巻頭エッセイ
一
九
九
○
年
代
の
中
国
外
交
は
全
方
位
外
交
と
呼
ば
れ
て
い
る
。
台
湾
と
の
統
一
の
妨
げ
と
な
ら
な
い
か
ぎ
り
、
ど
の
国
と
も
摩
擦
を
極
小
に
し
て
通
商
を
拡
大
す
る
と
い
う
方
針
で
あ
る
。
W
T
O
加
盟
以
後
、
こ
の
路
線
は
さ
ら
に
強
化
さ
れ
て
い
る
。
そ
の
背
景
に
は
三
つ
あ
る
。
一
つ
は
巨
大
な
生
産
力
の
は
け
口
を
海
外
に
求
め
る
こ
と
、
第
二
は
巨
大
な
生
産
力
を
現
実
化
す
る
た
め
に
資
源
を
確
保
す
る
こ
と
、
第
三
は
資
本
の
導
入
と
海
外
投
資
の
場
を
求
め
る
こ
と
で
あ
る
。
第
一
点
の
海
外
市
場
の
開
拓
は
、
す
で
に
繊
維
、
雑
貨
、
電
機
・
電
子
通
信
機
器
、
自
転
車
、
バ
イ
ク
な
ど
世
界
の
各
地
で
中
国
製
が
溢
れ
て
い
る
が
、
国
内
の
農
村
の
三
分
の
二
が
疲
弊
し
て
い
く
と
い
う
現
実
か
ら
、
外
需
依
存
を
深
め
て
い
る
。
経
済
建
設
五
五
年
史
を
振
り
返
る
と
、
建
設
の
拡
が
り
に
三
段
階
あ
る
。
一
九
八
○
年
代
中
頃
ま
で
は
飛
び
地
的
建
設
方
式
で
、
兵
器
産
業
の
工
場
を
一
点
集
中
し
て
建
設
す
る
﹁
点
﹂
建
設
で
あ
っ
た
。
周
辺
経
済
と
は
無
関
係
で
あ
っ
た
。
八
○
年
代
後
半
か
ら
﹁
線
﹂
の
建
設
が
本
格
化
す
る
。
高
速
道
路
網
、
パ
イ
プ
ラ
イ
ン
網
、
光
フ
ァ
イ
バ
ー
網
を
全
国
に
張
り
巡
ら
す
よ
う
に
な
っ
た
。
こ
れ
が
第
二
段
階
。
第
三
段
階
は
八
○
年
代
の
珠
江
三
角
州
経
済
圏
、
九
○
年
代
中
期
か
ら
長
江
下
流
域
三
角
州
経
済
圏
、
二
一
世
紀
に
入
っ
て
北
京
・
天
津
を
中
心
と
す
る
渤
海
経
済
圏
の
﹁
面
﹂
建
設
へ
と
重
点
を
移
し
て
い
る
。
こ
の
﹁
面
﹂
建
設
で
は
さ
ら
に
成
熟
し
た
珠
江
三
角
州
経
済
圏
を
広
西
、
雲
南
省
へ
と
﹁
線
﹂
建
設
し
、
こ
こ
を
﹁
面
﹂
に
拡
大
す
る
動
き
が
こ
の
三
、
四
年
前
か
ら
新
し
く
出
始
め
た
。
こ
れ
は
泛
珠
江
三
角
州
区
域
協
力
発
展
会
議
で
、
こ
の
六
月
五
日
、
雲
南
省
曲
靖
で
第
三
回
ア
セ
ア
ン
一
○
カ
国
経
済
貿
易
担
当
大
臣
会
議
が
開
催
さ
れ
た
。
珠
江
三
角
州
経
済
圏
は
一
九
八
○
年
代
か
ら
香
港
か
ら
流
入
す
る
外
資
が
主
体
と
な
っ
て
建
設
さ
れ
て
き
た
。
香
港
財
界
の
動
き
が
重
要
で
あ
る
。
こ
の
会
議
に
先
駆
け
て
香
港
行
政
長
官
・
曽
蔭
権
が
香
港
の
主
要
財
界
人
八
○
名
を
引
き
連
れ
て
広
西
、
雲
南
を
視
察
し
た
。
泛
珠
江
三
角
州
区
域
協
力
発
展
会
議
は
中
国
側
の
珠
江
三
角
州
経
済
を
珠
江
の
中
流
、
上
流
域
に
伸
ば
し
、
雲
南
に
至
ら
し
め
る
の
と
、
ヴ
ェ
ト
ナ
ム
、
ラ
オ
ス
、
タ
イ
、
ミ
ャ
ン
マ
ー
、
さ
ら
に
南
ア
ジ
ア
と
の
経
済
一
体
化
を
狙
う
も
の
で
あ
る
。
中
国
側
か
ら
ミ
ャ
ン
マ
ー
国
境
へ
の
三
ル
ー
ト
、
ラ
オ
ス
へ
一
ル
ー
ト
、
ヴ
ェ
ト
ナ
ム
へ
五
ル
ー
ト
の
道
路
建
設
が
進
む
。
さ
ら
に
広
西
自
治
区
の
防
城
港
港
口
区
の
建
設
が
始
ま
っ
て
い
る
。
二
○
○
一
年
一
一
月
中
国
ア
セ
ア
ン
首
脳
会
議
で
中
国
側
は
中
国
ア
セ
ア
ン
F
T
A
構
想
を
提
唱
し
、
翌
年
一
一
月
農
業
分
野
で
八
品
目
の
関
税
引
き
下
げ
の
実
施
に
移
行
し
た
。
こ
れ
で
影
響
を
受
け
る
中
国
の
熱
帯
農
産
物
生
産
農
家
人
口
は
一
・
八
億
人
に
な
る
が
、
彼
ら
へ
の
補
償
は
ゼ
ロ
で
、
彼
ら
を
犠
牲
に
し
て
ま
で
ア
セ
ア
ン
か
ら
天
然
ゴ
ム
、
木
材
、
食
用
植
物
油
、
宝
石
の
原
石
、
石
油
な
ど
の
原
料
を
得
よ
う
と
し
て
い
る
。
同
時
に
繊
維
、
雑
貨
、
電
機
・
電
子
製
品
、
交
通
機
械
な
ど
の
市
場
の
確
保
を
狙
っ
て
い
る
。
ア
セ
ア
ン
諸
国
は
滔
々
と
流
入
す
る
中
国
製
品
と
競
合
す
る
産
業
が
多
い
。
二
○
一
○
年
に
中
国
ア
セ
ア
ン
自
由
貿
易
区
を
創
設
す
る
と
い
う
構
想
は
一
筋
縄
で
は
い
か
な
い
と
考
え
る
。
す
で
に
タ
イ
や
フ
ィ
リ
ピ
ン
の
産
業
界
で
は
警
戒
心
が
出
始
め
て
い
る
。
中
国
側
で
は
上
海
経
済
界
は
比
較
的
こ
の
泛
珠
江
経
済
区
域
構
想
に
は
冷
淡
な
反
応
が
多
い
。
︵
こ
じ
ま
れ
え
い
つ
/
大
東
文
化
大
学
名
誉
教
授
︶
中国の経済建設と南進政策
小島麗逸
1─アジ研ワールド・トレンド No.131(2006.8)