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外国人労働者向けマンガ看板の開発: 視認性と内容理解につながる要因の検討

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Academic year: 2021

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1 はじめに 我が国では,「外国人技能実習制度」という制度があり, 開発途上国の人材育成を行っている.厚生労働省によれ ば,2016年末で228,589人の外国人技能実習生を受け入 れている1).彼らは,一定期間日本国内の受け入れ事業 場で働きながら知識や技術を身につけ,帰国後は自国に おいてその技能を活かして産業の発展に貢献することが 期待される. この制度は,我が国の国際協力・国際貢献の重要な一 翼を担う一方で,受け入れ事業場においては,技能実習 生の安全衛生管理という大きな問題を生み出している. 高木によれば,2011~2014 年度の建設業における外国 人技能実習生の実習生の休業4日以上死傷者数は1,000 人あたり8.9~13.6 人の発生割合で,建設業全労働者の 休業4 日以上死傷災害年千人率5.0~5.2と比較して1.78 ~2.72倍と高い水準で推移している2) 作業現場には多くの危険が存在しており,新規入場時 の安全教育や毎日の朝礼,ミーティングで作業員に危険 箇所を伝えると同時に,特に危険な箇所については掲示 板やその危険の存在する位置の周囲に看板や標識を提示 し注意喚起することも多い.例えば,「立ち入り禁止」 や「頭上注意」などがこれにあたる.化学物質管理にお いては,健康影響や可燃性などのシンボルが国際的に定 められ3)表示が義務づけられている.しかし,安全管理 においては特に標準化された表示やイラストは存在しな い.一般的に,非言語的表現の方が直感的に危険が理解 されやすいと言われている4)ものの,多くは文字で内容 説明をしている.その場合,言葉もわからず,慣れない 現場で実習や作業に従事する技能実習生は,現場のリス クに気づかない,注意喚起の標識の文字が読めない,注 意事項が理解できない等の理由で不安全な行動をとり事 故につながる可能性もある.日本語が十分に理解できず 現場のリスクに関する知識も豊富ではない外国人技能実 習生が,現場の危険源に気付き,危険を意識し,安全な 行動をとるに至るように誘導するために,文字を含まな いマンガの看板が効果的であると考えられる. 本研究では,外国人技能実習生の安全意識高揚と注意 喚起に効果的なマンガ看板の色や構成(デザイン)に関 して基礎的な実験を行い検討したのでその結果について 報告する. 2 研究方法 2.1 実験条件の構成 本研究では,効果的なマンガ看板のデザインについて 検討する.海保らは,良い絵表示の構成要因として①視 認性・②誘目性・③審美性・④理解容易性の4つをあげ ている4).また,法理らは建設作業員を対象とした研究 から,安全標識を評価するイメージ構造として,①理解 容易性,②誘目性,③デザイン性の3要素を提案してい る5).本研究では,理解容易性と誘目性をマンガ看板に 重要な要素として,理解容易性と誘目性を高める要因の 抽出を行った. 2.2 評価 マンガ看板設置の目的は,外国人技能実習生の安全意 識高揚と注意喚起による事故の防止,安全レベルの向上 である.看板を教育教材と考えた場合,その評価方法と

外国人労働者向けマンガ看板の開発

̶視認性と内容理解につながる要因の検討̶

庄 司 卓 郎

*

1

,高 木 元 也

*

2

,呂     健

*

3 近年,「外国人技能実習制度」を利用して多くの外国人が来日し現場で作業に従事している.外国人技能実 習生は,日本語が十分に理解できず現場のリスクに関する知識も豊富ではないため,労働災害に被災する率も 高い.技能実習生の安全意識を高め注意喚起をするために,文字を含まないマンガを用いた安全看板を提案した. 本研究では外国人技能実習生の安全意識高揚と注意喚起に効果的なマンガ看板の構成に関して,理解容易性(伝 えたい内容が伝わること)と誘目性(目を引くこと)の2つの視点から検討した.外国人技能実習生41人(イ ンドネシア人21人,フィリピン人20人,ベトナム人9人)が実験に参加した.実験参加者には,まず2種類の 画像を同時に提示し,その中から作業の危険が伝わりやすく作業現場に掲示するのにふさわしいと思う方を選 択して回答してもらった.その結果,事故の瞬間を示す画像よりも作業が事故につながっていく流れや事故を 起こした作業の全景を示す画像の方が選択される傾向があった.次に4種類の画像を同時に提示しその中のど れが最も目にとまったかを回答してもらったところ,単色であれば彩度の高い色,縞模様であれば黄色を使っ た斜縞が選択される傾向があった.一方で出身国による違いも観察され,現場に掲示する安全看板の作成にあ たってはそこで働く技能実習生のもつ文化や安全に対する認識も考慮する必要があると考えられる. キーワード:外国人技能実習生,マンガ,安全看板

原稿受付 2019年7月1日(Received date: July 1, 2019) 原稿受理 2020年1月27日(Accepted date: January 27, 2020)

J-STAGE Advance published date: February 21, 2020

*1産業医科大学産業保健学部安全衛生マネジメント学 *2労働安全衛生総合研究所建設安全研究グループ *3労働安全衛生総合研究所リスク管理研究センター 連絡先:〒807-8555 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 産業医科大学産業保健学部安全衛生マネジメント学 庄司卓郎 E-mail: [email protected] doi: 10.2486/josh.JOSH-2019-0019-CHO 調査報告

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して,健康教育の効果評価で古くから用いられている KABモデル6)やROIモデル7)を利用したものがある. KABモデルとは,教育による知識(Knowledge)の習 得が態度(Attitudes)の変容をもたらし,結果として行 動(Behavior)が変容するという理論で,この各段階, すなわち “ 知識の習得 ”“ 意識の変容 ”“ 行動の変容 ” の度 合いから教育の効果を評価できると考えられる.ROIモ デルはこれにReturn on Investmentすなわち教育への投 資(費用や労力)の費用対効果の概念を採り入れ“満足” “学習”“行動”“業績”“費用対効果”の5つの軸から評価し ようというものである,その他,直接的な効果の評価指 標としては看板設置による事故件数の減少等の安全レベ ルの向上が考えられる.一方,看板を標識と捉えた場合 には,視認性,誘目性,理解容易性4)と並んで内容が記 憶に残ることが重視される8) これらのうち,安全レベルの変化による評価は最も本 質的ではあるが,今回のように事故が多発しているわけ では無い作業において短時間で成果を検討するのは適切 では無い9).また,意識,知識や行動についても短期間 で効果を評定するのは困難であると考えられる.そこで, 本研究ではROIモデルの“満足”と関連する看板を見た 人からの評価を中心として,理解容易性と誘目性の評価 を行った. 2.3 実験手続き 外国人技能実習の働く事業場と外国人技能実習生の研 修施設に調査への参加を依頼し,同意が得られた施設に おいて改めて技能実習生に実験の内容について説明して 参加を依頼し,同意が得られた技能実習生に実験に参加 してもらった.実験はそれぞれ技能実習生が所属する事 業場の会議室および研修施設の講義室で行われた. 実験の説明や語句の読み上げ等に関わる技能実習生と のコミュニケーションは日本語と実習生の母国語を理解 できる各施設の通訳(事業場においては日本語,インド ネシア語,フィリピン語を話せて理解でき技能実習生の まとめ役をしているインドネシア人社員,研修施設にお いては日本語とベトナム語を話せ理解でき研修講師を担 当している中国人)を介して行われた.画像は,事業場 においてはPCとプロジェクター(EPSON社製,EB ‒1725)を用いてスクリーン(縦1800×横1960mm)に 投影して提示した.研修施設においては,PCとプロジェ ク タ ー(TEXAS INSTRUMENTA社 製,simplebeamer

GP1S)を用いて約3m離れたホワイトボードに投影した. 実験参加者には各施設の部屋に集合してもらい,まず 実験の概要と倫理的配慮についての説明を行い,通訳を 通して伝えてもらった.また事業場においては勤務の一 部として参加してもらうこと,研修施設においては講義 の一部として参加してもらうことを伝えてもらった.外 国人技能実習生には実験への参加に同意が得られた者の み検査用紙に記入をし,同意しない者は何も記入しなく て良い旨を通訳を通して伝えた.説明に引き続いて,全 員揃って実験1,実験2,実験3の順に行った. 2.4 実験条件 1)実験1:理解容易性の検討1:色に対するイメージ調査 看板が示す内容(例えば禁止,危険提示,注意喚起な ど)を直感的に理解するにあたって,見た人がその看板 から受ける印象は重要であり,色が果たす役割は大き い10).また,示している内容と色があわないと不自然な 感じを受ける場合があることも知られている11).そこで 安全や危険に関する概念がどのような色と関連している のかを調べた.実験参加者には,表1に示すような安全, 気にならない グループNo グループ名 安全 安心 落ち着く 快適 良い 楽しい 正しい 見たい 目立つ 注意 見やすい 重要 気になる 危険 事故 間違った 不安 落ち着かない 地味な 不快 つまらない 見たくない 見にくい 重要で無い 悪い グループ3 事故・危険 実 験 で 用 い た 語 グループ1 安全・快適 グループ2 重要・注意 グループ4 不安・不快 グループ5 悪い ① ② ③ ④ ⑤ 赤色 茶色 黄色 桃色 橙色 (255, 0, 0) (153, 51, 0) (255, 255, 0) (255, 51, 204) (255, 153, 0) ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 肌色 紫色 緑色 灰色 黄緑色 (255, 204, 153) (102, 0, 255) (0, 102, 0) (166, 166, 166) (0, 204, 0) ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ 青色 白色 水色 黒色 (0, 0, 255) (255, 255, 255) (51, 204, 255) (0, 0, 0) 表1 実験1で用いた語 図1 提示した色の色名,RGB値と提示位置(()内の数値はRGB値)

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危険などの26の概念を示す語を口頭で提示し,その語 のイメージに最も良く合う色をスクリーンに提示した 14色(図1)から選んでもらった. 実験説明の後,語は1つずつ実験者が口頭(日本語) で読み上げ,外国人技能実習生には通訳を通して実験参 加者の母国語で伝えてもらった. 2)実験2:理解容易性の検討2:看板のデザイン(構成) に関する評価 どのようなマンガが伝えたい内容が伝わるかを判定す るために,2種類のマンガのペアを用意して順次投影し, 実験参加者に評価してもらった.実験参加者には,『ペ アの2つのマンガのうちどちらがより作業の危険が伝わ り,作業現場に掲示するのにふさわしいか,判断して選 んで回答して下さい.』と教示した.表2に示す特徴を 有する17種類のペアの課題を用意した.提示した課題 の例を図2‒1~図2‒4に示す. 3)実験3:誘目度の評定 マンガ看板の型枠となる表示を4つセットにして同 時に提示し,一番目を引くものを1つ選んで記号で回 答してもらった.実験参加者には,『今から見せるスラ イドの中にあるA~Dの4つの絵のうち,一番目にと まったものを1つ選んで回答して下さい』と教示した. 提示した14課題のスライドの概要と提示順を表3に, 提示した課題の例を図3‒1~図3‒3にそれぞれ示す. 2.5 実験参加者 実験参加者は,製造業の現場で外国人技能実習生とし て働く41人(インドネシア人21人,フィリピン人20人, 日本での実習経験は3ヵ月から2年)と,外国人技能実 習生として来日し現場に配属される前に都内で研修を受 けているベトナム人9人(来日3ヵ月目,実習経験無し) である. 図2‒3 実験2で提示したスライドの例(課題12) 図2‒1 実験2で提示したスライドの例(課題2) 図2‒4 実験2で提示したスライドの例(課題14) 図2‒2 実験2で提示したスライドの例(課題3) 課題No 条件A 条件B 概要 課題1 1コマのマンガ 4コマのマンガ 墜落 課題2 1コマのマンガ 4コマのマンガ 崩壊 課題3 リスクを表示 事故を表示 フォークリフト 課題4 リスクを表示 事故を表示 高所作業 課題5 リスクを表示 事故を表示 フォークリフト 課題6 事故を表示 安全対策を表示 開口部 課題7 事故を表示 安全対策を表示 足場 課題8 事故を表示 安全対策を表示 安全帯 課題9 事故の瞬間 事故に⾄る流れ はしご 課題10 事故の瞬間 事故に⾄る流れ はしご 課題11 ピクトグラム 1コマのマンガ はしご 課題12 1コマのマンガ ピクトグラム 開口部 課題13 ピクトグラム 1コマのマンガ 墜落 課題14 現場の広角図 現場の拡大図 巻き込まれ 課題15 現場の拡大図 現場の広角図 ⾶来落下 課題16 リスクを表示 安全対策を表示 手摺 課題17 リスクを表示 安全対策を表示 開口部 表2 実験2で提示した課題の内容

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2.6 倫理的配慮 実験参加者には実験開始前に,研究への参加は自由で あり強制されないこと,参加をしなくても,あるいは途 中で参加を取りやめても何ら不利益を生じないこと,個 人情報は取得されず外部に漏洩する危険性が無いこと等 を伝えた.なお,本研究は産業医科大学倫理委員会 (H28‒257号)および産業医科大学利益相反委員会の承 認を得て実施している.提示すべき利益相反は無い. 3 結果 1)実験1:色に対するイメージ調査 提示した各語からイメージされる色を実験参加者の属 性( 国 籍:IDN: イ ン ド ネ シ ア,PHL: フ ィ リ ピ ン, VNM:ベトナム))別に集計した.提示した26語のうち, 例として特に作業現場と関連がありそうな語として,「危 険」,「事故」,「間違った」,「不安」,「不快」,「悪い」,「注 意」,「重要」,「安心」,「快適」,「良い」,「安全」,「正し い」の結果を図4‒1から図4–13に示す.「危険」や「事 故」からイメージされる色は赤色が多かったが,ベトナ ムでは「危険」については黒色をあげる人が多かった.「不 安」,「不快」,「悪い」などのネガティブな概念には,黒 色や灰色の回答が多かった.また,「注意」や「重要」 図3‒1  誘目度評価実験(実験3)で用いたスライ ドの例(課題4) 図3‒3  誘目度評価実験(実験ドの例(課題13) 3)で用いたスライ 図3‒2  誘目度評価実験(実験3)で用いたスライ ドの例(課題9) パターンA パターンB パターンC パターンD 課題1 ⽩⾊地に⿊⾊図形 ⿊⾊地に⽩⾊図形 ⽩⾊地に赤⾊図形 赤⾊地に⽩⾊図形 課題2 ⿊⾊地に⽩⾊図形 ⻘⾊地に⽩⾊図形 赤⾊地に⽩⾊図形 ⻩緑⾊地に⽩⾊図形 課題3 ⿊⾊地に赤⾊図形 ⻘⾊地に赤⾊図形 ⽩⾊地に赤⾊図形 ⻩緑⾊地に赤⾊図形 課題4 ⿊⾊地に⻩⾊図形 ⻘⾊地に⻩⾊図形 ⽩⾊地に⻩⾊図形 ⻩緑⾊地に⻩⾊図形 課題5 ⽔⾊地に⻩⾊図形 ⻘⾊地に⻩⾊図形 濃紺⾊地に⻩⾊図形 紫⾊地に⻩⾊図形 課題6 赤⾊と⽩⾊の縦縞 赤⾊と⿊⾊の縦縞 赤⾊と⻘⾊の縦縞 赤⾊と⻩⾊の縦縞 課題7 ⿊⾊と⽩⾊の縦縞 赤⾊と⽩⾊の縦縞 ⻘⾊と⽩⾊の縦縞 緑⾊と⽩⾊の縦縞 課題8 ⿊⾊と⻩⾊の縦縞 紫⾊と⻩⾊の縦縞 ⽔⾊と⻩⾊の縦縞 赤⾊と⻩⾊の縦縞 課題9 ⿊⾊と⻩⾊の縦縞 ⿊⾊と⻩⾊の斜縞(右上がり)⿊⾊と⻩⾊の斜縞(右下がり)⿊⾊と⻩⾊の横縞 課題10 茶⾊地 朱⾊地 薄茶⾊地 赤⾊地 課題11 ⿊⾊と⻩⾊の縦縞 ⿊⾊地 赤⾊地 赤⾊と⽩⾊の縦縞 課題12 ⿊⾊地にイラスト ⽩⾊地にイラスト 赤⾊地にイラスト ⻩⾊地にイラスト 課題13 ⿊⻩⾊斜縞地にイラスト ⿊⻩⾊縦縞地にイラスト ⿊⻩⾊横縞地にイラスト ⿊⻩⾊格⼦地にイラスト 課題14 ⿊⾊地にイラスト ⿊⻩⾊斜縞地にイラスト ⿊⻩⾊格⼦地にイラスト 赤⾊地にイラスト 表3 誘目度評定実験の提示条件と提示順

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0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒8 「重要」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒7 「注意」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒6 「悪い」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒5 「不快」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒4 「不安」からイメージされる色 図4‒3 「間違った」からイメージされる色 図4‒1 「危険」からイメージされる色 図4‒2 「事故」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒10 「快適」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒9 「安心」からイメージされる色

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には赤色と黄色が比較的多かった.一方,ポジティブな 概念では,「安全」,「快適」は緑色,黄緑色,「安心」,「良 い」は水色と白色が比較的多かった.このように,危険 や注意を引くイメージは赤色,不快などネガティブなイ メージは黒色,灰色などの暗い色,安全や快適などポジ ティブなイメージは青色,緑色の系統がイメージされる 傾向が見られた.ただし,実験参加者の出身国により回 答の傾向が異なること,同じ出身国でも異なる回答がみ られること,例えば「危険」から水色や緑色をイメージ する人もいることも明らかになった. 反対に,色がどのようなイメージと関連しているかを 明らかにするために,各色毎にどの語から選ばれたかを 示す割合を集計した.例として赤色の結果を図5に示す. 「危険」,「不安」や「重要」などと関連する語が多いが, その割合は国により異なり,さらに「安全」に関連する 語から赤色をイメージするケースも少なからず見られ た.他の色についても同様で,色の印象を単一のイメー ジと結びつけることは困難であると考えられた. 2)実験2:看板のデザイン(構成)に関する評価 2枚のスライドを表5に示す対比ポイントから対比点 ごとに集計して検討した.実験参加者の選択の結果を 図6‒1~図6‒17に示す.図中には,3属性間での各スラ イド(AまはたB)の選択比率の違いの検定および各群

毎の選択の母比率の検定(いずれもFisher's exact test) の結果を記載している. まず,1枚のスライドと4コマの流れのあるマンガス ライドを比較(図6–1~図6–2)すると,程度の差はあ るもののどの群において4コマのスライドの方が作業現 場に掲示するのにふさわしいとして選択された.課題2 においては全体とフィリピン人で有意に4コママンガの 選択が多かった(図6–2,p<0.05).次に,職場に存在 するリスクを示すマンガとそこで発生する可能性のある 事故事例の1つを示すマンガを比較(図6–3~図6–5) したところ,事故のマンガの方が有意に多く選択された (p<0.01,Fisher's exact test).一方,事故事例を示すマ ンガと事故を防ぐために現場で行われる対策の例を示し 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒13 「正しい」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒12 「安全」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤 茶 ⻩ 桃 橙 肌 紫 緑 灰 ⻩緑 ⻘ 白 水 ⿊ 図4‒11 「良い」からイメージされる色 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 危険 事故 間違った 重要 注意 目立つ 見やすい 気になる 不安 落ち着かない 悪い 正しい 不快 見たくない 安全 良い 楽しい 重要で無い 快適 つまらない 見にくい 気にならない 安心 落ち着く 地味な 見たい 図5 赤色をイメージする語 属性間:n.s.選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. . 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 4コマ 1コマ 図6‒1 看板のデザインに関する比較結果:課題1

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属性間:n.s.選択比率:全体 p<0.01 VNM p<0.05 PHL n.s. IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM リスク 事故 属性間:p<0.01 選択比率:全体 n.s. VNM p<0.05 PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 事故 対策 属性間:n.s.選択比率:全体 p<0.05 VNM n.s. PHL p<0.05 IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 4コマ 1コマ 属性間:n.s.選択比率:全体 p<0.01 VNM p<0.05 PHL p<0.05 IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM リスク 事故 図6‒3 看板のデザインに関する比較結果:課題3 図6‒6 看板のデザインに関する比較結果:課題6 属性間:n.s.選択比率:全体 p<0.01 VNM p<0.05 PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM リスク 事故 図6‒5 看板のデザインに関する比較結果:課題5 図6‒2 看板のデザインに関する比較結果:課題2 図6‒4 看板のデザインに関する比較結果:課題4 属性間:p<0.01 選択比率:全体 n.s. V NM p<0.05 PHL p<0.01 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 事故 対策 図6‒8 看板のデザインに関する比較結果:課題8 属性間:p<0.01 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL p<0.01 IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 事故 対策 図6‒7 看板のデザインに関する比較結果:課題7 属性間:p<0.05 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 事故に至る流れ 事故の瞬間 図6‒9 看板のデザインに関する比較結果:課題9

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属性間:n.s. 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM ピクトグラム マンガ 属性間:n.s. 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM ピクトグラム マンガ 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.05 VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 広角 拡大 属性間:n.s.選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL p<0.01 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 事故に至る流れ 事故の瞬間 属性間:n.s. 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 広角 拡大 図6‒15 看板のデザインに関する比較結果:課題15 図6‒12 看板のデザインに関する比較結果:課題12 図6‒11 看板のデザインに関する比較結果:課題11 属性間:n.s. 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM リスク 対策 図6‒17 看板のデザインに関する比較結果:課題17 図6‒14 看板のデザインに関する比較結果:課題14 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.01 VNM p<0.05 PHL n.s. IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM ピクトグラム マンガ 図6‒13 看板のデザインに関する比較結果:課題13 図6‒10 看板のデザインに関する比較結果:課題10 属性間:p<0.01 選択比率:全体 n.s. VNM p<0.05. PHL p<0.01 IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM リスク 対策 図6‒16 看板のデザインに関する比較結果:課題16

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たマンガ(図6–6~図6–8)の選択傾向は,出身国によ り傾向が異なった(p<0.01,Fisher's exact test).ベト ナムとフィリピン出身の技能実習生は事故を示したマン ガ,インドネシア出身の実習生は対策事例のマンガを選 ぶ傾向にあった.また,現場で起こる事故の瞬間を示し たマンガと,人の行動が事故発生に至る一連の流れを示 したマンガ(図6–9~図6–10)の比較では,インドネ シア人は事故に至る流れを示すマンガを選択する割合が 高かったがベトナム人,フィリピン人では課題の種類に より選択傾向が異なり一定の傾向が見いだせなかった. ピクトグラムとマンガの評価(図6–11~図6–13)につ いても,どちらかと言えばマンガが選ばれる傾向がある と言えるが,課題による差もあり一定の傾向は見いだせ なかった.事故の発生場面をアップで捉えたマンガと遠 方 か ら 事 故 時 の 作 業 全 体 を 捉 え た マ ン ガ の 比 較 (図6–14~図6–15)では,作業全体を捉えたもの(広角) の方が若干多く選択される傾向が見られたが有意な差が 見られたのは.課題14の全体の回答結果のみであった. 現場に存在するリスクを示すものとリスクに対する対策 例を示すものとを比較(図6–16~図6–17)したところ, マンガの内容により結果が異なり一定の傾向は見いだせ なかった. 3)実験3:誘目度の評価 4種類の画像をスクリーンに同時に投影し,どれが一 番目に止まったかを回答してもらった結果を図7–1~ 図7‒14に示す.まず,図7–1~図7–5を見ると,有意 な選択の偏りが見られ,緑色や桃色など提示されたもの の中で最も彩度が高い色が地になっているものに目が止 まる傾向が見られる.次に,縞模様の場合には,図7–6 ~図7–8から黄色や赤色を用いた縞模様が目を引くと評 価された.また,黒と黄の縞の場合は縦縞,横縞よりも 斜め縞が選ばれる傾向にあった.最後に,中央にマンガ があり周囲に枠をつける場合,図7–12~図7–14から, 出身国による差が見られ,インドネシアとフィリピン出 身の実習生は黒黄色の斜め縞の枠を,ベトナムの実習生 は赤色単色の枠を選択していた. 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.05 VNM n.s. PHL n.s. IDN p<0.05 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒地/赤図 青地/赤図 白地/赤図 黄緑地/赤図 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL p<0.01 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒地/白図 青地/白図 赤地/白図 黄緑地/白図 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. IDN n.s. PHL n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒地/黄図 青地/黄図 白地/黄図 黄緑地/黄図 図7‒3 誘目性の評価:課題3 図7‒2 誘目性の評価:課題2 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL p<0.05 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 白地/黒図 黒地/白図 白地/赤図 赤地/白図 図7‒1 誘目性の評価:課題1 図7‒4 誘目性の評価:課題4 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL p<0.05 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 水地/黄図 青地/黄図 濃紺地/黄図 紫地/黄図 図7–5 誘目性の評価:課題5

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属性間:p<0.01 選択比率:全体 p<0.05 VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒白・縦縞 赤白・縦縞 青白・縦縞 緑白・縦縞 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.05 VNM n.s. IDN n.s. PHL n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒黄・縦縞 黒地 赤地 赤白・縦縞 属性間:p<0.01 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL p<0.05 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 赤白・縦縞 赤黒・縦縞 赤青・縦縞 赤黄・縦縞 属性間:p<0.01 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL p<0.01 IDN p<0.01 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 茶地 朱地 薄茶地 赤地 属性間:n.s. 選択比率:全体 p<0.05 VNM n.s. IDN n.s. PHL n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒黄・縦縞 黒黄・斜縞:右上 黒黄・斜縞:右下 黒黄・横縞 属性間:p<0.01 選択比率:全体 p<0.01 VNM n.s. PHL n.s. IDN p<0.05 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒黄斜縞地/イラスト 黒黄横縞地/イラスト 黒黄縦縞地/イラスト 黒黄格子地/イラスト 属性間:n.s. 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. PHL n.s. IDN n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒黄・縦縞 紫黄・縦縞 水黄・縦縞 赤黄・縦縞 属性間:p<0.01 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. IDN n.s. PHL n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒地/イラスト 白地/イラスト 赤地/イラスト 黄地/イラスト 図7‒7 誘目性の評価:課題7 図7‒11 誘目性の評価:課題11 図7‒6 誘目性の評価:課題6 図7‒10 誘目性の評価:課題10 図7‒9 誘目性の評価:課題9 図7‒13 誘目性の評価:課題13 図7‒8 誘目性の評価:課題8 図7‒12 誘目性の評価:課題12

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4 考察 本研究は,外国人技能実習生が働く作業現場で,注意 喚起に適したマンガ看板のデザインに関する基礎的なデ ータを得る目的で行われた.具体的には,使われている 色,好ましい構成,目を引く度合いの観点から検討を行 った. まず,配色については,危険からイメージされる色は 赤,安全をイメージする色は緑色という従来の研究12) と同じ結果となった.JIS13)では,危険の示す色として 黄赤色を指定しているが黄赤色に近い橙色を選択する人 はいなかった.落合14)は日本人において危険と赤色の 関連が強く,当時のJISが危険を意味するとしていた橙 色(現在は黄赤色:JIS Z 9101)15)は危険との関連付け は小さいことを示しているが,今回アジア諸国(インド ネシア,フィリピン,ベトナム)出身の実習生において も同様の結果が得られた.また,注意は黄色が用いられ ることが多かったが,今回の結果では単独で用いられる 場合においては赤の回答が多かった.ただし,ベトナム において安全から赤をイメージする回答が見られたよう に回答のばらつきは大きかった.また,色とその色を連 想させるイメージの関係を見た場合,ある色が特定のイ メージのみと強く関連しているという傾向は見いだせな かった.そのため,色のみで危険,安全など何らかイメ ージを持たせることは困難であると考えられる.このよ うに,今回対象とした3国(インドネシア,フィリピン, ベトナム)においてでも国による差が観察されており, 技能実習生の出身国や出身地域の文化により色の持つイ メージは異なると考えられる.これらのことから,現場 で働く技能実習生によって配色を変えた安全看板を作成 できれば望ましいが,それが出来ない場合でも日本人が 持っている色のイメージが万国共通とは考えず,技能実 習生にはJISやISOの配色の決まりなどをきちんと伝え る必要があると考えられる. 次に,看板の内容(構成)については,1コマのマン ガよりも4コマのマンガの方が好まれる傾向にあった. これにはいくつかの理由が考えられる.まず1つ目は, 1枚の静止画ではどんな作業をしているのかが分かりづ らいことである.例えば,日本人であればわかるプレス 機の絵であっても,海外では同型のプレス機が多用され ているとは限らないのでどのような作業をしているのか 分からない時がある.そのような場合でも,4コマの連 続動作の絵であれば作業の内容が比較的理解しやすくな る.2つ目は,後述する提示の内容とも関連するが,4 コマあれば作業の状況から現場のリスク,事故そして怪 我までの一連の流れを全て掲示することが出来るが,1 コマであればそのうちの一部しか提示できないことであ る.また,向後ら16)は,週刊雑誌に連載されているマ ンガを用いて教育効果を測定する研究において,必要な 内容を含むストーリー部分のみを提示するよりそのマン ガ全体を提示した方がマンガの中で主張している内容の 理解を高めることを明らかにし,その理由として関心度 の高揚を挙げている.事故の場面のみを提示するより事 故に至る経過を示すことで事故への関心や恐怖心を高め ることが出来た可能性もある.別の条件設定で,事故発 生状況の拡大(アップ)よりも事故を起こした作業の全 景(ワイド)が評価されたこと,事故の瞬間の提示より も事故を含む時間の流れの提示が評価されたことも同じ ように事故への関心を高めることに起因すると考えられ る. リスク状況を提示する場合,そこで発生する可能性の ある事故を提示する場合とその事故が起こらないように する対策の事例を提示する場合を比較すると,出身国に よる違いがあり,インドネシア出身の実習生は対策事例 を提示したマンガを選択する傾向にあった.この違いの 理由は今回の研究のみからでは特定できないが,国民性 の違い以外に安全意識の違いの可能性もある.一般に, 事故事例が作業の危険をわかりやすく提示するものであ るのに対し,リスク状況や事故防止対策の提示は,そこ で想定されている事故を過去に経験したり聞いたりして 知っていないとリスクに気がつかない場合もある.その ため,手っ取り早く注意喚起をするには事故事例を提示 することが効果的である.一方で,改善事例を示すこと で安全への意識高揚につながる可能性もある.近年,現 場の安全管理においても,危険を検出する確認型のチェ ックリストよりも,良好事例に基づく改善提案型のアク ションチェックリストの方が,作業員の安全意識を高め 安全活動を活性化するのに効果的であると言われてい る17).今回の例も,対策事例の提示がアクションチェッ クリストのような改善アクションのイメージにつながり 危険や事故への関心を高めるのに役立つと考えられた可 能性もある. 看板の内容についても,色と同様に出身国による差が 大きい.これはKumasaki,et al.がコミック式のマンガを 用いた教育で感じた18)ように,マンガに対する対応は 文化の影響を強く受けているためで,今回提示されたマ ンガに登場する人物への印象も生まれ育った文化の影響 を強く受けたものと考えられる. マンガ看板における色彩が目を引く効果についての比 較では,単色であれば紫色や黄緑色,組み合わせでは黒 色/黄色と赤色/黄色が選択され,縦縞,横縞よりも斜 属性間:p<0.05 選択比率:全体 n.s. VNM n.s. IDN n.s. PHL n.s. 0% 20% 40% 60% 80% 100% IDN PHL VNM 黒地/イラスト 黒黄格子地/イラスト 黒黄斜縞地/イラスト 赤地/イラスト 図7‒14 誘目性の評価:課題14

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縞が選択される傾向があった.枠(フレーム)について は従来の研究から看板の内容が危険に関するものである 場合は丸フレームが適していると言われているが18),今 回はより見つけられやすく禁止標識に適していると言わ れている四角いフレームで実験を行った.今回の実験で は視認性と誘目性14)の2つの概念から評価されたもの と思われるが,今後は屋外の作業現場における見え方に ついても検討する必要がある. 最後に,本研究の限界点として,今回はパイロットス タディ的な位置づけであったため,実験参加者の数が少 なかった.また,今回は室内においてスクリーンに投影 して実験を行ったので,今後は屋外の作業現場における 見え方についても検討する必要がある.また,属性によ って選択傾向の違いが観察されたが,それが国民性なの か,それまでの教育や現場での労働経験の違いによりも のなのかも明らかにしていくことが必要であると考え る.      文 1) 厚生労働省ホームページ内 技能実習の現状(実習生数 ・職種別推移・国別数).https://www.mhlw.go.jp/file/06 -Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyo ku/0000174642.pdf#search=%27%E5%A4%96%E5%9B%B D%E4%BA%BA%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E 7%BF%92%E7%94%9F+%E7%B5%B1%E8%A8%88%27  (2019年6月30日最終閲覧) 2) 高木元也, 呂健, 庄司卓郎, 惠羅さとみ, 蟹澤宏剛.建設業 における外国人労働者の活用と労働安全衛生上の課題 ― 元 請 業 者 対 象 の 実 態 調 査 ―. 安 全 工 学.2018;57: 228-236. 3) (例えば)厚生労働省 職場の安全サイト GHSとは GHSの シンボルと名称.http://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/ kag/ghs_symbol.html (2019年6月30日最終閲覧) 4) 海保博之,宮元聡介.安全・安心の心理学-リスク社会 を生き抜く心の技法.東京都千代田区.新曜社.1996. 5) 法理樹里,山田健太,山下富美代,佐藤良一,穂積弘幸, 志田政也,北川克弘.安全標識の認知規定要因に関する 研 究 ―2. 日 本 心 理 学 会 大 会 発 表 論 文 集.2010;74: 2EV028.

6) GoodstadtMS.Alcoholanddrugeducationmodelsand outcomes.Health Education Monographs6.1 9 7 8;

263-279.

7) Jack J. Phillips.Return onInvestment in Training and Performance ImprovementPrograms The2nd edition. New York, USA.Routledge(Taylor & Francis Group). 2011. 8) 河野大希,古賀誉章,佐野奈緒子,辻村壮平,秋田剛. 看板の認知・記憶モデルの構築に関する研究(人間・環 境学会第19回大会発表論文要旨).人間・環境学会誌. 2012;15(1):79. 9) 臼井伸之介,和田一成.看護における安全教育の有効性 評 価 に つ い て. 日 本 信 頼 性 学 会 誌.2009;31(3): 215-222. 10) 赤松明,久下靖征,岩田良子,森昌子.労働作業現場に おける安全標識の配色と認識評価.デザイン学研究. 2002;49(3).35-40. 11) 大山正.色の持つイメージと心理的効果.可視化情報. 1997;17(64).3-8. 12) 落合信寿,齋藤美穂.日本人学生における安全色のリス ク認知.日本色彩学雑誌.2005;29:303-311. 13) 日本工業規格 JISZ9103:2018.図記号-安全色及び安全 標識- 安全色の色度座標の範囲及び測定方法.2018. 14) 落合信寿,近藤寛之.産業・環境安全のための視覚表示 に用いる色彩の機能性と色覚異常への対応.産業医科大 学雑誌.2017;39:35-45. 15) 中野豊.改正JISZ9101・JISZ9103の概要及び解説.セ イフティダイジェスト.2018;64:14-20. 16) 向後智子,向後千春.マンガによる表現が学習内容の理 解と保持に及ぼす影響.日本教育工学会雑誌.1998; 22:87-94. 17) 吉川悦子.産業安全保健における参加型アプローチの概 念分析.産業衛生学雑誌.2013;55(2):45-52. 18) MiekoKumasaki, TakuroShoji, Tsung-ChihWu, Khantong

Soontarapa, MitsuruArai, Takaaki Mizutani, KenOkada, YoshitadaShimizuandYasuhiroSugano.Presentingsafety topics using agraphic novel, manga, toeffectively teach chemicalsafetytostudentsinJapan, Taiwan, andThailand. J. ofChemicalEducation.2018;95:584-592.

19) 赤松明,高山英樹,山手正彦.労働作業現場における安 全標識のフレーム形状と認識評価.デザイン学研究. 1999;46:19-24.

(13)

Development of manga signboard to raise risk perception and safety attitudes

for foreign workers.

—Extracting factors to raise visibility and comprehension—

by

Takuro Shoji*

1

, Motoya Takagi*

2

and Jian Lu*

3

Recently, several workers from other countries have been engaging in work and practical training at Japanese work sites as Foreign Technical Interns. However, they sometimes meet with accidents at work sites because they do not understand Japanese precautional statements or warnings. In this study, we attempted to develop suitable colours and design of manga signboards to raise risk perception and safety attitudes of foreign technical interns at presented work sites. The study had 21 Indonesian, 20 Filipino, and 9 Vietnamese participants. We initially determined the common colours that foreigners associate with the words, “danger”, “accident”, and “safe”. Similar to the results of past studies, we found that red was connected to danger and green to safe. Next, the proper contents that remind indi-viduals of danger and promote safety attitudes were examined. The participants tended to prefer a 4-series manga to a single illustration and presentation of accident examples to improvement examples and description of whole accident situations to parts of causes. Finally, regarding the flame of signboard, a diagonal stripe of black and yellow or red and yellow were found to attract the most attention. In future studies, we intend to study the effects of a manga signboard developed based on the results of this study.

Key Words: Foreign technical, intern, Manga, Signboard

*1 Department of Safety and Health Management, School of Health Sciences. University of Occupational and Environmental Health JAPAN. *2 Construction Safety Research Group, National Institute of Occupational Safety and Health

参照

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