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道東地域における環境教育施設とバリアフリー : 高齢者・障害者等ハンディキャップのある人々の自然体験施設

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Academic year: 2021

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(1)Title. 道東地域における環境教育施設とバリアフリー : 高齢者・障害者等ハン ディキャップのある人々の自然体験施設. Author(s). 星, 知子; 小林, 聡; 神田, 房行. Citation. 北海道生涯学習研究 : 北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要, 2: 93-104. Issue Date. 2002-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2805. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) “北海道生涯学習研究”北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要 第2号. ReportoftheResearchandEducationCenterforLifblongLeaming−HokkaidoUniversityofEducationNo・2. 平成14年3月 Marcb 2002. 道東地域における環境教育施設とバリアフリー. 一高齢者・障害者等ハンディキャップのある人々の自然体験施設− 星 知子1)・小林 聡2)・神田房行1). 1)北海道教育大学釧路校 ′ 2)釧路公立大学. FacilitiesofEnvironmentalEducationforHandicqpped PeopleinEasternHokkaido TbmokoHOSHIl),SatoshiKOBAYASHI2)andFusayukiKANDAl) l)DepartmentofBiology,HokkaidoUniversityofEducation,Kushiro 2)KushiroPdblicUniversity,Kushiro. Abstract TherearethreeRamsarSitesinEasternHokkaido,namelyKushiroMarsh,Bekambeushi. Marsh and Kiritappu Mire.Theimportance ofthe environmentaleducation has been recognized by the peoplefor conservation ofthe valuable naturalresources.In recent years,manyaCtivitieshavebeencarriedinnaturalparksinEasternHokkaido.Wefocused theactivitiesforthehandicappedpeople.Inparticular,WeinvestigatedtheequlPmehtsfor. handicappedpeopleinfacilitiesofenvironmentaleducationinEasternHokkaido.. Keywords:環境教育(EnvironmentalEdu占ation),施設(血cilities),障害者(handitappedpeop16). 1.はじめに. 最近日本では「病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店その他の不特定かつ多数の不特 定多数の者が利用する」建築物の「出入口、廊下、階段、昇降機、便所」などを高齢者や障害者. が円滑に利用できるようにするための措置を講ずるように努めなければならない、とするハート ビル法註1が施行される(1994年)など公共の交通のみならず、公共の建物のバリアフリー化がす すんでいる。障害者の社会参加への要求の高まりに答えるため、とともに急速に近づきつつある 高齢化社会を見こしたものでもある。バリアフリーに注目するのは、妊婦、ベビーカーを使用し. ての子育て、親世代の老齢化による足腰・体の衰えなど自分自身の経験から日々の生括にバリア フリーの必要性を痛感することが多かったという実感にもとづくものである。また一方で、施設. 面の不備をたまたま居合わせた人々の優しい手助けでのりきれたことも多々あった。高齢化社会 では車椅子の利用は高齢者の自立には不可欠であるという。バリアフリーは将来の高齢化社会の 到来においては、高齢者予備軍でもあり、高齢者をケアする立場でもある自分自身の問題でもあ. −93−.

(3) 星 知子・小林 聡・神田房行. るのである。バリアフリーは、高齢化社会や障害者の社会参加の促進といったこと以外にも、こ. のような優しさや思いやりを基盤にしたバリアフリーの行き届いた社会はあらゆる人にとっても 住み易く快適な社会であると言えるだろう。ここでは、高齢者や障害者のみならず妊婦や乳幼児 連れの人などもハンディキャップのある人々とした。本来バリアフリー註3とは、その障壁によっ. て侵害されているさまざまな人権を回復することを目的とした概念である。 このような社会状況のなかで、環境教育においてはバリアフリーの概念は、どのようにいかさ. れているだろうか。健康な成人男性の経済活動を中心に作られた社会での環境問題は市場経済の もとに経済効率を追求した結果、今新たな局面を向かえようとしている。地球規模となった環境 問題は、私たちの生きかたや価値観をも変えていかなければならない必要性のある事態をひきお こしている。このような環境問題をとらえる際、社会的弱者を含む多様な人々の様々な視点を持. ち込むことは、新たな価値観や、経済活動の発見を引き出す可能性をもっているといえるだろう。 地球環境の急激な変化に対する危機感は、環境教育の重要性を認識し行動にうつすことを世界中 にもとめることとなった。自然を搾取し利用する対象として利益を享受する人間にとって都合の 良い人間中心主義から、将来の世代のために「自然と人間の共生」へと転換していかなければな らないという、共通認識をもつにいたっている。環境問題の解決のための行動には誰でも参加で きることが大前提であると考えるがそのためにも、バリアフリーの概念はどのようにいかされる べきであろうか。ここでは、環境教育における自然体験でのバリアフリーを考えてみたい。. 道東地域は、釧路湿原、別寒辺牛湿原、霧多布湿原など3つのラムサール登録湿地があるなど. 広大な自然に恵まれている。今まで牧草地や住宅地として土地改良・開発の対象されていた“谷 地”である湿原は、道東の冷涼な気候のおかげで北海道の他の湿原と比べて、比較的開発をまぬ. がれ湿原の貴重な自然を残すこととなった。ラムサール登録湿地としてもその貴重な自然が世界 的に認められ国立公園や道立公園として、保護される対象となり注目されるようになった。また、 このような恵まれた自然条件を生かして、霧フェスティバルやカヌー等のエコツアー、自然保護 の研修等が“地域おこし”として試みられている。しかし一躍注目をあびる存在になったとはい え、まだまだ地域での保護・保全の意識は地域の人々に浸透したとはいえない状況である。その. ためこの貴重な自然を保護し持続させるために、道東地域での環境教育の重要性が認識され学校 や地域、自然公園等で様々な取り組みが行われるようになった。そのような環境教育の現状をふ まえながら、バリアフリーの状況も見てみたい。ここでは、自然体験の場として中心をなす自然 公園でのバリアフリーを中心に見てみたい。 道東地域の自然公園内の環境教育施設においてはバリアフリーの概念はどのようにいかされて. いるのであろうか。環境教育施設で行われている環境教育プログラムヘのハンディキャップのあ る人々の参加は環境教育にどのような影響をあたえるのだろうか。また環境教育施設における ハード面、ソフト面のバリアフリーは地域でどのような役割を果たすことができるのであろうか。 ハンディキャップのある人々にとって、道東地域での自然体験の可能性はどのようなものである のだろうか。湿原、湖沼、草原などを特徴とする道東地域の自然環境は、登山などの必要がなく、. 身近に自然を体感できるという点でバリアフリーに適していると考えることができるのではない だろうか。高齢者、障害者が環境教育の中でどのように位置づけられているのか、高齢者や障害 者の自然に対する意識の考察とともにみてみたい。 以上ハンディキャップのある人々が、自然体験の場に主体的に参加するさい、どの程度受け入. −94−.

(4) 道東地域における環境教育施設とバリアフリー. れ態勢が整備されているか、また自立的の参加ができるのかなど現状を把握し今後の可能性を考 えてみたい。そこから環境教育において、積極的にハンディキャップのある人々を受け入れてい く体制を整えていくことの意義を考察したい。. 2.研究方法 環境教育においてはバリアフリーの概念はどのように考えられ、生かされているであろうか。 環境教育においてハンディキャップのある人々の参加をどのようにとらえていくのかを、環境問. 題における環境教育の重要性、環境教育の流れを見ながら考えてみたい。また、道東地域におけ る環境教育の現状を見るため学校教育や地域での取組みを調べ、特に自然体験の場として中心を なす自然公園内の環境教育施設での取り組みを見ることによって環境教育における自然体験とバ リアフリーのハード面、ソフト面の現状と可能性を考察するものである。 ハード面におけるバリアフリーの現状を把握するために、道東の釧根地域に所在する、主に湖 沼や湿原を中心とした平坦な地形位置する七つの環境教育施設の設備面のバ. リアフリーの現状を. 調査することにした。事前に各施設におうかがいし、見学したりお話をお聞きしたりした環境教. 育施設をピックアップさせていただいた。その際、ハートビル法の基準を参考に各施設にアン ケートに答えていただくことによって建物内の設備を一覧にできるようにした。また、バリアフ リーをコンセプトにした民営のホテルに設置されている装備についても、環境教育施設にも設置 されていればより快適になると考えられる装備について考えるために参考事項とさせていただい た。ホテルは宿泊客のために快適さを追求し、最終的には利益を上げてゆく目的をもっているた め、バリアフリーを必要としている顧客のニーズに必然的に敏感で、それを満たす努力がなされ ていると考えるからである。ホテルは道東、弟子屈町川湯温泉にあるユニバーサルデザイン註3の プチホテル「ピュア・フィールド風曜日」(1999年4月29日オープン)の設備を参考とさせていた だいた。 調査にご協力いただいた環境教育施設A∼Gを以下に示した。. A:温根内ビジターセンター 所在地:北海道阿寒郡鶴居村温根内 B:厚岸水鳥観察館 所在地:北海道厚岸郡厚岸町大字太田村大別2番3. C:根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター 所在地:北海道根室市東梅103番地 D:塘路湖エコミュージアムセンター“あるこっど’所在地:北海道川上郡標茶町塘路原野 E:川場エコミュージアムセンター 所在地:北海道川上郡弟子屈町川湯温泉2−3−1 F:鶴居伊藤タンヨウサンクチュアリ 所在地:北海道阿寒郡鶴居村字中雪裡南 G:霧多布湿原センター 所在地:北海道厚岸郡浜中町大字琵琶瀬村4番沢103−19 エコ・ミュージアムとビジターセンター. ビジターセンターは自然公園について理解を深めるため、写真パネルや標本、地形の縮小模型 などが展示してあり、自然解説員からの説明を受けたり、映像や音などで公園内の情報や事前知 識を得るために便利な施設である。いっぽう、エコ・ミュージアムは地域の自然を活かしたその エリアの総合的な情報を提供することが目的である。自然学習や利用の指導が行なえるエコ・ ミュージアムセンターとその周りに野外で実際に観察などが行なえるエコ・フィールドとを一体. −95−.

(5) 星 知子・小林 聡・神田房行. 的に整備したものである。エコ・フィールドとはエコ・ミュージアムセンターを中心に、野生動. 植物の生態や川・湿地などを観察する施設等をトレイル(歩道)で結び付けたフィールドの事を ■ ̄ ̄▲− ナ. 百つ。. 本来のエコミュージアムとは自然学習のみならず、ある特定の文化圏、生活圏をもった地域の. 伝統的な遺産(伝説、生活習慣、等)を行政と住民と一体となって計画や管理にかかわり、地域 の理解や発展に寄与し運営されるものである。. 3.道東の環境教育施設の取り組み 各環境教育施設の開設目的およびサービス(利用者、地域住民等、その他) A:温根内ビジターセンター. 1)自然情報についての調査・研究. 2)環境教育. ・特徴:湿原の諸様相をすべて観察できる木道と湿原と森林の関係を観察できる遊歩道を有し ていて、湿原等に生息する動植物や植生などの学習に最適な自然環境下にある。. ・プログラム:自然観察会、展示、図書・資料の閲覧。自然の素材を生かした工作教室。小・ 中・高生のフィールド学習(依頼による)。自然情報誌の発行(「温根内通信」月1回、「Peat] 年2回). 3)その他のサービス. ・自然観察会は、当センター主催の他、環境庁や市(博物館、地区団体他)、職員研修(観光関. 連団体、官公庁)が行われている。 ・道具の貸出し:双眼鏡、車椅子、歩くスキー ・会議室等の貸出し(使用団体,目的、時間等、必要あれば使用可) ・ボランティアレンジャーの活動拠点. ・釧路湿原に関する自然情報等の質問等、気軽にお受けします。 B:厚岸水鳥観察館 1)自然情報についての調査・研究 2)環境教育. ・特徴:野外に設置した湿原観察用野外観察力メラからの映像を生、あるいはビデオで紹介。 普段は見られない、本来の自然の情報を見られるのがウリ。 ・プログラム:探鳥会、自然観察会、展示、スライド・ビデオ上映、別寒辺牛湿原講座、写真. コンテスト、クラフト教室 3)その他のサービス. ・道具の貸出し:双眼鏡、野鳥図鑑 ・レクチャールームの開放. C:春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター 1)自然情報についての調査・研究. −96−.

(6) 道東地域における環境教育施設とバリアフリー. 2)環境教育. ・特徴:「春国岱の貴重な自然環境を保持し、自然保護思想の公用を図る」ことを目的にし、そ の達成のための手法として環境教育を行なっている。ネイチャーセンターは“市民の施設” =“市民のための環境サロン”をめざし、様々な市民が気軽に訪れるよう、イベントデザイ ン等をおこなっている。. ・プログラム:探鳥会、自然観察会、展示、スライド・ビデオ上映、図書・資料の貸出し、ボ ランティアの育成とコーディネイト 3)その他のサービス. ・道具の貸出し:双眼鏡 ・会議室の貸出し−(施設の目的に準じていれば可能). D:塘路エコミュージアム 1)自然情報についての調査・研究 2)環境教育 ・プログラム:探鳥会、自然観察会、展示、スライド・ビデオ上映、図書・資料の貸出し 3)その他のサービス ・道具の貸出し:双眼鏡、歩くスキー ・会議室等貸出し. E:川湯エコミュージアムセンター 1)自然情報についての調査・研究 2)環境教育. ・特徴:屈斜路摩周地域の自然情報を提供するとともに、自然体験のためのフィールドプログ ラムも利用しやすく整備している。. ・プログラム:自然観察会、展示、スライド・ビデオ上映、図書・資料の貸出し、ネイチャー クラフト(工作教室),セミナー(予定) 3)その他のサービス. ・道具の貸し出し:双眼鏡、電動車椅子、歩くスキー、スノーシューズ ・展示コーナーを作品発表の場等に利用していただいている。 F:鶴居伊藤サンクチュアリ 1)自然情報についての調査・研究 2)環境教育. ・特徴:タンチョウのしぐさを望遠鏡でじっくり観察しながら、その意味をレンジャーが解説 している。. ・プログラム:展示、図書・資料の閲覧、タンチョウの行動を観察するプログラム提供(マッ ピング、タンチョウビンゴ) 3)その他のサービス. ・地域住民への情報提供:村広報誌(月刊)によるタンヨウの情報提供(1500字のエッセイ連. −97−.

(7) 星 知子・小林 聡・神田房行. 載)。村内防災無線による週末のタンチョウ飛来状況の放送。 ・講話活動(依頼により). G:霧多布湿原センター 1)自然情報についての調査・研究. 2)環境教育 ・特徴:くつろぎや、心の開放の演出による環境教育を通して、霧多布湿原や浜中町へのフア ンをふやす。 ・プログラム:探鳥会、自然観察会、展示、スライド・ビデオ上映、図書・資料の閲覧、図書・. 資料の貸し出し。「湿原友の会」主催のエコツアーへの協力(プログラム実施時) 3)その他のサービス. ・道具の貸し出し:双眼鏡、自転車、遊具、履き物、歩くスキー、車椅子 ・会議室等の貸し出し ・「湿原友の会」への協力(プログラムの企画・立案・アドバイス、トレーニング等) ・地域住民への、ブタスゲフェスティバル、クリスマスパーティー等のイベントの実施 ・通信紙の発行. 4.各環境教育施設におけるバリアフt」−の設備 表1.名称・開設年月日・建物規模・交通アクセス 施設名 ①開設年月日 ②建物規模(戒)(診交通アクセス A:温根内ビジターセンター. 1992年4月24日 299、7 2階建. B:厚岸水鳥観察館. 1995年4月12日 329.67 2階建. C:根室市春国岱原生野鳥公園. 1995年4月16日 569.68. ネイチャーセンター. D:塘路湖エコミュージアム. 2階建. 1997年10月2,0日 507.00. センターー▼あるこっと−−. 平屋. E:川湯エコミュージアムセンター1999年4月29日 693.4 F:鶴居伊藤タンチョウ. 1987年11月. サンクチュアリ. G:霧多布湿原センター. 釧路空港20分(自動車). 釧路駅50分(バス) 釧路空港90分(自動車). 厚岸駅10分(自動車). 中標津空港60分(バス、 車)、根室駅20分(バス) 釧路空港60分(自動車). 塘路駅20分(徒歩) 女満別空港60分(自動車). 2階建. 川湯駅10分(バス). 135.0. 釧路空港50分(バス). 2階建. 釧路駅 50分(バス). 1993年5月1日 1275.327 4階建. 釧路空港120分(自動車) 茶内駅10分(自動車). 以上のことから、Gは地域のコミュニティセンターとしての機能をあわせ持つ性格上最大の広 さを持っているが、他の施設に関しては一般に新しい施設になるはど建物規模は広くなっている。. Eに関しては、バリアフリー対応をコンセプトにして建てられた建物だけにエレベーターが設置. −98−.

(8) 道東地域における環境教育施設とバリアフリー. されているだけでなく、階段手すり、他の施設にはない視覚障害者用誘導ブロックが設置されて いるなど、広いスペースにゆとりがあると感じられた。しかし、Eを除いては広くなっていると いえども車椅子が二台すれ違ったり並んだりするにはとあまりゆとりがないように見えた。 高齢者や身障者、乳幼児連れの家族連れなどは目的地まで自動車の利用が便利と考えられる。 交通アクセスからは各施設の所在する地域外から施設を利用するさいの利便性を見てみたい。最 寄りのJRの駅からは近い施設で自動車で10分、遠い施設でも自動車で50分と一時間以内である。 空港からは近い施設で、自動車で20分、遠い施設は120分であったが一時間以内でアクセスできる. 施設が7施設中5施設である。以上公共交通機関からの自動車でのアクセスを考えると、この地 域の交通事情、道路状況は道幅が広く舗装道路で渋滞になることはほとんど皆無である状況であ ることを考慮すると、ハンディキャップのある人々にとっても便利と言えるのではないだろうか 表2.各環境教育施設のバリアフリー設備 A. B. C. D. E. 0. 0. 0. 0. 0. :玄関. 0. 0. 0. :建物内一部. 0. ①車椅子用トイレ. F. G ○. ②スロープ. 0. :建物内全部 ③階段手すり. ○. 0. 0 0. ④エレベーター. 0 0. ○. ⑤階段昇降機 ⑥専用駐車場. ○. ⑦視覚障害者用 誘導ブロック. ⑧その他‥・木道(温根内ビジターセンター)、車椅子用受付台(霧多布湿原センター) ハートビル法の施行後1999年4月開設の、バリアフリーをコンセプトに持つEは他の施設には ない視覚障害者用誘導ブロックを備えているなど階段昇降機をのぞいて①∼⑦の設備をすべてそ. なえている。一方で12年前(1987年11月)に建てられた民間施設(NGO)はまだバリアフリー の考えが普及していなかった時代を反映している。1997年開設のDはEの次に新しい建物である が複数の行政が関与している複雑な管理形態のためスロープの設置がまだ決まらないなど、縦割 り行政のデメリットをこうむっている。. 5.車椅子対応の木道、散策路について 温根内ビジターセンター湿原散策路(阿寒郡鶴居村温根内) 2000年3月末車椅子対応の木道、木道幅1.8m、全長1,100+550mの工事が完成した。. 北海道の規定により木道の幅の拡張や誘導路の整備をしている。木道が完成する来春以降、車. 椅子使用者の積極的な利用を望んでいる。介護団体等を通じて利用の促進を図る手引き等を配布 などを検討中。自然の中に入り込む機会が少ないハンディキャップのある人々にためできる範囲. −99−.

(9) 星 知子・小林 聡・神田房行. で協力していきたいという意向がある。駐車場に関しても事前に連絡をいただければ建物に近接 する駐車場(通常一般利用者は使用できないことになっている)を使用できることを知らせたい。 (若山氏). つつじヶ原自然探勝路(釧路管内弟子屈町川湯). 阿寒国立公園特別保護区にあり、川湯温泉街から硫黄山までの約2.5キロの探勝路のうち、川湯 エコミュージアムセンターを起点に約800m(全線の約3分の2)、道路幅1.5mの車椅子利用に対. 応した探勝路が整備されている。. 霧多布湿原センター木退散策路. 霧多布湿原は厚岸道立公園に属し、1993年にはラムサール登録湿地となった。総面積3168ヘク タール内803ヘクタールが「霧多布湿原泥炭形成植物群落」として1922年国の天然記念物に指定さ れている。「霧多布湿原センター」は湿原を見下ろす高台に位置し、玄関入口スロープ・エスカ レーター・車椅子対応トイレなどのバリアフリーの設備は障害者にも知られ利用されている。湿 原内には幅2m、全長約200mの車椅子対応の木道がボランティアによって作られている。工法に 違いもあるが政府発注の木道に比べるとかなりの低予算で作ることが出来るので長さを延ばして いきたい、とのことである。. つつじケ原自然探勝路における、車椅子利用に対応する路面整備の経緯 当初、弟子屈町や川湯温泉観光協会は環境庁に、探勝路全線約2.5キロを車椅子でも利用できる よう道幅1.5m、平坦に路面を整備することを要望。これに対し住民の同探勝路の散策ガイドボラ ンティアから異議が唱えられた。整備予定地に高山植物があること、できるだけ自然の状態を残 してほしいというのがその理由であった。これを受けて環境庁は、当初要望のあった長さを全線. から約3分の1に縮小。高山植物にかかる部分を約200m、残りはアカエゾマツやミズナラの森. 林である区間とし、探勝路の中核部分に踏み込まないようにするなど住民の反対に配慮したもの となった。. しかし、今後車椅子利用可能な路面整備の積極推進の声も大きくなっていく可能性もあり、専 門家によるより科学的な根拠を裏付けにしていく必要性が出てくるのではないだろうか。整備を した区間の長期にわたる観察・研究が有効なデータとなっていくであろう。また、手押しではあ. るがオフロード用の車椅子(アメリカ製)の貸出しなども有効な解決方法となる場合があると考 えられる。この方法は「車椅子で散策を希望する人に手助けができる体制を整備する」という意 見にも実効性を加えるものと思う。. 北海道における車椅子対応の歩道、園路について 自然公園での木道の整備の際、北海道の基準となるものは、北海道保健福祉部において平成7年 3月に発効された「北海道福祉環境整備要項」にのっとったものが考えられる。それによると、 公共的施設、公園それに付帯する設備の歩道、園路の車椅子対応の基準は幅180cm以上、車椅子が 自力で走行するためには勾配は4%以内、平坦ですべりにくいもの、となっている。. 車椅子利用に対応する自然公園内の路面整備にさいして、必ず浮上してくるのが、自然公園内. −100−.

(10) 道東地域における環境教育施設とバリアフリー. の自然への負荷という自然への保護の問題と、自然公園を利用したい人びとの多様なニーズにこ たえる活用を考えるという問題であろう。現在明確な基準はなく、現場の状況判断にまかされて いる。. 6.まとめ 道東地域のおける環境教育施設と高齢者・障害者等ハンディキャップのある人々の自然体験へ の参加について以下にまとめてみたい。. 道東地域の自然は、干潟や湿原を中心とした比較的平坦な地形をなし、広々とした自然は高齢 者・障害者等ハンディキャップのある人々の自然体験に有利な条件を備えている。 高齢者は自然に対する関心をもつ人も多く、自然体験への参加の要求も高いと思われる。しか も風景地などへの旅行、清掃・美化活動や自然観察会などグループ活動を通じて、自然への関心 が高められているといった、積極的な行動をとおして自然と関与していこうとする姿勢がみられ る。60代の男性における自然保護活動への関心が高い層はリーダーとしての活動も期待できる。 また、障害者も旅行を楽しもうという人々が大幅に増加する傾向がある。健常者に限らず障害 者も旅を楽しむことは欧米では一般的になってきている。日本でもハートビル法が施行されるな ど、バリアフリーに対する意識の高まりは、障害者のみならず高齢化社会への配慮のいっかんと して社会全体の要求を受けたものとも考えられるであろう。 以上のようなバリアフリーのコンセプトの普及とともに、ハンディキャップのある人々の自然 体験に対するニーズも高まっていくと考えられる。車椅子利用に対応した散策路の整備に対する 積極推進の要望もその流れをうけたものであろう。. 道東地域の環境教育施設においては現状では、まだまだハンディキャップのある人々の自然体 験の事例はく表立った数字にでるほどではないが、このような傾向を受けて道東地域における環 境教育施設では、車椅子用トイレやスロープの普及などハード面のバリアフリーの整備は進んで きている。1999年4月にはバリアフリー対応を前面に打ち出した、国立公園直轄の川湯エコ ミュージアムセンターもオープンした。 バリアフリーのハード面の整備も当然であるが、環境教育施設では環境教育のプログラム等に おけるソフト面でのバリアフリー化をみることがより重要であると言えるだろう。アンケートに ご協力いただいた環境教育施設においては、意識の面では環境教育の可能性を広げるものとして 積極的に捉えていこうとする傾向がみられる。「ハンディキャップのある人々の参加によって、 健常者だけではわからなかった新たな発見が期待できる」といった記入はハンディキャップのあ る人々の参加を促す強い積極性を感じさせるものであった。特に夏季の鳥の観察では、視覚より も聴覚のみで楽しめるといったプログラムであることなどプログラムによっては、じゆうぶん視 覚障害者も健常者と同じように、いやそれ以上に楽しめるという提言も現場ならではの発想であ ると感じた。またハンディキャップのある人々の自然体験に対する要望には、よりきめこまやか に対応して行こうとする姿勢はどの環境教育施設にも共通するものであった。一方で、一般の. 人々向けのプログラムにいっしょに参加することでバリアフリーを実施しようとする意見と、 いっしょのプログラムは今のところ考えていないとするところもあった。. しかし現実に実施するにあたっては、職員数2、3人という環境教育施設では、対応する人手. ー101−.

(11) 星 知子・小林 聡・神田房行. の手配が一番のネックとなっている。この点においてはまだ地域との連携を強固にする余地があ ると言えよう。しかし、ボランティアの手配の窓口となっている各市町村の社会福祉連絡協議会 では、特に環境教育施設から申し出があれば前向きに検討するということなので地域住民のボラ ンティアとしての参加はより地域との連携を強め、地域の環境教育施設及び環境教育に対しての. 理解を深めるきっかけとなる可能性があることを強調したい。ボランティアとして地元の高校生 などに参加してもらうことで、最も環境教育施設の利用の少ない層に、地域の自然環境に興味を. 持たせるきっかけとすることもできるであろう。 また、このような環境教育施設のバリアフリーに対応するハード面の情報、ハンディキャップ のある人々に対する様々なサービスの情報が必要とされる人々に発信されていないという意見も. アンケートに記されている。この点もハンディキャップのある人々の環境教育施設の利用が少な いことに、大いに関係があると言えるのではないだろうか。 以上のように、ハンディキャップのある人々の自然体験は現段階では需要が少ないといった意. 識のもと、卵が先か、鶏が先かといった状況にあるようである。自然公園内の各環境教育施設に おいては、意識の面では非常に受け入れ体制が整っているという結果が見られた。ハード面の不 備も整いつつある。いっぽう道東の学校や地域の環境教育の取り組みのなかでは積極的に環境教. 育の一環としてハンディキャップのある人々の自然体験を考えていくには、意識の面、予算の面. など、まだかなり立ち後れた状態である事がわかった。 ハンディキャブのある人々など多様な地域住民の環境教育施設への参加を促し、地域の自然環 境に対する関心を掘り起こすことは設備が整いつつある中、道東の自然公園内の環境教育施設で は前向きな取り組みが始まっている。プログラム実施後の感想も、肯定的なものであった。また. 介助者としての家族やボランティアなどの地域住民の参加は、地域の自然の保全に新たな地域住 民の関心を高め住民参加の自然保護のネットワークのかなめとしての環境教育施設として施設の 活性化につながる可能性もある。しかし施設の中には、縦割り行政の管理下でその活動が制約を 受けてしまうというところもあった。恵まれた自然環境を地域の財産として、地域ぐるみの取り 組みが望まれるところである。 今後、旅行などでも積極的に自然のフィールドに出てくる高齢者や障害者などハンディキャッ. プのある人々は増加傾向にあり、ハンディキャップのある人々の自然体験において、自然公園内 の環境教育施設の果たす役割はこれからますます大きくなっていく事は間違いない。 空港からのアクセスが良く、本州であれば尾瀬のような自然に、登山をすることなく身近に体 験できる地理的条件を備えた道東地域では地域住民との連携によって、ハード面ソフト面のバリ アフリー化を推進することは、動的なレクリエーションのできる自然よりも、静的なレクリエー ションの場としての自然をゆっくりと楽しむことを求めている地域住民以外の高齢者、障害者等. ハンディキャップのある人々をもひきつける魅力となる可能性をもっている。環境教育施設で質 の良い自然体験を経験し、ゆっくりと地域の良さを味わう旅は、あわただしい、おさだまりの旅 行に当てはまらない高齢者やハンディキャップのある人々に質の高いエコツアーとなることも提. 言したい。. −102−.

(12) 道東地域における環境教育施設とバリアフリー. 註. 1)ハートビル法とは1994年6月29日施行された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定 建築物の建築の促進に関する法律」である。第一条には「この法律は、高齢者で日常生活また は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの、身体障害者その他日常生活又は社会生活に身 体の機能上の制限を受ける者が円滑に利用できる建築物の促進のための措置を講ずることによ. り 建築物の質の向上を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」とある。. 2)ハートビル法第3条に基づく特定建築主の判断の基準の基本的な考え方として、基礎的基準 (高齢者、身体障害者等による建築物の利用を不可能としている障害を除去する基準)と誘導 的基準(高齢者、身体障害者等が特段の不自由なく建築物を利用できる基準)とがある。『バリ アフリーと交通』運輸省運輸政策局消費者行政課監修、中央法規 3)ユニバーサルデザインとは、米国の建築家であり工業デザイナーであるロン・メイスが提唱し. たもの。自らポリオによる障害があり、車椅子の使用を余儀なくされたメイスは、障害がある 人だけでなく、すべての人にとって安全で使いやすいデザインの必要性を主張した。次の六つ の条件を満たすことが、ユニバーサルデザインで「良いデザイン」と言われる。①だれもが安. 全に使えること②バリアフリー性能が高いこと③使い勝手がよいこと④価格が妥当なこと⑤環 境との共存が図れ、持続可能であること⑥美しいかどうかなど、審美性が優れていること、で. ある。今までのもの作りでは効率が優先され健康な成人男子の使い勝手が基準になっていた。 だが長寿社会では障害者や高齢者、女性や子どもなどにとっても、使いやすいものを作ってい くことが求められている。(古瀬敏,1999) 参考文献. 阿部宗広(1997)「自然環境教育とエコツーリズム」. 岡島成行編(1997)「自然との共生をめざして」ぎょうせいp265−272 植田和弘(1998)「環境経済学への招待」丸善ライブラリー 宇沢弘文(1997)「地球温暖化を考える」岩波新書. 加藤峰夫(1998)「良好な自然体験の確保」地理43:80−87 鬼頭秀一(1996)「自然保護を問いなおす」ちくま新書. 日下裕弘(1999)「高齢者の生きがいと自然遊に関する研究」スポーツ社会学研究7:23−43 杉原高嶺、水上千之、他(1998)「現代国際法講義・第2版」有斐閣p234 鈴木久枝(1999)「はじめての湿原・体感・温根内一撃唖者の方へのインタープリティション」 環境教育研究2:149−154. 西澤信雄(1997)「エコミュージアム」岡島成行編(1997)「自然との共生をめざして」ぎょう せいp19ト207. 日本自然保護協会編集・監修(1998)「ネイチャアフィーリング」平凡社 沼田 真(1989)「環境教育論」東海大学出版会 北海道新聞社編「北海道自然ガイド」北海道新聞社 宮崎正勝(1998)「環境教育の深化とエコロジカル・リテラシーの育成」環境教育研究1:13−21. もりすぐる(1999)「バリアフリー入門」緑風出版. −103−.

(13) 星 知子・小林 聡・神田房行. 森良(1999)「市民のイニシアティブ」つげ書房新社 渡辺達三(1998)「世論調査にみられる高齢者の自然の保護と利用に関する動向について」ラン ドスケープ研究61(5):47ト474. 環境情報ガイド「エコ・ミュージアム整備事業」http://www.eic.orjp/dOO5e3.htm2000年2月5日 環境情報ガイド「ビジターセンター」http://www.eic.or.jp/eig/dOOc41.htm2000年2月5日 北海道新聞1999年(Hll)4.7「旅楽しむ障害者受け入れに遅れ」. 北海道新聞1999年(Hll)4.15「弟子屈の自然探勝路3分の1に縮小」. ー104−.

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参照

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