擬非拡大写像の族に関する強収束定理
Strong Convergence
Theorems
for
a
Family
of Relatively
Nonexpansive
Mappings
千葉大学・法経学部 青山耕治 (Koji AOYAMA)
Faculty
of
Law and
Economics
Chiba
University
東京工業大学・大学院情報理工学研究科 高橋渉 (Wataru
TAKAHASHI)
Department
of Mathematical
and
Computing
Sciences
Tokyo Institute
of
Technology
1
序論
本稿では
,
文献[3]
の解説を行うと共に,
それには記さなかった関連事項について述べる。文献
[3]
では, 擬非拡大写像(relatively nonexpansive
$mapping$)
$[7, 13]$ の族に関する強収束定理が議論の中心である。この擬非拡大写像は, 非拡大写像と似た非線形写像で
あり, 後で述べる擬射影 (generalized
projection)
および極大単調作用素のリゾルベント(resolvent)
などがその例であることが知られている。非拡大写像と似ていると述べたが,
それは形式上のことであり, 実際には, 非拡大写像とは異なる部分が多くある。
本稿では, 第 2 節で準備を行い, 第 3 節で強擬非拡大写像 (strongly relatively
nonex-pansive maPPing) に関するいくつかの性質を取り扱う。 それらは, 後の収束定理の議論 で必要となる事柄であるが, 文献
[6]
で議論された非拡大写像に関する性質の一部が, 擬非 拡大でも得られることを意味する。第4
節では,
擬非拡大写像の族に関する強収束定理を 取り扱う。 これらの結果は, 中條-高橋 [15] および松下-高橋 [14] の一般化であるが, 写像 の列を扱っているところに特徴がある。 このような擬非拡大写像の族を対象とした研究に は,Reich [17],
高阪-高橋[12]
がある。第 5 節では, 前節で得られた結果を単調写像に関 する変分不等式問題へ応用する。ここに記された定理は, すでに飯塚\tilde 高橋 $[8, 9]$ で得られ たものであるが, 第4
節の結果と不動点集合に関するある性質を組み合せることによって,
見通しよく斑明することができる。2
準備
本稿では
,
$N$ は正の整数の集合を,
$\mathbb{R}$は実数の集合を
,
$E$ は実Banach
空間を, $E^{*}$ は $E$の共役空間を表すものとする。 また, $\Vert\cdot\Vert$ は $E$ のノルムを,
(
$x,$$f\rangle$ は $f\in E^{*}$ の $x\in E$ における値を表す。簡単のため
,
$E^{*}$ のノルムも $||\cdot\Vert$ で表すことがある。$E$ の点列{
$x$訂が
$x$へ強収束することを $x_{n}arrow x$ で, 弱収束することを $x_{n}arrow x$ で表す。$x\in E$ に対して
$Jx=\{x^{*}\in E^{*} : (x,x^{*}\rangle=\Vert x\Vert^{2}=\Vert x^{*}\Vert^{2}\}$
で定義される $E$ から $2^{E}$ への写像 $J$ を $E$ の双対写像という。
$U=\{x\in E:\Vert x\Vert=1\}$ とする。$x,$$y\in U$ かつ $x\neq y$ ならば $\Vert(x+y)/2\Vert<1$ である
とき,
Banach
空間 $E$ は狭義凸であるという。任意の $\epsilon>0$ に対して, $\delta>0$ が存在して,$x,$$y\in U$ かつ $\Vert x-y\Vert\geq\epsilon$ ならば $\Vert(x+y)/2\Vert\leq 1-\delta$が成り立つとき,
Banach
空間 $E$は一様凸であるという。一様凸な
Banach
空間は, 回帰的かつ狭義凸であることが知られている。
すべての $x,$$y\in U$ に対して, 極限
$\lim_{tarrow 0}\frac{||x+ty||-||x\Vert}{t}$ (2.1)
が存在するとき,
Banach
空間 $E$ はsmooth
であるという。$x,$ $y\in U$ に対して一様に極限(2.1)
が存在するとき, $E$ はuniformly smooth
であるという. $E$ の双対写像 $J$ に関して,以下のことが知られている
(
例えば,
[19]
を参照せよ)。$\bullet$ $E$ が
smooth
ならば, $J$ は 1 価写像である。 $\bullet$ $E$ が回帰的ならば,
$J$ は全射である。$\bullet$ $E$ が狭義凸ならば
,
$J$ は1対1である。つまり, $x\neq y$ ならば$Jx\cap Jy=\emptyset$ が成り立つ。
$\bullet$ $E$ が
uniformly
smooth ならば, $J$ は任意の有界集合上で一様連続である。これらの事実から
,
$E$ がsmooth, 狭義凸かつ回帰的のとき, $E^{*}$ の双対写像$J^{-1}$ は 1 価で全単射であることがわかる。
$E$ を $8mooth$ な
Banach
空間とする。関数$\phi:ExEarrow \mathbb{R}$ を, $x,$$y\in E$ に対して$\phi(x,y)=\Vert x\Vert^{2}-2(x,$$Jy\rangle$ $+\Vert y\Vert^{2}$
閉凸部分集合とする。各 $x\in E$ に対して, 唯一つ $x_{0}\in C$ が存在し
$\phi(x_{0},x)=\min\{\phi(y, x) : y\in C\}$
が成り立つことが知られている。そのような点 $x_{0}$ は, $\Pi_{C^{X}}$ と表され
,
$\Pi_{C}$ は $E$ から $C$の上への擬射影
(generalized projection)
と呼ばれる([1]
および[10]
を参照せよ).
。$E$ がHilbert
空間のとき,
$\phi(x, y)=\Vert x-y\Vert^{2}$ であり,
$\Pi_{C}$ は $C$ の上への距離射影と一致することがわかる。 さらに, この写像について次の事実が知られている。
補助定理 2.1
([1]
および[10]).
$E$ を狭義凸,smooth
かつ回帰的なBanach
空間とし,$C$ を空でない $E$ の閉凸部分集合とする。$\Pi_{C}$ を $E$ から $C$ の上への擬射影とし, $x\in E$
,
$x_{0}\in C$ とする。 このとき, $x0=\Pi_{C^{X}}$ であるための必要十分条件は, すべての $y\in C$ に対
して
$\langle x_{0}-y, Jx-Jx_{0}\rangle\geq 0$
が成り立つことである。
補助定理 2.2
([1]
および[10]).
$E$ を狭義凸, smooth
かつ回帰的なBanach
空間とし, $C$を空でない $E$ の閉凸部分集合とする。$\Pi_{C}$ を $E$ から $C$ の上への擬射影とする。 このと
き, すべての $x\in E$ と $y\in C$ に対して
$\phi(y,\Pi_{C}x)+\phi(\Pi_{C}x,x)\leq\phi(y,x)$ (2.2)
が成り立つ。
$E$ を
Banach
空間とする。$E$から」堅への多価写像$A$が単調作用素であるとは
,
すべての $x,$$y\in D(A),$ $x^{*}\in Ax,$ $y^{*}\in Ay$ に対して, $\langle x-y, x^{*}-y^{*}\rangle\geq 0$ が成り立つときをい
う。ただし
,
$D(A)$ は $A$ の有効定義域, つまり $D(A)=\{x\in E:Ax\neq\emptyset\}$ である。単調作用素 $A\subset E\cross E^{*}$が極大であるとは, $A$ のグラフが他のどんな単調作用素のグラフにも含
まれないときをいう。$E$ を狭義凸,
smooth
か.\supset 回帰的なBanach
空間とし, $A\subset E\cross E^{*}$を極大単調作用素とする。$r>0$ と $x\in E$ に対して,
Rockafellar [18]
により$Jx\in Jx_{r}+rAx_{r}$
となる点 $x_{r}\in D(A)$ が唯一存在することがわかる。 このことから, $J_{r}x=x_{r}$
,
つまり,み $=(J+rA)^{-1}J$ によって,
1
価写像み:
$Earrow D(A)$を定義することができる。写像み
は, $r$ こ対する $A$ のリゾルベント
(resolvent)
と呼ばれる。極大単調作用素$A$ の零点の集合$A^{-1}0=\{x\in E:Ax\ni O\}$ は, $E$ の閉凸部分集合であり, $A^{-1}0=F(J_{r})$ であることが
3
強擬非拡大写像
$E$ を
smooth
なBanach
空間, $C$ を $E$ の空でない閉凸部分集合, そして $T$ を $C$ から $E$への写像とする。$T$ の不動点の集合を $F(T)$ で表す。$C$ の点
$P$ が $T$ の漸近的不動点
[17]
であるとは
,
$x_{n}arrow p$ かつ $\Vert x_{n}-Tx_{n}\Vertarrow 0$ を満たす $C$ の点列 $\{x_{n}\}$ が存在するときをいう。$T$ の漸近的不動点の集合を $\hat{F}(T)$ で表す。
写像$T:Carrow E$ が擬非拡大 (relatively nonexpansive) [7, 13, 14] であるとは, $F(T)=$ $\hat{F}(T)$ かつ $\phi(p, Tx)\leq\phi(p, x)$ がすべての $x\in C$ と $P\in F(T)$ に対して成り立つときをい
う 。もし, $T$ が擬非拡大であり
,
$E$ が狭義凸かつ smooth であるとき, $F(T)$ は $E$ の閉凸部分集合であることが知られている
[14, Proposition
24]。また, もし,
$E$ がsmooth,
狭義凸かつ回帰的であるとき
,
$E$ から $C$ の上への擬射影 $\Pi_{C}$ は, 擬非拡大であることが知られている。
写像$T:Carrow E$ が次の条件が満たすとき
,
強擬非拡大 (strongly relativelynonexpan-sive) であるといわれる [17]。
$\bullet$ $T$ は擬非拡大である。 $\bullet$ $\{x_{n}\}$ が$C$
の有界点列,$P\in F(T),$$\phi(p, x_{n})-\phi(p, Tx_{n})arrow 0$ならば, $\phi(Tx_{n}, x_{\mathfrak{n}})arrow$
$0$が成り立つ。
例3.1. $E$ を
smooth,
狭義凸かつ回帰的なBanach
空間, $C$ を空でない $E$ の閉凸部分集合とする。写像$T:Carrow E$ は, 擬非拡大で, 不等式
$\phi(p,Tx)+\phi(Tx,x)\leq\phi(p,x)$
がすべての $P\in F(T)$ と $x\in C$ に対して成り立つとする。 このとき, $T$ は強擬非拡大であ
る。 よって,
(2.2)
より, $E$ から $C$ の上への擬射影 $\Pi_{C}$ は, 強擬非拡大写像である。 また,$J_{r}=(J+rA)^{-1}J$ を極大単調作用素 $A\subset E\cross E^{*}$ のリゾルベントとする。ただし, $r>0$
である。 このとき, すべての $u\in A^{-1}0$ と $x\in E$ に対して
$\phi(u, J_{r}x)+\phi(J_{r}x,x)\leq\phi(u,x)$
が成り立つことが知られている
[11, Lemma
3.1]。さらに $E$ が uniforiysmooth
のとき, $J_{r}$ が, $A^{-1}0$ に関して擬非拡大になる (詳しくは [14,
Theorem 4.3]
を参照せよ)
。以上の事実から
,
この設定の元でみは強擬非拡大であることがわかる。定理 3.2. $E$ を一様凸かつ
uniformly smooth
なBanach
空間, $C$ を空でない $E$ の閉凸部分集合とする。$S:Carrow E$ を強擬非拡大写像
,
$T:Carrow E$ を擬非拡大写像,
$U:Carrow E$を $U=J^{-1}(\lambda JS+(1-\lambda)JT)$ で定義される写像とする。 ただし
,
$\lambda$ は $(0,1)$ の定数である。 もし
,
$F(S)\cap F(T)\neq\emptyset$ ならば,
$F(U)=\hat{F}(U)=F(S)\cap F(T)$であり,
$U$ は強擬非拡大である。
$C$上の恒等写像$I$
が強擬非拡大であることは自明であるから
,
定理 3.2 において, $S=I$とおくことにより, 次の系が得られる。
系3.3. $E$ を一様凸かつ
uniformly smooth
なBanach
空間, $C$ を空でない $E$ の閉凸部分集合とする。$T:Carrow E$ を擬非拡大写像
,
$U:Carrow E$ を $U=J^{-1}(\lambda J+(1-\lambda)JT)$ で定義される写像とする。ただし
,
$\lambda$ は $(0,1)$の定数である。もし
,
$F(T)$ が空でないならば,
$F(U)=\hat{F}(U)=F(T)$ であり
,
$U$ は強擬非拡大である。さらに, 定理 3.2 と系 3.3 を使うと, 次の結果を得る。
系 3.4. $E$ を一様凸かつ
uniformly smooth
な Banach 空間, $C$ を空でない $E$ の閉凸部分集合とする。$\{S_{k}\}_{k=1}^{N}$ を $C$から $E$への擬非拡大写像の有限な族とし, $\bigcap_{k=1}^{N}F(S_{k})\neq\emptyset$ を
仮定する。 ここで, $N$ はある正の整数である。$\{\lambda^{k}\}_{k=0}^{N}$ を $(0,1)$ の有限数列で $\sum_{k=0}^{N}\lambda^{k}=$
$1$ を満たすものとする。$U:Carrow E$ を $U=J^{-1} \sum_{k=0}^{N}\lambda^{k}JS_{k}$ で定義される写像とする。
ただし, $S0$ は $C$ 上の恒等写像である。このとき, $F(U)= \hat{F}(U)=\bigcap_{k=1}^{N}F(S_{k})$ であり,
$U$ は強擬非拡大である。
証明. $N=1$ のときは
,
系33より成り立つことがわかる。$N=m$ で成り立つと仮定する。$\{S_{k}\}_{k=1}^{m+1}$ を $C$ から $E$ への擬非拡大写像の族とし, $\bigcap_{k=1}^{m+1}F(S_{k})\neq\emptyset$ を仮定す
る。$\{\lambda^{k}\}_{k=0}^{m+1}$ を $(0,1)$ の有限数列で $\sum_{k=0}^{m+1}\lambda^{k}=1$ を満たすとする。写像 $U:Carrow E$ を
$U=J^{-1} \sum_{k=0}^{m+1}\lambda^{k}JS_{k}$ で定義する。 このとき
$U=J^{-1}((1- \lambda^{m+1})\sum_{k=0}^{m}\frac{\lambda^{k}}{1-\lambda^{m+1}}JS_{k}+\lambda^{m+1}JS_{m+1})$
である。 ここで, $\{\frac{\lambda^{k}}{1-\lambda^{m+1}}\}_{k=0}^{m}$ は, $(0,1)$ の数列で
である。$\bigcap_{k=1}^{m}F(S_{k})\supset\bigcap_{k=1}^{rn+1}F(S_{k})\neq\emptyset$であるから $V=J^{-1} \sum_{k=0}^{m}\frac{\lambda^{k}}{1-\lambda^{m+1}}JS_{k}$ とおくと, 帰納法の仮定により
,
$F(V)= \hat{F}(V)=\bigcap_{k=1}^{m}F(S_{k})$ (3.1) であり, $V$ は強擬非拡大である。 また $U=J^{-1}((1-\lambda^{m+1})JV+\lambda^{m+1}JS_{m+1})$ であるから, $V$ と $S_{m+1}$ に関して定理 3.2 を用いると,(3.1)
より$F(U)= \hat{F}(U)=F(V)\cap F(S_{m+1})=\bigcap_{k=1}^{m}F(S_{k})\cap F(S_{m+1})=\bigcap_{k=1}^{m+1}F(S_{k})$
であり, さらに $U$
は強擬非拡大であることがわかる。以上より,
$N=m+1$ のときも成り 立つことが示せた。 口4
強収束定理
本節では, まず始めに,
擬非拡大写像の列に関する強収束定理を述べる。この定理で用いられている手法は,
文献[10, 14-16]
などで利用されたものである。特に,[14,
Theorem
3.1]
の直接的な拡張になっている。定理4.1. $E$ を一様凸かつ
uniformly smooth
なBanach
空間, $C$ を $E$ の空でない閉凸部分集合とする。$\{T_{n}\}$ を $C$ から $E$への擬非拡大写像の列とし, $\bigcap_{\mathfrak{n}=1}^{\infty}F(T_{n})\neq\emptyset$を仮定す
る。$C$ の任意の非空閉凸部分集合 $B$ と $\{T_{n}\}$ の任意の部分列 $\{T_{n}:\}$ に対して, $\{T_{n_{i}}\}$ の部
分列 $\{T_{\mathfrak{n}}:_{\dot{f}}\}$ と擬非拡大写像$U:Carrow E$ が存在し
$F(U)= \bigcap_{n=1}^{\infty}F(T_{n})l^{a*\supset}\lim_{jarrow\infty}\sup_{y\in}\Vert Uy-T_{n_{i_{j}}}y\Vert=0$
が成り立つと仮定する。$E$ の点列 $\{x_{n}\}$ と $\{y_{n}\}$ を, $x_{1}=x\in C,$ $n\in N$ に対して
と定義する。ここで, $\{\alpha_{n}\}$ は $[0,1]$ の数列で $\lim\sup_{narrow\infty}\alpha_{n}<1$ を満たし
,
$\Pi_{H_{n}\cap W_{n}}$ は$E$ から $H_{n}\cap W_{n}$ の上への擬射影である。 このとき, $\{x_{n}\}$ は $\Pi_{F(U)}(x)$ に強収束する。 こ
こで, $\Pi_{F(U)}$ は $E$ から $F(U)= \bigcap_{n=1}^{\infty}F(T_{n})$ の上への擬射影である。
定理 4.1 と系 3.4 を用いると, 有限個の擬非拡大写像に関する次の定理を得る。
定理 4.2. $E$ を一様凸かつ
uniformly smooth
なBanach
空間とし, $C$ を $E$ の空でない閉凸部分集合とする。$\{S_{k}\}_{k=1}^{N}$ を $C$ から $E$ への擬非拡大写像の有限個の族とし,
$\bigcap_{k=1}^{N}F(S_{k})\neq\emptyset$ を仮定する。ここで, $N$ はある正の整数である。
{
$\lambda_{n}^{k}$:
$n\in N,$ $k=$$0,$
$\ldots,$ $N$
}
を $(0,1)$ の2重数列とする。 ただし, すべての $n\in N$ に対して $\sum_{k=0}^{N}\lambda_{n}^{k}=1$,
かつ, すべての $k=0,$ $\ldots,$$N$ に対して $\inf\{\lambda_{n}^{k} :n\in N\}>0$ を仮定する。$E$ の点列 $\{x_{n}\}$
と
{y
訂を,
$x_{1}=x\in C,$ $n\in N$ に対して$\{\begin{array}{l}y_{n}=J^{-1}(\alpha_{n}Jx_{n}+(1-\alpha_{n})\sum_{k=0}^{N}\lambda_{n}^{k}JS_{k^{X_{\hslash}}})H_{n}=\{z\in C : \phi(z,y_{n})\leq\phi(z,x_{n})\}W_{n}=\{z\in C:\langle x_{n}-z, Jx-Jx_{\mathfrak{n}}\rangle\geq 0\}x_{n+1}=\Pi_{H,\cap W_{n}}(x)\end{array}$
と定義する。 ここで,
{
$\alpha$訂は
$[0,1]$ の数列で $\lim\sup_{narrow\infty}\alpha_{n}<1$ を満たし, $\Pi_{H_{n}\cap W_{\iota}}$ は$E$ から $H_{n}$ 寡 $W_{n}$ の上への擬射影であり
,
$S_{0}$ は $C$ 上の恒等写像である。このとき,
$\{x_{n}\}$は$\Pi_{F}(x)$ に強収束する。ここで, $\Pi_{F}$ は $E$から $F= \bigcap_{k=1}^{N}F(S_{k})$ の上への擬射影である。
5
変分不等式問題への応用
文献
[3]
では, 定理4.1を応用し, 極大単調作用素の零点の近似を議論した。ここでは,Hilbert 空間において, 単調作用素に関する変分不等式問題への応用を述べよう。
$H$ を実 Hilbert 空間, $C$ を $H$ の空でない部分集合とする。 このとき, 写像 $A:Carrow H$
に関する変分不等式問題とは, $\langle y-x, Ax\rangle\geq 0(\forall y\in C)$ を満たす $x\in C$ を求める問題で
ある。このとき
,
$x$ をこの問題の解といい,
解の集合を $VI(C, A)$ で表す。$C$ を空でない $H$ の閉凸部分集合とする。写像 $A:Carrow H$ が逆強単調 $[5, 21]$ であると
は, ある正の実数$\alpha$ が存在し, すべての $x,$$y\in C$ に対して
\langle
$x-y$,
Ax-Ay) $\geq\alpha\Vert Ax-Ay||^{2}$が成り立つときをいう。このとき, $A$ は $\alpha$
-
逆強単調写像と呼ばれる。定義より明かに,
逆たす実数, $I$ を $C$上の恒等写像とするとき, 写像 $I-\lambda A$ は非拡大である。つまり, すべて
の $x,$$y\in C$ に対して
$\Vert(I-\lambda A)x-(I-\lambda A)y\Vert\leq||x-y||$
が成り立つ
([22]
または[21]
を参照せよ)。$P_{C}$ を $H$ から $C$ の上への距離射影とする。距離射影 $P_{G}$ は, 1-逆強単調であることが知られている。つまり, すべての $x,$$y\in H$ に対
して
$\langle x-y,$$P_{C}x-P_{C}y$
)
$\geq\Vert P_{C}x-P_{C}y\Vert^{2}$が成り立つ。 この不等式は
$||P_{C}x-P_{C}y\Vert^{2}\leq\Vert x-y\Vert^{2}-\Vert(I-P_{C})x-(I-P_{C})y\Vert^{2}$
と同値であり, これより直ちに, $P_{C}$ が非拡大であることがわかる。 さらに, 写像 $A:Carrow$
$H$ と $\lambda>0$ に対して
$F(P_{C}(I-\lambda A))=VI(C, A)$ (5.1)
が成り立つことが知られている。詳しくは
,
[21] を参照するとよい。ここでは, 文献
[22], [8]
で議論された次の問題を考える。$C$ をHilbert
空間 $H$ の空でない閉凸部分集合とし, $S:Carrow C$ を非拡大, $A:Carrow H$ を逆強単調写像とするとき, $S$
に関する不動点問題と $A$ に関する変分不等式問題の共通解$z\in F(S)\cap VI(C, A)$ を求め
よ。定理
4.1
をこの問題に応用するために,
次の補助定理が必要である。補助定理5.1 ([2]). $C$ を
Hilbert
空間 $H$ の空でない閉凸部分集合とする。$\alpha$ と $\lambda$は実定 数で, $0<\lambda<2\alpha$ を満たすとする。$S:Carrow C$ を非拡大写像, $A:Carrow H$ を $\alpha$-逆強単調
写像とする。 もし, $F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)\neq\emptyset$ ならば
$F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)=F(P_{C}(I-\lambda A)S)$ $=F(SP_{C}(I-\lambda A))$
が成り立つ。 ここで, $I$ は $C$ 上の恒等写像である。
証明. 等式 $F(SP_{C}(I-\lambda A))=F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)$ の証明は, 文献
[2]
に記述した。そこで, $F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)=F(P_{C}(I-\lambda A)S)$ の証明のみを記す。
包含関係 $F(P_{C}(I-\lambda A)S)\supset F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)$ が成り立つことは容易にわか
$F(P_{C}(I-\lambda A)S),$ $w\in F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)$ とする。$P_{C}$ は非拡大, $A$ は逆強単調
,
$S$は非拡大であるから
$\Vert z-w\Vert^{2}=\Vert P_{C}(I-\lambda A)Sz-P_{C}(I-\lambda A)Sw\Vert^{2}$
$\leq\Vert(I-\lambda A)Sz-(I-\lambda A)Sw||^{2}$
$=||Sz-Sw-\lambda(ASz-ASw)\Vert^{2}$
$=\Vert Sz-Sw\Vert^{2}-2\lambda$
(Sz-Sw,
$ASz-ASw\rangle$ $+\lambda^{2}\Vert ASz-ASw\Vert^{2}$ $\leq\Vert Sz-Sw\Vert^{2}-\lambda(2\alpha-\lambda)\Vert ASz-ASw\Vert^{2}$$\leq\Vert Sz-Sw\Vert^{2}\leq\Vert z-w\Vert^{2}$
が成り立つ。 よって, $\lambda(2\alpha-\lambda)\Vert ASz-ASw\Vert^{2}=0$
.
つまり, $ASz=ASw$ が成り立つ。 $P_{C}$ が1-逆強単調, $I-\lambda A$ が非拡大, $w=Sw$ であるから$\Vert z-w\Vert^{2}=||P_{C}(I-\lambda A)Sz-P_{C}(I-\lambda A)Sw\Vert^{2}$
$\leq\langle(I-\lambda A)Sz-(I-\lambda A)Sw, P_{C}(I-\lambda A)Sz-P_{C}(I-\lambda A)Sw\rangle$ $=\langle(I-\lambda A)Sz-(I-\lambda A)Sw, z-w\rangle$
$= \frac{1}{2}(\Vert(I-\lambda A)Sz-(I-\lambda A)Sw\Vert^{2}+\Vert z-w\Vert^{2}$
$-\Vert(I-\lambda A)Sz-(I-\lambda A)Sw-(z-w)||^{2})$
$\leq\frac{1}{2}(2\Vert z-w\Vert^{2}-\Vert Sz-z\Vert^{2})$
を得る。 ゆえに, $\Vert Sz-z\Vert^{2}=0$
,
つまり, $z\in F(S)$ である。 これにより, $z=P_{C}(I-$$\lambda A)Sz=P_{C}(I-\lambda A)z$
.
これは $z\in F(P_{C}(I-\lambda A))$ を意味する。結果として $z\in$$F(P_{C}(I-\lambda A))\cap F(S)$ であることが示せた。 口
補助定理
5.1
の仮定のもとで,
写像$I-S$
はdemiclosed
である。つまり, $u_{n^{-\Delta}}u$かつ$||u_{n}-Su_{n}\Vertarrow 0$ を満たす $C$ の点列に対して,
$(I-S)u=0$
が成り立つ ([4] または [19]を参照せよ
)
。 したがって, $F(S)=\hat{F}(S)$ であるから, $S$ は擬非拡大であることがわかる。定理
4.1
と補助定理5.1
を使うと,
次の飯塚-高橋[8]
の結果を得ることができる。この結果から, 非拡大写像の不動点集合と逆強単調写像に対する変分不等式問題の解の集合の
共通点に強収束する点列を得ることができる。
定理5.2 $([8, Th\infty rem3.1])$
.
$C$ をHilbert
空間 $H$ の空でない閉凸部分集合とする。$\alpha$ を正の定数, $S:Carrow C$ を非拡大, $A:Carrow H$ を $\alpha$-逆強単調写像とし, $F(S)\cap VI(C, A)\neq\emptyset$
$\{x_{n}\}$ および$\{y_{n}\}$ を, $x_{1}=x\in C,$ $n\in N$ に対して
$\{\begin{array}{l}y_{n}=P_{C}(Sx_{n}-\lambda_{n}ASx_{n})H_{n}=\{z\in C : \Vert y_{n}-z\Vert\leq\Vert x_{n}-z\Vert\}W_{n}=\{z\in C : \langle x_{n}-z,x-x_{n}\rangle\geq 0\}x_{n+1}=P_{H_{n}\cap W_{\mathfrak{n}}}(x)\end{array}$
で定義する。 ここで, $P_{C}$ は$H$ から $C$の上への, $P_{H_{n}\cap W_{n}}$ は$H$から $H_{n}\cap W_{n}$ の上への距離
射影である。 このとき, $\{x_{n}\}$ は $P_{F(S)\cap VI(C,A)}(x)$ へ強収束する。ここで, $P_{F(S)\cap VI(C,A)}$
は $H$ から $F(S)\cap VI(C, A)$ の上への距離射影である。
証明.
Hilbert
空間 $H$ は, 一様凸かつuniformly smooth
なBanach
空間であり, $x,$$y\in H$ に対して, $\phi(x, y)=\Vert x-y\Vert^{2}$ である。このことから, 擬射影は距離射影と一致することがわかる。各$n$ に対して, $T_{n}=P_{C}(I-\lambda_{n}A)S$ とおく。補助定理 51 と
(5.1)
から, $F(T_{\mathfrak{n}})=$$F(P_{C}(I-\lambda_{n}A)S)=VI(C, A)\cap F(S)$
,
つまり, $\bigcap_{n=1}^{\infty}F(T_{n})=VI(C, A)\cap F(S)\neq\emptyset$ を得る。 これと $T_{n}$
が非拡大であることから,
$T_{n}$ は擬非拡大であることがわかる。ここで,$B$ を空でない $C$ の閉凸部分集合とし, $\{T_{n}:\}$ を $\{T_{n}\}$ の部分列とする。$\{\lambda_{n}\}$ を $\{T_{\mathfrak{n}}\}$ に 対応する $\{\lambda_{n}\}$ の部分列とする。仮定より, $\lambda\in[a, b]$ と $\{\lambda_{n}:\}$ の部分列 $\{\lambda_{n}:_{j}\}$ が存在し,
$\lim_{jarrow\infty}\lambda_{n_{i_{j}}}=\lambda$ が成り立つ。 ここで, 写像 $U:Carrow H$ を $U=P_{C}(I-\lambda A)S$ で定義す
る。補助定理 5.1 と
(5.1)
より, $F(U)= VI(C, A)\cap F(S)=\bigcap_{n=1}^{\infty}F(T_{n})\neq\emptyset$ を得る。これと $U$が非拡大であることから
,
$U$ は擬非拡大であることがわかる。距離射影$P_{C}$ は非拡大であるから, すべての $y\in C$ と $n\in N$ に対して
$||Uy-T_{n}y\Vert=\Vert P_{C}(I-\lambda A)Sy-P_{C}(I-\lambda_{n}A)Sy\Vert$
$\leq\Vert(I-\lambda A)Sy-(I-\lambda_{n}A)Sy\Vert$ $\leq|\lambda-\lambda_{n}|\Vert ASy\Vert$
が成り立つ。$A$ は
Lipschitz
連続で $S$ は非拡大であるから, $\sup_{y\in B}\Vert$ASy
$||<\infty$ である。ゆえに
$\lim_{jarrow\infty}\sup_{y\in B}\Vert Uy-T_{n\iota_{j}}y\Vert\leq\lim_{jarrow\infty}|\lambda-\lambda_{n_{j}}.|\sup_{y\in B}\Vert$ASy$||=0$
である。定理
4.1
より,
$\{x_{n}\}$ は $P_{F(8)\cap VI(CCC,A)}(x)$へ強収束することが示せた。 口参考文献
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