• 検索結果がありません。

偶然的学習についての研究(IV) : 変換反応の役割

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "偶然的学習についての研究(IV) : 変換反応の役割"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 偶然的学習についての研究(IV) : 変換反応の役割. Author(s). 小柳, 恭治. Citation. 北海道學藝大學紀要. 第一部, 8(2): 129-135. Issue Date. 1957-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/3645. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第8巻 第 2号. 北海道学芸大学紀要 (第一部). 2年12月 昭和3. IV) 偶然的学習について の 研 究 ( 一--変換反応の役割-- 小. 柳. 恭. 治. 北海道学芸大学旭川分校心理学研究室. Ky6 i KOYANAGI: i. Studi ing:IV. The Ro l esi n lncidentaI Learn e of 鮎[odi fying Response. i 偶 然 的 学 習 と は、 一 定 の 材 料 を 学 習 しよ う と す る 意 識 的 な 構 え (consc ) が ない条件の ous set. 下で生ずる学習である、 と定義される。 この学習 条件を作り出すた めには、 被験者に記憶せよとい S ) は 方 向 づ け 作 業 orienting task と名 l tzman( う教 示 を 与 え ず に、 一 定 の 仕 事 を さ せ (こ れ を Sa. づけてい る) 、 その仕事の中に、 後で不意に想起させるべ き刺戟材料をおり込 んで、 提示するのであ る。. l さて、 学習の動機あるいは意図がなければ、 被験者は記銘のための材料の復諏 ( r ehea r sa ) を試 1 みない。 しか し、 たとえ無意味な刺戟項であっても、 それらを 度 でも見たり、 聞いた りあるいは 読んだりするということによって、 それらの刺戟項は、 やは り記憶痕跡と して残される筈である。. その中には、 後で不意に再生が要求された場合、 そのまま単独 ミに再生されてくるものもあるであろ う。 しかし、 大部分のものは、 そのままの形では再生が困難である。 ところが、 このような再生が 困難な刺戟項であっても、 も しも刺戟提示中に、 その刺戟項に対 して何等かの形でそれを特徴 づけ. るような反応がなされているならば、 かかる反応を手掛 りと して、 その刺戟項が再生 されてくる場 合 が あ る の で あ る。 今、 か りに 「マ ヌ」 と か 「キ コ」 と い っ た よ う な い く つ か の 無 意 味 音 節 を、 連 想. 作業を要求 しないある偶然 的学習条件の下で、 刺戟項と して提示 したと しよう。 この場合、 それら. の刺戟項を、 ある被験者はそのままの形で受けと るかも しれない し、 またある被験者は、 それらの 刺戟項に対 して、 「マヌケ」 とか 「キコリ」 といった言葉を連想するかも しれない。 一般に、 意図. 的学習条件のみならず、 偶然的学習条件においても、 有意味材料は無意味材料よ りも再生されやす ; 2 ; 7 ) ’ ’ い( 。 したがって、 ここでも無意味な刺戟項よりは、 有意味な連想語の方が再生されやすい傾向. にあるわけである。 そこで、 刺戟項の再生が要求された場合、 た とえ ば 「マヌ」 がそのままの形で は 再 生 さ れ 得 な い 場 合 で あ つ て も、 も しも 連 想 語 「マ ヌ ケ」 が 思 い 出 さ れ る な ら ば、 こ の 「マ ヌ. ケ」 を手掛 りと して、「マヌ」 が再生されてくるのである。 このような連想反応は、 刺戟項を特徴づ i l response) と 呼 ばれ て い る。 こ の 場 合、 差 別 化 反 応 け る と い う 意 味 で、 差 別 化 反 応 (di”erent a. が、 刺戟項の再生に対 して、 有効な手掛りとなるかならないかは、 まずその反応が再起するか否か I )の言葉をかりれば、 刺戟項の再生が要 求された場合、 それらの刺 戟 tman等G s にかかっている。Po l r ea rousa 項に対する差別化反応 の再起 ( )-- この場合の再起は被験者の自発的な再生を意味 する ょ、 その再生を媒介するというわ けである。 しか し、 かかる差別化反応の再起の困難度ばか り --し が、 刺戟項の再生に対する差別化反応の有効性を規定するものと考えてはならない。 実は、 再起 し 9- 一12.

(3) . 小. 柳. 恭. 治. た差別 化反応から刺戟項が再生されるまでの過程にも、 差別化反応の有効性を決定する要因は存す 4 )において、 ある刺戟項に対する連想反応が再起 して るのである。 たとえば、 最近の 筆者の実験( おりながら、 その刺戟項が正 しく再生 されていない事例が、 偶然的学習者の場合にはかなり多く生 ずるということが見出されている。 かかる事実は、 再起 した差別化反応から、 それを手掛 りと して. e ‐ r 刺戟項が再生される場合、 その橋渡 しをするもの、 つま り差別化反応から刺戟項を再構成する( t t り それが適切に役割を果す場合に 何物かがあ は じめて刺戟項の再生が可能になるこ consruc) 、 、 とを示 している。 しか し、 その有効性を規定する 要因についての詳細な研究は、 現 在のところまだ 試みら れておらず、 今後の重要な問題と して残されている。 ことに筆者 もその未開拓地に1鍬を入 fy i i れるべ く、差別化反応の中でも、 実験 的操作が比較的容易であると思われる「変換反応」(mod ng. r e spons e ) をまずと りあ げ、 偶然的学習に対するかかる反応の有効性を検 討 してみたのである。. ところで、 一口に変換反応といっても、 それは多種多様である。 われわれは、 よく歴史の年代な. ど を お ぼえ る 場 合、 た と え ば、 コ ロ ン ブス が 新 大 陸 を 発 見 した 1492 年 を 「意 欲 に (ィoョoクo= →. 1492 )かられて大陸発見」 とおぼえた り、 キ リス ト教が日本に伝来 した1549年を 「以後よく (ィ o ゴ o ョ o ク 一1549) 忍 ぶ キ リ ス ト教」 と お ぼ え た り す る。 こ の 場 合 の 「意 欲 に」 と か 「以 後 よ く」. などの有意味語は変換反応の1 つのよい例である。 ここで筆者がとりあげた変換反応 は、 無意味音. 節のア ナグラム (文字の おきかえ) によって作 り出された有意味語であ る。 今、 「クェッ」という無 意味音節を例にとってみよう。 この 「クェッ」 を刺戟項と して与え、 被験者にその文字をおきかえ て、 有意味語を作るように要求 したとする。 被験者は 「ク」 と 「ッ」 をおきかえて 「ツクェ」 を作 る で あ ろ う。 こ の よ う な ア ナ グ ラム に よ っ て 作 り 出 さ れ た 「ツ ク ェ」 は、 「ク ェ ツ」 に 対 す る 連 想 反. 応と しての「ツクェ」とは、 やや趣を異に している。 というのは、 連想反応の場合には、文字をおき かえようとする意 図な しに生じてくるのに対 して、 アナグラム作業の場合 には、 文字をおきかえよ. うとする意図が意識の前面に出ているからである。 もちろん、 アナグラムの過程にも、 連想の要素 が多分に入っている ことは否定 し得ない。 しか し、 今述 べたような意味において、 アナグラムに よ. って作られた有意味語は、 やは り変換反応の1 種と して、 と りあ つかう方が妥当である。 さて、 あ. る被験者が、 いくつかの刺戟項に対 して、 このようなアナグラム作業を した後、 不意 にそれらの刺 S)は、 そのままの形では再生が困難 戟項の再生を要求されたと仮定する。 この場合、 ある刺戟項( であっても、 それに対する変換反応(R)が再起 しさえすれば、 必ず再生 されるものと考えてよいで. あ ろ う か。 否、 決 して そ の よ う に 簡 単 に わ り切 る こ と は で き な い。 何 故 な ら、 た と え 変 換 反 応 (R). S)は再構成 が再起 しても、 変換過程つまりことではア ナグラムの過程が再起 しなけれ ば、 刺戟項( * されず、 したがって、 再生されないということが一応考えられるからである 。 そこで、 本実験において は、 いくつかの刺戟項において、 アナグラムの過程が一定 している条件 と、 一方ではアナグラムの過程が刺戟項 に よって異なる条件とを設定 し、 その変換過程の再起の困 難度が、 刺戟項の再生に対する変換反応の有効性を如何に規定するかを吟味 してみた。. ・ける刺戟項の再生に対して、 有効な手掛 り とな る こ 刺戟頃のアナグラムによる変換反応が、 偶然的学習者にお 5 ( i P 1 d l h P tman ) が、 被験者のアナグラム作業の能力と偶然的学習の成績との間に有意 とは、 最近、 en e ret と os. な相関を見出している事実から一応知られている。 しかし、 そこでは、 変換反応の有効性についての詳細な分析 は試み 妄れていない。 -130-.

(4) . IV) 偶然的学習についての研究 (. 実. 験. 方. 法. 第1表に示 した A, B の 2‐種 の リ ス トを 刺 戟 材 料 と して 使 用 した。 両 者 と も、 日 常 比較的多く使用されている有意味語を基礎に して作られ た 10個の無意味 3 字音節から成 り立って 刺戟材料:. 第1表 刺戟材料. い る。. これらの刺戟項から、 被験者がア ナグラムによって、 有意味語 を作る場合、. リ ス ト A で は、 各 刺 戟 項 と も 文 字 の 配 列を 全 く 逆 に す る だ け で よ い が、 リ ス. リストA1 リストB. ト B で は、 刺 戟 項 に よ っ て 種 々の おき か え 方 を しな け れ ば、 有 意 味 語 に な ら. ェ リ ヌ シ ヵ ォ. リ ヌ ェ カ シ ォ. な い よ う に し て あ る。. ミ サ ハ. ハ ミ サ. な お、10 個 の 刺 戟 項 の 中 で、 い ず れ の 文 字 も 2 度 現 わ れ な い よ う に す る の が、 最 も 理 想 的 な の で あ る が、 しか しそ れ は 非 常 に 困 難 で あ る。 と い う の は、. ノ モ キ. ノ モ キ. マ タ ァ. マ ァ タ. 一 方 で は ア ナ グ ラム に よ っ て、 各刺 戟 項 か ら は、 日 常 比 較 的 多 く 使 用 さ れ て. い る 有 意 味 語 が、 1 個 しか 作 ら れ ない よ う に 注意 しな け れ ば な ら な い か ら で あ る。 した が っ て、 こ こ で は 各 刺 戟 項 の 3 字 の 中 の 1 字 は 2 度 現 わ れ る が、 せ め て 他 の 2 字 は 2 度 現 わ れ な い よ う に 形 を 整 え た。 手. 続:. ィ ヵ ト カ トィ . レ ミ ス レ ミ ス メ マ ニ. メ ニ マ. リ ム ヶ. ヶ リ ム. キ ウ ホ. ウ キ ホ. 実験群--実 験 群 A (以下、 実 A 群と略す) には、 リス ト A、 実験群 B (以下、 実 B 群と略 す) には、 リス トB を刺戟材料と して与えた。 各 刺 戟 項 は、 タ テ、 ヨ コ 40cm の 白 色の 厚 紙 に 黒 色 で 書 い て あ り、 10 秒 間 隔 に て、 1 枚 ず つ め く. って、 1 度だけ提示 した。 教示は次の通り。. 「こ れ か ら、 皆 さ ん に、 今 配 りま した A,B,C の 3 つ の封 筒 の 中に 入 って い る沢 山 の紙 を使 って、 お も しろ い. 「字謎遊び」つまり文字をおきかえる遊びをやってもらいます(指示するまで、 封筒の中を見ないように、 厳重に 注意する)。 私がここで持っているこの10枚の大きな紙には、「ラスカ」(板書) といったような意味のない言葉 が、 1 枚 に 1 つ ず つ書し・て あ り ま す。 と こ ろ で、 こ の 「ラ スカ」 と い う 言 葉は、 そ の ま ま 読 む と 何 も意 味 が あ り ま せ ん が、 文 字 を お き かえ る と、 皆 さ ん が日 常使 っ て い る 言 葉 に な りま す。 こ れ は、 この ょ ぅ に お き か え る と. (板書にて順序を説明) 、 「カラス」 になりますね。 これから、 この紙を 1 枚ずつめくって行きますから、 それぞ る意味のない言葉を れの紙に書いてあ 、 今説明したような方法で意味のある言葉にして、それを封筒 A の中に入 っている「小冊子」(アナグラム用紙:10枚の紙を1冊に束ねたもの)に、 順に書き込んで行ってもらいます (方 ′(その他、 合図にあわせて1つずつきちんと進んで行くこと、1度書い 法を板書にて説明)。 それでは始めます, た 後 は そ れを め く って 見 な い こと、 な どの 細 か い注 意を 与 え た)」. 最後の刺戟項が終ってから、 1 分 (この間に、 ア ナグラム用紙を封筒 A に しま い、 封 筒 B か ら 再生用紙をと り出させ、「これは実は記憶の実験 である。私がここでどんな言葉 を見せたか、 思い出. したものから順に記 入するよう、 云々」 の教示を与えた) 後に、 不意に刺戟項の自由再生検査を行 った (制限時間=3分)。 さらに、 再生用紙を封筒 B の中に入れさせた後、 今度はアナグラム に よって作った有意味語を、. 封筒 C の中の紙に再生記入させた (制限時間=3分)。 統制群--統制群 A (以下、 続 A 群と略す) には、 リス ト A、 統制群 B (以下、 続 B 群と略 す) に は、 リ ス ト B を刺戟材料と して与えた。. 、と同様 であ るが、 ここではアナグラム作 再生検査の手続は、 実験群の場合 刺戟項の提示方法及び‐ 業をさせずに、 単に刺戟項を書きうつす仕 事を与えた。 その教示は次の通り。 -131-.

(5) . 小. 柳. ぬ ず 口. 恭. 「こ れ か ら、 皆 さ ん に、 今 配 りま した A,B,C の 封筒 の中 に 入 っ て い る沢 山 の紙 を 使 って、 い ろ い ろ と お も し ろ い 仕事 を して も らいま す。 私 が こ こで 持 って い る 10 枚の大きな紙には、「ラスカ」(板書) とし ・ったような意. 味のなし ・言葉が、 1 枚に 1 つずつ書いてあります。 まず、 最初の仕事として、 封筒 A の 中に 入 って い る 「小 冊 10枚の紙を1冊に束ねたもの)に、1枚に1つずつ、ここでお見せする言葉を書き込んで行ってもらいます。 子」(. それが一通り終ってから、「 ノト冊子」を切り離し、それらを 自分で好きなように並べて、 それを見ながら、 今度は 封 筒 B の 中に 入 っ て い る紙 を 使 っ て、 お も しるし・遊 び を して も らいま す。 そ れ が 終 った ら、 ま た 封 筒 C の 中 に. 入っている紙を使って、 別の仕事をしてもらいます。 それでは、 始めます. / (その他、「小冊子」のめくり方など について実験群と同様の細かい注意を与えた)」. しか し、 実際には、 刺戟項を記入せ しめるだけで、 その後の 「小冊子」 を切 り離すよう な仕事は. さ せ な い。. 刺戟項の自由再生検査終了後、 次のような教示の 下に、 刺戟提示中に被験者自ら気づいた有意味 語を、 封筒 C の中に入っている紙に再生記入させた (制限時間=3 分)。 この場合 前に再生記入 、 した 刺戟項はもちろん見せない。 「こ こ で、 さ き ほ ど、 私 は い る い る と 意 味 の な い 言 葉 を お 見 せ し、 そ れ を 皆さ ん 方 に書 き う つ して も らいま し. たね。 実は、 それらの言葉は、 そのまま読むと意味がありませんが、 丈字をおきかえると、 日常使っている意味 の あ る 言 葉 に な りま す。 さき ほ ど、 書 き う つす 仕 事 を しな が ら、 そ う い う こ と に 気 が つき ま した か。 も しも 気 が つ い た 人 は、 どん な 言 葉 があ っ た か、 よ く 思 い出 して 下さ い」. なお、 最後に、 実験 群及び統制群に対 して、 刺戟項の再生検査を予期 したか否かを内省させ、 そ れを3 種の封筒を束 ねてある紙に記入させた。 その結果、 本実験においては、 再生検査を予期 した 者は1 名もいなか つた。 被験者:. 被験者は、 各群とも、 中学校3 年生22名 (男子11、 女子11) ずつである。 これらの 被験者は、 今までにこの種の実験には、 全く経験がない。 各群と も団体にて実験を 行い、 注意事項 を厳守させるた めに、 本学々生 2名に実験補助を依頼 した。. 結果 及び 考察 実 A、 B 群及 び統 A、 B 群の結果は、 第 2表 に示 した通 りである。. ま ず、 英 A 群 と 続 A 群 を 比 較 して み る と、 前 者 の 刺 戟 項 の 再 生 成 績 は、 後 者. の それ よ りも 著 しく′優れ て お り、 そ の差 1 ) によ り 1 %以 下 は T…test 両 側 検 定( 、 3 9 (CR=3 ) 有 で で 意 る あ 下、 差 の (以 .. 検定はすべて. T‐test 両 側 検 定 に よ る) 。. こ れ は、 変 換 反 応 の 場 合 も 同 様 で あ っ. て、 両 群のその 再生量の間 には、I. %以. 下 (CR=3 .27) で 有 意 の 差 が 認 め ら れ る。. と ころ が、 英 B 群 と 続 B 群 の 場 合 は、 こ れ と 様 相 を 異 に して お り、 前 者 は 後 者. 第2表. 群 A. 実. 刺 ま 正 総 再生数. A. B B A. 統. 実験群 A、 B 及び統制群 A、 B の刺戟項及 び変換反応の再生量 (n=各群:22 ). A. B B. 戟 ヲる於*. 項 △ qdn M. 換 応 変 反 総 正 ** Mdn 馨 る餅 煮 ヲ 再生数. 10 I 5. 4 7 73 .. O 5 0 ,. 10 7. 50 00 ,. O 5 0 .. 26. 11 82 .. 1 0 O .. 102. 48 11 .. 4 5 ,. 9 9 1 20 ,. 5 1 .. 50. O 2 0 .. o 10 45 .. o 1 O ,. 27. 0 1 O ,. 46. 46. 23 23. * 刺 戟項 の 可能 な る 総 正再 生 数 ( lox22=220) に 対 す る実 際 の 総 正再 生 数 の %. * 変換反応の可能なる総正再生数 (実 A 群=214 実 B 群= * 、 212 ) に対する実際の総正再生数の%. 25 01 よりも著 しく多くの変換反応を再生 しているにもかかわらず (CR=4 )、 両群の刺戟項 . . ,P<0 59)。 の 再 生 成 績 は、 ほ と ん ど 変 りが な い の で あ る (CR=0 .. これらの事実は、 一体何を意味しているか。 今、 実 A 群と笑 B 群を比較 してみると、 両 群の変 2- - 13.

(6) . IV) 偶然的学習についての研究 (. 54 換反応の再生量はほぼ同 じであるが(CR=0 )、後者の刺戟項の再生成績は、 前者のそれよ りも1 .. 35 %以下 (CR=- -5 ) で有意に劣ってい る。 ところで、 この場合、 刺戟項の3 字は一応出揃って い .. る が、 そ の 文 字 の 配 列 が 正 しく な い (た と え ば、 刺 戟 項 「リヌ エ」 が 「ヌ リ ェ」、 「エ リ ヌ」、 「リ ェ. ヌ」 あ る い は 「エヌ リ」 の如 く な っ て い る) 事 例 に つ い て 調 べ て み る と、 笑 B 群では 6 6 個も現われ ているのである。 かりに、 これを刺 戟項の総正再生数 26 に加えると、92 となり、 もはや変換反応 の総正再生数との間に大きな喰 い違いはみられなくなる。 かかる事実は 実 B 群において は、 刺戟 、 項を再生 する際、 一応再起 しておりながら、 その刺 戟項の再生に対して、 有効な手掛 りとならずに 終って しまった変換反応がかなり多かったことを物語っている。 すなわち、 リス ト B に お い て は、. 変換過程が刺戟項によ って異な っており、 その再起がかなり困難なの で、 かかるリス トを与えられ た英 B 群の場合、 「変換反応→刺戟項」 の後戻りが困難な変換反応がかなり多く形成されたことに. なる。 しかるに、 リス ト A において は、 変換過程が一定しており、 その再起はきわめて容易である から、 かかるリス トを与えられた英 A 群では、 変換反応が再起 しさえすれば、 大体のところ間違い なく、 それを手掛りとして、 刺戟項が再生さ れるのである。 事実、 この群においては、 前述 したよ うな刺戟項が正 しく再生されていなV ・事例は、 わずかに 5個しか現われていない。 しか し、 こ こ で あ る 人 は、 次 の よ う に 反 駁 す る か も しれ な い。 つ ま り、 実 A 群 に お い て は 再 起 、. した変 換反応は、 刺戟項を全く逆 に した形になってい るので、 そこから再認作用によって、 刺戟項. が再構成されや すい。 それに対して、 英 B 群では、 刺戟項を構成 している3 字は- -応、 再起した変 換 反 応 の 中 に 出揃 っ て い る が、 刺 戟 項 「ノ モ キ」、 「レ ミス」 を 除 い て は、 実 A 群 の よ う に、 全 く 逆. にL た形 にな っていないので、 再認が困 難になり、 したがって刺戟項が再構成きれにくくなる こ 。 のことが、 実 A 群と英 B 群の刺戟項の再生 成績に大きな違いをもたらしたのではないか と な. 、 。 るほど、 これは一応尤もな意見である。 しかし、 たとえ変換反応が刺戟項を全く逆にした形 になら な く て も、 ア ナ グ ラム が 一 定 して い る リ ス トを 与 え ら れ る な ら ば、 や は りそ の 群 の 刺 戟 項 の 再 生 成. 績は実 A 群とほとんど同 じになることが容易に想定されるのである。 その上、 さらに次のような事. 実が見出されて いるのであって、 かかる再認の困難度、 云々は、 ここでは一応問題にならない。 す な わ ち、 リ ス ト A と リス ト B に お い て 共 通 して い る 刺 戟 項 「ノ モ キ」、 「レ ミス」 に 対 して 実 A 群. と実 B 群の被験者は全員 が変換反応をなし、 且つそれを再生 した被験者 もほぼ同数となっているに も か か わ ら ず (「キ モノ」 の 場 合、 笑 A 群 =12: 実 B 群=11、 「ス ミ レ」 の 場 合、 英 A 群 =12: 実. B 群=1の、 刺戟項を再生した被験者は 実 A 群では 「ノモキ」 =9 「レミス」 =10 それ に対 し 、 、 、. て、 実 B 群 で は わ ず か に、 「ノ モ キ」 =1、 「レス ミ」 =3 に す ぎ な い の で あ る この よ う な笑 A 群 。 と 実 B 群 に お け る 「ノ モ キ」 あ る い は 「レ ミ ス」 の 再 生 数 の 大 き な 違 い は、 そ れ ら の ア ナ グ ラム が、. 実 B 群では、 種々のアナグラムの 中の1種であ り、 したがってその変換過程が再起しにくいことを 明瞭に物語っている。. ここに至って、 われわれは、 実 A 群が続 A 群よ りも、 刺戟項及び変換反応をよ り多く再生 し、 且つ両 群のいずれ に おいて も、 刺戟項と変換反応の再生量がほぼ一致している事実を、 次のように 解し得るのである。 すなわち、 それは、 変換過程の再起が容易な場合には、 刺戟提示中に変換反応 がよ り多くなされ、 且つ刺戟項を再生する際に、 より多く再起するほど、 刺戟項の再生量は増大す. るということを明らかに示 しているものである、 と。 それに対して、 変換過程の再起 が困難な場合 には、 如何に多くの変換反応がなされても、 その中のかなり多くのものは、 .刺戟項の再生に対して は有 効な手掛 りとはならないのであ る。 笑 B 群が続 B 群よ りも著 しく多くの変換反応を再生して おりながら、 刺戟項の再生成績においてはあまり変りがない事実は、 われわれに、 このことをはつ 3- -13.

(7) . 小. 柳. 恭. 治. き りと 教 え て い るo. なお、 続 A 群は続 B 群よりも、 多くの刺戟項及び変換反応を再生 している (しかし、 その差は. 70 33)。 こ れ は、 お そ ら く、 リス ト い ず れ も 有 意 で は な い。 刺 戟 項 : CR=0 . . , 変 換 反 応 : CR=1. A においては、 すべての刺戟項が有意味語を逆にした形になっているので、 続 A 群の方が、被験者 自らアナグラムをする可能性が大きく、 それがこの群を して続 B 群よ りも多くの変換反応を再起せ. しめ、 且つそれがそのまま刺戟項の再生量に反映したものと考えられる。 かく して、 以上の考察から偶然的学習に対する変換反応の有効性を規定する主なる要因が明ら か. になった。 今、 それをわかりやすく図式化すれば、 次の如くになるであろう。 刺戟項(S)-→変換反応(R) (記銘) ・ ↓ (把持) …. ↓ (再生). ↓ Rの再起--〔変換過程 (S→R) の再起〕→Sの再生. 一般に、 偶然的学習者においては、 無意味な刺戟項そのものの、 偶然的記銘→把持→再生の経路 による再生は、 きわめて困難であ る。 ところが、 刺戟提示中に、 被験者 がそれらの刺戟項 から、 ア. ナグラムによって有意味語を 作るならば、 かかる有意味語 つまり変換反応は、 日常使用 している材 料であるが故に、 無意味な刺戟項よ りは再生されやすく、 したがって、 刺戟項の再生を媒介する役 割を演ずる。 しかし、 如何なる場合においても、 変換反応が再起しさえすれば、 必ず刺戟項が再生 されるというのでは ない。 この場合、 刺戟項の再生に対して、 再起 した変換反応が有効な手掛りと なるか否かは、 変換過程の再起の困難度に規定されるのである。 すなわち、 ある刺戟項 (S)に対す る変換反応(R)が再起し、 且つ「S→Riの変換過程が再 起するならば、 刺戟項 (S) が再構成され、 そこに刺戟項 (S) の再生が成立する。 ところが、 変換 反応 (R) が再起しても、 変換過程の再起が. S)は再構成されるに至らないのであるo 不可能 な場合には、 刺戟項(. すでに述べた如く、 変換反応には、 ここでと りあ げたアナグラムに よる変換反応以外に種 々のも. i i at on response) の が あ る。 ま た、 変 換 反 応 以 外 に、 差 別 化 反 応 に は 連 想 反 応 (assoc. や群化反応. ing r (cluster esponse) な ど が あ る。 そ れ ら の 役 割 に つ い て も、 今 後 さ ら に 詳 細 に 吟 味 し、 差 別 化. 反応一般 について、 刺戟項の再生に対する 基本的な媒介様式を明らかにしなければならない。. 約. 要. この実験は、 無意 味な刺戟項のアナグラム (文字のおきかえ) によって作 り出された有意 味語の 如き変換反応が、 偶然的学習条件におけるそれらの刺戟項の再生に対 して、 有効な手掛りとなるた めには、 如何なる条件が具わっていなければならないかを明らかにすべく試みられたものである。. 被験者を実験群 A,B 及び統制群 A,B の4 群に分っ。 各群とも中学校3年生 22名ずつである。 実 A 群及 び実 B 群には、 刺戟項としての無意味3字音節を、 アナグラムによって、 有意味語にす る作業をさせた。 この場合、 実 A 群には、 一定したアナグラムが行われるリス ト A を与え、 英 B 群 に は、 刺 戟 項 に よ っ て ア ナ グ ラム が 異 な る リ ス ト B を 与 え た。. 4- -13.

(8) . 偶然的学習につし ・ての研究 ( IV) 他 方、 統 A 群 に は リ ス ト A、 続 B 群 に は リ ス ト B を刺戟材料として与え、 これら こ れ ら の 群 に は、 ァ. ナグラム作業をさせずに、 各刺戟項をそのまま書きうつす仕事を要求 した。 リ ス ト A B とも 1 , . 0 個の刺戟項から成 っており、10 秒間隔にて 1個ずつ提示し、 一通 り終っ てから、 不意に刺戟項を再生させた。 さらに、 その後で、 実験群には、 アナグラムによって作った. 有意味語を再生せしめ、 統制群には、 刺戟提示中に自ら気 づいた有意味語を再生せしめた。 主なる結果は次の如 し。 実 A 群は続 A 群よ りも、 著 しく多くの刺戟項及び変換反応を再生 した。 しかもそれ ぞれの群に. おいて、 刺戟項と変換反応の再生量はほぼ一致している。 他方、 実 B 群は続 B 群よりも著しく多くの変換反応を再生したが、 両群の刺戟項の再生成績は ほぼ同じであった。 この場合、 実 B 群において は、 刺戟項が正しく再生されていない ( 3字は出揃 っているが、 文字の配列が異なっている) 事例が非常に多く現われてい る。. これらの事実から、 刺戟項に対する差別化反応の1種としての変換反応と偶然的学習の関係につ いて次の如き結論が導き出された。 1) 刺戟項の再生に有効な変換反応が 刺戟提示中に多くなされるほど、 刺戟項の再生量は増大 、 す る。 2) その変換反応の有効性は、 変換反応の再起の困難度のみならず、 変換過程 (つまりここでは. アナグラムの過程) の再起の困難度にも規定される。. 献. 文. 1 , 岩原信九郎 ノ ンバ ラ メ ト リ ッ ク 法, 1955, 日本 女化科学社, 57 0~2 79 1 2 ヮ ) --学習の意図と孤立効果. 心理学研究, 19 , ,2 . 小 柳 恭 治 偶然的学習についての研究 ( ,27 57 7 2 1 1 1 3 )-一群化反応と連想反応. 文化 (心理学特集号) 1 , 小 柳 恭 治 偶然的学習についての研究 ( ,19 ,2 ,1 ~182 .. 57 4 . , 小 柳 恭 治 偶然的学習についての諸問題, 東北心理学会第11回大会公開講演, 19. lhabi identa ll i 5 i t l i tman th sin inc earni ng ー scr . ninat er ender e ve and Verba , Aロ ,J , , Di , , P1 , & Pos ,L ,ハ4 1 9 6 3 6 4 3 Psycho l 5 2 2 6 9 - . , , , , ll ing:1 1 i l l identa 6 i tman earn s of esin inc s 1 ps , The e任ect , Pos , L, , Adan , P. A, , & Phi , L. い, Stud 9 5 1 1 0 ing P h l 1 5 i i lue and ofthe me thod oft t J 4 9 - s c o es e x assoc at on va p y , . , , . , , , i f or i 7 identa ll ing tasks i t tman nterac on o ・ ns esi ni nc earning:IV, Thei ent , Pos . P,A, Stud ,L. ,& Ada imulus ma i l l t ter and s a s . . J ,exp . Psycho , ,329-333 ,1956 ,51 8 i i identa ll ing l l t earn zman ent ng taskininc .J , Psycho ,J , The or . Amer , , , Sa ,1953 ,工 ,64 ,593-598. 1957 ( .9 ,30). 35- -1.

(9)

参照

関連したドキュメント

※ 硬化時 間につ いては 使用材 料によ って異 なるの で使用 材料の 特性を 十分熟 知する こと

用 語 本要綱において用いる用語の意味は、次のとおりとする。 (1)レーザー(LASER:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

あれば、その逸脱に対しては N400 が惹起され、 ELAN や P600 は惹起しないと 考えられる。もし、シカの認可処理に統語的処理と意味的処理の両方が関わっ

2) ‘disorder’が「ordinary ではない / 不調 」を意味するのに対して、‘disability’には「able ではない」すなわち

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から