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小学校における地域人材活用の促進要因に関する調査研究

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Academic year: 2021

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(1)小学校における地域人材活用の促進要因に関する調査研究. 専攻 学校教育専攻 コース 教育経営コース. 氏 名. 津田 智子. 1.研究の目的. 殊技能を持つ人材と接することにより、みずか. 近年、閉鎖的、画一的等の特徴をもつ学校か. らの専門性の見直しや、新たな役割感が生じて. ら「開かれた学校」へと、学校はそのあり方を. くることまで予測される。. 大きく変化させている。. さらに、小学校においては、平成元年小学校. この背景には、臨教審にて提言された、生涯. 指導書生活科編、平成10年度学習指導要領解. 学習社会の構築、生涯学習体系への移行がある。. 説生活科編、社会科編、総則編等にも関連する. 生涯学習社会において学校が担う役割は次の. 記載が見られる。加えて、すでに移行期間に入. 2つである。ひとつは、子どもに生涯学習の基. っている「総合的な学習の時間」における地域. 礎を培うことである。知識注入型の教育から脱. 人材の活用も期待され、今後さらに普及、活性. 却し、自己教育力を身につけさせるべく、体験. 化することが予測される。. 的、問題解決的な学習が重視されるようになっ. そこで、実際地域人材活用を行っている小学. た。もうひとつは、地域の人々に様々な学習機. 校において、地域人材活用の導入経緯、現状、. 会を提供し、地域の学習センターとして中心的. 効果等を詳しく調査することにより、地域人材. 役割を担うことである。. 活用の促進要因を明らかにすることを本研究の. この役割を果たすのが「開かれた学校」であ. 目的とする。. る。「開かれた学校」とは、学校のしきいを低く. し、地域社会と人やものを交流することにより. 2.研究の方法. 教育力を高めた学校である。. 第1次調査後、地域人材活用がどちらかとい. その「開かれた学校」の具体的取り組みのう. うと地域からの積極的支援によりはじまった学. ち、本論文では地域人材活用に焦点を当てるこ. 校(地域提供型)と、地域人材活用がどちらか. とにした。その理由は、これが今までの学校に. というと学校あるいは教育委員会の働きかけに. 最も大きな変革を迫るもであるがらである。従. よりはじまった学校(学校確保型)に分けるこ. 来、教員免許を持つ専門職集団にて、半ば独占. とができ、それぞれにおいて促進要因が異なる. 的に教育を行っていた学校が、免許を持たない、. と考えられた。. ある専門性を持った人材を受け入れていくため. 第2次調査では、2つの市教育委員会にて、. には、教職員の共通理解のもと、新たな学校組. 「地域提供型」「学校確保型」のそれぞれに該当. 織づくり、教育委員会における支援体制づくり. する小学校のうち、特に地域人材活用が多く見. が必要となるであろう。また、ある専門性や特. られる1校ずつを事例校として推薦してもらい、.

(2) さらに詳しく調査することとした。. 職がリーダーシップを発揮していくことや、校 内研究体制を整え、校内研究を活性化ていくこ. 3.考察. とが有効である。. 「地域提供型」においては、小学校区を範囲. さらに、地域人材活用が頻繁に行われていけ. として、地域組織に力を持つ部分的な団体とそ. ば、地域人材活用を行うための支援体制を整え. の長が集まる全体会が存在するとともに、学校. ていく必要がある。学校内外にて人材確保を行. に協力的な風土があり、上手く連携していくこ. い、「人材リスト」を作成するなどして地域人材. とで人材確保等が可能となることがわかった。. 活用の際の情報ツールを確立していくこと、適. また、連携に際しては、教師文化に取り組みへ. 切な謝礼や事故補償を行えるようにしていくこ. の熱意や地域への信頼感、地域理解・地域の教. と、地域人材活用に関する専門の校務分掌を設. 材化への思いが強いということや管理職が地域. 置し、地域人材活用の際の負担を小さくすると. と学校の双方にリーダーシップを発揮すること. ともに、効率的に行えるようにすることが有効. が有効であった。さらに、地域人材活用を支援. である。. すべく校内研究への位置付け等も地域人材の活 用を促すことがわかった。. また、一度始められた地域人材活用を継続し て行っていくには、年間計画に位置付け、教師. 「学校確保型」においては、積極的かつ内発. と地域人材が十分に打ち合わせや準備が行える. 的に校内研究が進められており、それが地域人. ようにしたり、教師や地域地域人材に子どもを. 材活用を行っていく原動力となっている。さら. 中心とした効果や喜びが実感できる評価を行う. に、地域と連携し、地域を巻き込んで取り組み. などして、PDSサイクルを構築していくことが. を展開していくには、教師文化に積極性や開放. 有効である。また、教師は子どもの発達段階や. 性があること、管理職が教師の活動を補佐しつ. 日常から子どもと接するものとして子どもが何. つ、地域と学校の双方にリーダーシップを発揮. を求めているのか、どのようなことに教育的効. すること、地域の中に学校に協力的な雰囲気を. 果が求められるのかを知った上で、子どもと地. 作っていくよう、学校も地域啓発を行っていく. 域の教育材(人やもの、こと)とを上手く「コ. ことが有効であった。また、地域人材活用を支. ーディネート」したり、学校外にも及ぶ幅広い. 援すべく人材確保の手段を確立していくこと等. 子どもの学びの場面を「プロデュース」してい. が、一層地域人材の活用を促すことがわかった。. くことが必要とされる。従来の専門性観や役割. 以上のような知見をもとに、小学校において. 観を研修機会等を通じて変えていくことが有効. 早急に地域人材活用を促進していくには、次の ようなことを行っていくことが有効であると考 えた。. まずは、地域人材活用を行う素地として、「開. かれた学校」として地域との連携を強めつつ、. である。. 本研究が、「開かれた学校」や「地域人材活用」. に関する研究に一石を投じるとともに、今後、. 小学校において地域人材活用を進めていく際に 役立てば幸いである。. その学校に合わせた校内研究を進めていくこと である。そのためには地域と学校の双方に管理. 主任指導教官 加治佐 哲也.

(3) 平成12年度学位論文. 小学校における地域人材活用の促進要因 に関する調査研究. 兵庫教育大学大学院. 学校教育研究科 学校教育専攻 教育経営コース. M99057E 津 田 智 子.

(4) 目. 第1章研究の目的. 次 1. 第1節 地域人材活用の背景. 1. 第2節 先行研究. 4. 第3節 研究の目的. 5. 第2章 研究の方法. 8. 第1節 一次調査. 8. 第1項 調査内容. 8. 第2項 調査結果. 8. 第2節 二次調査 第1項 調査の方法. 第2項. 事例校の選定とインタビュー対象者. 第3章教育委員会特性 事例校の属する教育委員会の特性 第1節. 10. 10 11. 16 16. 第1項. 伊丹市教育委員会. 16. 第2項. 京都市教育委員会. 18. 第2節. 教育委員会特性と地域人材活用の関係. 第4章 学校特性 第1節 事例校の学校特性. 20. 25 25. 第1項 荻野小学校. 25. 第2項 大宮小学校. 27. 第3項 二丁小学校. 28. 第4項 梅小路小学校. 30. 第2節. 学校特性と地域人材活用の関係. 第5章 地域提供型における促進要因 第1節 地域組織. 31. 38 38. 第1項 組織体制. 38. 第2項 文化. 40. 第2節 地域との連携. 42. 第1項教師文化. 42.

(5) 第2項管理職のリーダーシップ 第3節 地域人材活用支援体制. 44 46. 第1項校内研究への位置付け. 46. 第2項 リスト化. 49. 第3項 校務分掌. 49. 第4項 謝礼・事故補償. 51. 第6章 学校確保型における促進要因. 第1節 校内研究. 61. 61. 第1項 契機. 61. 第2項 研究体制. 62. 第3項研究主任のリーダーシップ. 66. 第2節 地域との連携. 67. 第1項 教師文化. 67. 第2項 管理職のリーダーシップ. 68. 第3項 地域啓発. 70. 第3節 地域人材活用支援体制. 71. 第1項 人材確保. 72. 第2項 校務分掌. 72. 第3項 謝礼・事故補償. 73. 第7章 小学校における地域人材活用活性化の課題. 第1節 素地作り. 84 85. 第1項地域との関係作り. 87. 第2項 研究体制. 87. 第2節 支援体制. 88. 第1項 人材確保. 88. 第2項 謝礼・事故補償. 91. 第3項 校務分掌. 93. 第3節 継続. 94. 第1項年間計画への位置付け一PDSサイクルの構築. 94. 第2項 教師の専門性・役割. 96. あとがき 資料.

(6) 第1章 研究の目的. 第1節 地域人材活用の背景. 地域人材活用が注目されてきたひとつに、閉鎖的、画一的等の特徴をもつ学校から「開 かれた学校」へと、学校のあり方を大きく変化させてきたことがある。 この背景には、「生涯学習社会」の到来ということがある。「生涯学習社会」とは、いつ. でも、どこでも、だれでも学ぶことができ、そこで得た知識、技能が適正に評価され、生 かされる社会である。. 「生涯教育」の考え方が世界で初めて提唱されたのは、1965年、ユネスコの成人教育推 進国際委員会におけるポール・ラングランの発表であることは周知のごとくである。日本. においては、まず1971年、社会教育審議会答申「急激な社会構造の変化に対処する社会 教育の在り方について」にて、初めて「生涯教育」の理念が述べられている。続いて1981 年、中央教育審議会答申「生涯教育について」に見られる。しかし、大きな契機となった のは、臨時教育審議会答申i(1985∼1987年)であろう。ここでは、生涯学習社会の構築、. 生涯学習体系への移行を提言するとともに、学習者の視点を重視した「生涯学習」という 表現に統一された。. 本答申では、国際化、情報化、高齢化、成熟化等の社会の急激な変化への対応と、これ までの学校における根深い病弊である画一性、硬直性、閉鎖性、非国際性を打破すべく、. 生涯学習体系への移行が提言された。生涯学習体系への移行が、単に社会の変化への対応 という積極的な理由だけでなく、一方では従来の学校のあり方をある部分で否定し、改善 しなければいけないという差し迫った理由があったことも見逃せない。. そして、この生涯学習社会において学校が担う役割として、1990年中央教育審議会答申 「生涯学習の基盤整備について」において、次の2つが述べられている。ひとつは、子ど もに生涯学習の基礎を培うことである。知識注入型の教育から脱却し、自己教育力を身に つけさせるべく、体験的、問題解決的な学習が重視されるようになった。もうひとつは、. 地域の人々に様々な学習機会を提供し、地域の学習センターとして中心的役割を担うこと であるii。. この役割を果たすのが「開かれた学校」である。「開かれた学校」とは、学校のしきいを. 低くし、地域社会と人やものを交流することにより教育力を高めた学校である。この交流. 1.

(7) には、学校が人やものを地域社会に提供する方向と、地域社会の人やものを学校が取りい れる方向の、2つの方向がある。具体的な取り組みとしては、前者には学校による公開講 座の開設や、教師の地域活動への参加、地域住民への学校施設の開放性があり、後者には 本論文で取り上げる学校教育における地域人材の活用や社会教育施設の利用等があげられ る。. もうひとつ、生涯学習や「開かれた学校」の流れも汲みつつ、体験的な学習や問題解決 的な学習、個別学習など、1担任では行えない授業方法の導入が進んだことがある。 1996年2月に兵庫教育大学教育経営講座学校経営研究室が行った調査iiiにおいて、すで に地域人材活用は76.6%の小学校にて、45.9%の中学校にて行われていた。さらに、小学. 校における地域人材の活用教科・領域に関しては、217野中、もっとも活用した学校が多 いのが社会(学校数98(44.7%)、活用事例数184)であり、続いて生活科(学校数69(31.5%)、. 活用事例数101)、特別活動一般(学校数64(29.2%)、活用事例113)となっている。. 当時、社会科での活用が多いのは、地域についての学習が学習指導要領に記されている ことが原因であろう。地域人材の活用学年についても若干3学年が高くなっているのも、 このことが原因であるろう。. また、生活科については、従来の社会科と理科に変わるものとして、より自然や社会の 直接体験を重視したかたちで、1989年告示の学習指導要領から導入されている。この「自 然や社会の直接体験」という授業方法において、多く地域人材が関わっていることが考え られる。. 社会科の学習内容にしろ、生活科の授業方法にしろ、小学校ならではである。小学校で は、中学校にはない、活用せざるをえない教科が、この時期にすでに存在していたことが 伺える。. さらに、近年、地域人材活用が一層注目されるようになったのには、「生きる力」の育成 および「総合的な学習の時間」の導入がある。. 「生きる力」とは、1996年7月、第15期中央教育審議会第1次答申「21世紀を展望し た我が国の教育の在り方について」にて示された教育の中心的な理念である。「生きる力」 とは、「いかに社会が変化しようと、自分自身で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体 的に判断し、行動し、よりょく問題を解決する資質や能力」「自らを律しつつ、他人ととも に協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性」「たくましく生きるための 健康や体力」であるとし、これをはぐくむことが、生涯学習社会の課題とも言われている。. 2.

(8) そして、この「生きる力」をはぐくむに当たっての視点として、「(a)学校・家庭・地域 社会の連携と家庭や地域社会における教育の充実」「(b)子供たちの生活体験・自然体験 等の機会の増加」「(c)生きる力の育成を重視した学校教育の展開」「(d)子供と社会全体. の〔ゆとり〕の確保」が示されている。特に(b)(c)に関して、授業の中でも体験的な学 習や問題解決的な学習、個別学習等を取り入れていくことが必要となる。. 加えて、平成14年施行の学習指導要領にある「総合的な学習の時間」の導入により、 これらを特に実践していくための時間が確保されることになる。. 「総合的な学習の時間」とは、この中央教育審議会の答申等を受けて出された、1998 年7月の教育課程審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び 養護学校の教育課程の基準の改善」によると、その趣旨は、「各学校が地域や学校の実態等 に応じて創意工夫を生かして特色ある教育活動を展開できるような時間を確保すること」 「自ら学び自ら考える力などの〔生きる力〕は全人的な力であることを踏まえ、国際化や. 情報化をはじめ社会の変化に主体的に対応できる資質や能力を育成するために教科の枠を 越えた横断的・総合的な学習をより円滑に実施するための時間を確保すること」とされて おり、「この時間が、自ら学び自ら考える力などの〔生きる力〕をはぐくむことを目指す今. 回の教育課程の基準の改善の趣旨を実現する極めて重要な役割を担うもの」と期待されて いる。地域人材活用に関する記載としては、この時間の展開に当たっては、「グループ学習. や異年齢集団による学習など多様な学習形態や、外部の人材の協力も得つつ、異なる教科 の教師が協力し、全教職員が一体となって指導体制を工夫すること」も望まれていること が述べられている。また、「特色ある教育活動を展開する」には、「各学校が、幼児児童生. 徒が家庭や地域社会において行った体験や活動を生かした指導に努めるとともに、家庭や 地域社会の人材・施設や様々な活動との連携を図った教育を行うことは極めて意義のある ことと考える。こうした取組を通じ、学校と家庭・地域社会が十分連携を図るとともに、 開かれた学校づくりを一層推進していくことが大切であると考える。」と述べられている。. 実際、文部省『特色ある教育活動の展開のための実践事例集一「総合的な学習の時間」. の学習活動の展開一(小学校編)』(教育出版株式会社,1999)にて紹介されている60事 例のうち、39事例が外部講師とのティーム・ティーチングを行っており、すでに移行期間 に入っている「総合的な学習の時間」の導入に際して、一層地域人材活用が幅広く、頻繁 に行われることが予測されるiv。. 3.

(9) 第2節 先行研究. このテーマに関する統計調査としては、片山氏が、「小学校における地域人材の活用に関 する調査研究」vにて、「どのような地域の人材を、どのような学校教育活動へ、いかに活. 用すれば良い効果が得られるかという条件」を明らかにすべく、小学校にて、地域人材を 活用している学年の教師を対象に調査研究を行っている。しかし、「学校外部要因」として あげている「①教育委員会特性(指導、援助、情報提供)」「②地域特性(立地地域)」に関. しては有効な結果が出ず、「市町村教育委員会からの人材を捜すための情報や人材に対す る保障、手当の便宜は地域人材活用の効果に関して、影響を及ぼしていない」「どの地域に. おいても、地域人材活用の効果は同じ」viといった結論で終わっているところもあり、本 研究と比較、再考する必要がある。また、比較的近年の地域人材活用の状況を知ることが できるものとしては、兵庫教育大学教育経営講座学校経営研究室「『開かれた学校』に関す る調査研究(その1)一地域人材活用の現状と学校への影響一」(『現代学校経営研究』第 10号,1997)がある。ここでは、「地域人材活用の現状」「地域人材活用が学校に与えた影 響」が適切な枠組みのもと調査されている。. 事例研究としては、黒川氏が、「学校教育への地域人材の活用に関する事例的調査研究」 viiにおいて、教科の中で継続して地域人材が指導に来ている小学校を事例に、学校教育へ. の地域人材活用の導入状況と地域人材の活用による、児童・教員・学校・地域人材・地域 に対する効果の分析を行い、推進する条件(要因)を明らかにしょうとした。しかし、地 域人材活用の促進要因が明確にされているとは言い難い。 このテーマに関する文献は、開かれた学校や地域教育経営、生涯学習等に関する文献、. 短い雑誌論文や教育行政資料には散見するものの、まとまった論文となっているものは少 なくviii、まだ明らかにされていない。. しかし、地域人材活用を推進することにより、児童や教師、学校、あるいは家庭や地域 に望ましい効果が期待できることは、上記にあげた先行研究から断言できる。. 片山氏の論文では、児童に対しては「物事への理解・意欲の増進」と「人への信頼感・ 信頼感の増進」、教師に対しては「地域理解の向上」、学校に対しては「開かれた学校」と. いう点で特に大きな効果が確認されているix。兵庫教育大学教育経営講座学校経営研究室 の調査では、児童に対しては「授業への関心・意欲の増大」「地域への関心の増大」、教師 に対しては「地域理解の深化」「子どもの再発見」「新しい効果的指導法の発見」、学校に対. 4.

(10) しては「地域住民の学校理解の促進」という点で効果が確認されているx。さらに、「地域. 人材の活用期間が長いほど効果認識得点が高くなっている」xi「地域の人材を活用する回 数が多ければ、人材の効果が期待できる」xnということも述べられており、地域人材活用 の年間活用回数を増やし、継続していくことでの効果を期待することもできる。黒川氏の 論文では、事例3小学校に確認される児童、教師、学校、地域人材及び家庭・地域に対す る効果についてそれぞれ記されているxm。. 第3節 研究の目的. 小学校における地域人材活用は、生涯学習社会における「開かれた学校」作りをしてい く上で、また近年の教育を展開していく上で必要とされてきている(「第1節 地域人材活 用の背景」参考)。さらに、先行研究でその効果も確認されている(「第2節 先行研究」 参考)。今後、より頻繁に、幅広く地域人材活用を行っていくことにより、子どもによりよ い教育が提供でき、学校も活性化していくことができる。. しかし、学校教育に地域人材活用を導入し、継続して頻繁にその活用を行っていくには、 受け入れる学校、あるいは人材を提供する地域も変わっていかなければならない。従来、 教員免許を持つ専門職集団にて、半ば独占的に教育を行っていた学校が、免許を持たない、. ある専門性を持った人材を受け入れていくためには、教職員の共通理解のもと、新たな学 校組織づくり、教育委員会における支援体制づくり等が必要となるであろう。さらには、. 何らかの専門性や特殊技能を持つ人材と接することにより、教師の専門性の見直しや、新 たな役割観が生じてくることま℃予測される。. 地域人材活用に関しては、先行研究で取り上げた統計調査、兵庫教育大学教育経営講座 学校経営研究室「『開かれた学校』に関する調査研究(その1)一地域人材活用の現状と学 校への影響一」(『現代学校経営研究』第10号,1997)や片山政之「小学校における地域人 材の活用に関する調査研究」(兵庫教育大学大学院平成5年度修士論文)にて、一応明らか にされてきている。前者は比較的近年の「地域人材活用の現状」「地域人材活用が学校に与 えた影響」が適切な枠組みのもと調査されている。また後者は、「地域の人材を活用してい. る学校の実態を把握し、地域の人材活用による児童・教師・学校に対する効果を規定して いる要因を探る」xlvことを調査のねらいに、因子分析がなされており、ここでいう効果は、. 本研究の促進要因と関連するところが大きい。しかし、定められた事項の統計的な調査結. 5.

(11) 果であり、それだけでは不十分である。さらにその内実を明らかにし、具体的な改善策を 提示していくことが、今後の学校経営の一助となる。. そこで、実際地域人材活用を行っている小学校において、地域人材活用の導入経緯、現 状、教員の意識等を詳しく事例調査することにより、地域人材活用の促進要因xvを明らか にすることを本研究の目的とする。. 本研究で事例調査を行うこととした理由は、地域人材活用やそれを行う学校が多種多様 であり、個々の事例を丁寧に見ていく必要があるからである。また、先に述べた統計調査 の不十分な点を補い、統計調査で見落とされやすい各学校の個別事情等、大切な関連要因 も見出すことが可能であるからである。しかし、事例研究にも弱点がある。一般性に乏し く、ともすると他への適応が難しく、事例紹介で終わりかねない点である。その弱点をカ バーすべく、兵庫教育大学教育経営講座学校経営研究室「『開かれた学校』に関する調査研 究(その1)一地域人材活用の現状と学校への影響一」(『現代学校経営研究』第10号,1997). の調査結果や、片山政之「小学校における地域人材の活用に関する調査研究」(兵庫教育大 学大学院平成5年度修士論文)と適時照らし合わせるようにする。前者は比較的近年の「地 域人材活用の現状」「地域人材活用が学校に与えた影響」が適切な枠組みのもと調査されて おり、本論文で扱う事例の一般性、あるいは特殊性を考える上での参考となる。後者は「地. 域の人材を活用している学校の実態を把握し、地域の人材活用による児童・教師・学校に 対する効果を規定している要因を探る」xviことを調査のねらいに、因子分析がなされてい. る。この効果は、本研究の促進要因と関連するところが大きい。本論文の調査で見出した 要因と照らし合わせることで、考察を深めることが可能である。. この研究により、今後、地域人材活用を幅広く頻繁に行っていくために、学校はどのよ うな取り組みをいかに展開していくべきなのか。そのためにはいかなる条件整備や意識改 革が必要か。地域との連携を築いていくにはどうするのか。あるいは教師はその専門性を どこにみいだし、どのような役割を担っていくのか。それらの問いにひとつの答えを見出 すことを目指す。また、地域人材活用を学校に導入する過程は学校改善の過程であり、今 後の改革への示唆を与えることを期待する。. 6.

(12) 1臨時教育審議会答申(第1次答申1985年、第2次答申1986年、第3次答申1987年、第 4次答申1987年)参考。 ii 1990年中教審答申「生涯学習の基盤整備について」参考。 コ庫教育大学教育経営講座学校経営研究室「『開かれた学校』に関する調査研究(その 1)一地域人材活用の現状と学校への影響一」(『現代学校経営研究』第10号,1997) ivここで取り上げた審議会答申の他にも地域人材活用に関する記載がみられるが、ここで は「生涯学習」「開かれた学校」「生きる力」「総合的な学習の時間」を説明すべく導入した ため、取り上げていない。ほか、生涯学習審議会答申「地域における生涯学習機会の充実 方策について」(1996年4月)、「学習の成果を幅広く生かす一生涯学習の成果を生かすた めの方策について一」(1999年6月)等。 v片山政之「小学校における地域人材の活用に関する調査研究」(兵庫教育大学大学院平成 5年度修士論文あるいは『現代学校経営研究』第7号,兵庫教育大学教育経営コース,1994) vi地域性については、佐藤晴雄氏は「地域における教育リソースの活用と学校支援体制」 (『日本教育経営学会紀要』第41号,1999)にて、「とうぜん、教育リソースには地域間 の質的・量的な差があるため、用いるリソースが質的に偏ったり、量的に不足する学校が 現れるはずである。そうなると、教育内容に大きな違いが生じて、結果的に教育水準の格 差を拡大する危険がある。学校相互の連携や教委の支援が課題になる。」と述べている。 iii. vii. 武?a彦 兵庫教育大学大学院平成8年度修士論文「学校教育への地域人材の活用に関. する事例的調査研究」. viii比較的まとまっているものとしては、例えば、平沢茂編著『シリーズ・教育の間第12 巻/学校教育と社会教育の間一生涯学習体系の創造』(ぎょうせい,1990) ix「第5章 地域人材の活用による効果」(pp28−37)参考。 x「B 地域人材の活用による学校への影響」(pp.59−64)参考。 xi. 吹D50. xii p.54. xiii「第5章 効果の分析と推進条件」(pp.100−156)参考。 xiV p.3. {研究において、「地域人材活用の促進要因」とは、学校教育に十分な効果を与えるだ けの地域人材の活用を行うのに有効な条件(要因)をいうものとする。. xv. xvi p.3. 7.

(13) 第2章 研究の方法. 第1節 1次調査. 第1項 調査内容. 一次調査については、地域人材活用の現状を知ること、事例校を選定すること、分析枠 組みを構築することを主たる目的とし、次の3つのことを行った。. ①地域人材活用の現状や、学校に与えた影響を知ることを目的に、H県下にて地域人材活 用を活発に行っていると教育関係者の間で評判の高く、地理的条件や教育委員会の援助の. あり方等に違いのあるL町のs小学校と。小学校、1市のH小学校とM小学校について、 教育委員会および学校訪問を行い、教育委員会においては担当者i、小学校においては校長 iiにインタビューを行った。加えて、教師および地域人材が、授業中、どのような役割を果. たしているか探るため、H小学校とM小学校にて、地域人材を用いた授業の参観を行った iii。. ②インターネットにて、千葉大学の「学校検索」を用い、「人材」をキーワード、「小学校」. を範囲とし、検索を行った。あてはまる236件中、地域人材活用を試みておりそうであり、. かつメールを受け付けている学校55件にメールを出した。このメールの目的は、活発に 地域人材活用を行っている学校を見つけること(長期に渡り地域人材活用に取り組んでい る、活用頻度が高い等)と、地域人材活用の促進要因、効果、問題点をより明らかにする こと、地域人材活用を行っている学校が教師の専門職性や役割をどのように捉えているか を知ることである。うち、メールのやりとりがあったのは12件であるiv。. ③1999年中の「内外教育」(時事通信社)の地域人材活用に関する記事を参考資料として 収集した。. 第2項 調査結果. 8.

(14) 一次調査より、地域人材活用の導入経緯は以下のように整理することができ、それによ り促進要因も分けることが可能であると考えた。. 〈地域人材活用の導入経緯による分類〉 1地域提供型. *→は働きかけ. 主として地域との交流の中で、地域からの提案によ. 地 域 り、地域人材活用が始まった学校。古くから学校と. ’団体」. 人. 地域に交流の機会があり、そこで地域人材活用の話 が成立した、交流が大きな目的となっている、学校. 学校. 人. 、Q・. 人. と地域が密着しているなどの特徴を持つことが多い。. 2学校確保亭 主として学校(あるいは教育委員会)が、地域にあ. 地 域. る人材に働きかけることにより、地域人材活用を可. 能とした学校。比較的近年に地域人材活用を始めて いる学校や、学校だよりやインターネットにより地 域人材に協力を要請し、「人材リストv」などと呼ば. ’団体㍉. 人. 人 学校 人. Q、. れる人材のストックを行っている学校が多い。. 「①地域提供型」については、地域(小学校区)に学校の活動を支援したり、子どもを 地域で育てるための既存のシステムがある、あるいは学校の教育活動に協力的な素地があ り、地域にそのシステムを構築することができる。よって、地域に既存する組織と協力し、. 地域人材活用にも適用していくことにより活用が促進されるものと思われる。「②学校確 保型」については学校に勢いがあり、主体的に地域を巻き込んだ教育を展開する雰囲気が ある、あるいはまずは学校から働きかけていかないと地域人材活用が行えない。よって、. 学校に地域人材活用を行う素地を作り、地域を巻き込んでいくことが必要であるものと思 われる。. 他に、地域人材には、①教育者(積極的に子どもを育てよう、教育しようという働きか け〉 ②教育材(存在そのものが、子どもにとって学ぶべき対象となる) ③学校支援(指. 導の補助、教育環境の整備) などというような役割があることもわかった。また、活用. 9.

(15) 内容が小学校区の地域性の影響を受けていることが多いことや、地域人材活用を比較的近 年(5年以内)から始めている学校が多いこと等もわかった。しかし、これらは地域人材 活用の内容には影響を与えているものの、促進要因には決定的な影響を与えているとは考 えられなかった。. 第2節 2次調査. 第1項調査の方法 「①地域提供型」と「②学校確保型」におけるそれぞれの地域人材活用の促進要因を知 るため、以下のように事例研究を進めることにした。. 地域人材活用が比較的活発に行われている小学校を多数有する2つの市教育委員会にて、 「①地域提供型」「②学校確保型」のそれぞれに該当する小学校のうち、特に地域人材活用. が多く見られ、それぞれの特徴が顕著な小学校を1校ずつ、事例校として推薦してもらう。 「①地域提供型」に関しては、地域人材活用が「どちらかというと地域からの積極的支援 によりはじまった学校」として、「②学校確保型」に関しては、地域人材活用が「どちらか. というと学校あるいは教育委員会の働きかけによりはじまった学校」として紹介してもら った。以上は教育委員会への依頼文書(資料として巻末に添付)を参考とする。. 2つの市教育委員会からそれぞれの特徴を持つ小学校を1校ずつ、計4小学校を事例と したのは、それぞれ1校では比較対照することが難しいからである。また、それぞれ2校 について共通事項を見出し、時に比較対照することで、促進要因を見出すことが可能とな ると考えたからである。. 市教育委員会に対しては、「(1)地域人材活用に関する教育委員会の支援」「(2)地域. 人材活用に関する教育委員会外からの支援」について主としてインタビューを行う。学校 に関しては、校長、教員、そして実際に地域人材として学校に来られた経験を持つ人をイ ンタビュー対象者とする。内容については、校長に対しては、「(1)地域人材の活用状況」 「(2)地域人材活用導入の経緯」「(3)地域人材活用に関する校内の組織体制作り」「(4). 地域人材活用に関する校長(あるいは教頭、教師)の働きかけ」「(5)地域人材活用の助 けとなった事項、あるいは妨げとなった事項」「(6)地域人材活用に対する考え、あるい はその変化」「(7)教師の専門性・役割観」についてインタビューを行った。教師に対し. 10.

(16) ては「(1)地域人材活用の活用状況」「(2)地域人材活用導入の経緯」「(3)地域人材活. 用の助けとなった事項、あるいは妨げとなった事項」「(4)地域人材活用に対する考え、 あるいはその変化」「(5)教師の専門性・役割観」についてインタビューを行った。地域 人材に対しては、「(1)地域人材として行なった内容」「(2)行なった動機・きっかけ」 「(3)感想」「(4)自己評価」についてインタビューを行った。以上はインタビュー計画. (資料として巻末に添付)を参考とする。ただし、インタビューの流れの中で、重要だと. 思われるところは詳しく伺ったり、インタビュー内容にないことを伺った場合もある。さ らにインタビュー項目の意図が上手く伝わらないこともあり、発問を変えたり補足した場 合もあり、必ずしもインタビュー計画通り行ってはいない。. インタビュー計画については、学校内部と学校外部に地域人材活用の促進要因があると 考えた。よって、校長や教師といった学校内部の人だけでなく、市教育委員会や地域人材 にもインタビューを行うこととした。さらに、それぞれに地域人材活用を行うことを目的 とした具体的かつ積極的な支援(人材リスト、謝金制度等)だけでなく、間接的に促すも の(校内研究組織や地域組織等)や、学校や地域の意識や文化も関係していると考え、そ れぞれについても聞くことができるようにインタビュー項目を設定した。. 考察にあたっては、一次調査の結果および兵庫教育大学教育経営講座学校経営研究室 rr開かれた学校』に関する調査研究(その1)一地域人材活用の現状と学校への影響一」 (「現在学校経営研究第10号」1997.3)や片山政之「小学校における地域人材の活用に関 する調査研究」(兵庫教育大学大学院平成5年度修士論文)の調査研究結果を参考とし、各 学校の独自性や、他校における導入の可能性についても考慮する。. 第2項 事例校の選定とインタビュー対象者. 第1項に述べた方法により、以下のように事例校を選定した。. 市教育委員会名 学校名_ 一 冒 曹 r } 一 一 一 曽 一 一 一 一 一 一 一 一 一 曽 一 一. @ 分類. 一. 京都市教育委員会. 伊丹市教育委員会 荻野小学校一 一 曹 一 一. 一 一 一 一 一 r r 胃. 地域提供型. 緑丘小学校 曽. 一. 一. 一. 一. 一. 曽. 一. 一. 曹. 一. 層. 胴. 一. 学校確保型. 大宮小学校冒. 一. 一. 層. 一. 層. 層. 騨. }. 辱. 一. 一. 一. 一. 膚. 一. 曹. 一. 一. 一. 謄. 地域提供型. インタビュー対象者、インタビュー日時は以下のようになる。. 11. 一. 梅小路小学校一. 一. 一. 冒. 一. 一. 一. 一. 一. 一. 騨. r. 糟. 一. 門. ,. r. 一. ¶. 圃. 需. 曹. ロ. 一. @学校確保型.

(17) 〈市教育委員会〉 ○伊丹市教育委員会 ・対象者:伊丹市教育委員会学校教育課課長,副主幹(昨年度、「町の先生」制度を担当),. 指導主事(本年康、「町の先生」制度を担当). 日時(場所):2000年5月31日 15:10∼15:40(伊丹市役所教育委員会学校教育課) その他、参考資料として、「平成12年度『町の先生』制度実施要項」「平成12年度『町の 先生』登録者名簿」等をいただく。. ○京都市教育委員会 ・対象者:京都市教育委員会指導部地域教育専門主事室室長,地域教育専門主事. 日時(場所):2000年6月6日 13:45∼15:10(京都市教育委員会指導部地域教育専 門主事室). その他、参考資料として「京都の地域教育 地域と結ばれた学校づくりのススメ」「学校支. 援ボランティアのネットワーク化」等をいただくとともに、2000年11月18日の地域教 育フォーラムにも参加させていただいた。. 〈地域提供型 事例校〉 ○伊丹市立荻野小学校 ・対象者:校長. 日時(場所):2000年6月20日 11:20∼13:40(校長室) ・対象者:研究主任(4年生担任). 日時(場所):2000年7月31日 11:00∼11:45(職員室) ・対象者:地域人材(農会役員). 日時(場所):2000年8月24日 11:00∼12:00vi(自宅). その他、参考資料として5年生の総合的な学習の時間での指導案をいただくとともに、地. 域の農会の人に入ってもらって行う2000年6月13日の1年生対象のどろんこ遊び、2000. 年6月31日の6年生対象の脱穀、2000年12月16日の5年生対象のわら細工等にも参加 させていただいた。. ○京都市立大宮小学校. 12.

(18) ・対象者:校長. 日時(場所):2000年6月16日 14:20∼16:00(校長室) ・対象者:地域教育主任(4年生担任),研究主任(5年生担任). 日時(場所):2000年8月7日 15:00∼16:30(校長室) その他、地域人材(教育後援会)に関しては質問紙(資料として巻末に添付)にて答えて いただいた。参考資料として「平成11年度 学校要覧」、「平成11年度 京都市教育委員 会地域教育推進協力校指定 研究のあゆみ」「平成12年度 地域素材を生かした年間指導 計画」、80周年記念誌「おおみやっこ」等をいただくとともに、地域人材が参加した取り 組みのビデオを貸していただいた。. 〈学校確保型 事例校〉 ○伊丹市立平丘小学校 ・対象者:校長. 日時(場所):2000年6月20日 14:10∼15:00(校長室) ・対象者:研究主任(3年生担任). 日時(場所):2000年6月20日 15:15∼15:45(校長室) ・対象者:地域人材(Nさん。伊丹市婦人連合会副会長,老人会会長などを兼務。). 日時(場所):2000年6月22日 14:40∼15:30(校長室) その他、参考資料として「平成12年度 学校要覧」「創立30周年記念誌〈緑丘小のあゆ み〉」「平成11年度 研究紀要」「平成12年度 『町の先生』制度推進事業年間実施計画. 書」をいただくとともに、2000年6月22日には3年生において茶道の先生2人を招いた 総合的な学習の時間(プレイルームにて)を見学させていただいた。. ○京都市立梅小路小学校 ・対象者:校長. 日時(場所):2000年6月5日 11:20∼12:20(校長室) ・対象者:研究主任. 日時(場所):2000年6月26日 10:00∼10:50(校長室) ・対象者:地域教育主任. 日時(場所):2000年6月26日 10:50∼11:15(校長室). 13.

(19) ・対象者:地域人材(読み聞かせやパネルシアターを行うボランティアグループ「紙風船」). 日時(場所):2000年6月5日 13:50∼14:20(多目的ホール) ・対象者:地域人材(子どもが時々インタビューに行く商店経営者). 日時(場所):2000年7月6日 14:00∼14:20(商店内) その他、参考資料として「地域協力先ファイル」「平成11年 京都市梅小路小学校地域教. 育年間指導計画〈第3学年編〉」等をいただく。また、7月6日には4年生が消防署へ出か けるのに同行させてもらった。. インタビューについては、インタビュー対象者に了解を得た上でテープに録音したもの をすべて文章におこした。しかし、すべてを記載するにはあまりに分量が多く、わかりに くくなるため、主張する事項に関係ある部分を抜き出し、章末に脚注として記載すること にした。. また、地域の状況や学校について知るため、各学校や市のホームページも利用した。そ れについても適時脚注にて紹介するものとする。. 14.

(20) i1999年11月11日にL町教育委員会教育指導課長、1999年12月15日に1市教育委員会 学校教育課副主幹にインタビューを行った。. ii1999年11月Il日にS小学校校長、1999年11月22日にC小学校校長、1999年12月 15日にH小学校校長、2000年1月19日にM小学校校長に行った。 iii 2000年1月19日に行った。 iv 2000年2月8日に1回目のメールを出し終える。 v「人材リスト」は、現在「人材バンク」「人材マップ」等、さまざまな名前で呼ばれてい るが、地域人材の名前を列挙して地域人材の確保の際に活用できる状態のものを示すもの とする。. viこれは録音時間である。この後もお話を伺った。. 15.

(21) 第3章 教育委員会特性. 第1節事例校の属する教育委員会の特性. 第1項 伊丹市教育委員会. (伊丹市の特性). 伊丹市は園芸業を含む農業が盛んな地域であったが、近年は衛星都市として、臨空都市 として発展しつつある。そのため、比較的新しい住宅やマンション、工場、店舗が多く見 られる中、現在も農地や旧家が見られる。これら農村地の名残は、市の中心から離れるほ ど多く見られる。. さらに、美術館、博物館、科学館、昆虫館といった社会教育施設を所有していることや、. 古来交通の要衝であり、寺社が点在していること、近年は福祉を重視した町作りがなされ ていることも特徴である。. 東西7.Okm、南北6.5km、面積約25平方km、人口は約190,000人、世帯数約71,000 世帯の規模の都市であるi。. (教育委員会組織). 伊丹市教育委員会は以下のような組織を有しているii。. 管理部一総務課、教職員課、施設課 学校教育部一学校教育課、総合教育センタニ、保健体育課、学校給食センター. 生涯学習部一生涯学習推進担当、社会教育担当、家庭教育推進班、青少年課、 市民健康村、スポーツ推進課、公民館、博物館、美術館. 人権教育学一人権教育担当. なお、地域人材活用に関しては、学校教育課が「町の先生」制度を設け、主体的に取り 組んでいる。. 16.

(22) (「町の先生」制度). 伊丹市教育委員会学校教育課では、平成2年度から「町の先生」制度を実施している。 伊丹市教育委員会配付の「平成12年度『町の先生』制度推進事業実施要項」(参考資料) によると、「町の先生」制度は、「伊丹市民で、伝承文化・スポーツ・創作・パソコン指導・. 職業体験などの諸分野において、豊富な体験や専門的な技能を有する人材や保護者等を『町. の先生』として招平することにより、地域の教育力を学校園に導入し、地域に根ざし、地 域に開かれた学校園づくりの充実に資する。」ということを趣旨としている。また、「4 推. 進上の留意事項」の記載やインタビュー内容から、「町の先生」と呼ばれる地域人材につい. ては、各学校園が授業において活用することを市教委の方からも希望していることが伺え るiii。. そのため、具体的に行われているのは、①rr町の先生』登録者名簿」の作成②「町の 先生」活用時の謝礼の支出 である。. ①「『町の先生』登録者名簿」は、年度当初に伊丹市内の学校園に配付され、市内の人材 を学校園に紹介する。「平成12年度『町の先生』登録者名簿」によると、「No.」「氏名」「生 年」「現住所」「校区」「電話番号」「指導分野」「備考」が、「1.わら細工・竹細工など」「2.. 伝承遊び・昔の暮らし・職業体験談・戦争体験談など」「3.手芸・編み物・レザークラフ. トなど」「4.茶道・華道・料理など」「5.スポーツ・レクリエーション・囲碁・将棋な ど」「6.芸術関係(絵画・音楽・書道・木彫り・人形劇など)」「7.農業など」の項目に. 分類されて記載されている。尚、項目1に17人、項目2に38人、項目3に10人、項目. 4に9人、項目5に10人、項目6に33人、項目7に4人、合計のべ121人の登録がある。 各学校園では、そこに記載されている人材ivを活用することも可能である。この「『町の先. 生』登録者名簿」は、主として各学校園で発掘された地域人材を、各学校園だけでなく市 全体のものとし、市平の他の学校園でも活用可能なものとするものである。つまり、全市 における地域人材の共有化が大きな目的である。また、各学校で発掘された地域人材だけ でなく、教育委員会によるケーブルテレビや広報を通しての呼びかけで、学校教育課の窓 口へ直接地域の方が登録に訪れたパターンもある。. ②「町の先生」活用時の謝礼の支出については、1回3,333円を原則に、1クラス年間 1回が基本である。しかし、これはあくまで基本である。市教育委員会と各学校園は、rr町. の先生』制度推進事業年間実施計画書」を参考に相談する。活用がない、あるいは少ない 学校園があり、予算が余れば、希望する学校園にまわさすというように柔軟に対処してい. 17.

(23) るv。. (指導・助言). 小学校における「町の先生」制度の活用は、実施された平成2年度当初から活発に行わ れていたわけではない。. 活用を促すために、教師に「町の先生」制度を活用した授業方法をイメージさせるよう 尽力した。例えば、研究授業等において、どの場面でどのように活用すればよいか具体的 に助言したり、実際に地域人材を活用している場面を紹介したりということを、意識して 行ったようであるvi。. 約10年が経過した今日では、「町の先生」制度は軌道に乗り、指導や助言の必要がほと んどなくなったと受けとめられているvii。. 地域に対しては、学校が開かれた学校に変わることや、そのため地域の協力が必要にな ることを、県からの冊子を利用して地区社協や自治会等、地域の団体が集まる会議でアピ ールしているvni。. 以上のような教育委員会の働きかけの下、伊丹市内の多くの学校園にて「町の先生」制 度の活用が見られる。しかし、同じ市内においても「町の先生制度」の活用頻度に差が見 られる。. 第2項 京都市教育委員会. (京都市の特性). 京都市は政令指定都市として、多くの寺社や伝統文化を有する町として有名である。 その京都市の小学校は、「学制」発布に先駆けて、町衆を中心とした地元の人々の協力に. より64校の「番組小学校」が創設されたという経緯があり、その思いが今も受け継がれ ている。現在、京都市下には181の小学校がある。 面積約610平方km、人口は約1,459,000、世帯数約612,000世帯の規模を有するi・。. (教育委員会組織). 京都市教育委員会事務局は、大きくは「総務部」「指導部」「体育健康教室」「生涯学習部」 「永松記念教育センター」に別れているX。. 18.

(24) 現在、地域人材活用を含む地域教育に関しては、平成9年度に「指導部」内に発足した 「地域教育専門主事室」が主体的に取り組んでいる。それ以前では「指導部」内の「学校. 指導課」による支援は多少あったかもしれないが、積極的な支援は平成9年度に「地域教 育主事室」が発足した後のようであるxi。. (地域教育専門主事室). 京都市教育委員会は平成9年度に、学校と家庭、地域の連携を一層高めていくことを目 指し、「開かれた学校」の推進を図るため、地域教育専門主事室を発足させたxn。. 地域教育専門主事室は、校長経験者を中心に、校長格のものを登用しており、現在30 名程度になる。「地域教育」とは、「子どもが地域を再確認することを出発点とし、地域を. 愛し、地域の一員としてよりょく行動することができる子どもを育成する教育であるとと もに、教育活動を地域の人々とともに進めることにより、『地域の子どもは地域で育てる』 という意識を地域に培う教育である」x田と定義している。この地域教育を展開する一つの 手段として、地域人材活用も推奨している。. 地域教育専門主事室の地域人材活用に関する働きかけとしては、①各学校への指導・助 言、②「地域教育推進協力校」の指定、③「地域教育フォーラム」の開催、④学校支援ボ ランティアのネットワーク化ということが見られる。. 「②『地域教育推進協力校』の指定」については、地域教育に関して研究指定を行い、. 授業公開してもらうと共に、冊子にてその取り組みを紹介したり、地域教育フォーラムに て発表してその取り組みを広く伝えてもらうようにしているxiv。. 「③『地域教育フォーラム』の開催」については、平成11年度に第1回が開催され、以 後年1回、講師を招いての講演会や、分科会に分かれ、地域教育推進協力校などの指定を 受けている学校の発表が行われる。筆者も今年度の「地域教育フォーラム」に参加したが、. 学校関係者だけでなく、子どもや地域住民も多く参加する大きな、幅広い会であった。発. 表者にも、学校関係者だけでなく子どもやPTAや地域の方の姿が見られた。この会の効果 が、学校だけでなく、地域住民にもおよび、その理念が広く浸透していっていることを感 じた。. 「④学校支援ボランティアのネットワーク化」は各学校で作られている人材リストをも ととして、市下で共有化していくことを主として進められxv、今年度7月に「私たちの新. 19.

(25) しい先生」として整えられた。「私たちの新しい先生」の登録者は、全員ボランティア保険 に加入し、謝金についても交通費程度(2000円)を支給している。. 地域教育専門主事室を設置後、地域人材活用だけではなく、地域との連携に関した多く のことがじわじわ進んできているという実感が持たれているxvi。. (指導・助言). 地域教育専門主事は一人あたり約10校程度をそれぞれが担当し、年に5回程度、各学校 を訪問して、指導・助言にあたる。これが地域教育専門主事の大きな仕事の1冊子なって いる。. 内容としては、年間計画の作成や学校便りの地域回覧、掲示、人材リストを作る等、具 体的な内容も多く、その実施率も高い。また、学校便りに関しては地域回覧のものは字を 大きくすることや、各校の人材リストの作り方について等、細かいところにまで及んでい るxvii。. 市によっては、教頭になる前のものが指導主事として指導・助言にあたらなければなら ないことが多い。しかし地域教育専門主事室のように、校長を経験したものが指導・助言 にあたることで、特に校長に対してその効果を発揮することができるようであるxvm。. 第2節 教育委員会特性と地域人材活用の関係. 市教育委員会の地域人材活用への支援として考えられるのは、①謝金・事故補償②人 材リスト ③研究指定 ④指導・助言 ⑤その他 ということが考えられる。. 「①謝金・事故補償」「②人材リスト」については伊丹市教育委員会は平成2年度の「町 の先生」制度の実施から、謝金と人材リストが整i備されている。また、京都市教育委員会 では平成12年度に「私たちの新しい先生」の冊子を学校へ配布してから、謝金と事故補償、 人材リストが整備されている。「③研究指定」に関しては、伊丹市教育委員会は特に地域人. 材活用に関するものは行っていないが、京都市教育委員会は「地域教育推進協力校」とし て指定を行っている。「④指導・助言」については、伊丹市教育委員会では「町の先生」制 度を導入した初めのころには、「町の先生」を活用した授業方法を教師にイメージさせるよ. う、研究授業等でどの場面でどのように活用すればよいか具体的に助言したり、実際に活 用している場面を紹介したりということを意識して行った。京都市教育委員会としては校. 20.

(26) 長格を有するものが、各学校を担当し、具体的かつ丁寧な指導や助言を行っている。「⑤そ の他」については、京都市教育委員会では「地域教育フォーラム」の開催がある。また、 両教育委員会にて、各学校の取り組みを広報などで広く地域に伝えることも行われている。. それぞれの市内において、全体的に多くの学校で、多くの活用が見られる。しかし、細 かくは小学校間、あるいは幼稚園・小学校・中学校の間に格差が見られる。. 教育委員会は地域人材に関して様々な支援、あるいは指導や助言を行う。それにはやは りある程度の効果がみられる。謝金や事故補償、人材リストの共有化は、学校が行おうと していることの支援となる。また、具体的な指導・助言は学校を動かす力を有するし、学 校や地域の意識変革にも効果を与える。しかし、何かをしたからどうなるという特効薬的 な手だてはないのではないだろうか。学校の意識を変え、時に地域の意識を変えること、. 具体的に何を行ったらよいか指導や助言を行うこと、それぞれの学校にかかる負担を減ら していくことが教育委員会により可能である。. そこで学校の意識がいかに変わり、主体的に動いていけるかが重要となる。事例4校に 関しても、教育委員会にこう言われたから、言われてこれをやったからという消極的な姿 勢はみられない。. また、片山氏は、「市教育委員会が活用校に対して、人材を探すための情報や人材に対す る保障、手当の便宜を図っているか否かの違いによる活用校の効果認識度の差を見たxix。 しかし、意味のある関連は見いだせなかった。」としている。. 教育委員会の働きかけは、直接的に地域人材活用の促進、あるいは地域人材活用の効果 に繋がるとは限らない。しかし、学校の意識や地域の意識を変え、学校が行うべきことを 示し、地域人材活用によりそれぞれの学校にかかる負担を減らし、行いやすい素地を作っ ていくという点では働きかけの効果があると思われる。どちらかというと教育委員会から 学校に働きかけ、それを受けて学校がどうするかということではある。教育委員会の働き かけも、地域人材活用の促進要因に間接的にであるが影響を与えていることが考えられる。. 21.

(27) i1999年12月2日、伊丹市ホームページ参考。 ii 2000年12月18日、伊丹市教育委員会総務課ホームページ参考。 iiir指導助言というところなんですけれども、基本的にはうちとしましたら、町の先生の 活用の仕方につきましてはね、例えば、クラブ活動などで活用している学校もあるんです けれど、それはそれで子ども達の興味関心に基づいた形で活用には意義があるんですけれ ど、もう少し広く全体的な子ども達に活用していきたいということがありますので、年間 の学校の教育課程といいますか、実際的な総合的な学習であるとか、あるいは中学校など においては進路指導でありますとか、少しでも広く、一部門子ども達への活用というだけ ではなくて、広く、町の先生のそういった持っておられるものが、広くいろんな子どもさ んに関わっていけるよう学校にお願いはしています。」〔副主幹〕「第一義的なのは授業で 活用していただくということですね。ですから、クラス単位で予算をつけているわけです. ね。1クラス年間1回。30クラスの学校でしたら30回分。基本がそうなんです。前半に 言ったように活発な学校にはもうちょっと。第1は授業でということなんですが、その授 業っていうのが学年単位でも0.Kです。後から言いました、さらにクラブ活動。手話クラ ブ。子ども達が10人未満の、8人ぐらいしかいないクラブでもどうぞというような形にな っています。」〔課長〕. iv「学校が人材をまた見つけてきまして、新たにまた他の学校にもお知らせすると。校区 の壁をはずした形で、市内全域の1つの人材というふうに。」〔副主幹〕 v「ただ、それにつきましては基本的にはそれぞれの学校の学級数。学級に1回は来ていた だこうというふうなかたちで、基本的には3000円の各学校の学級数というふうなかたちで 割り振りをしております。ただ、取り組みによっては、やはりその学校で取り組んでいる 内容を聞きましたときに、これは是非この方に来て頂いたほうがいいなというふうなこと があれば、相談にのりながら少しでも支援ができるようなかたちで。はっきりいうと予算 の枠を越えるというようなこともあるのはあるのですけれども、まあ、そういうふうなこ とで少しでも支援ができたらなというふうには考えてはいるんです。」〔副主幹〕 vi「(町の先生が始まった当初は)なかなか活用がなかったです、やっぱり。ですから、 まず学校が町の人に入ってもらって一緒に授業するとかいうのがね、イメージがつかめな かったり。だから、例えば社会科で「昔の暮らし」を学習するときに、家だったらおじい ちゃんおばあちゃんが話してくれるようなことを、地域の人に入ってもらって、ランプは こんなんですよとか、当時はこんな生活してたんですよというのを、その地域の人にお話 しをしてもらって。ティームティーチングで、担任の先生がそれにいろいろ加わって、2 人で授業ができるんですよということを働きかけてですね。学校もイメージができて、あ っそんなことに使ったらいいのかということで、どんどん活用が広まっていった。それか ら手話なんかでしたら、当時から誰かに教えてほしいないうのはありました。そういう場 合、ボランティアの登録団体のほうに話をし、来ていただくという、そういうお世話をこ ちらのほうがさせていただいて。当初はやっぱり学校がイメージつかめなかったせいもあ って、予算が全部使えきれなかったです。今は予算足りなくて、整理しないといけない。」 「(そのようなことを校長会にて話したりしたと。意識改革のため、教師を集めて研修され るというようなことはありませんでしたか。)これ自体でというのは、これだけに焦点を絞 ったというのはなかったです。ただ、こちらもアンテナを張ってですね、この学校で例え ば町の人に入ってもらって米作りをした後のお米で餅つきをしたとか、そのときに当時の 暮らしを話したとか、そういうものを聞きつけたら行って、よその学校でこんなことをし ましたよいうようなのを、いろんな場でね。校長会とか、それから教科の、社会科やった ら社会科の先生ばかりの集まりのところがありますが、そういうところでとか、それから 授業研究の場で、いろいろ情報交換するときに、こういう実践がありますよっていうふう なことをね。今日の授業やったらこういうときに地域のこの方が入ったら、もっと展開が 変わったでしょうねとか。そういう宣伝をして。それから中学校の方でこの活用が始まっ たのは5年くらい前からでね。なかなか活用が進まなかったんです。」〔課長〕. 22.

(28) vii「活用を促すのは校長会でしておりまずけれども。助言というのはあまり必要ないね。 もうほぼ10年近い歴史を持っておりますのでね。時々、講師謝礼の申請がですね、10日 前、まあ土日がありますので2週間前までに、早いめに謝金の申請を出してくれって言っ ておりますけど、それが間際になることがあるんですね。くれぐれも遅れないようにとい う、それぐらいです。今の指導内容というのは。もうこの活用自体についての中身は本当 に工夫しておりますのでね、特にもう必要ないような流れになっております。」〔課長〕 湘 「例えば、今年度でしたら、学校が変わります、といいますか、新しい教育課程によ って開かれた学校づくりに取り組む中で、地域の方に御協力いただくことが多くなります いうようなことで、県の教育委員会などが冊子等を作成しておりますが、自治会の方へお 配りさせていただいたり、また学校のほうが地区社協などと会議を持っているのですが、 そういった場で、そういった冊子を活用しながら協力をお願いしたりというようなことは しております。ちょっと町の先生から外れますが、トライやるウィークなどの、そういっ た協議会なども地区ごとに、校区ごとにできたりしておりますから、いろんな場で地域と の連携を進めるため、そういった場に委員会のほうが出て、御協力をお願いしているとい うようなことはあります。」〔副主幹〕. ix 2000年12月18日、京都市ホームページ「京都市推計人口」参考。 x2000年12月18日、京都市ホームページ「京都市教育委員会の組織」参考。 xi「(地域教育専門主事室ができたのは平成9年度からですか。)はい。そうです。平成9 年度の4月に学校・家庭・地域の推進と開かれた学校づくりを目的として室長と7名の地 域教育専門主事で発足しました。毎年7名の専門主事を増員して、現在は30数名の専門主 事と数名の行政関係の者で仕事を行っています。学校訪問を定期的に年に5回ほど行い、 校長先生と話したり指導、助言をしています。」「この室ができる前も各学校では少しずつ 地域のお年寄りに学校に来ていただき、昔の地域の様子を聞いたり、京都の伝統文化につ いて学習するなど、人材活用はされていたと思いますが、それを全市的に集約するとか、 各学校の取り組み状況を一括しているところはありませんでした。」「(以前に教育委員会 から人材活用についての指導、助言ははなかったと考えていいですか。)地域教育専門主事 室ができる前は学校指導課で少しは指導していましたが、平成9年度以前は今ほど人材活 用ということが進められていませんでした。「開かれた学校」や「総合的な学習の時間」が 言われ始め、地域に根ざした学習の必要性がでてきたために、人材活用が平成10年度から 進んできたと思います。その頃から学校に対しての教育委員会からの支援も多くなったと 考えています。」〔地域教育主事〕. xii「学校に対してですけれども、1つは地域教育専門主事室という部屋ができて、先ほど 室長の話にもありましたように、いわゆる子ども達の生徒指導での問題と、それから、教 員の問題とかね、学級崩壊と、そういうふうなことについて信頼関係をつくるために、い うふうなことで、その信頼関係を作った上で開かれた学校づくりというものを進めていう ことで、両方一緒にして、地域教育専門主事室ができてるんです。」〔地域教育専門主事〕 xiii京都市教育委員会地域教育専門主事室「京都市の教育 地域と結ばれた学校づくりのス スメ」(1999年8月) xiv rどんどんこんなふうに地域の人材活用して、授業してますよというところを、他の学 校に見ていただいて、波及、普及していくというふうなことを考えているんですけどね。」 〔地域教育主事〕. xv rr人材活用』ということで各学校でいろいろな方法で人材を発掘されていますが、1 つの学校で発掘し活用されている方が他の学校へも行って学校を支援していただけるよう に『学校支援ボランティア』のネットワーク化を行っています。」「米作りや田畑のことに ついて中京区の学校の子ども達が学びたいと思っても、その地域にはそのような仕事をさ れている方はあまりおられませんよね。そのような時に伏見区や北区の学校で子どもたち に米作りや野菜作りについて教えてくださっている方にきていただき、学べるようにする ためです。各学校で発掘していただいた方の中で自分の住んでいる学区以外の学校へも行. 23.

参照

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