日本における美術文化財保存と博物館美術館教育-岡倉天心の構想と現在をめぐって-
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(2) 2.論文の構成. まとめて論考した。. 現在、日本国内に多数ある博物館美術館では、保存・. 序:. 修復を高度な配慮と質をもって十全に実施できる館が. 第1章岡倉天心と日本の美術. 少なく、運営資金や職員数の不足が問題となっている。. 第1節 古社寺調査の経験. 第2節美術教育への関心. なお、展示・展覧会の種類は一見多いが、常設展示・. 第2章岡倉天心と博物館美術館の構想 第1節 美術館の目的と機能 第2節 美術館の組織と人員構成. 恒久展示は不十分で、所蔵品のごく一部を少しずつし. 第3節美術館の教育. ップや販売コーナーでは、商業的な性格が目につく。. か見せていない。なお、企画展・特別展にもやや問題 があり、特に、展示室に近接するミュージアム・ショ. 第3章 日本の博物館美術館の現状と特性. 欧米や中国とは異なって、日本の国公立の美術館で. 第1節 保存・修復と展示の性格. は、作家達からなる美術団体のほか、芸術大学の学生、. 第2節美術館における教育活動 第3節 「貸館」制度. 美術を愛好する市民グループ、小中高等学校の生徒に よる作品の展示などが行なわれることがある。ただし、. 第4章 日本の博物館美術館の課題. 醐弍が下るにつれて安価な貸館には申し込みが殺到し、. 第1節文化財保存の問題 第2節展示の問題 第3節教育活動の問題. 対応しきれないという問題も生じた。美術館で誰もが 自分たちの作品を展示できるということは、作品の優 劣に関して誤解を生む危険性が考えられるし、「美術. 結:. 館」という名前だけの空虚な建物施設と化す恐れも少. 3.研究の概要. なくないのである。この点は、今後貸館事業の課題に. 第1章では、岡倉天心の活動とその意義について考. もなるのだろう。. 察した。天心はE・フェノロサの影響を受け、国内の. 日本の各博物館美術館は、これまでの閉鎖的な美術. 古社寺の調査と欧州視察を共に行い、「観面会」の設立. 館のイメージから脱却し、公衆の生活に密着した活動. に参与した。後に、彼は日本人の立場で日本の美術を. を始めつつある。学校での美術教育が減少・削減され. 見直し、r帝国博物館」の学芸委員と美術部長を務めた. る傾向にある現在、生涯学習の場としてだけでなく、. のち、「東京美術学校」の学長となり、「日本美術院」. 博物館美術館の重要性がかえって高まりつつある、と. を創立したほか、アメリカのボストン美術館の東洋部. いうこともできるだろう。. 顧問を務めた。こうした美術に関する活動を通じて、. 美術品の保存・修復から、美術品の展示、美術品に. 天心は日本の美術文化財の保存と美術教育に関心を深. 関する教育の問題、特に日本の美術館の貸館制度など. め、理論と実践の両面から日本の美術の振興と教育に. の遠景には、岡倉天心の当初の構想と、その後の相関. 尽力し、博物館美術館の設置構想を練ることとなる。. する法律、美術館博物館の組織制度の展開がある。明. 第2章では、文献に基づき、E・フェノロサと岡倉. 治期以来、日本の博物館美術館が独特の発展を遂げる. 天心の博物館美術館に関する観点を比較し、岡倉天心. とともに、今もなお、幾つかの問題や課題を抱えてい. が考えていた、日本の博物館美術館における教育の観. ることは理解できるが、それらをこれからどう解決す. 点について詳細に検討した。. るのか、どのような方向や位置付けに向かうのかは、. 第3章では、日本の美術館の現状と特性について、. 大きな課題であるだろう。. 京都の三つの国公立博物館美術鰭を例として、天心が 重視していた保存・修復、展示、教育普及の面からそ れぞれ考察した。また、京都市美術館の「貸食醐度」. 4.主要参考文献 一『岡倉天心全集』(全8巻) 平凡杜 1980. の歴史を分析し、この日本独特の制度が、明治期の天. 一村形明子 編訳『アーネスト・F・フェノロサ資料』. 心の構想に始まるものでもあることを考察・検証した。. (全4巻)ミュージアム出版 1982. 第4章では、展覧会と美術館の社会教育活動の事例. 一椎名仙卓『明治博物館事始め』思文閣出版1989. を分析し、前章に紹介した岡倉天心の観点や日本の博 物館美術館に関する制度・法規などを参考に、日本の. 主任指導教員1喜多村明里. 現在の博物館美術館が抱える具体的な課題・問題点を. 指導教員:高木厚子. 一405一.
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