コンテンツツーリズムの取り組みの重要度に関する定量分析－ベスト・ワースト・スケーリングによる接近－

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(1)地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 論説. コンテンツツーリズムの取り組みの重要度に関する定量分析－ベスト・ワースト・スケーリングによる接近－赤沢克洋（島根大学）・古安理英子（島根大学） . ［要旨］コンテンツツーリズムの取り組みを充実させるためには、旅行者選好に基づくマーケティング管理が必要である。その端緒は旅行者がコンテンツツーリズムに対して何を求めているのかを把握することである。しかし、コンテンツツーリズムにおける旅行者ニーズの把握は十分ではない。そこで本研究では、旅行者の視点からコンテンツツーリズムの取り組みの重要度を定量的に明らかにすることを目的とした。このために、ベスト・ワースト・スケーリングに基づいたアンケート調査を実施し、コナンのまちづくりを分析対象とした２つの分析課題に取り組んだ。第１に、ランダムパラメータロジットモデルを適用した結果から、①作品の世界を味わえるような取り組みが旅行者にとって最も重要であること、②コナン通りに見どころをつくる取り組み、撮影スポットを充実させる取り組み、家族で遊べる施設や場所を充実させる取り組み、コナンに関するグッズを充実させる取り組みが重要であること、③入館料を下げる取り組みが相対的に重要でないことがわかった。第２に、交差項を含めた推定を行った結果から、①若年層、長時間滞在、女子旅、子供連れ以外、休憩目的以外、コナンファン、コナンマニア、漫画アニメ愛好、聖地巡礼および買い物愛好の属性や選好をもつ旅行者ほど作品の世界を味わえるような取り組みの重要度が相対的に高いこと、②男性、県内居住、長時間滞在、女子旅、子供連れ以外、コナンファン、コナンマニア、漫画アニメ愛好、聖地巡礼および買い物愛好の属性や選好をもつ旅行者ほどコナンのまちづくりにおける様々な取り組みの重要度が相対的に高いこと、③旅行者のいくつかの属性や選好と取り組みの重要度には理論整合的な関係が確認できることが示された。. キーワード：コンテンツツーリズム、旅行者選好、マーケティング、ベスト・ワースト・スケーリング（BWS）、漫画・アニメ「名探偵コナン」 Ⅰ．緒言. であることやコンテンツの舞台であることを活. コンテンツツーリズムとは、地域に関わるコ. かしてコンテンツをテーマとした観光振興に取. ンテンツ（映画、テレビドラマ、小説、まんが、. り組んでいる。. ゲーム等）を活用して観光と関連産業の振興を. マーケティング管理は、セグメンテーション、. 図ることを意図したツーリズムのことである. ターゲティング、ポジショニング（STP）に沿. １）. 。コンテンツツーリズムを推進している地域. って、マーケティング・ミックス（4P）を策. には、妖怪をテーマとした観光まちづくりを展. 定していくことを基本的枠組みとするが、その. 開している鳥取県境港市（「水木しげるロード」）. ベースとなるのがマーケティング・リサーチで. やアニメ聖地巡礼地として有名になった埼玉県. ある。マーケティング・リサーチとは、マーケ. 久喜市旧鷲宮町（「らき☆すた」）等がある。こ. ティング上の特定の課題に対応するために行わ. れらの地域は、コンテンツの作者にゆかりの地. れる情報の特定、情報収集、分析、結果の提示. － 1 －.

(2) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. に関する一連の活動である２）。コンテンツツー. ージアムや宝塚市立手塚治虫記念館において来. リズムのあり方を示した国土交通省総合政策局. 館者の社会経済属性の把握とともに、トラッキ. 観光地域振興課ほか（2005）は、コンテンツツ. ングとよばれる追跡調査に基づき見学経路や滞. ーリズムにおいて顧客満足度等に関する調査を. 在時間といった見学行動を明らかにしている。. 通じて顧客の声を把握し、それを反映した観光. また、来館者の評価や意向を明らかにした研究. 地づくりやコンテンツの提供を行うことが望ま. としては、京都国際マンガミュージアムへの外. れることを指摘している。このように、コンテ. 国人客を対象とした村田（2017）と青山剛昌ふ. ンツツーリズムにおいてもマーケティング管理. るさと館への来館者を対象とした倉持・吉弘. のベースとなるマーケティング・リサーチの果. （2010）がある。村田（2017）は滞在時間延長. たす役割は大きい。. や観光地の魅力としての評価を明らかにし、倉. コンテンツツーリズムの課題はコンテンツツ. 持・吉弘（2010）は施設評価として満足度、良. ーリズムの取り組みを通じて旅行者の誘引や旅. くなかった展示物、足りないもの、再訪意向を. 行満足の向上を図っていくことである。したが. 調査し、施設の改善点を明らかにしている。. って、コンテンツツーリズムにおけるマーケテ. 以上のように、コンテンツツーリズムにおけ. ィング・リサーチでは、旅行者の誘引や旅行満. る旅行者の属性、意識、行動の把握が試みられ. 足の向上に結びつくコンテンツツーリズムの取. ているが、その多くはアニメ聖地巡礼を取り上. り組みを旅行者ニーズとして把握することが肝. げたものである。また、コンテンツツーリズム. 要となる。つまり、コンテンツツーリズムの取. の拠点となる博物館や記念館を取り上げた研究. り組みの重要度を旅行者の視点から定量的に明. は見学行動の把握が主であり、コンテンツツー. らかにすることがマーケティング管理の端緒と. リズムに対する旅行者の評価や意向について検. なる。さらに、より効果的なマーケティング管. 証した研究は前述の村田（2017）、倉持・吉弘. 理のためには、適切なターゲティングとポジシ. （2010）に限られる。このように既存研究では、. ョニングを行うことを念頭において、取り組み. コンテンツツーリズムの取り組みの重要度とい. の重要度が高い旅行者の特徴を把握することが. った旅行者ニーズを定量的に明らかにすること. 重要である。. が旅行者の誘引や旅行満足の向上にとって重要. コンテンツツーリズムに関して旅行者を分析. となるにもかかわらず、コンテンツツーリズム. 対象とした研究を概観すると、アニメや映画の. における旅行者ニーズの把握は十分ではない。. 舞台となった地域への聖地巡礼行動を取り上. また、取り組みの重要度が高い旅行者の特徴は. げ、旅行者の属性や特性等の特徴把握に取り組. ターゲティングとポジショニングのための基礎. んだ研究が多くなされている。たとえば、旅行. 情報となるが、取り組みの重要度に差をもたら. 者の属性や旅行行動（岡本、2012；佐藤ほか、. す旅行者の特徴に言及した研究は管見の限りな. 2018等）、動機や感情（楠見・米田、2018；大. い。. 方ほか、2017等）、ツアーやイベントの評価（花. そこで本研究は、旅行者ニーズの１つとして. 房、 2015；釜石、 2011等）、地域愛着との関係（本. コンテンツツーリズムの取り組みに対する旅行. 田、2018等）等が明らかにされている。. 者の重要度に焦点をあて、それを定量的に明ら. また、コンテンツに関わる博物館や記念館等. かにすることを目的とする。そのために、相対. の展示施設において、来館者の属性や行動、評. 評価の分析手法であるベスト・ワースト・スケ. 価や意向について明らかにした研究もみられ. ーリング（Best-Worst Scaling、以下BWS）を. る。まず、来館者の属性や滞在行動を明らかに. 援用し、次の２つの分析課題に取り組む。第１. した研究としては、谷川（2013）、村田ほか. に、BWSデータについてランダムパラメータ. （2012）、村田ほか（2010）、山中ほか（2011）. ロジットモデル（Random Parameter Logit. がある。これらの研究は、京都国際マンガミュ. Model、以下RPLモデル）を適用して、コンテ. － 2 －.

(3) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. ンツツーリズムの取り組みの相対的な重要度を. れる。. 明らかにする。第２に、交差項を含めた推定を. BWSは評価対象である選択肢の特徴によっ. 行い、旅行者間でコンテンツツーリズムの取り. て３タイプに分けられるが５）、本研究の評価対. 組みの重要度に差をもたらす要因を明らかにす. 象が取り組みの重要度であるため、複数の項目. る。コンテンツツーリズムの取り組みの重要度. を提示し、最も優先順位が高い項目と低い項目. に差をもたらす要因の候補には、旅行者属性と. を選択させるオブジェクト型を用いた。. 旅行者選好を取り上げる。. BWSの調査では、調査票の作成のために、. 分析対象には、鳥取県東伯郡北栄町の「名探. BWSの質問文の設定と選択肢の選定をした上. 偵コナンに会えるまち北栄町」をテーマとした. で、選択肢集合を作成する必要がある。選択肢. 観光まちづくり（以下、コナンのまちづくり）. 集合とは、選択肢の組み合わせのことである。. を取り上げる。『名探偵コナン』の原作者青山. BWSでは、選択肢間の相対評価を行うために各. 剛昌氏の出身地である同町では、拠点施設であ. 選択肢集合を各質問として回答者に提示し、. る「青山剛昌ふるさと館」の開館、ブロンズ像. BestとWorstを繰り返し尋ねる。このとき用い. の設置、コナン通りや米花商店街の整備、イベ. られる選択肢集合のセットを全選択肢集合と呼. ントの開催等といった観光まちづくりに積極的. ぶ。選択肢集合を作成するためには、釣合い型. に取り組んでいる。コナンのまちづくりはコン. 不完備ブロック計画（Balanced Incomplete. テンツツーリズムを推進して20年以上が経過し. Block Design：BIBD）を用い、選択肢集合の. ており、これまでに様々な取り組みを図ってき. 数（質問数）、選択肢集合における選択肢の項. ていることから分析対象として適した事例であ. 目と数（各質問の選択肢内容と選択肢数）を決. るといえる。. 定する。なお、BIBDで得られる選択肢集合は、. Ⅱ．BWS. るよう抽出される。. 全選択肢集合で各選択肢が同じ回数だけ出現す BWSは、1980年代後半にJ. J. Louviereによって. 本研究では、コナンのまちづくりにおける取. 開発された、選択肢の相対評価に関するデータ. り組みとして「最も優先順位が高いこと」およ. から回答者の選好を明らかにする手法である。. び「最も優先順位が低いこと」を尋ねることとし、. 日本では2000年代からマーケティングや環境評. その選択肢（取り組み項目）として13項目を選. 価等の様々な分野において適用されている。. 定した。その13項目からBIBDに基づき選択肢. BWSでは、アンケート票において複数の選. 集合を作成したところ、選択肢集合の数は13、. 択肢の中から最も優先順位が高い選択肢（Best）. 各選択肢集合の選択肢数は４となった。つまり、. ３）. と最も優先順位が低い選択肢（Worst）を選ぶ. 今回使用するBWSの質問は４肢からBestと. 質問を繰り返し行い、そのデータの集計・分析. Worstのそれぞれ１つを選択する13問である。. を通して回答者の各選択肢に対する相対的な重. データの分析には、計数法とモデリング法の. 要度を明らかにする。BWSのメリットは、まず、. ２つがあるが、本研究ではより操作性が高く、. 段階評定法では測りきれない選択肢間の評価の. より精緻な結果が得られると期待できるモデリ. 差を明確に把握でき、各選択肢の重要度を明ら. ング法を採用する。モデリング法は、モデルを. かにできることである。また、BWSでは回. 推定して得られたパラメータから各項目の相対. 答者は評価基準に対して極端な選択肢を選べば. 評価を行う方法である。具体的には、max-diff. よいので、順位付けする方式と比べて回答者の. モデル６）に対して条件付きロジットモデル. 心理的負担が軽減される。さらに、優先順位が. （Conditional Logit Model、以下、CLモデル）. ４）. 高い選択肢だけでなく、優先順位が低い選択肢. やRPLモデルを適用していく。. も尋ねることにより、単に優先順位が高い選択. 柘植ほか（2016、pp.68-70）によれば、max-. 肢だけを選択するものよりも多くの情報を得ら. diffモデルでは、選択可能なBestとWorstの組. － 3 －.

(4) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. み合わせのすべてについて、回答者は評価尺度. 異なることを許容して、RPLモデルの推定結果. 上の位置の差を検討し、差が最大になる組み合. を採用した。また、主効果のみのモデルに加え. わせをBestとWorstとして選択すると仮定す. て交差項を含むモデルも採用したため、平均パ. る。１つの選択肢集合に J 個の項目が含まれる. ラメータとしては主効果パラメータのみあるい. 場合、選択可能なBestとWorstの組み合わせは. は主効果パラメータと交差項パラメータの両方. J （ J -1）個である。本研究では、１つの選択肢. が推定される。分析には、統計分析環境Rのパ. 集合には４個の項目が含まれるため J =4であ. ッケージ（crossdes、support.BWS、mlogit、. り、選択可能なBestとWorstの組み合わせは12. gmnl）を用いた７）。. 個存在する。ここで、βi が評価尺度上の選択肢 i の位置を. Ⅲ．データ. 表すとすると、選択肢 i と選択肢 j の評価尺度. １．分析対象の概要. 上の位置の差Differenceij は、. コナンのまちづくりは、鳥取県東伯郡北栄町（旧大栄町）において『名探偵コナン』の原作者青山剛昌氏の出身地であることから始まった. Differenceij =βi -βj +εij. 名探偵コナンをテーマとした観光まちづくりのと表せる。εij は誤差項を表す。. 取り組みである８）。1997年に「コナンの里」構. さらに、誤差項εij が独立で同一なガンベル分. 想が提言されて以降、コナン通りやコナン大橋. 布に従うと仮定すると、CLモデルが適用でき. の整備、ブロンズ像の設置等が進められ、旧北. る。すなわち、回答者が J の選択肢の中から選. 条町との合併後の2005年から「名探偵コナンに. 択肢 i をBest、選択肢 j をWorstとして選択する. 会えるまち北栄町」をテーマとしたコナンのま. 確率Pij は次式で表される。. ちづくりが本格的に取り組まれている（第１図）。また、鳥取空港とJR由良駅の愛称がそれ. exp （βi -βj ）. Pij = J J ∑l=1 exp （βk -βl ） -J ∑k=1 . ぞれ「鳥取砂丘コナン空港」と「コナン駅」と. CLモデルはすべての回答者が同質な選好をも. づくりがなされている。. つことを仮定している。一方、RPLモデルは各. 2007年に、コナンのまちの拠点施設として「青. なり、名探偵コナンを軸とした観光PRと魅力. 選択肢に対する回答者の評価が個人間で異なる. 9. ことを仮定した離散選択モデルであり、個人ご. 道の駅大栄由良川. とのパラメータが確率分布にしたがって連続的に分布すると仮定し、確率分布の平均と標準偏差を推定する。RPLモデルにおいて、回答者が. ● ●. 青山剛昌ふるさと館. 選択肢 i をBest、 j をWorstとして選択する確率 P ijr は次式で表される。コナンの家米花商店街. （β f │μ,σ） dβ P ijr =∫Pij（β）. コナン通り. ● ●. なお、μは確率分布の平均、σは標準偏差を表. コナン大橋. す。RPLモデルでは、CLモデルのパラメータに相当する平均パラメータと個人間の多様性を示す標準偏差パラメータが推定される。. 100m. 本研究では、CLモデルとRPLモデルの両モデルについて推定を行ったが、個人間で選好が－ 4 －. 第 1 図対象地域第１図対象地域図注）国土地理院地図をもとに著者作成図注）国土地理院地図をもとに著者作成.

(5) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 第1表. 山剛昌ふるさと館」が開館した９）。「青山剛昌. BWS 項目第１表 BWS項目. ふるさと館」は、入館料が大人700円、中高生. 項目. 内容. 500円、小学生300円であり、青山氏の作品の紹. コナン通り. コナン通りに見どころをつくること. 撮影スポット撮影スポットを充実させること. 介や展示がされている常設展示に加え、イベント等にあわせた特別展示がある。また、コナンに関するグッズの販売コーナーが併設されている。入館者数は年々増加傾向にあり、総入館者数は開館７年目にあたる2014年に50万人に達し、さらに開館11周年目にあたる2018年には 100万人を達成した。青山剛昌ふるさと館からコナン駅（JR由良駅）までのルート（約1.4km）は「コナン通り」. 休憩施設. くつろげる休憩施設を充実させること. 娯楽施設. 娯楽性の高い施設を充実させること. 飲食施設. 飲食施設を充実させること. 館内展示. 定期的に展示物の入れ替えを行うこと. 家族滞在. 家族で遊べる施設や場所を充実させること. イベント. イベントを充実させること. ファン交流. ファン同士の交流の機会を設けること. 情報. コナンに関する情報を充実させること. グッズ. コナンに関するグッズを充実させること. 世界観. コナンの世界を味わえるようにすること. 入館料. 入館料を 200 円だけ下げること. と名付けられ、コナンに関するブロンズ像やモ. における取り組みとして、コナン通り、青山剛. ニュメント等が設置されている。2017年には、. 昌ふるさと館や米花商店街のようなハード面の. 飲食施設・喫茶やグッズ販売施設が集まる「コ. 整備がなされていることから、施設系の項目と. ナンの家米花商店街」がコナン通り沿いに完. して「コナン通り」「撮影スポット」「休憩施設」. 成した。また、作品や漫画に関するイベント、. 「娯楽施設」「飲食施設」「館内展示」「家族滞在」. 街歩きや体験活動といった催しも多く開催され. の７項目を取り上げた。また、作品や漫画に関. ている。. するイベント、街歩きや体験活動といった催し、グッズ販売のようなソフト面の整備がなされて. ２．アンケート調査. いることから、サービス系の項目として「イベ. コナンのまちづくりにおける取り組みの重要. ント」「ファン交流」「情報」「グッズ」「世界観」. 度に関するBWSのデータを得るためにアンケ. 「入館料」の６項目を取り上げた。他方で、こ. ート調査を実施した。調査地点を青山剛昌ふる. れらの取り組みは、コンテンツツーリズムに特. さと館前、コナン通りおよび米花商店街に設定. 有な項目（「コナン通り」「撮影スポット」「館. し、旅行者を回答主体として自記式による調査. 内展示」「イベント」「ファン交流」「情報」「グ. を行った。調査期間は2018年10月から11月の４. ッズ」「世界観」）とツーリズムに共通な項目（「休. 日間とした。その結果、 431人から回答が得られ、. 憩施設」「娯楽施設」「飲食施設」「家族滞在」「入. そのうち有効回答400部を分析に供試した。. 館料」）に分けることもできる。なお、すべて. アンケート票は、①コナンのまちづくりにお. の回答者に対して同じ全選択肢集合を用いた。. ける取り組みの重要度に関するBWSの質問と. 第２図に選択肢集合の例を示す。. ②コナンのまちづくりにおける取り組みの重要. 次に、コナンのまちづくりにおける取り組み. 度に差をもたらす要因に関する質問から構成さ. の重要度に差をもたらす要因に関する質問は、. れる。. 旅行者属性と旅行者選好を尋ねるものである。. まず、BWSの質問は、コナンのまちづくり. このうち、旅行者属性に関する質問（第２表）. における取り組みとして「最も優先順位が高い. には、性別、年齢層、居住地、滞在、訪問経験. こと」および「最も優先順位が低いこと」を４. の有無、同行形態、訪問目的を取り上げた。年. つの選択肢の中から１つずつ選択してもらうも. 齢層、居住地および訪問経験の有無を除く項目. のであり、前述のように13の質問（選択肢集合）. は当てはまるか否かを２件法で問うた。旅行者. から構成される。取り組み項目は、現地調査お. 属性の集計結果をみると、「女性」が「男性」. よび文献調査等に基づいて第１表に示す13項目. と比べてやや多い。年齢層は「20代」が３割を. を選定した。具体的には、コナンのまちづくり. 占めて最も多く、また「30代」「40代」が約２. － 5 －.

(6) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 最も優先順位が高い. コナンのまちづくりにおける取り組み. 最も優先順位が低い. くつろげる休憩施設を充実させることイベントを充実させることコナンに関するグッズを充実させること入館料を 200 円だけ下げること. 第２図選択肢集合の例. 第2図. 選択肢集合の例. 割ずつであった。居住地は「県外」が８割を占. 形式は各項目について当てはまるか否かの２件. める。滞在は「日帰り」が約２割、「２時間以. 法とした。旅行者選好の集計結果によれば、最. 上滞在」が１割ほどであった。訪問経験は「初. も選択率が高い選好は「コナンファン」であり、. めて」が７割以上を占めており、「２回目」が. その回答率は６割近くを占めていることがわか. １割未満であった。同行形態は「子供連れ」が. る。さらに、「漫画アニメ愛好」「旅行愛好」も. ３割近くを占め、「夫婦・恋人」が２割強を占. ５割以上と高かった。また、「買い物愛好」が. めていた。訪問目的は４割を超える旅行者が「主. ３割近く、「聖地巡礼」「コナンマニア」がそれ. 目的」であった。. ぞれ１割強であった。. 旅行者選好に関する質問（第３図）には、取り組みの重要度に影響を及ぼすことが理論的に. Ⅳ．分析結果. 予想される変数として、「コナンファン」「漫画. １．コナンのまちづくりにおける取り組みの重. アニメ愛好」等の６項目を取り上げた10）。回答第第２表旅行者属性第 22 表表旅行者属性旅行者属性. 要度. 43.3% 43.3% 訪訪 1 1 回目回目 56.8% 回目 56.8% 問問 2 2 回目 0.5% 経 33 回目 0.5% 経回目. 性性男性男性別別女性女性年 10 10 代未満代未満年齢齢層層. 10 10 代代 20 20 代代. 11.0% 11.0% 験験 4 4 回目回目 30.3% 5 30.3% 5 回目以上回目以上 23.3% 23.3% 同同一人旅一人旅. 30 30 代代 40 40 代代. 22.8% 22.8% 9.5% 9.5%. 50 代代 50 60 代 60 代居居住住. 行行形形. 女子旅女子旅夫婦・恋人夫婦・恋人. 2.3% 態子供連れ 2.3% 態子供連れ 0.5% 団体旅行 0.5% 団体旅行 18.0% 18.0% 訪訪主目的主目的. 70 70 代代県内県内. 県外県外滞滞日帰り日帰り在在 22 時間以上滞在時間以上滞在. 82.0% 82.0% 23.5% 23.5%. 問問目目. 休憩目的休憩目的計画外訪問計画外訪問. コナンのまちづくりにおける取り組みの相対的な重要度を明らかにするために、RPLモデル. 72.5% 72.5% 9.8% 9.8%. を推定した。モデル推定は、「入館料」の主効. 6.0% 6.0% 1.0% 1.0%. 果パラメータを０とし、残りの12項目の取り組みの相対評価を主効果パラメータとして算出し. 10.8% 10.8% 2.0% 2.0%. た。つまり、主効果パラメータが有意な正値を. 9.0% 9.0% 23.5% 23.5%. とるならば「入館料」と比べて相対的に重要度が高く、有意な負値をとるならば「入館料」と. 28.3% 28.3% 5.3% 5.3%. 比べて相対的に重要度が低いことを示している。第３表の主効果のみの列に推定結果を示す。. 44.3% 44.3% 14.3% 14.3%. 第３表をみていくと、主効果パラメータはす. 7.0% 7.0% 5.3% 5.3%. べての項目において１%水準で有意であり、「フ. 13.8% 13.8% 的的付き添い付き添い表注）滞在、同行形態および訪問目的の質問は、各項表注）滞在、同行形態および訪問目的の質問は、各項. ァン交流」において負値、それ以外の項目において正値をとっていた。このことから、基準と. 目について当てはまるか否かを尋ねている。目について当てはまるか否かを尋ねている。. コナンファンコナンファンコナンマニアコナンマニア漫画アニメ愛好漫画アニメ愛好聖地巡礼聖地巡礼旅行愛好旅行愛好買い物愛好買い物愛好. 0% 0%. 名探偵コナンのファンである名探偵コナンのファンである名探偵コナンのマニアである名探偵コナンのマニアである漫画・アニメが好きである漫画・アニメが好きである漫画・アニメの聖地巡礼をしたことがある漫画・アニメの聖地巡礼をしたことがある旅行に行くことが好きである旅行に行くことが好きである買い物をすることが好きである買い物をすることが好きである. 20% 20%. 40% 40%. 当てはまる当てはまる. 60% 60%. 80% 80%. 100% 100%. 当てはまらない当てはまらない. 第旅行者選好第 33 図図第３図旅行者選好旅行者選好－ 6 －.

(7) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 第3表. RPL モデルの推定結果（主効果・旅行者属性）第３表 RPLモデルの推定結果（主効果・旅行者属性）. 主効果のみ男性若年層県内居住主効果係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 1.684*** 22.95 1.492*** 17.11 1.780*** 19.42 1.673*** 21.23 撮影スポット 1.498*** 21.00 1.452*** 16.23 1.400*** 16.01 1.550*** 19.85 休憩施設 0.797*** 13.44 0.668*** 8.66 0.945*** 12.14 0.736*** 11.34 娯楽施設 0.856*** 14.27 0.695*** 8.95 0.740*** 9.64 0.749*** 11.50 飲食施設 0.638*** 10.67 0.606*** 7.72 0.686*** 8.81 0.536*** 8.19 館内展示 0.888*** 14.49 0.874*** 10.99 0.982*** 12.44 0.825*** 12.42 家族滞在 1.245*** 19.43 1.072*** 13.34 1.392*** 16.78 1.113*** 16.38 イベント 0.984*** 16.61 0.869*** 11.41 0.919*** 12.20 0.933*** 14.47 ファン交流 -0.644*** -7.97 -0.818*** -7.98 -0.662*** -6.79 -0.723*** -8.21 情報 0.760*** 13.09 0.687*** 9.09 0.592*** 7.98 0.748*** 11.77 グッズ 1.009*** 17.02 0.995*** 12.93 0.849*** 11.34 1.032*** 15.86 世界観 1.806*** 22.83 1.902*** 19.12 1.538*** 16.96 1.814*** 21.31 交差項係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 0.454*** 3.70 -0.210* -1.71 0.110 0.69 撮影スポット 0.120 0.95 0.256** 2.01 -0.248 -1.53 休憩施設 0.302** 2.57 -0.353*** -2.98 0.358** 2.32 娯楽施設 0.378*** 3.19 0.289** 2.43 0.610*** 3.93 飲食施設 0.081 0.68 -0.108 -0.90 0.578*** 3.71 館内展示 0.037 0.31 -0.222* -1.87 0.367** 2.37 家族滞在 0.409*** 3.41 -0.342*** -2.84 0.755*** 4.74 イベント 0.274** 2.39 0.174 1.51 0.305** 2.03 *** ファン交流 0.386 2.92 0.032 0.24 0.424** 2.50 情報 0.175 1.53 0.416*** 3.60 0.087 0.58 グッズ 0.038 0.33 0.399*** 3.43 -0.096 -0.64 世界観 -0.213 -1.63 0.671*** 5.04 0.004 0.02 標準偏差係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 0.511*** 3.22 0.496*** 3.05 0.508*** 3.19 0.531*** 3.44 撮影スポット 0.833*** 6.94 0.840*** 7.01 0.844*** 7.05 0.818*** 6.74 休憩施設 0.535*** 3.81 0.540*** 3.87 0.516*** 3.58 0.548*** 3.95 娯楽施設 0.515*** 3.62 0.519*** 3.64 0.516*** 3.64 0.496*** 3.39 飲食施設 0.658*** 5.22 0.659*** 5.21 0.670*** 5.38 0.653*** 5.14 館内展示 0.620*** 4.76 0.616*** 4.72 0.565*** 4.10 0.611*** 4.65 家族滞在 0.513*** 3.53 0.517*** 3.59 0.496*** 3.35 0.482*** 3.19 イベント 0.005 0.05 0.005 0.06 0.004 0.05 0.004 0.04 ファン交流 0.892*** 6.46 0.906*** 6.59 0.903*** 6.57 0.899*** 6.55 情報 0.043 0.32 0.040 0.30 0.044 0.34 0.042 0.31 グッズ 0.070 0.42 0.075 0.46 0.058 0.35 0.063 0.38 世界観 0.932*** 7.80 0.912*** 7.57 0.904*** 7.49 0.942*** 7.94 対数尤度 -11622 -11592 -11540 -11577 疑似 R2 0.078 0.080 0.084 0.081 表注）***、**、*は、それぞれ 1%、5%、10%水準で有意なことを示す。. 日帰り長時間滞在係数 t 値係数 t値 1.722*** 21.21 1.618*** 21.06 1.573*** 19.61 1.495*** 19.64 0.871*** 12.82 0.713*** 11.23 0.928*** 13.54 0.840*** 13.09 0.635*** 9.31 0.540*** 8.43 0.905*** 13.04 0.833*** 12.76 1.225*** 17.11 1.205*** 17.64 0.972*** 14.53 0.905*** 14.43 -0.609*** -6.91 -0.745*** -8.64 0.762*** 11.53 0.629*** 10.21 1.019*** 15.16 0.878*** 14.07 1.847*** 21.12 1.646*** 20.47 係数 t 値係数 t値 -0.157 -1.11 0.665*** 3.52 -0.321** -2.21 0.165 0.86 -0.310** -2.28 0.723*** 3.97 -0.306** -2.23 0.221 1.21 0.012 0.09 0.817*** 4.44 -0.073 -0.53 0.515*** 2.83 0.089 0.64 0.436** 2.38 0.049 0.37 0.696*** 3.90 -0.157 -1.02 0.705*** 3.57 -0.007 -0.06 1.065*** 5.96 -0.040 -0.30 1.085*** 5.95 -0.172 -1.14 1.365*** 6.54 係数 t 値係数 t値 0.514*** 3.26 0.535*** 3.47 0.824*** 6.82 0.839*** 6.96 0.527*** 3.71 0.574*** 4.25 0.510*** 3.55 0.520*** 3.63 0.659*** 5.22 0.683*** 5.49 0.623*** 4.80 0.639*** 4.99 0.505*** 3.42 0.533*** 3.74 0.004 0.05 0.005 0.06 0.897*** 6.51 0.923*** 6.73 0.042 0.31 0.047 0.35 0.071 0.43 0.057 0.34 0.930*** 7.77 0.918*** 7.58 -11609 -11568 0.079 0.082. した「入館料」と比べて、「ファン交流」の重. とっており、コナンの世界を味わえるような取. 要度が低く、「ファン交流」を除く取り組みの. り組みが利用者にとって最も重要であることが. 重要度が高いといえる。旅行者が価格に反応し. 示唆される。また、「コナン通り」「撮影スポッ. やすく「入館料」の重要度は中位程度となると. ト」「家族滞在」「グッズ」においても高い重要. 予想していたが、多くの取り組みは入館料を. 度を示していた。このように、コナン通りに見. 200円だけ下げることより重要度が高く、入館. どころをつくること、撮影スポットを充実させ. 料を200円だけ下げる取り組みが旅行者にとっ. ること、家族で遊べる施設や場所を充実させる. てそれほど重要度が高くないことが示された。. こと、コナンに関するグッズを充実させること. 主効果パラメータの大きさを比較すると、「世. も取り組みとして重要である。それらに次ぐ重. 界観」において最も大きい主効果パラメータを. 要度の高さであったのが「イベント」「館内展示」. － 7 －.

(8) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 「娯楽施設」「休憩施設」「情報」「飲食施設」で. が高いことから、コナンのまちづくりは傾向. あった。これらの取り組みは、コナンの世界を. としては相対的に男性向けのコンテンツであるといえる。. 味わえるようにすること等の前述の取り組みと比べると重要度は低いものの、入館料を200円. ②20代以下の若年層の方が30代以上と比べて. だけ下げることと比べて重要度の高い取り組み. 「撮影スポット」「娯楽施設」「情報」「グッズ」. であることが示された。また、「ファン交流」. 「世界観」の重要度が高く、「休憩施設」「家. は「入館料」と比べても相対的に重要度が低く、. 族滞在」の重要度が低い。このように、若年. 最も重要度が低い取り組みであった。. 層はコンテンツツーリズムに特有な取り組み. 標準偏差パラメータは、「コナン通り」「撮影. へのニーズがより高く、30代以上は休養へのニーズがより高いことが示唆される。. スポット」「休憩施設」「娯楽施設」「飲食施設」「館内展示」「家族滞在」「ファン交流」「世界観」. ③鳥取県内に居住する旅行者の方が県外居住者と比べて「休憩施設」「娯楽施設」「飲食施設」. において１％水準で有意であった。この結果から、これらの取り組みの重要度が旅行者間で多. 「館内展示」「家族滞在」「イベント」「ファン交流」の重要度が高い。このように、鳥取県. 様性をもつことが示された。. 内居住者には主に休憩や娯楽、飲食等の場の２．取り組みの重要度に差をもたらす要因. 提供とイベントやファンとの交流の開催がよ. コナンのまちづくりにおける取り組みの重要. り重要となる。. 度に差をもたらす要因を明らかにするために、. ④日帰りで訪れている旅行者の方が宿泊する旅. 交差項を含むRPLモデルを推定した。交差項に. 行者と比べて「撮影スポット」「休憩施設」「娯. は、旅行者属性11項目11）、旅行者選好６項目12）. 楽施設」の重要度が低い。つまり、宿泊旅行. を取り上げた。これらの旅行者属性と旅行者選. 者にとっては休憩や娯楽がより重要であると. 好を交差項としたRPLモデルの推定結果を第３. いえる。 ⑤長時間滞在している旅行者の方がそうでない. 表、第４表、第５表にそれぞれ示す。たとえば、男性の交差項は男性１、女性０を. 場合と比べて「撮影スポット」「娯楽施設」. とるダミー変数と各変数との積であり、主効果. を除く多くの取り組みの重要度が高い。この. と交差項を含めたコナン通りのパラメータは男. ように、滞在時間が長い旅行者ほど重要度の. 性が1.946（=1.492＋0.454）、女性が1.492と推定. 高い取り組みが多くなることはその希求水準. される。さらに、交差項パラメータが１%水準. の高さを考えると妥当な結果である。. で有意な正値であることから、男性の方が女性. ⑥初めて訪れる旅行者の方がリピーターと比べ. と比べてコナン通りの重要度が有意差をもって. て「娯楽施設」「飲食施設」「イベント」「フ. 高く、性別はコナン通りの取り組みの重要度を. ァン交流」の重要度が低い。この結果はリピ. 左右する要因であると解釈できる。. ーターの方が希求水準が高いと考えると理論. 以下では、交差項を含むRPLモデルの推定結. 整合的であり、リピーターの確保のためには. 果について５%水準で有意差がみられた交差項. 娯楽や飲食の場の提供、イベントやファンと. に注目してみていく。. の交流の開催がより効果的である。 ⑦女子旅の旅行者の方がそうでない場合と比べ. １）旅行者属性. て「コナン通り」「撮影スポット」「休憩施設」. 旅行者属性の推定結果（第３表、第４表）をみていくと、以下のことがわかった。. 「飲食施設」「館内展示」「イベント」「グッズ」. ①男性の方が女性と比べて「コナン通り」「休. 「世界観」の重要度が高く、「家族滞在」の重. 憩施設」「娯楽施設」「家族滞在」「イベント」. 要度が低い。女性が男性と比べて多くの取り. 「ファン交流」において重要度が高い。この. 組みにおいて重要度がより低いことが前述の. ように多くの取り組みにおいて男性の重要度. 結果により示されているが、女性が集まった. － 8 －.

(9) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 第4表. RPL モデルの推定結果（旅行者属性）第４表 RPLモデルの推定結果（旅行者属性）. 新規訪問女子旅夫婦・恋人子供連れ主効果係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 1.773*** 14.31 1.647*** 21.94 1.629*** 20.52 1.734*** 21.02 撮影スポット 1.344*** 11.07 1.428*** 19.63 1.426*** 18.33 1.671*** 20.03 休憩施設 0.961*** 8.50 0.760*** 12.35 0.827*** 12.26 0.866*** 12.37 娯楽施設 1.054*** 9.26 0.828*** 13.30 0.885*** 13.03 0.949*** 13.41 飲食施設 0.841*** 7.37 0.598*** 9.59 0.667*** 9.83 0.704*** 9.90 館内展示 1.109*** 9.60 0.849*** 13.37 0.884*** 12.81 0.980*** 13.59 家族滞在 1.385*** 11.81 1.288*** 19.27 1.312*** 18.17 1.057*** 15.03 イベント 1.288*** 11.44 0.933*** 15.23 1.018*** 15.20 1.042*** 14.99 ファン交流 -0.428*** -3.27 -0.660*** -7.96 -0.622*** -7.07 -0.509*** -5.73 情報 0.807*** 7.33 0.732*** 12.15 0.731*** 11.14 0.874*** 12.72 グッズ 1.159*** 10.41 0.968*** 15.77 0.953*** 14.33 1.141*** 16.24 世界観 1.809*** 13.81 1.693*** 21.42 1.760*** 20.59 1.962*** 21.56 交差項係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り -0.118 -0.87 0.460** 2.05 0.221 1.54 -0.166 -1.25 撮影スポット 0.215 1.55 0.866*** 3.68 0.295** 1.99 -0.598*** -4.35 休憩施設 -0.223* -1.71 0.459** 2.14 -0.134 -0.98 -0.236* -1.84 娯楽施設 -0.271** -2.06 0.350 1.63 -0.136 -0.99 -0.324** -2.51 飲食施設 -0.278** -2.10 0.518** 2.36 -0.135 -0.97 -0.224* -1.72 * ** 館内展示 -0.303 -2.30 0.486 2.25 0.003 0.03 -0.317** -2.45 家族滞在 -0.190 -1.43 -0.519** -2.43 -0.308** -2.22 0.685*** 5.14 イベント -0.419*** -3.26 0.624*** 2.93 -0.158 -1.18 -0.194 -1.55 ファン交流 -0.302** -2.07 0.141 0.59 -0.095 -0.62 -0.500*** -3.40 情報 -0.062 -0.49 0.348* 1.66 0.119 0.89 -0.397*** -3.18 グッズ -0.205 -1.60 0.517** 2.43 0.236* 1.74 -0.456*** -3.64 世界観 0.000 0.00 1.358*** 5.36 0.179 1.17 -0.550*** -3.88 標準偏差係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 0.516*** 3.29 0.510*** 3.23 0.492*** 3.03 0.507*** 3.20 撮影スポット 0.812*** 6.67 0.828*** 6.91 0.811*** 6.66 0.826*** 6.87 休憩施設 0.536*** 3.81 0.522*** 3.66 0.529*** 3.75 0.523*** 3.67 娯楽施設 0.508*** 3.52 0.508*** 3.53 0.510*** 3.57 0.512*** 3.60 飲食施設 0.659*** 5.22 0.662*** 5.27 0.653*** 5.16 0.678*** 5.49 館内展示 0.621*** 4.77 0.632*** 4.91 0.600*** 4.53 0.630*** 4.92 家族滞在 0.518*** 3.60 0.444*** 2.80 0.476*** 3.11 0.298 1.40 イベント 0.005 0.05 0.006 0.07 0.005 0.06 0.004 0.04 ファン交流 0.901*** 6.54 0.903*** 6.61 0.892*** 6.45 0.898*** 6.57 情報 0.039 0.29 0.041 0.30 0.044 0.33 0.041 0.31 グッズ 0.069 0.41 0.078 0.47 0.077 0.48 0.077 0.47 世界観 0.931*** 7.78 0.900*** 7.43 0.920*** 7.68 0.920*** 7.70 対数尤度 -11604 -11580 -11602 -11548 疑似 R2 0.079 0.081 0.079 0.083 表注）***、**、*は、それぞれ 1%、5%、10%水準で有意なことを示す。. 主目的係数 t値 1.647*** 18.33 1.538*** 16.94 0.793*** 10.09 0.959*** 12.05 0.679*** 8.54 0.907*** 11.27 1.270*** 15.31 0.929*** 12.04 -0.581*** -5.93 0.682*** 8.92 0.965*** 12.48 1.745*** 18.13 係数 t値 0.091 0.75 -0.084 -0.67 0.011 0.10 -0.234** -1.99 -0.090 -0.76 -0.041 -0.35 -0.052 -0.43 0.126 1.10 -0.141 -1.08 0.178 1.56 0.102 0.90 0.143 1.10 係数 t値 0.512*** 3.23 0.838*** 6.98 0.546*** 3.94 0.505*** 3.50 0.660*** 5.24 0.629*** 4.87 0.523*** 3.65 0.005 0.06 0.887*** 6.42 0.041 0.31 0.071 0.43 0.928 *** 7.74 -11609 0.079. 休憩目的係数 t値 1.677*** 21.67 1.469*** 19.50 0.760*** 11.95 0.822*** 12.76 0.594*** 9.22 0.897*** 13.60 1.234*** 18.01 1.018*** 15.93 -0.672*** -7.81 0.775*** 12.39 1.047*** 16.34 1.866*** 22.11 係数 t値 0.068 0.39 0.222 1.24 0.269 1.61 0.241 1.44 0.317* 1.88 -0.063 -0.38 0.096 0.57 -0.230 -1.43 0.182 0.99 -0.101 -0.62 -0.249 -1.55 -0.416** -2.30 係数 t値 0.511*** 3.23 0.837*** 6.97 0.524*** 3.68 0.515*** 3.61 0.657*** 5.22 0.620*** 4.76 0.519*** 3.60 0.004 0.05 0.898*** 6.54 0.050 0.37 0.070 0.43 0.914*** 7.59 -11601 0.079. ット」「娯楽施設」「館内展示」「ファン交流」. 女子旅になると、重要度が相対的に高い取り組みが多くなることは興味深い知見である。. 「情報」「グッズ」「世界観」の重要度が低い。. ⑧夫婦や恋人と訪れる旅行者の方がそうでない. このように、子供連れの旅行者にとって家族. 場合と比べて「撮影スポット」の重要度が高. で遊べる施設や場所の充実がより重要となる. く、「家族滞在」の重要度が低い。このように、. ことが確認できた。一方、コナンのまちづく. 夫婦や恋人と訪れる旅行者に対してはコナン. りにおける取り組みの多くが子供連れの旅行. のまちづくりにおける撮影スポットの提供が. 者のニーズに相対的に合致しない可能性が指. 旅行者の誘引や旅行満足の向上に寄与すると. 摘できる。 ⑩主目的地である旅行者の方がそうでない場合. いえる。 ⑨子供連れの旅行者がそうでない旅行者と比べ. と比べて「娯楽施設」の重要度が低く、休憩. て「家族滞在」の重要度が高く、「撮影スポ. 目的の旅行者の方がそうでない場合と比べて. － 9 －.

(10) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 第5表. RPL モデルの推定結果（旅行者選好）第５表 RPLモデルの推定結果（旅行者選好）. コナンファンコナンマニア漫画アニメ愛好聖地巡礼主効果係数 t値係数 t値係数 t値係数 t値コナン通り 1.575*** 15.32 1.668*** 21.68 1.598*** 15.87 1.636*** 21.32 撮影スポット 1.429*** 13.81 1.486*** 19.74 1.327*** 13.36 1.459*** 19.39 休憩施設 0.654*** 7.18 0.824*** 12.99 0.822*** 9.20 0.802*** 12.61 娯楽施設 0.798*** 8.74 0.821*** 12.89 0.765*** 8.60 0.808*** 12.61 飲食施設 0.513*** 5.58 0.641*** 10.06 0.450*** 5.04 0.603*** 9.39 館内展示 0.684*** 7.47 0.831*** 12.84 0.799*** 8.86 0.798*** 12.32 家族滞在 1.251*** 13.01 1.294*** 18.89 1.186*** 12.79 1.289*** 18.77 イベント 0.778*** 8.82 0.916*** 14.73 0.823*** 9.54 0.928*** 14.76 ファン交流 -0.731*** -6.55 -0.765*** -8.80 -0.563*** -5.33 -0.715*** -8.33 情報 0.450*** 5.14 0.657*** 10.76 0.596*** 6.96 0.706*** 11.40 グッズ 0.551*** 6.33 0.901*** 14.55 0.661*** 7.74 0.912*** 14.56 世界観 1.430*** 13.57 1.712*** 21.19 1.502*** 14.46 1.675*** 20.77 交差項係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 0.234* 1.89 0.425** 2.08 0.179 1.46 0.408** 2.25 撮影スポット 0.159 1.25 0.341 1.63 0.325** 2.57 0.346* 1.86 休憩施設 0.262** 2.20 -0.173 -0.90 -0.033 -0.28 -0.015 -0.09 娯楽施設 0.121 1.01 0.437** 2.21 0.173 1.47 0.381** 2.18 飲食施設 0.230* 1.91 0.085 0.43 0.342*** 2.88 0.301* 1.71 館内展示 0.370*** 3.10 0.652*** 3.30 0.171 1.45 0.692*** 3.92 家族滞在 0.024 0.20 -0.284 -1.45 0.120 1.01 -0.288* -1.66 イベント 0.375*** 3.25 0.790*** 4.04 0.299*** 2.61 0.452*** 2.64 ファン交流 0.134 1.01 0.973*** 4.63 -0.146 -1.11 0.487** 2.57 情報 0.545*** 4.72 1.062*** 5.46 0.300*** 2.63 0.436** 2.57 グッズ 0.806*** 6.91 1.137*** 5.71 0.629*** 5.46 0.756*** 4.35 世界観 0.682*** 5.17 1.067*** 4.77 0.558*** 4.27 1.006*** 5.05 標準偏差係数 t 値係数 t 値係数 t 値係数 t値コナン通り 0.561*** 3.74 0.565*** 3.78 0.538*** 3.49 0.517*** 3.29 撮影スポット 0.863*** 7.23 0.868*** 7.28 0.852*** 7.11 0.844*** 7.06 休憩施設 0.581*** 4.33 0.550*** 3.99 0.544*** 3.88 0.525*** 3.67 娯楽施設 0.543*** 3.89 0.561*** 4.10 0.526*** 3.74 0.536*** 3.85 飲食施設 0.692*** 5.61 0.683*** 5.48 0.665*** 5.26 0.673*** 5.40 館内展示 0.644*** 5.00 0.662*** 5.26 0.625*** 4.81 0.619*** 4.75 家族滞在 0.540*** 3.83 0.497*** 3.33 0.536*** 3.78 0.467*** 3.01 イベント 0.004 0.04 0.004 0.05 0.005 0.06 0.005 0.06 ファン交流 0.915*** 6.66 0.922*** 6.71 0.886*** 6.44 0.901*** 6.55 情報 0.041 0.31 0.042 0.32 0.041 0.31 0.040 0.30 グッズ 0.041 0.27 0.060 0.37 0.071 0.45 0.068 0.42 世界観 0.936*** 7.75 0.919*** 7.59 0.929*** 7.73 0.911*** 7.52 対数尤度 -11572 -11545 -11585 -11578 疑似 R2 0.082 0.084 0.081 0.081 表注）***、**、*は、それぞれ 1%、5%、10%水準で有意なことを示す。. 旅行愛好買い物愛好係数 t値係数 t値 1.575*** 15.94 1.630*** 19.84 1.290*** 13.22 1.409*** 17.59 0.698*** 7.93 0.721*** 10.46 0.777*** 8.73 0.743*** 10.74 0.620*** 6.93 0.462*** 6.67 0.873*** 9.67 0.880*** 12.41 1.235*** 13.34 1.152*** 15.81 1.011*** 11.54 0.853*** 12.61 -0.570*** -5.31 -0.715*** -7.90 0.812*** 9.38 0.681*** 10.16 1.080*** 12.26 0.869*** 12.83 1.823*** 16.77 1.699*** 19.45 係数 t 値係数 t値 0.193 1.59 0.223 1.63 0.369*** 2.94 0.347** 2.45 0.176 1.50 0.295** 2.24 0.140 1.19 0.426*** 3.21 0.031 0.26 0.653*** 4.87 0.026 0.22 0.044 0.33 0.021 0.17 0.362*** 2.70 -0.048 -0.42 0.494*** 3.81 -0.133 -1.01 0.252* 1.71 -0.092 -0.81 0.309** 2.40 -0.126 -1.11 0.529*** 4.07 -0.030 -0.23 0.417*** 2.85 係数 t 値係数 t値 0.499*** 3.07 0.507*** 3.17 0.818*** 6.75 0.835*** 6.95 0.528*** 3.74 0.547*** 3.94 0.514*** 3.60 0.526*** 3.73 0.663*** 5.28 0.647*** 5.06 0.611*** 4.64 0.608*** 4.59 0.515*** 3.57 0.524*** 3.64 0.004 0.05 0.004 0.05 0.892*** 6.45 0.902*** 6.56 0.043 0.32 0.047 0.34 0.067 0.41 0.072 0.44 0.930*** 7.76 0.940*** 7.87 -11606 -11599 0.079 0.079. 「世界観」の重要度が低い。このように、こ. する好感情や高い関心をもち、希求水準が高. れらの属性は多くの取り組みにおいて顕著な. くなるためであると考えられる。また、これ. 有意差が認められず、取り組みの重要度に差. らの選好をもつ旅行者は、コナンに関する情. をもたらす要因としてあまり重要ではない。. 報を充実させること、コナンに関するグッズ. ２）旅行者選好. を充実させること、コナンの世界を味わえる. 次に、旅行者選好に注目して推定結果（第５. ようにすること等のコンテンツツーリズムに. 表）をみていくと、以下のことがわかった。. 特有かつサービス系の取り組みの重要度が相. ①コナンファンあるいはコナンマニアである旅. 対的に高いことが特徴的である。. 行者の方がそうでない旅行者と比べて多くの. ②漫画アニメ愛好である旅行者の方がそうでない旅行者と比べて「撮影スポット」「飲食施設」. 取り組みの重要度が高い。この結果は、これらの選好をもつ旅行者の方がコンテンツに対. 「イベント」「情報」「グッズ」「世界観」の重. － 10 －.

(11) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. 要度が高い。このように、コナンに限らずコ. みのうち旅行者にとって最も重要なのは、作品. ンテンツに対する好感情と高い関心をもつ漫. の世界を味わえるような取り組みである。この. 画アニメ愛好である旅行者に対しては、コン. ため、旅行者が作品の世界を味わえる工夫や仕. テンツツーリズムに特有かつサービス系の取. 掛けづくりをしていくことが有効である。作品. り組みを強化していくことが有効である。. の世界を味わえるような取り組みは、その重要. ③聖地巡礼をしたことがある旅行者の方が聖地. 度が相対的に高いのが若年層、長時間滞在、女. 巡礼をしたことがない旅行者と比べて「コナ. 子旅、子供連れ以外、休憩目的以外の属性、コ. ン通り」「娯楽施設」「館内展示」「イベント」「フ. ナンファン、コナンマニア、漫画アニメ愛好、. ァン交流」「情報」「グッズ」「世界観」の重要. 聖地巡礼、買い物愛好の選好をもつ旅行者であ. 度が高い。このことは、聖地巡礼をしたことが. るので、これらをターゲットとした魅力づくり. ある旅行者の方がコンテンツに対する好感情. においてさらに有効である。. と高い関心をもち、希求水準が高いことが推. 第２に、コナン通りに見どころをつくる取り. 察されることから妥当な結果であるといえる。. 組み、撮影スポットを充実させる取り組み、家. ④旅行愛好をもつ旅行者の方がそうでない旅行. 族で遊べる施設や場所を充実させる取り組み、. 者と比べて重要度が高いのは「撮影スポット」. コナンに関するグッズを充実させる取り組みも. のみである。このように、旅行愛好の選好は. 重要であり、有効性が高い。. 取り組みの重要度に差をもたらす要因として. 第３に、入館料を下げる取り組みは、旅行者. あまり重要ではない。. にとってそれほど重要度が高くなく、有効性が. ⑤買い物愛好をもつ旅行者の方がそうでない旅. 低い。. 行者と比べて「コナン通り」「館内展示」「フ. 第４に、男性、県内居住、長時間滞在、女子. ァン交流」を除く多くの取り組みにおいて重. 旅、子供連れ以外の属性、コナンファン、コナ. 要度が高い。特に「飲食施設」「グッズ」の. ンマニア、漫画アニメ愛好、聖地巡礼、買い物. 重要度が高い買い物愛好の旅行者に対して. 愛好の選好をもつ旅行者の方がコナンのまちづ. は、米花商店街における販売施設や飲食施設. くりにおける様々な取り組みの重要度が相対的. の整備が旅行者の誘引や旅行満足の向上の一. に高く、こうした旅行者が旅行者誘引にとって. 助となる。. 有効なターゲットとなるため、それらのターゲットにフィットした取り組みが求められる。. Ⅴ．結言. 第５に、若年層における撮影スポット、娯楽. 本研究では、鳥取県東伯郡北栄町のコナンの. 施設、情報、グッズおよび世界観、子供連れに. まちづくりを分析対象に設定し、コナンのまち. おける家族滞在、コナンファンにおける館内展. づくりにおける取り組みの重要度について. 示、イベント、情報、グッズおよび世界観、コ. BWSを用いた定量的な分析を行った。その結. ナンマニアにおける館内展示、イベント、ファ. 果として、まず、コナンのまちづくりにおける. ン交流、情報、グッズおよび世界観等、旅行者. 取り組みの相対的な重要度を明らかにした。次. の属性や選好と取り組みの重要度には理論整合. いで、そうした重要度に差をもたらす要因を検. 的な関係が定量的に確認されており、それらは. 討した。分析結果における重要度の高低は旅行. コンテンツツーリズムを推進する地域において. 者のニーズを示唆し、重要度の差をもたらす要. ターゲットとニーズの指針として有用である。. 因はターゲットに関する情報を提示する。こう. 以上でみたように、作品の世界を味わえるよ. した視点からコナンのまちづくりのマーケティ. うな取り組み、コナン通りに見どころをつくる. ング管理に資する知見を整理すると、以下の５. 取り組み、撮影スポットを充実させる取り組み、. つが得られた。. コナンに関するグッズを充実させる取り組みの. 第１に、コナンのまちづくりにおける取り組. 重要度が相対的に高いことは、コンテンツツー. － 11 －.

(12) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. リズムに特有な取り組みに対するニーズが高いことを示している。他方で、こうした重要度が高い取り組みがハードとソフトのいずれかに偏. 検索）９）開館の経緯．http://www.gamf.jp/82.html（2019 年７月２日検索）. っていないことから、コンテンツツーリズムに. 10）旅行者選好の項目のうち、「コナンファン」は. おいては施設の充実とサービスの充実のバラン. 名探偵コナンに対して好感情をもつ人、「コナ. スをとることが必要であるといえる。. ンマニア」は名探偵コナンに関する豊富な知識. 本研究では、コンテンツツーリズムの取り組. をもっている等の特徴を有する人とそれぞれ定. みに対する旅行者の重要度を明らかにすること. 義した。ただし、アンケート票の紙幅の都合上、. により、コンテンツツーリズムによる旅行者の. こうしたファンとマニアの定義についてはアン. 誘引や旅行満足の向上に向けた取り組みの継. ケート票に記載していない。. 続、強化あるいは改善といった今後の展開方向. 11）旅行者属性の交差項は、男性ダミー（男性：１、. に関わる知見を提示できた。また、旅行者の属. 女性：０）、若年層ダミー（20代以下：１、30代. 性や選好の違いによる重要度の違いに関して言. 以上：０）、県内居住ダミー（県内居住：１、県. 及することができた。このことは、重要度の違. 外居住：０）、日帰りダミー（日帰り：１、それ. いによる旅行者層の存在を示唆するものである. 以外：０）、長時間滞在ダミー（２時間以上滞在：. が、この点に関する検討は今後の課題となる。. １、それ以外：０）、新規訪問ダミー（初めて：１、２回目以上：０）、女子旅ダミー（女子旅：１、. 注. それ以外：０）、夫婦・恋人ダミー（夫婦・恋人：. １）国土交通省総合政策局観光地域振興課ほか. １、それ以外：０）、子供連れダミー（子供連れ：. （2005、p.49）による。. １、それ以外：０）、主目的ダミー（主目的地：１、. ２）古川・守口・阿部（2003、p.72）による。. それ以外：０）、休憩目的ダミー（休憩目的：１、. ３）BWSの適用事例については、安ほか（2017）、. それ以外：０）である。. 安ほか（2019）、澤田ほか（2010）、柘植ほか（2016）、西原ほか（2016）がある。. 12）旅行者選好の交差項は、コナンファンダミー（コナンファンである：１、コナンファンでない：. ４）柘植ほか（2016、pp. 64-65）、安ほか（2017、 p.196）による。. ０）、コナンマニアダミー（コナンマニアである：１、コナンマニアでない：０）、漫画アニメ愛好. ５）BWSの手法には、複数の項目を提示し、最も. ダミー（漫画アニメ好き：１、漫画アニメ好き. 優先順位が高い項目および低い項目を選択する. でない：０）、聖地巡礼ダミー（聖地巡礼をした. オブジェクト型、複数の水準からなる１つのプ. ことがある：１、聖地巡礼をしたことがない：. ロファイルを提示し、最も優先順位が高い属性. ０）、旅行愛好ダミー（旅行好き：１、旅行好き. および低い属性を選択するプロファイル型、属. でない：０）、買い物愛好ダミー（買い物好き：. 性の水準の組み合わせから構成される複数のプ. １、買い物好きでない：０）である。. ロファイルを提示し、最も優先順位が高いプロファイルおよび低いプロファイルを選択するマ. 文献. ルチプロファイル型がある。. 合崎英男（2017）：Rを利用したCase 1 Best-Worst. ６）max-diffモデルは、安ほか（2017）、安ほか（2019）、古安・赤沢（2019）、柘植ほか（2016）、. Scalingの実施手順．農経論叢，71，pp.59-71．安可・吉田謙太郎・山本充（2017）：ベスト・ワースト・スケーリングによる国立公園施設整備事. 西原ほか（2016）等で用いられている。７）分析手順については、合崎（2017）、サリア・ダジアーノ（Sarrias and Daziano、2017）に詳しい。. 業への中国人観光客の重要度評価．環境情報科学学術研究論文集，31，pp.195-200．. ８）名探偵コナンに会えるまち～取り組み～．. 安可・吉田謙太郎・山本充（2019）：ベスト・ワー. http://www.gamf.jp/719.html（2019年７月２日 . スト・スケーリングによる食料品原産国表示へ. － 12 －.

(13) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. の中国人消費者の選好評価．農業経済研究，91 （1），pp.47-52．. 集，78（684），pp.317-324．柘植隆宏・庄子康・愛甲哲也・栗山浩一（2016）：. 大方優子・岩崎達也・津村将章（2017）：高関与旅. ベスト・ワースト・スケーリングによる知床国. 行者の関与と行動動機―佐賀県唐津市「ユーリ!!!. 立公園の魅力の定量評価．甲南経済学論集， 56 （3・. オンアイス」の聖地巡礼を事例として―．日本観光研究学会全国大会学術論文集，32，pp.133-136．岡本健（2012）：コンテンツツーリズムにおける. 4），pp.59-78．西原是良・中嶋康博・木村匡臣・飯田俊彰（2016）：農業用水の多面的機能に対するサービス科学的. CGM的観光デザインのあり方とその効果―アニ. 考察―土地改良区としての潜在的需要の把握―．. メ『けいおん!』の聖地「豊郷」を事例として―．. 農業経済研究，87（4），pp.371-376．. CATS叢書，7，pp.41-76．. 花房真理子（2015）：地域観光とアニメ舞台めぐり. 釜石直裕（2011）：アニメ聖地巡礼型まちづくりに. が両立するアニメツーリズム推進モデルの研究. おけるイベントの役割に関する研究―滋賀県犬. ―富山県南砺市の恋旅公式ツアー「南砺に恋す. 上郡豊郷町における「けいおんがく！ライブ」. る女子旅」を事例として―．地域活性研究，6，. を事例として―．コンテンツツーリズム研究，4， pp.1-10．. pp.193-202．古川一郎・守口剛・阿部誠（2003）：『マーケティ. 楠見孝・米田英嗣（2018）：“聖地巡礼”行動と作品への没入感：アニメ、ドラマ、映画、小説の比較調査．コンテンツツーリズム学会論文集，5， pp.2-11．. ング・サイエンス入門―市場対応の科学的マネジメント』有斐閣．本田真裕子（2018）：アニメ聖地巡礼を通じた旅行者の地域愛着―岩手県九戸郡軽米町を事例とし. 倉持裕彌・吉弘憲介（2010）：青山剛昌ふるさと館の経営改善に関する調査研究．TORCレポート， 33，pp.10-22．. て―．お茶の水地理，57，pp.30-39．村田和繁（2017）：京都観光の射程を拡大するコンテンツツーリズム施設としての京都国際マンガ. 国土交通省総合政策局観光地域振興課・経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課・文化庁. ミュージアムについて．大阪観光大学観光学研究所報観光&ツーリズム，22，pp.6-14．. 文化部芸術文化課（2005）：『映像等コンテンツ. 村田麻里子・山中千恵・伊藤遊・谷川竜一（2012）：. の制作・活用による地域振興のあり方に関する. 宝塚市立手塚治虫記念館における来館者調査―. 調査報告書』．. 地域活性化のためのマンガ関連文化施設の実態. 古安理英子・赤沢克洋（2019）：ベスト・ワースト・スケーリングによる温泉地への期待に関する定量分析―玉造温泉宿泊者を対象として―．温泉地域研究，33，pp.25-36．. と是非をめぐって―．関西大学社会学部紀要， 43（2），pp.95-114．村田麻里子・山中千恵・谷川竜一・伊藤遊（2010）：京都国際マンガミュージアムにおける来館者調. 佐藤壮太・渡辺隼矢・坂本優紀・川添航・喜馬佳也乃・松井圭介（2018）：リピーターの観光行動からみたアニメツーリズムの持続性―茨城県大. 査―ポピュラー文化ミュージアム1に関する基礎研究―．京都精華大学紀要，37，pp.78-92．山中千恵・伊藤遊・村田麻里子・谷川竜一（2011）：. 洗町「ガールズ&パンツァー」を事例として―．. 人はマンガミュージアムで何をしているのか―. 人文地理学研究，38，pp.13-43．. マンガ文化施設における来館者行動と〈マンガ. 澤田学・合崎英男・佐藤和夫（2010）：牛肉生産に. 環境〉をめぐって―．マンガ研究，17，pp.76-85．. おける飼料自給率向上の利点に関する消費者評. S a r r i a s , M . a n d D a z i a n o , R . A . （ 2 0 1 7 ）：. 価．帯広畜産大学学術研究報告，31，pp.18-24．. Multinomial Logit models with Continuous and. 谷川竜一（2013）：新しい建築類型としてのポピュ. Discrete Individual Heterogeneity in R: The. ラーカルチャーミュージアム―マンガの展示は. gmnl Package. Journal of statistical software，. いかにして可能か―．日本建築学会計画系論文. 79（2），pp.1-46．. － 13 －.

(14) 地域地理研究第25巻第２号 2020年12月. Quantitative Analysis on the Importance of Content Tourism -An Approach Based on Best-Worst ScalingKatsuhiro AKAZAWA（Shimane University）, Rieko KOYASU（Shimane University） Marketing management that is based on traveler preferences is necessary to enhance content tourism. Therefore, marketing management needs to understand what travelers expect from content tourism. However, to date, there have been few studies to quantitatively assess the travelers’content tourism needs. This study quantitatively clarified the importance of content tourism using a questionnaire on travelers visiting“Conan no machi（Hokuei town）”that had best-worst scaling questions, after which two data analyses were conducted. The application of random parameter logit model to the best-worst scaling data found that“creating an atmosphere of work”was most important, followed by“creating highlights along Conan street,” “enhancing shooting spots,” “establishing facilities and places for families to play,”and“enhancing Conan’s goods,”; however,“lowering admission fees”was not found to be important. The random parameter logit model with cross effect analysis found that:（1） “creating an atmosphere of work”was relatively important for young travelers, long stays, females, everyone except people with children, everyone except people wanting to relax, Conan fans, Conan mania, lovers of Manga and Anime, pilgrims to sacred places, and lovers of shopping;（2）the importance of various features was relatively high for men, prefecture residents, longtime stays, females, everyone except people with children, Conan fans, Conan mania, lovers of Manga and Anime, pilgrims to sacred places, and lovers of shopping; and（3）the tourists’socioeconomic attributes and consciousness were also found to be related to the importance of some of the content features. Key words：Content tourism, Travelers’preference, Marketing, Best-Worst Scaling, Manga and Anime“Detective Conan”. － 14 －.

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コンテンツツーリズムの取り組みの重要度に関する定量分析 －ベスト・ワースト・スケーリングによる接近－

コンテンツツーリズムの取り組みの重要度に関する定量分析－ベスト・ワースト・スケーリングによる接近－