Author(s)
田村, 三智子
Citation
沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL
OF LAW & ECONOMICS(6): 45-53
Issue Date
2006-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/5973
【研究ノート】
グリーン・マーケティングにおける流通チャネルの問題点
田村三智子キーワード:リサイクル、循環型チャネル・ネットワーク、消費者
1.はじめに大量生産,大量消費を促進したマーケティングの分野で,環境問題が重要視されるようになるの
は,1980年代からである。いわゆる社会的マーケティングの一つであり,地球環境への配慮を中心
とした考え方である。それ以前から,大量廃棄される廃棄物の処理問題は重要な課題となっており,リサイクルへの関
心も高まっていた。しかし,十分に研究されてきた従来のチャネルに対して,リサイクルに関する
チャネルは,あまり研究がなされていない。そこで本稿では,リサイクルに関するチャネルを中心にその論点をまとめ,今後の研究課題を明
示することを目的とする。 2.チャネル構造 2.1フォワード・チャネル従来のマーケティングで取り扱われてきたチャネルは,図2‐1のように,製造業者から消費者ま
での,一方向にしか流れない,商品流通チャネルに限られていた。チャネルの構築者は製造業者に
限られており,流通業者は製造業者の忠実な売り子であり,他面において,製造業者の流通過程で
発生する経済的諸負担を肩代わりするものと考えられていた'・発展したチャネル論においては,フォワード・チャネルの構築者として,製造業者だけでなく,
流通業者も考察されるようになった。特にパワーを持った小売業による,プライベート・ブランド
の登場は,流通業者のチャネル支配として,典型的なものである。しかし,消費者に関しては,消費者が構築する生協というフォワード・チャネルを除き,単なる
ターゲットとしてしか捉えられていなかったといってよい。 図2‐1フォワード・チャネル 22バツクワード・チャネル フォワード・チャネルに対して,リサイクルを考える際に重要になるのが,廃棄物の流通を担う チャネルである。 -45- 製造業者 流通業者 消費者廃棄物の流通をバックワード・チャネルという用語を使って最初に考察したのはZikmundand Stantonであり,彼らはバックワード・チャネルを再利用可能な包装と他の廃棄物製品を消費者か ら生産者へと返却するものであり,フォワード・チャネルとの相違点は,消費者が自らを生産者だ と思っていないことだけで,概念的には伝統的な流通チャネルと同一のものであると定義した2° つまりバックワード・チャネルとはフォワード・チャネルに対して生まれた用語で,図2-2のよ うな,消費者から生産者までの逆流チャネルをさすのである3. 図2-2バックワード・チャネル(タイプ1) しかし,リサイクルを考えた場合,そのチャネル・メンバーは消費者,流通業者,製造業者だけ の単純なものではない。したがって,その後の研究では,図2‐3のように,消費者から廃棄された 廃棄物を地域ボランティアや地方自治体,回収業者などが収集し,再商品化事業者などで価値物へ と転換され,製造業者へ戻すようなチャネルも考察されるようになった。 地域ボランティア 地方自治体 製造業者 流通業者〃IL 消費者 'ロ 回収業者 再商品化事業者ロ 図2-3バツクワード・チャネル(タイプ2) バックワード・チャネルの特徴としては,タイプ1にせよタイプ2にせよ,どちらも消費者が廃 棄物4の生産者となり,チャネルの起点となるということである。 しかし,消費者がバックワード・チャネルの構築者かというと,そうはいえない。消費者はチャ
ネル維持の責任を負っているわけではなく,チャネルを維持しようがしまいが,経済的利益を得る
ことはないからである。地球に優しいことを望む消費者や,環境問題に関心のある消費者は,自ら がリサイクル・チャネルの一員であることを自覚し,積極的にチャネル維持に貢献しようとするか もしれないが,ほとんどの消費者は,自分がチャネル・メンバーであることすら,自覚していない のが現状である。 23循環型チャネル・ネットワーク前述の,フォワード・チャネルとバックワード・チャネルとを融合させたものが,循環型チャネル・
ネットワークである。循環型チャネル・ネットワークにおいては,製造業者や流通業者,特定の消費者だけでなく,-
-46- 製造業者 流通業者 消費者般の消費者や地域ボランティア,地方自治体,回収業者,再商品化事業者のいずれもがチャネルの
構築者になりえる。ただし,現時点で主導力を持って循環型チャネル・ネットワークを構築しているのは,製造業者
と流通業者,および地方自治体であることが多い。
ロluU 図2-4一般廃棄物の循環型チャネル・ネットワーク製造業者や流通業者が循環型チャネル・ネットワークを構築しているのは,経済的利益が見込め
る場合がほとんどである。循環型チャネル・ネットワークにおいては収集,仕分け,輸送等の物的流通がウエイトを占める。
これらの活動に付随する資本投下や労働によって,無価値物である廃棄物の若干の価値追加(有価
物化)が生じるが,しかし,そのためのコスト(収集・配送コストなど)はその追加価値を超える
のが普通であり,したがってどうしても市場において採算がとれないことが多くなるため,経済的
利益を追求する私企業では,取り組むことが難しいからである。
そこで政府や自治体の支援,消費者のボランティアの形での,選別・仕分けなどの参加が必要に
なってくるのであるが,利益追求で構築されたチャネルと異なり,循環型チャネル・ネットワーク
は,いったん構築された後の結びつきが弱いのが特徴である。
参加要因がデポジット制などといった経済的要因や,行政が決定したごみの分別方法といった法
的規制である場合には結びつきは強い。しかし,リサイクルへの自主的参加など,その参加理由が
「もったいない」や「地球にやさしい」といった消費者個人の感‘情的なものである場合には,参加
離脱の自由度が高く,結びつきが弱いのである。その場合は,その結びつきを,強制とも利益追求
とも異なる(そのような要素が含まれていないわけではないが)ボランティアな結びつきとして,
つまりネットワークとしてとらえるべきであろう。そして,その弱さを補強するものとして,行政
の指導や規制,ボランティアに対する金銭的な援助がなされる必要がある。
3.循環型チャネル・ネットワークの問題点31循環型チャネル・ネットワークを構築する3つの要因
ネットワークをコントロールする3つの要因として,「価格」,「権限」,「信頼」をあげることがで
きるだろう5。 -47-フォワード・チャネルは,経済的利益を追求するために構築されたチャネルであるために,その チャネルをコントロールする要因としては「価格」がもっとも強い。しかし,バックワード・チャ
ネルの場合は,対象物が廃棄物であることから,チャネル・メンバーが経済的利益を得ることはま
れで,ほとんどの場合が行政による「権限」によってコントロールされているといって良い。しか
し,循環型チャネル・ネットワークになると,製造業者や流通業者について考察しても,本来的な
価値物の販売による流通コストの回収と利潤の現実の過程とは基本的に異なるので,利潤追求を目
的として市場取引によって循環型チャネル・ネットワークを組織し実行していくのは困難である。 したがって経済的利益という動機付けはないのである。そこで重視されてくるのが「信頼」という コントロール要因である6。このように循環型チャネル・ネットワークにおいては信頼の重要`性が高いが,それだけでは非常
に脆弱なものになってしまう。価格や権限によって補完されることが,長期的・安定的循環型チャ ネル・ネットワーク構築の条件となるのである。次節では,循環型チャネル・ネットワークのなかでも,価格でコントロールされる割合の高い,
「閉じたネットワーク」と,価格でコントロールできないために脆弱で課題の多い「開いたネット ワーク」について触れる。 3.2閉じたネットワーク 循環型チャネル・ネットワークは,図3-1に見られるように大きく2つに分類することができ る。1つの主体が循環型チャネル・ネットワーク全体をきちんとコントロールできる「閉じたネッ トワーク」での循環と,企業,政府,消費者が単独ではコントロールすることが難しい「開いたネッ トワーク」での循環である。 <開いたネットワーク>--------~----
---------- ---- 、 、 、 、 、 、 、 、 『 、 『 「 、 、 、 〆 〆 〆 〆 〆 <閉じたネットワーク> 〆 〆 ’ ' ' ’ ’ ’ ’ ’ 地域ボランティア 造業者 流通業者 消費者 地方自治体'ロ 業者 者 再商品化事業者、F派I驍二
回収業者 ’ ’ ’ ’ ’ ' 〆 〆 〆 〆  ̄ =  ̄ ~----------- ̄
------------
図3-1循環型チャネル・ネットワークにおける閉じたネットワークと開いたネットワーク -48-西尾は,入口も出口も同じ企業で,その処理プロセスも当該企業できちんとコントロールできる
ような循環型チャネル・ネットワークを「閉じた範囲での循環」と位置づけ,具体例としてコンビ
ニエンス・ストアなどで実施されている,売れ残った弁当類のリサイクルをあげている。売れ残っ
た弁当や惣菜を回収して肥料や飼料に加工し,それを使って作られた野菜や食肉を材料としてまた
弁当を作るチャネルである。この場合,生産,流通,廃棄,再資源化・再商品化,販売という循環
全体を,-企業ないしは企業グループで行うため,リサイクルをするときに重要な問題となる取り
揃えの困難性や異物の混入といった問題が生じにくいだけでなく,再商品化市場の需要に関する問
題も発生しにくい。したがって,循環型チャネル・ネットワークの参加者にとって,リサイクルを
行うことは経済的にも心理的にも負担とならないために長期的に安定したチャネルを構築するこ
とができるのである。また,西尾は閉じた範囲での循環に消費者が含まれる例として,富士フィルムの「写ルンです」
をあげている。消費者は撮影の終了したレンズつきフイルムを現像するために写真屋や取次店に
もっていくので,製造業者は資源を確実に回収することができる。そして回収された資源は,専用
の循環生産工場で再び商品化される。この循環型チャネル・ネットワークも,どの参加者にとって
も経済的・心理的な負担がないため,長期的に安定してリサイクルを行うことができるのである7.
本論文でいう閉じたネットワークは,西尾の定義する閉じた範囲での循環と同義であるが,この
ような閉じたネットワークが成功するのは,さまざまな廃棄物のなかから,成功しやすい廃棄物だ
けを選んで扱っているからであるが,それと同時にその循環型チャネル・ネットワークが価格や権
限などによって強固な結びつきを維持し,参加メンバーがそれぞれに自分の役割を果たしているか
らである。製造業者に限らず,小売業においても,閉じた範囲のネットワーク構築事例は多い。
たとえば,(株)セブンイレブン・ジャパンでは,環境に直接焦点を当てた商品開発や,店頭にお
ける省エネ,省資源対策,消費者への販売用としてのパッケージだけでなく,企業間輸送用として
のパッケージにも,環境に配慮したさまざまな工夫を凝らしている。 3.3開いたネットワーク閉じたネットワークと異なり,開いたネットワークは構築も維持も非常に難しい。最も大きな問
題は,コンフリクトの問題であろう。規模格差モデルでは,交渉当事者間のパワー関係発生の構造を論じている。この場合,チャネル・
メンバーは製造業者と販売業者であるため,この両者間でパワー・コンフリクトが発生すると考え られる。これに対してバックワード・チャネルや循環型チャネル・ネットワークでもパワー・コン フリクトが生まれるが,その内容が異なるのである。従来,廃棄物を回収する費用を政府が全額負 担していただけに,これからどこがその費用を負担していくかが重要な問題となるのである。つまり,フォワード・チャネルにみられた利潤の実現と配分をめぐってのコンフリクトではなく,処理
コストの負担とその配分をめぐって,コンフリクトが生じることになるが,そこでの行政と企業と
消費者との負担の配分は,競争や価格関係あるいはパワー関係によってだけではなく,ねばり強い
話し合いによる相互信頼の確立を通してなされるのである。 しかし,この相互信頼の確立が非常に難しく,各チャネル・メンバーがそれぞれに循環型チャネ -49-ル・ネットワークを必要なものだと認識しなくてはならない。とくに消費者の認識が必要である ことから,次章では消費者について論じる。 4.消費者の対応 4.1循環型チャネル・ネットワークにおける消費者の役割 閉じたネットワークの参加者である消費者とは違い,開いたネットワークに参加する消費者が担 うべき役割は非常に大きい。閉じたネットワークにおける消費者は,「写ルンです」の例であれば, 個人の欲求を満たすために循環型チャネル・ネットワークの参加者となる。また,家電リサイクル 法の場合は法的規制により仕方なく参加者になる。しかし,開いたネットワークの場合,消費者に は常に,より手軽な処分という選択肢が存在するのである。それでもなおかつ,「地球に優しい」と いった共同意識によって,消費者が循環型チャネル・ネットワーク参加者になるのが,開いたネッ トワークであり,そのあまりにも緩い結びつき故,チャネルの維持が非常に困難なのである。 この,緩い結びつきによって行われる労働は,ボランティアであることが多い。もともと,チャ ネル内部での労働には,資本主義的労働者とボランティアが含まれ,ボランティアは資本とは無関 係に行われる。従来の労働価値論から考察すれば,価値形成には役に立たないということになる が,リサイクル・コストの低減には不可欠である。たとえば,消費者のきちんとしたゴミ分別が, 行政や回収業者による分別,仕分けコストを低減させる。つまり,従来のチャネルでは考察されな かったボランティア,無償労働というものが,バックワード・チャネルや循環型チャネル・ネット ワークでは必要かつ大切なものなのである。 では,このボランティア活動を,消費者はどこまで受け入れられるのだろうか。自分一人だけは, などという考えで廃棄物の分別を怠る消費者がいたり,不法投棄をする消費者がいたりすれば,循 環型チャネル・ネットワークは壊れてしまう。 また,消費者はどこまでグリーン価格を受け入れられるか,という問題がある。アンケートでは 「環境に関心がある」ため「ある程度の価格上昇は受け入れられる」と答えていても,実際に高価 格であるグリーン商品を購入するかとなると話は別である。 ボランティア活動を積極的に行い,高価なグリーン商品を購入する消費者となるためには,消費 者の認識が変わらなければならない。 次節では,消費者の意識変化について述べる。 42消費者の意識変化 環境に対する消費者の意識はどう変わってきたのか。消費者の欲求変化を論じたKaynak8は, その論文の中で,消費者問題の変化は,消費者の欲求の変化に起因すると論じている。人間は皆均 しく空腹を感じ,のどの渇きを感じ,自尊心を持っている。したがって,消費者の欲求は,国によっ て違うものではなく,国際的に共通』性のあるものだというのである。 現在,先進国に住む消費者は,発展途上国の消費者よりも,環境に関心を持っている消費者が多 い。それは,発展途上国の消費者の間には運命論が支配的で,先進国ではあたりまえとされる消費 者主権の意識が低く,また公的援助も少ないために,消費者運動が一般化しないだけで,いずれ空 腹が満たされ,自己実現の欲求のような高レベルな欲求を持つようになれば,教育不足と情報の欠 -50-
乏と,多くの消費財の不足からきていた向上心の低さは改善され,生活水準以上の欲求がわき起
こってくるというのである。こうした消費者欲求の変化を,Kaynakは,消費者の満足・不満足の輪(Wheelofconsumer
satisfaction/dissatisfaction)と呼ぶ。マズローの欲求段階説によれば,人間の欲求は生存の欲求
から始まり,高次の自己実現の欲求で終わるが,Kaynakは,自己実現の欲求が達成されれば,消
費者の欲求は,物的欲求と安全性の欲求を求める輪の最初に戻るというのである。
もちろん,最初の生存の欲求と全く同じものを指すのではない。例を挙げるならば,北アメリカ
やヨーロッパの進んだ消費者が,健康食品を購入したり,地方や郊外に移って古いスタイルの家に
住んだりするようなことである。日本においても,最近スローライフやスローフードといわれる生
活に注目が集まっているのと同じようなことだと思われる。日本の消費者団体の関心事に目を向けると,戦後すぐは,ぎりぎりの生命維持のための物価値上
げ反対運動に終始していたが,その後,高度経済成長期には公害問題が深刻化したこともあり,製
品の品質や安全に関わる運動が登場し始める。そして関心は,不公正取引や不当表示,マルチ商法,
サラ金問題といった問題へと移り,次第に自然保護,環境汚染,』情報公開といった問題へと移り
変わっていく。このように,消費者団体の関心事も,ある問題に関心が寄せられ,その問題が社会的問題として
取り上げられ,解決策も立てられるようになってくると,次の問題へと関心が移り,それもまた,
社会的に認知されるようになると,また次の問題へと関心が移っていく。安全性の問題から,社会
的問題へ,そして環境問題をふまえた上で安全性の問題へと関心が移っていくということは,つま
り,日本の消費者も,欲求の輪が一度自己実現の欲求まで回って,再び生存や安全性の欲求に戻っ
たということがいえるのである。そして,消費者の関心が,最初の安全`性の問題ではなく,いったん輪を描いた上での安全性の問
題にあるならば,消費者は循環型チャネル・ネットワークの一員であることを十分に理解し,自ら
積極的に関わる努力を始めるだろう。まだ,循環型チャネル・ネットワークが社会全体の共通認識となっていないが,これが共通認識
となるようになれば,消費者はグリーンに対する対価を支払うことに抵抗がなくなるのではないだ
ろうか。 5.おわりにグリーン・マーケティングにおける流通チャネルは,従来のマーケティングでいわれるフォワー
ド・チャネルではなく,資源循環を念頭に置いた循環型チャネル・ネットワークである。その循環
型チャネル・ネットワークは,閉じたネットワークこそ結びつきが強く、持続』性も望めるが、開い
たネットワークでは、フォワード・チャネルの結びつきを強固にしている「価格」で結びついてい
ることが少ないため,非常に脆弱なものとなってしまっている。しかも,消費者の環境に対する認
識は、まだ消費者運動発展のライフサイクルとしては導入部分に過ぎず、制度化の段階ではない。
他にも、問題は山積している。産業廃棄物と違い,一般家庭が排出する一般廃棄物は,種類が多
く,再商品化するのに効率が悪い。したがって,再商品化事業者における投資効率を高めるために
は,ある程度広域のエリア内で,消費者から廃棄物を収集する必要がある。 -51-これら様々な問題についてもさらに検討を重ね、リサイクルを行うための循環型チャネル・ネッ トワークを強固なものにし,持続的に発展させていくためにはどうすればよいかを明らかにするこ とが今後の課題である。 <参考文献> .』effreyLBradachandRobertGEccles"Price,authorityandtrust:fromidealtypestoplural forms",EdG・Thompson“MARKETS,HIERARCHIESANDNETWORKS''’1991. .Kaynak,EandWikstroem,S"MethodologicalFrameworkforaCross-NationalComparison ofConsumerismlssuesinMultipleEnvironments,,,EuropeanJournalofMarketing,VOL19, No.1,1985. .Zikmund,W.G.andStanton,WJ.“RecyclingSolidWastes:AChannels-of-Distribution Problem",JournalofMarketing,VOL35,No.3,1971. ・西尾チヅル『エコロジカル・マーケティングの構図』有斐閣,1999年。 ・風呂勉,『マーケティング・チャネル行動論』千倉書房,1968年。 ・吉野敏行『資源循環型社会の経済理論』東海大学出版会,1996年。 圧 ’風呂氏はそれを,チャネルの二面指向,性とU平び,製造業者はチャネルを構築することにより, チャネル・メンバーに自社製品の販売に努力してもらえるというメリットを得ると同時にその 市場での利潤追求とリスクをチャネル・メンバーに負わせることができると考えた。風呂勉, 『マーケティング・チャネル行動論」千倉書房,1968年。 2Zikmund,W.G.andStanton,WJ.“RecyclingSolidWastes:AChannels-of-Distribution Problem"’んuI刀a/ofMaJBketingVo1.35,No.3,1971. 3流通を血流にたとえて,フォワード・チャネルを動脈流通,バックワード・チャネルを静脈流 通ともいう。 4ここでいう廃棄物とは,再利用や再生可能な価値物を指す。商品と廃棄物との相違は,他人に とって使用価値があるかどうか,交換価値を持っているかどうかということになる。廃棄物には 使用価値はない。しかし,単なる非使用価値であるというよりはむしろ,負を持った使用価値と 見ることがより適切である。廃棄物を「負の経済財」と規定するその内容は,その占有者にとっ ても,他人にとっても負の使用価値であり,その処理を市場にゆだねるならば,負の交換価値(費 用)を発生させるものである。その負の経済財が,分解分別過程に投じられた有用労働によって, 負の使用価値から正の使用価値に転化され,その投下労働量によって負の交換価値が正の交換価 値に転化されるのである。(吉野敏行『資源循環型社会の経済理論』東海大学出版会,1996年) つまり,リサイクルによって,従来の経済学上では非価値物と定義されていた財が,価値物に変 化するのである。そのことを考えれば,バックワード・チャネルや循環型チャネル・ネットワー クを議論する上では,廃棄物を非価値物と呼ばずに価値を有したもの,有価物と呼ぶのが適切 であろう。 5BradachandEcclesは,価格,権限,信頼という3つの概念を,経済取引を制御するコント -52-