安全性にも配慮したものづ くりを行っている。任天堂のゲーム機は昔から頑丈で耐久性に優れていると言われている。子ども が予想外の使い方をすることも想定した玩具としてのものづくりを行っていることによる。信憑性が 疑われるものもあるが、高いところから落としても、外側が焼け焦がれても作動したといったような 逸話も多い。最近では、Nintendo Switchのゲームカートリッジには、幼児による誤飲を防止 するため、苦味物質(デナトニウムベンゾエイト)が塗布されていることが知られている。また、安心 への配慮から、流血や殺人などの描写が過激な残酷ゲームや性的な描写のあるゲームは、自 社で制作していないだけでなく、サードパーティーに対しても、自社のプラットフォームでの発売に 消極的である。同社のゲームは、熱心な一部のゲームユーザー(オタク)向けではなく、ファミリー 層など幅広いユーザーを対象としているためとみられる。 ⑤ 信頼に基づくパートナーシップ 同社は、開発・生産・流通の各段階において、信頼に基づくパートナーシップを築いている。同 社のプラットフォーム向けのみに、ゲームソフトの企画・開発を行う企業群があり、セカンドパー ティーと呼ばれている。セカンドパーティーのゲームソフト開発力の高さが同社の強みの一つとなっ ている。セカンドパーティーには、インテリジェントシステムズ(「ファイアーエムブレム」シリーズなど)、 ゲームフリーク(「ポケットモンスター」シリーズなど)、HAL研究所(「星のカービィ」シリーズな ど)などがある。ゲームフリークは、同社およびクリスチャーズとともに株式会社ポケモンの出資会 社の1社でもある。HAL研究所は、岩田聡前社長が任天堂に入社する前に社長を務めて いた企業である。また、「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズなどで知られる桜井政博氏など著 名なクリエイターも輩出している。 インテリジェントシステムズ 、 ゲームフリーク、HAL研究所な どセカンドパーティーが同社を 支える Nintendo Switchのゲーム カートリッジには誤飲防止のた めの苦味成分が塗布されてい る 図表4 歴代のゲーム機のハード・ソフトの累計販売台数・販売本数 出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 図表3 主要タイトルの販売実績 出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 Wii ニンテンドー3DS 2017年9月末現在 (単位:万本) 2017年9月末現在 (単位:万本) 累計 累計

Wii Sports 8,283 ポケットモンスター X・Y 1,620 マリオカートWii 3,702 マリオカート7 1,595 Wii Sports Resort 3,306 ポケットモンスター サン・ムーン 1,591 New スーパーマリオブラザーズ Wii 3,011 ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア 1,385 はじめてのWii 2,802 Newスーパーマリオブラザーズ2 1,173

Wii U Nintendo Switch

2017年9月末現在 (単位:万本) 2017年9月末現在 (単位:万本)

累計 累計

マリオカート8 838 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 470 New スーパーマリオブラザーズ U 573 マリオカート8 デラックス 442 スーパーマリオ 3Dワールド 570 Splatoon2 361 大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U 526 1-2-Switch 137 Nintendo Land 518 ARMS 135

(単位:万台・万本)

FY3/2008 FY3/2009 FY3/2010 FY3/2011 FY3/2012 FY3/2013 FY3/2014 FY3/2015 FY3/2016 FY3/2017 累計 ファミリーコンピュータ ハード 0 - - - 6,191  1983年7月15日発売(国内) ソフト - - - 50,001 ゲームボーイ ハード -0 -0 -0 - - - 11,869  1989年4月21日発売(国内) ソフト 0 -0 -0 - - - 50,111 スーパーファミコン ハード 0 - - - 4,910  1990年11月21日発売(国内) ソフト - - - 37,906 ニンテンドウ 64 ハード - - - 3,293  1996年6月23日発売(国内) ソフト 0 -0 - - - 22,497 ゲームボーイ アドバンス ハード 159 42 4 0 0 - - - 8,151  2001年3月21日発売(国内) ソフト 1,040 62 10 2 1 0 0 - - - 37,742 ニンテンドー ゲームキューブ ハード 16 -0 -0 - - - 2,174  2001年9月14日発売(国内) ソフト 259 9 0 0 0 0 - - - - 20,857 ニンテンドーDS ハード 3,031 3,118 2,711 1,752 510 235 13 2 1 -0 15,402  2004年11月21日発売(米大陸) ソフト 18,562 19,731 15,159 12,098 6,082 3,338 1,029 299 126 33 94,855 Wii ハード 1,861 2,595 2,053 1,508 984 398 122 46 11 -0 10,163  2006年11月19日発売(米大陸) ソフト 11,960 20,458 19,181 17,126 10,237 5,061 2,616 1,173 733 356 91,785 ニンテンドー3DS ハード 361 1,353 1,395 1,224 873 679 727 6,612  2011年2月26日発売(国内) ソフト 943 3,600 4,961 6,789 6,274 4,852 5,508 32,925 Wii U ハード 345 272 338 326 76 1,356  2012年11月18日発売(米大陸) ソフト 1,342 1,886 2,440 2,736 1,480 9,885 Nintendo Switch 計 274 274  2017年3月3日発売(日米欧他) 計 546 546

(5)

5 Nintendo Switchが大ヒットしている。ここまでの大ヒットは、多くの人にとって想定外だったと思われ る。何故、これほどまでに大ヒットしているのか、考察してみた。 (1) Nintendo Switchは据置型のゲーム機だが、携帯モードで持ち運ぶこともできる。据置型と携 帯型の両方のニーズを捉えて、好調な売上に繋がっている面もあろう。日本国内では携帯型 ゲーム機は売れるが、据置型があまり売れない。米国などでは据置型は売れるが、携帯型はあ まり売れない。Nintendo Switchは両方の市場の特性を満たすゲーム機であること、 (2) モバイルゲームでは味わえないゲーム体験が味わえること、非常にリアルな触感を表現するHD 振動、非接触で対象物の動きや形状を検出できるモーション IRカメラ、などNintendo Switchならではの機能が盛り込まれていること、 (3) キラーソフトがある。有力ソフトが発売され、そのソフトに対するユーザーの評価が非常に高いこと、 米国では「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワールド」、日本では「Splatoon 2」が高い人気を誇り、 ハードのけん引役となっていること、 (4) ストレスフリーで遊べる。スイッチを入れてからの起動時間が非常に短く、すぐにゲームを始められ る。ドックから取り出すだけで、ほぼ同時にTVモードから、携帯モードに切り替わるなど、ストレス フリーで遊べること、 などが挙げられよう。 Nintendo Switchの販売については、ゲームのコアユーザー中心から、この冬のクリスマス商戦でファ ミリー層にも広がってくれば、累計1億台を販売したWiiに迫る、あるいは超えてくるようなゲーム機に なる可能性もあると考えている。好調な販売により、今後はサードパーティーからの有力タイトルの発 売も増えてくると見られ、ソフトラインアップの充実が見込まれること、据置型と携帯型の両方のゲーム ユーザーを取り込む可能性があること、などを考慮した。 現在、Nintendo Switchハードは、月産200万台ぐらいの生産体制になっているとSBI証券で推 定している。Wiiハードの販売台数のピークが、発売3年目の2009/3期の2,595万台であることを 考えると、現在は品薄状態が続いているとはいえ、月産200万台はいいラインではないかと考えてい るが、クリスマス商戦の販売動向によっては、若干の増産があるかもしれないとみている。 難しい経営判断を迫られそうなのがニンテンドー3DSである。2011年2月11日の発売からまもなく7 年が経過しようとしている。過去の携帯型ゲーム機のライフサイクルから考えると、そろそろ後継機の 発売を考える時期に当たる。Nintendo Switchが携帯型の機能も備え持ち、大ヒットしていること から、ゲーム専用機は Nintendo Switch一本でという考えも成り立つ 。 しかし、Nintendo Switchのユーザーは室内で携帯モードで遊ぶことが多く、外に持ち出して遊んでいるというケースは 少ないようで、携帯型ゲーム機の市場は残されているとの考え方もできる。とは言っても、通勤・通学 途中などで遊ぶゲームはモバイルゲームで十分ともいえ、どれくらいのマーケットが残されているのか疑 問が残る。このため、 SBI証券では、一応、ニンテンドー3DSの後継機は当面の間は発売されない との前提で業績予想などを組み立てている。 とは言え、同社はニンテンドー3DSの後継機となる携帯型ゲーム機の開発は常に進めているとみて いる。Nintendo Switchやモバイルゲームと一定の棲み分けができ、ヒットが期待されるような携帯 型ゲーム機が開発された場合には、発売に踏み切る可能性があることは考慮しておきたい。 ゲーム専用機のビシネスについては、人件費などを中心とした開発費は増える傾向が続くと見ている ものの、ダウンロード販売増加による流通コストの減少、広告宣伝費の効率化、追加コンテンツなど の発売による収益の上乗せ、Nintendo Switchにおける有料オンラインサービスの開始(2018年 4月くらいかのスタートを想定している)などでの収益向上も見込まれ、一定以上の販売実績を残し たハード・ソフトの収益性は維持、改善できるとみている。

(3)ゲーム専用機

Nintendo Switchヒットの理 由は? Switchハードは月産200万 台体制か

(6)

6 同社はディー・エヌ・エー(2432)と資本業務提携を行い、協業でスマートデバイス向けの展開を行っ ている。

協業の最初のタイトルとなり、2016年2月に配信が開始された「Super Mario Run(スーパーマリ オ ラン)」は、「買い切り型」の実験的な色彩が強かった。累計2億ダウンロードを突破、海外でのダウ ンロードが全体の9割を超えている。「買い切り型」のハードルは高く、収益的には満足できる水準に 達していないようだが、グローバル展開では一定の成功を収めたタイトルと言えよう。

第2弾として2017年2月に配信が開始された「Fire Emblem Heroes(ファイアーエムブレム ヒー ローズ)」では、「ガチャ(有料の電子くじ引き)」型課金を初めて採用、国内外とも好調で、収益面 も含めてビジネス全体が順調に推移している。任天堂のブランドイメージを傷つけることが少ないとみ られるコアなゲームユーザー向けのタイトルで「ガチャ」の実験を行い、成功している例と考えている。 そして、2017年11月下旬(オーストラリアは10月25日より先行配信)より、世界41ヵ国で配信をス タートしたばかりの「どうぶつの森 ポケットキャンプ(ポケ森)」は、「Free to Start(ゲーム内課金あ り)」型のアプリである。特に日本国内での人気は高く、配信開始直後から、想定を超えるアクセスに よる通信エラーが断続的に発生するような状況が続いている。通信エラーの多発は問題だが、それだ け人気を集めていることの証左とも言えよう。「どうぶつの森」シリーズは、女性や子供にも人気が高く、 ラ イ ト な ゲ ー ム ユ ー ザ ー の 多 い タ イ ト ル で あ る 。 ARPU( ユ ー ザ ー 1 人 あ た り の 平 均 売 上 高)/ARPPU(課金ユーザー1人あたりの平均売上高)は低めの設定になっているとみているが、数多 くのユーザーに長い期間遊んでもらえる可能性が高く、収益に大きく貢献するタイトルとなろう。将来 的に発売されるであろうNintendo Switch向けの「どうぶつの森」シリーズの最新作の売上が、「ポ ケ森」で広がった客層によって、従来のシリーズよりも大きく伸びるようなシナジーにも期待したい。 「Pokémon GO」については、米Niantic,Inc.が開発・配信を行っており、同社の関連会社である 株式会社ポケモンが、ポケットモンスターの権利保有者としてライセンス料及び開発運営協力に伴う 対価を受け取っている。なお、株式会社ポケモンは、同社が議決権の32%を保有する持分法適用 関連会社で、営業外収益に持分法による投資利益として計上されている。なお、当アプリと連動す る周辺機器「Pokémon GO Plus」は同社の製造・販売である。 モバイルゲームについては、年2~3タイトルの投入を行っていく計画である。同社は、ゲーム開発力、 資金力、IP(キャラクターなどの知的財産)などで、競合に対して優位にあり、モバイルゲーム市場にお いても存在感を高めてきている。ノウハウの蓄積が進んでくれば、ディー・エヌ・エーとの協業以外に、 自社独自あるいは新たなパートナーとの展開を加えるなどにより、投入タイトルを増やしていくことも考 えられる。また、将来的には、同社にはユーザーへの導線や課金システム(ニンテンドーアカウントなど) もあり、Android、iOSの課金システムを使わないモバイルゲームの展開も考えられよう。SBI証券の 2020/3期までの業績予想には、不確実性があり、あまり大きくは業績予想に織り込んでいない (SBI証券の業績予想では、スマートデバイス・IP関連収入は2018/3期予469億円、2019/3期 予735億円、2020/3期予843億円、2021/3期予945億円としている)が、「どうぶつの森 ポケッ トキャンプ」が大ヒットになるだけで、売上高があっという間に1,000億円を超えてくるポテンシャルのあ るセグメントであろう。

(4)モバイルゲーム

「ポケ森」が試金石か その他(トランプ他)では、創業の頃からの事業であるトランプ、麻雀、花札・株札、百人一首、囲 碁・将棋などの製造・販売を行っている。同社の中に占める事業規模は小さいが、業界大手で安定 した収益をあげている。 2014年、岩田社長時代に、娯楽を「人々のQOL(Quality of Life:生活の質を楽しく向上させる もの)」と再定義し、任天堂の事業領域をこれまでより広げて考えていくことを表明、QOL事業の第1 弾は健康、睡眠と疲労の見える化に取り組むとしていた。その後、あまり話が聞かれなくなり、頓挫し たのではと思われがちだが、現在も開発は進めているようだ。Nintendo Switchを始めとして、主力 事業であるゲーム専用機事業が好調なことから、QOL事業を急いで立ち上げる必要がなくなった面 もあろう。

(5)その他(トランプ他)

(7)

7 今第2Q累計(2017年4~9月期)は、前年同期比大幅な増収増益となる好調な決算となった。 Nintendo Switchは、ハードウェアの販売が引き続き好調に推移、需要に供給が追いつかず、世 界各地で品不足が続いている。ソフトウェアでは、「マリオカート8 デラックス」、「Splatoon 2」、「ゼ ルダの伝説 ブレス オブ ザ ワールド」、「ARMS」の4タイトルがミリオンセラーとなった。 ニンテンドー3DSは、ハードウェアの新しいラインアップとして「Newニンテンドー2DS LL」を6~7月の かけて全世界で発売した効果もあり、ハードウェアの販売台数は前年同期を上回ったものの、有力 タイトルの発売が少なくソフトウェアの販売本数は大幅に減少した。 その他では、amiiboの販売数やダウンロード売上高も前年同期に比べて増加した他、9月に発売 した「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」も好調なスタートとなった。また、円安による為替影 響により売上高が押し上げられた面もある。 売上総利益率が悪化しているのは、Nintendo Switchの発売に伴いハードの売上構成比が上昇 した商品ミックスの影響による。 営業外で、前年の為替差損399億円から、今年は為替差益163億円に転じたことが、経常利益 の増益幅を大きくした面もある。 親会社株主に帰属する当期純利益の増益幅が経常利益に比べて小さいのは、前年同期にはメ ジャーリーグ球団シアトルマリナーズの運営会社であるFirst Avenue Entertainment LLLPの持 分の一部売却による有価証券売却益627億円を特別利益に計上していた反動による。

(6)業績動向(2018/3期第2Q決算)

出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 図表6 今第2Qのミリオンタイトル Nintendo Switchの販売好 調がけん引 出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 図表5 今第2Qの前年同期比比較 (単位:億円) 2017/3期 2Q 2018/3期 2Q 前年同期比 売上高 1,368 3,740 2,372 売上総利益 615 1,437 822 (売上総利益率) 45.0% 38.4% -営業利益 -59 399 458 (営業利益率) -4.3% 10.7% -経常利益 -308 695 1003 (経常利益率) -22.6% 18.6% -親会社株主に帰属する 四半期純利益 382 515 133 (親会社株主に帰属する 四半期純利益率) 28.0% 13.8% -Nintendo Switch 2018/3 (単位:万本) (17.4~17.9) うち 累計 全世界合計 国内 海外 全世界合計 マリオカート8 デラックス 442 87 356 442 Splatoon2 361 156 205 361 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 193 29 165 470 ARMS 135 30 105 135

(8)

8 SBI証券では、2018/3期は前期比増収増益を予想している。第2Q決算発表時に上方修正さ れた会社計画を上回っての着地を見込んでいる。今冬はNintendo Switchにとって初めてのホリ デーシーズンとなる。ユーザーがコアなゲームファンから、ファミリー層へと広がっていくのか注目されよう。 10月に発売した「スーパーマリオ オデッセイ」が発売3日間の全世界でのセルスルーが200万本以上 と好調な出足となっており、12月に発売予定の「ゼノブレイド2」とともに、けん引役として期待されよ う。SBI証券では、Nintendo Switchハード1,450万台、ソフト5,200万本の販売を業績予想の 前提としている。 スマートデバイス向けでは、 「どうぶつの森 ポケットキャンプ(ポケ森)」を10月25日から先行配信して いたオーストラリアに続き、11月22日には世界41ヵ国まで配信地域を拡大した(※少なくとも日本 では11月21日の夕刻に前倒しで配信がスタート)。配信開始直後には、想定を超えるアクセスによ るサーバーの通信トラブルが発生するほどであった。「どうぶつの森」シリーズは、特に日本国内におい ては高い人気を誇っており、大きく収益に貢献してくるのではないかとみている。 2019/3期も、Nintendo Switchの好調が続くとみており、前期比増収増益を予想。SBI証券で は、当期のNintendo Switchはハード2,000万台、ソフト9,000万本の販売を前提としている。 量産効果などによるハードの原価低減が進むとみられることに加えて、ソフトの売上構成比が高まっ てくることによる売上総利益率の改善を見込んでいる。スマートデバイス向けでも、同社の存在感が 高まってくると予想している。「ポケ森」が通年で寄与することに加えて、新たなタイトルの投入の可能 性もあろう。 2020/3期は、SBI証券では当期のNintendo Switchはハード2,400万台、ソフト11,500万本 の販売を前提に、前期比増収増益を予想。サードパーティーからのSwitch向けタイトルの発売の増 加が予想され、サードパーティーからヒット作が出てくれば、さらにソフトの販売本数は伸びる可能性が あると考えている。SBI証券の業績予想には織り込んでいないが、ニンテンドー3DSの後継機が発 売されている可能性もある。 2021/3期は、SBI証券では当期のNintendo Switchはハード2,600万台、ソフト14,600万本 の販売を前提に前期比増収増益が続き、中期的な業績のピークを迎えると予想している。モバイル ゲームでも、タイトル数の増加による収益の積み上げを見込んでいる。

(7)業績見通し

出所:対象会社公表資料を基にSBI証券投資調査部作成 ニンテンドー3DSの後継機 発売の可能性も 「ポケ森」が通年で寄与、 スマートデバイス向けの 収益拡大期待も 図表7 地域別任天堂主要製品発売スケジュール(一部抜粋:2017年10月~) 2018/3期はさらに上ブレ が見込まれる 2021/3期に中期的な業績 のピークを迎えると予想 ニンテンドー3DS Nintendo Switch 名称 発売日 名称 発売日 マリオ&ルイージRPG1 DX 2017/10/5 スーパーマリオ オデッセイ 2017/10/27 Girls Mode 4 スター☆スタイリスト 2017/11/2 いっしょにチョキッとスニッパーズ プラス 2017/11/10 ポケットモンスター ウルトラサン 2017/11/17 ゼノブレイド2 2017/12/1 ポケットモンスター ウルトラムーン 2017/11/17 マリオ+ラビッツ キングダムバトル 2018/1/18 カービィ バトルデラックス! 2017/11/30 星のカービィ スターアライズ 2018年春 マリオパーティ100 ミニゲームコレクション 2017/12/28 ファイアーエンブレム 完全新作 2018年 ザ・デッドヒートブレイカーズ 2018年春 ヨッシーfor Nintendo Switch(仮称) 2018年 超回転 寿司ストライカー The Way of Sushido 2018年 ポケットモンスターシリーズ 新作 2018年以降

Metroid Prime 4(仮称) 未定 米国(ソフトウェア) マリオ&ルイージRPG1 DX 2017/10/6 ファイアーエンブレム無双 2017/10/20 ファイアーエンブレム無双 2017/10/20 スーパーマリオ オデッセイ 2017/10/27 マリオパーティ100 ミニゲームコレクション 2017/11/10 いっしょにチョキッとスニッパーズ プラス 2017/11/10 ポケットモンスター ウルトラサン 2017/11/17 ゼノブレイド2 2017/12/1 ポケットモンスター ウルトラムーン 2017/11/17 星のカービィ スターアライズ 2018年春 カービィ バトルデラックス! 2018/1/19 ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ 2019年春 超回転 寿司ストライカー The Way of Sushido 2018年 ファイアーエンブレム 完全新作 2018年

ヨッシーfor Nintendo Switch(仮称) 2018年 project OCTOPATH TRAVELER(仮称) 2018年

ポケットモンスターシリーズ 新作 2018年以降 Metroid Prime 4(仮称) 未定 欧州(ソフトウェア) マリオ&ルイージRPG1 DX 2017/10/6 ファイアーエンブレム無双 2017/10/20 牧場物語 3つの里の大切な友だち 2017/10/13 スーパーマリオ オデッセイ 2017/10/27 ファイアーエンブレム無双 2017/10/20 いっしょにチョキッとスニッパーズ プラス 2017/11/10 カービィ バトルデラックス! 2017/11/3 ゼノブレイド2 2017/12/1 ポケットモンスター ウルトラサン 2017/11/17 星のカービィ スターアライズ 2018年春 ポケットモンスター ウルトラムーン 2017/11/17 ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ 2019年春 Girls Mode 4 スター☆スタイリスト 2017/11/24 ファイアーエンブレム 完全新作 2018年 マリオパーティ100 ミニゲームコレクション 2018年1月 ヨッシーfor Nintendo Switch(仮称) 2018年 超回転 寿司ストライカー The Way of Sushido 2018年 project OCTOPATH TRAVELER(仮称) 2018年

ポケットモンスターシリーズ 新作 2018年以降 Metroid Prime 4(仮称) 未定 その他 地域(種類) 名称 発売日 日本 ニンテンドークラシックミニ スーパーフアミコン 2017/10/5 日本(ソフトウェア) 地域(種類)

(9)

9

(8)投資判断とバリュエーション

同社の株価は、Nintendo Switchのヒットと「どうぶつの森 ポケットキャンプ」への期待で堅調な株価 推移が続いている。マーケットでは、ニンテンドーDSとWiiの2つの大ヒットで、2007年11月1日につ けた上場来高値(73,200円)が意識され始めているとみている。但し、SBI証券では、現段階に おいては、そこまで到達するのは難しいのではないかと考えている。ニンテンドーDSとWiiは、ともに自 社プラットフォームであり、自社のハードとソフトに加え、サードパーティーからの収益もあった。 Nintendo Switchは同様に自社のプラットフォームだが、モバイルゲームはそうではない。モバイル ゲームはディー・エヌ・エーとの協業での展開であり、収益も分け合う必要がある。また、Googleまたは Appleに取引手数料を支払う必要もあり、自社プラットフォームのような高い収益性は期待しにくいこ とによる。ニンテンドーDSとWiiの収益がピークを迎えた2009/3期は5,552億円の営業利益を計上 したが、今回は中期的なピークを迎えると予想している2021/3期のSBI証券の営業利益予想は 4,000億円と2009/3期の約72%の水準となる。 SBI証券では、目標株価を53,000円(中期的な利益のピークを予想している2021/3期予想 PER約23倍の水準[SBI証券予想ベース]に相当)に設定し、レーティングを「やや強気」とし、同社 株のカバレッジを開始する。53,000円は、上場来高値(2007.11.1 73,200円)の約72%の水 準であること、2019/3期予想PER約37倍の水準、2019/3期予想EV/EBITDA約24倍の水準 に相当し、ヒストリカルの同社株及び同業平均(スクウェア・エニックス・ホールディングス、バンダイナムコ ホールディングス、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、アクティビジョン・ブリザード、エレクトロニック・ アーツ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウェアなど10社)の予想PER、予想EV/EBITDAの推移(図 表8参照)からも、妥当な水準と考えていることによる。 株価がさらに上昇し、上場来高値を更新するには、① モバイルゲームでの自社プラットフォーム並み の高い収益が可能なことを示す、② モバイルゲームで広がった客層をゲーム専用機に誘導するなどの シナジーにより、収益力が一段と高まる、などで、中期的に営業利益の過去最高益(2009/3期の 5,552億円)を更新するシナリオが描けるようになることが必要となろう。 出所:QUICKデータを基にSBI証券投資調査部作成 図表8 同社と同業他社の予想PER、予想EV/EBITDAの推移 PERによる評価

(10)

10

(9)事業等のリスク

主なリスク 主なリスクとしては、 (1) 為替レートの変動 海外での売上割合は約7割を占めることに加えて、多額の外貨建資産も保有している。 円建資産に転換する場合だけでなく財務諸表作成のための換算においても為替レート の変動の影響を強く受ける。為替レートの変動による影響を軽減するために米ドル建 等の仕入を増やすなどの施策をとっているが、当該リスクを完全に排除することは困 難なこと、 今第2Q累計決算においては163.46億円の為替差益、2017/3期は52.56億円の為替差損、 2016/3期は183.56億円の為替差損、2015/3期は340.51億円の為替差益と、期末の為替 レートによって多額の為替差益または差損が発生することには注意が必要となる。因 みに、2018/3期の会社側の前提為替レートは、期中平均レートが1$=108.03円、1ユー ロ=125.64円、期末レートが1$=105.00円、1ユーロ=125.0円となっている。 (2) 事業環境に関するリスク 市場環境の変化や他社との競争の激化の他、様々な娯楽の趨勢による影響を受ける。 技術の進歩や革新で新たな競争相手が出現する可能性もある。ゲーム業界においては、 多額の研究開発費や広告宣伝費等が必要とされる一方で、巨大な同業他社や他のエン ターテインメント業種・業者との競合等の可能性もあり、これまで以上に利益を確保 し難い状況になる可能性があること (3)新製品開発に関するリスク ゲーム業界においては、製品のライフサイクルが比較的短く、嗜好性や季節性が強い こと などが挙げられよう。

(11)

図表9 損益計算書

出所:対象会社の公表資料を基にSBI証券投資調査部作成

2015/3期 2016/3期 2017/3期 2018/3期 2018/3期 2019/3期 2020/3期 2021/3期

(単位:百万円) 会社予想 SBI予想 SBI予想 SBI予想 SBI予想

売上高 549,780 504,459 489,095 960,000 980,000 1,250,000 1,385,000 1,500,000 売上原価 335,196 283,494 290,197 605,000 745,000 795,000 820,000 (原価率) 61.0% 56.2% 59.3% 61.7% 59.6% 57.4% 54.7% 売上総利益 214,584 220,965 198,898 375,000 505,000 590,000 680,000 (売上総利益率) 39.0% 43.8% 40.7% 38.3% 40.4% 42.6% 45.3% 販売費及び一般管理費 189,814 188,083 169,535 240,000 265,000 270,000 280,000 (販管費率) 34.5% 37.3% 34.7% 24.5% 21.2% 19.5% 18.7% 営業利益 24,770 32,881 29,362 120,000 135,000 240,000 320,000 400,000 (営業利益率) 4.5% 6.5% 6.0% 12.5% 13.8% 19.2% 23.1% 26.7% 受取利息 4,018 4,693 6,237 8,000 8,000 8,000 8,000 為替差益 34,051 - - 12,000 - - -有価証券償還益 5,233 6,801 - - - - -持分法による投資利益 952 1,887 20,271 10,000 8,000 8,000 8,000 その他 1,788 1,168 2,083 6,000 5,000 5,000 5,000 営業外収益合計 46,043 14,550 28,593 36,000 21,000 21,000 21,000 売上割引 205 106 3 有価証券償還損 - - 2,199 1,000 為替差損 - 18,356 5,256 その他 77 178 131 1,000 1,000 1,000 営業外費用合計 283 18,641 7,591 1,000 1,000 1,000 1,000 経常利益 70,530 28,790 50,364 125,000 170,000 260,000 340,000 420,000 (経常利益率) 12.8% 5.7% 10.3% 13.0% 17.3% 20.8% 24.5% 28.0% 固定資産売却益 47 9 185 368 投資有価証券売却益 - 398 64,589 475 その他 1,957 特別利益合計 3,737 407 64,775 2,800 0 0 0 固定資産処分損 446 351 328 15 事業再編損 1,729 1,130 80 その他 1,285 特別損失合計 2,176 1,482 409 1,300 0 0 0 税金等調整前当期純利益 72,091 27,715 114,730 171,500 260,000 340,000 420,000 法人税、住民税及び事業税 25,922 2,482 25,331 法人税等調整額 4,306 8,714 -13,183 法人税等合計 30,228 11,197 12,147 56,500 85,000 110,500 136,000 (税率) 41.9% 40.4% 10.6% 32.9% 32.7% 32.5% 32.4% 当期純利益 41,862 16,518 102,582 85,000 115,000 175,000 229,500 284,000 非支配株主に帰属する当期純利益 18 13 8 3,000 4,000 4,000 4,000 親会社株主に帰属する当期純利益 41,843 16,505 102,574 85,000 112,000 171,000 225,500 280,000 EPS(円) 353.40 137.40 853.87 707.75 932.35 1,423.49 1,877.18 2,330.87 DPS(円) 180.00 150.00 430.00 360.00 470.00 720.00 940.00 1,170.00 配当性向 50.9% 109.2% 50.4% 50.9% 50.4% 50.6% 50.1% 50.2% EBITDA 81,102 36,854 123,096 180,000 268,500 348,500 428,500 設備投資額 11,175 10,414 15,158 10,000 10,000 10,000 10,000 10,000 減価償却費 9,011 9,139 8,366 8,500 8,500 8,500 8,500 (うち有形固定資産) 6,401 6,180 5,543 6,000 6,000 6,000 6,000 6,000 研究開発費 63,336 69,066 59,197 70,000 70,000 80,000 85,000 85,000 広告宣伝費 54,834 46,636 48,726 78,000 78,000 80,000 70,000 75,000 期中平均レート(円) 1USドル= 109.93 120.14 108.38 106.00 112.00 112.00 112.00 112.00 1ユーロ= 138.77 132.58 118.79 115.00 125.00 130.00 130.00 130.00 連結USドル建売上高(億USドル) 20 17 17 36 48 55 56 連結ユーロ建売上高(億ユーロ) 11 9 10 17 19 21 22 USドル建仕入高(億USドル) 9 11 15 50 60 65 67 期末レート(円) 1USドル= 109.93 112.68 112.19 105.00 112.00 112.00 112.00 112.00 1ユーロ= 138.77 127.70 119.79 115.00 130.00 130.00 130.00 130.00 USドル建て 現預金(百万US$) 2,038 2,196 2,188 2,200 2,200 2,200 2,200 売掛金(百万US$) 233 149 500 1,000 1,000 1,000 1,000 買掛金(百万US$) 159 66 531 1,000 1,000 1,000 1,000 関係会社借入金(百万US$) 300 300 300 300 300 ユーロ建て 現預金(百万ユーロ) 778 665 495 500 500 500 500 売掛金(百万ユーロ) 108 111 333 700 700 700 700 発行済株式数 141,669,000 141,669,000 141,669,000 141,669,000 141,669,000 141,669,000 141,669,000 自己株式 23,297,005 21,539,677 21,541,341 21,542,077 21,542,077 21,542,077 21,542,077 自己株式を除く 118,371,995 120,129,323 120,127,659 120,126,923 120,126,923 120,126,923 120,126,923

(12)

12 図表10 貸借対照表

出所:対象会社の公表資料を基にSBI証券投資調査部作成

2015/3期 2016/3期 2017/3期 2018/3期 2019/3期 2020/3期 2021/3期 (単位:百万円) SBI予想 SBI予想 SBI予想 SBI予想

流動資産 1,097,597 1,021,135 1,140,742 1,333,478 1,444,085 1,541,363 1,669,015 現金及び預金 534,706 570,448 662,763 765,478 799,085 858,363 939,015 受取手形及び売掛金 55,794 38,731 106,054 105,000 130,000 135,000 150,000 有価証券 380,587 338,892 283,307 270,000 320,000 350,000 380,000 たな卸資産 76,897 40,433 39,129 100,000 100,000 100,000 100,000 繰延税金資産 15,597 6,597 332 350 350 350 350 その他 34,466 26,401 49,535 93,000 95,000 98,000 100,000 貸倒引当金 -451 -369 -379 -350 -350 -350 -350 固定資産 255,346 275,766 328,235 351,700 361,000 380,300 399,600 有形固定資産 91,488 87,752 86,558 86,000 85,100 84,200 83,300 建物及び構築物(純額) 42,447 39,977 38,707 38,000 37,000 36,000 35,000 機械装置及び運搬具(純額) 1,330 1,120 1,400 1,500 1,600 1,700 1,800 工具、器具及び備品(純額) 4,770 3,791 4,313 4,500 4,500 4,500 4,500 土地 42,925 42,553 42,133 42,000 42,000 42,000 42,000 建設仮勘定 14 309 3 0 0 0 0 無形固定資産 12,430 9,977 12,825 13,500 13,500 13,500 13,500 ソフトウエア 11,190 9,408 9,942 10,000 10,000 10,000 10,000 その他 1,240 568 2,882 3,500 3,500 3,500 3,500 投資その他の資産 151,426 178,037 228,851 252,200 262,400 282,600 302,800 投資有価証券 96,294 125,774 157,963 190,000 210,000 230,000 250,000 繰延税金資産 30,558 32,195 49,453 40,000 30,000 30,000 30,000 退職給付に係る資産 9,174 7,092 7,680 8,200 8,400 8,600 8,800 その他 15,399 12,974 13,753 14,000 14,000 14,000 14,000 資産 1,352,944 1,296,902 1,468,978 1,685,178 1,805,085 1,921,663 2,068,615 流動負債 144,232 98,437 184,109 321,000 327,600 334,000 341,500 支払手形及び買掛金 58,464 31,857 104,181 200,000 200,000 200,000 200,000 未払法人税等 16,529 1,878 11,267 23,000 24,000 25,000 27,000 賞与引当金 2,220 2,294 2,341 3,000 3,600 4,000 4,500 その他 67,018 62,407 66,319 95,000 100,000 105,000 110,000 固定負債 41,155 37,563 33,895 32,000 32,000 32,000 32,000 退職給付に係る負債 25,416 23,546 19,245 16,500 16,500 16,500 16,500 その他 15,739 14,017 14,650 15,500 15,500 15,500 15,500 負債 185,387 136,001 218,005 353,000 359,600 366,000 373,500 株主資本 1,160,578 1,174,118 1,262,239 1,317,178 1,400,485 1,510,663 1,650,115 資本金 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065 10,065 資本剰余金 11,734 13,256 13,256 13,256 13,256 13,256 13,256 利益剰余金 1,409,764 1,401,359 1,489,518 1,543,857 1,627,164 1,737,342 1,876,794 自己株式 -270,986 -250,563 -250,601 -250,000 -250,000 -250,000 -250,000 その他有価証券評価差額金 16,671 11,909 18,913 25,000 25,000 25,000 25,000 為替換算調整勘定 -9,804 -25,250 -30,312 -15,000 -15,000 -15,000 -15,000 その他の包括利益累計額合計 6,866 -13,341 -11,399 10,000 40,000 40,000 40,000 非支配株主持分 110 124 132 5,000 5,000 5,000 5,000 純資産 1,167,556 1,160,901 1,250,972 1,332,178 1,445,485 1,555,663 1,695,115 負債純資産 1,352,944 1,296,902 1,468,978 1,685,178 1,805,085 1,921,663 2,068,615 自己資本 1,167,445 1,160,776 1,250,840 1327178 1440485 1550663 1690115 自己資本比率 86.3% 89.5% 85.2% 78.8% 79.8% 80.7% 81.7% BPS 9,862.52 9,662.73 10,412.59 11,048.13 11,991.36 12,908.54 14,069.41 有利子負債合計 0 0 0 0 0 0 0 自己資本(期中平均) 1,142,863 1,164,111 1,205,808 1,289,009 1,383,832 1,495,574 1,620,389 ROE 3.7% 1.4% 8.5% 8.7% 12.4% 15.1% 17.3%

(13)

【利益相反関係発生の可能性】 SBI証券及びその関連する会社は、本レポートに記載された企業に対して投資銀行業務に関するサービスを提供する等、同企業と取引を行なってい る、または今後行なう可能性があります。したがって、本レポートを閲覧される投資家の皆さまは、本レポートの客観性に影響を与える利益相反関係 が当社に発生する可能性があることを予めご了承ください。本レポートはあくまでも投資判断の参考のための一つの要素としてご参照ください。 【重要な開示事項】 ・保有株式等について 当社は、レポートに掲載されている銘柄の株式について、今後保有し、または売買する可能性がございます。 当社が発行済株式総数の5%を超える株式等を保有しているとして大量保有報告を行なっている銘柄は当社WEBサイト (URL:http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop690_kaiji.html)にてご確認いただけます。 ・主幹事担当会社について 平成27年3月以降、募集・売出し(普通社債を除く)にあたり、株式会社SBI証券が、主幹事となっている銘柄は当社WEBサイト (URL:http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop690_kaiji.html)にてご確認いただけます。 ※WEBサイトを閲覧可能な環境にない方は下記【お問合わせ先】までご連絡ください。 【お問合わせ先】 ・株式会社SBI証券 カスタマーサービスセンター:0120-104-214 ※携帯電話・PHSからは0570-550-104(ナビダイヤル)をご利用ください。 ※ナビダイヤルは20秒10円(税抜)の通話料がかかります。 ・年末年始を除く平日8:00~18:00 【その他留意事項】 本資料は日本国内の投資家向けに投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個別の銘柄の売買推奨や、投資勧誘 を目的としたものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。本資料の内容は作成時点のも のであり、信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成したものですが、正確性、完全性を保証するものではありません。本資料に記載 の情報、意見等は予告なく変更される可能性があります。過去の実績値にもとづき推定された将来のパフォーマンス等に関する内容はあくまでもシ ミュレーションであり、お客さま個々人の運用成果等を保証または示唆するものではありません。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとし ても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行 うことは固く禁じます。 【手数料及びリスク情報等】 SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価 格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れ た保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異な りますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認くだ さい。 金融商品取引法に係る表示は下記の当社WEBサイトをご参照ください。 (URL:https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop6040_torihikihou.html) 商号等:株式会社SBI証券 金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

本レポートに関するご注意事項

【目標株価・レーティングについて】 目標株価は、弊社のアナリストが今後6カ月から1年の期間に達すると予想している株価水準です。 投資判断(レーティング)の定義は以下の通りです。対象期間は今後6カ月から1年間とします。 強気:目標株価が現在の株価を20%以上上回ると判断する銘柄 やや強気:目標株価が現在の株価を10%以上~20%未満上回ると判断する銘柄 中立:目標株価と現在の株価の差が±10%未満の範囲内にあると判断する銘柄 やや弱気:目標株価が現在の株価を10%以上~20%未満下回ると判断する銘柄 弱気:目標株価設定・目標株価が現在の株価を20%以上下回ると判断する銘柄 NR:投資判断を実施しない銘柄 ※本レーティングは当社アナリストが対象会社を評価・分析した結果算出した目標株価をベースにした絶対評価になります。 ※目標株価の根拠についてはレポート本文をご参照ください。

参照

関連したドキュメント

[r]

Apply 1 to 2 quarts of Crossbow for small weed control or up to 1.5 gallons of Crossbow for deep-rooted perennial and susceptible woody species control us-

[r]

4 OCHA Iraq Humanitarian Response Plan 2017, February 2017, pp.4-7; OCHA, Iraq: Humanitarian Snapshot (as of 30 September 2017); OCHA, Iraq: Humanitarian Bulletin, 16-30

[r]

(1) As explained in Note 26 to the accompanying consolidated financial statements, regarding nuclear damages caused by a series of accidents at Fukushima Daiichi Nuclear

These factors include, among others: our revenues and operating performance; economic conditions and markets (including current financial conditions): risks related to our ability to

設備種目 機器及び設備名称 メンテナンス内容 協定書回数