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聾学校において算数・数学の力を高めるための研究-文章題の解決方法の分析を通して-

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Academic year: 2021

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(1)聾学校において算数・数学の力を高めるための研究   一 文章題の解決方法の分析を通して 一.    特別支援教育学専攻      心身障害コース. 学籍番号 M08098H      氏名 後藤正道 第1章 問題と目的. なりの方法を工夫することができることを示している。.  文部科学省(2006)によると、2006年3月に全国.  以上のことより、聾学校の児童・生徒が文章題の解決す. の聾学校高等部を卒業した生徒のうち42.2%が大学等に. るときの思考過程を知ることは大切であると思われる。. 進学している。また、国立特別支援教育総合研究所(2008).  目に見えない思考過程を把握するためにはどのような. では、「聾学校における授業とその評価に関する研究一手. 方法があるのだろうか。「頭の中の働きを知る」というこ. 話活用を含めた指導法の改善と言語力・学力の向上を目. とはr直接には見えない」ものを観察することである。. 指して一」という研究を平成20年∼平成21年度(2. このようなr直接には見えない」ものを観察するために. 年間)にかけて行った。今後、聾学校において学力向上. プロトコル分析という手法が開発された(海保・原田、. を目指すことは重要であると思われる。. 1993)。課題を解決する過程を一つ一つ語ってもらい、そ.  四日市(1993)は、抽象的な事柄の学習が中心となっ. の語りを言語データとして収集し、詳細に分析すること. てくる小学校の高学年以降で、学力や言語的な能力の発. で、目に見えない認知的な過程を明らかにしていくこと. 達に遅れがみられると述べている。胸中(1998a)は、文. ができる。. 章題が解けない原因として言語理解の凄さ、言葉のイメ. 本研究では聾学校に在籍する生徒が、数学の文章題を. ージに引きずられると述べている。計算問題できても文. 解決するときの言語プロトコルを収集し、分析すること. 章問題が苦手であることを示しているが具体的な提案ま. で思考過程を明らかにして、その思考過程をもとにして. でされていない。. 思考特性を考え、数学の文章題を解く力を高めるための.  聴覚障害児童・生徒にとって、なぜ抽象的思考を要す. 工夫を検討することを目的とする。. る課題や文章題を解くことが困難なのであろうか。中 村・黒木(2007)は、全国の聾学校の算数・数学担当者. 第2章方法. に対すて質問紙調査を実施した。プリント学習、習熟度. 1調査対象. 学習、手話の活用などが各学部で行われていることを明.  聾学校に在籍する生徒(中学部・高等部)8人. らかにした。抽象的・論理的思考力が問題点とされなが. 2 手続き. らもプリント学習が行われ基礎的基本的な計算技能に指 導の重点が置かれ、問題点と工夫が一致していないと述 べている。.  そこで、過去5年間の全日本聾教育研究大会で報告さ れた聾学校の算数・数学の実践を調べたところ、算数・. (1)事前に数学への興味・関心に関するアンケートを 打つだ。. (2)基礎的な数学力のアセスメントのためのテストを 打つだ。. (3)聾学校に勤務する数学教師へのインタビューおよ. 数学の各単元に限定された内容ものがほとんどであり、. び事前アンケートに基づき数学の問題を作成し、個別に. 聾学校に在籍する児童・生徒の思考特性に応じた実践は. 解いてもらった。解きながら頭に浮かんだことをすべて. ほとんど見られなかった。松本(2008)は、児童・生徒. 語るように教示を与え、発言データをオーディオテープ. に対して、自らが方法を工夫したり、考えるなど思考特. かビデオテープに収録した。. 性に関する計算テストの実施を行っている。数学が不得. (4)収録したデータから言語データを作成した。. 意な生徒は、計算方法を自ら工夫することは難しいと思. (5)集まった言語データからプロトコル分析を行い、. われるが、考えさせる取り組みを行うことにより、自分. 課題解決時の思考の流れを詳細に分析した。. 194一.

(2) (6)つまずきなどの現象や思考の流れから対象者の思. き方であると考えてしまい、本来求めるものを求めず誤. 考特性を明らかにした. 答となる場合が見られた。. 第3章結果.  初めて見た問題文に対しても、内容が適切に理解でき、.  プロトコル分析に用いた課題は、14題(小間含める. 具体的な状況をイメージすることができると、正しく立. と全22題)であった対象の生徒8人にそれぞれ解い. 式することができ、解法を考えることができた。. てもらうので22題×8人で176個となるが、欠席な. 5 数学独特の表現の問題のわかりにくさ. どで抽出したプロトコル・データは161個となった。.  「たての長さの、横に対する割合」という表現は、日.  抽出したプロトコル・データを分析した結果、次のこ. 常生活において使わない表現であるため読み取りにくい. とがわかった。. 様子が見られた。問題文から内容を読み取りにくい場合、. 1 問題文からキーワードを抜き出す. 生徒の日本語力の問題であるか、問題文の読みにくさの. 4 頭の中でのイメージ.  問題文を読んだときに、キーワードに印をつけること. 問題であるのかを見分ける必要があると考えられる。. でとのような内容の問題であるか考えていた。解いたこ とのない問題や解き方を忘れた問題についても同様にキ. 第4章考察. ーワードをもとにして解法を考えていた。.  プロトコル分析を通して明らかになったこと、及び. <プロトコル・データの例>. 個々の生徒の思考特性をもとにして、文章問題を解く力. 割合 問1 お父さんの身長は200c m、たろうさんの. を高めるための工夫を次の3点で考えてみた。. 身長は150c mです。たろうさんの身長はお父さんの身. 1 問題文の正確な読み取り. 長の例害ですか。.  文章の表現がわかりやすく、また、図式が具体的に書 かれている問題は正解率が高かった。わかりやすい表現 に問題文を変えたり、さまざまな見方ができるような指. 00:40わからない…. O1;20坦傍だから …   200÷150 …. 導の工夫が大切であると考えられる。. 2 立式.    (200÷150= と書き、計算する).  多くの解法を覚えている生徒の正解率は高かった。し. 01:40割り切れない・・’. かし、思い込みで解いてしまう場面も見られたため、問.     200            4    (・  と書き、約分を行い一 と書き込む)     150            3 02:00 おかしし、 …. 題文から具体的なイメージができ、そこから立式できる ような指導の工夫が必要であると考えられる。また、解 法を覚えるために繰り返し行うことのできる教材の開発. 02120 150÷200 …. が重要であると思われる。.    (150÷200= と書き、計算する). 3 計算して解の吟味. 02:50 0. 75イ音.  問題文の内容を適切に理解し、解を予測することは、.    (答え 0.75倍 と書き込む). 解が適しているか適していないかの吟味を行うことがで きる。解の吟味を行うことで、問題に対してのふりかえ.  解いたことのない解き方を忘れた)問題に関しては、. りが行えるためより正確に問題を解くことができると考. キーワードとなる言葉を見つけ解法を考え出していた。. えられる。. この例では、下線のr何倍」というキーワードから、割.  今後の課題として、特定の聾学校だけではなく多くの. り算を行えば解けるという解法を考えていたと思われる。. 聾学校での同様の調査を行い、思考特性を考えることで. 2 問題文の読み取り間違い. ある。また、健聴の生徒との思考特性を比べることで、.  前の問題と同じタイプであると考える場合や解き方が. 聾学校に在籍する生徒だけの問題であるか、全ての生徒. すぐに分かる問題は、正確に読み込まないで解き始める. についての問題であるかを考えていくことも今後の課題. 傾向が見られた。問題文が長くなることで、途中の問題. である。. 文の内容を読み落とす傾向も見られた。. 3 思い込み. 主任指導教員鳥越隆士.  問題を読みすぐに、このタイプの問題はこのような解. 指導教員鳥越隆士. 195一.

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