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情報伝達と自律主体システムの自己組織化に関する研究

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(1)

+ + 2000, No. 17, 31–39

情報伝達と自律主体システムの自己組織化に関する研究

今 井 正 文

論  説

Mutual Communication in Organization and its Self-Organization

regarding Autonomous Agent Systems

Masafumi Imai

Abstract: This Abstract: Phenomena of Self-Organization in Autonomous agent systems and relations of its mutual communication are presented. Autonomous agent systems are constructed by many autonomous agents applied simple behavioral rules (if-then rules) as their interaction arise and function as the information transmission systems with partial control function for targets. The characteristics of self-organization is considered by observing the state transition of interactions and activities in autonomous agent systems. By changing the numbers of component and ability of their communication and comparison with the both characteristics. It is showed that interaction perform important role for self-organization and cause chaotic behavior of autonomous agent systems by mutual communication. Then a level of achievement of self-organization is clarified in comparison with applying genetic algorithm to autonomous agent systems.

 本論文は,自律主体システム(Autonomous agent systems)における自己組織化(

Self-organization)の現象と情報伝達の関係について考察している.自律主体システムは,相互作 用をするような規則を含めた簡単な行動規則(if-then rule)を持つ多数の自律主体によって構 成されるが,全体を制御するような機能無しで目標物運搬システムとして機能する.この自 律主体システム全体の相互作用と移動量の状態推移を観察することにより見られる自己組織 化の現象について議論していく.自律主体システムの自律主体の構成要素数を変化させるこ と,各構成要素の情報伝達の能力を変化させ比較することにより,情報伝達によって起こる 相互作用が自己組織化に重要な役割を果たすことと自律主体システムのカオス的な挙動を引 き起こすことを示す.さらに遺伝的アルゴリズムによるシステムと比較することにより,自 律主体システムの自己組織化の達成度を考察する.

(2)

+ +

1

緒 論

 本論文は,自律主体システム(Autonomous

agent systems)における自己組織化( Self-organization)の現象と情報伝達の関係につ いて考察している.自律主体システムは, 相互作用をするような規則を含めた簡単な 行動規則だけを用いて全体を制御するよう な機能無しでシステムが機能するが,情報 伝達の方法を変化させ比較することにより, 情報伝達によって起こる相互作用が自己組 織化に重要な役割を果たすことと,その非 線形な特性が自律主体システムのカオス的 な挙動を引き起こすことを示す.また,遺 伝的アルゴリズムを利用して効率の良い自 律主体システムの構成要素数を探索するこ とにより,本研究の自律主体システムの自 己組織化が達成されていることを検証する.

2

自律主体システム

 従来の研究において我々は組織行動の自 己組織化モデルでは非線形モデルの動特 性が示すカオス的アトラクタ(C h a o t i c attractors)の形成過程から把握される自己 組織化を考察した[1],[2],[3].本論文で は,自己組織化とは相互作用を含む行動規 則に従った個々の自律主体の行動の結果と してのシステム全体の秩序形成であるとし て[1],[4],自律主体が互いに相互作用を するような規則を含めたいくつかの簡単な 行動規則(if-thenルール)を持つ構成要素に よって定義される自律主体システムを考察 する.さらに,直接接触による情報伝達か ら自分の近くにいる構成要素に情報伝達で きるように変化させその相互作用の違いを 比較することによって,自己組織化のレベ ルが変化すること明らかにする.結果とし て,自己組織化と相互作用の関係,カオス 特性,特に情報伝達による相互作用が重要 な役割を果たすことを示す.

2.1

自律主体の行動規則

 多数の自律主体が,それぞれ目標物を探 索して定位置に移動するような自律主体シ ステムを考える.自律主体システムの構成 要素となる自律主体は以下のようないくつ かのif-thenルールによって行動する.ただ し,これらの自律主体は,離脱が無く接触 によって行なわれる情報伝達によって相互 作用を行なうものとする.本論文は,直接 接触による情報伝達と距離が近い構成要素 に対する情報伝達を考え,その相互作用の 違いを比較する. 自律主体システムの行動規則 ① 全ての要素は定位置(home)から出発 し,ステップ時間毎のランダム移動に より目標物(object)を探索するが,目 標物が見つからなければ一定時間毎に 定位置に戻る. ② もし移動した場所に目標物があれば, 位置を記憶し定位置(home)に持ち帰 る. ③ 定位置に目標物を置いて再び目標物を 取りに行くが,もし記憶した位置に目 標物が無ければランダム探索を行う. ④ 他の構成要素と情報伝達できる場合, どちらかが目標物の情報を持ってれば 情報伝達される. ⑤ 目標物の位置情報を持たない要素が情 報伝達された場合,伝達された目標物 の情報に従って目標物を運びにいく.

(3)

+ + 図1 情報伝達の方法 り,この2点のτ時間後の距離の比Λij( )t,τ を求めて,多くのN個の点について距離の 比の平均操作を行なえば時間tにおける最 大リアプノフ数λ( )t が求められる.具体的 には,以下のように計算される. Λij i j i j t x t y t x t y t ,τ τ τ

( )

= ( + )− ( + ) ( )− ( ) (2.1) λ τ τ t N ij t j N i N ( )= ( ) = =

1 2 1 1 logΛ , 2.2 式(2.1),(2.2)で時間tにおける最大リアプ ノフ数λを時間tについて平均して正の値 に収束すれば,システムにカオス性が存在 しているといえる[5],[6].

3

シミュレーション

3.1 自律主体システム

 直接接触により情報伝達をする自律主体 システムに以下の表1のようなパラメータ を与えて,挙動を計算すると図2から図5が 得られる.  1つの自律主体の移動の軌跡の例図2よ り,個々の構成要素はランダムな探索と情 報を得た場合の規則的な目標物の移動に よって複雑な挙動をしていることがわかる. このif-thenルールによって行動する多数の 自律主体は,基本的にはランダムな探索を 行なうが定位置に戻ることによって周期性 を持つものとする.

2.2

情報伝達の方法

 自律主体システムの情報伝達の方法を変 化させその相互作用の違いを比較すること によって,自己組織化のレベルが変化する ことを明らかにする.図1に示すように,直 接接触による情報伝達を行なう自律主体シ ステムと距離が近い構成要素に情報伝達で きる場合の自律主体システムを考え比較を 行なうと考えれば良い.シミュレーション では,情報伝達できる距離を0unit(直接接 触)から4unitまで変化させてシミュレー ションを行なう.

2.3

自律主体システムのカオス性

 多数の自律主体によって構成される自律 主体システムの自己組織化の現象における カオス性を考察する[1],[2],[3].ただ し,自律主体システムはデータ生成の構造 が明確ではないため,時系列データから直 接,最大リアプノフ数(Lyapunov spectrum) を求める[5].自律主体システムの生成す るデータを状態空間表示して得られた点の 集合から,なるべく近い2点x t y ti( ) ( ), j を取 咒汎µ Á' -Êét‘Л汎µâȐ' ÔXQLW é¸Ð汎µâȐ'Õ x=[5~6],y=[7~8] 8000 step 自律主体の要素数N 総計算時間T 目標探索の制限時間 目標探索の移動距離 目標物の位置 目標物の配置数 目標物の再配置時間 20 20±5step −5~5units step/ 30個/1回 15steps 30steps 目標物の配置制限時間 表1. 自律主体システムのパラメータ

(4)

+ + 時間 t=234における自律主体の状態の例を 図3に示す.黒点は探索のためのランダム 移動,白丸は目標物運搬中もしくは情報に 従って目標物を取りに行く構成要素である. 各自律主体の位置x t y ti( ) ( ), i を移動量に変換 し平均した場合の移動量の平均x t( ) ( ),y t と 相互作用の平均Int t N i Int ti n ( )= 1

= ( ) 1 の時系列 データを図4に示す.図4より,構成要素 間の情報伝達による相互作用が生成され, システム全体の挙動が複雑になっているこ とがわかる.自律主体システムは,行動規 則によって生成される多数の自律主体間の 相互作用によりシステム全体としての自己 組織化を達成しているといえる.自律主体 シ ス テ ム の 生 成 す る デ ー タ か ら 時 間 t=8000において収束した最大リアプノフ 数を求めるとλ1=0 0124. となり,正の値を 持つことからカオスである[5],[6].構成 要素の移動量の平均と目標物に関する情報 を持つ構成要素の比率,及び定位置に到着 した目標物の平均を図5に示す.各構成要 素の単位時間当りの移動量の平均は1.674, 目標物の情報を持つ構成要素の構成要素数 全体に対する比率0.06323,及び定位置に到 着した目標物の平均0.1288となる. 図2 自律主体の移動の軌跡の例 図3 自律主体の状態の例(time=234) 図4 移動量の平均と相互作用の平均 図5 移動量と目標物情報を持つ構成要素の 比率と定位置に到着した目標物の平均 −20 −15 −10 −5 0 5 10 15 20 −20 −15 −10 −5 0 5 10 15 20 x y −20 −15 −10 −5 0 5 10 15 20 −20 −15 −10 −5 0 5 10 15 20 x y 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 0 1 2 3 4 time

The mean value of |x|

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 0 1 2 3 4 time

The mean value of |y|

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 0 0.5 1 1.5 time Interaction 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 0 2 4 6 time

The mean value of sqrt(x

2+y 2) 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 0 0.5 1 time

The mean value of active

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 0 0.5 1 time quantity of arrival

(5)

+ +

3.2

情報伝達と自己組織化の

レベル

 以下のようなシステム全体の平均値を自 己組織化のレベルを表す関数 s として利用 する事によって,構成要素数Nと情報伝達 に対応する自律主体システムの自己組織化 の達成度の変化を考察する. ・移動量:s x y TN i N t , ( )= 1

=1 x ti( + )−x ti( ) y ti y ti

(

1

)

2+

(

( +1)− ( )

)

2 ・相互作用:s Int TN i Int ti N t ( )= 1

= ( ) 1 ・目標物移動数:s Obj TN i Obj ti N t

( )

= 1

= ( ) 1 ・最大リアプノフ数:s

( )

λ =λ1 ・目標物情報:s Inf

( )

=T1

tInf t( ) ただし,Inf t( )は時間tにおける目標物の位 置情報を持つ構成要素の比率である. 3.2.1 直接接触による情報伝達を 行なう場合  直接接触による情報伝達を行なう自律主 体システムに表1と同じパラメータを与え て,構成要素数Nを2から70まで変化させ た場合の移動量 s x y

( )

, ,相互作用 s Int( ),目 標物移動数 s Obj

(

)

,最大リアプノフ数 s

( )

λ1 を計算すると図6から図8が得られる.図 6の移動量 s x y

( )

, は,少ない構成要素数Nで 急速に増加しある程度の範囲で増加減少す るが,構成要素数N≥12で高い値を示す.目 標物移動数 s Obj

(

)

は,構成要素数Nの増加 に対して一旦増加し構成要素数N=12で最 大値を示し減少する.図7の相互作用 s Int( ) は,構成要素数Nの増加に対応して増加す るが,目標物情報を持つ構成要素の比率が N=16において最大値を持つことがわかる. 構成要素数Nの増加により相互作用 s Int( ) が増加し,目標物の位置情報を得ることに よって移動量 s x y

( )

, と目標物移動数 s Obj

( )

が増加するが,目標物が有限なために構成 要素数Nがある程度以上になると飽和・減 少すると解釈できる.図8の最大リアプノ フ数 s

( )

λ1 は,相互作用の増加は移動量と目 標物移動数を増加させるが,構成要素数が ある程度以上になると情報伝達が無駄にな り時間的なずれをもって移動量を飽和・減 少させ,カオス特性を発生させると解釈で きる. 3.2.2 近くの構成要素に情報伝達できる 場合  距離が近い構成要素に対する情報伝達を 行なう自律主体システムに,情報伝達でき る距離を1unitから4unitまで変化させてシ ミュレーションを行なう.  まず,情報伝達できる距離を1unitとして シミュレーションを行なうと図9から図11 が得られる.図9より,移動量 s x y

( )

, は少な い構成要素数Nで急速に増加するが,目標 物移動数 s Obj

( )

は構成要素数N=20で最大 値を示す.図10の相互作用 s Int( )と目標物 情報を持つ構成要素の比率が構成要素数N の増加に対して増加傾向を示すことがわか る.直接接触による情報伝達と比較すると, 構成要素数Nの増加による相互作用 s Int( ) の 増 加 が 移 動 量 s x y

( )

, と 目 標 物 移 動 数 s Obj

(

)

を増加させるのは同様だが,有限な 目標物に対する飽和がより多くの構成要素 数Nで起こり,またそのレベルも高いとい える.図11の最大リアプノフ数 s

( )

λ1 は,移 動量と目標物移動数が高い値を示す構成要 素数Nの範囲において負の符号を持つ.

(6)

+ + 図6 構成要素数Nと移動量 s x y

( )

, と 目標物移動数 s Obj

(

)

図7 構成要素数Nと相互作用 s Int( )と 目標物情報を持つ構成要素の比率 図8 構成要素数Nとリアプノフ数 s

( )

λ1 図9 構成要素数Nと移動量 s x y

( )

, と 目標物移動数 s Obj

(

)

図10 構成要素数Nと相互作用 s Int( )と 目標物情報を持つ構成要素の比率 図11 構成要素数Nとリアプノフ数 s

( )

λ1 0 10 20 30 40 50 60 70 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2

The number of element

The mean value of movement

0 10 20 30 40 50 60 70 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025

The number of element

The mean value of arrival object

0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

The number of element

The mean value of interaction

0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25

The number of element

The mean value of information

0 10 20 30 40 50 60 70 −0.08 −0.06 −0.04 −0.02 0 0.02 0.04 0.06

The number of element

lyapunov exponent 0 10 20 30 40 50 60 70 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2

The number of element

The mean value of movement

0 10 20 30 40 50 60 70 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025

The number of element

The mean value of arrival object

0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

The number of element

The mean value of interaction

0 10 20 30 40 50 60 70 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25

The number of element

The mean value of information

0 10 20 30 40 50 60 70 −0.04 −0.03 −0.02 −0.01 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

The number of element

(7)

+ +

3.3

情報伝達の能力と構成要素数と

自己組織化のレベル

 さらに,情報伝達できる距離を1unitから 5unitまで変化させてシミュレーションを行 なうと図12から図16が得られる.図12 移 動量 s x y

( )

, と図13 目標物移動数 s Obj

( )

にお いて,少ない構成要素数Nでレベルが急速 に増加する傾向は情報伝達の距離に関係な く見られるが,情報伝達できる距離が大き くなるに従ってレベルが高くなることがわ かる.図14 相互作用 s Int( )と図15の目標物 情報を持つ構成要素の比率は,構成要素数 図12 構成要素数Nと情報伝達の距離と移 動量の平均 s x y

( )

, 図13 構成要素数Nと情報伝達の距離と目 標物移動数 s Obj

(

)

図14 構成要素数Nと情報伝達の距離と相互 作用 s Int( ) 図15 構成要素数Nと情報伝達の距離と目標 物情報を持つ構成要素の比率 図16 構成要素数Nと情報伝達の距離とリア プノフ数 s

( )

λ1 0 10 20 30 40 50 60 70 0 1 2 3 4 5 1.5 1.55 1.6 1.65 1.7 1.75 1.8 1.85 1.9 1.95

The number of element communication range

The mean value of movement

0 10 20 30 40 50 60 70 0 1 2 3 4 5 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025

The number of element communication range

The mean value of arrival object

0 10 20 30 40 50 60 70 0 1 2 3 4 5 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

The number of element communication range

The mean value of interaction

0 10 20 30 40 50 60 70 0 1 2 3 4 5 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

The number of element communication range

The mean value of interaction

0 10 20 30 40 50 60 70 0 1 2 3 4 5 −0.08 −0.06 −0.04 −0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08

The number of element communication range

(8)

+ + Nの増加に対して増加傾向を示すことがわ かる.構成要素数Nの増加による相互作用 s Int( )の増加が移動量 s x y

( )

, と目標物移動 数 s Obj

(

)

を増加させるのは同様だが,情報 伝達できる距離が大きくなるに従って,有 限な目標物に対するレベルの飽和がより多 くの構成要素数Nで起こり,またそのレベ ルも高くなる.

3.4

遺伝的アルゴリズムによる

自律主体システムのパラメータ

探索

 遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm) を利用して効率の良い自律主体システムの 構成要素数Nと情報伝達できる距離を探索 する[7].通常の自律主体システムのシ ミュレーション結果と遺伝的アルゴリズム によって探索した構成要素数や情報伝達で きる距離パラメータを採用した自律主体シ ステムの結果を比較することにより,情報 伝達によって起こる相互作用によって自律 主体システムの自己組織化の妥当性を検証 することができる. 3.4.1 構成要素数の探索  まず,効率の良い自律主体システムの構 成要素数Nを探索する.自己組織化のレベ ルを表す関数の1つである目標物の移動数 s Obj

(

)

を評価尺度として利用し,連続世代 モデル(continuous generation model)を採 用する.次の世代にむけて淘汰される割合 である世代ギャップは遺伝子全体の10%と する.交差はランク戦略で選ばれた評価値 の良い2つの構成要素を親とした平均値と し,突然変異は交差後遺伝子全体に対して 5%の割合で発生するものとする.直接接触 による情報伝達を行う場合の自律主体シス テムの構成要素数Nの探索を100個の集団 を用いて探索した場合の平均適合度のオン ラインパフォーマンス(on-line performance) の様子を図17に示す.図17より,自律主 体システムの遺伝的アルゴリズムによるパ ラメータ探索が収束していることがわかる. 20回目の世代における上位10%の遺伝子 のNの値を効率の良い構成要素数として採 用すると構成要素数の範囲はN=11~28と なる.この構成要素数は,図6の目標物移 動数 s Obj

(

)

において高いレベルを示す構成 要素数と一致しており,妥当な結果である ことがわかる. 3.4.2 構成要素数と情報伝達距離の探索  同様にして,構成要素数Nと情報伝達で きる距離を遺伝的アルゴリズムを利用して 探索した場合の平均適合度のオンラインパ フォーマンスの様子を図18に示す.図18よ り,自律主体システムのパラメータ探索が 収束していることがわかる.20回目の世代 における上位10%の遺伝子のNの値を効率 の良い構成要素数として採用すると構成要 素数の範囲はN=26~37,情報伝達できる 距離は4から5となる.この構成要素数と 情報伝達できる距離は,図13の目標物移動 数 s Obj

( )

において高いレベルを示す構成要 素数,情報伝達距離と一致することから本 研究のシミュレーションの結果は妥当であ るといえる.上記の結果から,情報伝達に よって起こる相互作用によって自律主体シ ステムの自己組織化が達成されているとい う判断は妥当であることが検証された.

4

 本論文は,多数の自律主体によって構成

(9)

+ + 図17 遺伝的アルゴリズムのオンライン パフォーマンス(直接接触の場合の Nを探索) 図18 遺伝的アルゴリズムのオンライン パフォーマンス(Nと情報伝達で きる距離を探索) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0.0116 0.0118 0.012 0.0122 0.0124 0.0126 0.0128 0.013 0.0132 generation on − line performance 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0.0165 0.017 0.0175 0.018 0.0185 0.019 0.0195 0.02 0.0205 0.021 generation on − line performance される自律主体システムにおける自己組織 化の現象と情報伝達の関係について考察し た.簡単な行動規則(if-thenルール)を持つ 多数の自律主体が相互作用しながら行動す る自律主体システムにおいて自己組織化の 現象が生じていることを示した.従来の研 究では非線形モデルの動特性が示すカオス 的アトラクタの形成過程から把握される自 己組織化を考察したのに対して,本論文の 自律主体システムでは,相互作用を含む行 動規則に従った個々の自律主体の行動の結 果としてのシステム全体の秩序形成の過程 を自己組織化として考察した.さらに,直 接接触によるものから自分の近くにいる構 成要素に情報伝達できるように変化させそ の相互作用の違いを比較することによって, 自己組織化のレベルが変化することを明ら かにした.結果として,自律主体システム における自己組織化やカオス特性が,相互 作用による情報伝達の特性によるものであ ることを明らかにした.また,遺伝的アル ゴリズムを利用して効率の良い自律主体シ ステムの構成要素数を探索することにより, 本研究の自律主体システムの自己組織化が 達成されていることを検証した. 参考文献

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[2] 今井正文,清水静江,西川智登:「自己組織化モデルにおけるカオスに関する研究」,日本経営システ

ム学会誌,pp 15–20,Vol. 13,No. 1,(1996)

[3] 今井正文,清水静江,西川智登:「自己組織化モデルにおける非線形現象について」,日本ファジィ学

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[4]H. Ulrich and G.J.B. Probst著 徳安彰訳:「自己組織化とマネジメント」,東海大学出版局,pp. 61–

117,pp. 159–183(1992)

[5] 長島弘幸,馬場良和:「カオス入門」,培風館,pp. 85–88,pp. 105–108(1992)

[6]I. Shimada and T. Nagashima: A numerical approach to ergodic problem of dissipative dynamical

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