愛知県医師会健康教育講座
「生活習慣病を予防する食事 ~和食の良いこと・良くないこと~」
名古屋学芸大学管理栄養学部管理栄養学科
塚原 丘美
糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病は増え続けています。しかし、生活習慣
病は過食や偏食などの望ましくない食生活スタイルと身体活動量の低下が原因であること
は明らかですので、予防することは可能です。では、どのような食事をすればよいのでしょ
うか。よくメディア等で“〇〇は健康に良い”と発信されてブームになったりもしますが、
大切なことは何を食べるかというよりも、どのように食べるかという「食事の摂り方」です。
つまり、全体的な栄養バランスです。そこで、生活習慣病を予防するための健康な食事を考
えるために、和食(日本食)の良いところと良くないところを再認識し、どのような食事が
理想的なのか考えます。
以前から、日本食は世界から「健康食」として注目され、2013 年、和食(Washoku)は
ユネスコ無形文化遺産に登録されました。にもかかわらず、現代の日本人の食事はどうでし
ょうか。昨年の秋に平成28 年度国民健康・栄養調査の結果が示され、ほぼ例年と変わらず、
動脈硬化症の発症に良くない飽和脂肪酸の摂取量は少し多く、食物繊維とカルシウムが目
立って不足していました。食塩摂取量は年々減ってはきていますが、もう少し減らす必要が
あります。和食から遠ざかる食事内容なのに、和食の欠点(カルシウム不足と食塩摂取量過
多)は残っているという結果になりました。しかし、世間では、和食を見直すのではなく、
糖質制限や〇〇ダイエット法など、食事のバランスをさらに乱す食事の摂り方がもてはや
されています。
我々の過去の調査で、ごはんが主食の食事はごはん以外の食事に比べて、糖質量は多いも
のの、脂質量、飽和脂肪酸量、コレステロール量は有意に少なく、ほとんどのビタミン類や
ミネラル量は有意に多いことを明らかにしました。しかし、食物繊維の摂取量はどちらの場
合も同じで目標量の7 割程度でした。また、糖質、たんぱく質、脂質の摂取バランスが最も
良かったのは、食事スタイルが多様化する以前の今から約40 年前です。さらに、現在の日
本人が不足しているのは食物繊維とカルシウムで、減らす必要があるのは脂質と食塩です。
「主食(ごはん)」「主菜(魚肉などのおかず)」たっぷりの「副菜(野菜のおかず)」が揃う
少し昔の和食を基本に、カルシウム補給のための乳製品を補えば、ほぼ理想的な栄養バラン
スと言えるでしょう。