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<研究論文>DME燃料による予混合圧縮自己着火機関の特性

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Academic year: 2021

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(1)∞. N o . 4 3 . 29 年.p p . 9 7 1 0 0 R e s e a r c hR e p o r t so ft h eF a c u l t yo fE n g i n e e r i n g . K i n k iU n i v e r s i t yNo . 4 32 0 0 9 .p p . 9 7 1 0 0. 近畿大学工学部研究報告. DME燃料による予混合圧縮自己着火機関の特性. 巌間沢秀孝*. C h a r a c t e r i s t i c so fHCCIEnginef u e l e dw i t hDME HidetakaGAKUMASAWA. Synopsis. I tconverteds othata smallenginecouldbeoperatedbyHomogeneous Charge )combustionwithdimethylether(DME). I ti sd i f f i c u l tt o CompressionI g n i t i o n(HCCI c o n t r o la u t o i g n i t i o n timing i n HCCI combustion. The sound performances and the exhaust temperature ofcompression ignition combustion engine fueled with DME and diesel fuel were investigated. As a result,i t succeeded in continuous smokeless operation ofan efficient internal combustion engine byDME homogeneouscharge system.. KeyWords :CompressionI g n i t i o nEngine,DimethlEther,A l t e r n a t i v eFuel, SoundLevel,HomogeneousChargeCompressionI g n i t i o n. 1 . はじめに 21 世紀は環境の世紀とともにエネルギーの世. 燃 料 が 希 薄 な 領 域 と 過 濃 な 領 域 で そ れ ぞ れ NOx (窒素酸化物)と黒煙微粒子が生成されてしまう。 高効率の維持と排気浄化という二律背反的な 課題をクリアする一つの手段として、代替燃料ジ メチルエーテル(以下 DME) 3) 4)を使用する方. 紀とも言われている o 社会の持続的発展を図るた めには、環境負荷を極限まで低減し、化石燃料に 頼らない循環型社会を目指すことを目標としてい る。そのため,内燃機関からの有害排出物質や地. 法がある。これまでに DMEを燃料に用いたディ ーゼル自動車の研究・開発 5 )6 ) が活発に行われ,. 球温暖化などが社会問題として大きく取り上げら れ,低公害物質排出性が求められている.そのた. トラック・パスなどが試作されているが,これら はいずれも DME運転専用の燃料噴射ポンプ,燃. め,超低公害排出ガス性および高効率性を有する HomogeneousC h a r g eC o m p r e s s i o n 予混合圧縮着1<( 燃 焼 方 式 ¥)2)の研究が広く進め I g n i t i o n以下 HCCI). 料噴射弁を使用した DME燃料専用機関を対象と したもので,車両搭載用機関としては比較的大型 のものが中心である. これらの背景から,本研究では汎用小型ディー ゼル機関を DMEで簡単に運転するする方法を模. られているが,この方式は自着火時期制御が困難 で,自動車用エンジンには適さないとされてきた. 一方,高い熱効率と耐久性を併せ持つディーゼ. 索し,吸気系に DMEを直接供給し、 HCCIによ る連続無煙運転を行った。 DME と軽油による機 関の運転状態を比較し、騒音特性や排気特性を調. ル機関は、大型なものから小型のものまで幅広く 利用されている。しかし、断熱圧縮中の燃焼室に 燃料を噴射しながら不均一な拡散燃焼を行うため、 *近畿大学工学部知能機械工学科. Departmento fI n t e l l i g e n tMechanicalEngineering, Facultyo fEngineering, KinkiUniversity. 9 7.

(2) 9 8. 近畿大学工学部研究報告. No. 4 3. 表 1 DMEと他の燃料の物性値 燃料 DME 化学式 CH30CH3 沸点("C) -25.0 液 密 度 (g/cm320" C ) 0 . 6 7 ガス比重(対空気比) 1 .59 蒸発圧 (MPa[atm]25" C ) 0 . 6 2 [ 6 . 1 ] 自然発火温度("C) 350 3. 4-27.0 爆発範囲(%) セタン価 55-60 (kJ/Nm3) 低位発熱量 59, 400 2 0 0 ] [kcallNm3 ] [ 1 4, ( k J / k g ) 28, 900 [ k c a l l k g ] 9 0 0 ] [ 6, 性状 溶媒作用. プロパン C3H8 4 2 . 0 0. 49 1 .52 0 . 9 4 [ 9 . 3 ] 470 2.1-9.5 5 300 91, [ 21 .8 0 0 ] 46, 500 [n, 1 0 0 ]. メタン CH4 -161 .5. 0 . 5 5 2 4 . 9 [ 2 4 6 ] 650 5.0-15.0. 。. メタノーノレ CH30H 6 4 . 6 0 . 7 9. 180-370 0 . 8 4. 450 5.5-36.0 5. 250 0.6-6.5 40-55. 20, 100 [ 4, 8 0 0 ]. 41, 900 [ 1 0, 0 0 0 ] 溶媒作用. 000 36, 6 0 0 ] [ 8, 50, 200 [ 1 2, 0 0 0 ]. 査した。. 軽油. 表 2 エンジン仕様. 2. 代替軽油燃料特性としての DME 表 1に DMEと代表的な炭化水素燃料の物性 値を示す .DMEはセタン価(圧縮着火性)が軽油よ り大きいため,圧縮着火機関のディーゼルエンジ ンの代替軽油燃料として普及しつつある.また, 含 酸 素 燃 料 (CH3-0-CH3) で,炭素聞の直接 結合がないため,高当量比で燃焼しでも P M ( 粒 子状物質)とすすを発生しないという利点を 持 っ て い る . DME は常温・常圧では気体であ るが 6気圧以上の加圧,あるいはー 26C以下の 冷却のいずれかによって,容易に液化するため, 天然ガスや LPガスと同様に貯蔵,運搬が可能で あり,それらのインフラも利用できる. D M Eの燃焼速度はメタンの1.5倍速く,自然 発火温度はメタンより 280"C低く,非常に燃焼し やすい.このため,従来の天然ガスや軽油を燃料 とする各種燃焼装置を D M E用に改造する場合, 白着火時期制御が難しいとされている.また D M Eはエーテルで、あり,有機化合物に対する溶解 性が高いため,エンジン等で使われる樹脂やゴム のシール等への侵食性に留意する必要があるが, 本実験の駆動方法を採ることで,それらの問題が 回避できると考えられる. 0. 3. 実験装置と運転方法 本実験に使用したエンジンの仕様を表 2に,装 置の概略を図 1に示す.このエンジンは 4サイク ル単気筒水冷 6 3 8 c cの汎用小型ディーゼルエンジ ンで,主に農作業用の機械の動力として使われる ものである. DME ボンベはサイフォン管構造になっており,. 績型水冷 4サイクル ディーゼルエンジン. 形式. 直後噴射式. 燃焼室形式 シリンダー数 シリンダー肉径 X行程 [mm]. 92X96 0 . 6 3 8. 総行程容積[1]. 1 2 . 5 / 2 4 0 0. 最大出力 [PS/rpm]. 冷却方式. ラジエータ式. 潤滑油容量凹. 2 . 8. 燃料タンク容量[1]. 1 1 .0. 冷却水容量凹. 2 . 3. k g ] 機関重量 [. 1 0 3 . 0. ノ官"I8m¥OC"4)l e. 巴孟~~. _ 0 V蜘. → 円 ow M酬. 図1. 、. 実験装置の概略.

(3) DME燃料による予混合圧縮自己着火機関の特性. 99. ボンベ排出口から液体状態で DMEを取り出すこ とができる. DME で運転する際には,ボンべか ら出た DME を,比重補正した浮き子式流量計で 流量を 測定し,流量調節パルプ、を経て,噴射ノズ ノレよりエンジン吸気中に直接噴出した.これによ り燃焼室に吸入される前に,気化 した DMEは空 気と均一に混じり擬似 HCCI燃焼を行う.軽油運 IS2号軽油を用い,無改造の 転時には,燃料に J ディーゼルエンジンで拡散燃焼する. エンジンの出力部にベルトで連結した交流発 00 定格出力 7. 5kW) 電機(津藤電機製 SG-75 を取り付け,その電気出力を水冷される電気ヒー 3000WX2)に与えて ,エンジンの負荷とした. ター ( クランク軸から排気管方向に,エンジンから 1 m 離れた位置で騒音特性を測定した.測定には L-1320を使用した.また ,排気管出 カスタム製 S 0m m上流にガステック製気体採取器に 口から 5. 図 2 大気中に連続噴射される DME. 1 1 0. ホットプロープを取り付けて,へプタン補正のガ ソリン濃度を測定した.. て ∞. 4 . 結果と考察. 3 〉 @ 95. 1 0 5. コ. 4. 1 D ME蒸発状態. 1 0 0. て3. 5 0 90. 本実験に使用したノズ、/レ(内径 0. 5m m)を用い て , 23Cの大気中に D M Eを連続噴射した場合の 噴霧の写真を図 2に示す.噴干しから噴射 後 DME は,直ちに激しく蒸発し,噴干しから約 1 00mm下流. 8 0 1 0. Di e se lF u e l. 一 ・ ← DME. 8 5. の位置では,白く見える霧が消えほぽ完全に気化 している.このとき, DME は周囲から気化熱を. 1 2. 1 4 1 6 1 8 r pm (x100). 2 0. 2 2. 図 3 騒音 A 特性におよぽす燃料の影響. 奪うため噴孔付近は温度が低下し,空気中の水分 が凍結し,白く膨らんでいる.凍結部分は時間 とともに拡大するが,エンジンに装着した場合 は,エンジンからの熱伝導により,凍結は防げ ると考えられる.. 一昔「ー. c n. 0. 1 1 0. ∞105 て3. 4. 2 DME運転の機関の騒音特性 図 3に DME運転時の騒音 A特性を軽油運転 時と比較して示す. DME運転時の騒音 A 特性 は,回転数上昇とともに増加する .1 500r pm以 下の低回転数域では,軽油運転時の値と大きな 600rpm以上の回転数域では DME 差はない. 1 のほうが大きくなる.この回転数域では, D M E 燃 料 の HCC I機関の騒音は,軽油運転時より「カ ー ン カーン 」 という高音域の騒音が耳につく ようになる.騒音 A 特性は人間の耳の感覚に合 わせたもので,図 3の高回転数域で DMEと軽 E 運転時の 油の特性値に差が生じたのは, D M 高音域の騒音 A特性が減衰しないためと両燃料運 転時の差が生じたと考えられる. 同様に図 4に DME運転時の騒音 C特性を軽油 運転時と比較して示す.両燃料とも騒音 C特性は,. ∞. ~ 1 ω. 」. g95 コ 。. ω. ω. 一 合 -D ie s e lF u e l. ・一日 慌. 8 5 1 01 11 21 31 41 51 61 71 81 92 02 12 22 3 市 n (Xl∞). 図 4 騒音 C特性におよぽす燃料の影響. 回転数上昇とともに増加する. DM E と軽油の C 特性値はほぼ一致している . 特性は低音域の減 衰がほとんどない実際の機械類の騒音レベル表わ. c. しているため ,両燃料運転時の騒音 C 特性はほぼ 一致したと考えられる ..

(4) 1 0 0. 近畿大学工学部研究報告. 4. 3 DME 運転の機関の排気のガソリン濃. 1 4 0一 一. 度. 図 5に DME運転時の排気のガソリン濃度を, 軽油運転時と比較して示す.ガソリン濃度はガ ステック製気体採取器にガソリン検知管 NO.101L(有効測定範囲 30~2000ppm) を取り 付けて調べた.この検知管の主な干渉ガスは, 芳香族炭化水素,アルコール,エーテル,エス テル類である. 軽油運転時の濃度は, 1800rpm以下の回転数 域で, 20~ 30ppm で あ ま り 変 化 し な い . 1800rpm以上の回転数範囲では,濃度は回転数 とともに上昇している.この高回転数域では, 未燃焼の燃料が排出されることが影響している ものと考えられる. DME運転時のガソリン濃度は,軽油運転時. N O . 4 3. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 1 2 0. E100. s さ 80 ~. 6 0. s g 4 0. ・ I -DDiMesEelFuel 一色ー. 2 0. 。 1 0. 1 2. 1 4. 1 6. 1 8. 2 0. 2 2. rpmX1 0 0. 図 5 排気のガソリン濃度. の濃度より 2~3 倍の値になっている.未燃焼. の DMEがエーテル類のガスとして検知されて いるものと思われる .1600rpmで濃度が最小と なるのは,この回転数で未燃焼の DMEの排出が 最低となるためと考えられる. 1600rpm以上の高 回 転 数 に す る と カ ー ン カーン」という高音域 の騒音が発生し,運転状態が不安定になり未燃焼 の DMEの排出がおおくなっている.. 5. 結言 DMEによる HCCI燃焼と軽油の拡散燃焼を比 較して以下の結果を得た. (1) DMEの騒音 A特性は, 1600rpm以上の高 回転数域で軽油より大きい値となる.この回転数 域では高音域の騒音が発生する. (2)騒音 C特性は, DMEと軽油運転時でほぼ閉 じ値となる. (3) DME 運転時のガソリン濃度は,軽油運転 時の濃度より 2~3 倍の値になる.. 参考文献 1)小川英之,“予混合圧縮燃焼が求める燃料性状 自動車技術, Vo1.58,No.11,pp.77-82,2004. 2)Chen, Z .,Konno,M .,Oguma,M ., Yanai, T ., “Experimenta1 Study of C1 Natura1-Gas/DME HomogeneousChargeEngine",SAESP-1530,pp.27 0 0 0 . -36,2 3 ) 池本雅里,小島雄一郎,飯田訪1正,“ DME を燃 料とする HCCI機関の EGRによる制御手法の検討'¥ 機論 ( B ),71-709,pp.2331-2338,2 0 0 5 . 4 )河原伸幸,冨田栄二,加賀城央,“ジメチルエー. テ ル を 用 い た 予 混 合 圧 縮 着 火 機 関 第 17回内燃 機関シンポジウム講演論文集, pp.59・64,2002. 5 )瀬戸雄史,徳丸武志,高瀬繁寿,“小型中型 DME ト ラ ッ ク の 開 発 自 動 車 技 術 , vo1.61,N o .1 1,p p .74-80, 2 0 0 7 . 6 )佐藤由雄,中村明,“大型 DME自動車の開発 自動車技術, vo1.61,No.11,pp.81-86,2007..

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