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アフリカ漁民文化論 : 水域環境保全の視座(資料紹介)

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Academic year: 2021

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アフリカ漁民文化論 : 水域環境保全の視座(資料

紹介)

著者

武内 進一

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

58

ページ

27-27

発行年

2020-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00051593

(2)

27 アフリカレポート 2020 年 No.58 Ⓒ IDE-JETRO 2020

アフリカ漁民文化論

——水域環境保全の視座——

今井 一郎 編 横浜 春風社 2019 年 298p.+vi. 近年アフリカの多くの水域で、資源管理や環境保全をめぐる深刻な問題が顕在化している。そ の背景には、都市化やグローバル化のなかで、水産資源が従来と異なるナショナル、グローバル なサプライチェーンに組み込まれたことが指摘できる。水産資源には明確な所有権が設定されて おらず、「コモンズの悲劇」が起こりやすい。この問題にどう対処するかは、喫緊のグローバルな 課題である。 こうした状況下、本書はタイムリーかつ貴重な研究成果である。漁民文化を「漁業を核として 形成される、漁民の知恵や技術、水産物の加工と流通、物質文化や食文化、さらに信仰や世界観、 歴史・自然環境までも含む総合的な文化」(p.10)と定義したうえで、そのアクターとして、漁師 のみならず、水産物加工に携わる人々、水産物流通に関わる仲買人や商人、さらに水産企業や政 府、国際機関まで視野に入れる。資源管理や環境保全に関わる問題を考えようとすれば、こうし た視角は不可欠であろう。 本書は序章に加え 10 の章から構成されるが、いずれも充実した人類学的調査を踏まえて、信頼 の置ける記述がなされている。魚の種類、漁具の製作法、漁業の方法、漁業従事者や商人の数、 取引による利益など、詳細なデータが提示される。このあたりは日本の人類学者のお家芸だと思 う。 多くの章で漁獲量の減少や漁獲圧の増加が指摘され、アフリカにおける現状の水産資源管理が 持続性の面で問題を抱えていることが理解できる。一方で、それにいかなる対応策がありうるの か、また現実にどんな工夫がなされているのか、という点についての記述は、残念ながら厚くな い。本書が今後の研究の基礎作りを目的にしている以上、これはないものねだりかも知れない。 ただし、資源管理の課題に直面した住民が自ら規制策を打ち出した事例(10 章)など、興味深い 記述は本書に散見される。 グローバルな課題への対応策は、ローカルな実践を踏まえなければ有効であり得ない。その意 味で、ローカルな実践の解明に主眼を置いた本書のアプローチは意義深い。 武内 進一(たけうち・しんいち/アジア経済研究所・東京外国語大学)

参照

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