半 乾 性 油 脂 肪 酸 セ ミ エ ス テ ル と
トリレンジイソシアナートの反応
竹下寿雄*・宮内徳之*・今井玲子*
(受理昭和39年6月16F1)
照wkCTIONOFPARTIALESTERSOFSEMI−DRYINGOIL
FATTYACmSWIrHTOLYLENED皿SOCYANATE
ToshioTAKESHITA,NoriyukiMIYAUCHI
andReikolMAI
Forthe"purposeofpreparinghighgradedryingoilsfromsemidryingoilsorlowgrade
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acidwasexcellentsyntheticdryingoil.
1 . 緒 一 言
乾性油をグリセリンあるいはペンタエリトリットと
ウムエステルングさせて,モノあるいはジグリセリド
にし,これにジイソシアナート類を反応させていわ
ゆるウレタン化仙にすると,極めて速乾性になりかつ
その塗膜は非常に良質のものになるI) 4).これはウレ
タン結合が極めて強固なことに起因しているものであ
るから,その割合を多くすることにより半乾性油ある
いは劣質乾性油からも高級乾性油を合成できる可能性
がある.著者らはこの点に着目し,コメヌカ油.メン
ジツ油・トール油・ダイズ油などの半乾性油ないし劣
質乾性油脂肪酸とアマニ油脂肪酸からペンタエリトリ
ットとの直接反応によってセミエステルを製造し,こ
れをトリレンジイソシアナート(以下T、,.I.と称す)
と反応させてウレタン化油を合成した.一方アルカ
リ異性化法が従来劣質乾性油の改質に非常に有力であ
ったので5)6),これら脂肪酸から異性化脂肪酸を製造
し,これらからも同様の方法でウレタン化油を合成し
た.得られたウレタン化油は予想以上に塗膜性能が向
上し,たとえばコメヌカ油からでも十分実用的な乾性
油を合成できること,トール油脂肪酸・ダイズ油脂肪
酸からは優秀な合成乾性油を合成できることがわか
った.
* 応 用 化 学 教 室
皿 . 実 験
1.原料脂肪酸
常法によりエタノール性か性カリでケシ化して,そ
のまま希硫酸で分解後温湯洗浄し脱水して製造した.
その性状は第1表に示す.
さらにこれらの脂肪酸をBradley7)の方法でエチレ
ングリコールとかI性ソーダを用いて異性化した.異性
化脂肪酸の性状も第1表に記載した.
第 1 表 原 料 脂 肪 酸 の 性 状
脂 肪 酸 | 中 和 価 | ヨ ウ 素 価
コ メ ヌ カ 油 脂 肪 酸
異 性 化 コ メ ヌ カ 油 脂 肪 酸
メ ン ジ ツ 油 脂 肪 酸
異 性 化 メ ン ジ ツ 油 脂 肪 酸
ト ー ル 油 脂 肪 酸
異 性 化 ト ー ル 油 脂 肪 酸
ァ マ ニ 油 脂 . 肪 酸
異 性 化 ダ イ ズ 油 脂 肪 酸
182.5
170.0
194.5
185.0
195.0
190.0
197.0
173.9
110.0
102.0
119.5
93.8
131.7
108.1
189.0
106.3
2 . 脂 肪 酸 の エ ス テ ル 化
ペンタエリトリット(、.p、242,∼243℃,OH49.7%
一理論値50%)1モルに対して,脂肪酸2壬ル及び
3モルを使用してエステル化した.方法は三ツロフラ
スコに脂肪酸を入れ,窒素でかきまぜながらl80oCに
保ち,これに5倍量のフェノールに溶解した(120.C
前後)ペンタエリトリットを加えて180℃に2hr,さ
らに2モルの脂肪酸の場合は220℃に1.5hr,3モル
12134569012345678
1
00111111122222222
鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 4 号
第 3 表 エ ス テ ル の 性 状
の脂肪酸の場合は同じく220℃に2hr加熱反応させ
る.エステル化の際の試料番号と反応させたもののモ
ル比の関係を第2表に,生成したエステルの性状を第
3表に示す.表中0−1,0−2のアマニ油,シナキリ油
は比較のために用いたもので合成油ではない.
80°C,90°Cで同量をそれぞれ2hrを要して徐々に添
加していき,途中粘性の増加に伴いキシレンを追加し
て最終的に固形分40%の溶液とする.TD、1.を添加
しおえた後,赤外線吸収スペクトルでNCOの特性吸
収(2350cm−1)の消失を確かめて反応を停止する(約
20分を要した).生成油溶液の粘度はアマニ油(0.48
ポイズ)とシナキリ油(6.78ポイズ)の間にあった.
4 . 塗 膜 試 験
合成したウレタン化油に乾燥剤としてPb0.5%,
COO、05%およびMn0.025%をナフテネートとして
加え,12×16.5cmのガラス板上にドクターブレード
で厚さ0.025mmに塗布し,22℃・50%湿度のj恒温'恒
湿室中に静置して塗膜を形成させた.この塗膜につい
て指触および硬化乾燥時間を測定し,さらに塗布後72
hr同室中に放置した塗膜についてスオード硬度を測
定し,かつ分割したガラス板について耐水性・耐熱湯
性・耐アルカリ性を試験した.耐水性は塗面を常温の
水中に浸し,24hr後の状態と,それまでに白化した
ものについては白化までの時間および24hr後とり出
しかるく拭いた塗膜について回復に要した時間を調
べた.耐熱湯性は同じく塗面を微沸とう水中に浸し,
15min後の状態と,15min以内に白化したものにつ
いては白化までの時間,15min後とり出して後白化
の回復に要した時間を記録した.耐アルカリ性は常温
のか性ソーダ1%水溶液に浸して異常を生ずるまでの
時間と変化を記録し24hr後異常を生じなかったもの
は異常なしと記録した.結果を第4表に示す.
第4表の乾燥試験結果によると,乾燥速度はいずれ
もアマニ油より速く,特に脂肪酸対ペンタエリトリッ
ト2対1の油はシナキリ油よりも速い.
耐水性についてはコメヌカ油脂肪酸からつくった合
成油の一部のものが若干変化を示した以外はすべて異
常が認められなかった.
硬度はいずれも乾性油としては高い硬度を示し,特
にアマニ油脂肪酸からつくったものには40という高
い値を示すものもあった.
耐熱湯性は概ね良好であるが,特に異'性化脂肪酸か
らつくったものはいずれも強い抵抗性を示した.
耐アルカリ性は脂肪酸対ペンタエリトリット,3対
1のコメヌカ油脂肪酸・メンジツ油脂肪酸からのもの
以外は変化を認められなかった.
以上を総合するとウレタン化によって塗膜性能は素
晴しい向上を示し,半乾性油からでもアマニ油以上の
良質乾性油をつくることができることがわかった,
第 2 表 試 料 番 号
1.4805
1.5153
1.4832
1.4832
1.4842
1.4825
1.4834
1.4862
1.4866
1.4870
1.4877
1.4864
1.4873
1.4870
1.4879
1.4895
1.4900
029837994390258
●●巳■■■。●■■●●●4●
諏娼砺団“兜u科塑皿兜皿幻群匁
1212111111
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雷響|’:”“|鞘輔
3 . エ ス テ ル の ウ レ タ ン 化
T、D・I.(NC048.0%−理論値48.2%)をエステル
の水酸基当量の90%使用した.重合を避けて完全に
反応を行なわせるため文献4)と方法を違えて行なっ
た . す な わ ち エ ス テ ル を 同 量 の キ シ レ ン に 溶 解 し , 三
ツロフラスコに入れて60℃に保ちZhrにわたって
徐々にT、DI所要量の1/4を添加する.以後70°C,
0.9731
0.9342
0.9454
0.9386
0.9479
0.9325
0.9534
0.9332
0.9513
0.9342
0.9615
0.9383
0.9569
0.9478
0.9523
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1
,ひLLLLLLL公聖矛野公些些か
ア マ 油
シ ナ キ リ 油
コ メ ヌ カ 油 脂 肪 酸
メ ン ジ ツ 油 脂 肪 酸
メ ン ジ ツ 油 脂 肪 酸
ト ー ル 油 脂 肪 酸
ト ー ル 油 脂 肪 酸
ア マ 二 油 脂 肪 酸
ア ー マ ニ 油 脂 肪 酸
異 性 化 コ メ ヌ カ 油 脂 肪 酸
異 性 化 コ メ ヌ カ 油 脂 肪 酸
異 性 化 メ ン ジ ツ 油 脂 肪 酸
異 性 化 メ ン ジ ツ 油 脂 肪 酸
異 性 化 ト ー ル 油 脂 肪 酸
異 性 化 ト ー ル 油 脂 肪 酸
異 性 化 ダ イ ズ 油 脂 肪 酸
異 性 化 ダ イ ズ 油 脂 肪 酸
−3323ワー3232323ワ︼3フー
82620249458367139
0●。●■●■●①申$■B●●巳●
35175965633535131
74988296197860798
11
111
1
酸 屈 折 率
_
z
2
i
L
‐
番 号
68
ヒ ド ロ
キ シ ル
価
変化化化し化し化し化し
なななな
69
40864064026606862
11212141121113
第 4 表 塗 膜 の 性 状
40
化化化し
白埴な
くⅧ〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃
/物常
1)E・BRobinsonetal:J・OilColourChem・
Assoc、34:361(1951).
2)H、E・Pansingetal:OfficialDigest、30:
37(1958).
3)M、M・Renfrewetal:J、AmOilChem,
SOC,35:22(1958).
4)J、M・Stanton:ibid、36:503(1959).
5)竹下寿雄・宮内徳之:油化学.7:424(1958).
6)竹下寿雄:工化.63:579(1960).
7)Bradley:IndEng、Chem、34:237(1942).
献
= ∼ ヘ ー ー ー デ ー 戸 里 戸 一 奔 竺 戸 埜 ハ ー 戸 ∼ 戸 L デ ー 字
ノソ
乾 燥 時 間 ( h r ) | 耐 水 性 | 硬 度 | 耐 熱 湯 性
〃 〆〃
性
Ⅱ
耐 ア ル カ
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ス オ
番 号 復
ノソ
紬
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後
状
態
|
厄
│
〔
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鵬
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二
1
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雛
指触│硬化儲'24m後状態│〔聡
ノノ
231
ノノ
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'ノ
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1
トトLLLLLLLか野公zz聾丑壬
竹下・宮内・今井:半乾性油脂肪酸セミエステルと
トリレンジイソシアナートの反応
させることが望ましい.
文
、 、 結 論
半乾性油脂肪酸・劣質乾性油脂肪酸をペンタエリト
リットと3対1あるいは2対1モル比でセミエステル
化してのち,水酸基当量の90%のT、D、1.を用いてウ
レタン化すればアマニ油よりも良質の乾性油を得る.
脂肪酸異性化の併用によりさらにすぐれた乾性油を製
造することができる.
本研究ではウレタン化の際,未反応ジイソシアナー
トを残存させないために,理論量の90%のTD、1.を
使用したが,今一段ウレタン化の工夫をし100%反応
〆 写 ヘ ー ヘ ー ヘ ー ヘ
6 . 0 0 . 7 著 し
2 . 3 か す か
6 . 0 1 4 白
2 . 3 異 常
0.7
3.3
0.8
1.7
0.7
5.0
5.5
5.4
1.5
2.3
2.5
3.3
1.8
00131810283418811
◆●号。●●●●●●■●■■。●●
42210201010401100
6
見瀧"腫到“’2鰐“
4.8
/7
15min白
24hr異常な
12min白
24hr異常な
〃
ノノ
/7
〃