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子どもの間のトラブルに対する保育者の働きかけと意図に関する研究(2)―1歳児クラス担当保育者に対する調査―

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(1)

子どもの間のトラブルに対する保育者の働きかけと

意図に関する研究(2)―1歳児クラス担当保育者に

対する調査―

著者

本郷 一夫

雑誌名

東北教育心理学研究

7

ページ

43-52

発行年

2000-03-25

URL

http://hdl.handle.net/10097/00121884

(2)

子ども聞のトラブルに対する保育者の働きかけと意図に関する研究

(

2

)

-1

歳児クラス担当保育者に対する調査一

本 郷

(東北大学教育学部)

[問題と目的] 本研究は、現在 1歳児クラスを担当している保育者を 対象として、保育所の 1歳児クラスで実際起こった子ど も聞のトラブルの事例を提示し、各トラフ'ルの事例に対 して保育者がどのような内容の働きかけを行うのか、ま たその働きかけはどのような意図のもとになされるのか を明らかにすることを目的とする。 従来、子ども間の卜ラフ.ルは、第 1に卜ラフソレの展開 のなかに子ども社会的能力が反映されるという点、第 2 にトラブルを通して子どもの自己の確立や他者との関係 調整能力の発達が促されるという点などから注目されて きた(本郷, 1996)。しかし、保育所のような集団場面 で生起する子ども間の卜ラフ・ルはトラブルに直接かかわ る 2人の子どもの社会的能力や関係調整能力の発達水準 によってのみその生起と展開が決定されるわけではない。 たとえば、 1~2 歳児の物を巡るトラブルを観察した杉 山・本郷・玉井 (1990) の研究によれば、 トラフ.ル終了 時の最終的な物の所有者は保育者の介入の有無によって 影響されることが報告されている。 また、 1~2 歳児の 卜ラフ.ルに対する保育者の介入を観察した本郷・杉山・ 玉井 (1991) の研究によれば、子どもの月齢が 18か月以 降、 卜ラフ・ルが次第に苛烈になるに従って保育者の働き かけの割合が増加することが示されている。しかし、 卜 ラフ'ルに対する保育者の直接的介入の割合は子どもの年 齢と共に増加し続けるわけではなく、子どもの年齢が2 歳を過ぎる頃から少なくなり、 2歳半を超える頃には急 速に減少する。代わってトラフ'ルの直接の当事者ではな い第 3の子どもがトラフ・ルに介入することが多くなるこ とが示唆されている(玉井・本郷・杉山, 1992) 。これ らのことから、とりわけ子ども同士の卜ラフソレに対する 保育者の直接的働きかけは1歳台に多くなされ、また子 ども間のトラブルの展開と終了に大きな影響を与えると 考えられる。 また、子ども聞のトラフ.ルに対する保育者の働きかけ 内容については、 1歳前半では「制止等J

I

代替物の提 示」といったいわゆる物理的手段を用いた働きかけが中 心であるが、 l歳後半では「子どもの要求の確認J

I

相 手への要請の指示」など子どもの気持ちの確認するよう な働きかけが増加することが報告されている(本郷・杉 山・玉井, 1991)。このような保育者の働きかけ内容は、 lつには子どもの言語や認知の発達に応じて変化すると 考えられる。しかし、 一方で「他児の気持ちの伝達」な ど、 2歳前の子どもにとって十分理解が可能ではないよ うな働きかけも同時になされる。これは働きかけによっ てトラブルを直接解決するというよりも、 卜ラフ.ルを契 機として社会的ルールや他児とのかかわり方を子どもに 伝えようとする保育者の意図が反映されたものだと考え られる。さらには、このような保育者の働きかけは、後 の子ども聞のトラブルの展開やトラフ・ルに介入する第 3 の子どものモテゃルの機能を果たすことも考えられる。し たがって、保育者がどのような意図を持ってトラブルに 対する働きかけを行っているかを知ることは、その時点 での子ども間のトラブルの展開を理解することの助けに なるだけではなく、 2歳以降のトラブルの成立と展開を 理解する上でも重要だと考えられる。 そのような点から、本郷 (1994) では、子ども聞のト ラフソレに対する保育者の対応を質問紙を用いて調査した。 その結果、第1に保育者はトラフ.ルの開始者に対して働 きかけることが多い、第 2に働きかけ内容としては「他 児の状態の説明」が最も多い、第 3に保育者は「社会的 ルールを教える

J

I

相手の気持ちに気づかせる」という 意図を持って働きかけることが多い、という結果がみい だされた。しかし、この研究には、主として用いられた 調査方法の限界から、いくつかの不十分な点が認められ る。第lに、実際の保育場面では、保育者は 1回限りの 働きかけで済ませるわけではなく、最初の働きかけに対 する子どもの反応や保育者の事前の意図に応じていくつ かの働きかけを連続して行うと考えられる。しかし、こ の研究においては、子ども聞のトラブルに対する保育者 の最初の働きかけと次の働きかけが明確に区別されて質 問がなされていないため、保育者が子どもの反応を予想

(3)

-43-しながら、どのような順序で働きかけていくかについて は不明な点がある。第 2に、 トラフソレに対する保育者の 働きかけ内容と意図との関連が分析されているが、調査 方法の限界からどのような働きかけを多くする保育者は どのような意図を持ちやすいかといった全体的傾向の分 析にとどまっており、特定の働きかけ内容と意図との直 接的関連については言及されていない。第 3に、働きか け内容から保育者の働きかけタイプを分類しているが、 保育者の個人差だけではなく、調査対象となった3つの 保育所間での違いも大きいという報告がなされている。 これは、 1つには各々の保育所における「文化」の違い が作用していたということも考えられるが、調査方法自 体がこのような見かけの「保育所文化J (個々の保育所 での独自の保育目標や保育者間で暗黙に共有されている 方針や保育技術などによって構成される)を生みだした 可能性もある。すなわち、各保育所に質問紙をまとめて 郵送し、その後各保育所からまとめて返送してもらった という手続きの問題である。たとえば、質問紙に対する 回答を記入する際、保育所内での話し合いが行われたと いうことも十分考えられる。とりわけ、 1、 2歳児の保 育経験が浅い保育者やここ数年1、2歳児を担当したこ とがない保育者が、現在 1、 2歳児を担当している保育 者やベテランの保育者に対して、助言を求めたというこ とも考えられる。 以上の点から、本研究では、第 1に対象者の所属やク ラス担当による回答の査みを少なくするために、特定の 保育所に偏らないように調査対象者を抽出し、直接回答 を依頼するという方法を用いると共に現在実際に 1歳児 を担当している保育者に限定する。第 2に保育者の連続 する働きかけ間の関連を明らかにするために、保育者の 最初の働きかけと次の働きかけとを明確に区別して質問 をする。第 3に働きかけの内容と意図との直接的関連を 明らかにするために、特定の働きかけ内容とその際の意 図との関連を分析可能な形で質問する。したがって、本 研究では、主として以上の3点に改善を加えて調査を実 施することによって、本郷(1994)の結果を確認すると 共に子ども間のトラフ.ルに対して保育者がどのようなス トラテジーを持って対応しようとしているのかを明らか にすることを目的とする。先にも述べたように、子ども 間の卜ラフ.ルに対する保育者の働きかけを捉えることは、 子ども聞のトラフ.ルの成立と展開それ自体を理解する上 で重要であるばかりでなく、保育者のストラテジーを把 握することは、日常の保育場面における保育者の行動を 理解し、 「子ども聞の関係を育てる」保育をどのように 展開していったら良いのかという点について議論のきっ かけを与えると考えられる。 [ 方 法 ] 1. 調査対象 S市の公立保育所の1歳児クラス担当の保育者110名。 保育経験年数は、平均9.00年 (SD=7.07;範囲1年 24年)であった。また、 I歳児クラスの担当経験は、平 均2.31年 (SD=l.30 ;範囲1年 ----6年)であり、全体 として 1歳児クラス担当の経験は浅かった。 2.調査期間 1998年6月11日の1歳児クラス担当保育者の研修会の 際に調査が実施された。なお、保育者は特定の保育所に 偏ることなく、各保育所から 1----2名参加していた。 3.調査内容・手続き 実際に1歳児クラスで起こった子ども間のトラフ.ルを 6事例を示し、各事例に対する対応について尋ねた。保 育者に提示された

6

事例は

TABLE1

に示す通りである。 これらの事例は、本郷(1994) で用いられた 9事例から、 ①l歳児で比較的多く観察されると考えられるもの、② 保育者の働きかけ内容が比較的多様となることが予想さ れるもの、という主として 2つの基準によって抽出され た。したがって、本郷 (1994)で用いられた事例E (遊 びの提案が受け入れられず、 トラフ.ルとなった事例)は 2蔵を超えてから観察されることが多いと考えられるた め、事例F (事後に代替物を与えた事例)と事例 G (取 られた子どもが気にせずに別の物で遊び続ける事例)は 特定の働きかけ内容に回答が集中する傾向があったため、 除かれた。なお、

TABLE1

に示した事例

I

-

-

-

-

N

2

人 の子ども間の卜ラフ.ルの事例、 V----VIは 2人の子どもの 間のトラフソレに保育者が介入した事例となっている。 保育者は、各事例について、①働きかけ対象、②働き かけ内容、①働きかけ意図の

3

点について、

TABLE2

に示すカテゴリーから当てはまる番号を記入するように 求められた。これらのカテゴリーは先の研究(本郷, 19 94)を参考に設定したものである。なお、保育者は、各 事例についてまず「最初の働きかけ」について、働きか け対象、働きかけ内容、その際の働きかけ意図を記入し た後、「次の働きかけ」についても同様に回答するよう に求められた。なお、「次の働きかけ」を想定しない場 合には、空欄のままにしておくよう教示された。

(4)

TABLE 1 保育者に提示された子ども聞のトラブ)1-の事例 1.開始者が自分の所有を主張し、 トラブルとなった事例 A児は、自分が前に使っていたおもちゃをB児が使っ ているのを見ると、 IAチャンノ」と主張しておもちゃ を取ろうとする。B児はおもちゃを遠ざける。A児と B 児の間でおもちゃの取り合いになる。 11.物の使用方法をめぐって取り合いになった事例 A児は、保母が茶碗と箸入れで食べるふりをするのを 見ている。また、保母から茶腕と箸入れを借りた B児が 食べるふりをするのを見ている。しかし、 B児が箸入れ を口に加えると、 A児は「ダーメ」と怒って、箸入れを B児の口から引っ張り出して取る。 III.交換を求めるやりとりが不調に終わった事例 A児はスプーンをB児に差し出して、 B児が使って遊 んでいるきゅうすを取る。B児がきゅうすを取り返しに 行き、取り合いとなる。 N.所有者が攻撃した事例 A児が B児の持っているおもちゃをとろうとすると B 児は抵抗する。物の取り合いを数回繰り返した後、 B児 はそのおもちゃでA児の頭をたたく。

v

.

所有者が、保母の指示に従った開始者の提案を拒否する事例 A児が B児の座っている椅子のところへ来て、 IAチャ ンモ、 Aチャンモ」といいながら体で B児を押す。A児 の使いたいとし吟気持ちを確認した後に、 B児にお願い させる。A児は B児に「カシテ」と要請する。B児は 「ダメ」といって拒否する。 VI.開始者も所有者も保母の提案を拒否する事例 A児はB児の持っていたはさみを取る。保母はB児が 最初にはさみを持っていたことをA児に伝え、返すよう に指示するが、 A児は「ダメ」と保母の提案を拒否する。 最初 そこで、次に B児に対して IAちゃんに貸してあげてい い」と尋ねるが、 B児も「ダメ」と拒否。 [結果と考察] 1.保育者の働きかけ対象: 6事例を通して、最初 の働きかけとして

6

5

4

例、次の働きかけとして

6

1

5

例、計

1

2

6

9

例の働きかけが報告された。

FIGURE 1

には働き かけ対象別の割合が示されている。ここから、全体とし て、保育者はトラフソレの開始者に対して働きかけを行う ことが多いことがわかる

(

5

7

9

例 :

4

5

.

6

%

)

。とりわけ、 TABLE 2 回答の選択カテゴリー く対象児>1.A児、 2.B児、 3. 両方(同時に働きかける場合) く働きかける内容〉 1.見守る :その後のなりゆきを注意しな がら見守る。 2. 制止・禁止する :言葉や行動で子どもの行動を 制止したり、最初の所有者に物 を戻す。 3.気持ちの確認・説明:子どもの気持ちを確認したり、 相手の子の気持ちを説明する0 .①最初に使っていた子どもを 知らせる、②「カシテ」と要請 させる、①相手の子どもに返す よう伝える、④自分だけの物で はないことを伝える。⑤返すよ うに指示する、など。 :①代わりの物を与える、②一 緒にあるいは順番に使うよう提 案する、①別の遊びを提案する、 4.ルールの確認 5.解決策の提示 など。 6. その他:上記以外の働きかけ く働きかけ意図〉 1. 子どもの自主性を育てる 2. 子どもを受容する 3. 相手の子どもの気持ち・意図に気づかせる 4. 社会的なルールを知らせる 5.子ども同士のかかわり方を知らせる 6. 保母の気持ちを分かつてもらう 7. その他 次 10

扇語幸町

i

置所有者

l

!

o

i

i

l

i

i

章一」

0% 20% 40% 60% 80% 100%

F

I

G

U

R

E

1

働きかけ対象別の割合(%)

F

I

F O A q

(5)

最 初 の 働 き か け に お い て は そ の 傾 向 が 顕 著 で あ っ た (χ2二 47.34,df=2,p<.0001)o

I

両者」という場合も 開始者に働きかけられているということからすれば、全 体の74.9%の事例において、 トラフ.ルの開始者は保育者 からの働きかけを受けているといろ計算になる。 一方、 次の働きかけでは、所有者に対する働きかけの割合が増 加し、開始者に対するものよりもやや多くなっていた。 TABLE3には、最初の働きかけ対象と次の働きかけ 対象との関連が示されている。 TABLE 3 最初と次の働きかけ対象との関連

o

内は% 次 の 働 き か け 対 象 開始者 所有者 両者 なし 計 開始者 59(16.7) 239(67.7) 46(13.0) 9( 2.6) 353 所有者 126(76.8) 10( 6.1) 26(15.9) 2(1.2) 164 両 者 41(29.9) 計 226 8( 5.8) 60(43.9) 28(20.4) 137 257 132 39 654 ここから最初に開始者に働きかけ次に所有者に働きかけ る頻度が239例と最も多く、次に最初に所有者に対して 働きかけ次に開始者に働きかける頻度カ¥126例と多くなっ ていた。また、 2回の働きかけを通じて開始者あるいは 所有者のどちらか一方にしか働きかけない場合は80例で あり、全体の12.2%にとどまっていた。 次に、事例別に働きかけ対象についてみる。 FIGURE2 には、各事例における働きかけ対象別の割合が示されて いる。 6事例を通した全体的割合 (FIGURE1参照) と比較し10ポイント以上の多いものという基準に従って 事例を抽出をすると次のようになる。すなわち、最初の 働きかけでは、事例I、事例 IIにおいて「開始者」に対 する働きかけが、事例 N、事例Vでは「所有者」に対す る働きかけが、事例刊では「両者」に対する働きかけが、 全体的な傾向と比べて多くなっていた。これと対応して、 次の働きかけでは、事例IIでは「所有者」、事例Wでは 「開始者」、事例刊では「両者」に対するものが多くなっ ていた。 ここから、事例 I、IIにみられるように、子どもの行 動として交換の提案や身体攻撃などがない場合、保育者 はまず最初にトラフ.ルの開始者に働きかける傾向がある と考えられる。一方、事例Wにみられるように取られそ うになった所有者が開始者に対して攻撃を加えるような 場合、物を取ろうとした開始者よりもむしろ身体攻撃を した所有者に最初働きかける傾向がある。また、事例 V の所有者への働きかけ、事例刊の両者への働きかけにみ られるように、子どもが保育者の提案を拒否した場合、 事例 最初 1::::::::: II 量初 次 I I i 最初 h 次 W 次 V 18.6 YI 最 初 己 ぷ ム 0首 20'" 40也 60首 80首 100百 FIGURE 2 事例別働きかけ対象(%) 保育者は拒否した子どもに再び働きかける傾向があると 考えられる。 しかし、各事例において最も多い働きかけ対象の組み 合わせをみると、事例 Wを除き、最初に開始者に働きか け次に所有者に働きかけるという「開始者一所有者」の 組み合わせであった(事例1 : 43.9%、事例 II: 48.0%、 事例III: 41.2%、事例V : 38.2%、事例VI:48.5%)。 一方、事例 Wでは「所有者一開始者」の働きかけが62.9 %と最も多かった。この点から、保育者は「取るJ

I

拒 否」をするという子どもの行動よりも、「攻撃」という ことを重大視していると考えられる。 2.保育者の働きかけ内容と意図 2 - 1 働きかけ内容: TABLE4には、保育者の 働きかけ内容別の頻度と割合が示されている。 ここから、全体として、「気持ちの確認」が最も多く (41.7%)、次に「ルールの確認J(23.2%)、「解決策の 提示J(16.8%)、「制止・禁止J(11.0%) と続いている ことがわかる。最初の働きかけと次の働きかけとの違い について見ると「制止・禁止J

I

見守る」は最初の働き かけにおいて、「解決策の提示」は次の働きかけにおい て行われていることが多い (χ2二 182.75,df=5, p<.αxn)。

(6)

TABLE 4 保育者の働きかけ内容別頻度

o

内は% 内 t廿, 最初

Z

見 守 る 60( 9.2) 22( 3.6) 82( 6.5) 制止・禁止 129(19.8) 10(1.6) 139(11.0) 気持ちの確認 257(39.4) 270(44.2) 527(41.7) ルールの確認、 153(23.4) 140(22.9) 293(23.2) 解決策の提示 48(7.4) 164(26.8) 212(16.8) そ の 他 6(0.9) 5( 0.8) 11( 0.9)

E

十 653 611 1264( 100) 次に、先と同様に、 6事例を通した全体的割合 (TABL E4参照)と比較し10ポイン卜以上の多いものという基 準に従って事例を抽出をすると次のようになる。すなわ ち、事例Iでは「ルールの確認J (39.8%:最初47.7%、 次31.8%)、事例IIでは「気持ちの確認J(56.3% :最初 53.6%、次59.2%)、事例Wでは「制止・禁止J(34.3% 最初65.5%、次1.9%)、事例

v

(32.4%:最初16.5%、 次49.5%)、事例刊 (30.9%:最初20.4%、次42.4%) では「解決策の提示」が比較的多く用いられていた。 さらに、最初の働きかけ内容と次の働きかけ内容との 関連をみるために、働きかけ内容の推移行列を作成し、 各セルの頻度を総計で割り、働きかけ内容聞の推移率を 求めた。

FIGURE

3

には、そのうち、内容間の推移率 が0.05以上のものが図示されている。 FIGURE 3 働きかけ内容聞の推移率に基づく流れ図 ここから、最初に「気持ちの確認」をし次にも「気持 ちの確認」をするという働きかけが最も多く (0.16)、 続いて、最初「気持ちの確認」をした後「解決策の提示」 をする (0.13)、「ノレールの確認、」をした後「気持ちの確 認」をする (0.11)ことが多し、。しかし、各働きかけ内 容間の推移は、理論的にすべて等しいわけではなく、比 較的頻度の高い働きかけ内容間の推移率が高くなってし まうと考えられる。そこで、推移行列の期待値行列を作 成し(粕谷・藤田, 1984)、その期待値よりも有意に多 いかどうかを推移率0.05以上の内容聞を中心に検討した。 その結果、最初「制止・禁止」をし次に「ノレールの確認」 をするという推移が有意に多かった(ド=8.56,df= 1, p<.Ol)。逆に、推移率は低いものの「制止・禁止」の 後に「解決策の提示」をするという推移は有意に少なかっ た ( ド=5.30,df=l ,p< .01)。ここで、「制止・禁止」 の後に「ルールの確認」がなされる確率は全体としては 7%であるが、最初に「制止・禁止」をした場合に限っ てみると次に「ルールの確認」をする確率は35.5%となる。 2-2 働きかけ意図: TABLE5には、保育者の 働きかけ意図の頻度と割合が示されている。 TABLE 5 保育者の働きかけ意図別頻度

o

内は% 意 図 最初 次 計 自 主 性 32(5.0) 11(1.8) 43( 3.4) 5亘ιZ 日廿τ, 107(16.6) 68(11.2) 175(14.0) 相手の気持ち 220(34.1) 259(42.5) 479(38.2) 社会的ルール 166(25.7) 103(16.9) 269(21.5) かかわり方 87(13.5) 146(24.0) 233(18.6) 保母の気持ち 5( 0.8) 8(1.3) 13( 0.2) そ の 他 28( 4.3) 14( 2.3) 42(3.3) 計 645( 100) 609( 100) 1254( 100) ここから、「相手の気持ち

J

(38.2%)が最も多く、次 に「社会的ルールJ (21.5%)、「かかわり方J(18.6%)、 「受容J(14.0%)と続いていることがわかる。最初の働 きかけと次の働きかけの違いについてみると、「受容」 「社会的ルール」が最初の働きかけで、「相手の気持ち」 「かかわり方」が次の働きかけで比較的多くなっていた (χ2=56 .19,df=6,p< .0001)。事例ごとにみると、事 例11では「受容

J

(24.5% :最初30.0%、次18.4%)が、 事例Vでは「相手の気持ちJ (48.5%:最初55.7%、次 48.5%)が全体的傾向と比較して多く用いられていた。 次に、働きかけ内容と同様に、最初の働きかけ意図と 次の働きかけ意図の関連を知るために働きかけ意図間の 推移率を求め、次に各推移率の期待値を計算し、その期 待値よりも有意に多し、かどうかを推移率0.05以上の意図 聞について検討した。

FIGURE

4には、推移率0.05以 上の意図の関連が示されている。 。 目13

巴/

FIGURE 4 働きかけ意図問の推移率に基づく流れ図

(7)

-47-その他

0

2

0

%

4

0

6

0

%

80

1

0

0

覧 匝皇主性掴受容自福手の気持ちa社会的ルール囚かかわり方ロその他j FIGURE 5 働きかけ内容と意図との関連(%) ここから、「見守る」は「自主性」と、「制止・禁止」 「ルールの確認」は「社会的ルール」と、「気持ちの確認」 は「相手の気持ち」と、「解決策の提示」は「かかわり 方」と、各々関連が強いことがうかがわれる。なお、各 セルの期待頻度が5以上のものについて、全体の割合 (FIGURE5に示きれた各内容別の意図の割合)より

1

0

ポイン卜以上の差があるか否かという基準に従って、働 きかけ対象別(開始者、所有者、両者)に内容と意図と の関連について検討したが、全体の傾向と異なるものは なかった。同様に、働きかけの順序(最初の働きかけ、 次の働きかけ)別にみた場合も、異なるものはなかった。 3.保育経験年数による違いの分析: 保育者の経験 年数によって、

A :

1

'

"

'

"

'

3

(

3

7

名)、

B :

4

'

"

'

"

'

1

0

(

3

2名)、 C:11年以上 (38名)の 3群に分類した(未記入 者が 3名)。最初の働きかけと次の働きかけ別に、働き かけ対象、働きかけ内容、働きかけ意図について経験年 数の違いがあるか否かについてを検定した結果、働きか け内容についてのみ統計的に有意な連関が認められた。 FIGURE6には最初の働きかけ内容の割合が保育経験年 数別に示されている。 最初の働きかけ内容 (x

2

=

1

8

.

6

2

d

f

二1O,

p<

.

0

5

)

にお いては、保育経験年数が増加するにつれて「見守る」が B群 C群 。首 20% 40弛 60首 80弛 100首 FIGURE 6 経験年数別の最初の働きかけ内容(%) 増加し、「制止・禁止」が減少する傾向が認められる。 また、「気持ちの確認」については、各群とも最もその 割合が高くなっているが、とりわけ経験年数11年以上の C群での割合が高くなっている。またC群では「ルール の確認」の割合がやや少なくなっている。FIGURE 7 には次の働きかけ内容の割合が保育経験年数別に示され ている。 0% 20% 40,(9 60百 80% 100% FIGURE 7 経験年数別の次の働きかけ内容(%) 次の働きかけ内容

(

χ

2

2

1.

2

9

df=10

p<

.

0

5

)

におい ても各群とも「気持ちの確認」が最も多くなっている。 最初の働きかけ内容と次の働きかけ内容において

1

0

ポイ ン卜以上の違いがある項目に着目すると、先に述べた結 果とも対応して「制止・禁止」の減少、「解決策の提示」 の増加が3群に共通に認められる。さらに、 B群では 「気持ちの確認」が増加し、 C群では「見守る」が減少 していたが、最も経験の浅いA群では群に特有の変化は 認められなかった。 ちなみに、石井(1

9

9

8

)

を参考に、保育経験年数を従 属変数、働きかけ対象の「開始者J

I

所有者」、働きかけ 内容の「その他」を除く 5カテゴリーに対する回答数を 独立変数(カテゴリカル・データをダミー変数化した上 で回答数を得点とみなした)としてステップワイズ法に よる重回帰分析を試みたところTABLE6に示すように、 最初の働きかけにおける「制止・禁止J

I

ルールの確認、」、

(8)

次の働きかけにおける「見守る」が経験年数と関連して いることが示唆された。 TABLE 6 重回帰分析の結果 非標準化係数 標準化係数 有意確立 B 標準誤差 ベータ (定数) 2.748 .203 3.564 .000 次一見守る 一.407 .195 -.209 2.088 .040 初制止・禁止 一.284 .094 -.310 3.033 .003 初ルールの確認 .162 .085 一.198 1.909 .060 認」タイプ(このカテゴリーに対する反応数が3以上で 最も多い)、タイプN:

1

気持ち・ルールの確認」タイ プ(この 2つのカテゴリーに対する反応数が 2以上で最 も多く同数)、タイプV:

1

その他」のタイプ

(

1

見守り」 「解決策の提示」タイプなどが含まれる)に分類した。 その際、回答の一部が未記入だと判断される対象者を除 き92名を分類の対象とした。次に、最初の働きかけ対象 と意図の各カテゴリーごとに保育者のタイプに関する一 元配置の分散分析を行った。その結果5 %水準で有意差 の見られた項目と多重比較の結果がTABLE7に示され 次に事例毎の働きかけ内容について各群の違いをみる ている。 と、事例IIの次の働きかけ(ド=19.58,df=10,

p<

.05)、 事例 Nの最初の働きかけ (χ2=17.91 ,df=8,

p<

.05)、 事例Vの 次 の 働 き か け ( ピ =18.82,df=8,

p

<

.05) に 有意な連関が認められた。すなわち、物の使用方法をめ ぐって取り合いになった事例である事例IIの次の働きか け内容では、全体としては「気持ちの確認」が多いもの の(各々50.0%,50.0%, 77.1%)、とりわけ C群でそ の傾向が顕著であった。また、 A群では「見守る

J

1ルー ルの確認、」という回答が比較的多くみられた(最初:11.8 %;次:14.7%) に対して C群では少なかった(最初: 0%;次 :2.9%)。所有者が攻撃した事例である事例W の最初の働きかけでは、各群で「制止・禁止」が最も多 くなっていた。なかでも、 A群、 B群でその傾向が強い (各々78.4%、71.9%、47.4%) のに対して、 C群では 同時に「気持ちの確認J(42.1%;A群8.1%, B群15.6 %)の割合も比較的高かった。所有者が保育者の指示に 従った開始者の提案を拒否する事例である事例 Vの次の 働きかけでは、 C群で「解決策の提示」が (44.1%, 41.4 %, 60.0%) と多くなっていたのに対し、 B群では「気 持ちの確認J (23.5%, 51.7%, 25.7%) が最も多くなっ ていた。 なお、全体では有意な連関が認められなかったが、働 きかけ意図について事例別に分析した結果、事例Iにお いて連関が有意であった(ピ=17.91,df=8,

p<

.05)。 すなわちA群では「社会的ルーノレ」が最も多く (各々 55.9 %、 21.9%、31.6%)、B群では「受容J (各々 8.8%、 34.4%、21.1%)、C群では「相手の気持ちJ (各々 17.6 %、 21.9%、34.2%) となっていた。 4. 保育者の働きかけタイプ: 6事例に対する最初 の働きかけ内容の反応数を基準に保育者のタイプを5つ に分類した。タイプ1 :

r

制止・禁止」タイプ(このカ テゴリーに対する反応数が 2以上で最も多い)、タイプ II:

1

気持ちの確認」タイプ(このカテゴリーに対する 反応数が3以上で最も多し、)、タイプ III:

1

ルールの確 TABLE 7 保育者のタイプ別の最初の働きかけ対象と意図

o

内は

SD

タイプ II

m

N

V

多重比較の結果 人数(人) 15 40 12 13 12 (Tukey法) 対開始者 3.53(1.13) 3.23(1.29) 4.17(1.19) 3ω(.104) 23.3(1.56) 田

>

V

象 両 者 .93(.128) 1.51(1.21) .50(卯)1.必(1.05)2.泊(1.23)

V

>

l,I

I

,田 自主性 泊(ω).20(必).17( .39) 3.1(ω) .83(.1

1

1

)

V

>

,田

1

1

ニ d思""、 気持ち 1.73(.110) 2.話(1侃).167(1.15) 1幻(ぉ)1お(1.07)日

>V

図 回>,lI

V

ルール 2.27(.122) 1.05(お)2,鎚(1お).169(.103) .125

ω)

I

>

Il ここから、タイプIIIの「ルールの確認」タイプは「そ の他」のタイプに比べて、「開始者」に働きかけること が多く、逆に「その他」のタイプ(なかでも「見守り」 タイプと考えられる7人の場合には平均2.71) は「両者」 に働きかけることが多くなっていた。働きかけ意図につ いては、「自主性」についてはタイプV (なかでも「見 守り」タイプと考えられる7人の場合には平均1.29) で、

I

(

相手の)気持ち」についてはタイプ11で、

I

(

社会的) ノレール」についてはタイプIとIIIで多くなっていた。 〔討論〕 1.働きかけ対象については、全体としてトラフソレの 開始者に対する働きかけが多かった。しかし、保育者は 最初と次の 2回の働きかけを通して、開始者と所有者の 両方に働きかける傾向があった。また、 トラフソレの聞に 子どもが相手の子どもを攻撃したり、保育者の働きかけ に対して拒否をするような場合は、保育者は攻撃をした り拒否した子どもに働きかけを行っていた。とりわけ、

(9)

-49-事例 Wにみられるように、それが所有者であっても攻撃 に対しては働きかけを行うことが多くなっていた。ここ で、全体としてトラフ'ルの開始者に対して保育者は多く 働きかける傾向があること、また身体攻撃をする子ども に対して多く働きかける傾向があるということについて は、本郷(1994) の結果と同様である。しかし、事例の 構成が若干違っているので直接の比較は出来ないが、本 郷(1994) では開始者に対する働きかけが57.1%であっ たのに対し、本研究では45.6%とやや低くなっていた。 これは、本研究では「両者」という選択肢が設けられ、 それに対する回答が21.2%あったためだと考えられる。 2. 卜ラフ.ルに対する働きかけ内容としては、最初の 働きかけにおいても次の働きかけにおいても「気持ちの 確認」が最も多かった。とりわけ、事例IIにみられるよ うに、 トラフソレの開始者が自分がその物を欲しくて取っ たのではなく、所有者の物の使用方法に異議を唱える形 で物を取ったような場合、すなわち開始者の方に何らか の正当化しうる理由があるような場合には、保育者は一 層「気持ちの確認」を多くすると考えられる。また、最 初の働きかけ内容と次の働きかけ内容との推移確率から、 保育者は最初に「制止・禁止」をした場合、次には「ノレー ルの確認」をするという働きかけを行うというストラテ ジーを持つことが多いことが示唆された。 3. 働きかけの意図については「相手の気持ち」に気 づかせると「社会的ルール」を教えるが全意図の各々20 %を超えていた。これは、第1位と第 2位の順序は違う ものの本郷 (1994) の結果と同様である。しかし、最初 の働きかけ意図と次の働きかけ意図の推移には統計的に 有意なものはなかった。したがって、最初に特定の意図 を持ったからといって、必ずしも次に何らかの意図に変 更して(あるいは最初の意図を持ち続けたまま)保育者 は働きかけを行うのではないと考えられる。 また、働きかけ内容と意図との関連では、「自主性」 を育てをたいという意図の基に「見守る」という働きか けが、「社会的ルール」を教えたいという意図の基に 「制止・禁止」や「ルールの確認」が、「相手の気持ち」 を知らせたいという意図の基に「気持ちの確認」が、 「かかわり方」を教えたいという意図の基に「解決策の 提示」が各々行われる傾向がみられた。これらの傾向は、 働きかけ対象や働きかけの順番によって違いがなかった。 したがって、全体的に働きかけ内容と意図との関連は比 較的安定していると考えられる。 4. 保育者の保育経験の違いが働きかけに及ぼす影響 について述べることにする。子ども間の卜ラフソレが起こっ た際、誰に働きかけるか(働きかけ対象)、どのような 意図で働きかけるか(働きかけ意図)といった点につい ては保育経験年数の違いはみられなかった。むしろ、具 体的に子どもにどのような働きかけを行うか(働きかけ 内容)という点について違いがみられた。とりわけ、経 験年数の多いC群では、最初の働きかけでは「見守る」 が他の群に比べて多かった。また全体的には「気持ちの 確認」が多く、「制止・禁止」が少なくなっていた。と りわけ、事例Wのように所有者の攻撃があるような事例 においても、「制止・禁止」と同程度の「気持ちの確認」 を行っていた。ちなみに、経験年数別に最初の働きかけ 内容と次の働きかけ内容の関連をみると各群とも「気持 ちの確認

J-

r

気持ちの確認」という組み合わせが最も 多かった (A群 :0.13 ; B群 :0.16; C群 :0.19)。し かし、推移率を統計的に検定してみるとA群では「気持 ちの確認」一「解決策の提示」という組み合わせ(ド= 4.22,df=1,

p<

.05) が、 B群では「制止・禁止J-

r

ルー ルの確認」という組み合わせは2二 4.22,df=l ,

p<

.05) が多かったのに対し、 C群では有意な組み合わせはなかっ た。したがって、保育経験年数の増加に伴って、 トラブ ルの際に子どもの気持ちを確認する傾向が増すが、比較 的ベテランの保育者の対応は必ずしも固定的なものでは なく、 トラフ.ルの状況に応じて働きかけ内容を変化させ ているのではないかと推測される。 5.保育者のタイプ別の働きかけ対象と意図に関して は、タイプIの「制止・禁止」タイプとIIIの「ルールの 確認」タイプにおいて、「社会的ルール」を教えるとい う意図が多いこと、タイプIIの「気持ちの確認」タイプ では「相手の気持ち」に気づかせるという意図が多いと いう結果が得られた。これは先の研究(本郷, 1994) と 同様である。しかし、先の研究で意図が類似していると された「見守り」タイプと「解決策の提示」タイプの保 育者は、「相手の気持ち」と「社会的ルール」において は大きな違いがないものの、「自主性」については異なっ た反応を示していた。これは先の研究において、働きか け内容と意図を対応づけた分析がなされなかったことに 原因があると考えられる。 以上、本研究では、質問紙を用いて、子ども間の卜ラ フ.ルに対する保育者の働きかけの特徴について検討を行っ てきた。ここで得られた保育者の反応は、日常の保育に おける働きかけを反映したものであると考えられるが、 質問紙法という方法の特徴として、より社会的に望まし い方向へ回答が偏っている可能性も考慮しなければなら ないであろう。したがって、当然のことながら、実際の 保育場面において保育者はどのような働きかけを行って いるかを明らかにするような方向の研究が求められるこ

(10)

とになる。さらには、そのような保育者の働きかけが直 接子ども間のトラフソレの解決にどのような影響を及ぼす のかということだけではなく、保育者の働きかけから子 どもは何を学び、その後の子ども間の卜ラフ'ルの生起と 展開にどのような影響がもたらされるのかといった点に ついての研究が必要となるであろう。このような研究は、 保育上の問題を解決するための資料となるだけでなく、 広い意味での子どもの社会性の発達を促す要因を明らか にすることにつながると考えられる。 【文献】 本郷一夫 1994 子ども間のトラブルに対する保母の働 きかけと意図に関する研究 トラブノレの内容に基 づく保母の対応の違いと個人差を中心に一. 鳴門教育大学研究紀要(教育科学編), 9, 261-274. 本郷一夫 1996 2歳児集団における「異議」に関する 研究 一子どもの年齢と年齢差の影響について一. 教育心理学研究, 44, 435-444. 本郷一夫・杉山弘子・玉井真理子 1991 子ども間の卜 ラフ'ルに対する保母の働きかけの効果.発達心理学 研究, 1, 107-115. 石井貞夫 1998 SPSSによる多変量解析の手順.東京 書籍 粕谷英一・藤田和幸 1984動物行動学のための統計学. 東海大学出版. 小山高正 1996遊び行動への生物学的アプローチ. 高橋たまき・中沢和子・森上史朗共編「遊びの発達学基 礎編

J

,第3章, 61-81,培風館. 杉山弘子・本郷一夫・玉井真理子 1990保育場面にお ける1---2歳児のトラフソレの成立と展開.心理科学, 12(2), 15-23. 玉井真理子・本郷一夫・杉山弘子 1992 集団保育場面 における子ども聞のトラフ'ルと保母の働きかけ- 1 ---2歳児クラスにおける物をめぐるトラブルに ついて一.東北教育心理学研究, 5, 45-59. E -F O

(11)

On the Attitudes of Nursery Teachers toward Object Conflicts between Y oung Children (2)

Kazuo Hongo

The purpose of the present study was to examine the attitudes of nursery teachers towards object conflicts between young children. The questionnaire was administered to 110 nursery teachers. They were asked answer how they intervened in six kinds of object conflict episodes.

The main results were as follows:

(1) The teachers tended to work upon the initiators of conflicts at first.

(2) Many teachers asked children to express their intentions.

(3) Teachers were classified into five types according to the contents of interventions (4) "Confirmation of Rule" type teachers intended to teach children social rules. (5) "Wait and See" type teachers thought much of child' s independence.

(6) "Confirmation of Intention" type teachers attached much importance to children' s feelings and directed children' s attention to the others.

TABLE 1  保育者に提示された子ども聞のトラブ)1‑の事例 1.開始者が自分の所有を主張し、 トラブルとなった事例 A 児は、自分が前に使 っていたおもちゃを B 児が使 っ ているのを見ると、 IA チャンノ」と主張しておもちゃ を取ろうとする 。 B児はおもちゃを遠ざける 。A児と B 児の間でおもちゃの取り合いになる 。 1 1
TABLE 4  保育者の働きかけ内容別頻度 o 内は% 内 t 廿 ,  最初 次 Z 十 見 守 る 6 0 (  9 . 2 )  2 2 (   3 . 6 )  8 2 (   6

参照

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